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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16C
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 F16C
管理番号 1295680
審判番号 不服2013-14769  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-01 
確定日 2014-12-24 
事件の表示 特願2008-237046「スラストベアリング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月 9日出願公開、特開2009- 74690〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本件補正
本願は、平成20年9月16日の出願(パリ条約による優先権主張 2007年9月18日(DE)ドイツ連邦共和国)であって、平成25年3月25日付け(発送日:4月2日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がなされ、その後、同年8月6日に手続補正書(方式)が提出されたものである。
そして、平成25年12月6日付け(発送日:12月10日)の審尋に対して、平成26年6月6日に回答書が提出されたものである。
審判請求時(平成25年8月1日付け)の手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の請求項2に記載されていた事項を請求項1に付加することによって、本件補正前の請求項1を引用する請求項2を補正後の請求項1とするとともに、各請求項の項番を整理するものであるから、本件補正は、本件補正前の請求項1を削除したものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に規定する「請求項の削除」を目的とするものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。
「毎分数千回転の高回転数用のスラストベアリング装置であって、支持面(14)、および軸受け対象のシャフト(12)に設けられ、支持面(14)において軸方向支持のための一つの座面(18、64、96)を持つスラストベアリング・カラー(16、52、84)を備え、前記支持面(14)は、少なくとも、前記スラストベアリング・カラー(16、52、84)の回転方向に関して位置が固定されているスラストベアリング装置において、
回転対称のスラストベアリング・カラー(16、52、84)が座面(18、64、96)に関して見て半径方向に質量配分を備え、当該質量配分によって、高回転数の場合に、座面(18、64、96)の方向に作用する曲げモーメントがスラストベアリング・カラー(16、52、84)内に生じ、当該曲げモーメントは、高回転数により生じた、スラストベアリング・カラー(16、52、84)の座面(18、64、96)が支持面(14)から離れる変形を妨げるように作用するようになっており、
スラストベアリング・カラー(16、52、84)の、回転軸Rまでの半径方向の距離が最も大きい一つの部分(36、60、94)が、この部分に隣接し半径方向においてより内側に位置するスラストベアリング・カラー(16、52、84)の一つの部分(38、68、100)と比較したとき、半径方向の距離が最も大きい部分(36、60、94)の重心(40、62、92)が、この部分に隣接する部分(38、68、100)の重心(42、66、98)より、軸方向において座面(18、64、96)からより遠くに位置するような質量配分を呈することを特徴とする、スラストベアリング装置。」

第3 刊行物に記載された事項及び発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された特開昭61-244916号公報(以下「刊行物」という。)には、「スラストカラー」に関し、図面(特に、第1図、第5図参照)とともに、次の事項が記載されている。
以下、下線は当審で付与するものである。

ア.1ページ右欄2?6行
「〔産業上の利用分野〕
本発明は回転電機における回転子軸のスラストカラーに係り、特に回転子軸が空気軸受で支承される高速モータ等におけるスラストカラーに関するものである。」

イ.1ページ右欄8行?2ページ左上欄4行
「第4図は空気軸受によって回転子軸が支承される高速モータの従来例の要部断面図である。巻線2が施された固定子3がフレーム1の内側に固着され、この固定子3と対抗した位置に一定の空隙を有した回転子4が回転子軸5に装着されている。この回転子軸5は中空状に形成された本体6と本体6の反負荷側に本体の軸方向と直交する方向に連設されるスラストカラー7とからなっている。そして、本体6の負荷側(右側)にはラジアル空気軸受8に支承されると共に反負荷側(左側)もラジアル空気軸受9で支承されている。前記スラストカラー7は回転子軸5に負荷する軸方向の荷重を受けるものであり、スラストカラー7は軸方向負荷荷重と軸方向剛性を高めるため本体6の直径D_(2)に対してその直径D_(1)が大きく所定の空隙(20?30μm)を有してスラスト空気軸受10によって支承されている。」

ウ.2ページ左上欄5?17行
「しかしながら、回転子軸5が高速回転を行うと、スラスカラー7が第5図の破線から実線のように変形して負荷側に倒れる現象が生じる。これは一般に、遠心力によって生じる応力は直径D_(1)の2乗に比例し、さらに変形は直径D_(1)の3乗に比例し、回転子軸5が高速回転するとスラストカラーに負荷する応力およびその変形により一層大きくなるからである。そして、スラスト空気軸受10との空隙が20?30μmと小さいため数μm程度倒れるだけでもスラスト空気軸受の空気膜が不均一となり、軸方向負荷容量が低下して軸受が焼付けを生じる。従って、従来装置では回転子を高速回転させる回転数に制限がある。」

