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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1298584
審判番号 不服2013-6617  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-11 
確定日 2015-03-11 
事件の表示 特願2004-366141「フローパラメータイメージングのための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月 7日出願公開、特開2005-177494〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年12月17日(パリ条約による優先権主張2003年12月19日,米国(US))を出願日とする出願であって,平成22年12月7日付けで拒絶理由が通知され,平成23年6月9日付けで手続補正がなされ,同年11月4日付けで最後の拒絶理由が通知され,平成24年4月27日付で手続補正がなされたが,当該手続補正について平成25年1月17日付けで補正却下の決定がなされ,同日付で拒絶査定がなされ,これに対し,同年4月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,それと同時に,同日付けにて手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成25年4月11日付け手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(下線は補正箇所を示す。)
本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1は,
「 【請求項1】
超音波フローパラメータイメージングのための方法であって,
全関心領域をカバーし,空間的に発散する超音波送信ビームの時間制御されたシーケンスをパルス繰り返し周波数でトランスデューサアレイから身体内の関心領域に送信する段階と,
前記アレイに戻る超音波エネルギを電気信号に変換する段階と,
前記電気信号をビーム形成して,各送信に続く関心領域のそれぞれの空間的位置を通る複数のラインから成る受信ビームのそれぞれのセットを同時に形成する段階と,
各受信ビームについてそれぞれの平均速度値を計算する段階と,
各受信ビームについて,前記平均速度値のそれぞれのセットから計算される所与のフローパラメータのそれぞれの値を計算する段階と,
前記身体内の空間的位置の空間関係にほぼ相当する空間的関係における各計算されたフローパラメータ値に対するそれぞれの視覚値を表示し,これによりそれぞれのフローパラメータ画像を形成する段階と,
を含み,
前記送信する段階が,複数の異なる方向に送信されるパルスからなる複数の異なるアンサンブルを送信し,
前記複数の異なるアンサンブルの内の第1のアンサンブルの第1パルス及び第2のパルスの収集の間に,前記複数の異なるアンサンブルの内の第2のアンサンブルの第1パルスの収集が行われる,
方法。」
と補正された。
本件補正は,補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「空間的に発散する超音波送信ビーム」について,「全関心領域をカバーし,空間的に発散する超音波送信ビーム」と「超音波送信ビーム」のカバー範囲について限定したものである。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年法改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)本願の優先権主張日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平7-8492号公報(以下,「刊行物1」という。)には,「超音波診断装置」について,図面とともに次の事項が記載されている。
(1-ア)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,1回の超音波の送信に対して異なる複数の方向からの反射波を同時に受信するいわゆる並列同時受信機能を備えた超音波診断装置に関する。」

(1-イ)
「【0004】また,カラーフローマッピングの場合,同じ方向の超音波送受信の繰り返し回数を増加して同一位置のデータ数を増加することにより,クラッタ成分の除去精度を向上させて計測精度を向上させることができる。しかし,この場合,ラスタの本数が一定の条件のもとでは,データ数の増加に伴って,フレームレートが減少し,リアルタイム性能が劣化するという問題が発生する。
【0005】このようにパルス数の制限は,空間分解能と時間分解能のいずれの性能を優先するかの選択を迫り,またカラーフローマッピングの場合,計測精度とリアルタイム性能のいずれの性能を優先するか選択を迫る。
【0006】並列同時受信法は,このような問題を解決するべく開発されたものであり,1回の超音波の送信に対して異なる複数の方向からの反射波を同時に受信し,各方向の反射波を並列処理することにより処理スピードを向上させて一定の空間分解能または計測精度を維持しながら良好なリアルタイム性能を獲得している。
【0007】しかし,送信ビームの音場分布は一様ではなく,このため同時受信して得た複数本のラスタ間に感度のムラが生じて画像の劣化を発生させるという問題があった。」

