• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1298100
審判番号 不服2013-8640  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-10 
確定日 2015-03-05 
事件の表示 特願2011- 26239「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月 6日出願公開、特開2011- 88014〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成17年11月9日に出願した特願2005-325451号(以下「原出願」という。)の一部を平成23年2月9日に新たな特許出願としたものであって、平成25年2月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月10日に拒絶査定不服審判請求がなされた後、当審において、平成26年6月3日付けで拒絶理由が通知され、同年7月11日に手続補正がなされ、さらに同年8月22日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年10月23日に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成26年10月23日に補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

「当たり/外れ抽選と、演出図柄抽選と、変動パターン抽選とを行う主制御部と、前記主制御部からのコマンドに基づき表示部に停止表示される演出図柄の制御を行う演出制御部とを備える遊技機において、
前記主制御部は、前記当たり/外れ抽選および演出図柄抽選の結果にしたがって複数のグループからなるグループ化演出図柄指定コマンドの中から選択した1のグループ化演出図柄指定コマンドと、前記当たり/外れ抽選および変動パターン抽選の結果にしたがって選択された前記演出図柄の変動態様を指示する変動パターンコマンドと、を前記演出制御部に送信し、
前記演出制御部は、
前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における当たりに対応する場合には、当該送信されたグループ化演出図柄指定コマンドに対応する1又は複数の演出図柄指定コマンドの中から選択した1の演出図柄指定コマンドで特定される図柄の組合せを前記表示部に停止表示する当たりの演出図柄として決定し、
前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合には、前記変動パターンコマンドの種類に応じて前記表示部に停止表示する外れの演出図柄を決定し、
前記外れの演出図柄の決定に際し、前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合、且つ、前記変動パターンコマンドの種類を判定した結果がリーチ種類として最終停止図柄を特定したリーチを伴う変動パターンである場合には、前記表示部に停止表示する外れの演出図柄の組み合わせとして、最終停止図柄以外の図柄が当りの組み合わせである複数のリーチ図柄の内の1つのリーチ図柄を決定するとともに、前記リーチ種類に対応した最終停止図柄を特定したテーブルに従って前記1つのリーチ図柄より1又は2図柄変動を進めた図柄、または前記1つのリーチ図柄より1又は2図柄手前の図柄を最終停止図柄に決定し、
前記外れの演出図柄の決定に際し、前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合、且つ、前記変動パターンコマンドの種類を判定した結果がリーチ種類として最終停止図柄を特定しないリーチを伴う変動パターンである場合には、前記表示部に停止表示する外れの演出図柄の組み合わせとして、最終停止図柄以外の図柄が当りの組み合わせである複数のリーチ図柄の内の1つのリーチ図柄を決定するとともに、前記テーブルにかかわらず複数の図柄から前記1つのリーチ図柄との組み合わせで当りの組み合わせとならない1つの図柄を最終停止図柄に決定することを特徴とする遊技機。」

3 刊行物の記載
(1)当審における拒絶の理由に引用した、原出願の出願日前に頒布された刊行物である特開2001-187200号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある(下線は審決で付した。以下同じ。)。

ア 「【請求項1】 複数種類の識別情報の更新表示が可能な可変表示装置を含む遊技機であって、
遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
前記可変表示装置の表示制御を行なう表示制御手段とを含み、
前記遊技制御手段は、少なくとも前記識別情報の変動時間を特定可能な変動時間コマンドと前記識別情報の確定態様を特定可能な確定態様コマンドとを含み前記可変表示装置の表示制御を行なうための表示制御コマンドを前記表示制御手段に送出可能であり、
前記表示制御手段は、前記可変表示装置の表示状態が所定の表示態様になることを予告する予告表示制御と、前記識別情報が確定する以前の段階で、確定させる識別情報に対応して、表示する識別情報を差替える差替え表示制御とを行なうことが可能であり、
さらに、前記表示制御手段は、
受信した前記変動時間コマンドに応じて、前記予告表示を行なうか否かを決定する予告実行決定手段と、
前記差替え表示における差替え先の識別情報を決定する差替え先決定手段とを含むことを特徴とする、遊技機。」

イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、パチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシン等で代表される遊技機に関する。詳しくは、複数種類の識別情報の更新表示が可能な可変表示装置を含む遊技機に関する。」

ウ 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の遊技機においては、可変表示での表示内容決定等の表示制御の管理が遊技制御手段側に委ねられていた。このため、可変表示装置における可変表示態様を多様化すればする程、表示内容をより細かく指令する必要がある等、遊技制御手段の演出表示制御面での制御負担が増大してしまい、遊技制御手段が他の遊技制御のために費やすことができる処理時間が大幅に制限されるという問題があった。このように遊技制御手段の制御負担が増大すれば、遊技状態の制御に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0005】本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、遊技制御手段側の制御負担を軽減し、遊技制御手段が本来の遊技制御にかけられる時間を増やすことが可能となる遊技機を提供することである。」

エ 「【0052】図4は、遊技制御基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。……遊技制御基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路35と、……を含む。
……
【0054】基本回路53は、ゲーム制御用(遊技制御用)のプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)54、ワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)55、制御用のプログラムに従って制御動作を行なうCPU(Central Processing Unit )56およびI/O(Input/Output)ポート57を含む。……」

