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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1296440
審判番号 不服2014-71  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-06 
確定日 2015-01-15 
事件の表示 特願2009-197447「電子機器、通信制御装置、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月10日出願公開、特開2011- 48702〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成21年8月27日を出願日とする出願であって、平成24年6月20日付けで審査請求がなされ、平成25年6月24日付けで拒絶理由通知(同年7月2日発送)がなされ、これに対して同年8月29日付けで手続補正書・意見書が提出されたが、同年9月24日付けで拒絶査定(同年10月1日発送)がなされた。
これに対して、「原査定を取り消す。この本願の発明は特許をすべきものとする、との審決を求める。」ことを請求の趣旨として平成26年1月6日付けで本件審判請求がなされた。


2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」と言う。)は、上記平成25年8月29日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「第1の通信網に接続される第1の通信インタフェースと、
前記第1の通信網とは異なる第2の通信網に接続される第2の通信インタフェースと、
前記第1および第2の通信網の何れか一方から他方へと送信されるデータの転送制御をファームウェアにしたがって実行するとともに、当該通信制御装置に付与する新たな機能を実現するための処理手順を所定のスクリプト言語を用いて記述した機能拡張用スクリプトを読み込んで実行し、前記新たな機能を実現するスクリプト実行処理を実行する制御部と
を有することを特徴とする通信制御装置。」


3 引用例

(1) 引用例1

ア 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された、本願の出願日前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2007-114984号公報(平成19年5月10日公開。以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

イ 引用例1記載事項

A.「【請求項4】
ネットワークを利用したファイル転送手段を用いてソフトウェアを更新する手段を備えた情報処理装置であって、
前記ネットワークに接続されている他の情報処理装置に対して送信された通信データを取得する通信データ取得手段と、
前記通信データ取得手段で取得した他の情報処理装置に対して送信された通信データを解析して、ソフトウェアの更新に用いられる通信データを抽出し、情報処理装置のソフトウェアの更新を実行するソフトウェア更新制御手段とを有することを特徴とする情報処理装置。」

B.「【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークに接続された個々の通信装置に対し、ftp(File Transfer Protocol)やtftp(Trivial File Transfer Protocol)等のプロトコルを用いてファームウェアファイルを転送することで、通信装置のファームウェアをバージョンアップしていた。」

C.「【0050】
図10、図11及び図12を参照して、本発明の実施例について説明する。本実施例は、ネットワークルータ等の通信装置に対してファームウェア更新用のデータをftpプロトコルを用いて送信し、当該通信装置のファームウェアの更新を実行するものである。」

ウ 引用発明

(ア)上記Aから、引用例1には、
「ネットワークを利用したファイル転送手段を用いてソフトウェアを更新する手段を備えた情報処理装置であって、
前記ネットワークに接続されている他の情報処理装置に対して送信された通信データを取得する通信データ取得手段と、
前記通信データ取得手段で取得した他の情報処理装置に対して送信された通信データを解析して、ソフトウェアの更新に用いられる通信データを抽出し、情報処理装置のソフトウェアの更新を実行するソフトウェア更新制御手段とを有する情報処理装置。」が記載されていると言える。

(イ)上記Aの「ファイル転送手段を用いてソフトウェアを更新する」という記載、及び、上記Bの「ファームウェアファイルを転送することで、通信装置のファームウェアをバージョンアップしていた」という記載から、引用例1における「ソフトウェアの更新」と「ソフトウェアのバージョンアップ」とは同義であることが読み取ることができる。

(ウ)上記Aの「ネットワークを利用したファイル転送手段を用いてソフトウェアを更新する手段を備えた情報処理装置」及び「ネットワークに接続されている他の情報処理装置」という記載から、引用例1における「情報処理装置」が「ネットワークに接続されている」ことは明らかである。さらに、上記Bの「ネットワークに接続された個々の通信装置」、上記Cの「ネットワークルータ等の通信装置」という記載、及び上記Cに記載されている図10に、「通信装置200」が、「LANインターフェース部6」、「WANインターフェース部7」、及び「ルータ部12」とを備えた構成図が記載されている点から、引用例1における「情報処理装置」が「LAN及びWANに接続されているネットワークルータ」を含むものであることが読み取れる。