(1-ウ)
「【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上述した事情に対処すべくなされたもので,その目的は,1回の送信に対して複数方向の受信信号を同時受信して得た複数本のラスタ間の感度ムラを低減し,これにより画質の劣化を抑えることができる超音波診断装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による超音波診断装置は,1回の超音波の送信に対して異なる複数の受信方向からの反射波を同時に受信し,この受信信号に基づいて画像を生成する超音波診断装置において,前記各受信方向の同一深度の信号強度の比較結果に基づいて送信方向または送信ビームの形状の少なくとも一つを変化させることを特徴とする。
【0010】本発明による他の超音波診断装置は,1回の超音波の送信に対して異なる複数の受信方向からの反射波を同時に受信し,この受信信号に基づいて画像を生成する超音波診断装置において,送信方向および前記受信方向を前後のフレーム間で相違させることを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明による超音波診断装置によれば,各受信方向の同一深度の信号強度の比較結果に基づいて送信方向または送信ビームの形状の少なくとも一つを変化させるので,同時受信する各受信方向の音場を均一化して各受信方向の同一深度の信号強度を一定にすることができ,その結果,同時受信する受信方向間の感度ムラを軽減することができる。
【0012】本発明による他の超音波診断装置によれば,送信方向および受信方向を前後のフレーム間で相違させるので,送受信方向の配置が前後のフレーム間で変化し,これによって前後のフレームの同一受信方向の受信強度が変化するので同時受信する受信方向間の感度ムラを軽減することができる。
【0013】
【実施例】以下,図面を参照して本発明による超音波診断装置の実施例を説明する。図1は第1実施例の構成を示すブロック図である。セクタ式電子走査型のプローブ1は,一次元に配列された複数の振動子1-1?1-Mからなる。なおプローブ1はセクタ式電子走査型に限定されず,例えばリニア電子走査型でもよい。パルス発生器2Aの出力は,送信遅延素子2B-1?2B-M,パルサ2C-1?2C-Mを順に介して振動子1-1?1-Mに供給される。各送信遅延素子2B-1?2B-Mおよび各パルサ2C-1?2C-Mは,振動子1-1?1-Mそれぞれに対応して設けられる。パルサ2C-1?2C-Mにはパルサ電圧制御回路2Dが接続される。パルサ電圧制御回路2Dの制御により,各振動子1-1?1-Mに与えるパルス電圧を変えることにより,開口幅あるいは各振動子の送信電圧ウエイティングを変えて,送信ビームの形状を変化させることができる。送信遅延素子2B-1?2B-Mには送信遅延制御回路2Eが接続される。送信遅延制御回路2Eの制御により,各送信遅延素子2B-1?2B-Mの遅延量を変えることにより,パルサ2C-1?2C-Mから各駆動振動子に与えるパルス電圧のタイミングを変え,これにより任意の方向に超音波ビームを送信することができる。
【0014】プローブ1の各振動子1-1?1-Mの出力信号は,各振動子1-1?1-Mにぞれぞれ対応して設けられたプリアンプ3A-1?3A-Mを介して,N系統設けられた受信遅延回路3B-1?3B-Nに供給され,各系統毎に異なる受信指向性が与えられる。受信遅延回路3B-1には,各プリアンプ3A-1?3A-Mにそれぞれ接続された複数の受信遅延素子3b-1?3b-Mが含まれる。他の受信遅延回路3B-2?3B-Nも,受信遅延回路3B-1と同様に,各プリアンプ3A-1?3A-Mにそれぞれ接続された複数の受信遅延素子が含まれる。受信遅延回路3B-1の出力には加算器3C-1が接続され,ここで各受信遅延素子3b-1?3b-Mの出力信号が加算されることにより,当該系統に予定された方向からの反射波の受信信号が形成される。他の受信遅延回路3B-2?3B-Nにもそれぞれ加算器3C-2?3C-Nが接続され,各系統間で異なる受信方向からの反射波の受信信号がそれぞれ形成される。
【0015】Bモード処理系4-1?4-Nおよびカラーフローマッピング(CFM)処理系5-1?5-NもN系統分設けられ,異なる方向のラスタの輝度情報および血流情報が並列処理にて計測される。図2はBモード処理系4-1の構成を示すブロック図である。なお,他のBモード処理系4-2?4-Nも同じ構成である。加算器3C-1の出力は対数増幅器4A,包絡線検波回路4B,アナログ/ディジタルコンバータ(A/D-C)4Cに順に供給され,これにより当該ラスタの多数のサンプリング点の強度が検出される。この強度は当該ラスタの輝度情報,すなわちBモード画像(断層像)情報としてディジタルスキャンコンバータ(DSC)6に供給される。
