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審決分類 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C22B
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C22B
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C22B
管理番号 1295142
審判番号 訂正2014-390142  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-09-25 
確定日 2014-12-01 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5582265号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5582265号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5582265号は、2012年12月27日(優先権主張:2012年1月13日、日本国)を国際出願日とする出願(特願2013-553250号)の請求項1?3に係る発明について、平成26年7月25日に特許権の設定登録がなされたものである。

2 請求の趣旨
平成26年10月24日付けの手続補正により補正された審判請求書によれば、本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第5582265号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲の通り請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。

3 訂正事項
訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「上記スラリー排出管側への蒸気の流の流入を生じることのない液面下限」とあるのを、「上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限」に訂正する。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0023】に「上記スラリー排出管側への蒸気の流の流入を生じることのない液面下限」とあるのを、「上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「同水準の位置に設置されされた少なくとも1つの上限液面センサーと、上記液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記スラリー排出管側への蒸気の流の流入を生じることのない液面下限」とあるのを、「同水準の位置に設置された少なくとも1つの上限液面センサーと、上記液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限」に訂正する。
(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0027】に「上記スラリー排出管側への蒸気の流の流入を生じることのない液面下限」とあるのを、「上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限」に訂正する。

4 当審の判断
(1)訂正の目的
ア 訂正事項1
訂正事項1は、請求項1における「蒸気の流の流入」を、「蒸気の流入」に訂正することを含むものであるが、この訂正は、「蒸気の流の流入」という日本語として不自然な記載を、日本語として自然な記載である「蒸気の流入」に訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項2
訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0023】における「蒸気の流の流入」を、「蒸気の流入」に訂正することを含むものであるが、上記アと同様、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
ウ 訂正事項3
訂正事項3は、請求項3における「設置されされた」及び「蒸気の流の流入」を、それぞれ、「設置された」及び「蒸気の流入」に訂正することを含むものであるが、これらの訂正は、「設置されされた」及び「蒸気の流の流入」という日本語として不自然な記載を、それぞれ、日本語として自然な記載である「設置された」及び「蒸気の流入」に訂正するものであるから、上記ア、イと同様、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
エ 訂正事項4
訂正事項4は、願書に添付した明細書の段落【0027】における「蒸気の流の流入」を、「蒸気の流入」に訂正することを含むものであるが、上記ア?ウと同様、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の追加の有無
