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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
管理番号 1298782
審判番号 不服2013-8628  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-10 
確定日 2015-03-18 
事件の表示 特願2008-541844「主に誘導性の特性を有するインピーダンスへの接続のための装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月31日国際公開、WO2007/060528、平成21年 4月23日国内公表、特表2009-516999〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2006年11月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年11月22日、オランダ)を国際出願日とする出願であって、平成25年1月11日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成25年1月18日)、これに対し、平成25年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により、平成26年4月1日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成26年4月4日)、これに対し、平成26年7月28日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.特許請求の範囲
平成26年7月28日付手続補正によって特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
主に誘導性の特性を有するインピーダンスへの接続のための装置であって、第1の巻線及び第2の巻線を有する誘導素子が設けられたリアクタンス素子を備え、並列電源のための電気インバータの出力信号を入力する入力と前記インピーダンスの位相に対する電源端子への接続のための少なくとも1つの出力とをさらに備え、
第1の入力が、前記第1の巻線中に第1の出力信号を流すために前記第1の巻線に接続され、第2の入力が、前記第2の巻線中に第2の出力信号を流すために前記第2の巻線に接続され、前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号が反対方向に流れ、前記第1の巻線の出力端と前記第2の巻線の出力端とが接続され、
使用中に少なくとも2個の出力信号の高周波差成分を実質的に濾波するように構成されており、
前記インバータの前記出力信号はパルス符号変調信号であり、前記インバータのスイッチング時点に差がある装置。
【請求項2】
主に誘導性の特性を有する三相インピーダンスへの接続のための出力を備える、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記リアクタンス素子が電圧源インバータをデカップリングする誘導素子を備える、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記リアクタンス素子が電流源インバータをデカップリングする容量素子を備える、請求項1又は2記載の装置。
【請求項5】
前記インピーダンスが電気駆動装置を備える、請求項1?4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記インピーダンスがコンプレッサ駆動装置を備える、請求項1?5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記インピーダンスが高い定格速度を有する駆動装置を備える、請求項1?6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が前記インピーダンスに配置されている、請求項1?7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記誘導素子が前記インピーダンスの巻線のパッケージによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1?8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記主に誘導性の特性を有するインピーダンスがアクティブフロントエンド及び/又はアクティブフィルタアプリケーションを備える、請求項1?9のいずれか一項に記載の装
置。
【請求項11】
並列電源のため電気インバータの間で切り替わるように前記装置がさらに構成されている、請求項1?10のいずれか一項に記載の装置。」


3.拒絶の理由I
平成26年4月1日付で通知した当審の拒絶の理由Iの概要は以下のとおりである。
「I この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1に、「前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号が反対方向に流れ」との訳語があるが、反対方向とはどの様な方向を表すのか特定できず不明(実施例の図3では、電流は何れも左から右に流れており、反対方向ではない。)である。

更に、請求項1に「使用中に少なくとも2個の出力信号の高周波差成分を実質的に濾波するように構成されており」との訳語があるが、濾波するための構成が特定されておらず不明であり、また、明細書には「高周波差成分」とはどの様なものか記載されておらず不明であり、また、どの様な原理に基づいて具体的に何によって濾波するのかの開示が無く不明である。確かに、【0019】には、「コモンモード信号とも呼ばれるI1とI2の和信号は変圧器3の磁気コアに逆の磁束を発生させるので、和信号は妨害されずに通過する。差動モード信号とも呼ばれるI1とI2の差信号は正味の磁束を発生させるので、差信号、確実に差信号の高周波成分は打ち消される。よって、変圧器3の出力で、2個の出力信号I1及びI2のうちの少なくとも一方の高周波差成分は実質的に濾波される。」との訳語があるが、I1とI2の和信号・差信号とはどの様なものなのか不明のため構成が特定できない。