エ.2ページ左上欄18行?右上欄6行
「〔発明の目的〕
本発明は上記事情を考慮してなされ、回転子軸を高速回転させても倒れることがないスラストカラーを提供することを目的としている。
〔発明の概要〕
上記目的を達成するため本発明によるスラストカラーは、本体と連設される部位の負荷側に環状溝を形成して、倒れる方向と逆向きの曲げモーメントを生じさせることを特徴としている。」

オ.2ページ右上欄12行?左下欄11行
「回転子軸5は中空状の本体6と、本体6に連設されるスラストカラー7とからなっており、本体6には回転子(図示せず)が装着されると共に、負荷側および反負荷側がラジアル空気軸受(図示せず)によって支承される。スラストカラー7はこのような本体6の反負荷側の端部から本体6の軸方向と直交する方向に連設されて軸方向負荷容量と軸方向剛性とを高めている。そして、このスラストカラー7が本体6から連設する部位に円環状の環状溝11が形成されている。この環状溝11は本体6の負荷側、すなわち図示の実施例ではスラストカラー7の右端面下部、に形成されており、回転子軸5の高速回転でスラストカラー7が負荷側に倒れる場合に、その倒れる方向と逆向きの曲げモーメントをスラストカラーに生じさせてスラストカラー7の倒れを防止するものである。これにより、スラストカラー7を支承するスラスト空気軸受(図示せず)との空隙が一定に保たれてスラスト空気軸受の支持力が安定し、回転子軸の高速回転が可能となっている。」

カ.2ページ左下欄12行?右下欄2行
「かかる環状溝11の軸方向深さlはスラストカラー7の厚さtに対して、
l/t=0.2?0.4
の範囲で設定されるのが好ましい。第2図(a)?(c)はこのl/tを選定するために求められたスラストカラーの倒れ量のグラフであり、各グラフとも横軸にl/tを、縦軸にスラストカラーの倒れ量をプロットしてある。ここでは回転子軸5にステンレスを使用し、スラストカラーの厚さtが5mm、回転子軸5の本体6の外径のd_(2)が22mm、回転数を120,000rpmとした場合であり、」

キ.3ページ左上欄7?12行
「〔発明の効果〕
以上のとおり本発明によれば、スラストカラーが回転子軸の本体に連設される部位に環状溝を形成してスラストカラーの倒れを防止したから、スラスト空気軸受の支持力が大きくなり、回転子軸の高速回転が可能となる。」

ク.刊行物の第5図には、停止時のスラストカラーが破線により、回転時のスラストカラーが実線により示されており、回転時に、スラストカラーが図中右側へ倒れることが図示されている。

上記記載事項イに記載のとおり、スラスト空気軸受10は、回転子軸5に負荷する軸方向の荷重を受けるスラストカラー7を支承するものであるから、スラスト空気軸受10とスラストカラー7からなる部分はスラスト軸受装置として把握できる。

上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合して、本願発明に則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「高速回転のための回転子軸のスラスト軸受装置であって、
回転子軸5は、中空状の本体6と、本体6に連設されるスラストカラー7とからなり、
スラストカラー7は、回転子軸5に負荷する軸方向の荷重を受け、所定の空隙を有して対向するスラスト空気軸受10により支承されるスラスト軸受装置において、
スラストカラー7が本体6から連設する部位に円環状の環状溝11が形成され、
該環状溝11は、回転子軸5の高速回転でスラストカラー7が負荷側に倒れる場合に、その倒れる方向と逆向きの曲げモーメントをスラストカラーに生じさせてスラストカラー7の倒れを防止するものである、スラスト軸受装置。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「中空状の本体6」、「スラストカラー7」及び「スラスト軸受装置」は、その機能、構造からみて、本願発明の「(軸受け対象の)シャフト」、「(回転対称の)スラストベアリング・カラー」及び「スラストベアリング装置」に、それぞれ相当する。

b.引用発明において、スラストカラー7は、回転子軸5に負荷する軸方向の荷重を受け、所定の空隙を有して対向するスラスト空気軸受10により支承されるものであり、また、スラスト空気軸受10はスラストカラー7の回転方向に関して位置が固定されているものであるから、スラスト空気軸受10のスラストカラー7と対向している面は、本願発明のスラストカラーを支持する支持面ということができる。
すなわち、引用発明も本願発明と同様の「支持面」を備えている。

