【重要】サービス終了について

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G11B
管理番号 1296369
審判番号 訂正2014-390172  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-11-10 
確定日 2014-12-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4134156号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4134156号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第4134156号は、平成17年5月26日(優先権主張 2004年6月25日)に出願された特願2006-519563号の一部が平成17年11月25日に新たな出願とされ、平成20年6月6日に設定登録されたものである。
本件訂正審判は、平成26年11月10日に請求されたものである。

2.請求の要旨

本件訂正審判請求の要旨は、特許第4134156号の明細書、特許請求の範囲を審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるもので、その訂正事項は以下のとおりである。

(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1中の
「前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域に対応する位置に、当該第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって、該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない領域である制限領域とを加えた領域をプリライト領域として有し、」
を、
「前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない制限領域とを加えた領域に対応する前記第1の記録層の位置にプリライト領域を有し、」
と訂正する。

(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2中の
「前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域に対応する位置に、当該第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって、該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない領域である制限領域とを加えた領域をプリライト領域として有し、」
を、
「前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない制限領域とを加えた領域に対応する前記第1の記録層の位置にプリライト領域を有し、」
と訂正する。

(3)訂正事項c
明細書の段落0007中の
「前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域に対応する位置に、当該第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって、該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない領域である制限領域とを加えた領域をプリライト領域として有し、」
を、
「前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない制限領域とを加えた領域に対応する前記第1の記録層の位置にプリライト領域を有し、」
と訂正する。

3.当審の判断

本件特許明細書には
「【0018】
第1層目102でのパワー調整領域110は第1層目102での最適記録パワーを調整するための第1層用パワー調整領域P1と、プリライト領域PWとから成り立っている。
第2層目103でのパワー調整領域110は第2層目103での最適記録パワーを調整するための第2層用パワー調整領域P2と、第2層目103ではパワー調整領域として使用しない、第1層用パワー調整領域P1に対応する位置に存在する非使用領域Bと、上記説明した2層ディスクの貼り合わせのズレとビーム径の影響とを考慮した制限領域A1、A2とから成り立っている。第2層用パワー調整領域P2の両側(径方向の内側及び外側)に、制限領域A1、A2が位置している。
プリライト領域PWは第2層用のパワー調整領域P2に制限領域A1、A2を加えた領域をディスクメーカが製品出荷前に、最適記録パワーで予め記録しておく領域である。」
との記載がある。請求項1、2の「当該第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって、該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない領域である制限領域とを加えた領域」は、発明の詳細な説明の「第2層目103」における「第2層用パワー調整領域P2」と、「制限領域A1、A2」を合わせたものに相当し、請求項1、2の「プリライト領域」は、発明の詳細な説明の「第1層目102」における「プリライト領域PW」に相当する。
そして、図4からみても、「第1層目102」における「プリライト領域PW」は、「第2層目103」における「第2層用パワー調整領域P2」と、「制限領域A1、A2」を合わせたものに対応する位置に有ることは明らかである。
以上を参酌すると、上記訂正事項a、bは、第1の記録層(102)が、第2の記録層(103)のパワー調整領域(P2)と、該パワー調整領域に隣接する領域であって該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない制限領域(A1、A2)とを加えた領域に対応する第1の記録層の位置にプリライト領域(PW)を有することを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

上記訂正事項cは、上記訂正事項aにより請求項1が訂正されたことに対応し、発明の詳細な説明の記載を請求項1の記載と整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

