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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01S
管理番号 1298595
審判番号 不服2013-17962  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-17 
確定日 2015-03-11 
事件の表示 特願2010-510780「ナビゲーションレシーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月11日国際公開、WO2008/148794、平成22年12月 9日国内公表、特表2010-538243〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年6月4日(パリ条約による優先権主張 2007年6月8日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年2月28日付けで拒絶理由が通知され、平成24年9月6日付けで手続補正がなされたが、平成25年5月8日付けで拒絶査定がなされ(送達日:平成25年5月14日)、これに対し、平成25年9月17日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成25年9月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年9月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正前及び本件補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲についてするもので、本件補正後の請求項4は、本件補正前の請求項5に対応する請求項である。
そして、本件補正は、本件補正前の請求項5に、新たに「前記導出された第2の高度を、前記第1の高度を用いて、調整された第2の高度にするために調整することと、」との発明特定事項を付加し、本件補正前の請求項5に「ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記第2の高度とを組み合わせることとを具備し、」とあったところを、「ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記調整された第2の高度とを組み合わせることとを具備し、」と補正するとともに、本件補正前の請求項5に「前記第2の高度をハイパスフィルタリングすることと、」とあったところを、「前記調整された第2の高度をハイパスフィルタリングすることと、」と補正するものである。
よって、本件補正は、本件補正後の請求項4については、特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項4に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際、独立して特許を受けることができたか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)を以下に検討する。

本願補正発明は、本件補正後の請求項4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「 【請求項4】
GNSS測定を受信することと、
前記GNSS測定から第1の高度を導出することと、
前記GNSS測定がなされた時間における圧力センサから第2の高度を導出することと、
前記導出された第2の高度を、前記第1の高度を用いて、調整された第2の高度にするために調整することと、
ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記調整された第2の高度とを組み合わせることとを具備し、
前記組み合わせることは、
前記第1の高度をローパスフィルタリングすることと、
前記調整された第2の高度をハイパスフィルタリングすることと、
前記ハイパスフィルタリング及び前記ローパスフィルタリングからの結果を合計することとを含むGNSSポジショニングの改良のための方法。」

2.引用例
(引用例1)
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願のパリ条約による優先権主張の基礎となる出願の出願日前(以下、「優先日前」という。)に頒布された刊行物である、米国特許第5646857号明細書(発行日:1997年7月8日)(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている(下線は当審にて付与したものである。)。
(ア)「DESCRIPTION OF BEST MODE OF THE INVENTION
In FIG. 1, a surveyor, navigator or other human or non-human user 11 of a location determination system carries a Satellite Positioning System (SATPS) location determination module 13 that includes an SATPS signal antenna 15 and associated SATPS signal receiver/processor 17 that receive and process SATPS signals from three or more SATPS satellites 19, 21, 23, 25. The SATPS may be a Global Positioning System (GPS), a Global Orbiting Navigation Satellite System (GLONASS), both discussed below, or a similar satellite-based location determination system. For convenient reference, the location determination system used here will be referred to as a GPS, but the invention covers use of other SATPSs as well.」(第8欄第42?56行)(当審訳:発明の最良の形態の説明
図1では、測量技師、ナビゲータあるいは位置決定システムの他の人間か、あるいは人間でないユーザ11が、3つあるいはそれ以上のSATPS 衛星19, 21, 23, 25からのSATPS 信号を受信して処理する、SATPS 信号アンテナ15とSATPS 信号受信機/ プロセッサ17を含む、衛星測位システム(SATPS)位置決定モジュール13を運んでいます。SATPS は、以下に論じられる、全地球測位システム(GPS)、全地球航法衛星システム(GLONASS)あるいは類似の人工衛星ベースの位置決定システムであるかもしれません。言及に便利なように、ここで使用される位置決定システムはGPSと呼ばれるでしょうが、しかし、この発明は同様に他の SATPS の使用をカバーします。 )

(イ)「The user 11 in FIG. 1 also carries an altimeter, barometer or other altitude-sensing device 27 that communicates with the GPS receiver/processor 17.」(第9欄第50?52行)(当審訳:図1のユーザ11は、同じく、GPS受信機 / プロセッサ17と通信する、高度計、気圧計あるいは他の高度を感知する装置27を運んでいます。 )

