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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1295639
審判番号 不服2013-17344  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-09 
確定日 2014-12-25 
事件の表示 特願2011-261140号「遊技球循環型遊技システムのための遊技機及び遊技球循環型遊技システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年6月10日出願公開、特開2013-111307号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成23年11月30日の出願であって、平成24年11月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年1月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成25年6月7日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月11日)、それに対し、同年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成25年9月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年9月9日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「球発射装置から発射される遊技球を、再び前記球発射装置に戻るように揚送装置を介し循環させる遊技球循環型遊技システムに適用されて、前記球発射装置、球タンク及び遊技盤を有する遊技機本体を具備してなる遊技機において、
前記球タンクは、前記遊技機本体の高さ方向中間部位に対応して位置するように設けられており、
前記揚送装置は、その揚送方向に並ぶ複数列の揚送片により、その列ごとに、前記球発射装置から発射されて前記遊技盤を介し排出される遊技球を受け取って前記球タンクまで揚送することを特徴とする遊技球循環型遊技システムのための遊技機。」
から
「球発射装置から発射される遊技球を、前記球発射装置に再び戻るように揚送装置を介し循環させる遊技球循環型遊技システムのための遊技機であって、
前記球発射装置、球タンク及び遊技盤を有する遊技機本体を具備しており、
前記球タンクは、前記遊技機本体の高さ方向中間部位に対する対応位置に設けられており、
前記揚送装置は、その高さにて、前記球タンクの前記対応位置に基き低くなるように構成されて、その揚送方向に並ぶ複数列の揚送片を有し、当該複数列の揚送片により、その列ごとに、前記球発射装置から発射されて前記遊技盤を介し排出される遊技球を受け取って前記球タンクまで揚送するようにした遊技球循環型遊技システムのための遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である遊技機に関して、「前記球発射装置、球タンク及び遊技盤を有する遊技機本体を具備」することを限定するとともに、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である揚送装置に関して、「その高さにて、前記球タンクの前記対応位置に基き低くなるように構成され」ることを限定することを含むものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 独立特許要件について
(1)刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-102935号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決で付与した。以下同じ。)。

(a)「【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、遊技場等の遊技を実施可能な適宜な場所に設置される遊技機、例えば、パチンコ遊技機、雀球遊技機、アレンジボール遊技機や遊技媒体としてコインや遊技球を使用するスロットマシンなどの遊技機、特には1台の遊技機に必要とされる遊技媒体量を大幅に少ないものにできる遊技機に関する。」

(b)「【0006】よって、本発明は上記した問題点に着目してなされたもので、補給装置や揚送装置等の各種装置を島の改造や新設において設ける必要を無くすことで、遊技機の設置における自由度を向上でき、且つ1台の遊技機に必要とされる遊技媒体数を大幅に低減することのできる遊技機を提供することを目的としている。」

