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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B23K
管理番号 1298128
審判番号 不服2014-8328  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-07 
確定日 2015-03-05 
事件の表示 特願2009-133007「レーザ加工装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月16日出願公開、特開2010-279956〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成21年6月2日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年 7月25日付け:拒絶理由の通知
平成25年 9月30日 :意見書及び手続補正書の提出
平成26年 1月29日付け:拒絶査定
平成26年 5月 7日 :審判請求書及び手続補正書の提出

第2 平成26年5月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年5月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の特許請求の範囲の記載
平成26年5月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である)
「被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、
該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、
前記レーザトーチに設けられたレーザ光の出射に用いる第1のスイッチと、
前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、
前記レーザトーチとは別個に設けられたレーザ光の出射に用いる第2のスイッチと、
動作部の動作制御を司るコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、前記第1の検出手段が被加工物を検出し、且つ前記第1のスイッチがオンの状態で、さらにこの状態で前記第2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射されるように、レーザ加工装置の動作部の動作制御を行うことを特徴とするレーザ加工装置。」
上記補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の特定事項である「コントローラ」の動作の「前記第2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射される」ことを、「この状態で」且つ「レーザ加工装置の動作部の動作制御を行う」ことに限定するものであるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用例およびその記載事項
本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平9-99381号公報(以下「引用例1」という)には、「マニュアル溶接加工システム及び同システムに使用するレーザー加工ヘッド及びレーザー光防護具」について、図面とともに、次の記載がある。

(ア)
「【請求項1】 YAGレーザー発振器と、該YAGレーザー発振器に光ファイバーで接続され、被加工材との接触を検出する接触検出手段を備えたレーザー加工ヘッドと、装着確認スイッチと防護面の開閉検出スイッチとを備えたレーザー光防護具と、レーザー加工作業準備完了信号を出力するフットスイッチと、前記YAGレーザー発振器、前記レーザー加工ヘッド、前記レーザー光防護具及び前記フットスイッチとを制御する制御装置とからなるマニュアル溶接加工システムにして、前記制御装置が前記レーザー加工ヘッドの被加工材との接触と、前記レーザー光防護具の装着と防護面の閉状態と、前記フットスイッチの作業準備完了信号とを検出後、前記レーザー加工ヘッドのレーザー出射スイッチがONになったとき、前記YAGレーザー発振器からレーザー光を前記レーザー加工ヘッドに出射することを特徴とするマニュアル溶接加工システム。
【請求項2】 レーザー発振器と光ファイバーで接続されたレーザー加工ヘッドにおいて、該レーザー加工ヘッドと被加工材との接触を検出する接触検出手段を設けたことを特徴とするレーザー加工ヘッド。」

(イ)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマニュアル溶接加工システム及び同システムに使用するレーザー加工ヘッド及びレーザー光防護具に関する。
【0002】
【従来の技術】YAGレーザー加工機において、例えば溶接を行う場合、レーザー加工機本体のレーザー加工ヘッドを使用せずに付属の小形のレーザー加工ヘッドを手に持って本溶接を行う前の仮止め溶接が行われている。また作業者の安全のために、レーザー光を遮蔽する保護眼鏡または顔面を保護するレーザー光保護具が用いられている。」

(ウ)
「【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は本発明に係わるマニュアル溶接加工システムの一実施の形態に一般的な本溶接加工システムが組合わされた溶接加工システムを示したものである。図1に示したこの溶接加工システムは、マニュアル溶接加工システム1と本溶接加工システム3からなっており、本溶接加工システム3には公知のプレイバック式の多関節ロボット5を用いたレーザー溶接加工システムが示してある。」

