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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1296953
審判番号 不服2013-23768  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-03 
確定日 2015-01-26 
事件の表示 特願2009-146385「情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月 6日出願公開、特開2011- 3060〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成21年6月19日の出願であって、平成24年6月19日付けで手続補正がなされ、平成25年4月17日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年6月24日付けで手続補正がなされたが、平成25年8月26日に拒絶査定がなされたものである。これを不服として、平成25年12月3日に本件審判請求がなされると同時に同日付けで手続補正がなされた。

第2.平成25年12月3日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年12月3日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
この手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項13に係る発明は、補正前の請求項13に係る発明の発明特定事項である「前記書込要求とは異なる要因で前記第1記憶手段へ電力が供給される場合に、前記第2の記憶手段に保持されたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」を、「前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合に、前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」と限定したものである。

2.補正の適否
(1)限定的減縮
請求項13に係る補正は、補正前の請求項13に係る発明の発明特定事項を限定したものであり、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、補正後の請求項13に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。

(2)独立特許要件
ア.本願補正発明
本願補正発明は、特許請求の範囲の請求項13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「情報処理装置であって、
データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段とは異なる第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶されたデータを前記第1の記憶手段に記憶する制御手段と、
を有し、
前記第1記憶手段への電力供給が停止され且つ前記第2記憶手段への電力供給が維持される状態で、前記第1の記憶手段へのデータの書込要求を受信した場合、前記第1記憶手段への電力供給を停止したまま、前記制御手段は、前記書込要求において書込対象とされているデータを前記第2の記憶手段に保持し、
前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合に、前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む、ことを特徴とする情報処理装置。」

イ.刊行物1発明
(ア)刊行物1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された特開2007-210222号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
<1. 装置全体の構成>
図1は、本発明における一実施形態に係るプリンタ(印刷装置)の機能的な構成を示すブロック図である。この図1に示されるプリンタは、外部のコンピュータ端末等から図示されない通信回線等を介して与えられる印刷用データ(以下「印刷ジョブ」または単に「ジョブ」という)を受け取り、受け取った印刷ジョブに応じた画像を所定の用紙上に出力する。なお、上記印刷ジョブは、具体的にはプリンタにおいて解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)により記述されるデータを含むファイルである。
【0047】
このプリンタは、CPU(Central Processing Unit )101、メモリ(半導体メモリ)102、および各種インタフェースなどにより構成される主制御部10と、液晶ディスプレイ等からなる表示装置とタッチパネルやボタンなどからなる入力装置とを含む操作表示部20と、ディスク状の磁気記憶媒体を含むハードディスク記憶装置(以下「ハードディスク」または「HDD」と略称する)30と、用紙に画像を形成して当該用紙を装置外へ排出するための画像形成部40と、プリンタ内部の各部へ適宜電源を供給する電源制御部50と、外部のコンピュータ端末等から図示されない通信回線を介して印刷ジョブを受け取るための図示されない通信部とを備える。
【0048】
ここで、電源制御部50は、主制御部10により制御に応じて、ハードディスク30の電源を切断することにより、その(待機時における)消費電力を節約する動作を行う。通常の動作モードに対して、このような動作モードを以下では省電力モードという。なお、この省電力モードでは、実際には場合に応じてハードディスク30以外の各部(ただし主制御部10を除く)の電源も切断されるが、ここでは説明の便宜のため、省電力モード時にはハードディスク30の電源のみが切断されるものとする。また、省電力モードでは、ハードディスク30における消費電力が節約されればよいので、ハードディスク30における磁気ディスクの回転のみを停止させてもよい。
【0049】
したがって、この省電力モードが解除されない限り、主制御部10は、ハードディスク30内に記憶されるデータ(特に印刷ジョブ)にアクセスすることができない。そこで、省電力モード時において、できるだけハードディスク30内に記憶される印刷ジョブにアクセスすることなくこの印刷ジョブを取得することができるように、本プリンタでは、この印刷ジョブを適宜選択してメモリ102に転送(データコピー)する動作が行われる。このような省電力モードに関連する上記動作については詳しく後述する。」

