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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W |
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管理番号 | 1294733 |
審判番号 | 不服2013-12688 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-07-03 |
確定日 | 2014-12-03 |
事件の表示 | 特願2011-546566「ユーザ装置アクセス向けの方法および対応するシステム、ならびにネットワークアクセス装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月 5日国際公開、WO2010/085908、平成24年 7月19日国内公表、特表2012-516586〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2009年(平成21年)2月1日を国際出願日とする出願であって,平成24年12月21日付けで拒絶理由が通知され,平成25年4月2日付けで意見書の提出がなされ,同年5月1日付けで拒絶査定がされ,同年7月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同日付けで手続補正書の提出がなされ,この手続補正書の提出により審査官による審査がされ,同年9月18日付けで拒絶理由(最後)が通知されたが,指定期間内に応答がなされなかったため,その審査の結果が平成26年3月11日付けで特許庁長官に報告されたものである。 第2 特許請求の範囲の記載 本願の特許請求の範囲は,平成25年7月3日付けで手続補正がされたものであり,その請求項1及び2についての記載は次のとおりである(下線部は請求人が付与。)。 「 【請求項1】 ユーザ装置(UE)向けのアクセス方法であって、 前記UEから第1のRACHメッセージを受信した後で、伝送時間間隔(TTI)バンドリング設定情報を搬送する第2のランダムアクセスチャネル(RACH)メッセージを前記UEに送信するステップと、 前記TTIバンドリング設定情報によって表示されたモードで前記UEによって送信された第3のRACHメッセージを受信するステップと を備え、 前記TTIバンドリング設定情報を搬送する前記第2のRACHメッセージが、前記第2のRACHメッセージ内に情報を表示する際に予約されたフィールドを使用することによって、前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップを備え、 前記予約されたフィールドが、チャネル品質指標(CQI)要求の予約されたフィールドであるアクセス方法。 【請求項2】 前記TTIバンドリング設定情報を搬送する前記第2のRACHメッセージが、 前記第2のRACHメッセージの予約されたビットを占有することによって、前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップ、または 前記第2のRACHメッセージの新しいフィールド内で前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップを備える、請求項1に記載の方法。」 第3 平成25年9月18日付けで通知された拒絶理由 上記第2で示した特許請求の範囲の記載について,平成25年9月18日付けで通知された拒絶理由(最後)は,次のとおりである。 「 <<<< 最 後 >>>> この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から3か月以内に意見書を提出してください。 理 由 この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項2が請求項1を引用していることを踏まえれば、請求項2には「(1)前記TTIバンドリング設定情報を搬送する前記第2のRACHメッセージが、前記第2のRACHメッセージ内に情報を表示する際に予約されたフィールドを使用することによって、前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップを備え、前記予約されたフィールドが、チャネル品質指標(CQI)要求の予約されたフィールドである」及び「(2)前記第2のRACHメッセージの予約されたビットを占有することによって、前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップ、または(3)前記第2のRACHメッセージの新しいフィールド内で前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップを備える」こと、すなわち、「(1)及び(2)のステップを備える」こと、または、「(1)及び(3)のステップを備える」ことが記載されているものと認められる。 しかしながら、発明の詳細な説明(特に、第17、38、42段落参照)には、(1)または(2)または(3)のステップを備えることがそれぞれ記載されているのみで、「(1)及び(2)のステップを備える」こと、または、「(1)及び(3)のステップを備える」ことについては記載も示唆もされていない。 