(エ)したがって、引用例1には、次の事項によって特定される発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ネットワークを利用したファイル転送手段を用いてソフトウェアのバージョンアップをする手段を備えたネットワークルータであって、
前記ネットワークはLAN又はWANであり、前記LANに接続されるLANインタフェース及びWANに接続されるWANインターフェースと、
前記ネットワークに接続されている他の情報処理装置に対して送信された通信データを取得する通信データ取得手段と、
前記通信データ取得手段で取得した他の情報処理装置に対して送信された通信データを解析して、ソフトウェアのバージョンアップに用いられる通信データを抽出し、ネットワークルータのソフトウェアのバージョンアップを実行するソフトウェア更新制御手段とを有するネットワークルータ。」

(2) 引用例2

ア 原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された、本願の出願日前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特表2002-505492号公報(平成14年2月19日公開。以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

イ 引用例2記載事項

D.「【0008】
発明の要旨
本発明では、電子画像装置においてソフトウェアにより駆動される機能を動的に更新するためのシステムおよび方法を開示する。電子画像装置のユーザは、電子画像装置に内蔵された基本的アプリケーションプログラムでは支援されない種々の機能を使いたいと思う場合がある。本発明において、ユーザは、基本的アプリケーションプログラムを補うために、着脱式メモリデバイスを選択する。次にユーザは着脱式メモリデバイスを電子画像装置の外部コネクタに挿入する。すると電子画像装置のコンピュータは、実行可能なソフトウェア項目を求めて着脱式メモリデバイスを自動的に走査し、必要に応じて種々のメニューでそれらの項目を表示する。次にユーザは、電子画像装置のコンピュータを再ブートしなくても、それらの項目を選択して実行することが可能である。」

E.「【0036】
図7を参照すると、着脱式メモリ354のフラッシュディスク710のメモリマップが示される。フラッシュディスク710は従来のフロッピーディスクのものと同様のセクタ形式に構成されたメモリである。フラッシュディスク710は、複数の画像データファイル720,722と、複数の実行可能ファイルを含む。本発明の望ましい実施例において、3種類の実行可能ファイルが直接関連し、これらは、フラッシュディスク710上にSYSTEMという名で保存される。これら3種類の実行可能ファイルは、それぞれの固有ファイル名拡張子で識別し得る。それらは、ファイル名拡張子.cam(カメラアプリケーションモジュール)、.csm(カメラスクリプトモジュール)732および.cmm(カメラメニューモジュール)730を有するファイルである。拡張子.cam730のファイルはアプリケーションプログラムであり、図4の説明ですでに定義したような同時アプリケーションプログラムか代替アプリケーションプログラムの2つの形態のいずれかであり得る。.cam730ファイルのいずれの形態もシステム内に動的にリンクされ得る。拡張子が.csmのファイルはスクリプトである。スクリプトファイルは、頻繁に繰返される一連の機能の実行にあるいは特定の用途にカメラ110をカスタマイズする場合に便利である。拡張子が.cmm734のファイルは、制御アプリケーションの機能性を拡張するモジュール化機能である。.cmmファイルは、システムに動的にリンクされるソフトウエアの実行可能コードの一部であり、定義された入口点を有する。
【0037】
これらの3種類の実行可能ファイルは、特定の構造的特徴を共通に有する。.csm732と.cmm734は、メニューセットと、メニュー名と、メニューの項目名の3つの項目を含む。メニューセットは、追加機能を表示するモードで、図6の説明ですでに概要を説明したように、巻き戻しモード、再生モード、およびキャプチャモードから成る。メニュー名は、追加機能を表示する固有のメニューである。メニュー名の例としては、『巻き戻しモード』の固有のメニューである『編集』などがある。メニュー項目名は、固有のメニューで表示される追加機能の名称である。編集メニューに表示されるかかる機能の一例は『著作権の注意書きを挿入』などである。」

F.「【0047】
図11を参照すると、ユーザが選択したソフトウェア機能の実行のプロセスステップのフローチャートが示される。図11に示した事象が起こる前に、着脱式メモリ354(図3参照)はホットマウントされ、動的メニュー編成データ構造540(図5参照)は図8に図示されるように更新され、着脱式メモリ354上に保存された追加ソフトウェア機能を参照する。動的メニュー編成データ構造540に参照されたソフトウェア機能は、これでメニューに表示できるようになり、ユーザによって選択できる。しかし、該機能のソフトウェアコードは、ユーザが所望の機能を選択するまでは着脱式メモリ354からDRAM346にはロードされない。これにより、所要DRAM346量が減少する。」