更に、請求項1に、「インバータのスイッチング時点に差がある」との訳語があるが、「インバータのスイッチング時点」とは、どの様な動作を行う時点なのか不明である。対応する【0014】には、「さらに、リアクタンス素子に入力された個別の信号のスイッチング時点が互いに別々に設定されているとき、2個の出力信号の差信号はより一層効率的に濾波され得る。なぜならば、高調波の結果としての第1の出力信号における信号寄与分は、このとき、高調波の結果としての第2の出力信号における信号寄与分と異なるからである。両方の出力信号をリアクタンス素子に入力することにより、差信号を形成する高調波は実質的に濾波され得る。」との訳語があるが、この「別々に設定」は、具体的にどの様に設定されるのかは記載が無く不明である。
図5の0?5msの期間は、従来例として示されているが、当該波形であっても2つのインバータを用いて「インバータのスイッチング時点に差がある」ようにすれば「差信号を形成する高調波は実質的に濾波され得る」はずであるが、何故0?5msの期間は従来例となるのか不明(2つのインバータを用いた場合に、例えば図5の5?10msの期間は5ステートであるが、何故従来例に比してステート数を増やさなければならないのか)であり、そもそも、5ステートの出力を得る場合、2つのインバータをどの様に動作させ、その結果どの様な出力(波形)が得られるのか不明である。
また、例えば図5の5?10msの期間は、各インバータを、180度通電のうち最初の45度の期間と最後の45度の期間をPWM制御し、中間の90度の期間を常時オンとする波形を作らなければならず、そのような出力の2つのインバータを45度位相をずらして重ね合わせた出力としたものが、図5の5?10msの期間の波形であるとすると、2つのインバータ出力の基本波成分が同じ位相にならないので磁束は打ち消されることはなく、請求項1の「インバータのスイッチング時点」とはどの様な動作を行う時点なのか不明である。

更に、【0027】に、「図5は、電気機械に与えられた第1の位相と第2の位相との間の電圧差U12の所定の基準電圧20を示している。図示された例では、(複数台の)インバータの操作された出力信号は、3レベルをもつパルス符号変調21である。並列電源と共に3台以上のインバータを使用することにより、離散的なレベルの個数は増加し、すなわち、5?10msの区間及び10?15msの区間を参照すると、それぞれ、5及び7である。」との訳語があるが、「並列電源と共に3台以上のインバータを使用する」とはどの様な意味なのか不明であり、また、「3レベルをもつパルス符号変調21」とはどの様な変調なのか不明であり、しかも、どの様にして図5の5?10msの期間及び10?15msの期間のような電圧を得るのか不明(各インバータの出力が各タイミングにおいてどの様な出力となれば、図5の5?10msの期間及び10?15msの期間のような電圧を得られるのか)である。
(請求人は、2014年2月28日付FAXにおいて、図5の5?15msの電圧は複数のインバータの出力電流が加算されたものである旨主張しているが、各波形の中央部部分において直流成分を有する理由については何らの説明がなく、この波形が得られる理由は明確でない。)」


4.拒絶の理由Iに対する当審の判断
(1)請求項1に、「前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号が反対方向に流れ」との訳語があるが、反対方向とはどの様な方向を表すのか特定できず不明である。即ち、通常、反対方向に電流が流れるとは、電流が互いに逆方向に流れることを意味するが、請求項1に記載の構成で何故反対方向に電流が流れるのか不明であり、しかも、当審の拒絶の理由の「実施例の図3では、電流は何れも左から右に流れており、反対方向ではない。」に対しても、「反対方向」が特定できるように請求項1は何ら補正されていない。
なお、請求人は、平成26年7月28日付意見書において、
「図3に示された第3の実施形態が備える変圧器3A、3B、3Cの巻線は、それぞれ相互に反対方向に巻かれています。これにより、それぞれの巻線に流れる電流は、相互に反対方向となります。
一例として、変圧器3Aに流れる電流について述べます。変圧器3Aは、2つの電気巻線が設けられた環状の磁気コアを有します。この二つの電気巻線を流れる電流の方向は、環状の磁気コアのいずれかの円周方向、即ち、時計回りの円周方向、あるいは反時計回りの円周方向です。
環状の磁気コアの周りを第1の巻線に沿って流れる第1の電流iu1を反時計回りの円周方向とすると、第2の巻線に沿って流れる第2の電流iu2は時計回りの円周方向です。この結果、第1、第2の電流は相互に反対方向となります。
このように請求項1の記載は、図3に示された第3の実施形態の内容に基づくものです。」
と主張するが、請求人の上記主張に基づけば、巻線の巻き方を特定せずに単に記載された「反対方向」を、第1の巻線、第2の巻線が巻回される方向についてまで特定されるものと解釈しなければならないこととなり、このように解釈することに必然性は認められず、結局、特許請求の範囲の記載に基づくものではないから、請求人の上記主張は採用できない。