オ 「【0092】図10は、パチンコ遊技機1の大当り制御を行なうための概略を示すフローチャートである。まず、0?249の範囲でカウントするランダムカウンタR1のカウント数を抽出する。
【0093】高確率時でない通常時では、その抽出値が「3」のときには大当りを発生させることが事前決定され、R3からデータを抽出し、その抽出値に基づいて、可変表示部9に表示される大当り図柄が決定される。一方、R1の抽出値が「3」以外のときには、はずれが事前決定され、……
【0094】一方、高確率時の場合には、R1の抽出値が3,7,79,103,107のときに大当り状態を発生させることが決定される。一方、高確率時においてランダム1の抽出値が3,7,79,103,107以外のときに、はずれが事前決定される。
……
【0100】そして、CPU56は、S51で読出した値、すなわち、抽出されている大当り判定用乱数(R1)の値に基づいて、前述した図10を用いて説明した処理により、大当りにするか、はずれにするかを判定(決定)する(S53)。」

カ 「【0299】これに対し、この第4実施形態では、可変表示の開始から図柄確定までの間の表示制御のために、変動時間コマンド、当りはずれコマンド、全図柄停止コマンドの3つの表示制御コマンドを遊技制御基板31から表示制御基板80に送信する例を説明する。ここで、当りはずれコマンドとは、確定表示図柄を確変大当り図柄の組合せとするか、非確変大当り図柄の組合せとするか、はずれの組合せとするかのいずれかを特定可能なコマンドである。このように、左,中,右停止図柄コマンドを使用せずに、当りはずれコマンドを使用する場合には、表示制御用CPU101が、受信した表示制御コマンドが指示する当りはずれの種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行なう。したがって、基本回路53のCPU56の側では、停止図柄を決定する処理を実行しない。
【0300】この第4実施形態においては、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。図54は、第4実施形態による遊技制御に用いられる各種ランダムカウンタを示す図である。この図54は、第1実施形態の図7に対応するものである。
【0301】図54を参照して、図54が図7と異なるのは、はずれ図柄決定用および大当り図柄決定用のそれぞれのランダムカウンタが設けられておらず、確変判定用のランダムカウンタ(R6)が付加されていることである。これは、停止図柄(確定図柄)については、表示制御用CPU101側で決定されるので、基本回路53側では停止図柄の決定が不要だからである。
……
【0303】図55は、第4実施形態によるリーチ種類決定用のランダムカウンタR5の値と選択されるリーチの種類との関係を示すデータを当りはずれの状態別に表形式で示す図である。
【0304】図55においては、当りはずれの状態が、大当りの場合と、はずれの場合との2つの状態に区別され、大当り、はずれの各状態ごとに、選択されうるリーチの種類と、各リーチが選択されるR5の数値範囲とが対応付けられて示されている。リーチの種類は、当りはずれの状態別に異なる振分け態様で選択決定され、所定のタイミングで抽出されたR5の値に対応するリーチの種類が、表示されるリーチの種類として決定されるのである。……
【0305】図56は、第4実施形態により、可変表示部9の可変表示の際の当りはずれ、リーチの有無、リーチの種類、および確変の有無を決定するために基本回路53により実行される処理を示すフローチャートである。この図56は、第1実施形態の図12に対応する処理である。
【0306】図56を参照して、CPU56は、前述した図12の処理と同様に、S50?S53の処理を行なう。そして、S53により大当りと判定(決定)された場合、CPU56は、リミッタが作動中でないならば(S54でN)、確変判定用乱数(R6)の値を抽出し、その抽出値にしたがって、確率変動状態にするか否かを判定する(S62)。具体的には、抽出値が「0」の場合に確率変動状態にすることを決定し、抽出値が「1」の場合に確率変動状態にしないことを決定する。その後、S63に進む。一方、CPU56は、リミッタが作動中であるならばそのままS63に進む。つまり、リミッタが作動中のときは、抽選しないで非確変が選択されるからである。
【0307】また、前述したS53によりはずれと判定(決定)された場合、CPU56は、図12の場合と同様に、リーチ判定用乱数(R4)の値を抽出し、その抽出値に基づいて、リーチとするか否かを判定する(S58)。S58によりリーチにすると判定された場合は、S63に進む。
【0308】S63には、前述したように、はずれまたは大当りによりリーチとする場合に進むが、ここで、CPU56は、リーチ種類決定用乱数(R5)を抽出し、その抽出値に基づいて、図55を用いて説明したような処理により、リーチの種類を決定する。
【0309】以上のようにして、基本回路53では、大当りとするか、確変状態とするか、リーチ状態とするか、および、どのリーチの種類にするかが決定される。
……
【0313】この実施の形態の場合、始動入賞口14に打玉が入賞すると、基本回路53は、前述した特別図柄プロセス処理において、大当りとするかはずれとするかの決定、確変とするか否かの決定、変動時間の決定等を行ない、その決定に応じた表示制御コマンドおよびINT信号を表示制御基板80に向けて出力する。表示制御基板80側の表示制御用CPU101は、遊技制御基板31からの表示制御コマンドに応じて可変表示部9の表示制御を行なう。この場合、変動後の停止図柄は、表示制御用CPU101により決定される。
……
【0315】図58は、変動時間コマンドと、全図柄停止コマンドとを示す説明図である。図58を参照して、1バイト目のデータCMD1の値「80H」により、変動時間コマンドまたは全図柄停止コマンドのデータであることが指定される。そして、2バイト目のデータCMD2の値により、変動時間コマンドの場合は変動種類の表示内容が指定され、全図柄変動停止コマンドの場合は全図柄変動停止である旨が指定される。
【0316】変動時間コマンドの2バイト目のデータにより指定される表示内容としては、特別図柄の変動時間およびその変動種類が指定される。たとえば、指定される変動時間は、7.8S,6.9S,19.5S,24.5S,29.5Sのいずれかが指定される。
……
【0318】変動時間19.5Sの場合は、大当りが事前決定されている場合のリーチ1の変動種類であること、または、はずれが事前決定されている場合のリーチ1の変動種類であることが選択的に指定される。変動時間24.5Sの場合は、大当りが事前決定されている場合のリーチ2の変動種類であること、または、はずれが事前決定されている場合のリーチ2の変動種類であることが選択的に指定される。変動時間29.5Sの場合は、大当りが事前決定されている場合のリーチ3の変動種類であること、または、はずれが事前決定されている場合のリーチ3の変動種類であることが選択的に指定される。……
……
【0325】そのような変動表示制御においては、変動開始時の段階で、表示制御用CPU101が、コマンドに基づいてすでに変動時間および当りはずれ(確変、非確変を含む)を認識しており、当りはずれコマンドの内容に応じて、予定停止図柄(確定図柄)を決定する処理を行なう。……
【0326】次に、第4実施形態による表示制御用CPU101の動作を説明する。 図61は、第4実施形態による表示制御用CPU101が扱う表示用乱数を示す説明図である。図61に示すように、この実施の形態では、前述した図34のS703で更新される表示用乱数として、……確変大当り図柄決定用乱数(RS7)、および、非確変大当り図柄決定用乱数(RS8)を含む。
……
【0328】確変大当り図柄決定用乱数(RS6)は、当りはずれコマンドにより確変大当りが特定された場合に、確変大当り図柄(「一」、「三」、「五」、「七」、「九」、または「下駄」で左,中,右図柄が揃って停止した停止図柄)を決定するために用いられ、0から加算更新されてその上限である5まで加算更新された後再度0から加算更新される。この場合、0?5の値がそれぞれ「一」?「下駄」に1対1で対応付けられた確変大当り図柄用テーブルのデータが制御データROM102に格納されており、当該確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出値に対応する図柄が確変大当り図柄決定として決定される。
【0329】非確変大当り図柄決定用乱数(RS7)は、当りはずれコマンドにより確変大当りが特定された場合に、非確変大当り図柄(「二」、「四」、「六」、「八」、「十」、または「おにぎり」で左,中,右図柄が揃って停止した停止図柄)を決定するために用いられ、0から加算更新されてその上限である5まで加算更新された後再度0から加算更新される。この場合、その0?5の値がそれぞれ「二」?「おにぎり」に1対1で対応付けられた非確変大当り図柄用テーブルのデータが制御データROM102に格納されており、当該非確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出値に対応する図柄が非確変大当り図柄決定として決定される。」

