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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1298050
審判番号 不服2012-12713  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-04 
確定日 2015-03-04 
事件の表示 特願2007-557315「LEDアレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月31日国際公開、WO2006/089508、平成20年 8月14日国内公表、特表2008-532298〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
平成18年 2月 6日 国際出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年2月28日、同年4月26日、ドイツ)
平成23年 8月 1日 拒絶理由通知(同年8月3日発送)
平成24年 1月19日 意見書・手続補正書
平成24年 3月12日 拒絶査定(同年3月14日送達)
平成24年 7月 4日 本件審判請求・手続補正書
平成24年 9月18日 審尋(同年9月21日発送)
平成25年 1月21日 回答書
平成25年 3月26日 拒絶理由通知(同年3月27日発送)
平成25年 7月26日 意見書・手続補正書
平成25年10月29日 拒絶理由通知(同年11月5日発送、以下「当審拒絶理由通知」という。)
平成26年 4月30日 意見書・手続補正書

2 本願発明
本願の請求項1乃至15に係る発明は、平成26年4月30日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至15に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は以下のとおりである。
「それぞれ1つの放射線取出し面(5)を有する、放射線を発する複数の半導体チップ(2)を備えたLEDアレイであって、半導体チップ(2)により発せられた放射線(4)が、主として放射線取出し面(5)を通じて取り出されるようになっており、さらに、発せられた放射線(4)に対して透過性の透明なカバー体(8)が設けられている形式のものにおいて、
-透明なカバー体(8)が、半導体チップ(2)の放射線取出し面(5)に面した側の表面に、発せられた放射線(4)に対して透過性の透明な導電性の材料から成る1つまたは複数の導体路(9,10)を有しており、半導体チップ(2)が、放射線取出し面(5)にそれぞれ少なくとも1つの電気的なコンタクト(7)を有しており、該電気的なコンタクト(7)が、前記1つの導体路(9,10)または前記複数の導体路(9,10)のうちの少なくとも1つの導体路に接続されており、
-少なくとも1つのルミネッセンス変換物質が、透明なカバー体(8)に含まれており、かつ/または層(11)の形でカバー体(8)および/または半導体チップ(2)に被着されており、
-透明なカバー体(8)が、半導体チップ(2)から発せられた放射線のビーム成形のための光学素子として形成されており、
-カバー体(8)の側面が、湾曲された形状を有していて、該カバー体(8)は、封止用の流込み材料で充填された中空体であり、該中空体の壁は楕円状、双曲線状または放物線状に湾曲させられている
ことを特徴とするLEDアレイ。」(以下「本願発明」という。)

3 当審拒絶理由通知
当審拒絶理由通知で通知した拒絶理由の概要は、本件出願の特許請求の範囲の請求項に係る発明は、その最先の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。



刊行物1:特表2004-517502号公報
刊行物2:特表2004-526307号公報

4 引用発明
(1) 引用する刊行物
当審拒絶理由通知に引用し、本願の最先の優先日(2005年2月28日)前に頒布された刊行物1(特表2004-517502号公報)には、図面とともに以下の記載がある(当審注:下線は、当審が付した。)。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(4)上に形成された光子を放射する活性層(5)と、基板(4)から見て活性層(5)の後に置かれた接触層(8)とを有する半導体チップ(2)を備えた発光ダイオードにおいて、
放射される光子に対して透過性であり、耐放射性の固体材料から形成されていて、かつ活性層(5)からの損失熱を放散するレンズ(3)を接触層(8)に配置したことを特徴とするダイオード。
【請求項2】
レンズ(3)が、接触層(8)に接触する導体帯(12)を備えることを特徴とする請求項1記載のダイオード。
…」

イ 「【0008】
以下、図1乃至図6を参照しながら説明する実施例から、本発明の更なる利点および好ましい構成展開を明らかにする。これらの図において、実施例の同じ構成要素又は同じ働きをする構成要素には各々同じ参照番号が付している。」

