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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G |
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管理番号 | 1297113 |
審判番号 | 不服2013-21788 |
総通号数 | 183 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-06 |
確定日 | 2015-02-05 |
事件の表示 | 特願2008- 25403「トナーセット、現像剤セット、及び画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 8月20日出願公開、特開2009-186674〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年 2月 5日の出願であって、平成24年 8月 2日付けで拒絶理由が通知され、同年10月 9日に意見書及び手続補正書が提出され、平成25年 1月29日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年 4月 5日に意見書が提出されたが、同年 7月30日付けで拒絶査定され、これを不服として、同年11月 6日に審判請求がされるとともに手続補正書が提出されたものである。 第2 平成25年11月 6日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 本件補正を却下する。 〔理由〕 1 本件補正の内容 本件補正は、平成24年10月 9日に提出された手続補正書によって補正された本件補正前(以下「本件補正前」という。)の特許請求の範囲及び明細書についてするものであって、そのうち特許請求の範囲の請求項1についての補正は、以下のとおり。(下線部は本件補正に関連する箇所である。) 本件補正前の請求項1 「ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、離型剤と、C.I.ピグメントイエロー185と、を含み、 前記ポリエステル樹脂は、アルコール成分としてビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を有し、前記ポリエステル樹脂における前記ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の組成比率が20モル%以上であり、トナーの円形度が0.90以上0.98以下である電子写真用イエロートナーと、 C.I.ピグメントレッド238を含む電子写真用マゼンタトナーと、 を有するトナーセット。」 本件補正後の請求項1 「ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、離型剤と、C.I.ピグメントイエロー185と、を含み、 前記ポリエステル樹脂は、アルコール成分としてビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を有し、カルボン酸成分として脂肪酸を有し、前記ポリエステル樹脂における前記ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の組成比率が20モル%以上であり、トナーの円形度が0.90以上0.98以下である電子写真用イエロートナーと、 C.I.ピグメントレッド238を含む電子写真用マゼンタトナーと、 を有するトナーセット。」 2 新規事項の有無及び補正の目的の適否 請求項1に係る本件補正は、本願の願書に最初に添付された明細書(以下、願書に最初に添付された明細書を「当初明細書」といい、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面をあわせて「当初明細書等」という。)の【0179】のポリエステル樹脂分散液(A1)?(A7-4)の概要を示した表1におけるポリエステル樹脂組成において「脂肪酸」が記載されていること、【0137】?【0172】のポリエステル樹脂分散液(A1)?(A7-4)の調整原料における酸成分の一つとして「脂肪酸」が記載されていることを根拠に、「ポリエステル樹脂」が、「カルボン酸成分として脂肪酸を有し」ていることを限定したものであるから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしており、また、特許法17条の2第5項2号に規定する要件を満たしている。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について以下検討する。 3 独立特許要件の検討 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記1に記載された本件補正後の請求項1のとおりである。 (2)引用した刊行物とその記載事項 ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-300609号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項12】 回転体と、該回転体と定着ニップ部を形成する対向部材と、前記回転体を前記定着ニップ部とは異なる部位でニップ部を形成し回転体表面を加熱する加熱部材とを具備し、前記定着ニップ部に未定着のトナー画像を担持させた被加熱材を挿通して挟持搬送させ前記回転体の熱により加熱して被加熱材にトナー画像を定着させる加熱加圧定着装置を少なくとも具備する画像形成装置に用いるトナーであって、 結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも有するトナー粒子と外添剤とを有し、下記a)?c)を満たすことを特徴とするトナー。