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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1296073
審判番号 不服2014-1439  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-27 
確定日 2015-01-09 
事件の表示 特願2012-233233「携帯情報機器、電子ブック及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月28日出願公開、特開2013- 41607〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年11月25日に出願した特許出願(特願平10-350728号)の一部を平成19年5月17日に新たな特許出願(特願2007-132000号)とし、その一部を平成23年9月26日に新たな特許出願(特願2011-209363号)とし、その一部を平成24年10月22日に新たな特許出願としたものであって、平成25年5月17日付けの拒絶理由の通知に対し、平成25年7月18日に手続補正がなされたが、平成25年10月28日付けで拒絶査定がなされたものである。これを不服として平成26年1月27日に本件審判請求がなされると同時に同日付けで手続補正がなされた。

2.本願発明
本願の請求項1-9に係る発明は、平成26年1月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-9の記載により特定されるものであるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。

「表示部を備えた携帯情報機器であって、
地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された第1の接触位置と第2の接触位置とを検出し、
前記第1の接触位置及び前記第2の接触位置のうち少なくとも1つの移動により、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との距離が離れると、タウンマップを前記表示部に表示し、
前記タウンマップは、前記移動前の前記第1の接触位置に表示されていた前記地図画像の第1の箇所及び前記移動前の前記第2の接触位置に表示されていた前記地図画像の第2の箇所を含んでいることを特徴とする携帯情報機器。」

3.刊行物に記載された発明等
(1)刊行物1の記載事項
原査定で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-50235号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【請求項1】車両に搭載され、表示装置の表示画面を介して操作者が情報を得ることができる車載情報装置において、
表示装置の表示画面の前面に配置されたタッチパネルを有し、該タッチパネルに対する操作者のタッチの軌跡に基づいて、少なくとも前記表示装置の表示に関する操作指示を行うことを特徴とする車載情報装置。
【請求項2】前記車載情報装置は、車両用ナビゲーションシステムであり、前記表示に関する操作指示は、表示画面上に表示された道路地図のスクロール、拡大、縮小、回転の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の車載情報装置。」

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車載情報装置に係り、特に、表示画面上をなぞる動作によって使用頻度の高い操作指示入力を行えるようにした車載情報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地図情報を表示装置の画面上に表示して、車両の現在位置の確認および目的地への誘導等を行うことができるナビゲーションシステムのごとき車載用の情報処理装置が急速に普及してきている。このような情報処理装置では、表示画面上にボタン状のスイッチを表示し、車両の運転者等がこのボタン領域にタッチすることにより、そのボタンに割り当てられた操作を実行できるようになっている。
【0003】このような車載情報装置は、特開平6-68383号公報および特開平6-66583号公報などに開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の画面上に表示されたボタン状のスイッチを運転者が操作する際には、ボタン表示領域内を適切にタッチする必要があるが、車両を運転しながらの場合、正確にタッチすることは容易ではなく、誤操作の可能性があった。そのため、操作者は画面上の指示対象位置を正確に認識して注意深く操作する必要があり、迅速な操作が行えず、また、これが疲労の原因ともなった。
【0005】本発明は、このような事情に鑑み、操作者が画面上の正確な指示位置を認識する必要なく、迅速かつ容易に所望の操作指示が行える車載用情報装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による車載情報装置は、車両に搭載され、表示装置の表示画面を介して操作者が情報を得ることができる車載情報装置において、表示装置の表示画面の前面に配置されたタッチパネルを有し、該タッチパネルに対する操作者のタッチの軌跡に基づいて、少なくとも前記表示装置の表示に関する操作指示を行うようにしたものである。
【0007】この車載情報装置は、例えば、車両用ナビゲーションシステムであり、前記表示に関する操作指示は、表示画面上に表示された道路地図のスクロール、拡大、縮小、回転の少なくとも1つを含む。
【0008】好ましくは、前記タッチパネル上のタッチの座標および時刻を逐次検出して、タッチパネル上をなぞる動作の速さおよび方向を求める手段を有する。
【0009】前記なぞる動作の速さに応じて、前記操作指示による操作の量を変化させるようにしてもよい。
【0010】複数種類の操作指示に対して予め定めた異なる軌跡の情報を登録しておき、前記タッチの軌跡を前記登録された異なる軌跡の情報と比較することにより、操作者による操作指示を認識することことができる。
【0011】操作者に対して逐次複数種類の操作指示を行うことを促す学習用画面を表示し、該学習用画面に対して操作者により行われた各種類の操作指示の軌跡に基づいて前記登録された軌跡の情報を修正し、または、登録すべき軌跡の情報を作成するようにしてもよい。
【0012】本発明による車載情報装置は、また、車両に搭載され、表示装置の表示画面上に道路地図を表示する車載情報装置において、前記表示画面の前面に配置されたタッチパネルを有し、該タッチパネルに対して道路地図上の1点を予め定めた時間以上連続してタッチし続けたとき、前記道路地図上の1点を中心として当該道路地図を拡大表示することを特徴とする。」