G.「【0049】
ステップ1130で、ソフトウェア機能がスクリプト、望ましい実施形態では.csm732の種類、であると判断された場合、ステップ1132で、スクリプトはDRAM346にロードされる。スクリプトはソースコードであり、実行可能なオブジェクトコードではないため、ステップ1134で、スクリプト管理プログラム430がスクリプトを解釈し、それによってスクリプトを実行する。スクリプト実行後、ステップ1136で、スクリプトに占められたDRAM346領域は、再使用されるために割当を解除され、プロセスがステップ1170で完了する。」

(3) 参考文献1

ア 本願の出願日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、国際公開2008/054875号(2008年5月8日公開。以下、「参考文献1」という。)には、関連する図とともに、次の記載がある。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。また、訳はパテントファミリーである特表2009-538059号公報を参酌した。)

イ 参考文献1記載事項

H.「FIELD OF THE INVENTION
[0002] Network point of access detection and use is disclosed, and more particularly a system and method for determining suitability of a given wireless network for access and use are disclosed, which can be fully-configurable and incrementally-updatable using configuration information, including network profiles and scripting functions, which configuration information can be used to dynamically configure a client device to conduct usability tests to determine usability status of network points of access, such usability status for use in selecting a point of access, and storage of such status information to facilitate subsequent network detection and selection.」
訳:「(発明の分野)
[0002]ネットワークアクセスポイントの検出および使用を開示し、より詳細には、ネットワークプロファイルおよびスクリプト機能を含み、設定情報を利用して、全体設定可能かつ付加更新可能な、アクセスおよび使用のために所与のワイヤレスネットワークの適合性を判断するためのシステムおよび方法を開示する。この設定情報は、アクセスのネットワークポイントの使用可能状態を判断するために、使用可能性のテストを実行できるようにクライアントデバイスを動的に設定するために使用でき、こうした使用可能状態は、アクセスポイントの選択に使用され、こうした状態の情報の格納は、後続のネットワークの検出および選択に役立てるためのものである。(特表2009-505214号公報【0002】)」

I.「[0042] Figure 1 provides an architectural overview example of components used in accordance with one or more embodiments of the present disclosure. Client 108 is a wireless-enabled device. A wireless-enabled device can be any device that includes a WiFi chip, for example. Examples of such a device include, but are not limited to, desktop or laptop computer, personal digital assistant, digital camera, mobile phone, automobile, gaming device, consumer electronic equipment, and the like.」
訳:「[0042] 図1は、本発明の1つ以上の実施形態によって使用される構成要素のアーキテクチャの概要の例を示す。クライアント108は、ワイヤレス有効デバイスである。ワイヤレス有効デバイスは、例えば、WiFiチップを含む任意のデバイスであってもよい。こうしたデバイスの例には、デスクトップまたはラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、デジタルカメラ、携帯電話、自動車、ゲーム機、消費電化機器等を含むが、これらに限定されない。(特表2009-505214号公報【0019】)」

J.「[0049] Operating software platform 158 includes program code executable by CPU 151 to control the operations of client 108. Parser/Interpreter 159 includes program code executable by CPU 151 to interpret information contained in configuration 156. Changes to configuration 156 interpreted by parser/interpreter 159 can result in changes in behavior for client 108, so as to dynamically configure client 108 without modifying operating software platform 158. Configuration 156, and updates thereto, can be received by client 108 from server 130, for example. In accordance with one or more disclosed embodiments, configuration 156 is written using a markup language, e.g., an extensible markup language (``XML''), and includes interpretable functions defined using elements of a scripting language. Appendix A provides specification of a format of a configuration which can be used in accordance with disclosed embodiments. Appendix B comprises a specification of elements of a scripting language, an XML Connection Control Script (XCoCoS) language, which can be used in accordance with disclosed embodiments.」
訳:「[0049] 動作中のソフトウェアのプラットフォーム158は、クライアント108の動作を制御するためにCPU151によって実行可能なプログラムコードを含む。パーサ/インタプリタ159は、設定156に含まれる情報を解釈するためにCPU151によって実行可能なプログラムコードを含む。パーサ/インタプリタ159によって解釈される設定156への変更によって、動作中のソフトウェアのプラットフォーム158を修正することなく、クライアント108を動的に設定するように、クライアント108のビヘイビアが変更される。設定156、および設定156への更新は、例えばサーバ130からクライアント108によって受信可能である。1つ以上の開示された実施形態によって、設定156は、マークアップ言語、例えば、拡張可能マークアップ言語(「XML」)を使用して記述され、スクリプト言語の要素を使用して定義される解釈可能な機能を含む。付録Aに、開示された実施形態によって使用可能な設定のフォーマットについて指定する。また、付録Bで開示された実施形態によって使用可能なスクリプト言語、XML接続制御スクリプト(XCoCoS)言語の要素について指定する。(特表2009-505214号公報【0026】)」

