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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1297892
審判番号 不服2013-19077  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-02 
確定日 2015-02-26 
事件の表示 特願2007-335780「たばこ産業製品用の包装材料」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月16日出願公開、特開2009-154926〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本件出願は、平成19年12月27日の出願であって、平成22年12月24日に手続補正され、平成24年9月21日付けで拒絶理由が通知され、同年12月21日、及び、同年12月25日に手続補正されたが、平成25年6月25日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、同年10月2日に本件審判が請求されると同時に手続補正され、当審において平成26年7月30日付けで拒絶理由が通知され、同年10月3日に手続補正されたものである。


第2.本願発明について
1.本願発明
本件出願の請求項1?27に係る発明は、平成26年10月3日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1?27に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「たばこ産業製品(4)を収容する密閉容器(1)であって、前記容器が本体(2)と開放することで前記たばこ産業製品に到達可能となる蓋(3)とを含む密閉容器(1)と、
前記容器の内部と外部との間の気密シールおよび前記本体と前記蓋との間のシールを形成する層として前記容器に適用されたプラスチック材料のコーティング(6)と、
前記蓋の開放を容易にするための前記プラスチック材料層中の脆弱線であって、前記脆弱線は前記本体と前記蓋との間の接合箇所における引裂ストリップであり、前記コーティング(6)の適用前またはその後に前記容器に適用され、または前記脆弱線は、前記蓋の周囲に沿って破ることなく、前記容器に刻み目を付けたり薄くしたりすることによって、作成されるものである、脆弱線と、
前記容器の前記内部と前記外部との間に圧力差を生じさせるための弁(8)であって、前記弁が前記容器の前記内部に圧力の増加を生じさせる前記容器の側壁の孔に押し込むことで取り付けられている一方向弁を含む、弁(8)とを含むパッケージ。」

2.刊行物等
(1)
当審による平成26年7月30日付け拒絶理由通知書に引用され、本件の出願前に頒布された刊行物である米国特許第2646837号明細書(以下、「刊行物1」という。)には以下の記載がある。(『』内は引用箇所の部分訳)
(ア)(1欄6-17行)
「An object of our invention is to provide a hermetic package sealing machine in which packages are moved through the machine and are sprayed on all surfaces with a solution that when dried will hermetically seal the contents of the packages.The machine is especially designed for hermetically sealing cigarette containing packages.
The solution sprayed onto the packages may be self-drying or it may be dried or hastened in its drying by blowing air upon the surfaces of the packages after they have been sprayed.」
『我々の発明の目的は、包装体が機械を通して移動されて、そして、乾いたときに気密に包装体の内容物を封ずる溶液をすべての表面に噴霧される、気密封かん機を提供することである。 その機械は特にタバコを含んでいる包装体を気密に封ずる目的で設計される。 包装体に噴霧されたその溶液は自己乾燥性であってもよいし、あるいは、それらが噴霧された後、包装体の表面にエアを吹くことによって、乾かされるか、あるいはその乾燥を早めてもよい。』
(イ)(1欄18-26行)
「A further object of our invention is to provide a device of the type described in which a tape or tearing ribbon is applied to each package so as to be covered by the hermetic seal which encloses the package, at least one end of the tape projecting through the hermetic seal so as to permit the ready opening of the seal when it is desired to gain access to the contents of the package.」
『我々の発明の更なる目的は、テープあるいは引裂きリボンがそれぞれの包装体に、包装体を囲む気密シールによって被覆されるように取付けられ、少なくともテープの1端が包装体を囲む気密シールから突出しており、包装体の内容物にアクセスすることが望まれるとき、すぐに開封することが許容される、記述されたタイプの装置を提供することである。』
(ウ)(1欄27-36行)
「The machine is fully automatic in operation and will spray a solution on all six sides of a cigarette package and will embed a,tearing tape under the hermetic seal, novel means being used for applying a continuous tape to the packages as they are fed through the machine and then cutting the tape between adjacent packages so that a sufficient portion of the tape will project outside of the seal for the purpose of opening the hermetic seal when desired.」
『その機械は全自動で、タバコ包装体の6側面の全てに溶液を噴霧し、そして気密シールに引裂きテープを埋込み、斬新な手段によって、機械を通して搬送された包装体に連続テープを取り付け、隣接する包装体間でテープを切断し、所望の時に気密シールを開封するためにテープの十分な部分がシール外に突出するようにする。』
(エ)(3欄10-20行)
「The packages A, such as cigarette packages, enter a spray chamber B in which spray nozzles C will spray the two sides and the tops of the packages with a solution which will dry and form a moisture-proof covering-seal on these three package walls. An endless conveyor indicated generally at D moves the packages through the spraying chamber. A tape-holding magazine E feeds a tearing-tape F to the tops of the packages A and this tape is embedded under the solution that is sprayed onto the package tops.」
『タバコ包装体などの包装体Aが噴霧室Bに入り、ノズルCが包装体の2側面と頂部に溶液を噴霧し、この溶液は乾燥し、これらの3つの包装体壁面の上に防湿被覆シールを形成する。Dで示される無端コンベアは、噴霧室を通って包装体を移動させる。テープ把持マガジンEは、包装体Aの上部に引裂きテープFを供給し、このテープは、包装体上部に噴霧される溶液に埋もれる。』
(オ)(3欄52-63行)
「The packages will now be completely encased in hermetically sealed coverings that may be transparent or opaque as desired and each covering will have a tear-tape by means of which the covering may be torn from the package. The completely sealed and moisture-proof packages are now delivered from the machine ready for shipment. It is best to describe the machine in detail in the same order as was taken in setting forth its brief description. A package-feeding mechanism delivers the packages to the machine and this will be described first.」
『包装体は、ここで、望ましくは透明かまたは不透明の気密シールによる被覆に完全に包囲される。そしてそれぞれの被覆が、それを使って被覆を包装体から引裂くことのできる引裂きテープを有する。防湿包装体は完全に密封され、ここで、搬出の準備の整った機械から供給される。その簡略な記述に見出されるように、同じ順番に機械を詳述することが最善である。 包装体供給機構が包装体を機械に配送し、これが最初に記述される。』

