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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1294777 |
審判番号 | 不服2013-22536 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-18 |
確定日 | 2014-12-01 |
事件の表示 | 特願2011-103787号「位置決め装置、露光装置およびデバイス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月29日出願公開、特開2012-235026号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本願発明 本願は、平成23年5月6日の出願であって、平成25年4月10日付けで拒絶理由が通知され、同年6月7日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、同年8月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年11月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年6月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「第1部材および第2部材を有する位置決め装置であって、 前記第1部材に固定された電磁石と、 前記電磁石によって吸引されるように前記第2部材に固定された吸引ターゲットと、 前記電磁石が発生する磁束値を検出する磁束センサと、 前記電磁石と前記吸引ターゲットとの間のギャップの大きさに応じて磁束指令値を補正することによって得られた補正磁束指令値と前記磁束センサによって検出された磁束値との偏差に応じて前記電磁石を駆動する駆動部と、 を備えることを特徴とする位置決め装置。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-241576号公報(以下「引用例」という。)には、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審で付した。) 記載事項ア. 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、位置決め装置、特に露光装置に搭載される位置決め装置に関する。」 記載事項イ. 「【0021】 本実施形態では、XYスライダ109と、それを移動させるための移動体としてのX、Y梁105、107との間のガイド機構として電磁ガイドを採用している。電磁ガイド(電磁機構)は、電磁石130が発生する磁界を利用した一対の電磁アクチュエータが梁を挟むように対向配置して構成された非接触のガイド(案内機構)である。このような電磁アクチュエータは、ターゲット105T(107T)(例えば、磁性体)と電磁石130とによって構成されうる。ここで、従来のエアパッドに代えて電磁ガイドを採用することによって、非接触ガイドであるという利点を維持しつつ高い推力伝達能力を得ることができる。このような電磁ガイドは、エアを使用しないので、真空環境或いは減圧環境等を含むあらゆる使用環境に適している。ターゲット105T、107Tは、例えば、珪素鋼の薄板を積層して構成されうる。積層構造を採用するのは、渦電流の影響を抑えるためである。 【0022】 図4には、図3に示す電磁石130の具体的な配列例が示されている。なお、図3中の電磁石130は、図3では、XEM1?XEM4、YEM1?YEM4として記載されている。電磁石は吸引力しか働かすことができないため、二つの電磁石を対向させて組にして用いる。X電磁石XEM1とX電磁石XEM2、X電磁石XEM3とX電磁石XEM4、Y電磁石YEM1とY電磁石YEM2、Y電磁石YEM3とY電磁石YEM4がこの組である。X電磁石XEM1とX電磁石XEM2との中心を結ぶ線をX12軸、X電磁石XEM3とX電磁石4との中心を結ぶ線をX34軸、Y電磁石YEM1とY電磁石YEM2との中心を結ぶ線をY12軸、Y電磁石YEM3とY電磁石4との中心を結ぶ線をY34軸と定義する。これらのX12軸、X34軸、Y12軸、Y34軸は、それぞれX電磁石XEM1及びX電磁石XEM2の力線、X電磁石3及びX電磁石4の力線、Y電磁石1及びY電磁石2の力線、Y電磁石3及びY電磁石4の力線を示す。 【0023】 図4を用いて電磁石とターゲットとのギャップの計測について説明する。ギャップの情報は、図6に示すように、ギャップ算出器606によって電磁石駆動制御器609に与えられる。まず、XYスライダ位置算出器603によってXYスライダレーザ干渉計(計測軸は、AXX、AXY1、AXY2)から提供される位置情報に基づいてXYスライダ109の位置を算出する。また、粗動ステージ位置算出器608によって粗動ステージレーザ干渉計(計測軸は、RAXX1、RAXX2、RAXY1、RAXY2)に基づいて粗動ステージ(粗動X梁105、粗動Y梁107)の位置を算出する。