キ 上記アによれば、刊行物1には以下の「遊技機」が記載されている。
「複数種類の識別情報の更新表示が可能な可変表示装置を含む遊技機であって、
遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
前記可変表示装置の表示制御を行なう表示制御手段とを含み、
前記遊技制御手段は、少なくとも前記識別情報の変動時間を特定可能な変動時間コマンドと前記識別情報の確定態様を特定可能な確定態様コマンドとを含み前記可変表示装置の表示制御を行なうための表示制御コマンドを前記表示制御手段に送出可能であり、
前記表示制御手段は、前記可変表示装置の表示状態が所定の表示態様になることを予告する予告表示制御と、前記識別情報が確定する以前の段階で、確定させる識別情報に対応して、表示する識別情報を差替える差替え表示制御とを行なうことが可能であり、
さらに、前記表示制御手段は、
受信した前記変動時間コマンドに応じて、前記予告表示を行なうか否かを決定する予告実行決定手段と、
前記差替え表示における差替え先の識別情報を決定する差替え先決定手段とを含む遊技機。」

ク 上記エ及びオによれば、遊技制御基板31は、大当り判定用乱数(R1)を抽出し、抽出された大当り判定用乱数(R1)の値に基づいて、大当りにするか、はずれにするかを判定する。

ケ 上記カ(特に【0306】)によれば、遊技制御基板31は、大当りと判定された場合、確変判定用乱数(R6)の値を抽出し、その抽出値にしたがって、確率変動状態にするか否かを判定する。

コ 上記カ(特に【0304】)によれば、遊技制御基板31は、大当り、はずれの各状態ごとに、抽出されたR5の値に対応するリーチの種類を表示されるリーチの種類として決定する。