また、出願時の技術常識に照らしても、「(1)及び(2)のステップを備える」、または、「(1)及び(3)のステップを備える」場合に、TTIバンドリング設定情報を具体的にどのように構成するのかを理解することができないため、「(1)及び(2)のステップを備える」こと、または、「(1)及び(3)のステップを備える」ことが、発明の詳細な説明の記載から自明な事項であったとも認められない。 請求項4、7についても同様である。 よって、請求項2、4、7、及び、上記請求項を引用する請求項5、8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 <拒絶の理由を発見しない請求項> 請求項1、3、6に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。 最後の拒絶理由通知とする理由 この拒絶理由通知は、審判請求時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものである。」 第4 当審の判断 1.明細書の発明の詳細な説明の記載 本願の明細書の記載は,国内書面として提出されたとおりのものであり,以下の事項が記載されている(下線部は当審が付与。)。 ア 「【0007】 しかし、本発明の発明者は、先行する技術解決法にいくつかの技術的な欠陥を発見する。例えば、UEがRRC接続セットアップメッセージまたはRRC接続再確立メッセージを受信する前に、UEはTTIバンドリングの構成を取得できない。結果として、UEがRRC接続セットアップメッセージまたはRRC接続再確立メッセージを受信する前に、送信されることになるアップリンクデータ(例えば、第3のRACHメッセージ)は、TTIバンドリングモードをサポートできない。このように、ランダムアクセスの時間を効果的に低減することはできない。加えて、セルエッジにおけるそれらの電力限定されたUEの場合、経路損失が大きいために、eノードBによって受信された第3のRACHメッセージの信号対雑音比(SNR)は低く、その結果、第3のRACHを成功裏に受信することはできない。したがって、UEは、多くの場合、ネットワークにアクセスすることができない。 【発明の概要】 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の実施形態は、UEが第3のRACHメッセージをTTIバンドリングモードで送信することを可能にし、その結果、電力限定された場合、ランダムアクセスの時間が効果的に節約され、UEのランダムアクセス速度が高められる、UE向けのアクセス方法およびシステム、ならびにネットワーク向けのアクセスデバイスを提供する。 【0009】 本発明の一実施形態で提供されるUE向けのアクセス方法は、 UEから第1のRACHメッセージを受信した後で、TTIバンドリング設定情報を搬送する第2のRACHメッセージをUEに送信するステップと、 TTIバンドリング設定情報によって表示されたモードでUEによって送信された第3のRACHメッセージを受信するステップとを含む。」 イ 「【0015】 図1は、本発明の一実施形態による、UE向けのアクセス方法を示す流れ図である。この方法は、以下のステップを含む。 【0016】 ステップ101。ネットワークアクセスデバイスは、UEから第1のRACHメッセージを受信した後で、TTIバンドリング設定情報を搬送する第2のRACHメッセージをUEに送信する。 【0017】 UEから第1のRACHメッセージを受信した後で、ネットワークアクセスデバイスは、第2のRACHメッセージをUEに送信する。ネットワークアクセスデバイスは、eノードBまたはアクセスノードであってよい。第1のRACHメッセージは、PRACHプリアンブルであってよく、第2のRACHメッセージは、RACH応答であってよい。TTIバンドリング設定情報は、以下のように第2のRACHメッセージ内で搬送可能である。すなわち、第2のRACHメッセージ内で搬送された情報を表示する際に予約されたフィールドを使用することによって、TTIバンドリング設定情報を構成すること、もしくは第2のRACHメッセージの予約されたビットを占有することによって、TTIバンドリング設定情報を構成すること、または第2のRACHメッセージ内の新しいフィールド内でTTIバンドリング設定情報を構成すること、である。 【0018】 図2は、予約されたビット(R)の構造を例示し、TTIバンドリング設定情報は、この予約されたビット(R)を介して構成可能である。加えて、UL付与のサイズは、既存のRACH応答の構造を変更することによって、21ビットに設定可能であり、TTIバンドリング設定情報は、追加の1ビットを使用することによって構成可能である。図3は、変更されたRACH応答の構造を例示し、この場合、ランダムアクセス応答付与は、以下の情報を含む。すなわち、1ビットのホッピングフラグ、10ビットの固定サイズリソースブロック割当て、4ビットのトランケートされた変調および符号化方式、スケジュールされたPUSCHに関する3ビットのコマンド(TPC)、1ビットのUL遅延、1ビットのCQI要求、ならびに1ビットのTTIバンドリングである。