・・(略)・・」 (イ)「【請求項17】 前記トナーは、フロー式粒子像分析装置により測定される平均円形度が0.940?1.000を満たすことを特徴とする請求項12?16のいずれか一項に記載のトナー。」 (ウ)「【0038】 本発明のトナーの結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂及び/又はポリエステルユニット含有樹脂としては、アルコールとカルボン酸、又はカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が原料モノマーとした樹脂が使用できる。 【0039】 ポリエステル樹脂及び/又はポリエステルユニット含有樹脂の原料モノマーとして、具体的には、以下の通りである。 【0040】 アルコール成分としては、・・(略)・・下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体等の2価アルコール成分が挙げられる。 【0041】【化1】 【0042】 (式中、Rはエチレン又はプロピレン基を表し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2?10である。) ・・(略)・・ 【0044】 酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6?12のアルキル基もしくはアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。」 (エ)「【0105】 本発明に用いられる着色剤は、一般に用いられる黒色着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤が用いられる。 具体的には、黒色着色剤として、カーボンブラックのほかに以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。 【0106】 イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254やC.I.Pigment Violet19等が特に好ましい。 ・・(略)・・ 【0107】 マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。・・(略)・・」 (オ)「【0125】 図2は画像形成装置の一例の概略構成図であるが、本発明はこれに限定されない。本発明の画像形成装置は電子写真フルカラープリンタである。 【0126】 11は有機感光体でできた電子写真感光体ドラム(以下、「感光ドラム」という)であり、矢印が示すように反時計回りに所定のプロセススピードで回転駆動される。 【0127】 感光ドラム11は、・・(略)・・その帯電処理面に、・・(略)・・レーザ光13aによる、目的画像情報の走査露光処理を受ける。・・(略)・・この走査露光により感光ドラム11面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。・・(略)・・ 【0128】 フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・静電潜像形成がなされ、その静電潜像が4色の現像装置14のうちイエロー現像装置14Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光ドラム11と中間転写ドラム16との接触部(又は近接部)である一次転写部T1において中間転写ドラム16の面に転写される。中間転写ドラム16面に対するトナー画像転写後の感光ドラム11面は、クリーナ17により転写残トナー等の付着残留物が除去されクリーニングされる。 【0129】 上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の、第2(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像装置14Mが作動)、第3(例えばシアン成分画像、シアン現像装置14Cが作動)、第4(例えば黒成分画像、黒現像装置14BKが作動)の各色分解成分画像について順次に実行され、中間転写ドラム16面にイエロートナー画像、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、黒トナー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラー画像が合成形成される。 【0130】 ・・(略)・・感光ドラム11との電位差で感光ドラム11側のトナー画像は中間転写ドラム16面側に転写される。 上記の中間転写ドラム16面に合成されたカラートナー画像は、・・(略)・・二次転写部T2に搬送された記録材Pの面に転写され、記録材Pは未定着のトナー画像を担持した状態となる。転写ローラ15は記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を中間転写ドラム16に供給することで、中間転写ドラム16面側から記録材P側へ合成カラートナー画像が順次に一括転写される。」 (カ)「【0150】 <結着樹脂の合成> 【0151】 <ポリエステル樹脂の合成例(1)> 下記原料を温度計、撹拌器、リフラックスコンデンサー及び窒素ガス導入管を具備している四口フラスコ(four-neck flask)に入れ、触媒量のジブチルスズオキサイドを入れ、四口フラスコに窒素ガスを通し撹拌しながら徐々に昇温し、150℃で10時間反応し、縮重合反応の後半200℃に温度を上げ、減圧下で縮重合反応をすすめ、前駆ポリエステル樹脂(1)(酸価3mgKOH/g、水酸基価25mgKOH/g)を得た。 ・下記一般式(1)であらわされるジオール成分 55mol% 【0152】【化2】 【0153】 (式中、Rはエチレン又はプロピレン基を表す。