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。
「・・・上記フラッシュベッセル内の液相空間に下部が連通され、気相空間に上部が連通された静水塔内の液面を、上記液相空間の所定の液面上限と同水準の位置に設置された少なくとも1つの上限液面センサーと・・・」(請求項5、[0027])
「このように運転することにより、フラッシュベッセル10内のスラリー液面位を適切な範囲に制御することができる。すなわち、スラリー排出管14側に蒸気が流れ込むという事態が発生しにくくなり、それによって、スラリー排出バルブ16の損傷という不具合は減少する。」([0044])
以上の記載によれば、訂正事項1?4に係る事項は、当初明細書等に記載されていると認められるから、訂正事項1?4は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項1?4は、上記のとおり、日本語として不自然な記載を日本語として自然な記載に訂正するものにすぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことは明らかである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
フラッシュベッセル及びその運転方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュベッセル及びその運転方法に関し、さらに詳しくは、原料スラリーをオートクレーブ(高圧反応容器)で高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセル(降温降圧容器)を含む高圧酸浸出工程におけるフラッシュベッセル及びその運転方法に関する。本出願は、日本国において2012年1月13日に出願された日本特許出願番号2012-005442を基礎として優先権を主張するものであり、この出願は参照することにより、本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
近年、高温高圧下において有効な耐食性を有する材料が開発されたことにより、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、硫酸を用いた高温加圧酸浸出法(High Pressure Acid Leach)が注目されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱の製錬方法である乾式製錬法と異なり、還元及び乾燥工程等の乾式工程を含まず、一貫した湿式工程からなるので、エネルギー的及びコスト的に有利であるという利点を有している。すなわち、上記高圧酸浸出法では、浸出工程において、加圧浸出反応器内の浸出液の酸化還元電位及び温度を制御することにより、主要不純物である鉄をヘマタイト(Fe_(2)O_(3))の形で浸出残渣に固定することにより、鉄に対し選択的にニッケル及びコバルトを浸出することができるので、非常に大きなメリットがある。
【0003】
例えば、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、オートクレーブを利用した高圧酸浸出法が採用されており、原料スラリーを、オートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、通常、フラッシュベッセル内の液位測定は、フラッシュベッセル容器に直接取り付けられたセンサーによって測定されている。
【0004】
ここで、図3に一般的なフラッシュベッセル100の概略構造を示すように、フラッシュベッセル100は、有底円筒状の胴部101を備え、この胴部101の上部を閉じた天井部102にスラリー装入口103と蒸気排出口105が設けられ、胴部101にスラリー排出口104が設けられている。上記スラリー装入口103には、所定の温度、所定の圧力に降下された浸出後のスラリー(以下、単にスラリーという場合がある)をフラッシュベッセル100内に装入するためのスラリー装入配管113が連結され、上記ラリー排出口104には、フラッシュベッセル100内に装入されたスラリーを排出するためのスラリー排出管114が連結され、上記蒸気排出口105には、スラリーの装入に伴いフラッシュベッセル100内に発生する蒸気を回収するための蒸気排出配管115が連結されている。上記スラリー排出口104に連結されたスラリー排出配管114には、スラリー排出バルブ116が設置されている。
【0005】
そして、このフラッシュベッセル100では、所定の温度、所定の圧力に降下された浸出後のスラリー(以下、単にスラリーという場合がある)がスラリー装入口103を介して装入され、フラッシュベッセル100内に装入されたスラリーはスラリー排出口104から排出され、また、スラリーの装入に伴って発生した蒸気は、蒸気排出口105から排出される。
【0006】
このとき、フラッシュベッセル100内の液位を適正なレベルに保つために、液面センサー120A,120Bによって測定された、フラッシュベッセル内の液位測定結果が利用される。
【0007】