以上の記載によれば、上記(ウ)(ア)より、タバコ包装体の6側面の全てに溶液が噴霧、乾燥されること、上記(ウ)(エ)より、溶液が噴霧、乾燥されることで気密シールが形成され、引裂きテープが気密シールに埋込まれること、上記(イ)(オ)より、引裂きテープが気密シールによって被覆されること、上記(オ)(ウ)より、引裂きテープを使って被覆を包装体から引裂くことができることが把握されるから、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。
「タバコ包装体の6側面の全てに溶液が噴霧、乾燥されることで気密シールが形成され、引裂きテープが前記気密シールに埋込まれ、被覆され、前記引裂きテープを使って被覆を包装体から引裂くことができる、包装体」

(2)
また、当審による平成26年7月30日付け拒絶理由通知書で引用され、本件の出願日前に頒布された刊行物である国際公開第2006/032661号(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。(『』内は、訳文として、特表2008-513306号公報の対応箇所)
(ア)(1欄2-4行)
「The invention relates to freshness-preserving packs. Such packs are particularly suitable for oblong articles, in particular for elongate tobacco products. 」
『【0001】
本発明は、鮮度保持パックに関する。かかるパックは、長方形物品、詳細には細長いタバコ製品に特に好適である。』
(イ)(2欄18行-3欄21行)
「The present invention provides a pack comprising an article or a plurality of articles, in particular one or more oblong articles, which pack is pressurized before the first opening. In said unopened and sealed state, the pack is substantially gas-impermeable. Preferably, the first opening of the pack creates an appropriate sound which is indicative of the freshness-preserving qualities and the integrity of the pack.
・・・・
The pressure difference between the inside and the outside of the pack is attained by feeding the pack
(including its contents) with a suitable gas, including for example argon, carbon dioxide and nitrogen. Preferably, the gas is an inert gas. The most preferred gas is nitrogen. Advantageously, the packs are at least partially evacuated before being filled with said gas . Preferably, the packs are evacuated to at least 50 percent.」
『【0008】
本発明は、1つの物品又は複数の物品、特に1つ又はそれよりも多い長方形物品を含むパックを提供し、該パックは開封する前は加圧されている。この未開封及びシール状態では、パックは実質的にガス不透過性である。パックを開封することによって、パックの鮮度保持品質及び完全性を示す適切な音が生じるのが好ましい。
・・・
【0010】
パックの内側と外側との間の圧力差は、例えばアルゴン、二酸化炭素、及び窒素を含む適切なガスをパック(その内容物を含む)に供給することによって得られる。ガスは不活性ガスであるのが好ましい。最も好ましいガスは窒素である。有利には、パックは前述のガスで満たされる前に、少なくとも部分的に排気される。好ましくは、パックは少なくとも50%まで排気される。』
(ウ)(4欄14-23行)
「Typically, the bottom part provides for a gas-inlet means which is available during manufacture of the pack. Such gas-inlet means is suitable for feeding the gas into the pack and for establishing the desired pressure inside the pack. Suitable gas-inlet means are known in the art and include, for example, a valve, or, preferably, a small hole, which is completely closed, preferably sealed, after the gas-filling process has been completed. The small hole may be provided by fill port, for example a small tube. It is preferred that the gas-inlet means is unobtrusive on the finished pack.」
『【0013】
通常、底部は、パック製造中に利用可能なガス注入手段を提供する。かかるガス注入手段は、パック内にガスを供給し、パック内側の所要の圧力を確立するのに好適である。適切なガス注入手段は、当該技術分野で公知であり、例えば弁又は好ましくは小孔を含み、ガス充填処理が完了した後は完全に閉鎖され、好ましくはシールされる。小孔は、例えば小管などの注入口によって形成することができる。ガス注入手段は、完成したパック上では目立たないことが好ましい。』
(エ)(6欄7-15行)
「Preferably, the pack of the invention contains one or more oblong articles . Preferably, the oblong article or articles exhibit a solid structure and have a length to width ratio of at least about 3 to about 1. It is preferred that the length to width ratio is between about 5 to about 1 and to about 20 to about 1. Preferred oblong articles are elongate tobacco products, such as cigars, cigarillos or cigarettes . The most preferred packs of the invention contain cigarettes .」
『【0018】
好ましくは本発明のパックは、1つ又はそれよりも多い長方形物品を収容する。好ましくは1つ又は複数の長方形物品は、固体構造を示し、長さと幅の比が少なくとも約3対1である。長さと幅の比は、約5対約1から約20対約1の間であるのが好ましい。好ましい長方形物品は、葉巻、シガリロ、又はシガレットなどの細長いタバコ製品である。本発明の最も好ましいパックはシガレットを含む。』