(ウ)「Assume that the altitude sensor 27 supplies the sensor altitude with respect to the mean-sea-level (MSL) surface 35 shown in FIGS. 2A and 2B. The coordinate frame is arbitrary, because a transformation from any other coordinate frame can always be performed to obtain the altitude relative to MSL.The altitude sensor 27 can provide continuous or discrete measurements. Without loss of generality, the altitude measurement is assumed to be available from the sensor at some minimum rate f_(a) with the corresponding period T_(a) =1/f_(a), which produces altitude estimates at about the same rate and time epoch as for the GPS measurements. Thus, the altitude sensor 27 provides an independent estimate of the altitude at each of a sequence of measurement time t=t_(k) (t_(0) z_(alt)(t_(k))=A(t_(k))+B(t_(k))+Q(t_(k))
where A(t_(k)) is the true altitude at time t_(k), referenced to the MSL surface, B(t_(k)) is the bias-like sensor measurement error at time t_(k), and Q(t_(k)) is sensor noise error. Ideally, the errors B(t_(k)) and Q(t_(k)) would be zero, and the altitude sensor 27 would contribute no error to the altitude estimate.
Thus, the altitude sensor error generally contains two error components. The dominant error component B(t_(k)) is generally a bias-like error, having a long time constant and changing very slowly. For example, many altimeters use barometric pressure to estimate altitude. The changing weather conditions would cause the bias-like error to change over the course of a day or over different regions of high or low pressure. The second error component Q(t_(k) ) has a short time constant and is due to Gaussian measurement noise error and quantization error that can occur, for example, when the sensor output is converted to the digital domain via an analog-to-digital (A/D) converter.
For the measurement to be useful, one must calibrate the sensor 27 by estimating the mean of the sensor error B(t_(k)). This is generally done by forming the difference between the sensor altitude and an altitude generated by an independent measurement, such as a measurement by GPS or another location determination system. The estimate of the bias error is then removed from the altimeter output value to produce a calibrated altimeter value.」(第10欄第10?51行)(当審訳:高度センサ27は、図2A及び2Bに示されているように、平均海面レベル(MSL)表面35に対するセンサ高度を供給すると想定してください。座標フレームは任意です。なぜなら、MSLに対する相対的な高度を得るために、他のいかなる座標フレームからの変換はいつでも実行できますから。高度センサ27は、連続的な、または離散的な測定を提供することができます。一般性を失うことなしに、GPS測定に対する時間レートと時間エポックとにほぼ等しい、期間T_(a)=1/f_(a)に対応するある最小レートf_(a)で、高度の推定を提供するセンサからの高度測定を利用できると考えられます。よって、高度センサ27は、一連の測定時間のt=t_(k)(t_(0)<t_(1)<t_(2)<・・・)の各々において、独立した高度の推定を提供します。一般に、高度センサ27による高度測定z_(alt)は、本当の高度に1つ以上の誤差項を加えた総和でありましょう。
z_(alt)(t_(k))=A(t_(k))+B(t_(k))+Q(t_(k))
ここで、A(t_(k))は時間t_(k)における、MSL表面に対する本当の高度、B(t_(k))は時間t_(k)における、バイアスと同様なセンサ測定誤差、そしてQ(t_(k))はセンサ雑音誤差です。理想的には、B(t_(k))及びQ(t_(k))は零であり、そして高度センサ27は、高度推定に関して誤差を全く与えないでしょう。
このように、高度センサの誤差は、一般的に、2つの誤差成分を含んでいます。支配的な誤差成分B(t_(k))は一般的に、長い時定数を有し、非常にゆっくり変化する、バイアスと同様な誤差です。たとえば、多くの高度計は高度を推定するのに気圧計の圧力を使用しています。天気状況の変化は、一日の間に、または高気圧または低気圧の異なる領域で、バイアスと同様な誤差の変化を引き起こすでしょう。第2の誤差成分Q(t_(k))は、短い時定数で、ガウス測定雑音誤差と、たとえばセンサ出力がA/D変換器を経由してデジタル領域に変換される時に生じる量子化誤差に起因します。
測定が有用であるためには、センサ誤差B(t_(k))の平均値を推定することにより、センサ27を較正しなければなりません。このことは、一般に、センサ高度と、GPSまたは別の位置決定システムのような、独立した測定によって生成される高度との差を形成することによってなされます。そのバイアス誤差の推定は、較正された高度値を生成するために、高度計の出力値から取り除かれます。)

