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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1297127 |
審判番号 | 不服2014-581 |
総通号数 | 183 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-14 |
確定日 | 2015-02-05 |
事件の表示 | 特願2012-274205「映像信号処理装置及び映像信号処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月23日出願公開、特開2013-102453〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯 1.手続 本願は、平成17年6月27日を出願日とする出願である特願2005-185925号の一部を平成23年1月24日に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願とした特願2011-11513号の一部を平成24年12月17日に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願(特願2012-274205号)としたものであって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成24年12月17日 拒絶理由通知 :平成25年 7月 2日(起案日) 手続補正 :平成25年 9月 9日 拒絶査定 :平成25年10月 9日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成26年 1月14日 2.査定 原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。 本願の請求項1ないし7に係る発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開2004-120364号公報 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年9月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 映像信号処理装置において、 他の装置から圧縮映像信号が入力されるインターフェース部と、 前記インターフェース部に入力された圧縮映像信号を復号して非圧縮映像信号を生成するデコーダと、 前記デコーダで生成された非圧縮映像信号を送信する送信部と、を備え、 前記送信部は、前記デコーダで生成された非圧縮映像信号を、前記インターフェース部を通じて前記他の装置へ送り返すことを特徴とする映像信号処理装置。 第3 刊行物に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願のもととなる出願(特願2005-185925号)の出願日前に頒布された刊行物である特開2004-120364号公報(以下「刊行物1」という。)には、それぞれ、図面とともに、次の事項が記載されている。 1.刊行物1の記載 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、撮影によってCCD等の撮像デバイスに結像される被写体像のデジタル画像データを生成して、可搬式の記憶メディアに記憶するデジタルスチルカメラに関する。詳細には、被写体像の静止画撮影に加えて動画撮影の可能なデジタルスチルカメラに関する。 【0008】 しかしながら、動画等のMPEG方式でのエンコードは、処理能力の比較的高いパーソナルコンピュータを用いることによりソフト上で行うことも可能であるが、特にMPEG-2でエンコードされた動画を、パーソナルコンピュータを用いてソフト上でデコードして再生しようとするときには、多量の演算が必要となるため、デコードに要する時間が、動画の再生時間の数倍もかかってしまうことがある。 【0009】 これに対して、MPEG-2方式を含むデータ圧縮及び伸張を行うためのハードウェアは、1チップのLSIを用いて形成することができるが、高価であるという問題がある。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、長時間の動画を高画質で保存及び再生可能とすると共に、実質的なコストアップを抑えたデジタルスチルカメラを提案することを目的とする。 【0014】 一方、圧縮伸張手段は、入出力手段を介して入力される動画データに対する圧縮処理及び伸張処理が可能であるため、入出力手段から入力される動画データをMPEG-2で圧縮処理して、記録手段に記録したり、入出力手段を介して出力することは勿論、MPEG-2で圧縮処理された動画データを伸張処理して出力することができる。 