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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1297780
審判番号 不服2014-4168  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-04 
確定日 2015-02-20 
事件の表示 特願2008-147633「LEDフラッシュ装置ならびに電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月17日出願公開、特開2009-295769〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年6月5日の出願であって、平成24年10月4日付けで拒絶理由が通知され、同年12月10日付けで手続補正がなされ、平成25年6月12日付けで拒絶理由が通知され、同年8月19日に特許請求の範囲の補正がなされたが、同年11月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成26年3月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲の補正がなされたものである(以下、平成26年3月4日になされた補正を「本件補正」という。)。


第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「光源としてのLEDと、前記LED駆動用の補助電源と、コントローラと、前記LEDの発光に必要な電圧を発生する昇圧回路と、電流スイッチとを有し、
前記補助電源は、そのエネルギ密度が5Wh/kg以上であると共に、前記LEDには、0.8A以上の電流が通電され、
前記コントローラは、LEDオン/オフ信号ならびにフラッシュ/トーチ選択信号を出力して、フラッシュパルス幅を含む前記LEDの発光状態を制御し、
前記電流スイッチは、前記コントローラの制御に応じて、前記LEDに流れる電流をオン/オフする、LEDフラッシュ装置。」
に補正することを含むものであって、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるので、以下に、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、独立特許要件の検討を行う。

2.引用例
原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-108192号公報(以下「引用例1」という。)には、図とともに次の記載がある。(下線は、当審による。)

「【0001】
本発明は携帯端末(電話)機等に搭載したカメラの照明用補助光源としての発光ダイオード、すなわちLED(Light Emitting Diode)の電源に係り、前記カメラの撮影時において前記LEDを発光させる大電流を安定して供給するための補助電源に関する。」

「【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施形態を示す携帯端末(電話)機システムの電源に関するブロック図であって、100は本発明のカメラおよび補助光源並びに前記補助光源用補助電源を搭載した携帯端末(電話)機システム、101は携帯端末(電話)機システム全体の電源であるリチュウムイオン二次電池、102はカメラ部、103はカメラ用補助光源部、104は補助電源、105は無線部、106は表示部、107はキー照明、108は制御部、109は電気二重層コンデンサである。
【0019】
制御部108は前記制御部108に含まれるキー操作により無線部105、表示部106、キー照明107の機能を制御して携帯端末(電話)機としての動作を行う。また、制御部108は前記制御部108に含まれるキー操作によりカメラ部102を動作させ、被写体が低照度である場合は必要に応じて補助光源部103を起動する。
【0020】
これら携帯端末(電話)機の各機能部のうちカメラ部102、無線部105、表示部106、キー照明107、制御部108の動作電源は全てリチュウムイオン二次電池101より供給するが、カメラ用補助光源部103のみはリチュウムイオン二次電池101から補助光源用補助電源104を介して供給する。
【0021】
すなわち、補助光源部の補助電源104の構成は前記補助光源部103の電源用に使用する電源用電気二重層コンデンサおよび前述の携帯端末(電話)機システム全体の電源であるリチュウムイオン二次電池の電圧を昇圧して前記電気二重層コンデンサを充電する充電回路および前記補助光源部のLEDを大電流で駆動する昇降圧型駆動回路を備えている。
【0022】
以下補助電源104の詳細な構成と動作を図面に基づいて説明する。図2は補助電源まわりのブロック図を示し、104は本発明による補助電源であって、101はリチュウムイオン二次電池、103は補助光源部、108は制御部を示す。
【0023】
補助電源104は充電回路201、電気二重層コンデンサ109、昇降圧型駆動回路203で構成し、204および205は制御部108から充電回路201および昇降圧型駆動回路203の動作を制御する制御線である。
【0024】
すなわち、前述の図1で説明した本発明の携帯端末(電話)機システム100において本発明のカメラ部103を制御部108に含まれるキー操作により撮影モードにすると制御部108から制御線204を経由して充電回路201を起動する。充電回路201は昇圧回路であって、リチュウムイオン二次電池101の電圧を昇圧して電気二重層コンデンサ109を充電する。つまり、本実施例ではリチュウムイオン二次電池101の出力電圧3.6Vを7Vに昇圧して電気二重層コンデンサ109を充電するのである。
【0025】
いっぽう制御部108に含まれるキー操作によりカメラ部103の撮影シャッターを操作すると被写体の明暗に応じて制御線205を経由して昇降圧型駆動回路203を起動して補助光源部103を発光する。ここで、補助光源部103の定格電圧は5Vであり、充電回路201により充電が完了した電気二重層コンデンサ109の初期放電電圧は7Vであるから昇降圧型駆動回路203は降圧回路として動作し、放電が進むにつれて電気二重層コンデンサ109の電圧は低下し、5Vを下回ると昇降圧型駆動回路203は昇圧回路として動作して前記補助光源部103への定格電圧の5V供給を維持する。」