「【0100】
<3. 印刷出力の全体的な動作>
次に、外部のコンピュータから印刷ジョブ等を受け取るプリンタによる印刷出力の動作について説明する。図6は、上記のような印刷ジョブ等を受け取り印刷出力するまでのプリンタにおける主制御部10の動作を実現するプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
図6に示すステップS100において、主制御部10は、外部のコンピュータから送られている各種データを受信する。このデータは、外部のコンピュータを使用する利用者の指示に応じて生成され、図示されない通信回線を介して主制御部10に与えられる。このデータには、場合によりプリンタに対する各種要求や印刷ジョブが含まれるが、その内容については、後述する処理においてそれぞれ説明する。
【0102】
ステップS110において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信したデータがハードディスク30内に保存されている印刷ジョブを出力する要求(以下「保存出力要求」という)を含むか否かを判断する。なお、この保存出力要求には出力対象となる印刷ジョブ名(またはジョブID)が含まれている。判定の結果、保存出力要求を含む場合(ステップS110においてYesの場合)には、ステップS170の処理へ進み、保存出力要求を含まない場合(ステップS110においてNoの場合)には、ステップS120の処理へ進む。
【0103】
ステップS120において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信したデータが印刷ジョブを含むか否かを判断する。判定の結果、印刷ジョブを含む場合(ステップS120においてYesの場合)には、ステップS130の処理へ進み、印刷ジョブを含まない場合(ステップS120においてNoの場合)には、ステップS100の処理へ戻り、上記保存出力要求または印刷ジョブのいずれかのデータが受信されるまで上記処理が繰り返される(S120→S100→S110→S120)。
【0104】
ステップS130において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信したデータが印刷ジョブとともに当該印刷ジョブをハードディスク30内に保存する要求(以下「保存要求」という)を含むか否かを判断する。判定の結果、保存要求である場合(ステップS130においてYesの場合)には、ステップS140の処理へ進み、保存要求でない場合(ステップS130においてNoの場合)には、ステップS160の処理へ進む。
【0105】
ステップS140において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信した印刷ジョブをハードディスク30内に保存する処理を行う。なお、ここでハードディスク30の電源がオフとなっている場合すなわち省電力モードである場合、上記保存処理によりハードディスク30へのアクセスが発生するので、省電力モードは解除されハードディスク30の電源がオンされる(図2に示されるステップS70→S80→S90)。
【0106】
続いて、ステップS150において、主制御部10は、図3に示されるステップS42において参照されるべき図4に示されるような管理テーブルを更新する。具体的には、新たに当該印刷ジョブのジョブ名、作成者名、印字可能者、出力指定日時、出力履歴、格納位置、および優先指定の各内容を管理テーブル内に作成する。その後処理はステップS160へ進む。
【0107】
ステップS160において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信した印刷ジョブを出力する要求(以下「出力要求」という)を含むか否かを判断する。判定の結果、出力要求を含む場合(ステップS160においてYesの場合)には、ステップS170の処理へ進み、出力要求を含まない場合(ステップS160においてNoの場合)には、一連の上記処理を終了し装置が停止するまで直ちにステップS100の処理から一連の上記処理を開始する。」

「【0117】
上記一実施形態では、図6に示されるステップS140において、省電力モードである場合、省電力モードが解除されて印刷ジョブがハードディスク30に保存される構成であるが、メモリ102に空き領域がある限り当該印刷ジョブをメモリ102にのみ一時的に保存する構成であってもよい。この構成では、省電力モードが解除されハードディスク30の電源がオンされた後(図2に示されるステップS90の処理の後)、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスク30に保存する動作が行われる。このような構成により、上記保存要求を受け取った場合にもメモリ102に空き領域がある限り印刷ジョブをハードディスク30に格納することがないので、省電力モードを解除する必要がなく、装置全体の省電力化を促進することができる。
【0118】
上記一実施形態では、印刷ジョブがDRAMなどの高速かつ低消費電力の半導体メモリであるメモリ102に転送(コピー)される構成であるが、ハードディスク30よりも低速かつ低消費電力のフラッシュメモリなどに転送される構成であってもよい。この場合であっても、装置の消費電力を低減することができる。また、ハードディスク30よりも高速かつ高消費電力の記憶装置に転送される構成であってもよい。この場合であっても、データアクセスを高速化することができる。さらにまた、印刷ジョブは省電力モード期間中以外の所定期間中転送されていてもよい。」