例えば、上限及び下限の液面センサー120A,120Bによって液位を測定する場合、液位が上昇して、液位の上限に設置された液面センサー120Aが液位を検知すると、上記スラリー排出バルブ116が開放されてフラッシュベッセル100内に滞留したスラリーを排出し、また、液位が低下して、液位の下限に設置された液面センサー120Bが液位を検知できなくなると、上記スラリー排出バルブ116が閉鎖されてフラッシュベッセル100からスラリーの排出が停止される。その結果、フラッシュベッセル100内のスラリー液位は上記上限と下限の間に制御される。また、連続的に液位を測定する場合、液位が管理液位より高くなると、上記スラリー排出バルブ116のバルブ開度を大きくすることによりフラッシュベッセル100内に滞留したスラリーの排出量を増加させ、また、液位が管理液位より低くなると、上記スラリー排出バルブ116のバルブ開度を小さくすることによりフラッシュベッセル100からスラリーの排出を抑制する。
【0008】
ところで、一般に、上記高圧酸浸出工程における浸出反応の制御は、温度のほかに、浸出剤による浸出反応の制御因子(pH、酸化還元電位)により行なわれる。例えば、塩素ガスを浸出剤として浸出する方法では、浸出液中の酸化還元電位で行なわれているので、オートクレーブ内の圧力は、直接的に制御されるものではなく、浸出操作の間、必ずしも安定又は一定ではなく、酸化還元電位の制御による塩素ガスの注入量により、変動する。
【0009】
また、浸出剤が液体であり、反応によるガス発生がない場合には、一般にオートクレーブ内の圧力は、温度に伴う飽和蒸気圧によるものである。例えば、近年、ニッケル、コバルト等の有価金属を回収するため、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、オートクレーブを利用した高圧酸浸出法が採用されている。
【0010】
上記高圧酸浸出法では、例えば、まず、鉱石処理工程で、粉砕設備及び篩別設備を用いて、所定のスラリー濃度の、2mm以下の鉱石を含む鉱石スラリーが調製される。次いで、上記鉱石スラリーは、高圧酸浸出工程に供給される。ここで、上記鉱石スラリーは、プレヒーター(昇温昇圧設備)で段階的に昇温及び昇圧された後、オートクレーブに供給される。上記オートクレーブ内では、硫酸により、鉱石中に含まれるニッケル及びコバルトとともに、鉄、アルミニウム、亜鉛などの不純物元素の一部も浸出され、これらを含有する浸出スラリーが得られる。続いて、上記浸出スラリーは、オートクレーブから、浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルへ供給され、段階的に降温及び降圧される。その後、浸出液中の遊離硫酸を中和する予備中和工程、多段のシックナーで構成される固液分離工程等を経て、浸出残渣と浸出液に分離される。
【0011】
ここで、上記高圧酸浸出工程でのフラッシュベッセルの採用は、高圧酸浸出工程のオートクレーブと次工程との操業条件のギャップを埋めるものである。すなわち、オートクレーブの浸出条件としては、ニッケル及びコバルトの高浸出率を得るため、通常、200?300℃程度の温度が選ばれる。一方、それに続く予備中和工程、或いは固液分離工程では、通常、安全性と経済性から大気圧下の条件で操業される。したがって、フラッシュベッセルでは、浸出後の高温高圧のスラリーから段階的に加圧蒸気を回収しながら、降温降圧する。
【0012】
ところで、高圧酸浸出工程では、浸出スラリーをオートクレーブからフラッシュベッセルに供給するための配管、上記回収蒸気を鉱石スラリーのプレヒーターに供給するための配管、鉱石スラリーを段階的に昇温及び昇圧するための配管等において、高温高圧に耐えるための材質及び構造からなる非常に高価な配管が備えられており、資材コストを含めた全体的なコスト面からの要請により、配管をなるべく短くして各設備を適切に配置することが行なわれている。このため、浸出スラリーは、オートクレーブから第1段目のフラッシュベッセルへ、さらに、順次次の段のフラッシュベッセルへ移送される。ここで、フラッシュベッセル間の浸出スラリーの移送方法としては、通常、ポンプのような機械的な移送手段を避けて、フラッシュベッセルを設置する場所の高低差、及び各段階の圧力差を利用することによりスラリーを移送させる手段が採用されている。これは、浸出スラリーには硫酸が含まれており、移送設備の耐久性とコストを考慮したものである。例えば、実用プラントでは、オートクレーブのサイズが直径で4?6m程度、及び長さで25?30m程度の円筒形容器が横型に設置される場合には、第1段目のフラッシュベッセルは、オートクレーブの上方25?35m程度の高さに当たる場所に設置されている。
【0013】
上記浸出後の高温高圧のスラリーから段階的に回収された加圧蒸気は、各段のフラッシュベッセルから、温度と圧力が同程度であるプレヒーターに供給されており、この配管も上記と同様に、高温高圧の加圧蒸気に耐えるための材質及び構造からなる非常に高価な配管が備えられている。
【0014】
しかしながら、上記の蒸気排出配管、スラリーの排出配管及びバルブの破損などの発生は、完全に解決されているわけではなく、1年間の操業中に、蒸気排出配管の破損、スラリー排出バルブの破損などがあわせて10回程度発生しており、この不具合発生という問題点を、更に低減する実用的技術が求められていた。