本実施例では、エチレン変性ジオールとプロピレン変性ジオールの比が2:1の混合ジオールである。) 【0154】 ・フマル酸 20mol% ・テレフタル酸 25mol% その後前駆ポリエステル樹脂(1)の100質量部を四口フラスコに入れ温度150℃に加熱後に、無水トリメリット酸1.5質量部を加え、徐々に加熱して前駆ポリエステル樹脂(1)のポリマーの末端がトリメリット酸で変性されたポリエステル樹脂(1)を調製した。ポリエステル樹脂(1)は酸価12mgKOH/g、水酸基価15mgKOH/gであった。」 (キ)「【0167】 <トナーの製造> (トナーの製造例1) ・ポリエステル樹脂(1) 95質量部 ・スチレンアクリル樹脂(1) 5質量部 ・パラフィンワックス(1) 5質量部 (DSC吸熱ピーク:69℃、Mw:700、Mn:500) ・荷電制御剤:芳香族オキシカルボン酸Zn化合物 (ボントロンE-84:オリエント化学(株)製) 4質量部 ・顔料:イエロー顔料 3質量部 (C.I.Pigment.Yellow 185) 【0168】 上記材料を混練し粉砕して粉砕物を得た。 その後、粉砕物をローターが回転するタイプの機械にて表面処理を行い、分級してイエロー粒子(1)を得た。その後、イエロー粒子(1)100質量部に対し、疎水化処理を行ったチタニア微粉末を1.0質量部、及び同じく疎水化処理を行ったシリカ微粉末を1.0質量部加え、三井鉱山(株)製ヘンシェルミキサーを用いて均一拡散しイエロートナー(1)を得た。イエロートナー(1)の物性を表1、2に示す。 【0169】 【表1】 【0170】 (イエロートナー(1)のトナー平均円形度は、0.963である。)」 (ク)「【0188】 (トナーの製造例22?24) 顔料をC.I.ピグメントイエロー185に代えてC.I.ピグメントレッド122;5質量部を使用した以外はトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー(1)を得た。・・・(略)・・・」 (ケ)図2は画像形成装置の概略構成図であって、「感光ドラム11の円周上に沿って、感光ドラム面を走査露光するレーザ光13aに続いて4色の現像装置14Y、14M、14C、14BKが配置され」ていることが看取できる。 (コ)上記(オ)、(ケ)の記載を整理すれば、画像形成装置は、 「電子写真感光体ドラム(以下、「感光ドラム」という)の円周上に沿って、感光ドラム面を走査露光するレーザ光13aに続いて4色の現像装置14Y、14M、14C、14BKが配置され、フルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・静電潜像形成がなされ、その静電潜像が4色の現像装置14のうちイエロー現像装置14Yの作動でイエロートナー画像として現像され、帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の、第2(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像装置14Mが作動)、第3(例えばシアン成分画像、シアン現像装置14Cが作動)、第4(例えば黒成分画像、黒現像装置14BKが作動)の各色分解成分画像について順次に実行され、中間転写ドラム面にイエロートナー画像、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、黒トナー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラー画像が合成形成され、中間転写ドラム16面側から記録材P側へ合成されたカラートナー画像が順次に一括転写されることにより、フルカラー画像を形成する」ものである。 したがって、静電潜像が形成された感光ドラム11に対して4色の現像装置14によってイエロートナー画像等4色のトナー画像が現像されるのであるから、画像形成装置の4色の現像装置14それぞれに、4色のトナーそれぞれがセットされていることは明らかである。 (サ)上記(ア)ないし(コ)から、引用例1には、以下の発明が記載されている。(以下、引用発明1という。) 「電子写真感光体ドラム(以下、「感光ドラム」という)の円周上に沿って、感光ドラム面を走査露光するレーザ光13aに続いて4色の現像装置14Y、14M、14C、14BKが配置され、フルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・静電潜像形成がなされ、その静電潜像が4色の現像装置14のうちイエロー現像装置14Yの作動でイエロートナー画像として現像され、帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の、第2(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像装置14Mが作動)、第3(例えばシアン成分画像、シアン現像装置14Cが作動)、第4(例えば黒成分画像、黒現像装置14BKが作動)の各色分解成分画像について順次に実行され、中間転写ドラム面にイエロートナー画像、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、黒トナー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラー画像が合成形成され、中間転写ドラム16面側から記録材P側へ合成されたカラートナー画像が順次に一括転写されることにより、フルカラー画像を形成する画像形成装置にセットされた4色のトナーであって、 前記トナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも有するトナー粒子と外添剤とを有しており、 前記トナーの平均円形度が0.940?1.000を満たしており、 前記トナーに用いられる結着樹脂はポリエステル樹脂であって、アルコールとカルボン酸を原料モノマーとした樹脂を使用し、 前記ポリエステル樹脂のアルコール成分としては、下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体等の2価アルコール成分等が挙げられ、 (式中、Rはエチレン又はプロピレン基を表し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2?10である。) 