3.対比
本願発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明の「タバコ包装体」は気密シールが形成されているから、本願発明の「たばこ産業製品(4)を収容する密閉容器(1)」に相当し、刊行物1に記載された発明の「包装体」は、本願発明の「パッケージ」に相当する。
また、刊行物1に記載された発明の「タバコ包装体の6側面の全てに溶液が噴霧、乾燥されることで気密シールが形成され、引裂きテープが前記気密シールに埋込まれ、被覆され」は、溶液が噴霧、乾燥され、気密シールの被覆を形成するものであるから、本願発明の「前記容器の内部と外部との間の気密シール」「を形成する層として前記容器に適用された」「コーティング(6)」に相当する。
さらに、本願発明の「脆弱線」は、本願明細書の「引裂ストリップ7は、蓋を開放可能にする脆弱線を提供する。」(段落【0019】)との記載からみて引裂ストリップを含む概念であるから、刊行物1に記載された発明の「引裂きテープ」は本願発明の「脆弱線」たる要件を充足すること、及び、刊行物1に記載された発明の「引裂きテープ」は、気密シールに埋込まれ、それを使って被覆を包装体から引裂くことができるものであるから、本願発明の「引裂ストリップであり、前記コーティング(6)の適用前またはその後に前記容器に適用され」との要件を充足することから、刊行物1に記載された発明の「引裂きテープが前記気密シールに埋込まれ、被覆され、前記引裂きテープを使って被覆を包装体から引裂くことができる」は、本願発明の「引裂ストリップであり、前記コーティング(6)の適用前またはその後に前記容器に適用され、または前記脆弱線は、前記蓋の周囲に沿って破ることなく、前記容器に刻み目を付けたり薄くしたりすることによって、作成されるものである、脆弱線」という要件を満足するものである。
そうすると、両者は、
「たばこ産業製品を収容する密閉容器と、
前記容器の内部と外部との間の気密シールを形成する層として前記容器に適用されたコーティングと、
脆弱線であって、前記脆弱線は引裂ストリップであり、前記コーティングの適用前またはその後に前記容器に適用されるものである、脆弱線と、
を含むパッケージ。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では、コーティングする材料が「プラスチック材料」であり、脆弱線が「プラスチック材料層中」にあるのに対し、刊行物1に記載の発明では、この点について特定されていない点。
[相違点2]
本願発明では、容器が「本体と開放することで前記たばこ産業製品に到達可能となる蓋とを」含み、「前記本体と前記蓋との間のシール」が形成され、脆弱線が「前記蓋の開放を容易にするための」脆弱線であって、引裂ストリップが「前記本体と前記蓋との間の接合箇所」に位置するのに対し、刊行物1に記載の発明では、この点について特定されていない点。
[相違点3]
本願発明では、「前記容器の前記内部と前記外部との間に圧力差を生じさせるための弁であって、前記弁が前記容器の前記内部に圧力の増加を生じさせる前記容器の側壁の孔に押し込むことで取り付けられている一方向弁を含む、弁」を有するのに対し、刊行物1に記載の発明では、この点について特定されていない点。


4.相違点の検討
[相違点1について]
気密シール等の目的で、容器にプラスチック材料をコーティングすることは、例えば特表2005-532195号公報、特表平6-506653号公報に示すように周知の技術であり、その採否は、容器の材質や用途等を考慮して、当業者であれば適宜決定し得たことである。刊行物1に記載された発明も包装体を気密に封ずることを目的としているから、刊行物1に記載された発明において、気密に封ずるためシガレットパッケージの全6面にスプレーし気密シールを形成する溶液として、プラスチック材料を使用することは、当業者であれば適宜なし得た事項である。