【0016】図3はカラーフローマッピング処理系5-1の構成を示すブロック図である。なお,他のカラーフローマッピング処理系5-2?5-Nも同じ構成である。カラーフローマッピング処理系5-1には,プローブ1に接近する血流方向とプローブ1から遠ざかる血流方向とを識別するために2チャンネルの位相検波回路5A-1,5A-2,ローパスフィルタ(L・P・F)5D-1,5D-2,アナログ/ディジタルコンバータ5E-1,5E-2,MTIフィルタ5F-1,5F-2が設けられる。加算器3C-1の出力は,位相検波回路5A-1で発振器5Bの出力と掛け合わされ,また位相検波回路5A-2で90°移相器5Cの出力と掛け合わされる。これによって各位相検波回路5A-1,5A-2の出力には,ドプラ偏位周波数成分と,高周波数成分(送信周波数の2倍+ドプラ偏位周波数)が含まれる。各高周波数成分は,ローパスフィルタ5D-1,5D-2で除去される。2チャンネルのローパスフィルタ5D-1,5D-2からの各出力は,それぞれドプラ偏位周波数のコサイン成分とサイン成分となる。ローパスフィルタ5D-1,5D-2からの各出力はアナログ/ディジタルコンバータ5E-1,5E-2を介して,カラードプラのためのMTI(Moving Target Indicator )フィルタ5F-1,5F-2に供給され,そこで固定反射体(血管壁,心臓壁等)からの不要な反射成分(クラッタ成分)が取り除かれる。MTIフィルタ5F-1,5F-2の出力は演算回路5Gに供給される。演算回路5Gには,図示しないが自己相関回路,平均速度演算回路,速度分散演算回路,パワー演算回路が含まれ,各演算回路で平均速度V,分散S,パワーPが計算される。平均速度V,分散S,パワーPはディジタルスキャンコンバータ6に供給される。また,パワーPは制御回路8に供給される。この実施例において,制御回路8は,カラーフローマッピング処理系5-1?5-Nから受信方向の異なる同時受信した各ラスタのパワーPを受取り,各ラスタの同じ深度のパワー間の比較結果に基づいて,送信遅延制御回路2Eを介して各送信遅延素子2B-1?2B-Mの遅延量を制御して送信方向を変え,またパルサ電圧制御回路2Dを介して駆動する振動子を選択して開口幅を変えることにより,同時受信するラスタ間の感度のムラを均一に修正する。この修正の詳細は後述する。
【0017】次にこの実施例の作用について説明する。本実施例では,1フレーム分の走査を繰り返し実行しながら,今回のフレームの走査における並列同時受信のラスタ間の感度ムラに基づいて,次回の並列同時受信におけるラスタ間の感度ムラを,送信方向と開口幅の2つの観点から修正する。なお,ここでは同時受信するラスタ本数は4本とする。この場合,上述した受信遅延回路,加算器,Bモード処理系,カラーフローマッピング処理系それぞれは4系統設けられる。また,今回のフレームのある一つの方向への送信は,全振動子1-1?1-Mの中から1-a?1-bまでの複数の振動子が選択的に駆動されるものとする。このときの開口幅は,選択された複数の振動子1-a?1-bの配列幅に一致する。
【0018】図4には,今回のフレームのある一つの送信方向(破線)と次回の送信方向(一点鎖線)が示されている。なお番号1?4は,4系統の各受信遅延回路3B-1,3B-4の異なる受信指向性による4本の各ラスタを示している。今回のフレームの走査において,パルス発生器2Aからのパルスは,送信遅延素子2B-1?2B-Mに送られる。送信遅延素子2B-1?2B-Mは,送信遅延制御回路2Eからの予定の方向に送信させるための遅延量に基づいて,各パルスに個別に遅延量を与える。この遅延量を与えられたパルスはパルサ2B-1?2B-Mに供給される。パルサ電圧制御回路2Dからの制御により,パルサ2B-a?2B-bからのみ駆動信号が出力され,予定された複数の振動子1-a?1-bだけが選択的に駆動される。これにより送信ビームが被検体に送信される。そして,被検体からの反射波が振動子1-1?1-Mにより受信される。各受信信号は,プリアンプ3A-1?3A-Mにを介して4系統の受信遅延回路3B-1?3B-4に供給され,ここで系統毎に異なる受信指向性を与えられ,加算器3C-1?3C-4で系統毎に加算される。