(c)「【0016】(実施例1)図1は本発明の実施例1における遊技機としてのパチンコ機2が適用された遊技用システムを示す図であり、該遊技用システムは、遊技場に設置され、遊技媒体であるパチンコ球を使用して遊技が実施可能とされた前記パチンコ機2と、該パチンコ機2に対して1対1に設置されるカードユニット3と、該カードユニット3において使用されるプリペイドカード或いは会員カード等の管理を行う管理コンピュータ100と、景品カウンター等に設置され、前記パチンコ機2における遊技にて獲得した景品球を所定の景品に交換するためのPOSレジ101と、前記パチンコ機2の遊技情報の管理を行うホールコンピュータと、から構成されており、前記カードユニット3並びにPOSレジ101と管理コンピュータ100とは通信ケーブル8を介してデータ通信可能に接続されているとともに、前記パチンコ機2とホールコンピュータ102とは通信ケーブル10を介してデータ通信可能に接続されている。
【0017】まず、本実施例1の遊技機であるパチンコ機2について説明すると、該パチンコ機2は、図2に示すように、額縁状に形成されたガラス扉枠201を有し、該ガラス扉枠201の上部表面には遊技に使用可能なパチンコ球数であるクレジット球数や遊技の中断時間等を表示するクレジット表示部285(遊技媒体数表示部)が設けられているとともに、下部表面には前方に突出する態様にて設けられ、上面が遊技者側に向かって傾斜する操作部220が設けられている。また、前記ガラス扉枠201における前記操作部220の両側部には、後述する打球待機樋239に待機するパチンコ球を目視可能な待機球確認窓239a並びに239bが設けられており、発射されるパチンコ球の動きを遊技者が確認できるようになっている。また、前記ガラス扉枠201における操作部220の下部には、外部に排出されたパチンコ球を貯留する外部取出部としての取出球受皿243と、パチンコ機2の表面側内部に設けられた遊技媒体待機部としての打球待機樋239に待機するパチンコ球を発射するための打球操作ハンドル235と、が設けられている。尚、前記ガラス扉枠201の上端部左位置に設けられた236は、後述する上部タンク246に貯留されているパチンコ球が所定の貯留上限量に達していることを報知するための満タン報知ランプであり、237は、前記上部タンク246内の貯留球が空であることを報知するためのタンク空報知ランプである。
・・・
【0019】前記ガラス扉枠201の後方には、図2に示すように、遊技盤202が着脱可能に取付けられている。また、遊技盤202の前面には遊技領域203が設けられている。この遊技領域203の上部中央付近には、「特別図柄」と呼ばれる複数種類の識別情報が可変表示される第1可変表示部204と、「普通図柄」と呼ばれる複数種類の識別情報が可変表示される第2可変表示部205と、が設けられている。また、遊技領域203の下部中央付近には、通常入賞口213bと特定入賞口213aとが形成され、電源投入により常時回転する回転円盤213を内部に備えた振分装置212が設けられている。また、前記第1可変表示部204の右側には、パチンコ球を1球収容可能な切欠214aが形成され、電源投入により常時回転する回転ロータ214が設けられている。また遊技盤202には、複数の通常入賞口209や通過ゲート206、始動入賞口207、第1可変入賞球装置210、第2可変入賞球装置215が設けられているとともに、遊技領域203の下部には、いずれの入賞口にも入賞しなかったパチンコ球を回収するアウト口217が形成されている。
【0020】尚、本実施例1のパチンコ機2における遊技盤202には、一般的なパチンコ機における遊技盤よりも大径の遊技盤が用いられている。このように大径の遊技盤を用いることで、例えば複数種の遊技(本実施例1では第1種遊技と第3種遊技)を実施するための役物(本実施例1では第1種の役物として始動入賞口209や第1可変表示部204等が設けられており、第3種の役物として振分装置212等が設けられている)を遊技盤上に配置することができるようになり、これにより複数の遊技プロセスにて遊技を行うことができるため、遊技者の興趣を大幅に向上させることができる。
【0021】前記打球操作ハンドル235が操作されることで打球発射モータ270(図8参照)が駆動し、これに伴いハンマー270’が揺動して打球待機樋239に待機するパチンコ球が1球ずつ発射される。これら発射されたパチンコ球は、使用遊技媒体検出手段としての発射球検出スイッチ241に検出され、前記クレジット球数から減算されて、打球発射レール240を通って遊技領域203に入り、その後、遊技領域203を流下していく。この際、発射勢いが弱すぎて前記遊技領域203に達しなかったパチンコ球は、ファール口242に回収され、図4に示すように背面側のファール球誘導樋257に送られてファール球検出スイッチ259に検出され、前記クレジット球数に加算されて、パチンコ機2の背面側下部位置に設けられた遊技媒体貯留部としての下部タンク253に回収される。
【0022】また、前記遊技領域203に打ち込まれ、いずれの入賞口にも入賞しなかったパチンコ球はアウト口217に回収され、図4に示すように、背面側の打込球合流樋282(使用遊技媒体回収通路)に送られて打込球検出スイッチ258に検出され、後述の打込球数に加算されて、前記下部タンク253に回収される。
【0023】また、前記遊技領域203に打ち込まれたパチンコ玉が通常入賞口209に入賞すると、入賞したパチンコ球は通常入賞球検出スイッチSW3に検出された後、図4に示すように、背面側の打込球合流樋282に送られて打込球検出スイッチ258に検出され、前記打込球数に加算されて、前記下部タンク253に回収される。」