K.「[0050] Examples of configuration 156 include, without limitation, parameters used to control incremental updates, software function control identifiers used to identify software functions available to a user, credential(s), script(s), profile(s), profile filter(s), network list(s), location(s), location filter(s), and a default configuration. A credential can be used to identify login information (e.g., username, password, certificate, etc.). A script can contain one or more functions, which can be written using a scripting language and includes statements that can be parsed and interpreted by parser/interpreter 159 to execute some functionality.」
訳:「[0050] 設定156の例は、追加的な更新を制御するために使用されるパラメータ、ユーザが利用可能なソフトウェア機能を識別するために使用されるソフトウェア機能制御識別子、信用証明物、スクリプト、プロファイル、プロファイルフィルタ、ネットワークリスト、位置、位置フィルタ、およびデフォルト設定が含まれるが、これらに限定されない。信用証明物は、ログイン情報(例えば、ユーザ名、パスワード、証明書等)を識別するために使用可能である。スクリプトは、スクリプト言語を使用して記述可能であり、いくつかの機能性を実行するためにパーサ/インタプリタ159によって解析および解釈可能な宣言を含む、1つ以上の機能を含むことができる。(特表2009-505214号公報【0027】)」

L.「[00152] A capability primitive allows a function to determine what functions the host application and OS can provide. The GetCap primitive returns a capability string or group of capability strings that describe what functionality the software can perform. A script can run on various platforms with different capabilities, and/or to use different software implementations, and dynamically determine what it features and operations it can perform using the gained information.」
訳:「[00152] 機能プリミティブによって、機能は、ホストアプリケーションおよびOSが提供できる機能を判断することができる。GetCapプリミティブは、ソフトウェアが実行可能な機能性を記述する機能の文字列、または機能の文字列のグループを返す。スクリプトは異なる機能を有する様々なプラットフォーム上で実行可能である、および/または異なるソフトウェア実行を利用するために、および、得られた情報を使用して実行可能な機能および動作を動的に決定するために、実行可能である。(特表2009-505214号公報【0129】)」

M.「[00153] If a specific capability or comma separated group of capabilities is given as an input in cap, the given capabilities are returned with their version number. If no capabilities are input, all capabilities and versions are returned. A capability has a name and a version separated by a colon. For the ``cap'' parameter, if a version is not provided, any capability will match. If a version is provided, the exact version will match. For example, the capability to determine that environment variables are available is EnvVar, with the first version being 1, so the full capability will be EnvVar:1. Capability names can be ASCII strings consisting of A-Z, a-z and -, and can be integer numbers greater than 0. A capability and version number can be separated by a colon. Figure 21, which comprises Figures 21A and 21B, provides an example of a GetCap primitive, and examples of capabilities, for use in accordance with one or more embodiments of the present disclosure. It should be apparent that the examples of capabilities is in no way exhaustive, and that capabilities may be added or replaced in accordance with embodiments of the present disclosure.」
訳:「[00153] 特定の機能またはコンマで区切られた機能グループがcapの入力として与えられる場合、そのバージョン番号と共に所与の機能が返る。機能が入力されない場合、すべての機能およびバージョンが返る。機能には、名前およびコロンで区切られたバージョンを有する。「cap」パラメータの場合、バージョンが提供されていない場合、どの機能でも一致する。バージョンが提供されている場合、正しいバージョンが一致する。例えば、環境変数が使用可能であると判断するための機能はEnvVarであり、第1のバージョンは1であるため、フル機能はEnvVar:1である。機能名はAからZ、aからzおよび-を含むASCII文字列にすることができ、0よりも大きい整数にすることができる。機能およびバージョン数は、コロンで区切ることが可能である。図21Aおよび図21Bを含む図21は、本発明の1つ以上の実施形態で使用するために、GetCapプリミティブの例、および機能の例を示す。機能の例は包括的なものではなく、本発明の実施形態によって機能を追加または置換してもよいことが明らかである。(特表2009-505214号公報【0130】)」