(エ)「These last two techniques provide excellent methods of measuring relative altitude changes, because the altitude sensor accurately senses relative altitudes or altitude differences.」(第11欄第54?57行)(当審訳:最後の2つの技術は、相対的な高度の変化を測定する優れた方法を提供します。なぜなら、高度センサは、正確に、相対高度または高度差を感知するからです。)

(オ)「Some approaches are presented here that illustrate techniques that can be used to calibrate an altitude sensor. In a first technique, only a single measurement is used for a single calibration of the sensor 27. In this instance, the reference altitude may be the last three-dimensional, GPS-determined altitude, or may be a user-supplied altitude, such as a trailhead altitude value. The estimate of the altitude sensor error is then the difference between the altitude sensor measurement and the reference altitude. This estimated error is subtracted from the altitude sensor output value in subsequent altitude sensor measurements to generate a compensated altitude measurement used for surveying or navigation.
In a second technique, a sequence of GPS-determined altitude estimates is used to calibrate the sensor 27. In this situation, the user 11 recognizes that most of the errors in the sensor-determined altitude and in the GPS-determined altitude have zero mean random components that can be reduced through signal averaging or filtering. Thus, the difference, or residual, between the sensor-measured altitude value and the GPS-determined altitude is formed and is blended with the previous estimate of the altitude sensor bias B(t_(n)), using a selected scalar blending factor.
This technique is general and includes all scalar Kalman filters and fixed gain filters that reduce to a first order low-pass filter.」(第12欄第4?29行)(当審訳:高度センサを較正するのに用いることが可能な技術を説明するいくつかの方策がここで提示されます。第1の技術では、そのセンサ27の単一の較正に、単一の測定だけが用いられます。この例において、参照高度は、前回の3次元の、GPSによって決定された高度、または、道の入口の高度値のような、ユーザが供した高度かも知れません。高度センサ誤差の推定は、高度センサ測定と参照高度との間の差です。この推定された誤差は、測量またはナビゲーションに用いられる補償された高度測定を生成するために、それ以降の高度センサ測定において高度センサ出力から引かれます。
第2の技術では、GPSによって決定された一連の高度推定が、センサ27を較正するのに用いられます。この状況において、ユーザ11は、センサによって決定された高度および、GPSによって決定された高度における誤差の大部分が、信号の平均化またはフィルタリングを介して減少させることができる、平均零のランダム成分を有していることを理解しています。それで、センサ測定高度値とGPSによって決定された高度との相違、あるいは残差が形成され、選択されたスカラー混合因子を用いて、先に推定された高度センサバイアスB(t_(n))と混合されます。
この技術は、一般的であって、1次のローパス・フィルタに還元される、全スカラー・カルマンフィルタおよび固定ゲインフィルタを含みます。)

(カ)「w(gps)=c_(1)(σ_(gps)(t_(k))^(q)/[c_(2)(σ_(alt)(t))^(p)+σ_(gps)(t))^(q)] (21)
=1-w(altimeter), (t≧t_(k))
Aest(t)=w(gps)z_(gps)(t)+(1-w(gps))z_(alt)(t) (22)」(第14欄第7?8行)

(キ)「The altitude sensor reading A can be calibrated by several different approaches. First, the GPS signals (only) can be filtered. Second, the latest GPS altitude coordinate can be used, for relative calibration only. Third, the GPS-supplied altitude and the sensor-supplied altitude can be combined in a linear combination using (1) fuzzy logic or (2) Kalman filtering techniques or (3) weighting coefficients that depend only on estimates of the respective statistical inaccuracies of the individual altitude estimates, as done in Eqs. (21) and (22). Fourth, if an independent estimate of altitude is available, for example, from a local signpost or a weather radio broadcast, this estimate can be used to provide a trailhead altitude value to determine the GPS-determined altitude error or the altitude sensor error.」(第18欄第26?39行)(当審訳:その高度センサの示値Aは、複数の異なった方策によって較正することができます。第1に、GPS信号(だけ)をフィルタすることができます。第2に、相対的な較正だけについては、最新のGPS高度座標を使用することができます。第3に、GPSによって供給された高度と、センサによって供給された高度とを、(1)ファジー論理、または(2)カルマンフィルタ技術、又は(3)等式(21)及び(22)においてなされるように、独立した高度推定それぞれの統計的な不正確さの推定のみに依存した重み付け係数、を用いた線形結合として組み合わせることができます。第4に、もし、例えばローカルな道標あるいは天気ラジオ放送から、高度の独立した推定が利用可能であるなら、この推定はGPSによって決定された高度誤差あるいは高度センサ誤差を決定するために、道の入口の高度値を提供するために使用することができます。)