そして、ギャップ算出器606によってXYスライダ位置及び粗動ステージ位置に基づいて各電磁石XEM1、XEM2、XEM3、XEM4、YEM1、YEM2、YEM3、YEM4のギャップX1gap、X2gap、X3gap、X4gap、Y1gap、Y2gap、Y3gap、Y4gapを算出する。この符号はギャップが大きくなる方向を正方向にとることにする。すなわち、ギャップ値が大きくなると、吸引力は減少する。 【0024】 図5に電磁アクチュエータの構成例が示されている。電磁石130は、E型コア131にコイル132を巻くことにより構成されうる。コイル132に電流を流すことにより、E型コア131とターゲット105T(107T)に磁束が通り、両者間に吸引力が発生する。電磁石130は、XYスライダ支柱109bに取り付けられている。」 記載事項ウ. 「【0031】 電磁石指令演算器607、電磁石駆動制御器609、電流ドライバ610等の機能について、X12軸を一例として示す図8を参照して説明する。他のXf34,Yf12,Yf34軸も同様にして構成される。X12軸の電磁石ユニット612は、X電磁石XEM1とX電磁石XEM2で構成されている。これらの電磁石は、粗動X梁105との間に吸引力を発生する。すなわち、電磁石ユニット612の制御力の反力は電磁石のターゲット105Tが設けられている補助構造体である粗動X梁105に加わる。図8に示すように、電磁石ユニット612の制御力の方向をX座標軸と同じ方向に定義する。このときにX電磁石XEM1の発生する吸引力は、電磁石ユニット612の制御力の方向と一致し、X電磁石XEM2の発生する吸引力は、電磁石ユニット612の制御力の方向と反対である。」 記載事項エ. 「【0039】 (第3実施形態) 電磁石指令演算器607、電磁石駆動制御器609、電流ドライバ610等の機能について、電磁石XEM1を一例として示す図11を参照して説明する。電磁石XEM1の制御系には、電磁石XEM1に設けられたサーチコイル421と積分器423とにより磁束検出器が構成されている。電磁石XEM1のサーチコイル421には、電磁石XEM1における磁束の時間変化成分が誘起電圧として発生する。この誘起電圧を積分器423により時間積分することで電磁石XEM1が発生する磁束が検出される。加算器424では、電磁石指令演算器607から与えられた磁束指令XJ1と検出磁束との差分である磁束誤差が算出される。この磁束誤差に増幅器425がゲインを乗じてX1電圧ドライバ610aに指令として送られる。電磁石XEM1のコイル422には、X1電圧ドライバ610aにより電圧が印加され、コイル422に電流が流れることにより電磁石XEM1に磁束が発生する。なお、図11において、サーチコイル421と積分器423の代わりに、図12に示すように、ホール素子426とホール素子アンプ427を用いて、磁束検出器を構成してもよい。ホール素子426は、ギャップの間に設けられるのが望ましいが、電磁石XEM1の吸引力を代表する磁束を計測する場所であれば他の場所でもかまわない。 【0040】 このように、本実施形態によれば、電磁石指令演算器によって電磁石ユニット毎に制御力を算出して、その制御力を磁束の次元にして電磁石駆動制御器に送り、電磁石駆動制御器で検出磁束をフィードバック制御することにより、電磁石で発生する磁束を所望の磁束指令にほぼ等しくすることができ、結果的に所望の制御力を発生することができる。検出磁束は、電磁石間隙変動の影響を含め大局的な吸引力の検出に相当するので、電磁石のギャップに変動があっても、所望の制御力を発生することができ、位置決め対象物を高精度に位置決めすることができる。 【0041】 (第4実施形態) 電磁石駆動制御器609は、電磁石指令演算器607より送られた電磁石指令値通りの電磁石の吸引力になるように各電流ドライバ610a?hへ電流指令を送る役割を果たす。電磁石で発生する吸引力は、理論的にはおよそコイルに流れる電流の2乗に比例し、電磁石とターゲットとのギャップ(電磁石ギャップ)の2乗に逆比例する。従って、このような非線形性を考慮した電流が各電流ドライバへ指令として送られる必要がある。この非線形性を単純にコイル電流の2乗に比例し、ギャップの2乗に逆比例するものとして、力指令のルート演算をしたり、ギャップをルート演算後の値に乗じて補正したりする構成も考えられるが、そのような手法では精度が悪くなる。ギャップにより磁束の漏れが生じ、発生する磁束すべてが吸引力にはならないためである。また、ギャップが変化すると磁束の漏れ方も変化する。 【0042】 そこで、本実施形態では、予め実験により測定した電磁石の電流、ギャップ、吸引力の関係に基づいて数値表を作成し、電磁石のギャップ値と必要な吸引力の2つの値を引数として、数値表から指令電流を求める構成を用いる。図13は、ギャップを変化させたときのコイル電流と電磁石吸引力の測定結果の一例を示す図である。図13から電磁石吸引力はギャップの2乗に反比例したものではないことがわかる。図14は、コイル電流を変化させたときのギャップと吸引力の測定結果の一例を示す図である。これは図14と同じ測定条件においてプロットの仕方を変えたものである。同じ電流値に対してはギャップが大きいほど電磁石吸引力が小さくなることが分かる。また、吸引力はコイル電流の2乗に単純に比例したものではないことが分かる。