サ 上記カ(特に【0299】及び【0313】)によれば、遊技制御基板31は、変動時間コマンド、確定表示図柄を確変大当り図柄の組合せとするか、非確変大当り図柄の組合せとするか、はずれの組合せとするかのいずれかを特定可能な当りはずれコマンド、全図柄停止コマンドの3つの表示制御コマンドを表示制御基板80に送信し、表示制御基板81は、受信した表示制御コマンドが指示する当りはずれの種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行ない、可変表示部9の表示制御を行なう。

シ 上記カ(特に【0316】及び【0318】)によれば、変動時間コマンドにより特別図柄の変動時間及びその変動種類が指定され、変動種類には、リーチ1、リーチ2及びリーチ3が含まれる。

ス 上記カ(特に【0326】及び【0328】)によれば、表示制御基板81は、確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された確変大当り図柄決定用乱数(RS7)に対応する図柄を確変大当り図柄として決定し、非確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された非確変大当り図柄決定用乱数(RS8)に対応する図柄を非確変大当り図柄として決定する。

セ してみると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「複数種類の特別図柄の更新表示が可能な可変表示部9を含む遊技機であって、
遊技の進行を制御する遊技制御基板31と、
前記可変表示部9の表示制御を行なう表示制御基板81とを含み、
前記遊技制御基板31は、少なくとも前記特別図柄の変動時間を特定可能な変動時間コマンドと前記特別図柄の確定態様を特定可能な当りはずれコマンドとを含み前記可変表示部9の表示制御を行なうための表示制御コマンドを前記表示制御基板81に送出可能であり、
前記表示制御基板81は、前記可変表示部9の表示状態が所定の表示態様になることを予告する予告表示制御と、前記特別図柄が確定する以前の段階で、確定させる特別図柄に対応して、表示する特別図柄を差替える差替え表示制御とを行なうことが可能であり、
さらに、前記表示制御基板81は、
受信した前記変動時間コマンドに応じて、前記予告表示を行なうか否かを決定する予告実行決定手段と、
前記差替え表示における差替え先の特別図柄を決定する差替え先決定手段とを含み、
遊技制御基板31は、
大当り判定用乱数(R1)を抽出し、抽出された大当り判定用乱数(R1)の値に基づいて、大当りにするか、はずれにするかを判定し、
大当りと判定された場合、確変判定用乱数(R6)の値を抽出し、その抽出値にしたがって、確率変動状態にするか否かを判定し、
大当り、はずれの各状態ごとに、抽出されたR5の値に対応するリーチの種類を表示されるリーチの種類として決定し、
特別図柄の変動時間及びその変動種類が指定され、変動種類には、リーチ1、リーチ2及びリーチ3が含まれる変動時間コマンド、確定表示図柄を確変大当り図柄の組合せとするか、非確変大当り図柄の組合せとするか、はずれの組合せとするかのいずれかを特定可能な当りはずれコマンド、全図柄停止コマンドの3つの表示制御コマンドを表示制御基板80に送信し、
表示制御基板81は、
受信した表示制御コマンドが指示する当りはずれの種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行ない、可変表示部9の表示制御を行ない、
確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された確変大当り図柄決定用乱数(RS7)に対応する図柄を確変大当り図柄として決定し、非確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された非確変大当り図柄決定用乱数(RS8)に対応する図柄を非確変大当り図柄として決定する、遊技機。」

(2)当審における拒絶の理由に引用した、原出願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-271303号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機、スロットマシーン等の遊技機に関するものである。」

イ 「【0010】一方、パチンコ機1には、普通図柄の「当たり」を決定するaカウンタ、普通図柄の「はずれ図柄」を決定するbカウンタ(変動パターン決定カウンタ)、「大当たり」の生起を決定するcカウンタ、図柄の変動パターンを決定するdカウンタ、図柄表示部3の各表示部位10?12に表示する図柄(左図柄・右図柄・中図柄)を決定するe?gカウンタ等のループカウンタ21(図3参照)が内蔵されている。」

ウ 「【0012】一方、図3は、パチンコ機1の制御機構を示したものであり、普通図柄表示領域9、図柄表示部3、大入賞口7等の各種の入賞装置および左右ゲート5,6に内蔵された遊技球検出装置24、各種の入賞装置を開閉作動させるためのソレノイド等の作動装置27、各種の電飾ランプ8、メモリーランプ25等が、インターフェイス20を介して、制御装置17に接続された状態になっている。また、制御装置17には、記憶手段(ROM,RAM等)22、タイマ26、およびループカウンタ(a?gカウンタ)21等が接続されている。そして、記憶手段22には、図4の如きbカウンタの数値と対応した「はずれ図柄」、図5の如きe?gカウンタの数値と対応した左図柄・右図柄・中図柄、図6の如きdカウンタの数値と対応した変動パターンを書き込んだ図柄変動パターンテーブルA,B-1,B-2,C-1,C-2等が記録されている。なお、図6に示されているように、第1パターンは、ベース変動時間が短い変動パターンであり、第2?第6パターンは、ベース変動時間が長い変動パターンである。また、第3?第6パターンは、「リーチ動作」を実行する変動パターンであり、ベース変動時間が長い変動パターンである。……」