酸成分としてはテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸類等が挙げられ、 前記着色剤は、一般に用いられる黒色着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤が用いられ、 前記イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられ、 前記マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いることができるものであって、 具体的なイエロートナー(1)としては、上記一般式(1)であらわされるジオール成分であってエチレン変性ジオールとプロピレン変性ジオールの比が2:1の混合ジオール55mol%、フマル酸20mol%、テレフタル酸25mol%及び無水トリメリット酸1.5質量部を原料として合成されたポリエステル樹脂と、パラフィンワックスと、イエロー顔料としてのC.I.Pigment.Yellow(C.I.ピグメントイエロー)185を含み、平均円形度は、0.963であるイエロートナーがセットされた、 フルカラー画像が形成される画像形成装置にセットされた4色のトナー。」 イ 周知技術 (ア)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-227431号公報(以下「引用例2」という。」には、次の事項が記載されている。 a 「【請求項1】 結着樹脂及び顔料を含有する静電荷像現像用トナーであって、トナー中の顔料の個数平均長径(x)と個数平均短径(y)から計算される個数平均粒子径(h=(x+y)/2)が0.01 μm以上、0.05 μm未満である静電荷像現像用トナー。」 b 「【0009】 本発明のトナーにより、高い発色性と二次色において特に十分な色再現性が得られる。また、本発明のトナーの製造方法により高い発色性と二次色において特に十分な色再現性を有するトナーが得られる。さらに、本発明のトナーを用いた画像形成方法はトナー量が少なくても良好な画像濃度が得られる。」 c 「【0013】 本発明に係る結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂、ポリエステルとスチレン-アクリル樹脂の混合樹脂、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂等が挙げられるが、顔料の分散性や透明性の観点から、ポリエステルを主成分とすることが好ましい。」 d 「【0020】 本発明に係る顔料としては、イエロー系顔料、マゼンタ系顔料、シアン系顔料等が挙げられ、これらの顔料は単独で用いても2種以上混合して用いても良い。具体的には、イエロー系顔料として、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー185、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー167等が挙げられる。マゼンタ系顔料として、カーミン6B、キナクリドン、ピグメントレッド146、ピグメントレッド238等が挙げられる。・・・(略)・・・」 e したがって、引用例2には、以下の技術事項が記載されている。 「高い発色性と、二次色において十分な色再現性が得られるトナー及び該トナーを用いた画像形成方法であり、トナーは結着樹脂と顔料を含有し、結着樹脂はポリエステルを主成分としており、イエロー系顔料としてピグメントイエロー185、マゼンタ顔料として、カーミン6B、キナクリドン、ピグメントレッド146、または、ピグメントレッド238を用いることができる。」 (イ)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-91075号公報(以下「引用例3」という。」には、次の事項が記載されている。 a 「【請求項1】 磁場発生手段と、電磁誘導により発熱する発熱層と離型層とを少なくとも有する回転加熱部材と、該回転加熱部材とニップを形成している回転加圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、該回転加熱部材を記録材を介して該回転加圧部材を押圧しながら、該記録材上の非磁性のカラートナーによって形成されたカラートナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画像形成方法において、 該トナーは、結着樹脂とカラー着色剤を少なくとも有するカラートナーであり、 結着樹脂が、エトキシ化ビスフェノール型ジオールおよびプロポキシ化ビスフェノール型ジオールと、芳香族多価カルボン酸またはその酸無水物もしくはそのエステルとを主モノマー成分として含有し、さらにアルキルコハク酸、アルキルコハク酸無水物、アルキルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸エステルから選択された少なくとも1種のモノマーを全モノマー量の7乃至25モル%含有してなるモノマー組成物によって合成されたポリエステル樹脂であることを特徴とする画像形成方法。」 b 「【0046】本発明において、フルカラートナーにおける着色剤として有機顔料を使用する場合、結着樹脂中に有機顔料粒子を微細な粒子として均一に分散させる必要がある。本発明において使用される有機顔料は、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。」 