(ク)「23. A method for determination of location coordinates of a selected position on or adjacent to the Earth's surface with improved accuracy, the method comprising the steps of:
using a Global Positioning System (GPS) to determine the location coordinates (x_(gps), y_(gps), z_(GPS)) of a selected location on or adjacent the Earth's surface, for GPS signals received from a group of GPS satellites numbered i=1, 2, . . . , N (N≧3), where the coordinate z_(gps) =z_(gps) (t) is an estimate of the true elevation or vertical coordinate A(t) of the selected location relative to a fixed vertical location at a selected time t;
providing an altimeter having an altimeter reading z_(alt) (t) that is an estimate of the elevation coordinate A(t) of the selected location relative to the fixed vertical location at a selected time t;
computing statistically determined estimates σ_(gps) (t) and σ_(alt) (t) of the standard deviations of the variables z_(gps) (t) and z_(alt) (t), respectively, for at least one selected time t; and
defining the elevation coordinate A(t) of the selected location to be a linear combination of the values z_(gps) (t) and z_(alt) (t), defined by
z(t)=K_(1)z_(gps)(t)+K_(2)z_(alt)(t),
K_(1)=c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)/[c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)+c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)],
K_(2)=c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)/[c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)+c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)]=1-K_(1) ,
where C_(1), C_(2), p and q are selected positive constants.」(第33欄第3行?第34欄第11行)(当審訳:請求項 23
改善された正確さで地球表面上の、またはこれに隣接した選択された地点の位置座標を決定する方法であって、前記方法は、次のステップからなる;
番号i=1,2,...,N(N≧3)と番号付けられたGPS衛星のグループから受信された信号に対して、地球表面上の、またはこれと隣接した選択された地点の位置座標(x_(gps),y_(gps),z_(gps))を決定するために、全地球測位システム(GPS)を用いること、ここで座標z_(gps)=z_(gps)(t)は、選択された時刻tにおける、本当の海抜、または固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な垂直座標A(t)の推定であり、
選択された時刻tにおける、固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な海抜座標A(t)の推定である高度計示値z_(alt)(t)を有する高度計を提供すること、
少なくとも1つの選択された時刻tに対し、変数z_(gps)(t)とz_(alt)(t)それぞれの標準偏差σ_(gps)(t)とσ_(alt)(t)の統計的に決定される推定を計算すること、
および、
選択された地点の海抜座標A(t)を、z_(gps)(t)とz_(alt)(t)との線形結合
z(t)=K_(1)z_(gps)(t)+K_(2)z_(alt)(t),
K_(1)=c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)/[c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)+c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)],
K_(2)=c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)/[c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)+c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)]=1-K_(1) ,
ここで、C_(1),C_(2),pおよびqは、選択された正の定数
として定義すること。)

上記(ア)?(ク)(特に、下線を付した記載箇所)及び図面の記載を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「高度センサの示値Aを、独立した高度推定それぞれの統計的な不正確さの推定のみに依存した重み付け係数を用いた線形結合として組み合わせることによって較正し、改善された正確さで地球表面上の、またはこれに隣接した選択された地点の位置座標を決定する方法であって、
GPS受信機 / プロセッサ17、及びこれと通信する高度計27とを備え、高度計27は高度を推定するのに気圧計の圧力を使用しており、
GPS衛星のグループから受信された信号に対して、地球表面上の、またはこれと隣接した選択された地点の位置座標(x_(gps),y_(gps),z_(gps))を決定するために、全地球測位システム(GPS)を用い、ここで座標z_(gps)=z_(gps)(t)は、選択された時刻tにおける、本当の海抜、または固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な垂直座標A(t)の推定であり、
選択された時刻tにおける、固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な海抜座標A(t)の推定である高度計示値z_(alt)(t)を有する高度計を提供し、高度計27は、平均海面レベル(MSL)表面35に対するセンサ高度を供給し、
高度計27は、GPS測定に対する時間レートと時間エポックとにほぼ等しい、期間T_(a)=1/f_(a)に対応するある最小レートf_(a)で、高度の推定を提供するセンサからの高度測定を利用でき、よって、高度計27は、一連の測定時間t=t_(k)(t_(0)<t_(1)<t_(2)<・・・)の各々において、独立した高度の推定を提供し、
少なくとも1つの選択された時刻tに対し、変数z_(gps)(t)とz_(alt)(t)それぞれの標準偏差σ_(gps)(t)とσ_(alt)(t)の統計的に決定される推定を計算すること、
および、
選択された地点の海抜座標A(t)を、z_(gps)(t)とz_(alt)(t)との線形結合
z(t)=K_(1)z_(gps)(t)+K_(2)z_(alt)(t),
K_(1)=c_(1)(σ_(GPS)(t))^(p)/[c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)+c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)],
K_(2)=c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)/[c_(1)(σ_(gps)(t))^(p)+c_(2)(σ_(alt)(t))^(q)]=1-K_(1) ,
ここで、C_(1),C_(2),pおよびqは、選択された正の定数
として定義することからなる、方法。」