より詳細な電磁石の電流、ギャップ、吸引力の関係を求めるためには、ギャップ又は電流をより細かく変化させたときの吸引力を計測すればよい。これらのデータに基づいて、吸引力、ギャップが与えられたときに、必要なコイル電流を求めるための数値表が求められる。この数値表は、本実施形態では、一例として図15のような構成を用いられるが、本実施形態はこれに限定されない。 【0043】 図15に示すように、数値表は2次元の行列となっている。行には吸引力を一定としたときのギャップに対する電流値が、列にはギャップを一定としたときの吸引力に対する電流値が並んでいる。電磁石指令値及びそのときのギャップが与えられたときは、図15の行列を用いて、電磁石指令値とギャップの交点の電流値を求めればよい。しかし、数値表の各値は離散的であるため、電磁石指令値や制御時におけるギャップが数値表で用いられている値とは必ずしも一致しない。この場合は、例えば、図16のようにして補間すればよい。具体的には、吸引力は指標f1とf2の間にあり、ギャップは指標g1とg2の間にあるとする。まず、指標[f1,g1]で得られる電流i1と指標[f1,g2]で得られる電流i2とに基づいて、指標g1、g2、ギャップの各値から線形補間を行って電流値i12を求める。同様にして、i3とi4から線形補間によりi34を求める。次に、i12とi34とから指標f1、f2、電磁石指令値の各値から線形補間を行って所望の指令電流iが求められる。 【0044】 本実施形態では、ギャップから先に補間を行ったが、電磁石指令値から先に補間を行っても良い。また、補間方法は、ここに示した方法以外の方法を用いてもよい。数値表の精度・分解能が高いほど、補間の方法には影響されずに、正確な指令電流iが求められる。このようにして、各電磁石への電磁石指令値から指令電流が算出されて各電流ドライバ610a?hへ送られる。電流ドライバ610a?hでは、指令通りの電流をコイルに流して、電磁石指令値通りの吸引力を電磁石に発生させることができる。その結果、位置制御系の指令通りにXYスライダ109を高精度に位置制御することができる。 【0045】 なお、モード指令変換器602、モード制御器605、電磁石指令演算器607、制御指令分配器611は、複雑な座標変換、正負判断、非線形演算等を用いるのでデジタル系で構成するのが望ましい。電磁石駆動制御器609や磁束検出器は、線形演算を用いるので、アナログ系で構成しても良いし、もちろんデジタル系で構成しても良い。 【0046】 このように、本実施形態によれば、電磁石指令演算器により得られた電磁石ユニット毎の電磁石指令値とギャップ算出器により得られた電磁石毎の電磁石のギャップ値とから、実験的に求めた電磁石指令値と電磁石のギャップ値との数値表に基づいて、必要な電流指令を求めることによって、制御指令通りの力を発生することができ、高精度にXYスライダを位置決めすることができる。 【0047】 また、単位面積あたりで静圧案内に比べて数倍の力伝達能力をもつ電磁石を用いた電磁ガイドを構成する第1実施形態?第3実施形態に係る制御系と本実施形態に係る数値表とを組み合わせることによって、さらに高加減速かつ高精度のステージを実現することができる。」 記載事項オ. 「【図11】 ![]() 」 上記記載事項アないしカの記載内容からして、引用例には、 「XYスライダ109と、それを移動させるための移動体としてのX梁105との間のガイド機構として電磁ガイドを採用している位置決め装置であって、XYスライダ支柱109bに取り付けられている電磁石XEM1と、X梁105に設けられている電磁石のターゲット105Tと、電磁石XEM1が発生する磁束が検出されるサーチコイル421と積分器423とにより構成されている磁束検出器とを備え、加算器424では、電磁石指令演算器607から与えられた磁束指令XJ1と検出磁束との差分である磁束誤差が算出され、この磁束誤差に増幅器425がゲインを乗じてX1電圧ドライバ610aに指令として送られ、電磁石XEM1のコイル422には、X1電圧ドライバ610aにより電圧が印加され、コイル422に電流が流れることにより電磁石XEM1に磁束が発生する位置決め装置。」 の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 3.対比 本願発明と引用発明を対比する。 (a)引用発明の「XYスライダ109」、「X梁105」、「位置決め装置」、「XYスライダ支柱109bに取り付けられている電磁石XEM1」、「X梁105に設けられている電磁石のターゲット105T」、「電磁石XEM1が発生する磁束が検出されるサーチコイル421と積分器423とにより構成されている磁束検出器」は、それぞれ本願発明の「第1部材」、「第2部材」、「位置決め装置」、「前記第1部材に固定された電磁石」、「前記電磁石によって吸引されるように前記第2部材に固定された吸引ターゲット」、「前記電磁石が発生する磁束値を検出する磁束センサ」に相当する。 