「【0027】
カメラ部103の撮影シャッター操作により昇降圧型駆動回路203を起動すると、範囲302では電気二重層コンデンサ109の電圧は補助光源部103の定格電圧5Vより高いので昇降圧型駆動回路203は降圧回路として動作し、放電が進むにつれて電気二重層コンデンサ109の端子電圧が補助光源部103の定格電圧5Vより下回る303の範囲になると昇降圧型駆動回路203は昇圧回路として動作して前記補助光源部103へ定格電圧5Vを供給維持する。
【0028】
すなわち、カメラ部103の撮影シャッター操作を行うと、カメラ部103は被写体に対する合焦と測光動作を行いシャッター速度の決定を行う。シャッター速度の決定後露光動作を行うが、このとき測光値が不足の場合は補助光源部103の露光通電時間制御を伴った発光動作を行う。
【0029】
前記発光動作の発光時間は前記測光値により長短が異なり、被写体が比較的明るい場合は発光時間が短く電気二重層コンデンサ109の放電も少ないため昇降圧型駆動回路203は降圧動作のみだが、被写体が暗く発光時間が長くなると電気二重層コンデンサ109の放電が大きく、前記電気二重層コンデンサ109の出力電圧は補助光源部103に供給する電圧5Vを下回るため昇降圧型駆動回路203は昇圧駆動回路としての動作となる。図3では放電時間が6/100秒を経過した付近から電気二重層コンデンサ109の出力電圧が補助光源部103に供給する電圧5Vを下回るため昇降圧型駆動回路203は昇圧駆動回路として動作する様子を示す。
【0030】
なお、本実施例において補助光源部103を駆動するために必要とする電力は、電圧5Vで1Aであり、発光時間を最大0.1秒とすると必要電力量は0.5ワットセカンド、すなわち0.5ジュールである。」

上記記載によれば、引用例1には、
「リチュウムイオン二次電池101、補助光源がLEDであるカメラ用補助光源部103、補助電源104、制御部108、電気二重層コンデンサ109を有し、
制御部108は、被写体が低照度である場合は必要に応じて補助光源部103を起動するものであり、
カメラ用補助光源部103は、リチュウムイオン二次電池101から補助光源用補助電源104を介し電圧が供給され、
補助電源104は、前記補助光源部103の電源用に使用する電源用電気二重層コンデンサおよびリチュウムイオン二次電池の電圧を昇圧して前記電気二重層コンデンサを充電する充電回路および前記補助光源部のLEDを大電流で駆動する昇降圧型駆動回路を備えており、充電回路201、電気二重層コンデンサ109、昇降圧型駆動回路203で構成され、
制御部108に含まれるキー操作により撮影モードにすると制御部108から制御線204を経由して昇圧回路である充電回路201を起動し、リチュウムイオン二次電池101の電圧を昇圧して電気二重層コンデンサ109を充電し、
制御部108に含まれるキー操作によりカメラ部103の撮影シャッターを操作すると被写体の明暗に応じて制御線205を経由して昇降圧型駆動回路203を起動して補助光源部103を発光し、
カメラ部103の撮影シャッター操作を行うと、カメラ部103は被写体に対する合焦と測光動作を行いシャッター速度の決定を行い、シャッター速度の決定後露光動作を行い、このとき測光値が不足の場合は補助光源部103の露光通電時間制御を伴った発光動作を行い、
前記発光動作の発光時間は前記測光値により長短が異なり、被写体が比較的明るい場合は発光時間が短く、被写体が暗い場合は発光時間が長くなるものであり、
補助光源部103は、電圧5Vで1Aで駆動される
携帯端末機システム100。」(以下「引用発明」という。)
が記載されているものと認められる。

