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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01J
管理番号 1297160
審判番号 不服2013-14876  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-02 
確定日 2015-02-04 
事件の表示 特願2011-207590「赤外線センサのビデオ信号を補正するための方法および撮像システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月16日出願公開,特開2012- 32400〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は,平成13年3月2日(パリ条約による優先権主張 平成12年3月3日(以下「優先日」という。)米国)に出願した特願2001-58540号の一部を平成23年9月22日に新たな特許出願としたものであって,平成24年3月29日付けで拒絶理由が通知され,同年8月3日付けで意見書が提出され,平成25年3月28日付けで拒絶査定されたのに対し,同年8月2日に拒絶査定不服の審判請求がされたものである。
そして,その請求項1?8に係る発明は,願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるものと認められ,そのうち請求項1に係る発明は,以下のとおりのものである。
「【請求項1】
温度センサを介して、非冷却赤外線センサの動作温度を計測するステップを含み、前記非冷却赤外線センサは複数の検出器素子を含み、
前記非冷却赤外線センサから、前記非冷却赤外線センサの前記動作温度が計測された時に得られたビデオ入力信号の入力を受けるステップと、
前記非冷却赤外線センサの動作温度と予め定められた較正された補正項の温度に基づく線形補間法とを使用して、温度に基づく補正項を計算するステップとを含み、前記較正された補正項は、前記非冷却赤外線センサの予め定められた2つの動作温度(T_(1)およびT_(2))の各々における予め定められた2つの赤外線の放射レベル(Φ1およびΦ2)に対する前記複数の検出器素子の各々の応答出力値を含み、
前記線形補間法を用いて計算された、前記温度に基づく補正項をビデオ入力信号に適用し、それにより前記非冷却赤外線センサの温度の変動によって起こるビデオ信号の変動を補正するステップとを含む、赤外線センサの温度に従って変動する赤外線センサのビデオ信号を補正するための方法。」(以下「本願発明」という。)

第2 引用刊行物及びその記載事項
(1)優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平10-122956号公報(以下「引用例1」という。)には,次の事項が記載されている。なお,以下の摘記事項において,下記の引用発明の認定に関連する箇所に下線を付与した。
(1-ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はボロメータを用いた赤外線カメラに関するものである。」

(1-イ)「【0005】・・・ボロメータアレイ2の出力をオフセット補正データの取得時と同様に増幅回路11で増幅し画像用A/D変換回路12でディジタル信号に変換した後、オフセット補正回路13内の減算回路19においてフレームメモリ18に記録されたオフセット補正データを画素ごとに減算し固定パターンノイズを除去した後、画像用D/A変換回路14においてアナログのビデオ信号に変換し出力する。」

(1-ウ)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の赤外線カメラは上記のように構成されており、上記のようにオフセット補正データを取得し、データ取得後はボロメータアレイ2を熱電温度安定器5を用いて一定温度に維持して固定パターンノイズを除去しているため、維持温度と周囲温度との差が大きい場合には消費電力が大きくなるという課題があった。又、各ボロメータの抵抗値及び抵抗変化率にばらつきがあるため、周囲温度の急激な変動等の外乱によりボロメータアレイ2の温度が変動すると各ボロメータの出力電圧の変動幅にばらつきが生じ、固定パターンノイズが生じるという課題があった。」