ウ 「【0009】
図1の発光ダイオードは、半導体チップ2とこれに取り付けられたレンズ3を有する。半導体チップ2は基板4を有し、基板上に単一量子井戸構造又は多重量子井戸構造のpn接合6を備えた活性層5が形成されている。活性層5は、例えばGa_(x)Al_(y)In_(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を基礎にしている。基板4の背面にはn側接触層が形成されていて、この層は特に反射するように形成されている。半導体チップ2の前面に、活性層5から発せられた光子に対し透過性のp側接触層8が配置されている。レンズ3は、このp側接触層8に境を接するか、p側接触層8に対し物理的な接触を有する。p側接触層8は、例えば約6nmの厚みの白金膜、島状又は網状の金属構造、インジウム・錫酸化物(ITO)或いはZnOからなる。
【0010】
ここでレンズ3は平凸面レンズであり、その平坦面に半導体チップ2を、これから放射される光子がレンズ3に入射するよう配置している。レンズ3は耐光性の無機固体材料から
なり、活性層5からの損失熱を放散する。
【0011】
ここで耐光性とは、発光ダイオードの寿命期間を越えてなお、固体の吸収係数が10%以上変化しないことを意味する。かかる素材は、例えばSiC、酸化アルミニウムAl_(2)O_(3)、ガラスおよびガーネット結晶である。
【0012】
活性層5から放射された光子が半導体チップとレンズを通過する経路を、図1に線9、10で示す(屈折効果は無視)。活性層5から放射された光子は、p側接触層8とレンズ3を通り抜けて出射面11に達する。レンズ3の光学的特性が、発光ダイオード1の寿命期間にわたり僅かしか変化しないので、発光ダイオード1の寿命期間を超えてすら良好な出射効率を保証できる。
【0013】
レンズ3の面の内、半導体チップ2に向う面に導体帯12を形成している。更にレンズ3の下面に冷却体13を配置しており、該冷却体は半導体チップ2からレンズ3に伝わる熱をレンズ3から放出するのに役立つ。」

エ 「【0014】
図2に示す発光ダイオード1の実施例では、レンズ3が平坦面の側に凹部14を有し、活性層6の大部分が凹部14内にあるよう、凹部14内に半導体チップ2を取り付けている。特に凹部14を、pn接合6がその中にあるよう形成したので、半導体チップ2から横方向に出る光17bをレンズ3が受容できる。
【0015】
更に、レンズ3の出射面11に反射防止層15を設けてある。該層15は出射面11における屈折率の跳ね上がりを減らし、その結果レンズ3からの光の出射を容易にする。反射防止層15は誘電体から作るとよい。該防止層15は、所定の波長の光を、より長い波長の光に変換する1つ以上の、光学的に活性な変換物質を含む。この物質はレンズ3自体に埋めることもできる。
【0016】
更に図3に示す如く、図2の実施例による発光ダイオード1の底面側に反射層16を設けている。反射層16は導体帯12で覆われていないレンズ3の底面上に広がっている。代替的に、この層16をレンズの平らな面の内、凹部14の外側の平面上に全面的に施してもよい。この場合、導体帯12とレンズ3との間に反射層があり、その結果導体帯12における吸収が大幅に減少する。
【0017】
レンズ3の凸面に最初に突き当たった際、反射層16により、図2に示す光線17a,17bの如く出射面11から出射せず、出射面11で後方へ反射させられた光線は反射層16からレンズ3へ反射されるので、それらの光線は、場合により出射面11に2回目に衝突した際にレンズ3から出射する。」

オ 「【0018】
図4は変形した実施例を示す。この実施例ではレンズ3の下面に多数の半導体チップ2を固定している。この際、図4に示す光線18の如く、内側の半導体チップ2aから出発する光線は、外側の半導体チップ2bから出発する光線19よりも高い出射確率を持つ。何故なら光線19は不所望の角度で出射面11に衝突するからである。しかしこの欠点は、例えばレンズ3の平らな面上の反射層16により、少なくとも部分的に軽減される。何故なら反射層16で、これらの光線が再び凸面側のレンズ面に向けて反射されるからである。
【0019】
図5は、図4による発光ダイオード1を下から見た図を示す。これから導体帯12上における半導体チップ2の一連の接触が見てとれる。並列接続で半導体チップに一様な運転電圧を保証すべく導体帯12を網状に形成してもよい。
【0020】
図1乃至5に示す発光ダイオード1は、例えば図4の実施例に対し、図6に示すように、ケース20を備えることもでき、このケースは、例えばネジ部21を介して従来の電球ソケットに捩じ込むことができる。
【0021】
しかしながら、ケース20については、例えば半導体技術において広まっている表面実装技術のような他の適当な接続技術を選ぶこともできる。」

カ 「【図面の簡単な説明】

【図4】
図4は発光ダイオードの他の変形された実施例の概略断面図を示す。
【図5】
図5は図4の発光ダイオードの概略底面図を示す。
…」

キ 図4、図5は、以下のとおりである。


ク 上記オの記載を踏まえて図4、図5を見ると、半導体チップ2は、マトリクス状に配置されていることが理解できる。また、図4に描かれた光線18、19の軌跡によれば、活性層5から放出される光子は、接触層8を透過し、レンズ3の出射面で屈折して出射することが看て取れる。

(2) 引用発明
以下、上記(1)アの記載、変形した実施例に係る上記(1)オの記載と図4、図5に基づいて引用発明を認定する。その際、上記(1)イには、「実施例の同じ構成要素又は同じ働きをする構成要素には各々同じ参照番号が付している」との記載があるから、同じ参照番号が付されている構成要素については、他の実施例の記載を参酌する。