(イ)刊行物1発明
刊行物1には、「プリンタ」の発明が記載されており、該プリンタは、「ハードディスク」と、「メモリ」と、「主制御部」とを備えている(【0046】、【0047】)。
また、刊行物1の【0118】には、「上記一実施形態では、印刷ジョブがDRAMなどの高速かつ低消費電力の半導体メモリであるメモリ102に転送(コピー)される構成であるが、ハードディスク30よりも低速かつ低消費電力のフラッシュメモリなどに転送される構成であってもよい。」とあるから、刊行物1には、DRAMなどのメモリの代わりにフラッシュメモリを用いた、「ハードディスク」と、「フラッシュメモリ」と、「主制御部」とを備えている「プリンタ」も記載されているといえる。
刊行物1記載のプリンタの主制御部の動作は、【図6】を用いて説明すると、「ステップS130において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信したデータが印刷ジョブとともに当該印刷ジョブをハードディスク30内に保存する要求(以下「保存要求」という)を含むか否かを判断する。判定の結果、保存要求である場合(ステップS130においてYesの場合)には、ステップS140の処理へ進み」(【0104】)、「ステップS140において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信した印刷ジョブをハードディスク30内に保存する処理を行う」(【0105】)というものである。
また、【0117】には、「上記一実施形態では、図6に示されるステップS140において、省電力モードである場合、省電力モードが解除されて印刷ジョブがハードディスク30に保存される構成であるが、メモリ102に空き領域がある限り当該印刷ジョブをメモリ102にのみ一時的に保存する構成であってもよい。この構成では、省電力モードが解除されハードディスク30の電源がオンされた後(図2に示されるステップS90の処理の後)、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスク30に保存する動作が行われる。」とあるから、そのような構成のものでは、刊行物1記載のプリンタの主制御部は、「外部のコンピュータから受信したデータが、印刷ジョブとともに当該印刷ジョブをハードディスク内に保存する要求を含む場合には、ハードディスクの電源がオフとなっている省電力モードである場合、フラッシュメモリに空き容量がある限り当該印刷ジョブをフラッシュメモリにのみ一時的に保存し、省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う」ものであるといえる。

したがって、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると認められる。

[刊行物1発明]
ハードディスクと、
フラッシュメモリと、
主制御部と、
を備え、
前記主制御部は、外部のコンピュータから受信したデータが、印刷ジョブとともに当該印刷ジョブをハードディスク内に保存する要求を含む場合には、ハードディスクの電源がオフとなっている省電力モードである場合、フラッシュメモリに空き容量がある限り当該印刷ジョブをフラッシュメモリにのみ一時的に保存し、省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う、
プリンタ。

ウ.本願補正発明と刊行物1発明との対比
(ア)本願補正発明の「情報処理装置であって、
データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段とは異なる第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶されたデータを前記第1の記憶手段に記憶する制御手段と、
を有し、」について

刊行物1発明の「プリンタ」、「ハードディスク」、「フラッシュメモリ」は、それぞれ、「情報処理装置」、「データを記憶する第1の記憶手段」、「前記第1の記憶手段とは異なる第2の記憶手段」といえるものである。
刊行物1発明の「主制御部」は、少なくとも、「フラッシュメモリに」「一時的に保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う」ものであるから、「前記第2の記憶手段に記憶されたデータを前記第1の記憶手段に記憶する」ものといえる。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「情報処理装置であって、
データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段とは異なる第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶されたデータを前記第1の記憶手段に記憶する制御手段と、
を有」する点で一致する。

(イ)本願補正発明の「前記第1記憶手段への電力供給が停止され且つ前記第2記憶手段への電力供給が維持される状態で、前記第1の記憶手段へのデータの書込要求を受信した場合、前記第1記憶手段への電力供給を停止したまま、前記制御手段は、前記書込要求において書込対象とされているデータを前記第2の記憶手段に保持し」について

