【重要】サービス終了について

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G10L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G10L
管理番号 1296054
審判番号 不服2013-23654  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-02 
確定日 2015-01-05 
事件の表示 特願2011-548102「デバイス動作条件に基づくオーディオ・コーディング選択」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月 5日国際公開、WO2010/088132、平成24年 7月19日国内公表、特表2012-516471〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年1月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2009年1月29日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

手続補正 :平成23年 9月29日
上申書 :平成23年10月17日
拒絶理由通知 :平成24年12月11日(起案日)
意見書 :平成25年 2月 1日
手続補正 :平成25年 2月 1日
拒絶理由通知 :平成25年 3月25日(起案日)
意見書 :平成25年 7月 2日
手続補正 :平成25年 7月 2日
拒絶査定 :平成25年 7月24日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成25年12月 2日
手続補正 :平成25年12月 2日

第2 平成25年12月2日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成25年12月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正

平成25年12月2日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、請求項19については、本件補正前に、
「 【請求項19】
デバイスにおける周囲雑音レベルを決定するための手段と、
前記周囲雑音レベルが閾値雑音レベルを上回る場合、複数のオーディオ・コーディング処理スキームから、前記デバイスのための第1のオーディオ・コーディング処理を選択し、前記周囲雑音レベルが前記閾値雑音レベルを下回る場合、第2のオーディオ・コーディング処理を選択するための手段と、ここにおいて、前記第1のオーディオ・コーディング処理は、前記デバイスにおけるオーディオ処理中、前記第2のオーディオ・コーディング処理よりも少ない電力を消費し、前記第1及び第2のオーディオ・コーディング処理は、圧縮されたオーディオを復号するように構成される、
要求されたサービス要求に応答して、選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを受信するための手段と、
前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段と、
を備える、装置。」
とあったところを、

本件補正後、
「 【請求項19】
デバイスにおける周囲雑音レベルを決定するための手段と、
前記周囲雑音レベルが閾値雑音レベルを上回る場合、複数のオーディオ・コーディング処理スキームから、前記デバイスのための第1のオーディオ・コーディング処理を選択し、前記周囲雑音レベルが前記閾値雑音レベルを下回る場合、第2のオーディオ・コーディング処理を選択するための手段と、ここにおいて、前記第1のオーディオ・コーディング処理は、前記デバイスにおけるオーディオ処理中、前記第2のオーディオ・コーディング処理よりも少ない電力を消費し、前記第1及び第2のオーディオ・コーディング処理は、圧縮されたオーディオを復号するように構成される、
外部デバイスからの要求されたサービス要求に応答して、前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを前記外部デバイスから受信するための手段と、
前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、前記外部デバイスから受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段と、
を備える、装置。」
とするものである。

上記請求項19についての補正は、発明特定事項である「要求されたサービス要求に応答して、選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを受信するための手段」について「外部デバイスからの要求されたサービス要求に応答して、前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを前記外部デバイスから受信するための手段」と限定し、「前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段」について「前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、前記外部デバイスから受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段」と限定したものである。
請求項19についての補正は、発明特定事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項19に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-319407号公報(平成13年11月16日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音楽再生装置及び方法並びに記憶媒体に関し、より具体的には圧縮されたオーディオ・データを再生する音楽再生装置及び方法並びに記憶媒体に関する。」

(2)「【0004】本発明は、音再生中の電力消費を低減する音楽再生装置及び方法並びに記憶媒体を提示することを目的とする。」

(3)「【0008】本発明に係る音楽再生装置はまた、同じ音楽を第1の圧縮率で圧縮した第1の音楽データファイル及び当該第1の圧縮率よりも高い第2の圧縮率で圧縮した第2の音楽データファイルを再生自在な音楽再生装置であって、データ受信手段と、圧縮された音楽データを伸長する伸長手段と、周囲の騒音レベルを検出する騒音検出手段と、当該騒音検出手段で検出された騒音レベルが所定値未満の場合に、当該受信手段で当該第1の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給し、所定値以上の場合に当該受信手段で当該第2の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給するデータ転送手段と、当該伸長手段により伸長された音楽情報を出力する出力手段とを具備することを特徴とする。」

