ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G |
---|---|
管理番号 | 1295500 |
審判番号 | 不服2013-9211 |
総通号数 | 182 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-05-20 |
確定日 | 2014-12-10 |
事件の表示 | 特願2007- 55945「ディスプレイバックライティングの同期動作のための方法と回路」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月20日出願公開、特開2007-241286〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許出願: 平成19年3月6日 (パリ条約による優先権主張2006年3月10日、韓国) 手続補正: 平成24年6月20日(以下、「補正1」という。) 拒絶査定: 平成25年1月11日付け(送達日:同年同月22日) 拒絶査定不服審判の請求: 平成25年5月20日 手続補正: 平成25年5月20日(以下、「本件補正」という。) 第2 補正の却下の決定 [結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正によって、特許請求の範囲の請求項1は、以下のように補正された。 (補正前) 「液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)に提供されるデータのフレームに同期して前記LCDのためのバックライトを活性化させるためのオンタイム信号を発生させる段階と、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階と、を含むLCDのバックライティング制御方法であって、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階は、 フレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を活性化する段階と、 前記データのフレーム内でライン開始信号の活性化、または連続して発生したフレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を非活性化する段階と、を含むことを特徴とするLCDのバックライティング制御方法。」 (補正後) 「液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)に提供されるデータのフレームに同期して前記LCDのためのバックライトを活性化させるためのオンタイム信号を発生させる段階と、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階と、を含むLCDのバックライティング制御方法であって、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階は、 フレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を活性化する段階と、 前記データのフレーム内でライン開始信号の活性化、または連続して発生したフレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を非活性化する段階と、を含み、 前記オンタイム信号は、前記LCDを駆動するためのLCDドライバを利用して発生させることを特徴とするLCDのバックライティング制御方法。」(下線部は補正箇所。) 上記補正は、補正前の(すなわち、補正1による補正後の)請求項1に記載された、オンタイム信号を発生させる段階を、「前記オンタイム信号は、前記LCDを駆動するためのLCDドライバを利用して発生させる」と限定するものであるから、この補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。 2 検討 (1)引用例1記載の事項・引用発明1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2003-330424号公報(以下「引用例1」という。)には、「液晶表示装置」(【発明の名称】)の発明に関し、次の事項(a)ないし(d)が記載されている。 (a) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に係り、特に新規な光源構成を備えて映像信号や周囲温度あるいは光源の光量に応じて駆動態様を制御することにより動作時の輝度を映像信号の明るさ変化に高速応答させて画質を向上させたバックライトを具備する液晶表示装置に関する。」 (b) 「【0019】また、本願発明者は、バックライトを映像信号の垂直同期(フレーム同期)を取るための同期信号(垂直同期信号:Vsync)に同期させて間欠点灯させる(あるいは、間欠的に点滅させる)ように点灯制御する、所謂ブリンク・ライト・コントロールを採用した際に生じる新たな課題を見出した。・・・」 (c) 「【0026】また、本発明は、・・・このバックライトの駆動回路として、表示される映像信号の垂直同期信号に同期して冷陰極蛍光ランプを点滅すると共に、・・・」 (d) 「【0109】図24は冷陰極蛍光ランプと発光ダイオードを並設したバックライトの駆動回路の概略構成を説明するブロック図である。冷陰極蛍光ランプ4は垂直同期信号(Vsync)101に基づいてタイミング発生回路112で生成したオン/オフ信号をインバータ13に与え、このインバータ13によって点灯と消灯が制御される。・・・ ・・・ 【0113】図26は図24における冷陰極蛍光ランプのオン/オフ制御信号発生回路を説明するブロック図である。