そして、溶液にプラスチック材料を使用したことにより、脆弱線が「プラスチック材料層中」となることは、明らかである。
[相違点2について]
たばこ産業製品を収容する容器を、本体と蓋とから構成し、前記蓋の開放を容易にするための引裂ストリップを前記本体と前記蓋との間の接合箇所に配置することは、周知技術である(例えば国際公開第2007/034332号、国際公開第2007/026260号、特開平11-130173号公報、特開平10-45183号公報)。
刊行物1に記載された発明もたばこ産業製品を取り扱うものである以上、前記周知技術を踏まえ、タバコ包装体として、本体と蓋とから構成され、引裂ストリップが本体と蓋との間の接合箇所に配置されたものを採用することは、当業者が適宜なし得たことである。
そして、刊行物1に記載された発明において前記のものを採用した場合、スプレーによって本体と蓋との間のシールが形成され、引裂ストリップが、本体と蓋との間の接合箇所に位置することは明白である。
[相違点3について]
本願発明では、「前記弁が前記容器の前記内部に圧力の増加を生じさせる前記容器の側壁の孔に押し込むことで取り付けられている一方向弁を含む、弁」と特定されており、上記要件に関連する本願明細書の主な記載は、以下のとおりである。
(ア)
「容器1の壁の中に入るように、一方向弁8が取り付けられている。この弁は、容器の内部と外部との間に圧力差を生じさせることができる。好都合には、この弁は、容器内に過剰圧力を生じさせることができ、容器外部上に気密封止されたコーティング6が提供されているために、この圧力は長時間にわたって実質的に散逸しない。この弁8は、コーティング6の適用前または適用後のいずれかに、容器の側壁中の小さな孔に押し込むことができるユニットを含む。コーティング6の適用後に取り付ける場合、コーティング6が硬化するときに弁8をコーティング6と結合させることができる。図3に示される例においては、弁8は、一体型一方向フラップ弁11を有する中央通路10付き本体9を含み、これによって、ガスを容器内に圧送することで過剰圧力を得ることができる。・・・・」(段落【0020】)
(イ)
「・・・・コーティングされた容器は、コーティングステーション16から弁取り付けステーション19まで移動し、ここで弁8が容器内に押し込まれる。これらのパックは次にガス供給ステーション20まで移動し、ここでガスが一方向弁9を介して圧送され、容器1が加圧される。このガスは、濾過空気または窒素などの不活性ガスを含むことができる。別の配置においては、このガス供給は真空ポンプに置き換えられ、容器から空気が排気される。」(段落【0024】)
(ウ)
「前記弁を介して前記容器内にガスを圧送するためのガス供給源(20)を含む、請求項19?24のいずれか1項に記載の装置。」(【請求項25】)
(エ)
「前記弁を介して前記容器からガスを排気するための真空ポンプを含む、請求項19?25のいずれか1項に記載の装置。」(【請求項26】)
これらの記載からも、「弁」は、ガスの流れ方向について、容器内に圧送する場合(上記(ア)(イ)(ウ))と容器から排気する場合(上記(イ)(エ))の両方に使用されるから、上記要件は弁構造によって流体の流れを何れか一方向のみに規制する弁、すなわち「一方向弁」のみを特定するものではなく、「弁」は、容器に圧送する場合と容器から排気する場合の双方向に流通できる弁を含むものであることが、明らかである。