刊行物1発明は、「前記主制御部は、外部のコンピュータから受信したデータが、印刷ジョブとともに当該印刷ジョブをハードディスク内に保存する要求を含む場合には、ハードディスクの電源がオフとなっている省電力モードである場合、フラッシュメモリに空き容量がある限り当該印刷ジョブをフラッシュメモリにのみ一時的に保存」するものである。
ここで、刊行物1発明の「ハードディスクの電源がオフとなっている省電力モードである場合」には、「フラッシュメモリに空き容量がある限り当該印刷ジョブをフラッシュメモリにのみ一時的に保存」するのであるから、フラッシュメモリには電力供給がなされているといえ、したがって、刊行物1発明の「ハードディスクの電源がオフとなっている省電力モードである場合」は、本願補正発明の「前記第1記憶手段への電力供給が停止され且つ前記第2記憶手段への電力供給が維持される状態」に相当する。刊行物1発明では、そのときに「主制御部」が「外部のコンピュータから受信したデータが、印刷ジョブとともに当該印刷ジョブをハードディスク内に保存する要求を含む場合」(本願補正発明の「前記第1の記憶手段へのデータの書込要求を受信した場合」に相当する)、「フラッシュメモリに空き容量がある限り当該印刷ジョブをフラッシュメモリにのみ一時的に保存」(本願補正発明の「前記制御手段は、前記書込要求において書込対象とされているデータを前記第2の記憶手段に保持」に相当する)するのもであり、そのときには、ハードディスクの電源はオフ(本願補正発明の「前記第1記憶手段への電力供給を停止したまま」に相当する)となっている。
以上をまとめると、本願補正発明と刊行物1発明とは、「前記第1記憶手段への電力供給が停止され且つ前記第2記憶手段への電力供給が維持される状態で、前記第1の記憶手段へのデータの書込要求を受信した場合、前記第1記憶手段への電力供給を停止したまま、前記制御手段は、前記書込要求において書込対象とされているデータを前記第2の記憶手段に保持」する点で一致する。

(ウ)本願補正発明の「前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合に、前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」について

刊行物1発明は、「省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後、上記一時的に(フラッシュメモリに)保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う」ものである。
すなわち、刊行物1発明は、本願補正発明の文言を用いると、第1記憶手段への電力供給が再開される場合に、第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込むものであるといえ、この点では両者は共通している。
しかしながら、本願補正発明では、「前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合に、前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」のに対し、
刊行物1発明では、一時的に(フラッシュメモリに)保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う(本願補正発明でいう「前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」)のが、省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後(本願補正発明でいう「前記第1記憶手段への電力供給が再開される場合」)ではあるものの、「前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合」ではない点で両者は相違する。

(エ)一致点、相違点
以上をまとめると、本件補正発明と刊行物1発明の一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]
情報処理装置であって、
データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段とは異なる第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶されたデータを前記第1の記憶手段に記憶する制御手段と、
を有し、
前記第1記憶手段への電力供給が停止され且つ前記第2記憶手段への電力供給が維持される状態で、前記第1の記憶手段へのデータの書込要求を受信した場合、前記第1記憶手段への電力供給を停止したまま、前記制御手段は、前記書込要求において書込対象とされているデータを前記第2の記憶手段に保持し、
前記第1記憶手段への電力供給が再開される場合に、前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む、情報処理装置。

[相違点]
本願補正発明では、「前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合に、前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」のに対し、
刊行物1発明では、一時的に(フラッシュメモリに)保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う(本願補正発明でいう「前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」)のが、省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後(本願補正発明でいう「前記第1記憶手段への電力供給が再開される場合」)ではあるものの、「前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合」ではない点。

エ.当審の判断
刊行物1発明は、消費電力を低減することをそもその課題とするプリンタであり、また、消費電力を低減するために、プリンタを使用しないときにプリンタの電源をオフにすることは通常よく行われることであること、フラッシュメモリは不揮発性メモリであって、電源をオフにしても記憶されたデータが保証されるものであることが技術常識であること(この点について、例えば、特開2008-23780号公報【0008】、【0009】を参照されたい。)から、刊行物1発明のプリンタにおいて、印刷ジョブがフラッシュメモリに保存されている状態のときに、プリンタの電源がオフされ得ることは当業者に普通に想定されることである。
また、その後、プリンタの電源がオンにされ、ハードディスクとフラッシュメモリがともに電源オンされることも当業者に普通に想定されることである。
そして、刊行物1発明は、「省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う」ものであり、この動作はハードディスクの電源がオンされたことによりハードディスクが書き込み可能になったために行われる動作であるところ、上述のようにプリンタの電源がオフされた後、プリンタの電源がオンになってハードディスクとフラッシュメモリがともに電源オンになったときも、ハードディスクが書き込み可能になったという意味では同じであるから、その場合も同様に、一時的に保存された印刷ジョブをハードディスクに保存するという動作を行うようにすることは自然であり、当業者が容易に想到し得ることである。
すなわち、刊行物1発明において、「前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力の供給が停止された後、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段への電力供給が再開される場合に、前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