3.対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「(カメラ用補助光源部103の補助光源である)LED」は、本願補正発明の「光源としてのLED」に相当する。
(2)引用発明の「電気二重層コンデンサ109」は、「前記補助光源部103の電源用に使用する電源用電気二重層コンデンサ」であるから、本願補正発明の「前記LED駆動用の補助電源」に相当する。
(3)引用発明の「制御部108」は、本願補正発明の「コントローラ」に相当する。
(4)引用発明の「(補助光源部の補助電源104の)充電回路201」は、「リチュウムイオン二次電池101の電圧を昇圧して電気二重層コンデンサ109を充電」する「昇圧回路」であるから、本願補正発明の「前記LEDの発光に必要な電圧を発生する昇圧回路」に相当する。
(5)引用発明において、「補助光源部103は、電圧5Vで1Aで駆動される」から、引用発明のLEDには、本願補正発明と同様に「0.8A以上の電流が通電され」るものと認められる。
(6)引用発明の「制御部108」は、「被写体の明暗に応じて制御線205を経由して昇降圧型駆動回路203を起動して補助光源部103を発光し」、「シャッター速度の決定後露光動作を行い、このとき測光値が不足の場合は補助光源部103の露光通電時間制御を伴った発光動作を行」うものであるから、本願補正発明の「コントローラ」と同様に「フラッシュパルス幅を含む前記LEDの発光状態を制御」するものであるといえる。
(7)引用発明は、「(補助光源部103の補助光源である)LED」について、上記(6)に記載した発光動作を行うものであるから、「LEDフラッシュ装置」であるといえる。
(8)以上のことから、両者は
「光源としてのLEDと、前記LED駆動用の補助電源と、コントローラと、前記LEDの発光に必要な電圧を発生する昇圧回路とを有し、
前記LEDには、0.8A以上の電流が通電され、
前記コントローラは、フラッシュパルス幅を含む前記LEDの発光状態を制御する、
LEDフラッシュ装置。」の点で一致する。
(9)一方、両者は、次の点で相違する。
a.本願補正発明は、「電流スイッチ」を有し、「前記電流スイッチは、前記コントローラの制御に応じて、前記LEDに流れる電流をオン/オフする」ものであるのに対し、引用発明がこのような「電流スイッチ」を有するものであるか不明な点。
b.本願補正発明では、「前記補助電源は、そのエネルギ密度が5Wh/kg以上である」のに対し、引用発明の「電気二重層コンデンサ109」がこのようなものであるか不明な点。
c.本願補正発明では、コントローラが「LEDオン/オフ信号ならびにフラッシュ/トーチ選択信号を出力」するものであるのに対し、引用発明の「制御部108」がこのようなものとはされていない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点aについて検討する。
引用発明は、制御部108により、「露光通電時間制御を伴った発光動作を行」い、「被写体が比較的明るい場合は発光時間が短く、被写体が暗い場合は発光時間が長く」するものであるところ、このような通電時間の制御を「電流スイッチ」を用いたオン/オフにより行うことに格別の困難性は認められない。
(2)相違点bについて検討する。
引用発明は、「電気二重層コンデンサ109」を「補助光源部103の電源用に使用する」ものであるから、そのエネルギ密度は大きいほど望ましいことが明らかであり、また、原査定の拒絶理由に引用された特開2004-221523号公報(以下「引用例2」という。)には、エネルギー密度の小さい電気二重層キャパシタに代えて、エネルギ密度が数十Wh/kgの電気化学キャパシタを用いることが記載されている(【0003】、【0004】、【0007】等の記載参照。)ことに鑑みれば、引用発明における補助光源部103の電源用としてエネルギ密度が5Wh/kg以上のものを想定することに困難性は認められない。
(3)相違点cについて検討する。
例えば、特開2007-227880号公報の【0101】に「LED122をカメラ102用の光源として使用する典型的な携帯デバイスでは、光源を2つのモードの一方で作動させることができる。フラッシュモードと呼ばれる第一のモードは、その名前が意味するように、非常に明るい光強度を、非常に短い時間内で使用し、写真撮影の瞬間に光を与える。第二の作動モードは、「トーチ」モードと呼ばれ、この場合、光源は低い強度で、ただし、ビデオ撮影の時に望まれるように、より長い時間作動させる。」と記載されているように、また、国際公開第2007/007222号の第1頁第16?20行に「More and more portable devices, such as mobile phones and personal digital assistants (PDAs), are equipped with digital cameras as well. Under conditions of insufficient light, light-emitting diodes (LEDs) are suitable for performing a flash illumination function for these types of applications in view of their size. Also, LEDs can be used in a continuous mode (torch mode) for capturing small films.」と記載されているように、携帯デバイスの光源であるLEDをフラッシュモードとトーチモードで動作させることは、本願の出願時点で周知であるから、引用発明の携帯端末機システム100においても、フラッシュモードとトーチモードを可能とするべく、上記相違点cに係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
また、本願補正発明が奏するとする効果についても、当業者が予測可能なものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
以上のとおりであって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術事項並びに上記周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成25年8月19日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「光源としてのLEDと、前記LED駆動用の補助電源と、コントローラと、前記LEDの発光に必要な電圧を発生する昇圧回路と、電流スイッチとを有し、
前記補助電源は、そのエネルギ密度が5Wh/kg以上であると共に、前記LEDには、0.8A以上の電流が通電され、
前記コントローラは、フラッシュパルス幅を含む前記LEDの発光状態を制御し、
前記電流スイッチは、前記コントローラの制御に応じて前記LEDに流れる電流をオン/オフする、LEDフラッシュ装置。」

2.判断
本願発明は、本願補正発明から、コントローラーに関する「LEDオン/オフ信号ならびにフラッシュ/トーチ選択信号を出力して、」との事項を省いたものであるから、上記第2[理由]2.?4.(1)、(2)の検討から、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められる。

3.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-12 
結審通知日 2014-12-17 
審決日 2015-01-06 
出願番号 特願2008-147633(P2008-147633)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 百瀬 正之  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 鈴木 肇
松川 直樹
発明の名称 LEDフラッシュ装置ならびに電子機器  
代理人 池田 憲保  
代理人 池田 憲保  
代理人 佐々木 敬  
代理人 福田 修一  
代理人 福田 修一  
代理人 佐々木 敬  
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