(1-エ)「【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1はこの発明による赤外線カメラの実施の形態1を示すブロック図である。図中、1?4、6?14、17?19は従来の装置と同じものである。33は温度センサ4に接続した素子温度検出回路、34は素子温度検出回路33に接続した補正用A/D変換回路、35は補正用A/D変換回路34に接続した素子温度メモリ、36はボロメータアレイ2の異なる2つの温度における出力の差を各ボロメータごとに記録した補正メモリ、37は補正用A/D変換回路34と素子温度メモリ35と補正メモリ36とに接続した補正量算出回路、38は補正量算出回路37に接続した補正用D/A変換回路、39は増幅回路9と補正用D/A変換回路38に接続した差動増幅回路、40はシャッタ8、ドライバ回路10、画像用A/D変換回路12、オフセット補正回路13、画像用D/A変換回路14、補正用A/D変換回路34、補正量算出回路37へ接続したタイミング発生回路である。温度センサ4とボロメータアレイ2とを熱的に近接させるため、両者は共に基板3上に設置している。また、パッケージ6と窓7で囲む空間は真空である。図2はボロメータアレイ2の実施の形態を示す接続図であり、17?24は従来の装置と同じものである。41は水平シフトレジスタ、42は垂直シフトレジスタ、43、44は水平シフトレジスタ41に接続したトランジスタ、45、46は垂直シフトレジスタ42に接続したトランジスタ、47は負荷抵抗である。図3は第1の補正メモリ36の記憶内容に関する説明図である。第1の補正メモリ36には温度T1とT2における増幅回路11の出力の差がボロメータ17?20各々について記録されている。なお、T1とT2は通常本カメラが動作する際にボロメータアレイ2が遭遇する温度範囲内の2つの温度とする。
【0015】次にこの発明による赤外線カメラの動作について説明する。タイミング発生回路40が生成するタイミングに従いドライバ回路10がボロメータアレイ2にクロックを送り、水平シフトレジスタ41、垂直シフトレジスタ42はトランジスタ43?46を順次導通状態にしてバイアス電流の通電を行ない、ボロメータ17?20の各抵抗値に対応する電圧を負荷抵抗47の接続端子から出力する。次にシャッタ8を閉じて従来の装置と同様にオフセット補正データの取得を行なう。この時、補正用A/D変換回路34は素子温度検出回路33の出力電圧をディジタル信号に変換し、オフセット補正データ取得時の温度を素子温度メモリ35に記録する。次にシャッタを開く。オフセット補正データの取得後は、オフセット補正データ取得時のボロメータアレイ2の温度、撮像中のボロメータアレイ2の温度、補正メモリ36の記録内容を補正量算出回路37に伝達し、補正量算出回路37が各画素に対応した固定パターンノイズの補正量を計算する。上記補正量を補正用D/A変換回路38でアナログ信号に変換した後差動増幅回路39において増幅回路11の出力から減算し、ボロメータアレイ2の温度変化により生じる固定パターンノイズを除去する。式(1)は補正量算出回路37がボロメータ17に対する固定パターンノイズの補正量を算出する計算式の一例であり、ボロメータ18、19、20に対しても同様の計算により補正量を算出する。
【0016】
(ボロメータ17に対する補正量)
=DT12×(Td-Tdo)/(T2-T1)・・・・・(1)
T1 :第1の温度
T2 :第2の温度
DT12:ボロメータアレイ2の温度を第1の温度T1から第2の温度T2へ変化させた際に増幅回路11において生じるボロメータ17の出力変動量
Td :撮像中におけるボロメータアレイ2の温度
Tdo :オフセット補正データ取得時のボロメータアレイ2の温度
【0017】周囲温度の変化等によりボロメータアレイ2の温度がオフセット補正実行時の温度から大きく変動すると補正精度が低下し固定パターンノイズが出てくる。この場合には再びオフセット補正を行ない、フレームメモリ18及び素子温度メモリ35の記録データを更新して撮像を続行する。」

(1-オ)「【0028】
【発明の効果】第1?3の発明によれば、オフセット補正データ取得時からのボロメータアレイ2の温度変化を検出し、あらかじめ測定しておいた固定パターンノイズのデータをもとに各ボロメータごとに固定パターンノイズの補正量を計算し、固定パターンノイズの除去を行なうようにしたため、ボロメータアレイ2に対する温度安定化手段が不要で低消費電力の赤外線カメラが得られる効果がある。また、温度安定化手段を備えた場合には外乱によりボロメータアレイ2の温度が変動しても固定パターンノイズの発生が少ない赤外線カメラが得られる効果がある。」

(1-カ)下記の図1には,補正量算出回路37で算出された補正量の信号は,補正用D/A変換回路38,差動増幅回路39、画像用A/D変換回路12、オフセット補正回路13を通って、アナログのビデオ信号に変換し出力する画像用D/A変換回路14に適用されることが示されている。


上記引用例1の記載事項を総合すると,引用例1には,以下の発明が記載されていると認められる。
「温度センサとボロメータアレイとを熱的に近接させるため、両者は共に基板上に設置しており,該温度センサに接続した素子温度検出回路、該素子温度検出回路に接続した補正用A/D変換回路、該補正用A/D変換回路に接続した素子温度メモリ、上記ボロメータアレイの異なる2つの温度における出力の差を各ボロメータごとに記録した補正メモリ、上記補正用A/D変換回路と素子温度メモリと補正メモリとに接続した補正量算出回路、該補正量算出回路に接続した補正用D/A変換回路、増幅回路と補正用D/A変換回路に接続した差動増幅回路、シャッタ、ドライバ回路、画像用A/D変換回路、オフセット補正回路、アナログのビデオ信号に変換し出力する画像用D/A変換回路、補正用A/D変換回路、補正量算出回路へ接続したタイミング発生回路を有する赤外線カメラにおける方法であって,
上記補正量算出回路で,下記(1)式を用いて各ボロメータに対する固定パターンノイズの補正量を算出し,その算出された補正量の信号は,補正用D/A変換回路,差動増幅回路、画像用A/D変換回路、オフセット補正回路を通って、アナログのビデオ信号に変換し出力する画像用D/A変換回路に適用される方法。
(ボロメータに対する補正量)
=DT12×(Td-Tdo)/(T2-T1)・・・・・(1)
T1 :第1の温度
T2 :第2の温度
DT12:ボロメータアレイの温度を第1の温度T1から第2の温度T2へ変化させた際に増幅回路において生じるボロメータの出力変動量
Td :撮像中におけるボロメータアレイの温度
Tdo :オフセット補正データ取得時のボロメータアレイの温度」(以下「引用発明」という。)