【0015】
推定される原因として、液面レベルの制御が不充分であることが考えられる。すなわち、高温高圧の浸出後スラリーをフラッシュベッセルに装入し、水蒸気が発生する際のスラリー液面は平坦ではなく、というより、スラリーの深部から発生する水蒸気により、激しく液面変動しているものと考えられ、液面の制御が不充分となっていることが考えられる。
【0016】
すなわち、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として採用されているオートクレーブを利用した高圧酸浸出工程において、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出した後のスラリーを降温降圧するためのフラッシュベッセルは、大型で、しかも強酸性のスラリーに適用するフラッシュベッセルであるため、覗き窓を設置するのは技術的に大変であるため目視することは実質的に不可能であり、以上のように推測するしかない。
【0017】
従来のフラッシュベッセル100では、例えば、実際の液位が高い状態であったとしても、液面の乱高下のため、液位の上限に設置された液面センサー120Aが検出できず、スラリー排出バルブ116による液面制御が行われないために、フラッシュベッセル100内の液位が高い状態での操業を継続することとなり、プレヒーターへの回収蒸気とともに酸性のスラリーが持ち去られ、その酸性のスラリーにより回収蒸気排出配管115の腐食が進行する虞がある。また、実際の液面が低い状態にあったとしても、同様に、液面の下限に設置された液面センサー120Bが検出できず、スラリー排出バルブ116による液面制御が行われないために、実際の液面レベルがスラリー排出配管114より低くなり、フラッシュベッセル100内の蒸気が排出スラリーとともにスラリー排出配管114より次段のフラッシュベッセルに排出され、一時的に排出配管内のスラリー流速が上昇することにより、スラリー排出配管114及びバルブが破損したり、また、次段のフラッシュタンクから回収蒸気配管への蒸気流入量が一時的に増加して、酸性スラリーの持ち去りが増加したり、流速が増加することにより回収蒸気配管の腐食及び磨耗が進行する虞がある。
【0018】
例えば特許文献2には、有機汚泥のスラリーを濃縮する方法であって、フラッシュベッセル内の液面検知することにより、濃縮液の液面位を排出口より常に上方に位置させる技術が記載されているが、対象が有機汚泥のスラリーであることや、蒸気圧力が高々2.5気圧であることなど、条件が違いすぎるので直接適用することは困難である。
【0019】
また、例えば特許文献3には、冷媒蒸気圧縮システムにて使用されるフラッシュベッセルの液体冷媒のレベルを検出する少なくとも一つのセンサーを使って、システム内への冷媒チャージを制御する技術が記載されているが、センサーとしてフロートタイプのものや、超音波センサーなど、液面が平坦である際に利用可能な技術であり、上記の問題点に適用することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2010-059489号公報
【特許文献2】特開平10-080700号公報
【特許文献3】特表2009-524797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、フラッシュベッセルの液面レベル測定の精度を向上させ、高い精度のスラリー液面レベルの情報によって、適切なバルブ開閉の制御を実施することで、蒸気排出配管、スラリー排出管、スラリー排出弁のトラブルを減少させるようにしたフラッシュベッセル及びその運転方法を提供することにある。本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施例の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、上記目的を達成するために、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程におけるフラッシュベッセルの液面レベル測定について、鋭意研究を重ねた結果、静水塔を設けたフラッシュベッセルを使用し、液面レベルを静水塔側で測定したところ、液面レベル測定精度が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0023】