【0015】 これにより、MPEG-2形式の圧縮処理に対応していない機器と接続することにより、MPEG-2形式のエンコーダ及びデコーダとして用いることが可能となり、付加価値を高めることができる。 【0058】 一方、デジタルカメラ10には、パーソナルコンピュータ(PC)62との接続に用いるインターフェイス(I/F)64に加え、例えばDVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disc)等の各種の記憶メディアに記録されている画像データ等を読み出したり、これらの記憶メディアに画像データ等を記録可能なメディアドライブ66の接続に用いるインターフェイス(I/F)68が設けられており、これらが、バス36に接続している。 【0059】 これにより、デジタルカメラ10では、各種の圧縮形式で圧縮処理されるか圧縮処理されていない静止画データないし動画データを、PC62やメディアドライブ66から読み込んで、LCD46に表示したり、所定の圧縮処理を施して、メモリカード60に記録することができる。また、デジタルカメラ10では、圧縮処理してメモリカード60に記録している静止画データないし動画データを、PC62に出力したり、メディアドライブ66に出力して、記録メディアに書き込むことができるようになっている。 【0061】 また、デジタルカメラ10に設けている圧縮・伸張部56は、圧縮形式や圧縮処理を行うときの符号化ビットレートの変換が可能となっている。これにより、例えば、MPEG-1で圧縮処理されてPC62から入力される動画データを、MPEG-2に圧縮変換して、メディアドライブ66に出力したり、MPEG-2で圧縮処理されている動画データを、メディアドライブ66から読み込み、MPEG-1の圧縮形式に変換して、PC62へ出力するなどが可能となっている。 【0076】 デジタルカメラ10に設けている圧縮・伸張部56は、画像撮影によって得た動画データに対する圧縮/伸張処理のみならず、I/F64、68を介して入力される動画データに対する圧縮処理及び伸張処理が可能となっている。 【0077】 これにより、例えば、I/F64に接続しているPC62から非圧縮の動画データ、MotionJPEGや、MPEG-1、MPEG-2で圧縮された動画データを読み込んで、LCD46に表示して見ることができる。 【0078】 また、デジタルカメラ10は、PC62から入力される非圧縮の動画データ、MotionJPEGや、MPEG-1で圧縮された動画データを、MPEG-2に変換してメモリカード60に記録したり、メモリカード60からPC62へ出力することができると共に、I/F68を介してメディアドライブ66へ出力することにより、メディアドライブ66に装填されている記録メディア74に、MPEG-2で圧縮処理した動画データを記録することができる。 【0079】 すなわち、デジタルカメラ10は、MPEG-2形式での圧縮及び伸張処理機能を備えていないPC62に対して、エンコーダ/デコーダ機能を果たすことができる。また、MPEG-2機能を備えたPCに対しては、外部モニタ等として使用することができる。また、特に、DVDに動画を記録する場合、MPEG-2で圧縮されている必要があるが、このような規格に対応させることができる。 【0084】 このようにデジタルカメラ10では、撮影した動画データを高画質で記録可能であるのみならず、I/F64、68を介して入力される動画データに対するMPEG-2形式での圧縮及び伸張処理を行うことができるので、MPEG-2形式の処理機能を備えていないPC62やメディアドライブ66に対して、エンコーダー/デコーダーとして用いることができる。 【0085】 すなわち、PC62にMPEG-2に対する処理機能を持たせるためには、高価な拡張ボードを設ける必要があり、また、DVDドライブでも、MPEG-2に対する処理機能を備えたDVDプレイヤーとなると高価となる。 【0086】 このようなPC62やメディアドライブ66に対して、デジタルカメラ10は、MPEG-2のエンコーダ/デコーダとして用いることができる。 2.刊行物1発明 以上の刊行物1の記載からみて、刊行物1には、次の発明が記載されている。 (2a)刊行物1の全体の記載からみて、刊行物1はデジタルカメラにおける動画データの処理に関する発明が開示されているといえる。 (2b)刊行物1の【0058】等の記載によれば、刊行物1のデジタルカメラは、パーソナルコンピュータ(以下、PCともいう。)62との接続に用いるインターフェイス(以下、I/Fともいう。)64を備え、【0077】の記載によれば、I/F64に接続しているPC62からMPEG-2で圧縮された動画データを読み込むことが可能であることが記載されている。 