(引用例2)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、米国特許第6216064号明細書(発行日:2001年4月10日)(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている(下線は当審にて付与したものである。)。
(ケ)「A local temperature measurement can be used to further refine the corrected pressure altitude. The altitude based on the hydrostatic equation can be further supplemented with an altitude measurement from a secondary source, such as a global positioning unit or a radio altimeter.」(第3欄第30?35行)(当審訳:ローカルな温度測定が、修正された圧力高度をさらに精密にするのに用いられます。静力学方程式を基礎とした高度は、さらに、全地球測位ユニットまたは電波高度計のような第2の源からの高度測定を用いて補足することができます。)

(コ)「Calibration of Hydrostatic Altitude with GPS Altitude
As described in the hydrostatic altitude section, hydrostatic altitude errors accumulate as a function of time, distance and altitude changes. Because of this accumulation of errors, it is desirable to re-calibrate hydrostatic altitude occasionally. Likewise, if another source of altitude estimation is used instead of, or complementary to, the pressure altitude, the source of errors in that source should be considered as well. GPS altitude can be used to do this. See FIG. 5 and FIGS. 6A through 6D for the block diagram 133. Re-calibration of hydrostatic altitude is accomplished with a complementary filter 135. Whenever the estimated GPS altitude accuracy is less than the current estimated geometric altitude accuracy the complementary filter is allowed to track. During tracking the transfer function is as follows:

where:
GPSHge=GPS calibrated hydrostatic altitude
Hgps=GPS Altitude
Hge=Hydrostatic Altitude
Tau=Filter time constant which is discussed below
S=Laplace operator.」(第9欄第45行?第10欄第6行)(当審訳:GPS高度を用いた静力学高度の較正
静力学高度のセクションで記述したように、静力学高度誤差は時間、距離そして高度変化の関数として蓄積されます。この誤差の蓄積により、時々、静力学高度を再較正することが望ましい。同様に、もし、圧力高度の代わりに、あるとはこれと相補的に、別の高度推定源が使用されるなら、その源の誤差源も同様に考慮すべきです。GPS高度は、このために使用できます。ブロックダイヤグラム133に対して図5、6Aから6Dを参照してください。静力学高度の再較正は相補フィルタ135によって達成されます。推定されたGPS高度が、現在推定された、地形高度の正確性より小さいときはいつでも、相補フィルタは追跡することができます。追跡の間、伝達関数はつぎのとおりです。
(等式5省略)
ここで:
GPSHge=GPS較正された静力学高度
Hgps=GPS高度
Hge=静力学高度
Tau=以下に議論される、フィルタ時定数
S=ラプラス演算子)