(4)【0038】通常動作モードでは、CPU14aは、低圧縮データファイルをその一部であるブロック単位でデーエリア(アドレスA2?A4)に読み込み、順次、ワークエリアへ読み出しながら伸長演算を行い、D/A変換器16に出力する。
【0039】低消費電力動作モードでは、CPU14aは、高圧縮データファイルをその一部であるブロック単位でデータエリア(アドレスA2?A3)に読み込み、順次、ワークエリアへ読み出しながら伸長演算を行い、D/A変換器16に出力する。低消費電力動作モード時に読み込む高圧縮データは、低圧縮データに比べてデータ量が少ないので、狭いデータエリア(アドレスA2?A3)でも不足しない。図5に示す例では、低消費電力動作モードのときいんは、RAM12bに対するチップセレクト信号を不活性にする。」

(5)「【0058】図1に示す実施例では、ローカルのハードディスク20にオーディオデータが格納されているが、本発明は、遠隔のハードディスク又はファイルサーバに格納されている圧縮オーディオデータを読み込んで伸長再生する場合にも適用することができる。
【0059】図10は、通信回線を介して遠隔地から圧縮オーディオデータを読み込み、再生する実施例の概略構成ブロック図を示す。ローカルのハードディスク20に代えて、通信装置60が配備される。勿論、ハードディスク20をそのままに、通信装置60を追加しても良い。通信装置60の通信媒体は無線でも有線でもよい。圧縮オーディオ・データを提供するサーバには、ハードディスク20と同様に、同じ音楽に関して圧縮率の異なる複数のファイルが格納されており、外部からの要求に応じた圧縮率のオーディオ・データを要求元に提供する。無線回線の場合、通信装置60は、無線通信に必要なアンテナ及び変復調器等を含む。」

上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。

(a)引用例には、圧縮されたオーディオ・データを再生する「音楽再生装置」であって、音再生中の電力消費を低減する「音楽再生装置」が記載されている(摘示事項(1)、(2))。

(b)「音楽再生装置」は、同じ音楽を第1の圧縮率で圧縮した第1の音楽データファイル及び当該第1の圧縮率よりも高い第2の圧縮率で圧縮した第2の音楽データファイルを再生自在な音楽再生装置であって、データ受信手段と、圧縮された音楽データを伸長する伸長手段と、周囲の騒音レベルを検出する騒音検出手段と、当該騒音検出手段で検出された騒音レベルが所定値未満の場合に、当該受信手段で当該第1の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給し、所定値以上の場合に当該受信手段で当該第2の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給するデータ転送手段と、当該伸長手段により伸長された音楽情報を出力する出力手段とを具備する(摘示事項(3))。

(c)通常動作モードでは、低圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行う。低消費電力動作モードでは、高圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行う(摘示事項(4))。

(d)通信装置が配備され、通信回線を介して遠隔のファイルサーバに格納されている圧縮オーディオ・データを読み込んで伸長再生する。圧縮オーディオ・データを提供するファイルサーバには、同じ音楽に関して圧縮率の異なる複数のファイルが格納されており、外部からの要求に応じた圧縮率のオーディオ・データを要求元に提供する(摘示事項(5))。