エ 「【0016】また、普通電動役物4に入賞した遊技球が遊技球検出装置24によって検出された瞬間に、c?gカウンタが、それぞれ、ループカウントしている数値の中から1つの数値を選択する(以下、普通電動役物4に入賞した遊技球が遊技球検出装置24によって検出された瞬間におけるループカウンタ(c?gカウンタ)による数値の選択を「抽選」という)。そして、「抽選」が行われた後、各特別図柄が変動を開始した後には、「大当たり判定」が実行され、cカウンタが所定の「大当たり数値」(たとえば、“7”)を選択したと判断された場合には、「大当たり」が生起し、「大当たり数値」以外の数値を選択したと判断された場合には、「はずれ」となる。……
【0017】 さらに、「抽選」の後には、図7の如き「図柄表示プログラム」が実行され、特別図柄の変動開始から停止表示に至るまでの表示内容が決定される。「図柄表示プログラム」においては、まず、ステップ(以下、単にSという)1で、「大当たり」が生起したか否か判断され、「YES」と判断された場合には、次のS2で、ベース変動時間の長い(たとえば、約9秒間)変動パターンのみからなる変動パターンテーブルAが選択される。そして、続くS3で、選択された変動パターンテーブルAの中から、「抽選」においてdカウンタによって選択された数値に対応した変動パターン(第3?第6パターンのいずれか)が選択される。
……
【0019】一方、S1で「NO」と判断された場合には、S5で、後述する「高確率状態」であるか否か判断される。そして、「YES」と判断された場合には、次のS6で、「始動記憶」が“2”未満であるか否か判断される。そして、「YES」と判断された場合には、次のS7で、dカウンタの数値の大部分(181/211)を長いトータル変動時間に対応させた変動パターンテーブルB-1(図6参照)が選択される。そして、続くS8で、選択された変動パターンテーブルB-1の中から、「抽選」においてdカウンタによって選択された数値に対応した変動パターン(第1?第6パターンのいずれか)が選択される。
……
【0021】また、S8(あるいは後述するS11,S14,S16)で第3?第6パターン(すなわち、「リーチ動作」を実行する変動パターン)が選択された場合には、「抽選」においてeカウンタが選択した数値に応じた図柄(図5参照)を、左表示部位10、右表示部位11に表示することによって、「リーチ図柄」(「1,1」、「A,A」等)を表示し、しかる後、選択された変動パターンにしたがって「リーチ動作」を実行した後に、「抽選」時にgカウンタが選択した数値に対応した図柄を中表示部位12に表示する。したがって、図柄表示部3には、左図柄、右図柄が同一で、中図柄のみ異なる「はずれ図柄」(「1,3,1」、「A,C,A」等)が表示される。ただし、「抽選」においてgカウンタの値が偶発的にeカウンタと同一の数値を選択している場合には、gカウンタの選択した数値に1を加算し、その数値に対応した図柄が中表示部位12に表示される。したがって、図柄表示部3には、「1,2,1」、「A,B,A」等の「はずれ図柄」が表示される。
【0022】なお、選択された変動パターンが第4あるいは第5パターンである場合には、中図柄を非常に低速で変動させた後に停止させるため、「抽選」においてgカウンタによって選択された数値に対応した図柄の代わりに、「抽選」においてeカウンタによって選択された数値に1を加算した数値、あるいは「抽選」においてeカウンタによって選択された数値から1を減算した数値に対応した図柄が、中表示部位12に表示される。したがって、図柄表示部3には、「1,2,1」、「A,9,A」等の「はずれ図柄」が表示される(図5参照)。また、選択された変動パターンが第6パターンである場合には、中図柄をきわめて低い速度で変動させた後に停止させるため、「抽選」においてgカウンタによって選択された数値に対応した図柄の代わりに、「抽選」においてeカウンタによって選択された数値から1を減算した数値に対応した図柄が、中表示部位12に表示される。したがって、図柄表示部3には、「1,0,1」、「A,9,A」等の「はずれ図柄」が表示される(図5参照)。」

オ 上記エを踏まえて図6の変動パターンテーブルをみると、第3パターンはノーマルリーチ、第6パターンはスペシャルリーチであること、停止表示図柄がはずれ図柄である場合は、変動パターンテーブルに従って、スペシャルリーチでは中図柄として左図柄及び右図柄の1つ前の図柄が決定されることが把握できる。

カ 上記アないしオによると、刊行物2には、次の事項が記載されているものと認められる。
「パチンコ機、スロットマシーン等の遊技機において、
特別図柄の変動開始から停止表示に至るまでの表示内容が決定される図柄表示プログラムが実行されると、
大当たりが生起したか否かの判断で、NOと判断された場合には、
選択された変動パターンテーブルの中から、抽選においてdカウンタによって選択された数値に対応した変動パターンが選択され、
選択された変動パターンがノーマルリーチである場合には、抽選においてeカウンタが選択した数値に応じた図柄を、左表示部位10、右表示部位11に表示することによって、リーチ図柄を表示し、抽選時にgカウンタが選択した数値に対応した図柄を中表示部位12に表示するが、抽選においてgカウンタの値が偶発的にeカウンタと同一の数値を選択している場合には、gカウンタの選択した数値に1を加算し、その数値に対応した図柄が中表示部位12に表示され、
選択された変動パターンがスペシャルリーチである場合には、変動パターンテーブルに従って、抽選においてeカウンタによって選択された数値から1を減算した数値に対応した図柄が、中表示部位12に表示されること。」