「【0021】図4に、本実施例におけるタッチパネルをなぞる操作(以下、ジェスチャという)と、これに対する装置の表示上の応答を示す。装置に対するすべての操作指示をジェスチャで行うことも可能であるが、そのためには覚えなければならないジェスチャの種類が増加したり、高分解能のタッチスイッチが必要となったりすることから、本実施例では、走行中の操作指示に必要なコマンドについてのみジェスチャを割り当てている。
【0022】図4の例は、表示画面上の地図表示に関する操作一覧を示している。地図画像をいずれかの方向にスクロールしたいときには、タッチパネルに指をふれたまま、ふれている位置をその方向へ移動させる。すなわち、直線状になぞるジェスチャを行う。スクロール方向は、上下左右および斜め方向を含めた8方向である。これにより、指示された方向に画像がスクロールする。そのスクロール量は、指の移動速度に応じて変わる。この例では、ある速さより速いときには3/4画面分、遅いときには1/2画面分を1回のタッチ指示でスクロールする。このように設定したのは、スクロールにより現在地が画面外に移動すると見たい位置と現在地との関係が分かりにくくなるので、なるべく現在地が画面上に残るようにするためである。同方向への2回目以降のスクロールでは、現在地が表示できなくなるが、ユーザが繰り返しを希望していると判断して、指示通りのスクロールを行う。
【0023】現在表示されている地図の一部を拡大表示したいときには、拡大したい地点を予め定めた時間以上タッチし続ける。これにより、その地点の詳細表示のための地図データが存在する限り、タッチしている地点を変えずに拡大した地図を表示する。拡大限界に達した場合には、装置は警告音を発生する。この拡大表示操作の操作前と操作後の表示例を図5(a),(b)に示す。
【0024】現在表示されている地図を縮小表示したい場合には、タッチパネル上でバツ(×)マークを書くようにタッチする。これにより、車両の現在位置を中心に1段階広域の表示を行う。この×マークのジェスチャは、スクロールを右下方向と左下方向とに行うことと似ているが、通常、スクロールを繰り返す場合には同じ方向にタッチすることを繰り返すため、両者を区別することができる。さらに、具体的な区別方法については後述する。
【0025】本実施例の車載情報装置には、地図の画面上における表示方向として、車両進行方向が画面の上になるように表示する進行方向上モードと、北が画面の上になるように表示する北方向上モードの二つの表示回転モードを有しており、このモード切り替え変更のために、タッチパネル上でマルを書くようにするジェスチャを用意している。これに応答して、表示回転モードが交互に切り替わる。」

以上の記載(特に、【0012】を参照)及び図面(特に、図5(a),(b)を参照)の記載から、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると認められる。

[刊行物1発明]
車両に搭載され、表示装置の表示画面上に道路地図を表示する車載情報装置において、前記表示画面の前面に配置されたタッチパネルを有し、該タッチパネルに対して道路地図上の1点を予め定めた時間以上連続してタッチし続けたとき、前記道路地図上の1点を中心として当該道路地図を拡大表示する車載用情報装置。

(2)刊行物2の記載事項
原査定で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-230352号公報(以下、「刊行物2」という)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、指や掌やペンなどを用いてタッチされた位置を検出するタッチ位置検出装置に関し、特に、同時に複数のタッチが行われたときに、個々のタッチ位置を検出することができるタッチ位置検出装置およびこれを用いたタッチ指示処理装置に関する。」

「【0268】図29は、対象物を伸縮変形させる場合の指示方法、およびその指示を受けたMPU91により対象物が伸縮変形されて、指示された位置に表示された状態を示す。
【0269】図において、Iはジェスチャ対象物の図形、I’はジェスチャ操作後の図形である。
【0270】図に示したように、親指と人差指で図形Iの対角近辺の外郭上を指示した後、各タッチ位置を伸縮変形移動することにより、図形Iが図形I’の位置に伸縮する。」

以上の記載及び図面(特に、図29を参照)の記載から、刊行物2には、次の技術が記載されていると認められる。

「同時に複数のタッチが行われたときに、個々のタッチ位置を検出することができるタッチ位置検出装置を用いて、親指と人差指で対象物を指示した後、各タッチ位置を伸縮変形移動することにより、表示された対象物を伸縮変形する指示方法。」