(2)更に、明細書に「高周波差成分」との訳語があるが、具体的にどの様なものか記載されておらず不明である。即ち、明細書【0019】には、「コモンモード信号とも呼ばれるI_(1)とI_(2)の和信号は変圧器3の磁気コアに逆の磁束を発生させるので、和信号は妨害されずに通過する。差動モード信号とも呼ばれるI_(1)とI_(2)の差信号は正味の磁束を発生させるので、差信号、確実に差信号の高周波成分は打ち消される。よって、変圧器3の出力で、2個の出力信号I_(1)及びI_(2)のうちの少なくとも一方の高周波差成分は実質的に濾波される。」との訳語があるが、そもそも和信号、差信号とはどの様なものか明確でなく、又、両信号から得られるであろうと思われる高周波差信号はどの様なものか何ら定義が示されていないため、構成を特定できず不明である。
なお、請求人は、平成26年7月28日付意見書において、
「明細書の段落[0019]に記載されているコモンモード信号とも呼ばれるI_(1)とI_(2)の和信号は、図1に示された第1の実施の形態における第1の電流I_(1)の値に第2の電流I_(2)の値を加算したものです。和信号が、例えばモータから成るインピーダンス2の供給端子に与えられます。この場合、磁気コアに正味の磁束を発生させないため、この和信号は変圧器によって妨害されることなく通過します。
一方、差動モード信号とも呼ばれる第1の電流I_(1)と第2の電流I_(2)の差信号は、電流I_(1)の値から電流I_(2)の値を減算したものです。この第1の電流I_(1)と第2の電流I_(2)の差信号は、正味の磁束を発生させるため、差信号の高調波成分が打ち消されます。
一般に、電流が磁気コアの周囲の巻線に流れると磁気コア内に磁束を発生させます。この磁束は、電流に対して抑制効果を有します。」
と主張するが、和信号、差信号はどの様なものか明確でなく、「高周波差成分」については、どの様なものか定義も含めて説明されていないから、請求人の上記主張は採用できない。

(3)更に、請求項1に「使用中に少なくとも2個の出力信号の高周波差成分を実質的に濾波するように構成されており」との訳語があるが、濾波するための構成が特定されておらず不明である。即ち、「高周波差成分」がそもそも不明であり、又、通常、リアクタンス素子の接続関係・インバータからの入力が特定されなければ高周波を実質的に濾波できる構成とはならないが、そのための構成が請求項1では何ら特定されず、請求項1は単なる希望を表現するにとどまることとなる。しかも、当該記載に基づけば、2個の出力信号には高周波差成分が存在することとなり、当該出力信号がインピーダンスへ入力されるまでに高周波差成分を実質的に濾波するものと解せるが、この様な構成は明細書には開示が無く不明である。
なお、請求人は、平成26年7月28日付意見書において、
「請求項1における「使用中に少なくとも2個の出力信号の高周波差成分を実質的に濾波するように構成されており」という記載は、本願発明の装置の以下の特徴と関連します。
a)第1、第2の巻線中を流れる第1、第2の出力電流は反対方向である点
b)インバータのスイッチング時点に差がある点
a)に関連して、変圧器内の第1、第2の巻線中を流れる第1、第2の出力電流が反対方向であることにより、インバータの出力信号の高周波差成分に対して高いインピーダンスが生じて高周波差成分が抑制されます。
b)に関連して、異なるインバータのそれぞれの出力信号に含まれる高調波の位相がシフトされます。高調波が相互に打ち消しあい、少なくとも高調波成分の全てが加算されることはなく、それにより高周波差成分が抑制されることとなります。」
と主張するが、そもそも「反対方向」が上記したように構成が特定できず不明であるから、当該構成に基づく「使用中に少なくとも2個の出力信号の高周波差成分を実質的に濾波するように構成されており」も同様に構成が特定できず不明であり、請求人の上記主張は採用できない。