ア 上記(1)アによれば、
「基板(4)上に形成された光子を放射する活性層(5)と、基板(4)から見て活性層(5)の後に置かれた接触層(8)とを有する半導体チップ(2)を備えた発光ダイオードにおいて、
放射される光子に対して透過性であり、耐放射性の固体材料から形成されていて、かつ活性層(5)からの損失熱を放散するレンズ(3)を接触層(8)に配置し、
レンズ(3)が、接触層(8)に接触する導体帯(12)を備える、
ダイオード。」
が記載されている。

イ 上記(1)オ、クによれば、半導体チップは、マトリクス状に配置されてレンズ3の下面に固定されている。また、活性層(5)から放出される光子は、接触層(8)を透過し、レンズ(3)の出射面で屈折する。

ウ してみると、刊行物1には以下の発明が記載されている。
「基板上に形成された光子を放射する活性層と、基板から見て活性層の後に置かれた接触層とを有する半導体チップを備えた発光ダイオードにおいて、
放射される光子に対して透過性であり、耐放射性の固体材料から形成されていて、かつ前記活性層からの損失熱を放散するレンズを前記接触層に配置し、
前記半導体チップは、マトリクス状に配置されて前記レンズの下面に固定され、
前記レンズが、前記接触層に接触する導体帯を備え、
前記活性層から放出される光子は、前記接触層を透過し、前記レンズの出射面で屈折して出射する、
発光ダイオード。」(以下「引用発明」という。)

5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「半導体チップ」は、「基板上に形成された光子を放射する活性層と、基板から見て活性層の後に置かれた接触層とを有する」ところ、「前記活性層から放出される光子は、前記接触層を透過…して出射する」から、引用発明の「接触層」は、本願発明の「放射線取出し面(5)」に相当する。
また、引用発明の「前記半導体チップ」は、「マトリクス状に配置され」ているから、その数は複数である。そして、引用発明の「放射される光子に対して透過性であ…るレンズ」は、本願発明の「発せられた放射線(4)に対して透過性の透明なカバー体(8)」に相当し、引用発明の「発光ダイオード」は、本願発明の「LEDアレイ」に相当する。
してみると、本願発明の「それぞれ1つの放射線取出し面(5)を有する、放射線を発する複数の半導体チップ(2)を備えたLEDアレイであって、半導体チップ(2)により発せられた放射線(4)が、主として放射線取出し面(5)を通じて取り出されるようになっており、さらに、発せられた放射線(4)に対して透過性の透明なカバー体(8)が設けられている形式のもの」と、引用発明の「光子を放射する活性層と、基板から見て活性層の後に置かれた接触層とを有する半導体チップを備えた発光ダイオードにおいて、放射される光子に対して透過性であ…るレンズを…配置し、前記半導体チップは、マトリクス状に配置され」ていることは、相当関係にある。

(2)本願発明の「透明なカバー体(8)が、半導体チップ(2)の放射線取出し面(5)に面した側の表面に、発せられた放射線(4)に対して透過性の透明な導電性の材料から成る1つまたは複数の導体路(9,10)を有して」いることと、引用発明の「前記レンズが、前記接触層に接触する導体帯を備え」ることを対比すると、両者は、「透明なカバー体(8)が、半導体チップ(2)の放射線取出し面(5)に面した側の表面に、導電性の材料から成る1つの導体路(9,10)を有して」いる点で一致する。
また、本願発明の「半導体チップ(2)が、放射線取出し面(5)にそれぞれ少なくとも1つの電気的なコンタクト(7)を有し」ていることと、引用発明の「半導体チップ」が「基板から見て活性層の後に置かれた接触層とを有する」ことは、「半導体チップ(2)が、放射線取出し面(5)にそれぞれ1つの電気的なコンタクト(7)を有し」ている点で一致する。
そして、本願発明の「該電気的なコンタクト(7)が、前記1つの導体路(9,10)または前記複数の導体路(9,10)のうちの少なくとも1つの導体路に接続されて」いることと、引用発明の「前記接触層に接触する導体帯」は、「該電気的なコンタクト(7)が、前記1つの導体路(9,10)に接続されて」いる点で一致する。

(3)本願発明の「透明なカバー体(8)が、半導体チップ(2)から発せられた放射線のビーム成形のための光学素子として形成されて」いることと、引用発明の「前記活性層から放出される光子は、…前記レンズの出射面で屈折して出射する」ことは、「透明なカバー体(8)が、半導体チップ(2)から発せられた放射線の成形のための光学素子として形成されて」いる点で一致する。