(d)「【0032】本実施例1のパチンコ機2の背面側には、図4に示すように、図中左側略中央位置に、所定数量のパチンコ球が貯留される上部タンク246(払出部誘導通路、遊技媒体上部貯留部)が設けられており、該上部タンク246に貯留されたパチンコ球は、払出球供給通路279(払出部誘導通路)を流下して遊技媒体払出部としての球払出装置248に供給される。尚、図4に示す247は上部タンク246に貯留されたパチンコ球が所定の上限量に到達していることを検出する上部タンク満タンスイッチ(上部貯留遊技媒体検出手段)である。
・・・・
【0036】また、これら下部タンク253に貯留されたパチンコ球は、図4に示すように、該下部タンク253に連設して設けられた移送部としての揚送装置261に供給される。この揚送装置261には、図6に示すように、駆動モータ401の駆動に伴って図中矢印方向に回転するスプロケット402が設けられており、該スプロケット402が回転することで前記下部タンク253より供給されたパチンコ球が遊技媒体移送通路としての揚送路263を介して前記上部タンク246よりも上方位置に移送されるようになっている。
・・・
【0041】前記揚送装置261により揚送路263を移送され、該揚送路263の最上部に到達したパチンコ球は、補給樋264(払出部誘導通路)に供給され該補給樋264内を下流側に向かって流下する。
【0042】この補給樋264の終端部には、図4に示すように、待機球流入口238を介して打球待機樋239に連設される待機球誘導樋265並びに前記上部タンク246の2方に連結された分岐部286が形成されており、これら下部タンク253から上方位置に向かって移送され、補給樋264から流下したパチンコ球が、一方では待機球誘導樋265を介して待機部誘導通路並びに整列部としての打球待機樋239に供給され、該打球待機樋239において、これら供給された複数のパチンコ球が一列に整列されてパチンコ球を発射するハンマー270’に供給されて再び発射球として使用されるようになっているとともに、他方では上部タンク246に供給され、再び球払出装置248から払い出されるパチンコ球として使用されるようになっている。
【0043】前記分岐部286は最下流側が上部タンク246に連結されているとともに、その上流側が前記待機球誘導樋265に連結されている。これにより、図7(a)に示すように、前記補給樋264を流下したパチンコ球が、前記分岐部286において待機球誘導樋265に優先的に供給されるようになっており、図7(b)に示すように、待機球誘導樋265内のパチンコ球が満タンとなって初めて上部タンク246に供給されるようになっている。」

(e)「【0152】また、前記実施例1におけるパチンコ機2並びに実施例2におけるパチンコ機2’においては、遊技領域203内に打ち込まれて遊技に使用されたパチンコ球や遊技領域203に到達せずファール球として回収されたパチンコ球が下部タンク253に合流し、前記球払出装置248により払い出されたパチンコ球とともに、循環するようになっており、これらパチンコ球が均一にパチンコ機内部を循環するようになる。これにより実施例1や実施例2のように揚送装置261が設けられている場合には、内部を循環するパチンコ球が均一に清浄化されるようになる。
・・・
【0156】まず、上部タンク246内に貯留されたパチンコ球は、球払出装置248により内部流下通路281に排出された場合は払出球検出スイッチ252により検出された後に下部タンク253に流入され、球払出装置248により外部流下通路280に流下された場合は取出球検出スイッチ277により検出された後に取込球流出口244から取出球受皿243に排出され、取込球流入口245から下部タンク253に流入されるようになっている。下部タンク253内に貯留されたパチンコ球は揚送装置261により揚送路263を介して揚送され、補給樋264を介して再び上部タンク246内に排出されるようになっている。ここで、本実施例における補給樋264の下流側には分岐部286が設けられておらず、揚送路263により揚送されて補給樋264に流入されたパチンコ球は全て上部タンク247内に排出されるようになっている。」

(f)「【0161】また、図23には、パチンコ機2’’のガラス扉枠201(前面枠ともいう)が、複数台のパチンコ機2を設置可能な遊技島台330に固設するための基枠331(外枠ともいう)に対して蝶番332を介して枢着されて基枠331の前面を開閉自在に設けられている場合において、これら遊技媒体環流経路の一部となる揚送装置261や、揚送路263や、研磨装置262等を、ガラス扉枠201側でなく遊技島台330側、例えば遊技島台330の載置板334上等に設けておき、パチンコ機2’’を遊技島台330に設置してガラス扉枠201により基枠331の前面を閉塞した状態において、これら遊技島台330側に設けられている揚送装置261や、揚送路263や、研磨装置262等が遊技媒体環流経路を形成するようにした場合の一例が示されている。つまり、本発明はパチンコ機2’’が設置された状態で遊技媒体環流経路が形成されるものも含まれる。
【0162】このように、これら揚送装置261や、揚送路263や、研磨装置262等を遊技島台330側に設けるようにして、パチンコ機2’’の交換において、これらの機器を交換せずに流用できるようにしても良い。
【0163】また、特に図示しないが、前記遊技媒体環流経路を構成する揚送装置261や、揚送路263や、研磨装置262等を、例えばユニット部材等を介して予めユニット化し、ユニット化された遊技媒体環流経路をガラス扉枠201の裏面に対して着脱自在に設けてもよい。つまりは、前記遊技媒体環流経路を遊技機であるパチンコ機2’’に対して着脱し得るように設けるようにすれば良く、このようにすることで、これら遊技媒体環流経路をパチンコ機2’’の交換時において、新たに設置されるパチンコ機2’’に容易に流用できるようになる。」