そして、上記各訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

4.むすび

したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
記録方法及び記録装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録層を持ち、各記録層における最適記録パワーを設定するためのテスト記録領域を各層に有する光ディスクの記録方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録機能を有する光ディスクにおいて、最適な記録条件で記録を行うためにテスト記録領域が設けられているが、複数の記録層を有する場合、記録光が入射する側から見て奥の層に記録を行う場合、手前の層が記録済状態であるか否かで最適記録条件が異なっており、手前の層の状態を把握する必要があった。
【0003】
この対応策として、情報を記録しようとする層より手前の層の記録状態を確認し、同じ条件にてテスト記録を実施するものがある(例えば特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開2000-311346号公報(第1-15貢、第1-8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数層の記録層を持つ光ディスクでは、記録光が入射する側から見て奥の記録層に記録を行う場合に手前の記録層の状態を確認してから情報の記録を行うため、情報の記録開始までに時間がかかるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、短い時間で安定した情報の記録を行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
記録光からみて手前に位置する第1の記録層と、奥に位置する第2の記録層との少なくとも2層を有し、前記記録光によって情報の記録が可能な光ディスクであって、
前記第1の記録層及び前記第2の記録層は、前記情報を各記録層に記録する際に最適な前記記録光のパワーを調整する際に使用するパワー調整領域を各々有し、
前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない制限領域とを加えた領域に対応する前記第1の記録層の位置にプリライト領域を有し、
前記第1の記録層又は前記第2の記録層は、当該光ディスクへの情報の記録に際して使用される情報を記録する記録管理領域を有し、
前記記録管理領域の一部に、前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報が記録された領域を有することを特徴とする光ディスクへの情報の記録を行う記録方法であって、
前記記録管理領域から前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報を読み取る工程と、
読み取られた前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報に基づいて、前記プリライト領域をプリライトする必要が有るか否かを判断するプリライト判断工程と、
前記プリライト判断工程において、プリライトが必要と判断された場合に、当該プリライト領域の記録を行うプリライト工程と、
前記第2の記録層の前記パワー調整領域に対して、前記最適記録パワー調整を行う工程と、
前記プリライト工程において、プリライト領域の記録を行った場合に、前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報を更新する工程と、
前記調整された最適記録パワーによって前記情報の記録を行う工程と
を備えることを特徴とする記録方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各々の記録層のテスト記録領域が確保でき、安定した記録条件を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態の記録方法及び装置で用いられる、片面に記録層を2層もつ記録型光ディスクを示した図である。図1において、100は光ディスク、100cは光ディスクの回転中心軸線、102は第1層目の記録層、103は第2層目の記録層、110は光ディスク100へ記録するための最適記録パワーを調整するためのパワー調整領域、111は記録に関する管理情報や制御情報を記録する記録管理領域、112、114は再生専用プレーヤなどで再生可能とするために、再生専用ディスクとの互換性をもたせるための情報を記録する互換性用領域である。また、112には光ディスク100のディスク管理情報が記録されているディスク管理領域が含まれている。互換性用領域112と互換性用領域114との間には、データを記録するためのデータ領域113があり、光ディスク装置によって所望のデータが記録される。光ディスク100には、内周側から外周側に向かって、パワー調整領域110、記録管理領域111、互換性用領域112、データ領域113、互換性用領域114が存在している。120は光ピックアップの対物レンズ、101は対物レンズから出射されるビーム(記録光)を示しており、当該ビーム101によって光ディスク100への情報の記録及び/又は再生が可能となる。
【0010】
図1において、第2層目の記録層103に記録を実施する場合、第1層目の記録層102に記録されているか否かで、第2層目に対して異なった記録条件で記録を行う必要がある。従って、第2層目に記録する場合、第1層目の記録状態を把握する必要があるが、記録開始までの時間がかかるなどの問題点があるため、データの記録時は第1層目を先ず記録し、次いで第2層目を記録することによって、第2層目を記録する時は、記録しようとする第2層目の領域に対応する第1層目の領域は必ず記録されていることになり、記録条件を一定にできる。
【0011】
光ディスク100にデータを記録する前には、一般的に試し書きにより最適な記録パワー調整を実施する。光ディスク100にはデータを記録するための領域とは別に、例えば光ディスクの最内周部に記録パワー調整用のパワー調整領域110が設けられている。記録パワーの調整は記録層毎に実施し、記録しようとする記録層と同層に存在するパワー調整領域110でパワー調整を実施する。ここで、第2層目の記録パワーを調整する場合は、第2層目のデータ領域を記録する場合と記録条件を合わせる為に、第2層目のパワー調整領域に対応する第1層目のパワー調整領域110は記録済である必要がある。