(エ)
「【0023】前記マニュアル溶接加工システム1は、前記YAGレーザー発振器9に光ファイバーを含む信号ケーブル11Bで連結された手持ちのレーザー加工ヘッド25と、本溶接前の被加工材Wを前記手持ちのレーザー加工ヘッド25によって仮溶接を行うための作業台27と、作業者をYAGレーザー光から防護するためのレーザー光防護具29と、レーザー加工作業準備完了信号を前記制御装置19に出力するフットスイッチ31とから構成されている。なおレーザー加工ヘッド25とレーザー光防護具29及びフットスイッチ31は前記制御装置19と信号ケーブルSCにより接続されている。
【0024】上記構成のマニュアル溶接加工システム1において、制御装置19がレーザー加工ヘッド25の被加工材との接触と、レーザー光防護具29の装着と該レーザー光防護具29の防護面(後述)の閉状態と、前記フットスイッチ31の作業準備完了信号とを検出後、前記レーザー加工ヘッド25のレーザー出射スイッチを作業者がONにしたとき、YAGレーザー発振器9を発振させてレーザー光をレーザー加工ヘッド25に出射させることが可能である。または、YAGレーザー発振器9のシャッターを開閉させることによってもレーザー光の出射を制御することも可能である。」

(オ)
「【0026】また前記レンズ保持筒33の下端部には円筒形の接触子保持体43が設けてある。なおこの接触子保持体43は絶縁体で製作されており、そしてこの接触子保持体43に導電性を有するのシリンダー状の接触子45が設けてある。またこのシリンダー状の接触子45は前記接触子保持体43に嵌合する摺動ブッシュ49にレーザー光LBの光軸方向に移動可能に嵌合してある。前記シリンダー状の接触子45の上端部にはフランジ51を設け、このフランジ51を前記摺動ブッシュ49に係合当接させることにより、接触子45を前記接触子保持体43から脱落しないように保持している。さらに接触子45と前記接触子保持体43との間には弾装したスプリング55によって、この接触子45を接触子保持体43から常に突出するように付勢してある。なお、上記接触子45が被加工材Wに接触すると信号ケーブル11Bを介して前記制御装置と被加工材Wとの間に電気回路が形成されて、被加工材Wと接触子との接触を検出することができるようになっている。」

(カ)
「【0031】また、接触子45と被加工材Wとが接触するので被加工材Wとの間に電気回路が形成され、被加工材Wと接触子との接触を検出することが可能である。なお接触子45と被加工材Wとが接触するとシールドガスの圧力が増加するので、この圧力変化を検出することでも被加工材Wと接触子との接触を検出することが可能である。」

(キ)
「【0037】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、レーザー加工ヘッドの被加工材との接触と、前記レーザー光防護具の装着と、レーザー光防護具の防護面の閉止と、前記フットスイッチのON状態との検出後、レーザー加工ヘッドのレーザー出射スイッチをONするこによりレーザー光がレーザー加工ヘッドから出射されるので、レーザー加工ヘッドと被加工材とが接触しない状態でレーザー光が出射されることを防止することができる。従って、危険なレーザー光が作業者の眼に入ることを防ぐことができる。これにより作業者も安心して作業ができるので作業効率も向上する。」

3 当審の判断
(1)引用発明
上記記載事項(ア)?(キ)並びに当業者の技術常識によれば、上記引用例1には、「被加工材の加工に供するレーザー光を発生させるYAGレーザー発信器と、
該YAGレーザー発信器に対して移動可能に接続され、当該YAGレーザー発信器において発生したレーザ光を受け取って被加工材に照射するレーザー加工ヘッドと、
前記レーザー加工ヘッドに設けられたレーザー光の出射に用いるレーザー出射スイッチと、
前記レーザー加工ヘッドに設けられ、前記被加工物との接触を検出する接触検出手段と、
前記レーザー加工ヘッドとは別個に設けられたレーザー加工作業準備完了信号を出力するフットスイッチと、
動作部の動作制御を司る制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、接触検出手段が被加工材との接触を検出し、レーザー光防護具の装着と該レーザー光防護具の防護面の閉状態と、且つフットスイッチがオンの状態で、さらにこの状態でレーザー出射スイッチがオンされた場合にレーザー光が出射されるレーザー加工装置」の発明(以下「引用例1発明」という)が記載されていると認められる。