そうすると、引用発明の「XYスライダ109と、それを移動させるための移動体としてのX梁105との間のガイド機構として電磁ガイドを採用している位置決め装置であって、XYスライダ支柱109bに取り付けられている電磁石XEM1と、X梁105に設けられている電磁石のターゲット105Tと、電磁石XEM1が発生する磁束が検出されるサーチコイル421と積分器423とにより構成されている磁束検出器とを備え」る構成は、本願発明の「第1部材および第2部材を有する位置決め装置であって、前記第1部材に固定された電磁石と、前記電磁石によって吸引されるように前記第2部材に固定された吸引ターゲットと、前記電磁石が発生する磁束値を検出する磁束センサと、」「を備える」構成に相当するといえる。 (b)引用発明の「磁束指令XJ1」、「検出磁束との差分である磁束誤差」は、それぞれ本願発明の「磁束指令値」、「前記磁束センサによって検出された磁束値との偏差」に相当する。また、引用発明の「X1電圧ドライバ610a」により、「電磁石XEM1のコイル422に」「電圧が印加され、コイル422に電流が流れることにより電磁石XEM1に磁束が発生」して「電磁石XEM1」が駆動されることは明らかであるから、引用発明の「X1電圧ドライバ610a」は、本願発明の「前記電磁石を駆動する駆動部」に相当する。そうすると、引用発明の「加算器424では、電磁石指令演算器607から与えられた磁束指令XJ1と検出磁束との差分である磁束誤差が算出され、この磁束誤差に増幅器425がゲインを乗じてX1電圧ドライバ610aに指令として送られ、電磁石XEM1のコイル422には、X1電圧ドライバ610aにより電圧が印加され、コイル422に電流が流れることにより電磁石XEM1に磁束が発生する」ことと、本願発明の「前記電磁石と前記吸引ターゲットとの間のギャップの大きさに応じて磁束指令値を補正することによって得られた補正磁束指令値と前記磁束センサによって検出された磁束値との偏差に応じて前記電磁石を駆動する駆動部と、を備える」ことは「磁束指令値と前記磁束センサによって検出された磁束値との偏差に応じて前記電磁石を駆動する駆動部と、を備える」点で共通している。 上記(a)、(b)で述べたことからして、本願発明と引用発明は、 「第1部材および第2部材を有する位置決め装置であって、 前記第1部材に固定された電磁石と、 前記電磁石によって吸引されるように前記第2部材に固定された吸引ターゲットと、 前記電磁石が発生する磁束値を検出する磁束センサと、 磁束指令値と前記磁束センサによって検出された磁束値との偏差に応じて前記電磁石を駆動する駆動部と、 を備える位置決め装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 磁束センサによって検出された磁束値との偏差を求めるための磁束指令値が、本願発明では、電磁石と吸引ターゲットとの間のギャップの大きさに応じて磁束指令値を補正することによって得られた補正磁束指令値であるのに対して、引用発明は、そのような補正磁束指令値ではない点。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 引用例には、第4実施形態として、予め実験により測定した電磁石の電流、電磁石とターゲットとのギャップ(電磁石ギャップ)、吸引力の関係に基づいて数値表を作成し、電磁石指令演算器により得られた電磁石ユニット毎の電磁石指令値とギャップ算出器により得られた電磁石毎の電磁石のギャップ値とから、数値表に基づいて、必要な電流指令を求めることによって、制御指令通りの力を発生し高精度にXYスライダを位置決めすることができることが記載(上記記載事項エの【0041】、【0042】、【0046】等参照)されており、引用例に記載された「電磁石指令演算器により得られた電磁石ユニット毎の電磁石指令値」、「電磁石のギャップ値」は、それぞれ本願発明の「磁束指令値」、「電磁石と吸引ターゲットとの間のギャップの大きさ」に相当し、引用例に記載された「数値表に基づいて」求める「電流指令」は、本願発明の、「電磁石と吸引ターゲットとの間のギャップの大きさに応じて磁束指令値を補正することによって得られた補正磁束指令値」に相当する。そして引用例には、第3実施形態に係る制御系と数値表を用いる第4実施形態を組み合わせることによって、さらに高加減速かつ高精度のステージを実現できることが記載(上記記載事項エの【0047】等参照)されているから、引用発明に第4実施形態の制御を組み合わせて上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは当業者であれば容易になし得ることである。 また、本願発明の効果も、引用発明及び引用例の記載事項から予測し得る範囲内のものであり、格別のものとは認め難い。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-09-29 |
結審通知日 | 2014-10-03 |
審決日 | 2014-10-17 |
出願番号 | 特願2011-103787(P2011-103787) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮川 数正 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
土屋 知久 北川 清伸 |
発明の名称 | 位置決め装置、露光装置およびデバイス製造方法 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 下山 治 |