【0012】
図2は、光ディスクの層構成をより詳細に示すとともに、記録層とビームの関係を示した図である。図2において、100は光ディスク、101は記録再生時に光ディスク100に入射するビーム、102は第1層目の記録膜、103は第2層目の記録膜、106は基板、107はスペーサである。また104aは第1層目の記録膜102のうちの、記録済状態の部分を示し、104bは第1層目の記録膜102のうちの、未記録状態の部分を示す。Qaは第2層目の記録膜103への記録開始位置、105は記録開始位置Qaから記録する領域と方向を示した矢印、tは第1層目の記録膜102と第2層目の記録膜103との距離、Dは第2層目の記録膜103で記録再生する場合の第1層目の記録膜102におけるビーム101の直径を示している。
【0013】
第2層目の記録膜103へ記録を実施する場合は、第1層目の記録膜102の状態がビーム101の径D内において、記録状態104aの様に同様でないと第2層目の記録膜103への記録状態に影響を与えてしまう。従って、第2層目の記録膜103への記録開始位置Qaから記録する領域側105に対して、第1層目の記録膜102にはビーム径Dの半分の領域を余分に追加した領域で記録状態を同一にする必要がある。
【0014】
図3は第1層目と第2層目の位置のズレを示した図である。図3(a)は貼り合わせによるズレが無い場合を、図3(b)は貼り合わせのズレが有る場合(ズレ量が最大の場合)を示す。図において、Qbは理想的なディスクのあるアドレスにおける位置、Qb1は第1層目の記録層102における位置Qbに対応する位置、Qb2は第2層目の記録層103における位置Qbに対応する位置、eはディスクの最大偏芯量を示している。
図3(a)に示す様に、貼り合わせにより第1層目の記録層102と第2層目の記録層103の位置にズレが生じていない場合は、第1層目の位置Qb1と第2層目の位置Qb2は等しい位置となる。第2層目の記録膜103に対して位置Qbから矢印105の方向に記録を行う場合、第1層目の記録膜102の記録状態は、図3(a)に示す様に、位置Qb1のみを考慮した領域では同一の記録状態104aにする必要がある。
【0015】
また、図3(b)に示す様に、貼り合わせにより第1層目の記録層102と第2層目の記録層103の位置にズレが生じている場合は、第1層目の位置Qb1と第2層目の位置Qb2の間でeのずれ量が生じる。
この貼り合わせによるズレは、光ディスク100の中心位置からの偏芯により生じ、第1層目の記録層102と第2層目の記録層103との位置のズレ量の最大値は偏芯量の最大値分eとなる。
この貼り合わせによるズレが生じた光ディスク100の第2層目の記録層103に位置Qb2から記録を矢印105の方向に記録を行う場合、第1層目の記録層102の記録状態は、図3(b)に示す様に、位置Qb1から最大偏芯量eを考慮した位置の領域において同一の記録状態104aにする必要がある。
【0016】
従って、第2層目の記録層103に記録する際には、第2層目の記録層103の記録位置に対して、図2で説明した上記ビーム101の影響と図3(b)のような貼り合わせによるズレとを考慮した上で、第1層目の記録層102の領域を常に同一の記録状態にする必要がある。
このような余裕を持たせた領域を制限領域Aとすると、制限領域Aの幅Awは、ビーム101の径Dの半分と貼り合わせによる最大ズレ量となる光ディスク100の偏芯量eの両方を考慮して、Aw=e+D/2となる。
ここで、例えば光ピックアップの対物レンズ120のNAが0.6で、第1層目の記録層102と第2層目の記録層103との最大距離を65μm(55±15μm)とした場合、ビーム101の径Dが56μmとなる。また、最大偏芯量eを40μmとすると、制限領域(A)の幅Awは68μmとなる。
本実施の形態においては、前記制限領域Aを設けて、この制限領域Aの幅Awがe+D/2と等しいかそれ以上に設定することによって、第1層目の記録状態が第2層目の記録へ影響しないようにする。
【0017】
図4は本発明の実施の形態1に係る記録方法及び装置で用いられる光記録ディスクのパワー調整領域110の詳細な構成例を示した図である。
図4において、100は光ディスク、102は第1層目の記録層、103は第2層目の記録層を示している。図4及び後述の図5乃至図7には、図2に示した基板106及びスペーサ107は省略してある。
【0018】
第1層目102でのパワー調整領域110は第1層目102での最適記録パワーを調整するための第1層用パワー調整領域P1と、プリライト領域PWとから成り立っている。
第2層目103でのパワー調整領域110は第2層目103での最適記録パワーを調整するための第2層用パワー調整領域P2と、第2層目103ではパワー調整領域として使用しない、第1層用パワー調整領域P1に対応する位置に存在する非使用領域Bと、上記説明した2層ディスクの貼り合わせのズレとビーム径の影響とを考慮した制限領域A1、A2とから成り立っている。第2層用パワー調整領域P2の両側(径方向の内側及び外側)に、制限領域A1、A2が位置している。
プリライト領域PWは第2層用のパワー調整領域P2に制限領域A1、A2を加えた領域をディスクメーカが製品出荷前に、最適記録パワーで予め記録しておく領域である。
【0019】
第1層用パワー調整領域P1におけるパワー調整は図に示す様に、領域X1、X2、・・・Xnの順番で光ディスク100の外周部から内周へ順番に使用する。個々のパワー調整領域内においては、図の矢印で示すように、内周から外周へ、試し記録が行われる。また、パワー調整に用いた領域を管理するために、光ディスク100の記録管理領域111(図1)には、使用したアドレス情報を記録することができる領域を設けて、調整したパワー値の結果等と共に記録する。
【0020】
第2層用パワー調整領域P2におけるパワー調整は図に示す様に、Y1、Y2、・・・Ynの順番で光ディスク100の内周部から外周部へ順番に使用する。個々のパワー調整領域内においては、図の矢印で示すように、外周から内周へ、試し記録が行われる。また、パワー調整に用いた領域を管理するために、光ディスク100の記録管理領域111(図1)には、使用したアドレス情報を記録することができる領域を設けて、調整したパワー値の結果等と共に記録する。
【0021】
第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2は同じサイズの領域を確保するものとすると、プリライト領域PWのサイズは一義的に決まる。
