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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1296427
審判番号 不服2013-20580  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-23 
確定日 2015-01-15 
事件の表示 特願2006-270793「磁気共鳴イメージング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月24日出願公開、特開2007-125374〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成18年10月2日((優先日:平成17年10月5日、出願番号:特願2005-292580号)の出願であって、平成24年12月3日に手続補正がなされたが、平成25年7月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成25年10月23日付けの手続補正の補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成25年10月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の請求項に記載された発明
平成25年10月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、特許請求の範囲の減縮を目的として、以下のように補正された。
「被検体を載置する天板と、この天板を長手方向(z軸方向)に移動させる天板駆動機構と、この天板駆動機構に制御信号を与えて前記天板の移動速度を制御するコンピュータとを備え、前記天板を連続的に移動させながら前記被検体の撮影を行なう磁気共鳴イメージング装置において、
前記天板駆動機構を制御して、前記天板を移動させる天板移動速度制御手段と、
前記天板を移動させながら核磁気共鳴信号からなる3Dデータを収集するデータ収集手段と、
前記データ収集手段による前記3Dデータの収集と並行して、前記データ収集手段で収集した3Dデータのうち一部の2Dデータを基に2D画像を取得する2D画像取得手段と、
前記データ収集手段による前記3Dデータの収集と並行して、前記2D画像を表示させる表示制御手段と、を有し、
前記2D画像取得手段は、前記データ収集手段で収集した3Dデータのうち、“ky=0”のkyに関する2Dデータを取得する2Dデータ取得手段と、この2Dデータ取得手段で取得した2Dデータをz軸方向にフーリエ変換し、kx-zのハイブリッド空間にて再配置する2Dデータ再配置手段と、この2Dデータ再配置手段でkx方向に揃ったzデータについて1次元フーリエ変換を行ない、実空間の2D画像を取得する2D画像再構成手段とを有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。」