すなわち、本発明は、ニッケル酸化鉱石スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程における液面の乱高下するフラッシュベッセルであって、静水塔の下部が、スラリー排出管上の、フラッシュベッセルとの連結箇所から、スラリー排出バルブまでの任意の位置に連結され、蒸気排出管上の任意の位置に、静水塔の上部が連結されている静水塔と、当該フラッシュベッセルの液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記蒸気排出管へのスラリーの流入を生じることのない液面上限と同水準の位置に設置され、上昇してきた上記静水塔内の液面を検出する少なくとも1つの上限液面センサーと、上記液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限と同水準の位置に設置され、下降してきた上記静水塔内の液面を検出する少なくとも1つの下限液面センサーと、上記静水塔内の液面を検出する上限液面センサーと上記下限液面センサーによる検出出力に応じて開閉制御され、上昇してきた上記静水塔内の液面を上記上限液面センサーが検知した際に開放され、下降してきた上記静水塔内の液面を上記下限液面センサーが検知した際に閉鎖されるスラリー排出バルブとを備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係るフラッシュベッセルでは、例えば、上記静水塔の直径Aは、当該フラッシュベッセルの直径Bと比較して、1/100×B≦A≦1/5×Bの範囲であるものとすることができる。
【0027】
本発明は、ニッケル酸化鉱石スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程における液面の乱高下するフラッシュベッセルの運転方法であって、
静水塔の下部が、スラリー排出管上の、フラッシュベッセルとの連結箇所から、スラリー排出バルブまでの任意の位置に連結され、蒸気排出管上の任意の位置に、静水塔の上部が連結されている静水塔内の液面を、当該フラッシュベッセルの液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記蒸気排出管へのスラリーの流入を生じることのない液面上限と同水準の位置に設置された少なくとも1つの上限液面センサーと、上記液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限と同水準の位置に設置された少なくとも1つの下限液面センサーより検出し、上記フラッシュベッセルから導出されたスラリー排出管上に設置されたスラリー排出バルブを、上昇してきた上記静水塔内の液面を上記上限液面センサーが検知した際に開放し、下降してきた上記静水塔内の液面を上記下限液面センサーが検知した際に閉鎖することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るフラッシュベッセル及びその運転方法では、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、フラッシュベッセルの液面レベル測定の精度を向上させ、高い精度のスラリー液面レベルの情報によって、適切なバルブ開閉の制御を実施することで、蒸気排出配管、スラリー排出管、スラリー排出弁のトラブルを減少させることができ、その工業的価値は極めて大きい。
ここで、原料スラリーはニッケル酸化鉱石スラリーであり、このフラッシュベッセル10では、ニッケル酸化鉱石スラリーを硫酸で浸出した浸出後のスラリーが装入され、装入されたスラリーを常温常圧まで降温降圧する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を適用したフラッシュベッセルの構成例を示す構造図である。
【図2】ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法によるニッケル及びコバルトの浸出手順を示す工程図である。
【図3】一般的なフラッシュベッセルの概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
本発明は、例えば図1に示すような構造のフラッシュベッセル10に適用される。
【0033】
このフラッシュベッセル10は、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧する高圧酸浸出工程におけるフラッシュベッセルであって、有底円筒状の胴部1を備え、この胴部1の上部を閉じた天井部2にスラリー装入口3と蒸気排出口5が設けられ、胴部1にスラリー排出口4が設けられている。
【0034】
上記スラリー装入口3には、所定の温度、所定の圧力に降下された浸出後のスラリーをフラッシュベッセル10内に装入するためのスラリー装入配管13が連結され、上記スラリー排出口4には、当該フラッシュベッセル10内に装入されたスラリーを排出するためのスラリー排出管14が連結され、上記蒸気排出口5には、スラリーの装入に伴い当該フラッシュベッセル10内に発生する蒸気を回収するための蒸気排出配管15が連結されている。上記スラリー排出口4に連結されたスラリー排出配管14には、スラリー排出バルブ16が設置されている。
【0035】
そして、このフラッシュベッセル10では、所定の温度、所定の圧力に降下された浸出後のスラリーがスラリー装入口3を介して装入され、フラッシュベッセル10内に装入されたスラリーはスラリー排出口4から排出され、また、スラリーの装入に伴って発生した蒸気は、蒸気排出口5から排出される。
【0036】
ここで、原料スラリーはニッケル酸化鉱石スラリーであり、このフラッシュベッセル10では、ニッケル酸化鉱石スラリーを硫酸で浸出した浸出後のスラリーが装入され、装入されたスラリーを常温常圧まで降温降圧する。