(2)優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平2-107074号公報(以下「引用例2」という。)には,次の事項が記載されている。
(2-ア)「この発明に係る赤外線撮像装置は,固定パターン補正回路の後に,その出力に比例して赤外線撮像素子がそれぞれの素子に有する感度バラツキを計算するゲイン補正回路をもつことにより広い温度範囲にわたり固定パターンノイズを補正できるようにしたものである。」(2頁右上欄8?13行)

(2-イ)「校正を実施することによって,固定パターン補正回路の作用によって,(16)のカーブは,(17)のカーブのように補正される。横軸のx_(0)は校正時の赤外線エネルギである。校正時と異なる入力エネルギーx_(1)のときは個々の素子感度差によりΔy_(1)の出力差が生じることになり,これが固定パターンノイズとして再びあらわれてくる。そこで,校正により固定パターン補正回路(10)で補正した後,校正時と異なる均一温度源を用いてx_(2)なる赤外線エネルギを入力したときの平均的な素子の出力カーブ(15)と個々の素子の出力カーブ(17)の差Δy_(2)とその出力y_(2)の比Δy_(2)/y_(2)を求め,この値を感度差分メモリ(14)に記録しておく。感度バラツキの少ない素子の場合にはΔy_(2)/y_(2)のかわりにΔy_(2)/y_(20)を記録しておいても差し支えない。通常の使用時において校正時と異なるエネルギx_(1)のときの固定パターン補正回路(10)の後の出力y_(1)に感度差分メモリ(14)に記録されているΔy_(2)/y_(2)と乗算器(13)により乗算しΔy_(1)を求め,その値をy_(1)に加算してy_(10)を求め出力することにより,個々の感度差によって生ずる固定パターンノイズを補正する。」(2頁左下欄15行?右下欄16行)

(2-ウ)第2図



第3 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「ボロメータアレイ」について,「ボロメータ」は非冷却型の赤外線センサで用いるもので,「アレイ」とはボロメータである検出器素子が複数あるものである。そして,引用発明で「温度センサとボロメータアレイとを熱的に近接させるため、両者は共に基板上に設置している」こと及び摘記(1-オ)の「ボロメータアレイ2の温度変化を検出」するとの記載から,本願発明の「温度センサを介して、非冷却赤外線センサの動作温度を計測するステップ」を有することは明らかである。してみれば,引用発明は,本願発明の「温度センサを介して、非冷却赤外線センサの動作温度を計測するステップを含み、前記非冷却赤外線センサは複数の検出器素子を含」むものである。

(2)引用発明において「温度センサに接続した素子温度検出回路、該素子温度検出回路に接続した補正用A/D変換回路」は,「アナログのビデオ信号に変換し出力する画像用D/A変換回路」と共に「タイミング発生回路」に接続されていることから,温度センサで素子温度を検出したタイミングでアナログのビデオ信号に変換し出力しているといえることから,上記(1)の記載も踏まえ,引用発明は,本願発明の「非冷却赤外線センサから、前記非冷却赤外線センサの前記動作温度が計測された時に得られたビデオ入力信号の入力を受けるステップ」を含んでいるといえる。

(3)引用発明で,
「(ボロメータに対する補正量)
=DT12×(Td-Tdo)/(T2-T1)・・・・・(1)
T1 :第1の温度
T2 :第2の温度
DT12:ボロメータアレイの温度を第1の温度T1から第2の温度T2へ変化させた際に増幅回路において生じるボロメータの出力変動量
Td :撮像中におけるボロメータアレイの温度
Tdo :オフセット補正データ取得時のボロメータアレイの温度」によって,各ボロメータに対する固定パターンノイズの補正量を算出することは,本願発明の「前記非冷却赤外線センサの動作温度と予め定められた較正された補正項の温度に基づく線形補間法とを使用して、温度に基づく補正項を計算するステップ」に相当する。