(4)更に、請求項1に「インバータのスイッチング時点に差がある」との訳語があるが、「インバータのスイッチング時点」とは、どの様な動作を行う時点なのか不明である。即ち、明細書【0014】に「さらに、リアクタンス素子に入力された個別の信号のスイッチング時点が互いに別々に設定されているとき、2個の出力信号の差信号はより一層効率的に濾波され得る。」との訳語があるが、別々に設定とは、具体的にどの様に設定するのか何ら開示が無く不明である。しかも、インバータのスイッチング時点に差があれば足りるのであれば、同時でなければ良いこととなり、その場合、スイッチング時点の差が微差(ほぼ同時)であっても所望の効果を奏するのか否か不明である。
なお、請求人は、平成26年7月28日付意見書において、
「「スイッチング時点が互いに別々に設定されている」とは、各々の出力信号のPCM値が、異なる時点で変化するという意味です。例えば、第1の出力信号が第1のPCM値から第2のPCM値に時点t1で変化した場合、第2の出力信号が第3のPCM値から第4のPCM値に、時点t1と異なる時点t2で変化することを意味します。」
と主張するが、明細書には対応する記載が無く(パルス符号変調に関して【0027】に記載はあるが、意見書の様な記載は無い。)、しかも、第1のPCM値?第4のPCM値の定義について何ら開示が無いから、請求人の上記主張は採用できない。

(5)更に、図5において、5ステートの出力を得る場合、2つのインバータをどの様に動作させ、その結果どの様にして当該出力(波形)が得られるのか不明である。即ち、図1、図2を参照すれば、2つのインバータは並列電源を構成しており、2つのインバータの出力が図1、図2のように合わさったとしても、電圧は電位の高い方の電圧になるだけであって、電源が直列接続されたように2つの電源の電圧値の合計になることは無く、結果として図5のような波形になることはないから、どの様にして出力(波形)が得られるのか依然として不明である。なお、7ステートも同様である。また、図5の5?10msの期間に、各インバータをどの様に動作させれば、図5の5?10msの期間のような波形となるのか何ら開示が無く不明である。
なお、請求人は、平成26年7月28日付意見書において、
「図5において、5msから10msの区間中の波形は、二台のインバータに駆動波形が与えられ、それぞれが正の値、負の値、ゼロの値を有する3つの離散的なレベルから成るPCM電圧信号を発生させます。この二つのPCM電圧信号を合計することにより、二重の正の値、単一の正の値、ゼロの値、単一の負の値、二重の負の値という5つの離散的なレベルが生成されます。
出力信号はPCM型であってPWM型ではなく、PCM型の出力信号の値は、周期的なスイッチング時点で変化します。連続して起こる周期的スイッチング時点において、出力信号の値は一定となります。
そして請求項1に記載されましたように、インバータのスイッチング時点に差があります。このことは、各々のインバータが反転する周期的なスイッチング時点は、同時に発生しないことを意味します。
あるインバータのスイッチング時点が到達した時、このインバータの出力信号は他の値へ変化します。この時点で合成された出力信号は、5つの離散的なレベルのうちのある値から、5つの離散的なレベルのうちの他の値へ変化します。この結果、それぞれのインバータの出力信号に含まれる高調波の位相がシフトされ、高周波差成分が濾波されることになります。」
と主張するが、一般的な事項を述べるだけで、2つのインバータを具体的にどの様に動作させ、その結果どの様にして出力(波形)が得られるのか開示が無いから、請求人の上記主張は採用できない。