各加算器3C-1?3C-4の出力は,それぞれ対応するBモード処理系4-1?4-4に送られ,そこで各ラスタ毎に多数のサンプリング点の強度が検出される。この強度は各ラスタの輝度情報,すなわちBモード画像(断層像)情報としてディジタルスキャンコンバータ6に供給される。また,各加算器3C-1?3C-4の出力はそれぞれ対応するカラーフローマッピング処理系5-1?5-4にも送られ,そこで各ラスタ毎に多数のサンプリング点の血流情報,つまり平均速度V,分散S,パワーPが計測される。このパワーPは,分散S及び平均速度Vと共にディジタルスキャンコンバータ6に供給されると共に,制御回路8にも供給される。
【0019】制御回路8は,図4に示すように,各ラスタの設定された一定の深度のサンプリング点Q1 ?Q4 のパワーPを抽出し,これらに基づいて送信方向及び開口幅の制御を行い,次回のフレームの同じ方向の並列同時受信によるラスタ間の感度ムラを軽減する。このパワーPを抽出する深度は,通常は,送信ビームのフォーカスと同じに設定されるが,オペレータが図示しない入力装置から入力した任意の深度であってもよい。各Q1 ?Q4 のパワーPをそれぞれP1 ?P4 とする。制御回路8は,予定された送信ビームから等距離にあるP1 とP4 ,P2 とP3を比較する。ここで,P1 >P4 ,P2 >P3 のとき,実際の送信ビームは,図4に破線で示すように,予定された方向(一点鎖線)に対してNo.1とN0.2のラスタ側に傾倒していると判断する。比較結果が逆のときは,もちろん送信ビームは,No.3とN0.4のラスタ側に傾倒していると判断する。制御回路8は,この傾倒している送信ビームが,次回の走査では,No.2とN0.3のラスタの中心を通るように今回の送信で駆動した各振動子1-a?1-bの各遅延量を変更させるために送信遅延制御回路2Eを制御する。例えば,予定された方向に対してNo.1とN0.2のラスタ側に傾倒しているときは,各振動子1-a?1-bの各遅延量は,図5の破線から,実線に修正される。この変更された遅延量にしたがって,次回の走査において振動子1-a?1-bが駆動されると,図4に一点鎖線で示したように送信ビームがNo.2とN0.3のラスタの中心を通るように修正される。したがって,送信ビームが傾倒していることに起因する並列同時受信のラスタ間の感度ムラが軽減される。
【0020】また,制御回路8は,予定された送信ビームから等距離にあるP1 とP4 ,P2 とP3 の比較結果に基づいて,次回の走査の開口幅を狭くして送信ビームの形状を今回のそれより拡散させるように変更することにより,送信ビームが並列同時受信の両端ラスタの拡がり角度に対して集束され過ぎて,各ラスタ間で音場強度に著しい差異が生じることに起因する並列同時受信のラスタ間の感度ムラを軽減する。このため,制御回路8は,パルサ電圧制御回路2Dを制御して,図6に示すように,次回の走査では,今回より少ないパルサ2C-a' ?2C-b' からだけ駆動信号を出力するように制限させる。このとき,次回,駆動信号を出力するパルサの数は,今回より減少するので,安全規格の範囲内で,各パルサ2C-a'?2C-b' からのパルス電圧を増加することにより超音波エネルギーの減少を防止し,これにより受信信号の強度の低下によるS/Nの劣化を防止することが望ましい。このように開口幅を狭くすることにより,図7に示すように,次回の送信ビームは拡散され,その等高線はTからT´に拡大する。これにより次回の走査では各ラスタ間の音場強度が接近しこれにより,並列同時受信のラスタ間の感度ムラが軽減される。
【0021】このように本実施例では,今回の走査による各ラスタの同じ深度のパワーPの比較に基づいて,次回の走査の送信方向を修正し,また送信ビームの開口幅を変更することにより,次回の走査における並列同時受信のラスタ間の音場強度を一定にしてそのラスタ間の感度ムラを軽減することができる。
【0022】なお本実施例は送信ビームから等距離にあるパワーP1 とP4 またはP2 とP3 の比較結果がある一定の範囲内に存するときは次回の走査の送信方向および開口幅の変更は行わないようにしてもよい。また,送信ビームを拡散させるために,駆動振動子を減少させて開口幅を狭くしているが,この開口幅によらず送信遅延制御により送信ビームを拡散させるようにしてもよい。また,駆動される各振動子へのパルス電圧を一定にし開口幅を変えていたが,この他に,例えば,各振動子毎に印加する電圧を変えて送信ビーム幅を変えてもよい。」