(サ)「Analysis of Complementary Filter Time Constants
As described in the hydrostatic altitude section, hydrostatic altitude is highly accurate for measuring relative vertical changes over short periods of time and distance, such as during take-off and approach. Hydrostatic altitude does not provide an absolute altitude and is prone to significant errors over extended periods of time and distance due to the effects of pressure gradients and long-term integration errors.
In addition, as described in the GPS altitude section, GPS altitude is highly accurate in the long-term but short-term accuracy suffers from the introduction of selective availability on the GPS signal.
Given the above it would therefore be desirable to come up with a method of using the best parts of each of the above. This is accomplished by combining GPS altitude and hydrostatic altitude through a complementary filter. The complementary filter is dynamically optimized to reduce errors in GPS altitude caused by selective availability while minimizing pressure gradient and drift errors of hydrostatic altitude.」(第17欄下から9行目?第18欄第12行)(当審訳:相補フィルタの時定数の分析
静力学高度のセクションで記述したとおり、静力学高度は、離陸と着陸における間のように、短い期間と距離における相対的な垂直変化の測定に関して非常に正確です。静力学高度は絶対高度を提供せず、そして、長い期間と距離が経過すると、圧力傾度と長時間の誤差の積分の効果に由来して、かなりの誤差を生じやすい。
加えて、GPS高度のセクションで記述したように、GPS高度は長時間では高精度ですが、短時間の正確性は、GPS信号上の選択的利用性(SA)の導入による悪影響を受けます。
上記のとおり、上記それぞれの最良の部分を用いる手段を作り上げることが望ましい。このことは、GPS高度と静力学高度とを、相補フィルタにより組み合わせることによって達成されます。その相補フィルタは、静力学高度の圧力傾度とドリフトの誤差を最小化しながら、選択的利用性(SA)の導入によって生じたGPS高度の誤差を減少させるために、動的に最適化されます。)

(シ)「FIG. 12 depicts the complementary filter and the error model. The configuration of the complementary filter results in a low pass filter on GPS altitude and a high pass filter on hydrostatic altitude.」(第18欄第34?38行)(当審訳:図12は、相補フィルタと誤差モデルです。相補フィルタの構成は、GPS高度に対してはローパスフィルタ、そして、静力学高度に対してはハイパスフィルタに帰着します。)

上記(ケ)?(シ)(特に、下線を付した記載箇所)及び図面の記載を総合勘案すると、引用例2には、次の技術(以下、「引用例2記載の技術」という。)が記載されていると認められる。
「静力学方程式を基礎とした高度を、さらに、全地球測位ユニットのような第2の源からの高度測定を用いて補足し、静力学高度を較正する方法であって、該方法は、GPS高度と静力学高度とを、相補フィルタにより組み合わせることによって達成され、
その相補フィルタの伝達関数は、

ここで:
GPSHge=GPS較正された静力学高度
Hgps=GPS高度
Hge=静力学高度
Tau=以下に議論される、フィルタ時定数
S=ラプラス演算子
であり、
相補フィルタの構成は、GPS高度に対してはローパスフィルタ、そして、静力学高度に対してはハイパスフィルタに帰着する、方法。」

3.対比
本願補正発明と引用発明1とを比較する。
引用発明1の方法における処理が「GPS受信機 / プロセッサ17」のプロセッサ17で行われていることは明らかである。そして、本願明細書(国際出願翻訳文)段落【0006】に「全地球測位システム(GPS)やガリレオのような全地球型航法衛星システム(GNSS)」と記載されているとおり、GNSSはGPSを含む概念であるから、引用発明1において、「全地球測位システム(GPS)を用い」、「GPS衛星のグループから受信された信号に対して、地球表面上の、またはこれと隣接した選択された地点の位置座標(x_(gps),y_(ps),z_(gps))を決定」し、該決定された「位置座標(x_(gps),y_(gps),z_(gps))」を「プロセッサ17」が処理できるようにすることが、本願補正発明の「GNSS測定を受信すること」に相当するといえる。
次に、引用発明1の「GPS受信機 / プロセッサ17」において、「全地球測位システム(GPS)を用い」て「決定」された、「位置座標(x_(gps),y_(gps),z_(gps))」から「選択された時刻tにおける、本当の海抜、または固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な垂直座標A(t)の推定」を行うことが、本願補正発明の「前記GNSS測定から第1の高度を導出すること」に相当する。
次に、引用発明1では「高度計27は、GPS測定に対する時間レートと時間エポックとにほぼ等しい、期間T_(a)=1/f_(a)に対応するある最小レートf_(a)で、高度の推定を提供するセンサからの高度測定を利用でき、よって、高度計27は、一連の測定時間t=t_(k)(t_(0)<t_(1)<t_(2)<・・・)の各々において、独立した高度の推定を提供」しているから、「高度を推定するのに気圧計の圧力を使用」する「高度計27」により、「選択された時刻tにおける、固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な海抜座標A(t)の推定である高度計示値z_(alt)(t)」を「推定」することが、本願補正発明の「前記GNSS測定がなされた時間における圧力センサから第2の高度を導出すること」に相当する。
次に、引用発明1の「選択された地点の海抜座標A(t)を、z_(gps)(t)(全地球測位システム(GPS)を用いて決定された、選択された時刻tにおける、本当の海抜、または固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な垂直座標A(t)の推定)とz_(alt)(t)(選択された時刻tにおける、固定された垂直位置に対する選択された地点の相対的な海抜座標A(t)の推定である高度計示値)との線形結合
z(t)=K_(1)z_(gps)(t)+K_(2)z_(alt)(t)」として組み合わせることが、次の相違点は別として、本願補正発明の「ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度」と「第2の高度とを組み合わせること」に相当する。
次に、引用発明1の「全地球測位システム(GPS)を用い」、「改善された正確さで地球表面上の、またはこれに隣接した選択された点の位置座標を決定する方法」が、本願補正発明の「GNSSポジショニングの改良のための方法」に相当する。