c 「【0210】(二次色再現性)坪量80g/cm2のキヤノン CLCカラーコピー用紙を用いて、以下の通り定着出力を行った。 レッド:マゼンタトナーとイエロートナーを0.4mg/cm2、0.4mg/cm2乗せた画像を定着出力した。・・・(略)・・・」 d 「【0230】さらに多色トナーが十分混合して色再現性がよく、オーバーヘッドプロジェクター用フィルム(OHP)画像の透明性に優れた画像を得ることができる画像形成方法、定着方法及びカラートナーを提供することができる。」 e したがって、引用例3には、以下の技術事項が記載されている。 「二次色再現性がよい画像形成方法であり、カラートナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画像形成方法であって、 該トナーは、ポリエステル樹脂である結着剤とカラー着色剤を少なくとも有するカラートナーであり、 着色剤として、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、または、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントイエロー185が代表的なものである。」 (ウ)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-305083号公報(以下「引用例4」という。」には、次の事項が記載されている。 a 「【請求項1】 結着樹脂と、カラー着色剤を含有してなる静電荷像現像用カラートナーにおいて、結着樹脂が、エトキシ化ビスフェノール型ジオールおよびプロポキシ化ビスフェノール型ジオールと、芳香族ジカルボン酸またはその酸無水物もしくはそのエステルとを主モノマー成分とし、さらにアルキルコハク酸またはその酸無水物もしくはそのエステルおよびアルケニルコハク酸またはその酸無水物もしくはそのエステルから選択された少なくとも1種を全モノマー量の7ないし25モル%含有してなるポリエステル樹脂を含有し、カラー着色剤が、有機顔料の含水ペーストと前記ポリエステル樹脂とより調製されたフラッシング顔料であることを特徴とする静電荷像現像用カラートナー。 ・・(略)・・ 【請求項11】 カラートナーを用いて静電荷像を現像して、少なくともシアンカラートナー像、マゼンタカラートナー像およびイエローカラートナー像を重ねて形成するフルカラー画像形成方法において、・・(略)・・」 b 「【0045】本発明において、フルカラートナーにおける着色剤として有機顔料を使用する場合、結着樹脂中に有機顔料粒子を微細な粒子として均一に分散させる必要がある。本発明において使用される有機顔料は、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。」 c 「【0122】 【発明の効果】本発明の静電荷像現像用カラートナーおよび黒トナーは、上記の構成を採用することにより、透明性、色再現性、鮮明性、黒色階調の再現性、色調バランスに優れ、高い定着強度のフルカラーコピー画像を作成することができる。」 d したがって、引用例4には、以下の技術事項が記載されている。 「カラートナーを用いて静電荷像を現像して、少なくともシアンカラートナー像、マゼンタカラートナー像およびイエローカラートナー像を重ねて形成するフルカラー画像形成方法において、色再現性のよいフルカラーコピー画像を作成することができるカラートナーであり、該トナーは、ポリエステル樹脂を含有する結着樹脂と、カラー着色剤を含有し、着色剤として、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、または、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントイエロー185を使用することができる。」 (エ)上記(ア)?(ウ)の各技術事項から、以下の事項が周知であると認められる。(以下「周知技術」という。) 「少なくともマゼンタカラートナー像およびイエローカラートナー像を重ねて形成するフルカラー画像形成方法において、ポリエステル樹脂である結着剤とカラー着色剤を含むトナーのカラー着色剤の一例として、イエロートナーにC.I.ピグメントイエロー185を用い、マゼンタトナーにC.I.ピグメントレッド238を用いること。」 (3)対比 ア 引用発明1の「ポリエステル樹脂」、「結着樹脂」、「ワックス」、「『イエロー着色剤』、『C.I.Pigment.Yellow』及び『C.I.ピグメントイエロー185』」、「『アルコール』、『アルコール成分』、『2価アルコール成分』及び『ジオール成分』」、「『カルボン酸』及び『酸成分』」、「平均円形度」、「イエロートナー(1)」、及び、「マゼンタトナー」は、それぞれ本願補正発明の「ポリエステル樹脂」、「結着剤」、「離型剤」、「C.I.ピグメントイエロー185」、「アルコール成分」、「カルボン酸成分」、「円形度」、「電子写真用イエロートナー」、及び、「電子写真用マゼンタトナー」に対応する。 イ 引用発明1の「ワックス」が離型剤としての機能を有していることは電子写真用トナーの技術分野における技術常識から明らか(例えば、引用例2の【0043】)であるから、本願補正発明の「離型剤」に相当する。 ウ 引用発明1の「フルカラー画像が形成される画像形成装置にセットされた4色のトナー」は、本願補正発明の「トナーセット」に相当する。 エ 引用発明1の「トナーに用いられる結着樹脂はポリエステル樹脂であって、アルコールとカルボン酸を原料モノマーとした樹脂を使用し」、「酸成分としてはテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸類等が挙げられ」るのであるから、「上記一般式(1)であらわされるジオール成分であって、エチレン変性ジオールとプロピレン変性ジオールの比が2:1の混合ジオール55mol%、フマル酸20mol% 、テレフタル酸25mol%及び無水トリメリット酸1.5質量部を原料として合成されたポリエステル樹脂」における「フマル酸」、「テレフタル酸」及び「無水トリメリット酸」は、いずれも「ポリエステル樹脂」の「カルボン酸成分」である。 