(1-エ)
図1には,DSC6から出る矢印の先にモニタ7が記載されている。
図1


上記(1-ア)?(1-エ)の記載と第1図を参照し,
上記(1-エ)よりDSC6に入力された信号は,モニタ7に表示されものといえること,
また,(1-イ)の「【0004】また,カラーフローマッピングの・・・この場合,ラスタの本数が一定の条件のもとでは,データ数の増加に伴って,フレームレートが減少し,リアルタイム性能が劣化するという問題が発生する。」と「リアルタイム性能」を有することを前提にした記載から,一定の時間間隔でフレーム走査が繰り返されるといえること,
また,(1-イ)に「【0006】並列同時受信法は,このような問題を解決するべく開発されたものであり」と記載され,(1-ウ)に「【0008】・・・目的は,1回の送信に対して複数方向の受信信号を同時受信して得た複数本のラスタ間の感度ムラを低減し,これにより画質の劣化を抑えることができる超音波診断装置を提供する」と記載されているように並列同時受信法を用いていることが前提であること,
また,(1-ウ)に「【0013】【実施例】以下,図面を参照して本発明による超音波診断装置の実施例を説明する。図1は第1実施例の構成を示すブロック図である。・・・【0017】次にこの実施例の作用について説明する。・・・なお,ここでは同時受信するラスタ本数は4本とする。」と第1実施例の作用の説明は,N本同時受信を説明のためにN=4としていることからすれば,上記刊行物1には,次の発明が記載されていると認められる。
「パルス発生器2Aからのパルスは,パルサ電圧制御回路2Dからの制御により,パルサ2B-a?2B-bから駆動信号が出力され,予定された複数の振動子1-a?1-bが駆動され,これにより送信ビームが被検体に送信され,
被検体からの反射波が振動子1-1?1-Mにより受信され,各受信信号は,プリアンプ3A-1?3A-Mを介してN系統の受信遅延回路3B-1?3B-Nに供給され,ここで系統毎に異なる受信指向性を与えられ,加算器3C-1?3C-Nで系統毎に加算され,各加算器3C-1?3C-Nの出力は,それぞれ対応するBモード処理系4-1?4-Nとカラーフローマッピング処理系5-1?5-Nに送られ,
制御回路8は,各ラスタの設定された一定の深度のサンプリング点Q1 ?QN のパワーPを抽出し,これらに基づいて送信方向及び開口幅の制御を行い,次回のフレームの同じ方向の並列同時受信によるラスタ間の感度ムラを軽減するため,次回の走査での,今回の送信で駆動した各振動子1-a?1-bの各遅延量を変更させるように制御し,
各Bモード処理系4-1?4-Nで各ラスタ毎に多数のサンプリング点の強度が検出され,この強度は各ラスタの輝度情報,すなわちBモード画像(断層像)情報としてディジタルスキャンコンバータ6に供給され,
各カラーフローマッピング処理系には,自己相関回路,平均速度演算回路,速度分散演算回路,パワー演算回路が含まれ,各演算回路で平均速度V,分散S,パワーPが計算され,平均速度V,分散S,パワーPは血流情報としてディジタルスキャンコンバータ6に供給され,
ディジタルスキャンコンバータ6に供給された情報をモニタ7に表示する一連の並列同時受信法を用いた1フレーム分の走査工程を一定の時間間隔で繰り返すカラーフローマッピング方法。」

3 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「カラーフローマッピング方法」は,Bモード画像(断層像)に血流の平均速度V等の血流情報からなる画像を重畳表示する血流画像イメージング方法であることは技術常識であるから,同じBモード画像(断層像)に血流画像として「フローパラメータ画像」を重畳表示する方法である補正発明の「超音波フローパラメータイメージングのための方法」とは,「超音波血流画像イメージングのための方法」の点で共通する。

イ 引用発明の「複数の振動子1-a?1-b」が,補正発明の「トランスデューサアレイ」に相当することは明らかである。
また,引用発明は「パルス発生器2Aからのパルスは,パルサ電圧制御回路2Dからの制御により,パルサ2B-a?2B-bから駆動信号が出力され,予定された複数の振動子1-a?1-bが駆動され,これにより送信ビームが被検体に送信され,・・・一連の並列同時受信法を用いた1フレーム分の走査工程を一定の時間間隔で繰り返」すものであるので,パルスの送受信を一定の時間間隔で繰り返すから,パルス繰り返し周波数を有しており,また,並列同時受信法の「送信ビーム」は,空間に複数本並んでいる受信ビームを作成するために空間的に発散するので「空間的に発散する超音波送信ビーム」といえる。
そうすると引用発明の「パルス発生器2Aからのパルスは,パルサ電圧制御回路2Dからの制御により,パルサ2B-a?2B-bから駆動信号が出力され,予定された複数の振動子1-a?1-bが駆動され,これにより送信ビームが被検体に送信され」「一連の並列同時受信法を用いた1フレーム分の走査工程を一定の時間間隔で繰り返」すことが,補正発明の「空間的に発散する超音波送信ビームの時間制御されたシーケンスをパルス繰り返し周波数でトランスデューサアレイから身体内の関心領域に送信する段階」に相当する。

ウ 引用発明の「被検体からの反射波が振動子1-1?1-Mにより受信され,各受信信号」を得る段階は,「各受信信号」が「電気信号」として捕らえられることは技術常識であるから,補正発明の「前記アレイに戻る超音波エネルギを電気信号に変換する段階」に相当する。