すると、本願補正発明と引用発明1とは、次の点で一致する。
(一致点)
「 GNSS測定を受信することと、
前記GNSS測定から第1の高度を導出することと、
前記GNSS測定がなされた時間における圧力センサから第2の高度を導出することと、
ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記第2の高度とを組み合わせることとを具備する、
GNSSポジショニングの改良のための方法。」

また、両者は次の点で相違する。

<相違点1>
本願補正発明では、「前記導出された第2の高度を、前記第1の高度を用いて、調整された第2の高度にするために調整」し、「ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記調整された第2の高度とを組み合わせること」を具備しているのに対し、引用発明1には、全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(本願補正発明の「第1の高度」に相当する。以下同じ、)と、「高度計27」により推定された「高度計示値z_(alt)(t)」(導出された第2の高度)とを組み合わせることは示されているものの、「高度計27」により推定された「高度計示値z_(alt)(t)」(導出された第2の高度)を、全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)を用いて調整し、前記全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)と前記調整された「高度計示値z_(alt)(t)」(調整された第2の高度)とを組み合わせることは示されていない点。

<相違点2>
本願補正発明では、「組み合わせることは、前記第1の高度をローパスフィルタリングすることと、前記調整された第2の高度をハイパスフィルタリングすることと、前記ハイパスフィルタリング及び前記ローパスフィルタリングからの結果を合計することとを含む」のに対し、引用発明1には全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)と「高度計示値z_(alt)(t)」(第2の高度)を組み合わせることは示されているものの、本願補正発明のような具体的な組み合わせは示されていない点。

4.判断
そこで、上記相違点について検討すると、
(1)相違点1について:
本願の優先日前において、GPSから得られた高度データを用いて、気圧から高度を求める装置を較正することは、周知技術であると認められる(例えば、引用例1の「2.引用例 (引用例1)」摘記事項(ウ)(「測定が有用であるためには、センサ誤差B(t_(k))の平均値を推定することにより、センサ27を較正しなければならりません。このことは、一般に、センサ高度と、GPSまたは別の位置決定システムのような、独立した測定によって生成される高度との差を形成することによってなされます。そのバイアス誤差の推定は、較正された高度値を生成するために、高度計の出力値から取り除かれます。」との記載)、特開平4-134281号公報(第3頁右下欄第6?13行の「ステップS7では、電子制御装置3がGPS受信機2から出力された高度データに基づいて気圧センサ43から入力された気圧信号を高度データに変換するための高度変換関数fを調整する。この調整により、気象条件などにより生じる高度データの誤差が補正され、気圧センサ43の出力からより正確な高度データが得られるようになる。」と記載)、及び特開2003-283977号公報(第5頁第7欄第32?38行の「【0027】また、受信環境が良好であって4つ以上のGPS衛星の電波が受信できたときには(ステップSA5、ステップSA8が共にYES)、3次元測位により緯度・経度、高度のデータを取得し(ステップSA9)、取得した高度データと、気圧センサ8により検出した気圧値とに基づき、前記気圧-高度変換テーブル100を補正する(ステップSA10)。」 と記載)参照。)。
そして、引用発明1の「高度計27」は「高度を推定するのに気圧計の圧力を使用して」いるのであるから、引用発明1に、気圧から高度を求める装置の較正に関する上記周知技術を適用し、「高度計27」により推定された「高度計示値z_(alt)(t)」(導出された第2のデータ)を、全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)を用いて較正し、全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)と、前記較正された「高度計示値z_(alt)(t)」(調整された第2の高度)とを組み合わせるようにして、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について:
引用例2記載の技術を再掲すれば、次のとおりである。
「静力学方程式を基礎とした高度を、さらに、全地球測位ユニットのような第2の源からの高度測定を用いて補足し、静力学高度を較正する方法であって、該方法は、GPS高度と静力学高度とを、相補フィルタにより組み合わせることによって達成され、
その相補フィルタの伝達関数は、