(6)更に、【0027】に「並列電源と共に3台以上のインバータを使用する」との訳語があるが、どの様な意味なのか不明である。即ち、3台以上のインバータが、各々どの様な出力を発生すれば図5記載のような波形となるのか開示が無く、又、並列電源と3台以上のインバータがどの様な電気的接続関係にあるのか開示が無く不明である。
なお、請求人は、平成26年7月28日付意見書において、
「明細書の段落[0026]?[0027]において記載されましたように、図5の5?10msの区間では、二台のインバータが用いられて5つの離散的なレベルが結合された出力が行われ、図5の10?15msの区間では三台のインバータが用いられて7つの離散的なレベル、即ち三重の正の値、二重の正の値、単一の正の値、ゼロの値、単一の負の値、二重の負の値、三重の負の値が結合された出力が行われます。
図5の5?10msの区間において、各々の波形の中央部部分は直流成分を有しています。インバータのPCM出力信号は、図5に示されたような所定の基準電圧20に到達できるように制御されます。この所定の基準電圧20が直流成分を有しているので、結合されたPCM出力信号も直流成分を有することになります。」
と主張するが、所定の基準電圧は「電気機械に与えられた第1の位相と第2の位相との間の電圧差U_(12)の所定の基準電圧20」(【0027】)であり、又、図5を参照すれば、疑似正弦波であって、本願の従来例として示された図5の0?5msでも同様の波形であり、直流成分を有するものとはいえないから、並列電源と共に3台以上のインバータを使用する意味が不明であり、したがって、請求人の上記主張は採用できない。

(7)更に、平成26年7月28日付手続補正で、請求項1に「前記インバータの前記出力信号はパルス符号変調信号であり」との訳語が加わったが、当該パルス符号変調信号をどの様に作成するのか不明であり、作成された当該パルス符号変調信号が何故図5に示されるような波形となるのか不明である。

したがって、この出願の発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1-11に記載された発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、又、発明の詳細な説明を参照しても請求項1-11の記載は明確ではないのであるから、請求項1-11の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

5.むすび
したがって、請求項1-11の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。


6.拒絶の理由IIに対する当審の判断
上記のとおり、本願は、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていないが、仮に、上記各要件を満たしているとして、更に、本願の発明の進歩性について検討する。

(1)本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記した平成26年7月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。


(2)引用例
これに対して、当審の拒絶の理由で引用された、特開平10-323052号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

1-a「インバータの出力を正弦波状に制御するためには、周波数と電圧を滑らかに制御でき、しかも高調波を小さくできるPWM(パルス幅変調)制御が良く用いられる。PWM制御で運転されるインバータの出力電圧は正弦波に近づくが、負荷の要求で電圧波形をさらに正弦波に近づける場合は、インバータを並列に接続し、並列運転されるインバータのPWM制御信号を多重化して高調波を減らす方法を採用する。」(【0002】)

1-b「電圧e1u,e2u,e3uは、PWM信号の三角波s1,s2,s3とU相の電圧指令Eu-r との比較で発生する。ここで、電圧指令Eu-r は共通であるが、三角波信号s1,s2,s3は多重化効果を得るために位相をずらしてあり、その結果、電圧e1u,e2u,e3uに含まれる負荷に印加すべき基本波成分は同一であるが、PWM制御に基づく高調波成分はその位相がずれている。」(【0007】)