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。

2.引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、米国特許出願公開第2002/0173715号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(当審注:訳は引用文献1のファミリー文献である特表2004-527301号公報の該当箇所を採用した。)
(a)「[0003] The field of the invention is magnetic resonance angiography (“MRA”), and particularly, studies of the human vasculature using contrast agents which enhance the NMR signals.」
(訳)「[0003]本発明の分野は、磁気共鳴血管造影法(「MRA」)であり、詳しくは、NMR信号を増幅する造影剤を使用するヒトの脈管系の研究である。」
(b)「[0010] The present invention is a method for acquiring an MR image from an extended field of view in which the patient table is continuously moved during the scan. The acquired MRI data is motion corrected to a common table reference position and a single, seamless MR image is reconstructed. MRI data acquired during the scan may be used to reconstruct images in real-time that enable the operator to monitor the progress of the contrast bolus and to adjust the speed of the table motion accordingly to insure peak contrast throughout the scan.」
(訳)「[0010]本発明は、スキャン中に患者テーブルを連続的に移動させて拡大視野からMR画像を取得する方法である。取得されたMRI画像は、一般テーブル標準位置に合わせて移動について補正され、継ぎ目のない単一のMR画像が再構成される。スキャン中に取得されたMRIデータを使用すると、オペレータが造影剤ボーラスの進行を監視し、そしてそれに従って全スキャンを通してピークコントラストを保証するためにテーブルの移動速度を調整することが可能になるので、リアルタイムで画像を再構成することができる。」
(c)「[0033] The system control 122 includes a set of modules connected together by a backplane. These include a CPU module 119 and a pulse generator module 121 which connects to the operator console 100 through a serial link 125. It is through this link 125 that the system control 122 receives commands from the operator which indicate the scan sequence that is to be performed. The pulse generator module 121 operates the system components to carry out the desired scan sequence. It produces data which indicates the timing, strength and shape of the RF pulses which are to be produced, and the timing of and length of the data acquisition window. The pulse generator module 121 connects to a set of gradient amplifiers 127, to indicate the timing and shape of the gradient pulses to be produced during the scan. The pulse generator module 121 also receives patient data from a physiological acquisition controller 129 that receives signals from a number of different sensors connected to the patient, such as ECG signals from electrodes or respiratory signals from a bellows. And finally, the pulse generator module 121 connects to a scan room interface circuit 133 which receives signals from various sensors associated with the condition of the patient and the magnet system. It is also through the scan room interface circuit 133 that a patient positioning system 134 receives commands from the pulse generator module 121 to move the patient through the scanner to perform the scan in accordance with the present invention. The current position of the table at any time during the scan is read into the system control 122 and is used to adjust the acquired NMR data according to the present invention as will be described in more detail below. The operator can control the operation of the patient positioning system 134 through the keyboard and control panel 102. This includes controlling the velocity of table motion during the scan.」
(訳)「[0033]システムコントロール122には、バックプレーンによって一緒に接続される一連のモジュールが含まれる。これらのモジュールには、CPUモジュール119とパルス発生器モジュール121などが含まれる。パルス発生器モジュール121は、シリアルリンク125を通じてオペレータコンソール100と接続する。システムコントロール122は、オペレータから実行すべきスキャンシーケンスを示すコマンドを、このリンク125を通じて受け取る。パルス発生器モジュール121は、システム構成要素を動作させて所望のスキャンシーケンスを実行する。パルス発生器モジュール121は、発生させるRFパルスのタイミング、強度、および形状、ならびにデータ取得ウィンドウのタイミングと長さを示すデータを生成する。パルス発生器モジュール121は、一連の勾配増幅器127と接続して、スキャン中に発生する勾配パルスのタイミングと形状を示す。さらに、パルス発生器モジュール121は、生理的取得コントローラ129から患者のデータを受信する。生理的取得コントローラ129は、患者に接続されたいくつかの異なるセンサーから信号を受信する。これらの信号には、電極からのECG信号またはベローからの呼吸信号などがある。最終的には、パルス発生器モジュール121は、患者およびマグネットシステムの状態と対応した様々なセンサーからの信号を受信するスキャンルームインターフェース回路133と接続する。患者位置合わせシステム134が、本発明によるスキャンを実施する目的でスキャナを通して患者を移動させるためにパルス発生器モジュール121からのコマンドを受信するのも、スキャンルームインターフェース回路133を通してである。スキャン中のいずれかの時点のテーブルの現在位置はシステムコントロール122内に読み込まれ、これを使用して以下でより詳細に説明されるように本発明により取得されたNMRデータが調整される。オペレータは、キーボードおよびコントロールパネル102を通して患者位置合わせシステム134の操作を制御できる。これには、スキャン中のテーブル移動速度の制御も含まれる。」