一方、刊行物2には、タバコ包装体の鮮度保持のためパックに弁などのガス注入手段を備えガス充填包装することが記載されており、刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された技術的事項とは、共にたばこ産業製品を気密シールして品質を維持するという点で目的が共通している。
しかも、防湿や鮮度保持が必要とされる包装物を置換ガス雰囲気下に包装することは、斯界において周知の技術的課題でもあるから、刊行物1に記載された発明において、防湿が必要とされる包装物をガス充填包装するために刊行物2に記載された弁などのガス注入手段を採用することは、当業者であれば容易に思い付くことである。
刊行物2に記載された弁などのガス注入手段を採用して容器の内部と外部との間に圧力差を生じさせることを妨げる特段の事情も認められない。

これに関連して、請求人は審判請求書において、
「補正後の本願発明は・・・・一方向弁を必要とする。この特徴は、パックの内部の空気が制御されることを可能にするのみならず、使用前の輸送および貯蔵のために容器の剛性を増大させるという重要な利点を可能にする。」
と主張している。しかし、上述したように、本願発明の「弁」は、容器に圧送する場合と容器から排気する場合の双方向に流通できる弁を含むものであって、請求人による上記主張は特許請求の範囲の記載に基づかない主張であるし、使用前の輸送および貯蔵のため容器の剛性を増大させるという効果の主張はそもそも明細書の記載に基づかないものである。
したがって、本願発明が奏する作用、効果も当業者が容易に予測できたものであり、格別なものとはいえない。

なお、「弁」がシガレットパッケージの側壁の孔に押し込み取り付けられることが特許請求の範囲において、特定されていると仮定しても、弁を孔に押し込み取り付けることは、例えば実願昭53-141019号(実開昭55-56268号)のマイクロフィルム、実願昭60-90833号(実開昭62-22号)のマイクロフィルムに示すように周知であり、その採否は当業者が適宜決定し得る設計的事項に過ぎない。

よって、本願発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された技術的事項、及び、上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび
したがって、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-17 
結審通知日 2014-12-24 
審決日 2015-01-09 
出願番号 特願2007-335780(P2007-335780)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (B65D)
P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白川 敬寛  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 渡邊 真
千葉 成就
発明の名称 たばこ産業製品用の包装材料  
代理人 小林 浩  
代理人 大森 規雄  
代理人 鈴木 康仁  
代理人 藤田 尚  
代理人 日野 真美  
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