図2および図3では、一時C-RNTIは、一時UE識別子を表示し、タイミングアドバンスコマンドは、タイミングアドバンスコマンドを示し、UL付与は、アップリンク付与を意味し、オクトは、オクテット1?6を意味するために、8ビットを含むオクテットを意味し、UL付与は、オクト3、オクト4、およびオクト2より5ビット後に配置される。全部で、8 + 8 + 5 = 21ビットが存在する。 【0019】 さらに、TTIバンドリング設定情報は、1など、第1の設定値と、0など、第2の設定値とを含む。第1の設定値1は、TTIバンドリングモードが開始されたことを示し、第2の設定値0は、TTIバンドリングモードが開始されていないことを示す。加えて、第1の設定値および第2の設定値は、実際の要件に従って設定可能である。 【0020】 ステップ102。ネットワークアクセスデバイスは、TTIバンドリング設定情報によって表示されたモードでUEによって送信された第3のRACHメッセージを受信する。 【0021】 TTIバンドリング設定情報を受信するとすぐ、UEは、先行する設定情報によって表示されたモード(例えば、TTIバンドリングモード)で第3のRACHメッセージを送信する。ネットワークアクセスデバイスは、UEによって送信された第3のRACHメッセージを受信する。第3のRACHメッセージは、RRC接続要求またはRRC接続再確立要求であってよい。ランダムアクセスプロセスは完成する。」 ウ 「【0026】 RACH応答は、ランダムアクセス応答付与を含み、この場合、TTIバンドリングを表示するために、コンテンションに基づいてCQI要求内で予約された1ビットが使用される。すなわち、コンテンションベースのランダムアクセスプロセスにおいて、1ビットのCQI要求が0である場合、それはTTIバンドリングが開始されていないことを示し、1ビットのCQI要求が1である場合、それはTTIバンドリングが開始されたことを示す。」 エ 「【0037】 図5は、本発明の一実施形態に従って提供される、ネットワーク向けのアクセスデバイスの構造を示す概略図である。このネットワークアクセスデバイスは、UEから第1のRACHメッセージを受信した後で、第2のRACHメッセージをUEに送信するように適合された第1の処理モジュール11であって、第2のRACHメッセージがTTIバンドリング設定情報を搬送する、第1の処理モジュール11と、TTIバンドリング設定情報によって表示されたモードでUEによって送信された第3のRACHメッセージを受信するように適合された第2の処理モジュール12とを含む。 【0038】 ネットワークに効率的に高速でアクセスするために、第1の処理モジュールは、第2のRACHメッセージ内に搬送された情報を表示する際に予約されたフィールドを使用することによって、TTIバンドリング設定情報を構成するように適合された第1の構成ユニット、もしくは第2のRACHメッセージの予約されたビットを占有することによって、TTIバンドリング設定情報を構成するように適合された第2の構成ユニット、または第2のRACHメッセージの新しいフィールド内でTTIバンドリング設定情報を構成するように適合された第3の構成ユニットを含みうる。第1の構成ユニット、 第2の構成ユニット、または第3の構成ユニットによって構成されたTTIバンドリング設定情報に従って、UEは、第3のRACHメッセージをTTIバンドリングモードで送信することが可能である。さらに、電力が限定されたUEの場合、第3のRACHメッセージをTTIバンドリングモードで送信することは、UEのアクセス速度を大いに高めることが可能である。」 オ 「【0042】 このネットワークアクセスデバイスは、第2のRACHメッセージ内に情報を表示する際に予約されたフィールドを使用することによって、TTIバンドリング設定情報を構成するように適合された、もしくは第2のRACHメッセージの予約されたビットを占有することによって、TTIバンドリング設定情報を構成するように適合された、または第2のRACHメッセージの新しいフィールド内でTTIバンドリング設定情報を構成するように適合された構成モジュールを含みうる。構成モジュールによって構成されたTTIバンドリング設定情報に従って、UEは、第3のRACHメッセージをTTIバンドリングモードで送信することが可能である。さらに、電力が限定されたUEの場合、第3のRACHメッセージをTTIバンドリングモードで送信することは、UEのアクセス速度を大いに高める。」 2.発明の詳細な説明に記載された発明と特許請求の範囲に記載された発明との対比 本願の請求項2は,請求項1を引用することにより,請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項をすべて含むため,本願の請求項2に記載された発明(以下「本願発明」という。)は,「前記TTIバンドリング設定情報を搬送する前記第2のRACHメッセージが、前記第2のRACHメッセージ内に情報を表示する際に予約されたフィールドを使用することによって、前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップ」を備え,かつ,「前記TTIバンドリング設定情報を搬送する前記第2のRACHメッセージが、前記第2のRACHメッセージの予約されたビットを占有することによって、前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップ、または 前記第2のRACHメッセージの新しいフィールド内で前記TTIバンドリング設定情報を構成するステップ」を備えるものである。 