(d)「[0053] Referring again to FIG. 5, after each view is acquired and stored during the scan, data in the data matrix 16 may be employed to reconstruct a two-dimensional monitor image as indicated at process block 272. Real-time images are thus produced for the operator who can use the information therein to control the scanning process. In addition to changing the usual scan parameters, the operator can adjust the table velocity as indicated at process block 274. This might be done, for example, to better match the speed at which the contrast bolus is moving through the extended field of view FOVtot.
[0054] The real-time 2D monitor image may be produced in a number of ways. The preferred method is to reconstruct a full maximum intensity pixel (MIP) projection through the image stack as the data is being acquired. Unlike typical static 3D image acquisitions, a partial 3D data set can be reconstructed as the hybrid matrix fills. For Nz slices and Ny phase encodes in Y, Ny Fourier transforms in the Z direction and Nz Fourier transforms in the Y direction can be performed with each TR. Each set of these described Fourier transform sets in Z and Y (including the previous transform in X) provide a partial 3D image set that is of one pixel length in the X direction. Ny pixels in the Y direction and Nz pixels in the Z direction. The maximum pixel value of a projection through this partial image set as well as earlier partial data sets can be found at the same time. The projection may be in the Z direction directly or in oblique angles through previously reconstructed partial image sets. The 2D MIP images can be displayed on the real-time monitor as each portion of the 3D data set is filled. Also, specific individual slices from the 3D data set can be viewed in real time rather than the MIP projection.
[0055] Alternatively the same process can be performed before the hybrid matrix is completely filled. No matter what phase encoding strategy is used, the phase encode order will periodically return to the center of k-space during the acquisition. Images viewed would possibly have a lower spatial resolution (in Y and Z) but would be more temporally recent than allowing full hybrid space filling.
[0056] These real-time 2D or low resolution 3D images may be used to monitor scan progress. This not only includes the physical position of the acquisition on the patient at that time but can be used to monitor the contrast bolus itself. The bolus time-position information can be used to reduce or possibly increase the velocity of the scan during the runoff study.」
(訳)「[0053]再び図5を参照すると、スキャン中に各ビューが取得されて格納された後、工程ブロック272で示したようにデータマトリックス16内のデータを使用して二次元モニター画像を再構成することができる。そこでリアルタイム画像が作成され、オペレータはその情報を使用してスキャン工程を制御することができる。通常のスキャンパラメータを変更することに加えて、オペレータは工程ブロック274で示したようにテーブル速度を調整することができる。これは、例えば造影剤ボーラスが全拡大視野FOVtotを通して移動する速度に良好に適合させるために実施できる。
[0054]リアルタイム2Dモニター画像はいくつかの方法で作成できる。好ましい方法は、データが取得されるにつれて画像スタックを通して完全最高強度ピクセル(MIP)投影を再構成する方法である。典型的な静的3D画像取得とは相違して、ハイブリッドマトリックスが充填されるにつれて部分3Dデータセットを再構成することができる。Y軸におけるNzスライスおよびNy位相に対して、Z方向におけるNyフーリエ変換およびY軸方向におけるNzフーリエ変換は各TRを用いて実行できる。Z軸およびY軸における各セットのこれらの上記のフーリエ変換セット(X軸における以前の変換を含む)はX軸方向における1ピクセル長の画像セットである部分3D画像セットを提供する。NyピクセルはY軸方向、NzピクセルはZ軸方向である。この部分画像セット並びに初期の部分データセットを通して投影の最高ピクセル値を同時に見つけることができる。投影はZ軸方向へ直接に、または以前に再構成された部分画像セットを通して傾斜角であってよい。2D MIP画像は、3Dデータセットの各部分が充填されるにつれてリアルタイムモニター上に描出できる。同様に、3Dデータセットからの特定の個別スライスは、MIP投影ではなくむしろリアルタイムで視認することができる。
[0055]あるいはまた、ハイブリッドマトリックスが完全に充填される前に同一工程を実施することもできる。たとえ位相コード化戦術を使用しても、位相コード順序は取得中にk空間の中心へ周期的に戻るであろう。視認された画像はおそらくより低い空間分解能(Y軸およびZ軸において)を有するであろうが、完全ハイブリッド空間充填を許容するよりも時間的に新しいであろう。
[0056]これらのリアルタイム2Dもしくは低分解能3D画像を使用するとスキャンの進行を監視できる可能性がある。これはその時点での患者上の取得の物理的位置を含むだけではなく、造影剤ボーラス自体を監視するためにも使用できる。ボーラスの時間位置情報を使用するとランオフ(runoff)試験中のスキャン速度を低下させる、またはもしかすると上昇させることもできる。」
(e)「FIG.5
(当審注:図面は省略し訳図のみ示す。)」
(訳)「【図5】