(4)引用発明の「補正量算出回路で,下記(1)式を用いて各ボロメータに対する固定パターンノイズの補正量を算出し,その算出された補正量の信号は,補正用D/A変換回路,差動増幅回路、画像用A/D変換回路、オフセット補正回路を通って、アナログのビデオ信号に変換し出力する画像用D/A変換回路に適用される」ことは,(1)式で線形補間法を用いて計算された温度に基づく補正量の信号が,アナログのビデオ信号に変換し出力する画像用D/A変換回路に適用されることになるから,本願発明の「前記線形補間法を用いて計算された、前記温度に基づく補正項をビデオ入力信号に適用し、それにより前記非冷却赤外線センサの温度の変動によって起こるビデオ信号の変動を補正するステップ」を含んでいるといえる。したがって,引用発明の方法は,本願発明の「赤外線センサの温度に従って変動する赤外線センサのビデオ信号を補正するための方法」に相当するものである。

してみれば,本願発明と引用発明とは,
(一致点)
「温度センサを介して,非冷却赤外線センサの動作温度を計測するステップを含み,前記非冷却赤外線センサは複数の検出器素子を含み,
前記非冷却赤外線センサから,前記非冷却赤外線センサの前記動作温度が計測された時に得られたビデオ入力信号の入力を受けるステップと,
前記非冷却赤外線センサの動作温度と予め定められた較正された補正項の温度に基づく線形補間法とを使用して,温度に基づく補正項を計算するステップとを含み,
前記線形補間法を用いて計算された,前記温度に基づく補正項をビデオ入力信号に適用し,それにより前記非冷却赤外線センサの温度の変動によって起こるビデオ信号の変動を補正するステップとを含む,赤外線センサの温度に従って変動する赤外線センサのビデオ信号を補正するための方法。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明の補正項は,「非冷却赤外線センサの予め定められた2つの動作温度(T_(1)およびT_(2))の各々における予め定められた2つの赤外線の放射レベル(Φ1およびΦ2)に対する前記複数の検出器素子の各々の応答出力値」を含んでいるのに対し,引用発明では,それを含むものとは特定されていない点。

2 当審の判断
上記相違点について検討するに,引用例2にも記載されているように,赤外線撮像素子を構成する各素子には感度のバラツキあるため,広い温度範囲にわたって固定パターンノイズを補正するためには,オフセット補正に加えてゲイン補正を行う,すなわち,赤外線検出器出力/赤外線入力エネルギを考慮した補正を行うことは本出願前周知のことである。ここで,引用例2の第2図における赤外線入力エネルギ(x_(1),x_(2))は本願発明における上記相違点に係る構成の「赤外線の放射レベル(Φ1およびΦ2)」に,赤外線検出器出力は同じく「複数の検出器素子の各々の応答出力値」に対応しているから,赤外線検出器出力/赤外線入力エネルギは「赤外線の放射レベル(Φ1およびΦ2)に対する前記複数の検出器素子の各々の応答出力値」に相当するものである。
引用発明においても,摘記(1-ウ)に記載されているとおり「各ボロメータの抵抗値及び抵抗変化率にばらつきがあるため、周囲温度の急激な変動等の外乱によりボロメータアレイ2の温度が変動すると各ボロメータの出力電圧の変動幅にばらつきが生じ」ものであり,さらに,摘記(1-エ)に「周囲温度の変化等によりボロメータアレイ2の温度がオフセット補正実行時の温度から大きく変動すると補正精度が低下し固定パターンノイズが出てくる。この場合には再びオフセット補正を行ない」と記載されているとおり,温度に基づく線形補間だけでは,補正精度が低下することが示されている。
してみれば,引用発明において,各ボロメータ(各素子)の感度にばらつきがあり,そして,温度に基づく線形補間だけでは,周囲温度の変動に対応できない(広い温度範囲に対応できない)旨が示されているのであるから,上記周知技術に鑑みて,温度に基づく線形補間に加えて,各素子のゲイン補正として「赤外線の放射レベル(Φ1およびΦ2)に対する前記複数の検出器素子の各々の応答出力値」も考慮した補正を行うこと,すなわち,引用発明の補正量の算出において「非冷却赤外線センサの予め定められた2つの動作温度(T_(1)およびT_(2))の各々における予め定められた2つの赤外線の放射レベル(Φ1およびΦ2)に対する前記複数の検出器素子の各々の応答出力値」を含ませてみようとすることは当業者が容易に想到し得ることである。
そして,本願発明の効果も,引用例1に記載されている事項,引用例2に記載されている周知事項を鑑みれば,当業者が予期しうる範囲の効果であり,格別顕著なことではない。
したがって,本願発明は,引用発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明することができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり,審決する。
 
審理終結日 2014-09-08 
結審通知日 2014-09-09 
審決日 2014-09-24 
出願番号 特願2011-207590(P2011-207590)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平田 佳規  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 信田 昌男
三崎 仁
発明の名称 赤外線センサのビデオ信号を補正するための方法および撮像システム  
代理人 森田 俊雄  
代理人 深見 久郎  
代理人 仲村 義平  
代理人 堀井 豊  

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