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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1297798
審判番号 不服2013-3201  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-19 
確定日 2015-02-18 
事件の表示 特願2010-541481「衝突する物理レイヤ信号を有するセルの中からホーム・ノードB(CSG(ClosedSubscriberGroup)のセル)を選択または再選択するための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月16日国際公開、WO2009/088703、平成23年 3月24日国内公表、特表2011-509600〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
この出願は、2008年(平成20年)12月19日(優先権主張2008年1月2日 米国)を国際出願日とする国際出願であって、平成24年10月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年2月19日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において、平成26年2月10日付けで拒絶理由を通知し、同年8月11日付けで手続補正がなされたものである。

なお、この出願の優先権主張の基礎となる米国仮出願である61/018580には、この出願の請求項1に係る発明の「前記WTRUにおけるAS(Access Stratum)にCSGホワイトリストを提供すること、前記CSGセルが前記CSGホワイトリストに含まれていることを前記ASが判定するという条件で前記CSGセルにセル再選択を行うこととを備える」点に関して記載されていないから、この出願の請求項1に係る発明については優先権主張の効果は認められない。
このため、この出願の請求項1に係る発明は、この出願の現実の国際出願日である平成20年12月19日に出願がなされたものとして、刊行物に記載された発明との対比・判断を行う。


2.当審の拒絶理由
当審が平成26年2月10日付けで通知した拒絶の理由の概要は、
<理由1>
この出願に係る発明は、この出願の国際出願日前に頒布された「T-Mobile, et.al., ”CSG and idle mode mobility, R2-080002, 3GPP TSG-RAN2#60bis, 2008年1月14日, URL,http://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_60bis/Docs/R2-080002.zip」(以下、「引用文献1」という)に記載された発明、及び、同じく「Motorola, ”Physical Layer Identity of CSG Cells”, R2-075088, 3GPP TSG-RAN WG2 MEETING #60, 2007年11月 9日, URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_60/Docs/R2-075088.zip」に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである、
<理由2>
この出願は、特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段を反映していないために、結果として、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなり、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、
というものである。


3.本願発明
この出願の請求項1?15に係る発明は、平成26年8月11日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである(なお、下線は請求人が付与した。)。

「【請求項1】
WTRU(wireless transmit/receive unit)によって実行される方法であって、
セル再選択のために、1つまたは複数のCSGセルの測定を行うことと、
前記測定された1つまたは複数のCSGセルのうちのCSGセルからCSGセルID(identity)を受信することと、
前記WTRUにおけるAS(Access Stratum)にCSGホワイトリストを提供することと、
前記CSGセルが前記CSGホワイトリストに含まれていることを前記ASが判定するという条件で前記CSGセルにセル再選択を行うことと
を備える方法。」


4.刊行物
引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(なお、下線は当審が付与した。)。

(1)「Control cell reselection by for example, maintaining lists of forbidden registration areas.
Maintain a list of equivalent PLMN identities and provide the list to AS.
Maintain a list of forbidden registration areas and provide the list to AS
Maintain a list of CGS identities on which the UE is allowed ("CSG whitelist") to camp and provide the list to AS 」
(「Table4.2-1」における「Idle Mode Process」が「Cell Reselection」である場合の「UE Non-Access Stratum」の欄)
(当審訳:
例えば、禁止登録エリアのリストを保持することにより、セル再選択を制御。
等価PLMN識別のリストを保持し、ASにそのリストを提供。
禁止登録エリアのリストを保持し、ASにそのリストを提供。
UEがキャンプすることを許可された(”ホワイトリスト”)CGS識別のリストを保持し、そのリストをASに提供。 )

(2)「Perform measurements needed to support cell reselection.
Detect and synchronise to a broadcast channel. Receive and handle broadcast information. Forward NAS system information to NAS.
Change cell if a more suitable cell is found.
Check broadcasted CSG identity against the "CSG whitelist" provided by NAS to check whether a CSG cell is suitable for the UE. 」
(「Table4.2-1」における「Idle Mode Process」が「Cell Reselection」である場合の「UE Access Stratum」の欄)
(当審訳:
セル再選択をサポートするために、必要な測定を実行。
放送チャネルの検出と同期。放送情報の受信と処理。NASシステム情報のNASへの転送。
より適切なセルが見つかったならば、セルを変更。
CSGセルがUEにとって適切かどうかをチェックするため、NASにより提供された”CSGホワイトリスト”に対して、放送されたCSG識別をチェック。 )