1-c「次に交流リアクトルの作用について説明する。先に述べたように、交流リアクトルは負荷電流成分に対してはほとんどインピーダンスとして作用しない。しかし、電圧e1u,e2u,e3uに着目すると、これらの電圧は負荷に印加される基本波電圧に関しては同じであるが、PWM制御に基づく瞬時の電圧に差があり、この電圧差が交流リアクトルに印加されてそれによる横流電流i1uc,i2uc,i3ucが負荷電流とは別に交流リアクトルとインバータに流れる。電圧差による横流電流の大きさはPWM波形に含まれる電圧の高調波成分と交流リアクトルのインダクタンス成分の大きさによって決まる。」(【0011】)

1-d「上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る分圧変圧器では、三脚鉄心の各々の脚に巻き付けられた巻線に同相の電力を供給することによって、各巻線に流れる電流による起磁力は、巻線間で互いに打ち消しあって鉄心内には巻線に流れる電流による磁束は生じないので、インピーダンスとして作用せず、横流電流に対しては起磁力の方向が鉄心内に磁束を作る方向に作用しており鉄心内に起磁力を発生するので、インピーダンスとして働き横流電流を抑制する。」(【0022】)

1-e「以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の電力変換装置の構成図であり、図6に示した従来の電力変換装置と異なる点は、従来の電力変換装置が交流リアクトルを用いてインバータを並列多重化しているのに対して、三脚鉄心分圧変圧器を用いてインバータを並列多重化する点であり、分圧変圧器と交流リアクトルを除いてはその動作、運転方法は同じであるので、それらについての説明は省略する。
第1?3のインバータの交流端子のU相は、第1の分圧変圧器14Uのそれぞれの対応する巻線に接続され、第1?3のインバータの交流端子のV相は、第2の分圧変圧器14Vのそれぞれの対応する巻線に接続され、第1?3のインバータの交流端子のW相は、第3の分圧変圧器14Wのそれぞれの対応する巻線に接続される。
第1の分圧変圧器14Uの各々の巻線のもう一方の端子は共通接続されて負荷のU相に接続され、第2の分圧変圧器14Vの各々の巻線のもう一方の端子は共通接続されて負荷のU相に接続され、第3の分圧変圧器14Wの各々の巻線のもう一方の端子は共通接続されて負荷のW相に接続される。
ここで、負荷は三相負荷で説明するが、例えば可変速度で運転する電動機負荷などであり、図1の構成の電力変換装置を用いることにより、停止から所定回転数まで滑らかにトルク変動もなく運転することができる。」(【0030】-【0033】)

1-f「また、インバータの出力相数として、三相を例に説明したが、本発明の主旨は一般の任意のn相のインバータなどにも適用できる。以上説明したように、本発明の第1の実施の形態の分圧変圧器を用いて並列多重化した電力変換装置は、負荷電流に対してはインピーダンスとして作用しないため、インバータの発生する負荷電圧成分がそのまま負荷に印加できるのでインバータの電圧利用率が高くなる。」(【0047】)

上記記載及び図面を参照すると、分圧変圧器14Uに接続されたインバータ1のインバータ電圧e1u、インバータ2のインバータ電圧e2u、及びインバータ3のインバータ電圧e3uは、それぞれ、対応して接続された巻線15、16、及び17に対する入力であり、各入力は、それぞれ対応する巻線15、16、及び17に第1の電流i1u、第2の電流i2u、及び第3の電流i3uを流すために接続されている。

上記記載事項からみて、引用例には、
「電動機負荷へ接続される装置であって、第1?3のインバータの交流端子のU相が接続される、それぞれの対応する巻線15、16、17が設けられた三脚鉄心分圧変圧器を備え、インバータを並列多重化して接続されるとともに前記巻線15、16、17のもう一方の端子は前記電動機負荷のU相に接続される構成をさらに備え、
第1のインバータ1からの入力e1uが、前記対応する巻線15に第1の電流i1uを流すために前記対応する巻線15に接続され、第2のインバータ2からの入力e2uが、前記対応する巻線16に第2の電流i2uを流すために前記対応する巻線16に接続され、第3のインバータ3からの入力e3uが、前記対応する巻線17に第3の電流i3uを流すために前記対応する巻線17に接続され、前記巻線15、16、17のもう一方の端子は共通接続され、
PWM波形に含まれる電圧の高調波成分の電圧差と交流リアクトルのインダクタンス成分の大きさによる横流電流は、起磁力の方向が鉄心内に磁束を作る方向に作用しており鉄心内に起磁力を発生するのでインピーダンスとして働き、横流電流が抑制されるように構成されており、
前記インバータのPWM制御に基づく高調波成分は、その位相がずれるように制御される装置。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