N.「[00154] Embodiments of the present disclosure provide a capability to update configuration 156, which updates can be performed on all or a portion of configuration 156. For example, server 130 of Figure 1A can transmit an initial configuration to client 108, and thereafter transmit only that portion of configuration 156 that is to be updated. To illustrate, suppose that a network operator for one or more instances of wireless network 102 modifies its authentication, association or connection procedures. Server 130 can transmit modified script functions to re-configure client 108. To illustrate, a configuration update from server 130 can identify a profile by its id, and indicate an operation such as ``Remove'' or ``Add''. In the case of a ``Remove'' operation, the identified profile is removed from configuration 156. In the case of an ``Add'' and the profile already exists in configuration 156, the profile is updated based on the configuration update transmitted by server 130. In a case of an ``Add'' and the profile did not exist in configuration 156, the profile is added to configuration 156.」
訳:「[00154] 本発明の実施形態は、設定156を更新するための機能を提供し、これによって、すべての設定156上で更新を実行可能である。例えば、図1Aのサーバ130は、クライアント108へ初期設定を伝送可能であり、その後、更新される設定156の部分のみを伝送する。これを説明するために、ワイヤレスネットワーク102の1つ以上のインスタンスのためのネットワークオペレータがその認証、関連または接続手順を修正すると仮定する。サーバ130は、クライアント108を再設定するために修正されたスクリプト機能を伝送することができる。これを説明するために、サーバ130からの設定更新は、そのIDによってプロファイルを識別することができ、「Remove」または「Add」等の動作を示す。「Remove」動作の場合、識別されたプロファイルが設定156から除去される。「Add」の場合、およびプロファイルが設定156に既に存在する場合には、プロファイルは、サーバ130によって伝送された設定更新に基づいて更新される。「Add」の場合、およびプロファイルが設定156に存在しない場合には、プロファイルは設定156に追加される。(特表2009-505214号公報【0131】)」

(4) 参考文献2

ア 本願の出願日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、国際公開01/37555号(2001年5月25日公開。以下、「参考文献2」という。)には、関連する図とともに、次の記載がある。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

イ 参考文献2記載事項

O.「技術分野
この発明は、衛星を使ったディジタル放送や地上波のディジタル放送を受信するためのディジタル放送の受信装置に用いて好適なディジタル信号処理装置及びシステム、並びに拡張機能の提供方法に関するもので、特に、効率的な設計が行え、設計変更が容易であると共に、新たなサービスの追加や機能アップに容易に対応できるようにしたものに係わる。(第1頁第5?11行目)」

P.「したがって、この発明の目的は、必要な機能をブロック化し、標準化されたバスで繋ぐようにした装置で、拡張機能を提供するためのハードウェアを簡単にバスに接続できるようにしたディジタル信号処理装置及びシステム、並びに拡張機能提供方法を提供することにある。(第4頁第13?16行目)」