【0037】
また、このフラッシュベッセル10は、当該フラッシュベッセル10内の液相空間に下部が連通され、気相空間に上部が連通された静水塔20を備える。
【0038】
このフラッシュベッセル10では、上記静水塔20の下部が、スラリー排出管14上の、当該フラッシュベッセル10との連結箇所から、スラリー排出バルブ16までの任意の位置に連結され、蒸気排出配管15上の任意の位置に、静水塔20の上部が連結されている。
【0039】
上記静水塔20の直径は特に限定されるものではないが、上記静水塔20の直径Aは、上記フラッシュベッセル10の直径Bと比較して、1/100×B≦A≦1/5×Bの範囲であることが好ましい。広すぎる場合は投資コスト増加及び静水塔20内でのスラリーの滞留が懸念され、また、狭すぎる場合は液面の乱高下の影響を受けやすい、スラリーにより配管が閉塞しやすいことが懸念される。
【0040】
上記静水塔20には、上記液相空間の所定の液面上限と同水準の位置に設置され、上昇してきた上記静水塔20内の液面を検出する少なくとも1つの上限液面センサー21Aと、上記液相空間の所定の液面下限と同水準の位置に設置され、下降してきた上記静水塔20内の液面を検出する少なくとも1つの下限液面センサー21Bが配設されている。
【0041】
このフラッシュベッセル10では、上記静水塔20に設けられた上記液面センサー21A,21Bによる液位測定結果に応じて、上記スラリー排出バルブ16のバルブ開度を制御することにより、上記フラッシュベッセル10内の液位が適正なレベルに保たれる。
【0042】
すなわち、このフラッシュベッセル10は、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧する高圧酸浸出工程におけるフラッシュベッセルであって、次のように運転される。
【0043】
上記フラッシュベッセル10内の液相空間に下部が連通され、気相空間に上部が連通された静水塔20内の液面を、上記液相空間の所定の液面上限と同水準の位置に設置された少なくとも1つの上限液面センサー21Aと上記液相空間の所定の液面下限と同水準の位置に設置された少なくとも1つの下限液面センサー21Bにより検出し、上記フラッシュベッセル10から導出されたスラリー排出管14上に設置されたスラリー排出バルブ16を、上昇してきた上記静水塔20内の液面を上記上限液面センサー21Aが検知した際に開放し、下降してきた上記静水塔20内の液面を上記下限液面センサー21Bが検知した際に閉鎖する。
【0044】
このように運転することにより、フラッシュベッセル10内のスラリー液面位を適切な範囲に制御することができる。すなわち、スラリー排出管14側に蒸気が流れ込むという事態が発生しにくくなり、それによって、スラリー排出バルブ16の損傷という不具合は減少する。
【0045】
ここで、上記フラッシュベッセル10に装入される原料スラリーとしては、特に限定されるものではなく、所望の金属を高圧酸浸出法により浸出する際に用いられる各種の金属化合物を含有する原料、例えば、金属、硫化物、酸化物、鉱石等が挙げられるが、例えば、ニッケル酸化鉱石からなる鉱石スラリーが好ましい。
【0046】
また、上記高圧酸浸出工程としては、特に限定されるものではないが、オートクレーブ及びフラッシュベッセルのほかに、一般の高圧酸浸出法で採用される鉱石スラリーを段階的に昇温昇圧するプレヒーターを含むものである。
【0047】
さらに、上記オートクレーブとしては、特に限定されるものではなく、外熱式又は加圧水蒸気の吹込みにより加熱される、縦型又は横型の加圧容器が用いられる。また、上記ラッシュベッセル10としては、特に限定されるものではなく、多段式のものが用いられる。また、上記プレヒーターとしては、特に限定されるものではないが、多段式の向流式直接加熱型熱交換器が用いられる。この際、加熱媒体としては、水蒸気が用いられる。ここで、この水蒸気としては、ボイラーなど一般的な方法によって発生させた水蒸気を使用してもよいが、オートクレーブから排出される浸出スラリーを段階的に降温及び降圧するフラッシュベッセルで発生する水蒸気を回収し循環して使用することが好ましい。
【0048】
以下に、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法について、上記フラッシュベッセル10及びその運転方法を適用する際の一例を説明する。
【0049】
上記ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法としては、図2に示すように、鉱石処理工程P1、高圧酸浸出工程P2、固液分離工程P3、中和工程P4、脱亜鉛工程P5及びニッケル・コバルト硫化工程P6を含む。
【0050】
そして、鉱石処理工程P1では、ニッケル酸化鉱石から大塊、脈石、木々の根などを除去し、所定のスラリー濃度の鉱石スラリーを調製する。
【0051】
次の高圧酸浸出工程P2では、プレヒーターで鉱石処理工程から移送された鉱石スラリーを予熱し、オートクレーブで予熱後の鉱石スラリーを高圧空気及び高圧水蒸気を吹込みながら高温高圧下に硫酸で浸出し、上記フラッシュベッセル10で高温高圧の浸出スラリーの温度及び圧力を降下させる。