一方、本願補正発明における「脂肪酸」は、実施例も含めてその具体的な物質が特定されておらず、当初明細書の【0035】には、「ポリエステル樹脂を合成するために用いられるカルボン酸成分としては、特に限定されず既知の」「多価カルボン酸が使用される。」と説明され、【0036】には、具体例として「多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸」、「無水トリメリット酸」「などの芳香族カルボン酸類」、「フマル酸」「などの脂肪族カルボン酸類」「が挙げられ」「これらの多価カルボン酸が1種又は2種以上用いられる。」と説明されている。 したがって、引用発明1の「ポリエステル樹脂」を合成するための「フマル酸」は、本願補正発明の「カルボン酸成分として脂肪酸」に相当する。 オ 引用発明1の「前記ポリエステル樹脂のアルコール成分としては、下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体等の2価アルコール成分等が挙げられ、 (式中、Rはエチレン又はプロピレン基を表し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2?10である。」及び「上記一般式(1)であらわされるジオール成分であって、エチレン変性ジオールとプロピレン変性ジオールの比が2:1の混合ジオール」は、「ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物」を含むことは明らかであり、イエロートナーにおける55mol%の組成比を有しているから、引用発明1の「前記ポリエステル樹脂のアルコール成分として」「上記一般式(1)であらわされるジオール成分であって、エチレン変性ジオールとプロピレン変性ジオールの比が2:1の混合ジオール55mol%」を含むことは、本願補正発明の「ポリエステル樹脂における前記ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の組成比率が20モル%以上であ」ることに相当する。 カ 引用発明1の「トナーの平均円形度が0.940?1.000を満たしており」、具体的なイエロートナー(1)の「平均円形度は、0.963である」ことは、本願補正発明の「トナーの円形度が0.90以上0.98以下」であることに相当する。 キ 引用発明1のトナーは、「電子写真感光体ドラム」を用いて「電子写真」を形成するために用いられるものであるから、引用発明1の「イエロートナー」及び「マゼンタトナー」は、それぞれ本願補正発明の「電子写真用イエロートナー」及び「電子写真用マゼンタトナー」に相当する。 上記ア?キの点から、本願補正発明と引用発明1とは、 「ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、離型剤と、C.I.ピグメントイエロー185と、を含み、 前記ポリエステル樹脂は、アルコール成分としてビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を有し、カルボン酸成分として脂肪酸を有し、前記ポリエステル樹脂における前記ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の組成比率が20モル%以上であり、トナーの円形度が0.90以上0.98以下である電子写真用イエロートナーと、 電子写真用マゼンタトナーと、 を有するトナーセット。」 である点で一致し、下記の点で相違している。 相違点: 電子写真用マゼンタトナーが、本願補正発明では「C.I.ピグメントレッド238を含む電子写真用マゼンタトナー」であるのに対して、引用発明1では、その様な特定がなされていない点。 (4)判断 ア 上記相違点について (ア)引用発明1は、フルカラー画像を形成するために複数の色のトナー画像を順次重ねて転写する技術分野に属するものであり、「マゼンタ着色剤として」「縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いることができるもので」ある。そして、引用例1の【0106】には、マゼンタ着色剤の具体例として、「C.I.Pigment Red2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254やC.I.Pigment Violet19等が特に好ましい。」と記載しているものの、具体例として例示された物質のみに限定される旨の記載は認められない。 (イ)また、引用発明1と同一技術分野に相当する、少なくともマゼンタカラートナー像およびイエローカラートナー像を重ねて形成するフルカラー画像形成の技術分野において、上記(2)イ(エ)に摘記した周知技術にあるように、マゼンタ着色剤の一つとして、C.I.ピグメントレッド238は、よく知られたものであり、また、C.I.ピグメントレッド238は、ナフトール化合物である。 (ウ)してみると、引用発明と同一技術分野の引用例2?4に記載された周知技術から、引用発明1のマゼンタ着色剤として例示されているナフトール化合物として、C.I.ピグメントレッド238を採用することは当業者ならば容易に想到し得た事項である。 イ 本願補正発明の効果について。 (ア)当初明細書には、電子写真用マゼンタトナーに用いる着色剤として、下記(エ)aの記載のように例示されているが、ピグメントレッド238自体の優位性については何ら説明されておらず、下記(エ)bの記載のように実施例において、ピグメントレッド238のみが用いられており、電子写真用マゼンタトナーに用いる他の着色剤との比較はなされていない。 (イ)また、当初明細書には、下記(エ)cの記載のように、「酸性モノマー共存下、または縮重合工程を経て得られるトナー作成工程では先述のような系の粘度低下、及びC.I.ピグメントイエロー185の酸性条件での安定性の欠如のためにC.I.ピグメントイエロー185だけで凝集しやすく、トナー中で充分な分散状態を得られない。そのため、粗大化した凝集体の顔料として耐光性には優れるが、透明性や彩度に劣るために二次色などの表現性に課題が発生しやすい」として、C.I.ピグメントイエロー185を用いた際のポリエステル樹脂に関する特定をしているものである。 (ウ)したがって、当初明細書において、マゼンタ着色剤として「C.I.ピグメントレッド238」を用いることにより、他のマゼンタ着色剤を用いることに比べ格別な効果を有していることが開示されていたとはいえない。 (エ)当初明細書の記載 a マゼンタトナーの着色剤の例示 「【0052】 また、フルカラー画像形成時にイエロートナーと共に用いられるマゼンタトナーに関しては、その着色剤として、例えば、アントラキノン、キナクリドン、ビスアゾ系染料、モノアゾ系染料、などが挙げられる。」 b 実施例に用いるマゼンタトナーの説明 「【0183】 (マゼンタ着色剤分散液M1の調整) マゼンタ顔料(山陽色素社製、PR238(ナフトール))20質量部、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR)2質量部、イオン交換水78質量部を混合し、ホモジナイザー(LKA社製、ウルトラタラックスT50)を用い・・・(略)・・・」 c 発明が解決しようとする背景技術と課題 「【0006】 着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185を用い、且つ湿式製法によりトナーを調整する技術としては、例えば、特許文献2が挙げられる。特許文献2によれば、ポリエステル樹脂を重合するための原料と着色剤とを混合あるいは溶解させて、特定の酸性基を有する界面活性剤の含有させた水系媒体中に分散させて油滴を形成させ、次いで、ポリエステル樹脂粒子の原料である2価以上のカルボン酸及び2価以上のアルコールを、着色剤の存在下で重縮合させることで、着色剤含有ポリエステル樹脂を調整し、さらにこのポリエステル樹脂を凝集することによってトナー粒子を調整している。しかしながら、本手法のような酸性モノマー共存下、または縮重合工程を経て得られるトナー作成工程では先述のような系の粘度低下、及びC.I.ピグメントイエロー185の酸性条件での安定性の欠如のためにC.I.ピグメントイエロー185だけで凝集しやすく、トナー中で充分な分散状態を得られない。そのため、粗大化した凝集体の顔料として耐光性には優れるが、透明性や彩度に劣るために二次色などの表現性に課題が発生しやすい。・・(略)・・ 【0007】 混練粉砕法により製造されたトナーは、乳化重合凝集法等の湿式製法で製造されたトナーに比べて粒径が不均一であるため転写効率に劣り、鮮明且つ彩度に優れた赤色画像の実現は困難であると考えられる。また、上述のように、赤色画像等には特に彩度や耐光性が要求される場合があるため、トナーに更なる彩度の向上や耐光性が要求される場合がある 。 【0008】 本発明は、転写性及び耐光性に優れると共に、彩度に優れた赤色画像が実現される電子写真用トナー、電子写真用現像剤、及び画像形成装置を提供することを課題とする。」 (5)まとめ したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明1及び引用例2?4に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 本件補正の適否についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記「第2」のとおり却下されたので、本願の請求項1?5に係る発明は、本件補正前の請求項1?5の記載によって特定されるものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2〔理由〕1に記載された本件補正前の請求項1のとおりである。 2 引用例 引用例1ないし4及びその記載事項は、上記「第2〔理由〕3(2)」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1」のとおり、本願発明の発明特定事項である、ポリエステル樹脂を限定したものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、当業者が引用発明1及び引用例2?4に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明1及び引用例2?4に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。 第4 結語 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用例2?4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-12 |
結審通知日 | 2014-11-18 |
審決日 | 2014-12-05 |
出願番号 | 特願2008-25403(P2008-25403) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03G)
P 1 8・ 575- Z (G03G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 神尾 寧 |
特許庁審判長 |
藤原 敬士 |
特許庁審判官 |
大瀧 真理 西村 仁志 |
発明の名称 | トナーセット、現像剤セット、及び画像形成方法 |
代理人 | 中島 淳 |
代理人 | 福田 浩志 |
代理人 | 加藤 和詳 |