Q.「そこで、第11図に示すように、拡張プラグインカード36内のメモリにスクリプトを入れておき、拡張プラグインカード36が装着されると、このスクリプトがホストCPU21の主記憶にアップロードされるようにしている。
つまり、第11図に概念図で示すように、拡張プラグインカード36には、コマンドスクリプトCMDと、コマンドインターフェースCIFと、ドライバDRVが含まれている。新たな拡張プラグインカード36が装着されると、ホストMPU21により拡張プラグインカード36が装着されたことが認識される。それから、この拡張プラグインカード36を動作させるためのコマンドスクリプトCMDがホストCPU21側にアップロードされる。コマンドスクリプトCMDがホストMPU21側にアップロードされると、ホストMPU21側では、新たに装着された拡張プラグインカード36を動作させるためのコマンドを発生できる。
新たに装着された拡張プラグインカード36を動作させるときには、ホストMPU21側のスクリプトエンジンSENGからコマンドが発生され、このコマンドがバス30を介して、拡張プラグインカード36に送られる。拡張プラグインカード36のコマンドインターフェースCIFで、このコマンドが解釈され、ドライバDRVにより、送られてきたコマンドに応じて、ハードウェアが制御される。
例えば、番組を記録/再生できるような機器が拡張プラグインカード36の場合には、第12図に示すように、逆方向送りキー202A、停止キー202B、再生キー202C、早送りキー202D、録画キー202Cの表示に、逆方向送り、停止、再生、早送り、録画を行うためのコマンドCMD11、CMD12、CMD13、CMD14、CMD15を埋め込んだようなスクリプトがハイパーテキストで記述される。このようなスクリプトが読み込まれると、ブラウザにより第12図に示すような画面が形成される。そして、キー202A?202Eがクリックされると、埋め込まれていたコマンドが発生され、このコマンドにより、その機器の動作が制御される。
第13図及び第14図は、このときの処理を示すフローチャートである。第13図において、拡張プラグインカード36が装着されると(ステップS1)、拡張プラグインカード36が装着されたことがホストMPU21で判断され(ステップS2)、このプラグイン拡張カード36がどのようなカードであるか確認できるか否かが判断される(ステップS3)。拡張プラグインカード36が認識できなければ、警告が出される(ステップS4)。
ここで、拡張プラグインカード36が確認できたら、拡張プラグインカード36内にあるコマンドスクリプトCMDがアップロードされる(ステップS5)。このように、拡張プラグインカード36内にあるコマンドスクリプトCMDをアップロードすることで、ホストMPU21は、装着された拡張プラグインカード36に対するコマンドを認識し、装着された拡張プラグインカード36に対する処理を行えるようなる。
第14図において、コマンドスクリプトがアップロードされた後に、その拡張プラグインカード36を動作させるためのユーザ操作がなされると(ステップS11)、スクリプトのチェックが行われ(ステップS12)、チェックの結果が正しいか否かが判断される(ステップS13)。チェックの結果が正しくなければ、警告が表示される(ステップS14)。チェックの結果が正しければ、スクリプトエンジンSENGでスクリプトが解釈され(ステップS15)、コマンドが発行される(ステップS16)。このコマンドにより、拡張プラグイン機器が動作される(ステップS17)。
なお、上述の例では、新たな拡張プラグインカード36を装着する場合について説明したが、バス30に新たなブロックを追加する場合にも、同様な手法を使って、新たなブロックに対するコマンドスクリプトをアップロードすることかできる。
なお、上述の例では、ディジタル放送の受信装置であるが、この発明は、ディジタルVTR等の他の機器にも同様に適用することができる。(第21頁第26行目?第24頁第5行目)」


4 対比

(1) 本願発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明は、「LANに接続されるLANインタフェース」及び「WANに接続されるWANインターフェース」を備えており、上記Bに記載のとおり「通信装置」は「通信装置のファームウェア」を有していることから、引用発明が、「第1の通信網に接続される第1の通信インタフェース」と、「前記第1の通信網とは異なる第2の通信網に接続される第2の通信インタフェース」とを有し、「前記第1及び第2の通信網の何れか一方から他方へと送信されるデータの転送制御をファームウェアにしたがって実行する」ものであることは明らかである。また、引用発明の「ネットワークルータ」は、本願発明と同様に、「通信制御装置」と言えるものである。

したがって、引用発明は、本願発明と同様に、
「第1の通信網に接続される第1の通信インタフェースと、
前記第1の通信網とは異なる第2の通信網に接続される第2の通信インタフェースと、
前記第1および第2の通信網の何れか一方から他方へと送信されるデータの転送制御をファームウェアにしたがって実行する」「通信制御装置」と言えるものである。

イ また、情報技術の分野の一般的な用語を解説している日経BP社デジタル大事典2000-2001年版〔2000年3月20日発行:3版1刷〕の第716?717頁には、「バージョン管理」、「バージョン・アップ」という項目について説明があり、以下のように記載されている。
「バージョン管理 : ソフトウェアは改良されたり、機能追加されて以前の製品より性能が向上すると世代番号を変更する。通常は数字の値が大きくなって変更される。例えば、バージョン1からバージョン2、あるいは、バージョン1.1から1.2などというように変更される。ソフトウェアはバージョンによって機能が異なるため、世代番号によって現在使用中のソフトウェアのバージョンを正しく認識する必要がある。(以下略)」、
「バージョン・アップ : バージョンとは、ソフトウェアの出荷あるいは開発履歴の番号で、新しい機能が追加されたり、障害を修正するために内容を更新された場合に番号も更新される。例えば、あるソフトウェアが『バージョン1』として販売され、その後新規機能追加、機能改善、障害修正などを行い同じソフトウェアの『バージョン2』という形式で販売されたとする。この場合、バージョン1の利用者が更にバージョン2をインストールすることがバージョン・アップにあたる。(以下略)」