光ディスク100の例えば互換性用領域112(図1)のディスク管理領域には、プリライト終了位置Qmでのプリライト終了アドレス情報(プリライト領域の記録最終端のアドレス)を記録する領域を設けておく。また、プリライト終了アドレスとプリライトを実施したかどうかのフラグ情報(判別情報)とを合わせて記録してもよい。
なおまた、記録管理領域111に上記のプリライト終了アドレス情報(或いはプリライト終了アドレス情報及びフラグ情報)を記録するようにしても良く、プリライト終了アドレス情報とフラグ情報を合わせて記録するようにしても良い。
【0022】
以上のように、本実施の形態1によれば、第2層目の記録層103に制限領域A1,A2を設けているので、第2層目の記録層103への記録時にビーム径やディスクの貼り合わせ誤差による影響を受けないディスクを提供することができる。
また、プリライト領域PWをディスクメーカが予め記録しておくことで、ユーザサイドで光ディスク装置によってプリライト領域を記録する必要が無いため、光ディスク装置での記録立ち上げ時間を短くすることができる。
【0023】
また、プリライト終了位置Qmでのプリライト終了アドレス(或いはプリライト終了アドレス及びフラグ情報)を光ディスク100の互換性用領域112のディスク管理領域に記録するようにし、或いはプリライト終了アドレスとフラグ情報を合せて光ディスク100の互換性用領域112のディスク管理領域に記録するようにしているため、光ディスク100のプリライト領域が既に記録されているかどうか、またパワー調整に使用できる領域の範囲及び位置が容易にわかる。
【0024】
上記実施の形態では、第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2は同じサイズの領域を確保する場合について示したが、プリライト終了アドレスを光ディスク100の互換性用領域112のディスク管理領域に記録するため、第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2とは異なるサイズで確保することも可能である。
【0025】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2に係る記録方法及び装置で用いられる光記録ディスクのパワー調整領域110の構成例を示した図である。図において、100、102、103、各領域は上記実施の形態と同様である。なお、以下の実施の形態2?4においては、実施の形態1と異なる場合についてのみ説明する。
【0026】
実施の形態1では、プリライト領域PWをディスクメーカが予め記録していたが、本実施の形態2では、プリライト領域の記録は光ディスク装置が実施する。そのため、未使用の光ディスク100のプリライト領域PWは未記録状態となる。
この場合、ディスクメーカはプリライト領域PWへの記録を行わないが、光ディスク100の例えば互換性用領域112のディスク管理領域にプリライト終了アドレスとして位置Qsのアドレス情報を記録する。または、プリライト終了アドレスの情報として全てゼロを記録しても良い。
【0027】
光ディスク装置は、未使用の光ディスクではプリライト領域PWが記録されていないため、第2層用パワー調整領域P2を使用する前までにプリライト領域PWへのプリライトが必要である。プリライト領域PWへの記録は位置Qsからプリライト終了位置Qmまで実施する。プリライト終了位置Qmは、第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2を同じサイズで確保する場合であれば、制限領域A1、A2の幅とパワー調整領域110で一義的に決まる値である。
【0028】
光ディスクの記録管理領域111には、プリライト終了位置Qmのアドレス情報を記録する領域を設けており、光ディスク装置は、プリライト領域PWへの記録を実施した時に記録管理領域111へプリライト終了位置Qmのアドレスを記録することができる。また、記録管理領域111へ記録情報を記録する時に、光ディスク装置がプリライト領域PWを記録していない場合は、記録管理領域111のプリライト終了アドレス情報に位置Qsのアドレスを記録することで、プリライト領域PWへの記録が行なわれていないことを記録することができる。または、プリライト終了アドレスの情報として全てゼロを記録しても良い。あるいは、プリライト終了アドレスに合わせてプリライトを実施したかどうかのフラグ情報を記録しても良い。
【0029】
このプリライト終了アドレス情報(或いはプリライト終了アドレス情報及びフラグ情報)は、第1層目の記録管理領域111に記録しても第2層目の記録管理領域111に記録してもよい。ただし、第2層目の記録管理領域111は、図1?3を用いて説明したように、第1層目の記録されているか否かの影響を受けるため、第1層目の記録管理領域111から順に記録していき、第1層目の記録管理領域111がすべて記録されてから、第2層目の記録管理領域111へと記録する方がよい。また、第1層目に関する情報は第1層目の記録管理領域111に記録し、第2層目に関する情報を記録する際に、第1層目の記録管理領域111をすべて記録した後で、第2層目の記録管理領域111へと記録してもよい。ただし、第2層目の記録管理領域111は、第2層用パワー調整領域P2と同様の理由から、制御領域を両側に配置することが必要であるため、記録管理領域111として確保できる領域が第1層目の記録管理領111より少なくなる。そのため、第1層目に関する情報か第2層目に関する情報かに関わらず、第1層目の記録管理領域111から順に記録していき、第1層目の記録管理領域111がすべて記録されてから、第2層目の記録管理領域111へと記録する方がよい。
【0030】
プリライト領域PWへの記録を除けば、第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2の構成は実施の形態1と同様である。
【0031】
以上のように、本実施の形態2によれば、プリライト領域PWへの記録をディスクメーカが実施せずに、光ディスク装置が実施するため、ディスクメーカがディスク作成にかかる時間を短くすることができる。また、第2層目の記録層103に制限領域A1,A2を設けているので、第2層目の記録層103への記録時にビーム径やディスクの貼り合わせ誤差による影響を受けないディスクを提供することができる。
【0032】