c.本願発明の「座面」に関し、請求項1においては「支持面において軸方向支持のための一つの座面を持つスラストベアリング・カラー」と特定されており、本願発明の「座面」は、スラストベアリング・カラーが持つものであって、軸方向支持のために支持面に支持される面である。
してみると、引用発明においても、スラスト空気軸受10により支承され、スラスト空気軸受10とスラストカラー7とは対向しているから、そのスラスト空気軸受10の支持面に対向しているスラストカラーの面を「座面」ということができる。

d.上記b、cを総合すると、引用発明の「回転子軸5は、中空状の本体6と、本体6に連設されるスラストカラー7とからなり、スラストカラー7は、回転子軸5に負荷する軸方向の荷重を受け、所定の空隙を有して対向するスラスト空気軸受10により支承される」ことは、本願発明の「支持面、および軸受け対象のシャフトに設けられ、支持面において軸方向支持のための一つの座面を持つスラストベアリング・カラーを備え、前記支持面は、少なくとも、前記スラストベアリング・カラーの回転方向に関して位置が固定されている」ことと「支持面、および軸受け対象のシャフトに設けられ、支持面において軸方向支持のための座面を持つスラストベアリング・カラーを備え、前記支持面は、少なくとも、前記スラストベアリング・カラーの回転方向に関して位置が固定されている」ことで共通する。

e.本願発明において「座面が支持面から離れる変形」と特定されるように、支持面と座面との相対関係で特定されていることを参酌すると、刊行物の第5図には、番号「10」で指示される側において、スラストカラーが「座面が支持面から離れる」ように変形することが記載されているように、引用発明も、本願発明と同様に、「座面が支持面から離れる変形」という技術事項を前提とするものであり、支持面から離れる座面を有するといえる。

f.本願の請求項2において、座面の反対側の背面に環状溝を設けることが特定事項として記載されており、当該特定事項が、請求項1に係る「半径方向の質量配分」を備えるための具体的手段であることは、本願明細書に記載される実施例(特に図1参照)等に照らして明らかであり、又、引用発明の「環状溝11」は、上記eで認定した支持面から離れる側の座面の反対側の面に形成されているから、引用発明の「スラストカラー7が本体6から連設する部位に円環状の環状溝11が形成され」ることは、「回転対象のスラストベアリング・カラーが座面に関して見て半径方向に質量配分を備え」ることに相当する。そして、引用発明は、スラストカラー7の本体6に連設する部位に円環状の環状溝11を形成することにより、回転子軸の高速回転の際、倒れる方向(変形する方向)と逆向きの曲げモーメントをスラストカラーに生じさせるものであり、この曲げモーメントは、本願発明の曲げモーメントと同じものであるから、引用発明の「該環状溝11は、回転子軸5の高速回転でスラストカラー7が負荷側に倒れる場合に、その倒れる方向と逆向きの曲げモーメントをスラストカラーに生じさせて、スラストカラー7の倒れを防止するものである」ことは、本願発明の「当該質量配分によって、高回転数の場合に、座面の方向に作用する曲げモーメントがスラストベアリング・カラー内に生じ、当該曲げモーメントは、高回転数により生じた、スラストベアリング・カラーの座面が支持面から離れる変形を妨げるように作用するようになって」いることに相当する。

g.引用発明のスラストカラー内の重心について検討する。
刊行物の第1図において、環状溝11の形成部分(本願図面の図1で示されたように半径距離で分割した部分)の重心(以下「溝重心」という。)の位置と、環状溝11の形成部分の外側の部分の重心(以下「外側重心」という。)の位置とを、上記eで認定した支持面から離れる側の座面を基準にして比較すると、外側重心の方が溝重心より、座面からより遠くに位置することは、第1図(本願図面の図1の溝と重心の位置関係参照)から明らかである。
そして、引用発明の「環状溝11の形成部分の半径方向において外側の部分」は、半径方向の距離が最も大きい部分であるから、本願発明の「回転軸Rまでの半径方向の距離が最も大きい一つの部分」に相当し、又、引用発明の「環状溝11の形成部分」は、前記外側の部分に隣接し半径方向において内側に位置するから、本願発明の「この部分に隣接し半径方向においてより内側に位置するスラストベアリング・カラーの一つの部分」に相当する。
結局、引用発明の「スラストカラー7が本体6から連設する部位に円環状の環状溝11が形成され」ることは、本願発明の「スラストベアリング・カラーの、回転軸Rまでの半径方向の距離が最も大きい一つの部分が、この部分に隣接し半径方向においてより内側に位置するスラストベアリング・カラーの一つの部分と比較したとき、半径方向の距離が最も大きい部分の重心が、この部分に隣接する部分の重心より、軸方向において座面からより遠くに位置するような質量配分を呈すること」を充足するものである。