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「遊技機」は本願発明の「遊技機」に相当し、以下同様に、「可変表示部9」は「表示部」に、「遊技制御基板31」は「主制御部」に、「表示制御基板81」は「演出制御部」に、それぞれ相当する。

(2)本願発明の「当たり/外れ抽選と、演出図柄抽選と、変動パターン抽選とを行う主制御部」と、引用発明の『「遊技制御基板31」は、「大当り判定用乱数(R1)を抽出し、抽出された大当り判定用乱数(R1)の値に基づいて、大当りにするか、はずれにするかを判定し」、「大当りと判定された場合、確変判定用乱数(R6)の値を抽出し、その抽出値にしたがって、確率変動状態にするか否かを判定し」、「大当り、はずれの各状態ごとに、抽出されたR5の値に対応するリーチの種類を表示されるリーチの種類として決定」』することとを対比する。
引用発明の「大当り判定用乱数(R1)を抽出し、抽出された大当り判定用乱数(R1)の値に基づいて、大当りにするか、はずれにするかを判定」することは、本願発明の「当たり/外れ抽選」に相当する。
引用発明の「大当りと判定された場合、確変判定用乱数(R6)の値を抽出し、その抽出値にしたがって、確率変動状態にするか否かを判定」することは、本願発明の「演出図柄抽選」に相当する。
引用発明の「大当り、はずれの各状態ごとに、抽出されたR5の値に対応するリーチの種類を表示されるリーチの種類として決定」することは、本願発明の「変動パターン抽選」に相当する。
してみると、引用発明の『「遊技制御基板31」は、「大当り判定用乱数(R1)を抽出し、抽出された大当り判定用乱数(R1)の値に基づいて、大当りにするか、はずれにするかを判定し」、「大当りと判定された場合、確変判定用乱数(R6)の値を抽出し、その抽出値にしたがって、確率変動状態にするか否かを判定し」、「大当り、はずれの各状態ごとに、抽出されたR5の値に対応するリーチの種類を表示されるリーチの種類として決定」』することは、本願発明の「当たり/外れ抽選と、演出図柄抽選と、変動パターン抽選とを行う主制御部」に相当する。

(3)本願発明の「前記主制御部からのコマンドに基づき表示部に停止表示される演出図柄の制御を行う演出制御部」と、引用発明の『「表示制御基板81」は、「受信した表示制御コマンドが指示する当りはずれの種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行ない、可変表示部9の表示制御を行な」』うこととを対比する。
引用発明の「受信した表示制御コマンド」及び「確定図柄を独自に決定する処理を行ない、可変表示部9の表示制御を行な」うことは、それぞれ、本願発明の「前記主制御部からのコマンド」及び「表示部に停止表示される演出図柄の制御を行う」ことに相当する。
してみると、引用発明の『「表示制御基板81」は、「受信した表示制御コマンドが指示する当りはずれの種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行ない、可変表示部9の表示制御を行な」』うことは、本願発明の「前記主制御部からのコマンドに基づき表示部に停止表示される演出図柄の制御を行う演出制御部」に相当する。

(4)本願発明の「前記主制御部は、前記当たり/外れ抽選および演出図柄抽選の結果にしたがって複数のグループからなるグループ化演出図柄指定コマンドの中から選択した1のグループ化演出図柄指定コマンドと、前記当たり/外れ抽選および変動パターン抽選の結果にしたがって選択された前記演出図柄の変動態様を指示する変動パターンコマンドと、を前記演出制御部に送信」することと、引用発明の『「遊技制御基板31」は、「特別図柄の変動時間及びその変動種類が指定され、変動種類には、リーチ1、リーチ2及びリーチ3が含まれる変動時間コマンド、確定表示図柄を確変大当り図柄の組合せとするか、非確変大当り図柄の組合せとするか、はずれの組合せとするかのいずれかを特定可能な当りはずれコマンド、全図柄停止コマンドの3つの表示制御コマンドを表示制御基板80に送信」』することとを対比する。
引用発明の「確定表示図柄を確変大当り図柄の組合せとするか、非確変大当り図柄の組合せとするか、はずれの組合せとするかのいずれかを特定可能な当りはずれコマンド」及び「特別図柄の変動時間及びその変動種類が指定され、変動種類には、リーチ1、リーチ2及びリーチ3が含まれる変動時間コマンド」は、それぞれ、本願発明の「前記当たり/外れ抽選および演出図柄抽選の結果にしたがって複数のグループからなるグループ化演出図柄指定コマンドの中から選択した1のグループ化演出図柄指定コマンド」及び「前記当たり/外れ抽選および変動パターン抽選の結果にしたがって選択された前記演出図柄の変動態様を指示する変動パターンコマンド」に相当する。
してみると、引用発明の『「遊技制御基板31」は、「特別図柄の変動時間及びその変動種類が指定され、変動種類には、リーチ1、リーチ2及びリーチ3が含まれる変動時間コマンド、確定表示図柄を確変大当り図柄の組合せとするか、非確変大当り図柄の組合せとするか、はずれの組合せとするかのいずれかを特定可能な当りはずれコマンド、全図柄停止コマンドの3つの表示制御コマンドを表示制御基板80に送信」』することは、本願発明の「前記主制御部は、前記当たり/外れ抽選および演出図柄抽選の結果にしたがって複数のグループからなるグループ化演出図柄指定コマンドの中から選択した1のグループ化演出図柄指定コマンドと、前記当たり/外れ抽選および変動パターン抽選の結果にしたがって選択された前記演出図柄の変動態様を指示する変動パターンコマンドと、を前記演出制御部に送信」することに相当する。