また、プリライト終了位置Qmでのプリライト終了アドレスを光ディスク100の記録管理情報111に記録するようにしているため、光ディスク100のプリライト領域が既に記録されているかどうか、またパワー調整に使用できる領域の範囲及び位置が容易にわかる。
【0033】
上記実施の形態では、第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2は同じサイズの領域を確保する場合について示したが、プリライト終了アドレスを光ディスク100の光ディスク100の記録管理情報111に記録するため、第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2とは異なるサイズで確保することも可能である。
【0034】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3に係る記録方法及び装置で用いられる光記録ディスクのパワー調整領域110の構成例を示した図である。
図6において、100、102、103、各領域は図1と同様である。また、図においてAwは制限領域で指定した幅を示し、位置Qh、位置Qi、位置Qjは固定でなく、パワー調整やプリライト領域PWの追記により変動する。
【0035】
実施の形態1では、プリライト領域PWの全てをディスクメーカが予め記録していたが、本実施の形態3では、プリライト領域PWの一部のみをディスクメーカが予め最適記録パワーで記録している。このように予め最適パワーで記録された領域を初期プリライト済領域PX0と呼ぶ。この初期プリライト済領域PX0は、第2層用パワー調整領域P2の内周側に位置する制限領域A1と、第2層用パワー調整領域P2で初回のパワー調整に使用される予定の領域Y1と、第2層用パワー調整領域P2で初回のパワー調整に使用される予定の領域Y1の外周側の端部から制限領域の幅Aw以上の幅を有する領域Pz1とを含んでいる。つまり、第2層目の記録層103における初回のパワー調整に使用する領域Y1のみで制限領域A1、A2を考慮した幅となっている。
【0036】
ディスクメーカは、記録したプリライト済領域の終了位置Qmのアドレス情報を、光ディスク100の例えば記録管理領域111に記録する。
【0037】
第1層用パワー調整領域P1及び第2層用パワー調整領域P2におけるパワー調整順、及び記録しておくアドレス情報や調整したパワー値は、上記実施の形態と同様である。ここで、第1層用パワー調整領域P1と第2層用パワー調整領域P2の領域サイズは固定ではなく、第1層用パワー調整領域P1の終了位置(内周側端部)Qiと第2層用パワー調整領域P2の終了位置Qh(外周側端部)の間の領域Gaが、制限領域の幅Aw以下にならない限り、自由に使用できる。
【0038】
ここで、第2層用パワー調整領域P2で2回目にパワー調整を行う際は、2回目のパワー調整を行う前に、プリライト終了位置Qj1と当該2回目のパワー調整に使用する領域Y2との間の部分Pz2が制限領域の幅Aw以上となる様に、プリライト終了位置Qmから位置Qj1までの領域U1に光ディスク装置により追記を行う。追記を行った後、第2層用パワー調整領域P2のうちの領域Y2でパワー調整を実施する。また、追記の終了位置Qj1のアドレスをプリライト終了位置のアドレス情報として光ディスク100の記録管理領域111に記録する。
【0039】
さらに第2層用パワー調整領域P2で3回目にパワー調整を行う際は、3回目のパワー調整を行う前に、プリライト終了位置Qj2と当該3回目のパワー調整に使用する領域Y3との間の部分が制限領域の幅Aw以上となる様に、位置Qj1から位置Qj2までの領域に光ディスク装置により追記を行う。追記を行った後、第2層用パワー調整領域P2のうちの領域Y3でパワー調整を実施する。また、追記の終了位置Qj2のアドレスをプリライト終了位置のアドレス情報として光ディスク100の記録管理領域111に記録する。
【0040】
第2層用パワー調整領域P2で3回目以降のパワー調整を行う際も2回目、3回目と同様にプリライト済領域の終了位置とパワー調整に使用する領域Yiとの間の部分が制限領域の幅Aw以上となる様に、随時追記を行い、追記した終了位置のアドレスをプリライト終了位置のアドレス情報として光ディスク100の記録管理領域111に記録する。プリライト終了位置のアドレス情報は、アドレス値が異なる度ごと又はプリライトを行う度ごとに逐次追加記録していく。ただし、光ディスクが追記型ではこのような逐次追加記録する方法となるが、書換え可能型の場合は上書きしてもよい。
【0041】
ここで、1回のパワー調整毎にプリライト領域PWの追記を行うことにしているが追記する領域サイズは任意であり、パワー調整に使用する領域から、プリライトされている領域までの間の部分が制限領域の幅Aw以下とならなければ良い。言い換えると、プリライト領域PWの長さがパワー調整領域P2とその両側に位置する制限領域A1、A2との和で定義される領域の長さよりも長くなるようにプリライト領域PWの追加記録を行うこととすれば良い。
また、初回のパワー調整に使用する領域Y1から、ディスクメーカによる初期プリライト済領域PX0の外周側端部までの間の部分(Pz1)が制限領域の幅Aw以下となる場合は、初回のパワー調整前に制限領域の幅Awが最低限確保できる領域をプリライト領域PWに追記する必要がある。
【0042】
以上のように、本実施の形態3によれば、第2層目の記録層103に制限領域を設けているので、第2層目の記録層103への記録時にビーム径やディスクの貼り合わせ誤差による影響を受けないディスクを提供することができる。また、第2層用パワー調整の初回分に対応した領域Y1のみをディスクメーカがプリライトすることとしているため、ディスクメーカがディスク作成時にかかる時間を短くすると共に、光ディスク装置でのプリライト量が制限領域を考慮した追記分のみで良い為、光ディスク装置における記録時の立ち上げ時間を短くすることができる。
また、第1層用パワー調整領域と、第2層用パワー調整領域の終了位置を固定せず、制限領域の幅のみで制限している為、パワー調整領域を光ディスク装置によって自由に利用することができる。
【0043】
プリライト終了位置のアドレスを光ディスク100の記録管理領域に記録するようにしているため、光ディスク100のプリライト領域やパワー調整に使用できる領域の範囲及び位置が容易にわかる。
なお、ディスクメーカによってプリライトする領域は、第2層用パワー調整の初回分に対応した領域に限らず、第2層用パワー調整の最初の数回分であってよく、この領域は上記条件を満たす限り適宜設定することができる。
【0044】
実施の形態4.