以上の点からみて、本願発明と引用発明とは、
[一致点]
「高回転数用のスラストベアリング装置であって、支持面、および軸受け対象のシャフトに設けられ、支持面において軸方向支持のための座面を持つスラストベアリング・カラーを備え、前記支持面は、少なくとも、前記スラストベアリング・カラーの回転方向に関して位置が固定されているスラストベアリング装置において、
回転対象のスラストベアリング・カラーが座面に関して見て半径方向に質量配分を備え、当該質量配分によって、高回転数の場合に、座面の方向に作用する曲げモーメントがスラストベアリング・カラー内に生じ、当該曲げモーメントは、高回転数により生じた、スラストベアリング・カラーの座面が支持面から離れる変形を妨げるように作用するようになっており、
スラストベアリング・カラーの、回転軸Rまでの半径方向の距離が最も大きい一つの部分が、この部分に隣接し半径方向においてより内側に位置するスラストベアリング・カラーの一つの部分と比較したとき、半径方向の距離が最も大きい部分の重心が、この部分に隣接する部分の重心より、軸方向において座面からより遠くに位置するような質量配分を呈する、スラストベアリング装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
スラストベアリング装置について、本願発明では、「毎分数千回転」の高速回転であり、「支持面、および軸受け対象のシャフトに設けられ、支持面において軸方向支持のための一つの座面を持つスラストベアリング・カラーを備え、前記支持面は、少なくとも、前記スラストベアリング・カラーの回転方向に関して位置が固定されている」ものであるのに対し、引用発明では、高速回転の回転数が特定されておらず、「回転子軸5は、中空状の本体6と、本体6に連設されるスラストカラー7とからなり、スラストカラー7は、回転子軸5に負荷する軸方向の荷重を受け、所定の空隙を有して対向するスラスト空気軸受10により支承される」ものである点。

第5 判断
スラストベアリング装置として、支持面に対して一つの座面を持つ構造のものは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用した特開平1-150013号公報(スラストメタル4,回転側円板1)、他にも、特開昭62-223321号公報(第5A図、固定支持部材33,圧力部材32)、実願昭54-83414号(実開昭56-2002号)のマイクロフィルム(第1図、スラスト軸受7,スラストカラー8)等に示されるように、従来周知の構造であり、このような構造においては、軸方向の荷重が加わることで、軸受の支持面とランナ(スラストベアリングカラー)の座面の間にランナ(スラストベアリングカラー)の外周側に支持面から離れるような変形が生じることは当業者には明らかである。してみると、引用発明に接した当業者であれば、支持面に対して一つの座面を持つ構造のスラストベアリング装置における座面が支持面から離れるという不都合をなくすために、引用発明のスラストカラーの倒れを防止するための構成が適用できることは容易に理解し得ることであり、引用発明のスラストベアリング装置を支持面に対して一つの座面を持つ構造のスラストベアリング装置とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。また、引用発明は、回転子軸5が高速回転を行うと、スラスカラー7が変形して数μm程度倒れるだけでも軸受が焼付けを生じるため、従来装置では回転子を高速回転させる回転数に制限があること(上記ウ参照)を課題とし、スラストカラーの本体と連設される部位に環状溝を形成して、倒れる方向と逆向きの曲げモーメントを生じさせること(上記エ、オ参照)により、回転子軸の高速回転を可能とする(上記オ参照)ものである。すなわち、刊行物に例示された回転数120,000rpmは、回転数が120,000rpmのように高速であっても、スラストカラーの変形が防止できることを実証するために設定された回転数であって、それ以下の回転数であっても、スラストカラーや環状溝等の大きさを適宜設定することによりスラストカラーの変形を防止できることは言うまでもなく、又、毎分数千回の回転数は、スラストベアリング装置の回転数として特別な数値範囲ではなく、普通に設定される数値範囲であるから、スラストベアリング装置の回転数を毎分数千回転とすることは、当業者が適宜設定し得ることである。
以上のとおりであるから、相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明による効果も、引用発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとは言えない。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-24 
結審通知日 2014-07-28 
審決日 2014-08-08 
出願番号 特願2008-237046(P2008-237046)
審決分類 P 1 8・ 571- Z (F16C)
P 1 8・ 121- Z (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 増岡 亘  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 小関 峰夫
森川 元嗣
発明の名称 スラストベアリング装置  
代理人 村山 靖彦  
代理人 渡邊 隆  
代理人 志賀 正武  
代理人 実広 信哉  

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