以上のことから、刊行物1には、PCから、MPEG-2で圧縮された動画データを読み込むI/F64が記載されている。 (2c)刊行物1の【0061】の記載によれば、MPEG-2で圧縮処理されている動画データを、メディアドライブ66から読み込み、MPEG-1の圧縮形式に変換して、PC62へ出力するなどを可能としているから、メディアドライブが接続されたI/F68から入力したMPEG-2で圧縮処理されている動画データを、MPEG-1の圧縮形式に変換するデジタルカメラに設けている圧縮・伸張部が記載されている。 (2d)上記【0061】の記載によれば、デジタルカメラに設けている圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号は、PC62へ出力することが記載されている。デジタルカメラとPCとはI/F64を介して接続されていることは、例えば【0058】の記載から明らかであり、上記I/F64を介して信号をPCに出力するためには、出力するための処理を行う送信部を有することは技術常識である。したがって、刊行物1に記載されたデジタルカメラは、前記圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号を送信する送信部を有しているといえる。 (2e)上記(2d)で検討したように、刊行物1発明のデジタルカメラは、デジタルカメラからPCに情報を出力するための処理を行う送信部を有していることは明らかであり、【0061】の記載によれば、前記圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号は、PC62へ出力するなどを可能としているから、送信部が、I/F64を通じてPCに出力する処理を行っているといえる。 以上のことから、送信部は、前記圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号を前記I/F64を通じてPCに出力することが記載されている。 (2f)まとめ 以上、(2a)ないし(2e)の記載によれば、刊行物1には、以下の技術事項が記載されているといえる。 デジタルカメラにおける動画データの処理に関し、 PCから、MPEG-2で圧縮された動画データを読み込むI/F64と、 メディアドライブが接続されたI/F68から入力したMPEG-2で圧縮処理されている動画データを、MPEG-1の圧縮形式に変換するデジタルカメラに設けている圧縮・伸張部と、 前記圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号を送信する送信部と、 送信部は、前記圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号を前記I/F64を通じてPCに出力すること を特徴とするデジタルカメラ。 第4 対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 (4a)刊行物1発明のデジタルカメラは、以下にあるように、動画データの処理を行っているから、映像信号処理装置といえる。 (4b)刊行物1発明のPCはデジタルカメラとは異なる装置であるから、他の装置といえ、上記PCから、MPEG-2で圧縮された動画データを読み込むI/F64を有しているから、他の装置から圧縮映像信号が入力されるインターフェース部を有しているといえる。 (4c)刊行物1発明は「メディアドライブが接続されたI/F68から入力したMPEG-2で圧縮処理されている動画データを、MPEG-1の圧縮形式に変換するデジタルカメラに設けている圧縮・伸張部」を有するが、上記「メディアドライブが接続されたI/F68」は、PCが接続されたI/F64とは異なるから、‘前記’ではないが、インターフェース部である点で、本願発明と相違がない。 また、圧縮・伸張部は、MPEG-2で圧縮処理されている動画データを、MPEG-1の圧縮形式に変換しているから、圧縮映像信号を変換して異なる形式の映像信号を生成するデコーダといえる。 以上のことから、刊行物1発明は「インターフェース部に入力された圧縮映像信号を変換して異なる形式の映像信号を生成するデコーダ」を有する点で、本願発明と相違がない。 もっとも、 異なる形式の映像信号を生成するデコーダに接続されるインターフェース部は、本願発明では『PCに接続された』前記インターフェース部であるのに対し、刊行物1発明では、『メディアドライブが接続された』インターフェース部である点、 「変換して異なる形式の映像信号を生成する」構成が、本願発明では、「復号して非圧縮映像信号を生成する」構成であるのに対し、刊行物1発明のでは、「変換してMPEG-1の圧縮形式にする」構成である点、 の2点で相違する。 (4d)刊行物1発明は、「前記圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号を送信する送信部」を有しているから、「前記デコーダで生成された異なる形式の映像信号を送信する送信部」を有しているといえる。 もっとも、異なる形式の映像信号が、本願発明では「非圧縮映像信号」であるのに対し、刊行物1発明では、「MPEG-1の圧縮」信号である点で相違することは、上記(4c)で検討したとおりである。 (4e)刊行物1発明は、「送信部は、前記圧縮・伸張部でMPEG-1の圧縮形式に変換された信号を前記I/F64を通じてPCに出力する」構成を有しているから、「前記送信部は、前記デコーダで生成された異なる形式の映像信号を、前記インターフェース部を通じて前記他の装置へ出力する」構成を有している。 もっとも、本願発明と刊行物1発明とでは、 異なる形式の映像信号が、本願発明では「非圧縮映像信号」であるのに対し、刊行物1発明では、「MPEG-1の圧縮」信号である点、 「前記他の装置へ出力する」ことが、本願発明では「前記他の装置へ送り返す」のに対し、刊行物1発明では、「前記他の装置に出力する」(すなわち、上記(4c)で検討したように、圧縮映像信号が入力されるインターフェースが、本願発明では、PCが接続されたインターフェースであるから、変換後の信号をPCに出力することは「他の装置へ送り返す」といえるのに対し、刊行物1発明では、メディアドライブが接続されたインターフェースであるから、信号の入力する元は『メディアドライブが接続されたインターフェース部』であり、出力先『PCが接続されたインターフェース部』と異なるから「他の装置へ送り返す」とはいえない)点、 で相違する。 (4f)まとめ(一致点、相違点) 以上まとめると、本願発明と刊行物1発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。 (一致点) 映像信号処理装置において、 他の装置から圧縮映像信号が入力されるインターフェース部と、 インターフェース部に入力された圧縮映像信号を変換して異なる形式の映像信号を生成するデコーダと、 前記デコーダで生成された異なる形式の映像信号を送信する送信部と、を備え、 前記送信部は、前記デコーダで生成された異なる形式の映像信号を、前記インターフェース部を通じて前記他の装置へ出力することを特徴とする映像信号処理装置。 (相違点) 相違点1 異なる形式の映像信号を生成するデコーダに接続されるインターフェース部は、本願発明では『PCに接続された』前記インターフェース部であるのに対し、刊行物1発明では、『メディアドライブが接続された』インターフェース部である点。 相違点2 「変換して異なる形式の映像信号を生成する」構成が、本願発明では、「復号して非圧縮映像信号を生成する」構成であるのに対し、刊行物1発明のでは、「変換してMPEG-1の圧縮形式にする」構成である点。 相違点3 「前記他の装置へ出力する」ことが、本願発明では「前記他の装置へ送り返す」のに対し、刊行物1発明では、「前記他の装置に出力する」(すなわち、上記相違点1にあるように、圧縮映像信号が入力されるインターフェースが、本願発明では、PCが接続されたインターフェースであるから、変換後の信号をPCに出力することは「他の装置へ送り返す」といえるのに対し、刊行物1発明では、メディアドライブが接続されたインターフェースであるから、信号の入力する元は『メディアドライブが接続されたインターフェース部』であり、出力先『PCが接続されたインターフェース部』と異なるから「他の装置へ送り返す」とはいえない)点。 第5 判断 上記相違点について検討する。 (5a)相違点1、相違点3について 本願明細書の【0039】、【0040】の記載「TV12は蓄積部128に録画された圧縮映像信号をこのクロック線による逆方向のデータ伝送でSTB11へ送り、STB11の持つTS/PS変換部112と復号部113で非圧縮映像信号に復号する。そして、データ線を通してTV12へ送り返し、表示部129でその復号された映像信号に基づく映像を表示することができる。・・・この機能により、復号部を持たないTVでも、蓄積部に録画した映像信号を再生表示して視聴することができる。復号部を持っているTVでも、その復号部が圧縮映像に使われている符号化方式に対応していない場合も同様である。」を参酌すると、上記相違点の構成である、映像信号処理装置の圧縮映像信号が入力されるインターフェースと変換された映像信号が出力されるインターフェースとが一致する構成に起因し、本願発明の映像信号処理装置では、他の装置が行うことができない圧縮映像信号を異なる形式の映像信号に変換する処理を可能とし、他の装置では上記映像信号処理装置が行った変換処理の結果を利用することができるという効果を奏するものであるといえる。 