図7は本発明の実施の形態4に係る記録方法及び装置で用いられる光記録ディスクのパワー調整領域110の構成例を示した図である。図において、プリライト領域PWがディスクメーカによって全く記録されていない事以外は、図6と同様である。
【0045】
本実施の形態4では、ディスクメーカは、ディスク管理領域のプリライト終了位置のアドレス情報として、位置Qsのアドレスを記録する。または、プリライト終了アドレスの情報として全てゼロを記録しても良い。
【0046】
プリライト領域PWがディスクメーカによって全く記録されていない為、第2層用パワー調整領域P2で初回パワー調整を実施するまでに、初回プリライト領域U1をユーザサイドで光ディスク装置により記録する。初回プリライトでは、第2層用パワー調整領域P2での初回パワー調整領域Y1の外周側端部からプリライト終了位置Qmまでの間の部分Pz1が制限領域の幅Aw以上となるような初回プリライト領域U1の幅を定める。また、プリライトを行った後、プリライト終了位置Qmのアドレスをプリライト終了位置のアドレス情報として光ディスク100の記録管理領域111に記録する。
【0047】
初回プリライトを実施した後は、実施の形態3と同様に、第2層用パワー調整領域のパワー調整を実施する領域Yiからプリライト終了位置Qmまでの間の部分が制限領域の幅Aw以下とならないように、随時プリライト領域PWで追記を行いながら、第2層用パワー調整領域におけるパワー調整を行う。
【0048】
以上の様に、本実施の形態4によれば、第2層目の記録層103に制限領域を設けているので、第2層目の記録層103への記録時にビーム径やディスクの貼り合わせ誤差による影響を受けないディスクを提供することができる。また、プリライト領域PWへの記録をディスクメーカが実施せずに、光ディスク装置が実施するため、ディスクメーカがディスク作成にかかる時間を短くすることができる。
【0049】
また、光ディスク装置での初回プリライト領域U1を第2層用パワー調整の初回分の領域Y1に対応した領域のみとし、随時追記を行うようにしているため、光ディスク装置における記録時の立ち上げ時間を短くすることができる。
また、第1層用パワー調整領域と、第2層用パワー調整領域の終了位置を固定せず、制限領域の幅のみで制限している為、パワー調整領域を光ディスク装置によって自由に利用することができる。
プリライト終了位置のアドレスを光ディスク100の記録管理領域に記録するようにしているため、光ディスク100のプリライト領域やパワー調整に使用できる領域の範囲及び位置が容易にわかる。
【0050】
上記の実施の形態1?4において、光ディスクとしては、追記型光ディスク、書換え可能型光ディスク等の記録可能な光ディスクが用いられる。また、2層から構成されるものについて示したが、3層以上であってもよく、その場合、ビーム101(記録光)からみて第1層目以外の層、即ち第2層目以上において、上記の制限領域を設けるようにすればよい。
なお、実施の形態1?4においては、パワー調整領域内に第2層用パワー調整領域を設ける場合について説明したが、当該第2層用パワー調整領域は、パワー調整領域外に設けるようにしてもよい。なお、パワー調整領域外に第2層用パワー調整領域を設ける場合においても、実施の形態1?4と同様に、当該第2層パワー調整領域と制限領域とを合わせた領域に対応する第1層の領域にプリライト領域を設ける。
【0051】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5である光ディスク装置1を示すものである。光ディスク装置1は上位コントローラと接続されており、例えば記録時には、光ディスク装置1のフォーマッタ202は、図示しない上位コントローラからのデータをバッファメモリ210に格納した後、誤り訂正符号を付加し、変調規則に従って変調し、記録データを光ディスク206のフォーマットにしたがって、データの配置を行う。
【0052】
配置された記録データは光ディスク206に記録される前に、最適なマークが形成されるように、パルスストラテジ生成回路203にてパルス列状に変調されて、レーザ駆動回路204の駆動信号として入力され、光ヘッド205を介して光ディスク206にデータが記録される。光ディスク206としては、実施の形態1-4のいずれで用いられる光ディスクであってもよい。
【0053】
光ヘッド205の位置決めは以下のようにして行われる。
光ヘッド205からの再生信号が前置増幅回路207にて増幅され、フォーマッタ202に入力される。入力された信号はフォーマッタ202にてアドレス情報の復号が行われ、光ヘッド205の現在位置が得られる。現在位置にて得られたアドレス情報からアクセス対象のアドレス情報の差分をサーボ回路208に与えることにより、サーボ回路208が光ヘッド205をアクセス対象の位置へ移動させる。
【0054】
データ領域の記録動作には、予め、パワー調整領域110にて試し書きが行われ、記録した領域を再生することにより、再生波形をOPC(最適パワー制御)演算回路209にて評価を行い、評価結果をシステムコントローラ212に供給し、システムコントローラ212でレーザ駆動回路204を制御することにより、記録パワーの最適化が行われる。
【0055】