(5)本願発明の『「前記演出制御部」は、「前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における当たりに対応する場合には、当該送信されたグループ化演出図柄指定コマンドに対応する1又は複数の演出図柄指定コマンドの中から選択した1の演出図柄指定コマンドで特定される図柄の組合せを前記表示部に停止表示する当たりの演出図柄として決定し」、「前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合には、前記変動パターンコマンドの種類に応じて前記表示部に停止表示する外れの演出図柄を決定」』することと、引用発明の『「表示制御基板81」は、「受信した表示制御コマンドが指示する当りはずれの種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行ない、可変表示部9の表示制御を行ない」、「確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された確変大当り図柄決定用乱数(RS7)に対応する図柄を確変大当り図柄として決定し、非確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された非確変大当り図柄決定用乱数(RS8)に対応する図柄を非確変大当り図柄として決定する」』こととを対比する。
引用発明の「受信した表示制御コマンドが指示する」「当り」「の種別に応じて」、「確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された確変大当り図柄決定用乱数(RS7)に対応する図柄を確変大当り図柄として決定」、又は「非確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された非確変大当り図柄決定用乱数(RS8)に対応する図柄を非確変大当り図柄として決定する」ことは、本願発明の「前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における当たりに対応する場合には、当該送信されたグループ化演出図柄指定コマンドに対応する1又は複数の演出図柄指定コマンドの中から選択した1の演出図柄指定コマンドで特定される図柄の組合せを前記表示部に停止表示する当たりの演出図柄として決定」することに相当する。
引用発明の「受信した表示制御コマンドが指示する」「はずれ」「の種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行な」うことは、本願発明の「前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合には、前記変動パターンコマンドの種類に応じて前記表示部に停止表示する外れの演出図柄を決定」することに相当する。
してみると、引用発明の『「表示制御基板81」は、「受信した表示制御コマンドが指示する当りはずれの種別に応じて、確定図柄を独自に決定する処理を行ない、可変表示部9の表示制御を行ない」、「確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された確変大当り図柄決定用乱数(RS7)に対応する図柄を確変大当り図柄として決定し、非確変大当り図柄用テーブルを用いて、抽出された非確変大当り図柄決定用乱数(RS8)に対応する図柄を非確変大当り図柄として決定する」』ことは、本願発明の『「前記演出制御部」は、「前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における当たりに対応する場合には、当該送信されたグループ化演出図柄指定コマンドに対応する1又は複数の演出図柄指定コマンドの中から選択した1の演出図柄指定コマンドで特定される図柄の組合せを前記表示部に停止表示する当たりの演出図柄として決定し」、「前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合には、前記変動パターンコマンドの種類に応じて前記表示部に停止表示する外れの演出図柄を決定」』することに相当する。

(6)以上によれば、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
当たり/外れ抽選と、演出図柄抽選と、変動パターン抽選とを行う主制御部と、前記主制御部からのコマンドに基づき表示部に停止表示される演出図柄の制御を行う演出制御部とを備える遊技機において、
前記主制御部は、前記当たり/外れ抽選および演出図柄抽選の結果にしたがって複数のグループからなるグループ化演出図柄指定コマンドの中から選択した1のグループ化演出図柄指定コマンドと、前記当たり/外れ抽選および変動パターン抽選の結果にしたがって選択された前記演出図柄の変動態様を指示する変動パターンコマンドと、を前記演出制御部に送信し、
前記演出制御部は、
前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における当たりに対応する場合には、当該送信されたグループ化演出図柄指定コマンドに対応する1又は複数の演出図柄指定コマンドの中から選択した1の演出図柄指定コマンドで特定される図柄の組合せを前記表示部に停止表示する当たりの演出図柄として決定し、
前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合には、前記変動パターンコマンドの種類に応じて前記表示部に停止表示する外れの演出図柄を決定する遊技機。

(7)他方、両者は以下の点で相違する。
<相違点>
リーチを伴う外れの演出図柄の決定に関して、本願発明では、
前記外れの演出図柄の決定に際し、前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合、且つ、前記変動パターンコマンドの種類を判定した結果がリーチ種類として最終停止図柄を特定したリーチを伴う変動パターンである場合には、前記表示部に停止表示する外れの演出図柄の組み合わせとして、最終停止図柄以外の図柄が当りの組み合わせである複数のリーチ図柄の内の1つのリーチ図柄を決定するとともに、前記リーチ種類に対応した最終停止図柄を特定したテーブルに従って前記1つのリーチ図柄より1又は2図柄変動を進めた図柄、または前記1つのリーチ図柄より1又は2図柄手前の図柄を最終停止図柄に決定し、
前記外れの演出図柄の決定に際し、前記送信された前記グループ化演出図柄指定コマンドが前記当たり/外れ抽選における外れに対応する場合、且つ、前記変動パターンコマンドの種類を判定した結果がリーチ種類として最終停止図柄を特定しないリーチを伴う変動パターンである場合には、前記表示部に停止表示する外れの演出図柄の組み合わせとして、最終停止図柄以外の図柄が当りの組み合わせである複数のリーチ図柄の内の1つのリーチ図柄を決定するとともに、前記テーブルにかかわらず複数の図柄から前記1つのリーチ図柄との組み合わせで当りの組み合わせとならない1つの図柄を最終停止図柄に決定する
のに対し、
引用発明では、リーチ1、リーチ2又はリーチ3を伴う、はずれにおいて、確定図柄をどのように決定するか特定されていない点。