エ 引用発明の「各受信信号は,プリアンプ3A-1?3A-Mを介してN系統の受信遅延回路3B-1?3B-Nに供給され,ここで系統毎に異なる受信指向性を与えられ,加算器3C-1?3C-Nで系統毎に加算され」ることは,N本のラスタを同時に作成することであり,この受信信号は送信に基づくものであるので,補正発明の「前記電気信号をビーム形成して,各送信に続く関心領域のそれぞれの空間的位置を通る複数のラインから成る受信ビームのセットを同時に形成する段階」に相当する。
また,引用発明は「1フレーム分の走査工程を一定の時間間隔で繰り返」すことから,関心領域の同じ位置を通るラインが複数(それぞれ)あることは明らかであるから,
引用発明の「各受信信号は,プリアンプ3A-1?3A-Mを介してN系統の受信遅延回路3B-1?3B-Nに供給され,ここで系統毎に異なる受信指向性を与えられ,加算器3C-1?3C-Nで系統毎に加算され」「1フレーム分の走査工程を一定の時間間隔で繰り返」す段階は,補正発明の「前記電気信号をビーム形成して,各送信に続く関心領域のそれぞれの空間的位置を通る複数のラインから成る受信ビームの「それぞれの」セットを同時に形成する段階」に相当する。

オ 引用発明の「各カラーフローマッピング処理系には,自己相関回路,平均速度演算回路,速度分散演算回路,パワー演算回路が含まれ,各演算回路で平均速度V,分散S,パワーPが計算され」る段階は,補正発明の「各受信ビームについてそれぞれの平均速度値を計算する段階」に相当する。

カ 引用発明の「各加算器3C-1?3C-Nの出力は,それぞれ対応する」「カラーフローマッピング処理系5-1?5-Nに送られ」,「各カラーフローマッピング処理系には,自己相関回路,平均速度演算回路,速度分散演算回路,パワー演算回路が含まれ,各演算回路で平均速度V,分散S,パワーPが計算され,平均速度V,分散S,パワーPは血流情報としてディジタルスキャンコンバータ6に供給され,
ディジタルスキャンコンバータ6に供給された情報をモニタ7に表示する」画像は,身体内の空間的関係である断層の各点の計算された血流情報に対するそれぞれの視覚値を表示する血流画像である。
してみれば,引用発明の「各加算器3C-1?3C-Nの出力は,それぞれ対応する」「カラーフローマッピング処理系5-1?5-Nに送られ」,「各カラーフローマッピング処理系には,自己相関回路,平均速度演算回路,速度分散演算回路,パワー演算回路が含まれ,各演算回路で平均速度V,分散S,パワーPが計算され,平均速度V,分散S,パワーPは血流情報としてディジタルスキャンコンバータ6に供給され,
ディジタルスキャンコンバータ6に供給された情報をモニタ7に表示する」段階と,
補正発明の「各受信ビームについて,前記平均速度値のそれぞれのセットから計算される所与のフローパラメータのそれぞれの値を計算する段階と,前記身体内の空間的位置の空間関係にほぼ相当する空間的関係における各計算されたフローパラメータ値に対するそれぞれの視覚値を表示し,これによりそれぞれのフローパラメータ画像を形成する段階」とは,
「前記身体内の空間的位置の空間関係にほぼ相当する空間的関係における各計算された血流値に対するそれぞれの視覚値を表示し,これによりそれぞれの血流画像を形成する段階」の点で共通する。

そうすると,両者は,
(一致点)
「超音波血流画像イメージングのための方法であって,
空間的に発散する超音波送信ビームの時間制御されたシーケンスをパルス繰り返し周波数でトランスデューサアレイから身体内の関心領域に送信する段階と,
前記アレイに戻る超音波エネルギを電気信号に変換する段階と,
前記電気信号をビーム形成して,各送信に続く関心領域のそれぞれの空間的位置を通る複数のラインから成る受信ビームのそれぞれのセットを同時に形成する段階と,
各受信ビームについてそれぞれの平均速度値を計算する段階と,
前記身体内の空間的位置の空間関係にほぼ相当する空間的関係における各計算された血流値に対するそれぞれの視覚値を表示し,これによりそれぞれの血流画像を形成する段階と,
を含む,
方法。」である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(相違点1)
超音波送信ビームに関して,補正発明が,「全関心領域をカバー」するもので,「前記送信する段階が,複数の異なる方向に送信されるパルスからなる複数の異なるアンサンブルを送信し,
前記複数の異なるアンサンブルの内の第1のアンサンブルの第1パルス及び第2のパルスの収集の間に,前記複数の異なるアンサンブルの内の第2のアンサンブルの第1パルスの収集が行われる」ものと特定しているのに対して,引用発明はそのような特定をしていない点。