上記一連の動作の制御は、光ディスク装置1のシステムコントローラ212にて行われ、システムコントローラ212中のプログラムメモリに制御プログラムが格納されている。
【0056】
実施の形態1?4に示される片面2層構造ディスクにおいて、各層でのパワー調整動作を伴う記録動作を図9のフローにて説明する。なお、実施の形態1?4に示されるいずれの光ディスクであっても、図9の同一フローが適用される。
【0057】
まず、パワー調整領域(P1、P2)のアドレス、プリライト終了アドレスを取得するために、光ヘッド205をディスク管理領域および記録管理領域に位置決めし、再生する(S1)。なお、ステップS1においては、ディスク管理領域を再生することにより、プリライト終了アドレスを取得するため、光ディスクが実施の形態1?4で説明したもののいずれであるかの識別は容易にできる。
【0058】
次に、第1層目へのデータ記録の実行中かどうか、即ち第2層目が未記録かどうかの判定をする(S2)。
第2層目が未記録で、第1層目へのデータ記録の実行中と判断した場合(ステップS2のYESの場合)、第1層用パワー調整を実行する位置がプリライト終了位置より径方向外側にあり、かつパワー調整に必要な容量分外側にあるかの判断(S3)を行い、そのような条件が満たされている場合は第1層用パワー調整領域P1にてパワー調整を行い(S4)、第1層目のデータ記録を実行する(S5)。データ記録後は、記録管理領域処理としてプリライト終了位置のアドレス情報を更新せずに終了する(S6)。
【0059】
一方、ステップS3にて第1層用パワー調整を実行する位置とプリライト終了位置により、パワー調整が不可となった場合(ステップS3でNOの場合)には第1層目の記録は不可となり、続くデータ記録は第2層目にて実行するため、第2層用パワー調整領域P2にてパワー調整を行い(S8)、第2層目のデータ記録を実行する(S9)。データ記録後は、記録管理領域処理としてプリライト終了位置のアドレス情報を更新せずに終了する(S6)。
【0060】
ステップS2にて第2層目への記録を実行すべきであると判断された場合(S2のNOの場合)、第2層用パワー調整を実行する位置がプリライト終了位置より径方向内側で、かつ第2層用パワー調整を実行する位置とプリライト終了位置との距離が制限領域A2の幅Awより大きく、第2層用パワー調整領域P2にてパワー調整を実行可能かの判断(S7)を行い、上記の条件が満たされており、パワー調整が可能な場合は、第2層用パワー調整領域P2にてパワー調整を行い(S8)、第2層目のデータ記録を実行する(S9)。データ記録後は、記録管理領域処理としてプリライト終了位置のアドレス情報を更新せずに終了する(S6)。
【0061】
一方、ステップS7の判断にて第2層用パワー調整実行不可の場合は、プリライト終了位置を第1層用パワー調整を実行した位置まで最大拡張可能であるため、実施の形態2乃至4に関して示したようにプリライト終了位置の拡張(プリライト済領域の拡張)を行う(S10)。その後、第2層用パワー調整領域P2にてパワー調整を行い(S8)、第2層目のデータ記録を実行する(S9)。データ記録後は、記録管理領域処理としてプリライト終了位置のアドレス情報の更新を行う(S6)。
【0062】
S10でのプリライト終了位置の拡張方法は、実施の形態2に関して説明したように一度に第1層用パワー調整を実行した位置まで行うことも可能であるが、実施の形態3及び4に関して示したように、プリライト終了位置の拡張時間短縮のため、第2層用パワー調整を実行した場合の位置とプリライト終了位置との距離が制限領域A2の幅Awを最低限確保するようにプリライト終了位置を拡張することも可能である。
【0064】
また、図9のS10でのプリライト終了位置拡張は、記録動作と同期した形を取っているが、光ディスク装置に光ディスクが挿入された時、光ディスク装置が光ディスクにプリライトが実行されていない、あるいは第2層目の記録を想定してプリライト終了位置を拡張させる必要があると予め判断した場合には、その時点にて光ディスク装置がプリライト終了位置を拡張させることも可能である。また、この時のプリライト拡張方法も、一度に実行することも、光ディスク装置の空き処理に複数回に分けて実行することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施の形態で用いられる光ディスクを示した図である。
【図2】実施の形態における光ディスクの記録層とビームの関係を示した図である。
【図3】実施の形態における第1層目と第2層目の位置のズレを示した図である。
【図4】実施の形態1で用いられる光ディスクのパワー調整領域の構成を示した図である。
【図5】実施の形態2で用いられる光ディスクのパワー調整領域の構成を示した図である。
【図6】実施の形態3で用いられる光ディスクのパワー調整領域の構成を示した図である。
【図7】実施の形態4で用いられる光ディスクのパワー調整領域の構成を示した図である。
【図8】実施の形態5における光ディスク装置を示した図である。
【図9】実施の形態5における各記録層でのパワー調整動作フローを示した図である。
【符号の説明】
【0066】