すなわち,本願発明は, (1)第2のRACHメッセージ内のチャネル品質指標(CQI)要求の予約されたフィールドを使用してTTIバンドリング設定情報を構成するとともに,該第2のRACHメッセージ内の予約されたビットを占有することで該TTIバンドリング設定情報を構成すること, または, (2)第2のRACHメッセージ内のチャネル品質指標(CQI)要求の予約されたフィールドを使用してTTIバンドリング設定情報を構成するとともに,該第2のRACHメッセージの新しいフィールド内で該TTIバンドリング設定情報を構成すること, を備えるものと解される。 一方,発明の詳細な説明には,ランダムアクセスにおいて,UEがRRC接続セットアップメッセージまたはRRC接続再確立メッセージを受信する前に送信されることになるアップリンクデータ(例えば,第3のRACHメッセージ)が,TTIバンドリングモードをサポートできないという課題を解決するための手段として,ネットワークアクセスデバイスが,(ア)第2のRACHメッセージ内で搬送された情報を表示する際に予約されたフィールドを使用することによって,TTIバンドリング設定情報を構成すること,(イ)第2のRACHメッセージの予約されたビットを占有することによって,TTIバンドリング設定情報を構成すること,または,(ウ)第2のRACHメッセージ内の新しいフィールド内でTTIバンドリング設定情報を構成すること,のいずれかの方法によってTTIバンドリング設定情報を構成し,該TTIバンドリング設定情報を搬送する第2のRACHメッセージをUEに送信することが記載されている。 しかしながら,本願発明の上記(1)の構成である,第2のRACHメッセージ内のチャネル品質指標(CQI)要求の予約されたフィールドを使用してTTIバンドリング設定情報を構成するとともに,該第2のRACHメッセージ内の予約されたビットを占有することで該TTIバンドリング設定情報を構成すること,すなわち,上記(ア)の方法と上記(イ)の方法の両方を用いてTTIバンドリング設定情報を構成することは,発明の詳細な説明の記載からは読み取ることはできない。 また,発明の詳細な説明の記載からは,TTIバンドリング設定情報は,上記(ア),(イ)または(ウ)のいずれか1つの方法によって構成することが可能な設定情報であると解され,技術常識に照らしても,本願発明の上記(1)の構成のように,上記(ア),(イ)2つの方法を併用してTTIバンドリング設定情報を構成する技術的な意義が不明であり,さらに,ネットワークアクセスデバイスがTTIバンドリング設定情報をどのように構成し,UEが当該TTIバンドリング設定情報を処理するのかも不明であるため,本願発明の上記(1)の構成が,発明の詳細な説明に当業者が上記課題を解決できると認識できる程度に記載されていたとはいえない。 したがって,本願発明の上記(1)の構成は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 同様に,本願発明の上記(2)の構成である,第2のRACHメッセージ内のチャネル品質指標(CQI)要求の予約されたフィールドを使用してTTIバンドリング設定情報を構成するとともに,該第2のRACHメッセージの新しいフィールド内で該TTIバンドリング設定情報を構成すること,すなわち,上記(ア)の方法と上記(ウ)の方法の両方を用いてTTIバンドリング設定情報を構成することも,発明の詳細な説明に記載されたものであるということはできない。 よって,上記(1)または(2)の構成を備える本願発明は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 第5 むすび 以上のとおり,本願は,特許請求の範囲の記載が,平成25年9月18日付けで通知された拒絶理由で指摘された点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず,上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので,本願は,この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-07-03 |
結審通知日 | 2014-07-08 |
審決日 | 2014-07-24 |
出願番号 | 特願2011-546566(P2011-546566) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H04W)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲高▼須 甲斐 |
特許庁審判長 |
近藤 聡 |
特許庁審判官 |
寺谷 大亮 加藤 恵一 |
発明の名称 | ユーザ装置アクセス向けの方法および対応するシステム、ならびにネットワークアクセス装置 |
代理人 | 佐伯 義文 |
代理人 | 木内 敬二 |