したがって、当該技術分野において、「バージョンアップ」が、その実施の態様として、「新しい機能が追加される」場合を意味することは、前示技術常識に照らして読むとき、「バージョンアップ」という引用例1の用語自体の技術的意味内容の一部に他ならないから、引用例1においても、「新しい機能が追加される」場合が、実質上記載されているに等しいものである。
つまり、引用発明も、「通信制御装置」に対して「新たな機能を追加する」、すなわち、「通信制御装置に付与する新たな機能を実現するための処理を実行する制御部」を有するものであるといえる。

(2) 以上のことから、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

【一致点】
「第1の通信網に接続される第1の通信インタフェースと、
前記第1の通信網とは異なる第2の通信網に接続される第2の通信インタフェースと、
前記第1および第2の通信網の何れか一方から他方へと送信されるデータの転送制御をファームウェアにしたがって実行するとともに、当該通信制御装置に付与する新たな機能を実現するための処理手順を実行する制御部と
を有することを特徴とする通信制御装置。」

【相違点】
本願発明においては、通信制御装置に付与する新たな機能を実現するための処理手順は「スクリプト」言語を用いて記述され、これを読み込んで、「スクリプト」実行処理を実行するのに対して、引用発明においては、通信装置のファームウェアのバージョンアップに関して、「ソフトウェア更新用の通信データ」の態様は不明である(引用発明の「ソフトウェア更新用の通信データ」の記述形式が「スクリプト」であるとは引用例1には明記されていない)点。

5 当審の判断

(1) 上記相違点について検討する。

ア 相違点に関する、引用例2、参考文献1、2の記載事項について

引用例2には、上記E、Gの記載として、「ソフトウェア機能がスクリプトで実行される」点及び「機能追加する」点が認められる。
また、参考文献1にも、上記J、K、Lの記載として、「スクリプトによって異なる機能を実行可能とする」ことが記載されている。
さらに、参考文献2にも、上記Qの記載として、「新たなブロックを追加する場合に、コマンドスクリプトをアップロードする」ことが記載されており、上記Pの記載を考慮すると、新たな機能をスクリプトを追加することで実現することが読み取ることができる。

特に、引用例2の上記Dには、「電子画像装置においてソフトウェアにより駆動される機能を動的に更新するためのシステム」及び「電子画像装置のコンピュータを再ブートしなくても、それらの項目を選択して実行することが可能である。」と記載されており、電子画像装置を動作中にソフトウェア機能追加のスクリプトを実行することができる点を読み取ることができる。
また、参考文献1の上記Jには、「パーサ/インタプリタ159によって解釈される設定156への変更によって、動作中のソフトウェアのプラットフォーム158を修正することなく、クライアント108を動的に設定するように、クライアント108のビヘイビアが変更される。」及び「設定156は、マークアップ言語、例えば、拡張可能マークアップ言語(「XML」)を使用して記述され、スクリプト言語の要素を使用して定義される解釈可能な機能を含む。」と記載されていることから、「スクリプト言語を用いて、設定を変更する際に、動作中のソフトウェアのプラットフォームを修正することなく、クライアントのビヘイビアを変更」できると読み取ることができる。

してみると、これらの記載から、「予め組み込まれたコンピュータをファームウェアにしたがって作動させることにより固有の機能を実現する電子機器において、ファームウェアを更新することなく簡便に機能拡張を行えるように」するために、「スクリプト」言語を用いることは、当業者が適宜に採用していた周知慣用技術であったといえる。

また、当該手法が、引用例2に記載されているような、電子画像装置に特有の手法ではなく、参考文献1のワイヤレス有効デバイスや、参考文献2のディジタル放送受信装置等さまざまな機器に対しても、機能の追加を実現する場合において、慣用されている手法であるものと認められる。

したがって、引用発明に、引用例2及び参考文献1、2に記載されている当該手法を採用し、引用発明を、その処理手順を「スクリプト」言語を用いて記述されたものとし、これを読み込んで「スクリプト実行処理」を実行するもの、すなわち、上記相違点に係る構成を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果も、上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものでもない。
したがって、本願発明は、上記引用例1、2及び参考文献1、2の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


6 むすび

以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-17 
結審通知日 2014-11-18 
審決日 2014-12-04 
出願番号 特願2009-197447(P2009-197447)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 寛  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 石井 茂和
木村 貴俊
発明の名称 電子機器、通信制御装置、およびプログラム  
代理人 松本 隆  

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