(g)「【0211】
【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。
(a)請求項1の発明によれば、少なくとも前記遊技媒体払出部より払い出されて前記払出遊技媒体検出手段にて検出された遊技媒体が前記記憶部に加算記憶されるとともに、該検出済みとなった遊技媒体が前記遊技媒体環流経路を通じて前記遊技媒体払出部に環流され、再度遊技媒体払出部より払い出されるようになり、これら遊技媒体が遊技機1台にて循環使用されるようになるため、1台の遊技機に必要とされる遊技媒体量を大幅に低減することができ、且つ前記遊技媒体環流経路を有することから遊技機の設置における自由度を向上できるとともに、前記整列部を有することで、前記遊技媒体待機部に待機している遊技媒体が、遊技への使用のためにスムーズに供給できる。」

(h)【図4】本発明の実施例1におけるパチンコ機2の一部破断背面図である。

(i)上記fの記載事項、及び、【図23】の図示内容によれば、刊行物には、遊技媒体環流経路の一部を構成していない上部タンク246を、ガラス扉枠201(前面枠ともいう)側に設けたことが示されている。

(j)上記d、hの記載事項、及び、図4の図示内容によれば、パチンコ機2の背面からみて左側略中央位置に上部タンクが設けられていることが示されている。

上記a?hの記載、上記i?jの認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認められる。
「打球操作ハンドル235が操作されることで発射され、遊技領域203内に打ち込まれて遊技に使用されたパチンコ球及び遊技領域203に到達せずファール球として回収されたパチンコ球を下部タンク253に合流させ、下部タンク253から揚送装置261により揚送して循環させる遊技用システムに用いられる遊技機であって、
打球発射モータ270とハンマー270’、上部タンク246、遊技盤202とが設けられているガラス扉枠201(前面枠)を有し、
上部タンク246は、背面からみて左側略中央位置に設けられ、
揚送装置261は、パチンコ球を揚送路263を介して、下部タンク253から上方位置に向かって移送し、上部タンク246に供給する遊技機。」

(2)対比
刊行物発明(以下「前者」という。)と本願補正発明(以下「後者」という。)とを対比する。
前者における「打球操作ハンドル235が操作されることで発射され、遊技領域203内に打ち込まれて遊技に使用されたパチンコ球及び遊技領域203に到達せずファール球として回収されたパチンコ球を下部タンク253に合流させ、下部タンク253から揚送装置261により揚送して循環させる遊技用システムに用いられる遊技機」は、その構成及び機能からみて、後者における「球発射装置から発射される遊技球を、球発射装置に再び戻るように揚送装置を介し循環させる遊技球循環型遊技システムのための遊技機」に相当する。

そして、前者における「打球発射モータ270とハンマー270’、上部タンク246、遊技盤202とが設けられているガラス扉枠201(前面枠)を有」することは、後者における「球発射装置、球タンク及び遊技盤を有する遊技機本体を具備」することに相当する。

また、前者における「上部タンク246は、図中左側略中央位置に設けられ」ることは、後者における「球タンクは、遊技機本体の高さ方向中間部位に対する対応位置に設けられ」ることに相当する。

ここで、前者における「揚送装置261は、パチンコ球を揚送路263を介して、下部タンク253から上方位置に向かって移送し、上部タンク246に供給する」ことと、後者における「揚送装置は、その高さにて、球タンクの対応位置に基き低くなるように構成されて、その揚送方向に並ぶ複数列の揚送片を有し、当該複数列の揚送片により、その列ごとに、球発射装置から発射されて遊技盤を介し排出される遊技球を受け取って前記球タンクまで揚送する」こととを対比する。
前者では、揚送装置261によりパチンコ球を下部タンク253から上部タンク246に供給するものであるから、揚送装置261は、その高さに関して、上部タンク246が設けられている位置にあわせて、下部タンク253が設けられている位置へ向けて低くなるように構成されるものである。また、揚送装置261は、打球操作ハンドル235が操作されることで発射され、遊技領域203内に打ち込まれて遊技に使用され、下部タンク253に合流されるパチンコ球を、下部タンク253から上部タンク246に揚送路263を介して供給するものである。
したがって、両者は、「揚送装置は、その高さにて、球タンクの対応位置に基き低くなるように構成されて、球発射装置から発射されて遊技盤を介し排出される遊技球を受け取って球タンクまで揚送する」ことで共通する。