これらの記載事項を含む引用文献1全体の記載及び当業者の技術常識を総合すれば、引用文献1には、以下の発明が記載されている。
「スキャン中に患者テーブルを連続的に移動させて拡大視野からMR画像を取得する装置であって、
オペレータは、キーボードおよびコントロールパネルを通してスキャン中のテーブル移動速度を制御でき、
スキャン中に各ビューが取得されて格納された後、データマトリックス内のデータを使用して二次元モニター画像を再構成することができ、そこでリアルタイム画像が作成され、オペレータはその情報を使用してテーブル速度を調整することができ、それにより造影剤ボーラスが全拡大視野FOVtotを通して移動する速度に良好に適合させ、
2D画像は、3Dデータセットの各部分が充填されるにつれてリアルタイムモニター上に描出でき、3Dデータセットからの特定の個別スライスは、リアルタイムで視認することができる、
MR画像を取得する装置。」(以下「引用発明」という。)

3.対比
補正発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「患者」、「テーブル」及び「MR画像を取得する装置」は、それぞれ補正発明の「被検体」、「天板」及び「磁気共鳴イメージング装置」に相当する。
引用発明が補正発明の「天板を長手方向(z軸方向)に移動させる天板駆動機構」、「この天板駆動機構に制御信号を与えて前記天板の移動速度を制御するコンピュータ」、「天板を連続的に移動させながら前記被検体の撮影を行なう構成」、「前記天板駆動機構を制御して、前記天板を移動させる天板移動速度制御手段」及び「前記天板を移動させながら核磁気共鳴信号からなる3Dデータを収集するデータ収集手段」に相当する構成を有することは、引用発明が「スキャン中に患者テーブルを連続的に移動させて拡大視野からMR画像を取得する装置であって、オペレータは、キーボードおよびコントロールパネルを通してスキャン中のテーブル移動速度を制御でき」ること及び当業者の技術常識に照らせば自明である。
(2)引用発明の「リアルタイムモニター上に描出でき」る「2D画像」は、補正発明の「2D画像」に相当する。そして、引用発明の「3Dデータセットからの特定の個別スライス」からなる「2D画像」は、補正発明の「3Dデータのうち一部の2Dデータを基に取得する2D画像」に相当する。
したがって、引用発明は補正発明の「2D画像取得手段」に相当する構成を有する。
そして、引用発明において2D画像が「リアルタイムで視認することができる」こと、及び引用文献1の図5(上記摘記事項(e)参照)において、モニター画像の再構成(272)がビューを取得するループ内で行われていることに照らせば、引用発明の「2D画像取得手段」が「3Dデータの収集と並行して」「2D画像を取得する」のは明らかである。
(3)引用発明の「2D画像」を「リアルタイムモニター上に描出」する構成は補正発明の「2D画像を表示させる表示制御手段」に相当し、引用発明が「データ収集手段による3Dデータの収集と並行して、2D画像を表示させる」ことは、引用発明の「リアルタイム画像が作成され、オペレータはその情報を使用してテーブル速度を調整することができ、それにより造影剤ボーラスが全拡大視野FOVtotを通して移動する速度に良好に適合させ」る構成に照らして自明である。
(4)引用発明が補正発明の「フーリエ変換を行ない、実空間の2D画像を取得する2D画像再構成手段」に相当する構成を有することは、引用発明が2D画像をモニター上に描出こと及び当業者の技術常識から自明である。

してみると両者は、
「被検体を載置する天板と、この天板を長手方向(z軸方向)に移動させる天板駆動機構と、この天板駆動機構に制御信号を与えて前記天板の移動速度を制御するコンピュータとを備え、前記天板を連続的に移動させながら前記被検体の撮影を行なう磁気共鳴イメージング装置において、
前記天板駆動機構を制御して、前記天板を移動させる天板移動速度制御手段と、
前記天板を移動させながら核磁気共鳴信号からなる3Dデータを収集するデータ収集手段と、
前記データ収集手段による前記3Dデータの収集と並行して、前記データ収集手段で収集した3Dデータのうち一部の2Dデータを基に2D画像を取得する2D画像取得手段と、
前記データ収集手段による前記3Dデータの収集と並行して、前記2D画像を表示させる表示制御手段と、
フーリエ変換を行ない、実空間の2D画像を取得する2D画像再構成手段とを有する磁気共鳴イメージング装置。」
の点で一致し、次の点で相違している。