(4)してみると、両者は、
「それぞれ1つの放射線取出し面(5)を有する、放射線を発する複数の半導体チップ(2)を備えたLEDアレイであって、半導体チップ(2)により発せられた放射線(4)が、主として放射線取出し面(5)を通じて取り出されるようになっており、さらに、発せられた放射線(4)に対して透過性の透明なカバー体(8)が設けられている形式のものにおいて、
-透明なカバー体(8)が、半導体チップ(2)の放射線取出し面(5)に面した側の表面に、導電性の材料から成る1つの導体路(9,10)を有しており、半導体チップ(2)が、放射線取出し面(5)にそれぞれ1つの電気的なコンタクト(7)を有しており、該電気的なコンタクト(7)が、前記1つの導体路(9,10)に接続されており、
-透明なカバー体(8)が、光学素子として形成されている、
LEDアレイ。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:導体路が、本願発明では、「発せられた放射線(4)に対して透過性の透明」なものであるのに対し、引用発明では、そのようなものなのか否か不明である点。

相違点2:本願発明では、少なくとも1つのルミネッセンス変換物質が、透明なカバー体(8)に含まれており、かつ/または層(11)の形でカバー体(8)および/または半導体チップ(2)に被着されているのに対し、引用発明では、そのようなものなのか否か不明である点。

相違点3:「光学素子として形成され」ている「カバー体(8)」が、本願発明では、「半導体チップ(2)から発せられた放射線のビーム成形のための」ものであり、「側面が、湾曲された形状を有していて、該カバー体(8)は、封止用の流込み材料で充填された中空体であり、該中空体の壁は楕円状、双曲線状または放物線状に湾曲させられている」のに対し、引用発明では、そのようなものなのか否か不明である点。

6 判断
以下、上記相違点について検討する。
(1)相違点1について:
半導体チップの光出力側に設ける配線として透明な導電材料を用いることは周知技術(例えば、当審拒絶理由通知で引用した刊行物2(特表2004-526307号公報)【0047】等には、エレクトロルミネッセント・エミッタ12(当審注:引用発明の「半導体チップ」に相当する。)の光出射側に、パターン化した透明伝導層22を設け、前記エミッタを独立に作動させることが記載されている。)であるから、引用発明に該周知技術を用い、半導体チップの活性層が放射する光子に対して透明な「導体帯」と為し、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項と為すことは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。

(2)相違点2について
刊行物1には、図2の発光ダイオードについて、「【0015】更に、レンズ3の出射面11に反射防止層15を設けてある。該層15は出射面11における屈折率の跳ね上がりを減らし、その結果レンズ3からの光の出射を容易にする。反射防止層15は誘電体から作るとよい。該防止層15は、所定の波長の光を、より長い波長の光に変換する1つ以上の、光学的に活性な変換物質を含む。この物質はレンズ3自体に埋めることもできる。」との記載があり、「所定の波長の光を、より長い波長の光に変換する1つ以上の、光学的に活性な変換物質」を「レンズ3自体に埋める」旨の技術事項が開示されている。そうすると、引用発明に上記技術事項を適用し、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項と為すことは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。

(3)相違点3について
半導体チップから発せられる放射線(当審注:引用発明では、「放射される光子」)を光学素子によりビーム成形する技術手段は、周知であるから、引用発明において、レンズがビーム成形の機能を備えるよう為すことに困難性はない。そしてその際、該光学素子の側面形状は、成形するビーム形状に応じて当業者が適宜決定しうる設計事項であるところ、「側面が、湾曲された形状を有していて、」「楕円状、双曲線状または放物線状に湾曲させられている」光学素子は、例えば、特開2006-524909号公報(【0033】?【0044】、図1等参照。)に記載されるよう周知であるから、引用発明のレンズ形状として、上記周知の側面形状の光学素子を採用することに困難性は無い。
また、レンズの形成方法として、外形がレンズ状の中空成形品の中空部分に、透明なモノマー状樹脂を封入し、反応硬化させることは、例えば特開昭56-67801号公報(例えば、特許請求の範囲の記載等を参照。)に記載されるよう、周知技術であるから、引用発明のレンズの形成方法として上記周知技術を採用することに困難性は無い。
そうすると、引用発明のレンズとして、側面形状が円状、双曲線状または放物線状に湾曲したものである周知のレンズ形状を採用してビーム成形の機能を備えるように為すとともに、レンズの形成方法として、中空成形品に樹脂を封入する周知の形成方法を採用し、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように為すことは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。

(5)本願発明の作用効果について
本願発明が奏する作用効果は、引用発明と周知技術に基づいて当業者が容易に予測しうる程度のものであり、格別顕著なものとは認められない。

7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-09-25 
結審通知日 2014-09-29 
審決日 2014-10-20 
出願番号 特願2007-557315(P2007-557315)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 秀樹小林 謙仁  
特許庁審判長 小松 徹三
特許庁審判官 星野 浩一
江成 克己
発明の名称 LEDアレイ  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  

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