4.対比
(1)本願発明の「表示部を備えた携帯情報機器」について

刊行物1発明の車載用情報装置は、表示装置を備えているから、「表示部を備えた」「情報機器」であるといえ、この点で本願発明と共通するものである。
ただし、本願発明の情報機器は「携帯情報機器」であるのに対し、刊行物1発明は、携帯するものではない点で両者は相違する。

(2)本願発明の「地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された第1の接触位置と第2の接触位置とを検出し、
前記第1の接触位置及び前記第2の接触位置のうち少なくとも1つの移動により、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との距離が離れると、タウンマップを前記表示部に表示し、」について

刊行物1発明は、前記表示画面の前面に配置されたタッチパネルに対して道路地図上の1点を予め定めた時間以上連続してタッチし続けたとき、当該道路地図を拡大表示するものであり、ここで、表示画面の前面に配置されたタッチパネルは、表示部において接触された接触位置を検出するものであって、そのときには、地図画像が前記表示部に表示された状態となっているのは明らかである。また、拡大表示された道路地図はマップともいえるから、刊行物1発明は、地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された1点の接触位置を検出し、予め定めた時間以上連続して接触し続けると、マップを前記表示部に表示するものであるといえる。
さらに、本願発明の「前記第1の接触位置及び前記第2の接触位置のうち少なくとも1つの移動」と、刊行物1発明の「予め定めた時間以上連続して接触し続け」ることは、何れも「接触位置の操作」という意味で共通するものと捉えられる。
したがって、本願発明と刊行物1発明とは、「地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された接触位置を検出し、前記接触位置の操作により、マップを前記表示部に表示」するといえる点で共通するものである。
ただし、本願発明では、「地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された第1の接触位置と第2の接触位置とを検出し、
前記第1の接触位置及び前記第2の接触位置のうち少なくとも1つの移動により、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との距離が離れると、タウンマップを前記表示部に表示」するのに対し、刊行物1発明では、1点の接触位置を検出し、予め定めた時間以上連続して接触し続けると、道路地図を拡大表示する(「マップ」を表示する)ものである点で両者は相違する。また、接触位置の操作により表示部に表示されるマップが、本願発明では、「タウンマップ」であるのに対し、刊行物1発明ではタウンマップではない点で両者は相違する。

(3)本願発明の「前記タウンマップは、前記移動前の前記第1の接触位置に表示されていた前記地図画像の第1の箇所及び前記移動前の前記第2の接触位置に表示されていた前記地図画像の第2の箇所を含んでいること」について

刊行物1発明は、タッチパネルに対して道路地図上の1点を予め定めた時間以上連続してタッチし続けたとき、前記道路地図上の1点を中心として当該道路地図を拡大表示するものであるから、拡大表示される地図が拡大表示前(予め定めた時間以上連続してタッチし続ける前)のタッチした地図上の1点を含んでいるのは明らかである。
したがって、本願発明と刊行物1発明とは、「前記マップは、前記操作前の前記接触位置に表示されていた前記地図画像の箇所を含んでいる」点で共通するものである。
ただし、本願発明では、「前記タウンマップは、前記移動前の前記第1の接触位置に表示されていた前記地図画像の第1の箇所及び前記移動前の前記第2の接触位置に表示されていた前記地図画像の第2の箇所を含んでいる」のに対し、刊行物1発明では、接触位置の操作により拡大表示される地図(本願発明でいう「マップ」)が含んでいるのは、タッチした1箇所である点で両者は相違する。また、(上記(2)でも述べたように)接触位置の操作により表示部に表示されるマップが、本願発明では、「タウンマップ」であるのに対し、刊行物1発明ではタウンマップではない点で両者は相違する。

(4)一致点及び相違点
以上をまとめると、本願発明と刊行物1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
表示部を備えた情報機器であって、
地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された接触位置を検出し、
前記接触位置の操作により、マップを前記表示部に表示し、
前記マップは、前記操作前の前記接触位置に表示されていた前記地図画像の箇所を含んでいる情報機器。

[相違点]
(相違点1)
本願発明の情報機器は「携帯情報機器」であるのに対し、刊行物1発明は、携帯するものではない点。

(相違点2)
本願発明では、「地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された第1の接触位置と第2の接触位置とを検出し、
前記第1の接触位置及び前記第2の接触位置のうち少なくとも1つの移動により、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との距離が離れると、タウンマップを前記表示部に表示し、
前記タウンマップは、前記移動前の前記第1の接触位置に表示されていた前記地図画像の第1の箇所及び前記移動前の前記第2の接触位置に表示されていた前記地図画像の第2の箇所を含んでいる」のに対し、刊行物1発明では、1点の「接触位置」を検出し、予め定めた時間以上連続して接触し続けると、道路地図を拡大表示する(「マップ」を表示する)ものであり、その結果、「マップ」が含んでいるのは、タッチした1箇所である点。