ここで:
GPSHge=GPS較正された静力学高度
Hgps=GPS高度
Hge=静力学高度
Tau=以下に議論される、フィルタ時定数
S=ラプラス演算子
であり、
相補フィルタの構成は、GPS高度に対してはローパスフィルタ、そして、静力学高度に対してはハイパスフィルタに帰着する、方法。」
そして、上記伝達関数は、GPS高度(Hgps)に作用するローパスフィルタ(伝達関数の右辺の「Hgps/(Tau*S+1)」)の結果と、静力学高度(Hge)に作用するハイパスフィルタ(伝達関数の右辺の「Tau*S*Hge/(Tau*S+1)」)の結果との合計(伝達関数の右辺の「+」)を、相補フィルタからGPSHge(=GPS較正された静力学高度)として出力することを意味していることは明らかである。
そして、引用発明1と引用例2記載の技術とは、圧力から求めた高度と、GPSを用いた高度とを組み合わせる技術である点で共通し、また、上記相違点1にて述べたとおり、全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)と組み合わせる「高度計示値z_(alt)(t)」を、較正された「高度計示値z_(alt)(t)」とすることは当業者にとって容易になし得たことであるから、この点を踏まえつつ引用発明1に引用例2記載の技術を適用し、引用発明1において、全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)と、較正された「高度計示値z_(alt)(t)」(調整された第2の高度)とを、引用例2記載の技術の「相補フィルタ」を用いて組み合わせ、「相補フィルタ」を、全地球測位システム(GPS)を用いた「z_(gps)(t)」(第1の高度)対してはローパスフィルタとして作用させ、較正された「高度計示値z_(alt)(t)」(調整された第2の高度)に対してはハイパスフィルタとして作用させ、両者の結果の合計を「相補フィルタ」から出力するようにして、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
なお、念のため付言すると、「相補フィルタ」の具体的な回路を、「ローパスフィルタと、ハイパスフィルタと、前記ローパスフィルタ及び前記ハイパスフィルタの結果を合成する加算器とを含む構成」とすることも、例えば、特開平5-187297号公報(段落【0008】、図1)に「相補フィルタセットの例」として例示されているとおり、当業者が適宜設計し得たことである。

また、本願補正発明の作用効果も、当業者が予測し得たものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件補正についての結び
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成25年9月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成24年9月6日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載されたとおりのものであるところ、請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項5】
GNSS測定を受信することと、
前記GNSS測定から第1の高度を導出することと、
前記GNSS測定がなされた時間における圧力センサから第2の高度を導出することと、
ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記第2の高度とを組み合わせることとを具備し、
前記組み合わせることは、
前記第1の高度をローパスフィルタリングすることと、
前記第2の高度をハイパスフィルタリングすることと、
前記ハイパスフィルタリング及び前記ローパスフィルタリングからの結果を合計することとを含むGNSSポジショニングの改良のための方法。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1及び引用例2、並びにそれらの記載事項は、前記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]]で検討した本願補正発明から、「前記導出された第2の高度を、前記第1の高度を用いて、調整された第2の高度にするために調整することと、」との発明特定事項を削除し、「ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記調整された第2の高度とを組み合わせることとを具備し、」とあったところを「ブレンドされた高度を取得するために、前記第1の高度と前記第2の高度とを組み合わせることとを具備し、」と限定を省き、「前記調整された第2の高度をハイパスフィルタリングすることと、」あったところを「前記第2の高度をハイパスフィルタリングすることと、」と限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2[理由]3.」及び「第2[理由]4.」に記載したとおり、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-01 
結審通知日 2014-10-07 
審決日 2014-10-27 
出願番号 特願2010-510780(P2010-510780)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01S)
P 1 8・ 575- Z (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河内 悠中村 説志  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 新川 圭二
清水 稔
発明の名称 ナビゲーションレシーバ  
代理人 堀内 美保子  
代理人 砂川 克  
代理人 赤穂 隆雄  
代理人 野河 信久  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 中村 誠  
代理人 峰 隆司  
代理人 岡田 貴志  
代理人 福原 淑弘  
代理人 佐藤 立志  
代理人 井上 正  
代理人 井関 守三  
代理人 河野 直樹  

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