オ.独立特許要件のまとめ
以上のとおり、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)補正の適否のまとめ
よって、この手続補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成25年12月3日付けの手続補正は、上述のとおり却下されたので、本願の請求項1-19に係る発明は、平成25年6月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項13に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりのものである。

[本願発明]
「情報処理装置であって、
データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段とは異なる第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶されたデータを前記第1の記憶手段に記憶する制御手段と、
を有し、
前記第1記憶手段への電力供給が停止され且つ前記第2記憶手段への電力供給が維持される状態で、前記第1の記憶手段へのデータの書込要求を受信した場合、前記第1記憶手段への電力供給を停止したまま、前記制御手段は、前記書込要求において書込対象とされているデータを前記第2の記憶手段に保持し、
前記書込要求とは異なる要因で前記第1記憶手段へ電力が供給される場合に、前記第2の記憶手段に保持されたデータを前記第1の記憶手段に書き込む、ことを特徴とする情報処理装置。」

2.刊行物1発明
刊行物1に記載された発明は、上記「第2.2.(2)イ.刊行物1発明」に記載したとおりである。

3.本願発明と刊行物1発明との対比
本願発明と刊行物1発明との対比は、上記「第2.2.(2)ウ.本願補正発明と刊行物1発明との対比」と同様にでき、両者の一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]
情報処理装置であって、
データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段とは異なる第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶されたデータを前記第1の記憶手段に記憶する制御手段と、
を有し、
前記第1記憶手段への電力供給が停止され且つ前記第2記憶手段への電力供給が維持される状態で、前記第1の記憶手段へのデータの書込要求を受信した場合、前記第1記憶手段への電力供給を停止したまま、前記制御手段は、前記書込要求において書込対象とされているデータを前記第2の記憶手段に保持し、
前記第1記憶手段へ電力が供給される場合に、前記第2の記憶手段に保持されたデータを前記第1の記憶手段に書き込む、情報処理装置。

[相違点]
本願発明では、「前記書込要求とは異なる要因で前記第1記憶手段へ電力が供給される場合に、前記第2の記憶手段に保持されたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」のに対し、
刊行物1発明では、一時的に(フラッシュメモリに)保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う(本願補正発明でいう「前記第2の記憶手段に保持されていたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」)のが、省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後(本願補正発明でいう「前記第1記憶手段への電力供給が再開される場合」)ではあるものの、「前記書込要求とは異なる要因で前記第1記憶手段へ電力が供給される場合」とは特定されていない点。

4.当審の判断
刊行物1発明は、省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた後、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行う(本願発明でいう「第1記憶手段へ電力が供給される場合に、前記第2の記憶手段に保持されたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」)ものである。刊行物1発明では、プリンタの省電力モードが解除される要因は特定されていないが、このようなプリンタの省電力モードが解除される要因としては当業者は様々なものを想定することができ、例えば、プリンタに対する手動操作により解除することは普通に行われていることである。
したがって、刊行物1発明において、例えば、プリンタに対する手動操作(本願発明の「書込要求とは異なる要因」に相当する)により省電力モードが解除されハードディスクの電源がオンされた場合にも、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスクに保存する動作を行うことは当業者が容易に想到し得ることである。
すなわち、刊行物1発明において、「前記書込要求とは異なる要因で前記第1記憶手段へ電力が供給される場合に、前記第2の記憶手段に保持されたデータを前記第1の記憶手段に書き込む」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本願発明は、刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項13に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-20 
結審通知日 2014-11-25 
審決日 2014-12-08 
出願番号 特願2009-146385(P2009-146385)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 正和  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 千葉 輝久
山田 正文
発明の名称 情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム  
代理人 水垣 親房  

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