5 判断
上記相違点について判断する。
(1)上記3(2)で認定したとおり、刊行物2には、
「パチンコ機、スロットマシーン等の遊技機において、
特別図柄の変動開始から停止表示に至るまでの表示内容が決定される図柄表示プログラムが実行されると、
大当たりが生起したか否かの判断で、NOと判断された場合には、
選択された変動パターンテーブルの中から、抽選においてdカウンタによって選択された数値に対応した変動パターンが選択され、
選択された変動パターンがノーマルリーチである場合には、抽選においてeカウンタが選択した数値に応じた図柄を、左表示部位10、右表示部位11に表示することによって、リーチ図柄を表示し、抽選時にgカウンタが選択した数値に対応した図柄を中表示部位12に表示するが、抽選においてgカウンタの値が偶発的にeカウンタと同一の数値を選択している場合には、gカウンタの選択した数値に1を加算し、その数値に対応した図柄が中表示部位12に表示され、
選択された変動パターンがスペシャルリーチである場合には、変動パターンテーブルに従って、抽選においてeカウンタによって選択された数値から1を減算した数値に対応した図柄が中表示部位12に表示されること。」(以下「刊行物2記載事項」という。)が記載されており、
刊行物2記載事項の『「大当たりが生起したか否かの判断で、NOと判断された場合」であって、「選択された変動パターンがスペシャルリーチである場合には、変動パターンテーブルに従って、抽選においてeカウンタによって選択された数値から1を減算した数値に対応した図柄が、中表示部位12に表示される」』ことは、本願発明の「前記外れの演出図柄の決定に際し」、「最終停止図柄を特定したリーチを伴う変動パターンである場合には、前記表示部に停止表示する外れの演出図柄の組み合わせとして、最終停止図柄以外の図柄が当りの組み合わせである複数のリーチ図柄の内の1つのリーチ図柄を決定するとともに、前記リーチ種類に対応した最終停止図柄を特定したテーブルに従って」「前記1つのリーチ図柄より1」「図柄手前の図柄を最終停止図柄に決定」することに相当し、
刊行物2記載事項の『「大当たりが生起したか否かの判断で、NOと判断された場合」であって、「選択された変動パターンがノーマルリーチである場合には、抽選においてeカウンタが選択した数値に応じた図柄を、左表示部位10、右表示部位11に表示することによって、リーチ図柄を表示し、抽選時にgカウンタが選択した数値に対応した図柄を中表示部位12に表示するが、抽選においてgカウンタの値が偶発的にeカウンタと同一の数値を選択している場合には、gカウンタの選択した数値に1を加算し、その数値に対応した図柄が中表示部位12に表示」』することは、本願発明の「前記外れの演出図柄の決定に際し」、「最終停止図柄を特定しないリーチを伴う変動パターンである場合には、前記表示部に停止表示する外れの演出図柄の組み合わせとして、最終停止図柄以外の図柄が当りの組み合わせである複数のリーチ図柄の内の1つのリーチ図柄を決定するとともに、前記テーブルにかかわらず複数の図柄から前記1つのリーチ図柄との組み合わせで当りの組み合わせとならない1つの図柄を最終停止図柄に決定する」ことに相当する。

(2)そして、引用発明において、リーチ1、リーチ2又はリーチ3を伴う、はずれの確定図柄をどのように決定するかは当業者が適宜なし得る設計的事項というべきところ、引用発明と刊行物2記載事項はともに遊技機の特別図柄の表示制御に関するものであるから、引用発明において、リーチ1、リーチ2又はリーチ3を伴う、はずれの確定図柄の決定手段として、刊行物2記載事項の確定図柄の決定手段を採用し、相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)本願発明の効果について
本願発明によってもたらされる効果を全体としてみても、引用発明及び刊行物2記載事項から当業者が当然に予測できる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。

(4)意見書の主張について
請求人は、平成26年10月23日付け意見書(4頁26行?5頁18行)において、外れ時のリーチ種類によって最終停止図柄が異なる点は、刊行物1及び刊行物2に記載も示唆もされていない旨主張するが、この点については上記(1)及び(2)で述べたとおりであって、採用できない。

6 むすび
以上の検討によれば、本願発明は、当業者が引用発明及び刊行物2記載事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-24 
結審通知日 2015-01-06 
審決日 2015-01-21 
出願番号 特願2011-26239(P2011-26239)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也池谷 香次郎  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 吉村 尚
中田 誠
発明の名称 遊技機  
復代理人 伊藤 勝久  
復代理人 堀田 誠  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