(相違点2)
血流画像の血流値について,補正発明が「各受信ビームについて,前記平均速度値のそれぞれのセットから計算される所与のフローパラメータのそれぞれの値を計算する段階を備え,その計算されるフローパラメータ」であるのに対して,引用発明が,「平均速度V,分散S,パワーP」のいずれかである点

(相違点3)
「超音波血流画像イメージングのための方法」とその「血流画像」について,補正発明では「超音波フローパラメータイメージングのための方法」と「フローパラメータ画像」であるのに対して,引用発明では「カラーフローマッピング方法」と「血流の平均速度V等の血流情報からなる画像」である点。

(1)相違点1についての検討
一般に,並列同時受信を用いた超音波走査において同時受信する領域が,関心領域の全てであり,「関心領域の全てをカバー」するものであるから,引用発明においても補正発明同様に,同時受信する領域は「全関心領域をカバー」するものといえる。
そうすると,超音波送信ビームに関して,「全関心領域をカバー」する点は実質的な相違点ではない。
また,並列同時受信を用いた超音波走査において,同時受信できる角度範囲よりも大きな角度範囲の関心領域を対象とする場合に,全関心領域の超音波走査を複数の異なる方向に分けて行うことは周知(以下,「周知技術1」という)である(例えば特開平10-118068号公報の図6(b)参照。)。
そして引用発明でも,同時受信できる角度範囲よりも大きな角度範囲の全関心領域を対象とする場合があることは,関心領域の角度範囲が,患部の大きさに応じて変化するものであるから,当然予想できることであるので,その場合に,全関心領域の超音波走査を複数の異なる方向に分けて行う上記周知技術1を用いることは当業者が容易に想到するものといえる。
さらに,引用発明でも,摘記(1-イ)に「【0005】このようにパルス数の制限は,空間分解能と時間分解能のいずれの性能を優先するかの選択を迫り,またカラーフローマッピングの場合,計測精度とリアルタイム性能のいずれの性能を優先するか選択を迫る。」との記載を参照すると,計測精度とリアルタイム性能のいずれの向上も課題としている。
そして,リアルタイム性能の向上のために,一つの方向の超音波の複数の送受信の間に他の方向の異なる超音波の送受信を行うことは周知(以下,「周知技術2」という)である(例えば,特開2002-224114号公報には「【請求項21】 被検体に超音波パルスを送信して当該被検体の所望断面をスキャンする超音波診断装置において,前記断面に沿った第1の方向に超音波パルスを複数回送信させながら当該送信毎に第1の受信信号を得る走査を当該第1の方向を移動させて繰り返す第1のスキャンと,前記第1の方向とは異なる前記断面に沿った第2の方向に前記超音波パルスを複数回送信させながら当該送信毎に第2の受信信号を得る走査を当該第2の方向を移動させて繰り返す第2のスキャンとを実質的に並行して行うスキャン手段を備え,
前記第1のスキャンに拠る前記第1の方向への前記超音波パルスの送信と前記第2のスキャンに拠る前記第2の方向への前記超音波パルスの送信との時間差を,前記超音波パルスに拠る1本の走査線のスキャンに要する時間から,1フレーム分の複数の走査線よりも1本少ない複数の走査線のスキャンに要する時間までの間の所望時間差に設定したことを特徴とする超音波診断装置。・・・【0019】本発明は,・・・血流の拍動性を表す情報を簡便に且つ精度良く描出でき,これにより,操作者に血管の種別を確実に判別させることが可能な超音波診断装置を提供する。」(下線は,当審で付与した。)と記載されており,当該記載は第1のスキャンと第2のスキャンとを実質的に並行して行うスキャン手段を有し,第1のスキャン(第1のアンサンブル)に拠る前記第1の方向への前記超音波パルス(第1パルス)の送信と第2のスキャン(第2のアンサンブル)に拠る前記第2の方向への前記超音波パルス(第2パルス)の送信との時間差を超音波パルスに拠る1本の走査線のスキャンに要する時間とするものを含む周知技術2といえる。)
してみると,引用発明に上記周知技術1を適用するに当たり,上記周知技術2を採用して,相違点1に記載の補正発明の構成を採用することは十分動機付けがあり,阻害要因もなく当業者が容易に想到するものといえる。