(相違点3)
接触位置の操作により表示部に表示されるマップが、本願発明では、「タウンマップ」であるのに対し、刊行物1発明ではタウンマップではない点。

5.当審の判断
(1)相違点1について
情報装置を、携帯可能な携帯情報機器として構成することはよく行われていることであり、刊行物1発明のような車載情報装置においても携帯型のものは普通に知られているものである。
したがって、刊行物1発明の車載情報装置を、携帯可能な携帯情報機器として構成することは当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
同時に複数のタッチが行われたときに、個々のタッチ位置を検出することができるタッチ位置検出装置を用いて、親指と人差指で対象物を指示した後、各タッチ位置を伸縮変形移動することにより、表示された対象物を伸縮変形する指示方法が上記刊行物2に記載されているように知られている。
つまり、表示されている対象物を拡大表示する操作手法として、2つのタッチ位置を距離を離すように移動させる操作手法は知られている。
そして、以下のアからウの点を考慮すれば、刊行物2は、当業者にとって、刊行物1発明が採用した拡大表示のための手法(「1点を予め定めた時間以上連続してタッチし続けること」)に代えて、上記刊行物2記載の拡大表示のための操作手法を採用する動機付けとなるに足るものというべきである。

ア.刊行物2に記載されたタッチ位置検出装置は、その適用対象が仮想ピアノ、ゲーム、CADなど複数にわたり、その目的は、「同時に行われる複数のタッチの位置を検出でき、しかも耐久性のあるタッチ位置検出装置を提供すること」(【0010】)にあるものであるから、上記した表示対象物を拡大する操作手法はCADに関する実施例のものではあるが、その他の用途にも適用することが想定できるものであること。
イ.刊行物1発明が採用した拡大表示のための手法は、「1点を予め定めた時間以上連続してタッチし続けること」であるが、【0005】に記載されているように、刊行物1の発明は、「操作者が画面上の正確な指示位置を認識する必要なく、迅速かつ容易に所望の操作指示が行える車載用情報装置を提供することを目的とする」ものであるから、この目的に適う操作指示であれば代替可能といえること。
ウ.刊行物2に記載の拡大表示のための手法は、対象物の拡大表示であって、地図画像の拡大表示を示していないが、対象物を拡大することも地図を拡大することも拡大表示することに変わりはなく、刊行物2の2つのタッチ位置を距離を離すように移動させる操作手法に接した当業者は、画面に表示されるものであれば何にでも適用可能であると理解するものであること。

また、刊行物1発明は、上記「4.(3)」で述べたように、拡大表示される地図が拡大表示前のタッチした地図上の1点を含んでいるものであるから、複数のタッチを行う刊行物2に記載の技術を適用した際も同様に、拡大表示される地図が複数のタッチ位置を含んでいるものとすることは自然なことである。

すなわち、刊行物1発明において、刊行物2に記載された技術を適用し、「地図画像が前記表示部に表示された状態で、前記表示部において接触された第1の接触位置と第2の接触位置とを検出し、
前記第1の接触位置及び前記第2の接触位置のうち少なくとも1つの移動により、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との距離が離れると、マップを前記表示部に表示し、
前記マップは、前記移動前の前記第1の接触位置に表示されていた前記地図画像の第1の箇所及び前記移動前の前記第2の接触位置に表示されていた前記地図画像の第2の箇所を含んでいる」構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

(3)相違点3について
刊行物1発明は、道路地図を表示する車載情報装置、いわゆる、カーナビゲーションシステムであり、地図を拡大していくと、例えば、その地点の詳細表示のための地図データを用いて拡大した地図が表示される(【0002】、【0023】を参照)。カーナビゲーションシステムの車両の現在位置の確認および目的地への誘導等の目的に照らせば、拡大した地図表示として、道路とともに周りの建物の情報等を付加した詳細な地図(本願発明でいう「タウンマップ」に相当する。このような詳細地図自体は、例えば、上記拒絶理由通知で引用された特開平8-123936号公報の図3(1)にも記載されているようによく知られたものである。)を表示することは自然に想定されることであり、そのような表示とすることを妨げる理由もない。
したがって、刊行物1発明において、接触位置の操作により表示部に表示されるマップを「タウンマップ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1発明、及び、刊行物2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、その効果も予測し得るものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-07 
結審通知日 2014-11-12 
審決日 2014-11-26 
出願番号 特願2012-233233(P2012-233233)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森田 充功  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 乾 雅浩
千葉 輝久
発明の名称 携帯情報機器、電子ブック及びプログラム  
代理人 大渕 美千栄  
代理人 布施 行夫  

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