以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「同じ音楽を第1の圧縮率で圧縮した第1の音楽データファイル及び当該第1の圧縮率よりも高い第2の圧縮率で圧縮した第2の音楽データファイルを再生自在な音楽再生装置であって、データ受信手段と、圧縮された音楽データを伸長する伸長手段と、周囲の騒音レベルを検出する騒音検出手段と、当該騒音検出手段で検出された騒音レベルが所定値未満の場合に、当該受信手段で当該第1の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給し、所定値以上の場合に当該受信手段で当該第2の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給するデータ転送手段と、当該伸長手段により伸長された音楽情報を出力する出力手段とを具備し、
通常動作モードでは、低圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行い、低消費電力動作モードでは、高圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行い、
通信装置が配備され、通信回線を介して遠隔のファイルサーバに格納されている圧縮オーディオ・データを読み込んで伸長再生する音楽再生装置。
圧縮オーディオ・データを提供するファイルサーバには、同じ音楽に関して圧縮率の異なる複数のファイルが格納されており、外部からの要求に応じた圧縮率のオーディオ・データを要求元に提供する。」

3.対比

そこで、本件補正発明と引用発明とを対比する。

(1)「デバイス」
引用発明の「音楽再生装置」は、「デバイス」といえる。

(2)「デバイスにおける周囲雑音レベルを決定するための手段」
引用発明の「周囲の騒音レベルを検出する騒音検出手段」は、「デバイスにおける周囲雑音レベルを決定するための手段」といえる。

(3)「複数のオーディオ・コーディング処理スキーム」
引用発明において、通常動作モードでは、低圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行い、低消費電力動作モードでは、高圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行うから、引用発明の「通常動作モード」及び「低消費電力動作モード」は、「複数のオーディオ・コーディング処理スキーム」といえる。

(4)「前記周囲雑音レベルが閾値雑音レベルを上回る場合、複数のオーディオ・コーディング処理スキームから、前記デバイスのための第1のオーディオ・コーディング処理を選択し、前記周囲雑音レベルが前記閾値雑音レベルを下回る場合、第2のオーディオ・コーディング処理を選択するための手段」
引用発明において、「第1の音楽データファイル」及び「第2の音楽データファイル」は、第1の圧縮率で圧縮した第1の音楽データファイル及び当該第1の圧縮率よりも高い第2の圧縮率で圧縮した第2の音楽データファイルであるから、引用発明の「当該騒音検出手段で検出された騒音レベルが所定値未満の場合に、当該受信手段で当該第1の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給し、所定値以上の場合に当該受信手段で当該第2の音楽データファイルを受信して当該伸長手段に供給するデータ転送手段」は、「前記周囲雑音レベルが閾値雑音レベルを上回る場合、複数のオーディオ・コーディング処理スキームから、前記デバイスのための第1のオーディオ・コーディング処理を選択し、前記周囲雑音レベルが前記閾値雑音レベルを下回る場合、第2のオーディオ・コーディング処理を選択するための手段」といえる。

(5)「前記第1のオーディオ・コーディング処理は、前記デバイスにおけるオーディオ処理中、前記第2のオーディオ・コーディング処理よりも少ない電力を消費し、前記第1及び第2のオーディオ・コーディング処理は、圧縮されたオーディオを復号する」
引用発明において、「低消費電力動作モード」が「通常動作モード」よりも少ない電力を消費することは明らかである。また、いずれのモードにおいても、圧縮された音楽データを伸長する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1のオーディオ・コーディング処理は、前記デバイスにおけるオーディオ処理中、前記第2のオーディオ・コーディング処理よりも少ない電力を消費し、前記第1及び第2のオーディオ・コーディング処理は、圧縮されたオーディオを復号する」点で一致する。

(6)「外部デバイス」
引用発明の「ファイルサーバ」は、「外部デバイス」といえる。

(7)「外部デバイスからの要求されたサービス要求に応答して、前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを前記外部デバイスから受信するための手段」
引用発明において、通信装置が配備され、通信回線を介して遠隔のファイルサーバに格納されている圧縮オーディオデータを読み込んで伸長再生する。また、圧縮オーディオ・データを提供するサーバには、同じ音楽に関して圧縮率の異なる複数のファイルが格納されており、外部からの要求に応じた圧縮率のオーディオ・データを要求元に提供するから、音楽再生装置が、いずれの圧縮率のオーディオ・データを要求するのかをファイルサーバに通知することは明らかである。
したがって、引用発明の「通信装置」は、「前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを前記外部デバイスから受信するための手段」といえる。
もっとも、本件補正発明と引用発明とは、「前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信」することについて、本件補正発明は、「外部デバイスからの要求されたサービス要求に応答して」送信するのに対し、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。