上記(1)、(2)で摘記した事項から、下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「 UEにおけるセル再選択のプロセスであって、
NASは、UEがキャンプすることを許可されたCGS識別のリスト、すなわち、CSGホワイトリストを保持し、そのリストをASに提供し、
ASは、セル再選択をサポートするために必要な測定を実行し、CSGセルがUEにとって適切かどうかをチェックするため、NASにより提供されたCSGホワイトリストに対する放送されたCSG識別をチェックし、より適切なセルが見つかったならば、セル変更を行うこと」


5.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、

引用発明は、「UEにおけるセル再選択のプロセス」である。
ここで、「UE」は「WTRU(wireless transmit/receive unit)」といい得るとともに、「プロセス」は「方法」といい得る。
してみると、引用発明は、「WTRU(wireless transmit/receive unit)によって実行される方法」であるといえる。

引用発明は、「セル再選択をサポートするために必要な測定を実行し」ている。
ここで、引用発明が実行する測定はセル再選択のために行われているといいえる。
してみると、引用発明は、本願発明と、セル再選択のために、測定を行うことを備えている点で一致しているといえる。

引用発明の「AS」は、「セル再選択をサポートするために必要な測定を実行し、CSGセルがUEにとって適切かどうかをチェックするため、NASにより提供されたCSGホワイトリストに対する放送されたCSG識別をチェックし」ている。
してみると、引用発明は、「前記測定された1つまたは複数のCSGセルのうちのCSGセルからCSGセルID(identity)を受信すること」を備えているといえる。

引用発明の「NAS」は、「UEがキャンプすることを許可されたCGS識別のリスト、すなわち、CSGホワイトリストを保持し、そのリストをASに提供し」ている。
してみると、「前記WTRUにおけるAS(Access Stratum)にCSGホワイトリストを提供すること」を備えているといえる。

引用発明の「AS」は、「セル再選択をサポートするために必要な測定を実行し、CSGセルがUEにとって適切かどうかをチェックするため、NASにより提供されたCSGホワイトリストに対する放送されたCSG識別をチェックし、より適切なセルが見つかったならば、セル変更を行」っている。
してみると、「前記CSGセルが前記CSGホワイトリストに含まれていることを前記ASが判定するという条件で前記CSGセルにセル再選択を行うこと」を備えているといえる。

してみると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
WTRU(wireless transmit/receive unit)によって実行される方法であって、
セル再選択のために、測定を行うことと、
前記測定された1つまたは複数のCSGセルのうちのCSGセルからCSGセルID(identity)を受信することと、
前記WTRUにおけるAS(Access Stratum)にCSGホワイトリストを提供することと、
前記CSGセルが前記CSGホワイトリストに含まれていることを前記ASが判定するという条件で前記CSGセルにセル再選択を行うことと
を備える方法。

(相違点)
本願発明における、セル再選択のために行う測定は、「1つまたは複数のCSGセルの測定」であるのに対して、引用発明における、セル再選択のために行う測定は、セル再選択をサポートするために必要な測定であるものの、測定の対象が開示されていない点。


6.当審の判断
しかしながら、セルを再選択するためには、セルの再選択の対象となる1または複数のCSGセルを測定することが必要であることは技術常識である。
してみると、引用発明における、セル再選択のために行う測定を「1つまたは複数のCSGセルの測定」とし、「セル再選択のために、1つまたは複数のCSGセルの測定を行うこと」を備えるようにすることは、当業者であれば容易に推考し得る事項である。

そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び技術常識から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

よって、本願発明は、引用発明及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。


7.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、この出願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-09-17 
結審通知日 2014-09-24 
審決日 2014-10-08 
出願番号 特願2010-541481(P2010-541481)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
P 1 8・ 537- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣川 浩  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 加藤 恵一
佐藤 聡史
発明の名称 衝突する物理レイヤ信号を有するセルの中からホーム・ノードB(CSG(ClosedSubscriberGroup)のセル)を選択または再選択するための方法および装置  
復代理人 藤原 弘和  
復代理人 濱中 淳宏  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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