【0052】
次の固液分離工程P3では、上記浸出スラリーを固液分離し、浸出液と浸出残渣を得る。
【0053】
次の中和工程P4では、上記浸出液に石灰石スラリーを添加して、不純物である鉄やアルミニウムなどを除去する。
【0054】
次の脱亜鉛工程P5では、浸出液から、硫化沈殿法により、不純物である亜鉛や銅を硫化物として除去する。
【0055】
そして、ニッケル・コバルト硫化工程P6では、浸出液から、硫化沈殿法により、ニッケル・コバルト混合硫化物を得る。
【0056】
上記ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。上記ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.5?2.0質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、20?50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト、FeOOH)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。
【0057】
上記鉱石処理工程P1で製造される鉱石スラリーのスラリー濃度としては、処理されるニッケル酸化鉱の性質に大きく左右されるため、特に限定されるものではないが、浸出スラリーのスラリー濃度は高い方が好ましく、通常、20?50質量%に調製される。すなわち、浸出スラリーのスラリー濃度が20質量%未満では、浸出工程をはじめとして、各工程において同じ滞留時間を得るために大きな設備が必要となり、酸の添加量も残留酸濃度を調整のため増加する。また、得られる浸出液のニッケル濃度が低くなり、最終的には実収率が低下する要因となる。一方、スラリー濃度が50質量%を超えると、設備の規模は小さくできるものの、スラリー自体の粘性が高くなり、ポンプでの搬送が困難になる(管内閉塞の頻発、エネルギーを要するなど)という問題が生じることとなる。
【0058】
上記高圧酸浸出工程P2の実用設備例としては、例えば、3段のプレヒーター、オートクレーブ及び3段のフラッシュベッセルからなる。
【0059】
ここで、フラッシュベッセル10のサイズが直径で4?6m程度、及び高さで10?12m程度の円筒形容器が縦型に設置される。また、第1段目のフラッシュベッセルに導入されるスラリーは、例えば、200?270℃であり、その圧力としては、例えば、1.8?5.8MPaGである。
【0060】
上記高圧酸浸出工程P2で使用するフラッシュベッセル10は、例えば、次のように構成される。
【0061】
すなわち、スラリー排出管14上の、フラッシュベッセル10との連結箇所と、スラリー排出バルブ16との中間位置(連結箇所から約50cmの位置)に、直径250mmの静水塔20の下部を連結し、蒸気排出配管15上の、フラッシュベッセル10との連結箇所から、約50cmの位置に、上記直径250mmの水塔20の上部を連結した。
【0062】
また、上記静水塔20には、フラッシュベッセル10の底部から約6.5m(所定の液面上限と同水準)の位置に、1箇所、液面センサー21Aを設置し、また、フラッシュベッセル10の底部から約4.5m(所定の液面下限と同水準)の位置に、1箇所、液面センサー21Bを設置した。また、上記静水塔20の直径250mmは、本体が約5mで、その1/20にあたる直径である。
【0063】
そして、このように構成した上記フラッシュベッセル10を上記高圧酸浸出工程P2において次のように運転した。
【0064】
すなわち、上記フラッシュベッセル10にはスラリーが連続的に装入されており、スラリー排出バルブ16が閉鎖される際に、上記上限液面センサー21Aが上昇してきた液面を検知した際に、バルブを開放する信号をスラリー排出バルブ16に送り、スラリー排出バルブ16を開放することにより、フラッシュベッセル10内のスラリーを次工程に移送する。次に、フラッシュベッセル10内のスラリーが次工程に排出されることにより、フラッシュベッセル10内のスラリー液位が下降し、上記下限液面センサー21Bが下降してきた液面を検知した際に、排出バルブを閉鎖する信号をスラリー排出バルブ16に送り、スラリー排出バルブ16を閉鎖することにより、フラッシュベッセル10内のスラリー液位は再び上昇を始める。この手順を繰り返すことで、連続的に操業を行なうことができる。
【実施例】
【0065】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析は、ICP発光分析法で行った。
【0066】
また、実施例及び比較例で用いたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの分析値を次の表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
(実施例1)
前述した高圧酸浸出工程の実用設備例を含む、ニッケル酸化鉱石の実用プラントを用いた。
【0069】