ゆえに、本願補正発明と刊行物に記載された発明とは、
「球発射装置から発射される遊技球を、前記球発射装置に再び戻るように揚送装置を介し循環させる遊技球循環型遊技システムのための遊技機であって、
前記球発射装置、球タンク及び遊技盤を有する遊技機本体を具備しており、
前記球タンクは、前記遊技機本体の高さ方向中間部位に対する対応位置に設けられており、
前記揚送装置は、その高さにて、前記球タンクの前記対応位置に基き低くなるように構成されて、前記球発射装置から発射されて前記遊技盤を介し排出される遊技球を受け取って前記球タンクまで揚送するようにした遊技球循環型遊技システムのための遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
揚送装置に関して、
本願補正発明は、その揚送方向に並ぶ複数列の揚送片を有し、当該複数列の揚送片により、その列ごとに、遊技球を受け取って球タンクまで揚送するのに対して、
刊行物に記載された発明は、当該発明特定事項を具備しない点。

(3)当審の判断
遊技機の技術分野において、揚送装置が、揚送方向に並ぶ複数列の揚送片を有し、当該複数列の揚送片により、その列ごとに、遊技球を受け取って上部に揚送することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、拒絶査定時に提示された特開平8-84846号公報の【0021】?【0022】、【図1】、【図5】、前置報告時に提示された特開平5-23433号公報の【0007】?【0010】、【図4】?【図9】、実願昭51-161698号(実開昭53-78183号)のマイクロフィルムの「2.実用新案登録請求の範囲」の記載、第1?4図を参照のこと。)。
したがって、刊行物に記載された発明の揚送装置261に上記周知の技術を適用して上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
また、本願補正発明により奏される効果は、当業者が刊行物に記載された発明及び周知の技術から予測し得る範囲内のものであって、格別のものではない。

なお、請求人は、刊行物に記載された発明に関して、審判請求書において、「このように遊技にはすぐには活用されない遊技球が発生すると、円滑な遊技に支障をきたすおそれがあるため、遊技機において循環させるための遊技球を、予め、揚送路263の長さに対応する数だけ増大させる必要がある。このようなことは、上部タンク246が、本願発明1にいう球タンクのように、高さ方向中間部位に対応する位置にあっても、同様である。」(第10頁第7?11行)と主張する。
ここで、揚送装置が揚送する遊技球の数について検討すると、本願補正発明は、揚送片が複数列設けられていることから、刊行物に記載された発明と同様に、遊技にはすぐには活用されない搬送途中の遊技球が発生するものである。
したがって、すぐには活用されない遊技球に関して、両者の間に差異はないので、請求人の上記主張は失当である。

ゆえに、本願補正発明は、当業者が刊行物発明及び周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって、本願補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年1月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、特に、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「球発射装置から発射される遊技球を、再び前記球発射装置に戻るように揚送装置を介し循環させる遊技球循環型遊技システムに適用されて、前記球発射装置、球タンク及び遊技盤を有する遊技機本体を具備してなる遊技機において、
前記球タンクは、前記遊技機本体の高さ方向中間部位に対応して位置するように設けられており、
前記揚送装置は、その揚送方向に並ぶ複数列の揚送片により、その列ごとに、前記球発射装置から発射されて前記遊技盤を介し排出される遊技球を受け取って前記球タンクまで揚送することを特徴とする遊技球循環型遊技システムのための遊技機。」

2 刊行物
刊行物及びその記載事項並びに刊行物に記載された発明は、上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2」において検討した本願補正発明から、遊技機に関して、「前記球発射装置、球タンク及び遊技盤を有する遊技機本体を具備」するという事項、及び、揚送装置に関して、「その高さにて、前記球タンクの前記対応位置に基き低くなるように構成され」るという事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 2」に記載したとおり、当業者が刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-27 
結審通知日 2014-10-28 
審決日 2014-11-11 
出願番号 特願2011-261140(P2011-261140)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 平城 俊雅
長崎 洋一
発明の名称 遊技球循環型遊技システムのための遊技機及び遊技球循環型遊技システム  
代理人 間瀬 ▲けい▼一郎  
代理人 山田 稔  
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