刊行物1発明では、映像信号処理装置(デジタルカメラ)のデコーダで変換処理を行った後の信号をPCに出力する構成に関して、メディアドライブが接続されたインターフェースから入力した信号を変換してPCに出力する構成であって、当該構成が実施例として記載されるのみである。 これに対して刊行物1には 「一方、圧縮伸張手段は、入出力手段を介して入力される動画データに対する圧縮処理及び伸張処理が可能であるため、入出力手段から入力される動画データをMPEG-2で圧縮処理して、記録手段に記録したり、入出力手段を介して出力することは勿論、MPEG-2で圧縮処理された動画データを伸張処理して出力することができる。 これにより、MPEG-2形式の圧縮処理に対応していない機器と接続することにより、MPEG-2形式のエンコーダ及びデコーダとして用いることが可能となり、付加価値を高めることができる。」(【0014】、【0015】) 「デジタルカメラ10は、MPEG-2形式での圧縮及び伸張処理機能を備えていないPC62に対して、エンコーダ/デコーダ機能を果たすことができる。」(【0079】)、 「デジタルカメラ10では、撮影した動画データを高画質で記録可能であるのみならず、I/F64、68を介して入力される動画データに対するMPEG-2形式での圧縮及び伸張処理を行うことができるので、MPEG-2形式の処理機能を備えていないPC62やメディアドライブ66に対して、エンコーダー/デコーダーとして用いることができる。」(【0084】)、 との記載があり、この記載をみれば、刊行物1に記載された技術思想は、単に実施例の記載にとどまらず、PCとデジタルカメラとをI/Fを介して接続し信号を送受信することで、PCが備えていないエンコーダ/デコーダ機能をデジタルカメラが果たすことであるといえる。 してみると、刊行物1の実施例においては、PCがMPEG-2で圧縮された動画データをデコードする機能を備えていないことを前提に、メディアドライブが接続されたインターフェース部から入力したMPEG-2で圧縮された動画データをPCがデコードできるMPEG-1の圧縮形式に変換してPCに出力することで、PCにおいてメディアドライブが接続されたインターフェース部から入力したMPEG-2で圧縮された動画データを利用できることが記載されているといえるが、上述のように、刊行物1に記載された技術思想は、「PCとデジタルカメラとをI/Fを介して接続し信号を送受信することで、PCが備えていないデコーダ機能をデジタルカメラが果たすこと」であって、刊行物1発明は、PCからMPEG-2で圧縮された動画データをデジタルカメラに入力して上記動画データを利用可能とする入力するインターフェースを有しているのであるから、PCがデコードすることができないMPEG-2で圧縮された動画データをPCから入力し、デジタルカメラのデコーダで処理をし、PCで利用可能とするように送り返す構成とすることは、当業者が容易になしえたことである。 (5b)相違点2について 上記(5a)で検討したように、刊行物1に記載された技術思想は、PCとデジタルカメラとをI/Fを介して接続し信号を送受信することで、PCが備えていないデコーダ機能をデジタルカメラが果たすことであるといえるところ、刊行物1では、PCのデコーダ機能は、MPEG-1の圧縮形式の動画データはデコードできるもののMPEG-2の圧縮形式の動画データはデコードできないことを前提として、実施例の説明がなされているととらえることができる。 この点PCは、様々なソフトウェアをインストールすることで、各種機能を備えるようにするものであることは周知のことであり、(MPEG-1等他の圧縮形式の動画データをデコードするためのソフトウェアがインストールされていない)圧縮形式の動画データをデコードすることができないPCは当然考えられるものであり、そのようなPCに対しては、デジタルカメラで非圧縮の映像信号に変換するようにすることは普通に想起しえたことである。 第6 効果 以上のように、上記相違点は当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 第7 むすび 以上、本件出願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、残る請求項2ないし請求項7に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-19 |
結審通知日 | 2014-11-25 |
審決日 | 2014-12-08 |
出願番号 | 特願2012-274205(P2012-274205) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川崎 優 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
渡邊 聡 小池 正彦 |
発明の名称 | 映像信号処理装置及び映像信号処理方法 |
代理人 | 特許業務法人 武和国際特許事務所 |