(2)対比
本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、その機能及び作用からみて、引用例1発明の「被加工材」、「レーザー光」、「YAGレーザ発信器」、「レーザ加工ヘッド」、「レーザ出射スイッチ」、「被加工材との接触」、「接触検出手段」、「制御装置」は、それぞれ、本願補正発明の「被加工物」、「レーザ光」、「レーザ発振器」、「レーザトーチ」、「第1のスイッチ」、「被加工物の有無」、「第1の検出手段」、「コントローラ」に相当する。
また、引用例1発明の「フットスイッチ」は、「別のスイッチ」という点で、本願補正発明の「第2のスイッチ」と共通する。
そうすると、両発明は、以下の点で一致及び相違する。
[一致点]「被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、
該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、
前記レーザトーチに設けられたレーザ光の出射に用いる第1のスイッチと、
前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、
前記レーザトーチとは別個に設けられた別のスイッチと、
動作部の動作制御を司るコントローラと、
を有したレーザ加工装置。」
[相違点] 本願補正発明は、コントローラは、第1の検出手段が被加工物を検出し、且つ第1のスイッチがオンの状態で、さらにこの状態で第2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射されるように、レーザ加工装置の動作部の動作制御を行うのに対し、引用例1発明では、制御装置は、接触検出手段が被加工材を検出し、且つフットスイッチがオンの状態で、さらにこの状態でレーザー出射スイッチがオンされた場合にレーザー光が出射される点。

(3)判断
[相違点]について
手持ち型レーザ加工装置において、手元スイッチ及びフットスイッチのどちらかのオンをレーザ装置が発振するきっかけとなる最後の信号として構成し、いずれのスイッチによりレーザ光を発生させるかを作業者の選択にまかせることは、従来周知の事項である(たとえば、特開2008-43989号公報の段落【0022】【0030】【0035】【0038】【0045】、特開平7-124767号公報の段落【0007】【0009】などを参照)。
手元スイッチ、フットスイッチのどちらを最後の信号にするかは、どちらを最後にしてもメリット・デメリットが生じるものであり、そのメリット・デメリットを比較衡量して適宜決定し得る選択的技術事項にすぎない。請求人は審判請求書の請求の理由において、指先でオンとする場合その付与操作によりトーチの照射方向がかすかに動くことがある、レーザトーチの手元スイッチがなんらかの理由によりオンになった場合思わぬ方向にレーザ光が出射される等述べているが、一方、フットスイッチを最後にした場合であっても、フットスイッチが何らかの理由で踏まれる、物がフットスイッチの上に置かれる等のデメリットはある(たとえば、特開昭63-14486号公報の発明の効果の欄を参照)から、引用例1発明において、上記相違点に係る本願補正発明の特定事項とすることは、上記メリット・デメリットを比較衡量のうえ、最後の信号を適宜選択して、当業者が容易に想到し得るものというのが相当である。

そして、本願補正発明の効果も、引用例1発明及び従来周知の事項から予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しないので、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年5月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?11に係る発明は、平成25年9月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されたものであると認められ、その特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりのものである。
「被加工物の加工に供するレーザ光を発生させるレーザ発振器と、
該レーザ発振器に対して移動可能に接続され、当該レーザ発振器において発生したレーザ光を受け取って被加工物に照射するレーザトーチと、
前記レーザトーチに設けられたレーザ光の出射に用いる第1のスイッチと、
前記レーザトーチに設けられ、前記被加工物の有無を検出する第1の検出手段と、
前記レーザトーチとは別個に設けられたレーザ光の出射に用いる第2のスイッチと、
動作部の動作制御を司るコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、前記第1の検出手段が被加工物を検出し、且つ前記第1のスイッチがオンの状態で、さらに前記第2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射される
ことを特徴とするレーザ加工装置。」(以下「本願発明」という)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例1の記載事項及び引用例1発明は、前記第2の2及び第2の3(1)に示したとおりである。

3 当審の判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明の「コントローラ」の作動の「前記第2のスイッチがオンされた場合にレーザ光が出射される」構成について、「この状態で」且つ「レーザ加工装置の動作部の動作制御を行う」構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の3に記載したとおり、引用例1発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-17 
結審通知日 2015-01-06 
審決日 2015-01-20 
出願番号 特願2009-133007(P2009-133007)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B23K)
P 1 8・ 575- Z (B23K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 仁木 学  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 三澤 哲也
刈間 宏信
発明の名称 レーザ加工装置  
代理人 伊藤 高英  
代理人 大倉 奈緒子  
代理人 玉利 房枝  
代理人 中尾 俊輔  

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