(8)「前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、前記外部デバイスから受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段」
引用発明において、通常動作モードでは、低圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行い、低消費電力動作モードでは、高圧縮データファイルをその一部であるブロック単位で読み込み、順次、伸長演算を行うから、引用発明の「圧縮された音楽データを伸長する伸長手段」は、「前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、前記外部デバイスから受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段」といえる。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>

「デバイスにおける周囲雑音レベルを決定するための手段と、
前記周囲雑音レベルが閾値雑音レベルを上回る場合、複数のオーディオ・コーディング処理スキームから、前記デバイスのための第1のオーディオ・コーディング処理を選択し、前記周囲雑音レベルが前記閾値雑音レベルを下回る場合、第2のオーディオ・コーディング処理を選択するための手段と、ここにおいて、前記第1のオーディオ・コーディング処理は、前記デバイスにおけるオーディオ処理中、前記第2のオーディオ・コーディング処理よりも少ない電力を消費し、前記第1及び第2のオーディオ・コーディング処理は、圧縮されたオーディオを復号するように構成される、
前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを前記外部デバイスから受信するための手段と、
前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、前記外部デバイスから受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段と、
を備える、装置。」の点。

そして、次の点で相違する。

<相違点>

「前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信」することについて、本件補正発明は、「外部デバイスからの要求されたサービス要求に応答して」送信するのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

4.判断

そこで、上記相違点について検討する。

引用発明において、音楽再生装置が、いずれの圧縮率のオーディオ・データを要求するのかをファイルサーバに通知する形態としては、主体的に通知する形態と、ファイルサーバからの問い合わせに対する回答として通知する形態とが考えられる。いずれの形態を採用するかは、当業者が任意に選択し得ることであって、引用発明において、音楽再生装置が、いずれの圧縮率のオーディオ・データを要求するのかをファイルサーバからの問い合わせに対する回答として通知するようにすることは、当業者が容易に想到し得る。

効果についてみても、上記構成の変更に伴って当然に予測される程度のことであって、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本件補正発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明

平成25年12月2日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし33に係る発明は、平成25年7月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし33に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項19に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項19として記載したとおりのものである。

2.引用例

原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]3.及び4.」で検討した本件補正発明から、発明特定事項である「外部デバイスからの要求されたサービス要求に応答して、前記決定された周囲雑音レベルに基づいて選択されたオーディオ・コーディング処理の識別を前記外部デバイスに送信して、選択されたオーディオ・コーディング処理に対応するオーディオ・ストリームを前記外部デバイスから受信するための手段」について下線部分の構成を削除し、「前記選択されたオーディオ・コーディング処理にそれぞれ依存して、前記外部デバイスから受信したオーディオ・ストリームを復号するための手段」について下線部分の構成を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項19に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-30 
結審通知日 2014-08-05 
審決日 2014-08-19 
出願番号 特願2011-548102(P2011-548102)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G10L)
P 1 8・ 575- Z (G10L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 間宮 嘉誉安田 勇太  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 関谷 隆一
井上 信一
発明の名称 デバイス動作条件に基づくオーディオ・コーディング選択  
代理人 赤穂 隆雄  
代理人 福原 淑弘  
代理人 岡田 貴志  
代理人 砂川 克  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 堀内 美保子  
代理人 河野 直樹  
代理人 峰 隆司  
代理人 井関 守三  
代理人 井上 正  
代理人 佐藤 立志  
代理人 野河 信久  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