100、206 光ディスク、 101 ビーム、 102 第1層目の記録膜、 103 第2層目の記録膜、 110 パワー調整領域、 111 記録管理領域、 112 互換性用領域、 113 データ記録領域、 114 互換性用領域、 120 光ピックアップの対物レンズ、 202 フォーマッタ、 203 パルスストラテジ生成回路、 204 レーザ駆動回路、 205 光ヘッド、 207 前置増幅回路、 208 サーボ回路、 209 OPC(最適パワー制御)演算回路、 210 バッファメモリ。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録光からみて手前に位置する第1の記録層と、奥に位置する第2の記録層との少なくとも2層を有し、前記記録光によって情報の記録が可能な光ディスクであって、
前記第1の記録層及び前記第2の記録層は、前記情報を各記録層に記録する際に最適な前記記録光のパワーを調整する際に使用するパワー調整領域を各々有し、
前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない制限領域とを加えた領域に対応する前記第1の記録層の位置にプリライト領域を有し、
前記第1の記録層又は前記第2の記録層は、当該光ディスクへの情報の記録に際して使用される情報を記録する記録管理領域を有し、
前記記録管理領域の一部に、前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報が記録された領域を有することを特徴とする光ディスクへの情報の記録を行う記録方法であって、
前記記録管理領域から前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報を読み取る工程と、
読み取られた前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報に基づいて、前記プリライト領域をプリライトする必要が有るか否かを判断するプリライト判断工程と、
前記プリライト判断工程において、プリライトが必要と判断された場合に、当該プリライト領域の記録を行うプリライト工程と、
前記第2の記録層の前記パワー調整領域に対して、前記最適記録パワー調整を行う工程と、
前記プリライト工程において、プリライト領域の記録を行った場合に、前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報を更新する工程と、
前記調整された最適記録パワーによって前記情報の記録を行う工程と
を備えることを特徴とする記録方法。
【請求項2】
記録光からみて手前に位置する第1の記録層と、奥に位置する第2の記録層との少なくとも2層を有し、前記記録光によって情報の記録が可能な光ディスクであって、
前記第1の記録層及び前記第2の記録層は、前記情報を各記録層に記録する際に最適な前記記録光のパワーを調整する際に使用するパワー調整領域を各々有し、
前記第1の記録層は、
前記第2の記録層のパワー調整領域と、該パワー調整領域に隣接する領域であって該領域に対応する前記第1の記録層の領域が記録済みとなるまで情報の記録がされない制限領域とを加えた領域に対応する前記第1の記録層の位置にプリライト領域を有し、
前記第1の記録層又は前記第2の記録層は、当該光ディスクへの情報の記録に際して使用される情報を記録する記録管理領域を有し、
前記記録管理領域の一部に、前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報が記録された領域を有することを特徴とする光ディスクへの情報の記録を行う記録装置であって、
前記記録管理領域から前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報を読み取る手段と、
読み取られた前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報に基づいて、前記プリライト領域をプリライトする必要が有るか否かを判断するプリライト判断手段と、
前記プリライト判断手段において、プリライトが必要と判断された場合に、当該プリライト領域の記録を行うプリライト手段と、
前記第2の記録層の前記パワー調整領域に対して、前記最適記録パワー調整を行う手段と、
前記プリライト手段において、プリライト領域の記録を行った場合に、前記プリライト領域の記録最終端のアドレス情報を更新する手段と、
前記調整された最適記録パワーによって前記情報の記録を行う手段とを備える記録装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-12-15 
出願番号 特願2005-339976(P2005-339976)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山澤 宏五貫 昭一ゆずりは 広行  
特許庁審判長 丹治 彰
特許庁審判官 井上 信一
関谷 隆一
登録日 2008-06-06 
登録番号 特許第4134156号(P4134156)
発明の名称 記録方法及び記録装置  
代理人 前田 実  
代理人 篠原 昌彦  
代理人 篠原 昌彦  
代理人 前田 実  
代理人 山形 洋一  
代理人 山形 洋一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