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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G10K |
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管理番号 | 1296445 |
審判番号 | 不服2014-6009 |
総通号数 | 183 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-04-02 |
確定日 | 2015-01-15 |
事件の表示 | 特願2009-144673「遮音部材」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月 6日出願公開、特開2011- 2586〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成21年6月17日に出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成24年 2月10日 拒絶理由通知 :平成25年 2月26日(起案日) 意見書 :平成25年 4月26日 手続補正 :平成25年 4月26日 拒絶査定 :平成25年12月20日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成26年 4月 2日 2.本願発明 本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成25年4月26日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする遮音部材。 【化1】 ![]() 」 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開2008-24919号公報(平成20年2月7日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。) (1)「【0001】 本発明は、バイオマス資源であるデンプンなどの糖質から誘導することができる構成単位を含有する、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ屈折率が小さく、アッベ数が大きいという優れた光学特性を有するポリカーボネート共重合体と、その製造方法に関する。」 (2)「【0007】 本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、機械的強度に優れ、耐熱性があり、屈折率が小さく、アッベ数が大きく、複屈折が小さく、透明性に優れた、植物由来の構成単位を含むポリカーボネート共重合体を提供することにある。」 (3)「【0024】 本発明のポリカーボネート共重合体は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とを含むことを特徴とするものである。 【0025】 【化7】 ![]() 」 (4)「【0207】 本発明のポリカーボネート共重合体は、柔軟性が必要なフィルム、シート分野、耐熱性が必要なボトル、容器分野、衝撃強度が要求される種々の構造材料、さらには、カメラレンズ、ファインダーレンズ、CCDやCMOS用レンズなどのレンズ用途、液晶やプラズマディスプレイなどに利用される位相差フィルム、拡散シート、偏光フィルムなどのフィルム、シート、光ディスク、フィルム、シート、光学材料、光学部品、色素や電荷移動剤等を固定化するバインダーなどの用途への使用に適している。」 上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。 (a)引用例には、「ポリカーボネート共重合体」が記載されている(摘示事項(1))。 (b)「ポリカーボネート共重合体」は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とを含む(摘示事項(3))。 【化7】 ![]() (c)「ポリカーボネート共重合体」は、衝撃強度が要求される種々の構造材料の用途への使用に適している(摘示事項(4))。 以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位と脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とを含むポリカーボネート共重合体であって、 衝撃強度が要求される種々の構造材料の用途への使用に適しているポリカーボネート共重合体。 【化7】 ![]() 」 4.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比する。 (1)ポリカーボネート樹脂 引用発明の「ポリカーボネート共重合体」は、「ポリカーボネート樹脂」といえる。 (2)ポリカーボネート樹脂の構成単位 本願発明の「ポリカーボネート樹脂」と引用発明の「ポリカーボネート共重合体」とは、「下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含む 【化1】 ![]() 」点で一致する。 (3)ポリカーボネート樹脂からなる遮音部材 引用発明の「衝撃強度が要求される種々の構造材料」は、「部材」といえるから、本願発明と引用発明とは、「ポリカーボネート樹脂からなる部材」である点で一致する。 もっとも、「部材」について、本願発明は、「遮音部材」であるのに対し、引用発明は、「衝撃強度が要求される種々の構造材料」である点で相違する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする部材。 【化1】 ![]() 」の点。 そして、次の点で相違する。 <相違点> 「部材」について、本願発明は、「遮音部材」であるのに対し、引用発明は、「衝撃強度が要求される種々の構造材料」である点。 5.判断 そこで、上記相違点について検討する。 一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂を建築材料に用いることができることは周知である(例えば、特開2008-274203号公報の段落番号0088、国際公開第2004/111106号の9頁3?7行参照)とともに、建築材料に衝撃強度と遮音性が求められることはごく普通のことである。 また、遮音部材として、ポリカーボネート樹脂を用いた防音板も周知であり(例えば、特開平7-89015号公報、特開2008-111294号公報の段落番号0012参照)、防音板は建築材料の一つである。 したがって、遮音部材は、引用発明における「衝撃強度が要求される種々の構造材料」のより具体的な用途として周知のものであるから、引用発明を「遮音部材」として用いることは、当業者が容易に想到し得る。 効果についてみても、上記構成の変更に伴って当然に予測される程度のことであって、格別顕著なものがあるとは認められない。 6.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-12 |
結審通知日 | 2014-11-18 |
審決日 | 2014-12-01 |
出願番号 | 特願2009-144673(P2009-144673) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G10K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 正宏 |
特許庁審判長 |
丹治 彰 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 井上 信一 |
発明の名称 | 遮音部材 |