表1に示す鉱石スラリーを、オートクレーブの出口において、245℃程度、4MPaG程度に調整した浸出スラリーを、第1段のフラッシュベッセルに投入し、引き続き、第2段、第3段のフラッシュベッセルに順次移送し、浸出スラリーを常圧まで低下させるという操業を6ヶ月間実施した。
【0070】
その結果、蒸気排出配管、スラリー排出管、スラリー排出弁が損傷するコトに起因するトラブル発生はなかった。
【0071】
(比較例1)
前述した高圧酸浸出工程の実用設備例ではなく、静水塔を備えない従来の設備で実施例1と同様の操業を行なった。
【0072】
その結果、蒸気排出配管、スラリー排出管、スラリー排出バルブが損傷するコトに起因するトラブル発生により、1回/月程度のトラブルが発生し、そのたびに復旧作業及び設備交換のため、操業効率の低下、設備コストの増大を招いた。
【符号の説明】
【0073】
1 胴部、2 天井部、3 スラリー装入口、4 スラリー排出口、5 蒸気排出口、10 フラッシュベッセル、13 スラリー装入配管、14 スラリー排出管、15 蒸気排出配管、16 スラリー排出バルブ、20 静水塔、21A 上限液面センサー、21B 下限液面センサー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル酸化鉱石スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程における液面の乱高下するフラッシュベッセルであって、
静水塔の下部が、スラリー排出管上の、フラッシュベッセルとの連結箇所から、スラリー排出バルブまでの任意の位置に連結され、蒸気排出管上の任意の位置に、静水塔の上部が連結されている静水塔と、
当該フラッシュベッセルの液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記蒸気排出管へのスラリーの流入を生じることのない液面上限と同水準の位置に設置され、上昇してきた上記静水塔内の液面を検出する少なくとも1つの上限液面センサーと、
上記液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限と同水準の位置に設置され、下降してきた上記静水塔内の液面を検出する少なくとも1つの下限液面センサーと、
上記静水塔内の液面を検出する上限液面センサーと上記下限液面センサーによる検出出力に応じて開閉制御され、上昇してきた上記静水塔内の液面を上記上限液面センサーが検知した際に開放され、下降してきた上記静水塔内の液面を上記下限液面センサーが検知した際に閉鎖されるスラリー排出バルブと
を備えることを特徴とするフラッシュベッセル。
【請求項2】
上記静水塔の直径Aは、当該フラッシュベッセルの直径Bと比較して、1/100×B≦A≦1/5×Bの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュベッセル。
【請求項3】
ニッケル酸化鉱石スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程における液面の乱高下するフラッシュベッセルの運転方法であって、
静水塔の下部が、スラリー排出管上の、フラッシュベッセルとの連結箇所から、スラリー排出バルブまでの任意の位置に連結され、蒸気排出管上の任意の位置に、静水塔の上部が連結されている静水塔内の液面を、当該フラッシュベッセルの液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記蒸気排出管へのスラリーの流入を生じることのない液面上限と同水準の位置に設置された少なくとも1つの上限液面センサーと、上記液相空間におけるスラリー液面の乱高下により上記スラリー排出管側への蒸気の流入を生じることのない液面下限と同水準の位置に設置された少なくとも1つの下限液面センサーより検出し、
上記フラッシュベッセルから導出されたスラリー排出管上に設置されたスラリー排出バルブを、上昇してきた上記静水塔内の液面を上記上限液面センサーが検知した際に開放し、下降してきた上記静水塔内の液面を上記下限液面センサーが検知した際に閉鎖することを特徴とするフラッシュベッセルの運転方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-11-21 
出願番号 特願2013-553250(P2013-553250)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (C22B)
P 1 41・ 854- Y (C22B)
P 1 41・ 855- Y (C22B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池ノ谷 秀行  
特許庁審判長 鈴木 正紀
特許庁審判官 井上 猛
木村 孔一
登録日 2014-07-25 
登録番号 特許第5582265号(P5582265)
発明の名称 フラッシュベッセル及びその運転方法  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 小池 晃  
代理人 小池 晃  
代理人 伊賀 誠司  
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