(相違点)
2D画像取得手段が、補正発明では「データ収集手段で収集した3Dデータのうち、“ky=0”のkyに関する2Dデータを取得する2Dデータ取得手段と、この2Dデータ取得手段で取得した2Dデータをz軸方向にフーリエ変換し、kx-zのハイブリッド空間にて再配置する2Dデータ再配置手段」を有し、「この2Dデータ再配置手段でkx方向に揃ったzデータについて1次元フーリエ変換を行ない、実空間の2D画像を取得する」のに対して、引用発明がどのように実空間の2D画像を取得するのか明らかでない点。

4.判断
(1)相違点に関する判断
上記相違点について検討する。
磁気共鳴イメージング装置の画像空間としてk空間を用いることは周知技術であること、引用文献1には当該k空間と実空間とのハイブリッド空間について示唆されていること(上記摘記事項(d)参照)等を考慮すれば、引用発明の「2D画像取得手段」にk空間を含むハイブリッド空間を用いることに格別の困難性はない。
また、引用発明が3Dデータセットの特定の個別スライスから2D画像を得ていることに鑑みれば、上記ハイブリッド空間の特定のk座標を一定にすることによって2D画像を得ることにも、特段の阻害要因はない。そして、本願の明細書及び図面を参酌する限りにおいて、ky=0を選択することに格別の技術的意義は認められず、それはk空間の特性等を考慮して、当業者が適宜選択しうる事項である。
さらに、3次元空間のデータをフーリエ変換する際に、先ず特定の次元に対してフーリエ変換を行い、その後に残った次元に対してフーリエ変換を行うことによって実空間のデータを得ることは、ソフトウエアやハードウエアの処理の負担や速度等に応じて、ごく普通に行われている周知技術である。
してみると、引用発明に上記相違点に係る構成を採用することは、当業者が容易になしうる事項である。
(2)補正発明の効果
補正発明全体の効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。

したがって、補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.小括
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明について
平成25年10月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成24年12月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「被検体を載置する天板と、この天板を長手方向(z軸方向)に移動させる天板駆動機構と、この天板駆動機構に制御信号を与えて前記天板の移動速度を制御するコンピュータとを備え、前記天板を連続的に移動させながら前記被検体の撮影を行なう磁気共鳴イメージング装置において、
前記天板駆動機構を制御して、前記天板を移動させる天板移動速度制御手段と、
前記天板を移動させながら核磁気共鳴信号からなる3Dデータを収集するデータ収集手段と、
前記データ収集手段による前記3Dデータの収集と並行して、前記データ収集手段で収集した3Dデータのうち一部の2Dデータを基に2D画像を取得する2D画像取得手段と、
前記データ収集手段による前記3Dデータの収集と並行して、前記2D画像を表示させる表示制御手段と、を有し、
前記2D画像取得手段は、前記データ収集手段で収集した3Dデータのうち、“ky=一定”のkyに関する2Dデータを取得する2Dデータ取得手段と、この2Dデータ取得手段で取得した2Dデータをz軸方向にフーリエ変換し、kx-zのハイブリッド空間にて再配置する2Dデータ再配置手段と、この2Dデータ再配置手段でkx方向に揃ったzデータについて1次元フーリエ変換を行ない、実空間の2D画像を取得する2D画像再構成手段とを有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。」(以下「本願発明」という。)

1.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物及びその記載内容は、前記「第2」の「2.」に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した補正発明の「“ky=0”」を「“ky=一定”」と拡張したものである。
そうすると、本願発明の構成をすべて含み、更に限定したものに相当する補正発明が、前記「第2」の「4.」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-17 
結審通知日 2014-11-18 
審決日 2014-12-02 
出願番号 特願2006-270793(P2006-270793)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右▲高▼ 孝幸  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 平田 佳規
渡戸 正義
発明の名称 磁気共鳴イメージング装置  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  

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