(2)相違点2,3についての検討
補正発明でのフローパラメータについては,本願明細書に「【0036】・・・フローパラメータの全て(ピーク速度,抵抗指数及び拍動指数など)を関心領域全体について求めることができる。・・・【0047】 拍動指数(PI)・・・【0048】 抵抗指数(RI)・・・」と記載されていることからすると,少なくともピーク速度,抵抗指数(RI),拍動指数(PI)は,いずれもフローパラメータを意味しているものと解される。
さらに,断層像を得ると共に,ドップラ法を用いて平均速度値のそれぞれのセットから計算される所与のフローパラメータを計算し表示することは周知(以下,「周知技術3」という)である(例えば,特開2003-284718号公報には「【0002】【従来の技術】従来,超音波パルス反射法と超音波ドプラ法を併用し,1つの超音波プローブを用いた超音波走査により診断部位の断層像とその血流情報を得ると共に,少なくともその血流情報をリアルタイム表示する超音波ドプラ診断装置が知られている。・・・【0003】上記の超音波ドプラ診断装置では,・・・診断で用いる項目(パラメータ)の計測処理が行なわれる。【0004】すなわち,この計測処理によれば,・・・ドプラ周波数のスペクトラム画像上で,その周波数f軸方向の周波数分布内での最大周波数に対応する最大流速Vp(Vpeak)及び平均周波数に対応する平均流速Vm(Vmean)の位置を求め・・・PI(Pulsatility Index),及びRI(Resistance Index)等の診断に関する各種パラメータ(指標)を計測しその計測値を表示する処理(パラメータ計測処理)が実行される。」と記載されている。また,上記特開平10-118068号公報には「【0035】・・・この最高速度f_(MAX) の時間変化を生成するようにしてもよい。この場合でも,“平均速度”を使っている」と記載されている。
また,診断のための血流情報として,抵抗指数,拍動指数,及び最大流速Vp(Vpeak)が有用であることは明らかである。
してみると,引用発明に上記周知技術3を採用して,血流値について「各受信ビームについて,前記平均速度値のそれぞれのセットから計算される所与のフローパラメータのそれぞれの値を計算する段階を備え,その計算されるフローパラメータ」とし,それにともない「超音波血流画像イメージングのための方法」とその「血流画像」を,「超音波フローパラメータイメージングのための方法」と「フローパラメータ画像」とし,相違点2,3に記載の補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到するものといえる。

(3)そして,補正発明の作用効果は,刊行物1記載の事項および周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

(4)したがって,補正発明は,引用発明および周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されることとなるので,本願の請求項1?10に係る発明は,平成23年6月9日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明は,次のとおりであると認める。
「 【請求項1】
超音波フローパラメータイメージングのための方法であって,
空間的に発散する超音波送信ビームの時間制御されたシーケンスをパルス繰り返し周波数でトランスデューサアレイから身体内の関心領域に送信する段階と,
前記アレイに戻る超音波エネルギを電気信号に変換する段階と,
前記電気信号をビーム形成して,各送信に続く関心領域のそれぞれの空間的位置を通る複数のラインから成る受信ビームのそれぞれのセットを同時に形成する段階と,
各受信ビームについてそれぞれの平均速度値を計算する段階と,
各受信ビームについて,前記平均速度値のそれぞれのセットから計算される所与のフローパラメータのそれぞれの値を計算する段階と,
前記身体内の空間的位置の空間関係にほぼ相当する空間的関係における各計算されたフローパラメータ値に対するそれぞれの視覚値を表示し,これによりそれぞれのフローパラメータ画像を形成する段階と,
を含み,
前記送信する段階が,複数の異なる方向に送信されるパルスからなる複数の異なるアンサンブルを送信し,
前記複数の異なるアンサンブルの内の第1のアンサンブルの第1パルス及び第2のパルスの収集の間に,前記複数の異なるアンサンブルの内の第2のアンサンブルの第1パルスの収集が行われる,
方法。」(以下,請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

2 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布された刊行物1およびその記載事項は,上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 当審の判断
本願発明は,補正発明の「全関心領域をカバーし,空間的に発散する超音波送信ビーム」について,「空間的に発散する超音波送信ビーム」と「超音波送信ビーム」のカバー範囲について限定を省いたものに相当する。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含む補正発明が,上記「第2 3」において検討したとおり,引用発明および周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明および周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

第4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その他の請求項について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-09-30 
結審通知日 2014-10-07 
審決日 2014-10-24 
出願番号 特願2004-366141(P2004-366141)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 樋口 宗彦  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 三崎 仁
信田 昌男
発明の名称 フローパラメータイメージングのための方法及び装置  
代理人 小倉 博  
代理人 田中 拓人  
代理人 荒川 聡志  
代理人 黒川 俊久  

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