また、図27および図28は図26の回路構成でオン/オフ制御信号の生成タイミグング図である。 【0114】図26において、参照符号116は第1のカウンタ、同117は第2のカウンタである。第1のカウンタ116は水平同期信号102をカウントし、垂直同期信号(Vsync)101をリセット信号とする。第2のカウンタ117は水平同期信号をカウントし、第1のカウンタ116のキャリー信号SCをリセット信号とする。 【0115】図27と図28を参照して図26の冷陰極蛍光ランプのオン/オフ制御信号発生動作を説明する。第1のカウンタ116は冷陰極蛍光ランプの点灯開始タイミング発生回路であり、冷陰極蛍光ランプ(CFL)4の点灯開始信号SCを所望のタイミング(図18、図19、図20におけるCFL波形106の立ち上がり開始時点)でキャリー信号として発生する。第2のカウンタ117は点灯開始信号SCに基づいて冷陰極蛍光ランプ(CFL)4の点滅制御信号ECを発生する。 【0116】すなわち、第1のカウンタ116により水平同期信号(Hsync)をカウントし、所望のタイミング(図18、図19、図20におけるCFL波形106の立ち上がり開始時点)にキャリー信号として点灯開始信号SCを第2のカウンタ117に出力する(図27参照)。第2のカウンタ117は入力した点灯開始信号SCをリセット信号として水平同期信号(Hsync)をカウントし、所望の期間(図18、図19、図20のCFL波形106の立ち上がり開始時点から波形106の立ち下がり開始時点までの期間)点滅制御信号ECをハイ(オン)にする(図28参照)。 【0117】カウンタの構成は図示のカウンタに限るものではなく、1系統のカウンタと組み合わせ回路によって点灯開始信号SCと点滅制御信号ECを発生する構成とすることもできる。」 上記記載(a)ないし(d)及び図面の図1ないし4の記載から、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる。 「液晶表示装置に提供される映像信号の垂直同期(フレーム同期)を取るための垂直同期信号に同期させてバックライトの冷陰極蛍光ランプを間欠点灯させるオン/オフ制御信号を発生させる段階と、 水平同期信号をカウントし、所望の期間オン/オフ制御信号である点滅制御信号ECをオンにする段階と、を含む液晶表示装置のバックライトを制御する方法であって、 前記水平同期信号をカウントし、所望の期間オン/オフ制御信号である点滅制御信号ECをオンにする段階は、 垂直同期(フレーム同期)を取るための垂直同期信号をリセット信号として、水平同期信号をカウントし、点灯開始信号SCを出力する段階と、 点灯開始信号SCをリセット信号として水平同期信号をカウントし、所望の期間オン/オフ制御信号である点滅制御信号ECをオンにする段階と、を含むことを特徴とする液晶表示装置のバックライト制御方法。」(以下、「引用発明1」という。) (2)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 まず、引用発明1における「液晶表示装置に提供される映像信号の垂直同期(フレーム同期)を取るための垂直同期信号に同期させてバックライトの冷陰極蛍光ランプを間欠点灯させるオン/オフ制御信号を発生させる段階」は、本願補正発明の「液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)に提供されるデータのフレームに同期して前記LCDのためのバックライトを活性化させるためのオンタイム信号を発生させる段階」に相当する。また、引用発明1の「液晶表示装置のバックライトを制御する方法」は、本願補正発明の「LCDのバックライティング制御方法」に相当する。 引用発明1の「垂直同期(フレーム同期)を取るための垂直同期信号」及び「水平同期信号」が、それぞれ本願補正発明の「フレーム開始信号」及び「ライン開始信号」に相当することは明らかである。また引用発明1の「点灯開始信号SC」が、リセット信号として水平同期信号のカウントを開始させ、所望の期間オン/オフ制御信号である点滅制御信号ECをオンにするのであるから、引用発明1の「垂直同期(フレーム同期)を取るための垂直同期信号をリセット信号として、水平同期信号をカウントし、点灯開始信号SCを出力する段階と、点灯開始信号SCをリセット信号として水平同期信号をカウントし、所望の期間オン/オフ制御信号である点滅制御信号ECをオンにする段階」と、本願補正発明の「フレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を活性化する段階と、前記データのフレーム内でライン開始信号の活性化、または連続して発生したフレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を非活性化する段階」とは、「フレーム開始信号の活性化を用いて前記オンタイム信号を活性化する段階と、前記データのフレーム内でライン開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を非活性化する段階」である点で共通する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)に提供されるデータのフレームに同期して前記LCDのためのバックライトを活性化させるためのオンタイム信号を発生させる段階と、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階と、を含むLCDのバックライティング制御方法であって、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階は、 フレーム開始信号の活性化を用いて前記オンタイム信号を活性化する段階と、 前記データのフレーム内でライン開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を非活性化する段階と、を含むことを特徴とするLCDのバックライティング制御方法。」 (相違点) 相違点1:本願補正発明においては、「フレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を活性化する」とされており、本願の図7の記載等を見ると、オンタイム信号PWMの立ち上がりは垂直同期信号と一致しているのに対し、引用発明1においては、「垂直同期(フレーム同期)を取るための垂直同期信号をリセット信号として、水平同期信号をカウントし、点灯開始信号SCを出力」するとされており、垂直同期信号によるリセットの後に水平同期信号がカウントされ、所望のタイミング(すなわち、一定時間経過後)で点灯開始信号が出力されている点。 相違点2:本願補正発明においては、「前記オンタイム信号は、前記LCDを駆動するためのLCDドライバを利用して発生させる」とされているのに対し、引用発明1においては、そのような構成とするとは示されていない点。 (3)判断 上記相違点1,2について検討する。 相違点1について 例えば、1フレーム期間内の前後どちらに非発光期間を設けるかの選択や、液晶駆動信号の立ち上がり時間等を考慮して発光開始タイミングを調整するか否かの選択といったものは、液晶表示装置の具体的な設計に際して当業者が適宜決定すべき設計事項にすぎないものであるから、引用発明1において、点灯開始信号SCを出力する際の水平同期信号のカウントをゼロとし、点灯開始信号SCの立ち上がりを垂直同期信号と一致させる程度のことは、当業者が容易になし得たものである。またそのことにより、当業者の予想し得ない特段の効果を奏するものとも認められない。 相違点2について 液晶表示装置一般において、各種ドライバ等の周辺回路をどのように構成配置するかは、適宜検討されるべき設計事項に過ぎない。特に、引用発明1の「オン/オフ制御信号」(オンタイム信号)は、垂直同期信号及び水平同期信号を用いて発生されており、オン/オフ制御信号発生回路(引用例1の図26を参照。)とLCDドライバとが共通の入力を備えるものであることを考慮すれば、これらをまとめ、LCDドライバを利用してオン/オフ制御信号(オンタイム信号)を発生させるようになすことは、当業者が容易になし得たものである。またそのことにより、当業者の予想し得ない特段の効果を奏するものとも認められない。 したがって、本願補正発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 まとめ したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、補正1によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)に提供されるデータのフレームに同期して前記LCDのためのバックライトを活性化させるためのオンタイム信号を発生させる段階と、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階と、を含むLCDのバックライティング制御方法であって、 前記LCDに提供される前記データのフレーム内でデータのラインに同期して前記オンタイム信号を発生させる段階は、 フレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を活性化する段階と、 前記データのフレーム内でライン開始信号の活性化、または連続して発生したフレーム開始信号の活性化に同期して前記オンタイム信号を非活性化する段階と、を含むことを特徴とするLCDのバックライティング制御方法。」(以下「本願発明」という。) 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由3は、本願発明は、その優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2003-330424号公報(引用例1)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用例1記載の事項 引用例1に記載されている事項は、上記「第2補正の却下の決定 2検討 (1)引用例1記載の事項・引用発明1」に示したとおりである。 4 判断 本願発明は、前記「第2 補正の却下の決定」の「1 補正の内容」で検討した本願補正発明から、「前記オンタイム信号は、前記LCDを駆動するためのLCDドライバを利用して発生させる」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を減縮したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 検討」における「(3)判断」に記載したとおり、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-07-10 |
結審通知日 | 2014-07-15 |
審決日 | 2014-07-28 |
出願番号 | 特願2007-55945(P2007-55945) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09G)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐野 潤一 |
特許庁審判長 |
小林 紀史 |
特許庁審判官 |
中塚 直樹 武田 知晋 |
発明の名称 | ディスプレイバックライティングの同期動作のための方法と回路 |
代理人 | 萩原 誠 |