同じく、当審の拒絶の理由で引用された、特開2003-88177号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

2-a「電動機の可変速駆動にPWMインバータが広く使われている。PWMインバータの高調波の低減と出力の増大のためにPWM搬送波の位相をずらして多重化する方法が多重PWMインバータとして知られている。多重化された各単位インバータ出力の合成方法によっていくつかの方式があるが、大電流用途ではスイッチング素子の並列接続が有利であり多重化においても並列多重化が望まれる。図2にこの実現方法の一つであるセンタタップリアクトル方式の構成を示す。」(【0002】)

2-b「単位インバータ出力7と10は同一の信号波から生成されており、その基本波成分は同じである。一方高調波成分は搬送波の位相が180°ずれているため同じではない。この結果、単位インバター出力7と10の平均値をとると基本波成分は変わらず高調波成分は減少する。三相の他相の出力である単位インバータ出力8と11、9と12の各対においても同様である。同一の信号波から生成された単位PWMインバータ出力の平均値をとるためにセンタタップリアクトル19、20、21が使われている。
センタタップリアクトルは二つの入力端子と一つの出力端子を持つ。二つの入力信号を周波数成分に分けて考え、二つの入力端子に同一の電位変化を与える入力成分を同相成分、逆向きの電位変化を与える入力成分を逆相成分とすると、逆相成分に対する二入力間のインピーダンスは、阻止すべき高調波に対しては高いが直流および基本波等の低周波成分に対しては低い。」(【0004】-【0005】)


(3)対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「電動機負荷」は、本願発明の「主に誘導性の特性を有するインピーダンス」に相当するから、引用発明の「電動機負荷へ接続される装置」は、本願発明の「主に誘導性の特性を有するインピーダンスへの接続のための装置」に相当する。
引用発明の「高調波成分は、その位相がずれるように制御される装置」は、本願発明の「前記インバータのスイッチング時点に差がある装置」に相当する。

引用発明の「第1?3のインバータの交流端子のU相が接続される、それぞれの対応する巻線15、16、17が設けられた三脚鉄心分圧変圧器を備え、インバータを並列多重化して接続されるとともに前記巻線15、16、17のもう一方の端子は前記電動機負荷のU相に接続される構成をさらに備え」と、本願発明の「第1の巻線及び第2の巻線を有する誘導素子が設けられたリアクタンス素子を備え、並列電源のための電気インバータの出力信号を入力する入力と前記インピーダンスの位相に対する電源端子への接続のための少なくとも1つの出力とをさらに備え」は、「複数の巻線を有する誘導素子が設けられたリアクタンス素子を備え、並列電源のための電気インバータの出力信号を入力する入力と前記インピーダンスの位相に対する電源端子への接続のための少なくとも1つの出力とをさらに備え」との概念で一致する。
請求人は、平成26年7月28日付意見書で、「反対方向」について「図3に示された第3の実施形態が備える変圧器3A、3B、3Cの巻線は、それぞれ相互に反対方向に巻かれています。これにより、それぞれの巻線に流れる電流は、相互に反対方向となります。一例として、変圧器3Aに流れる電流について述べます。変圧器3Aは、2つの電気巻線が設けられた環状の磁気コアを有します。この二つの電気巻線を流れる電流の方向は、環状の磁気コアのいずれかの円周方向、即ち、時計回りの円周方向、あるいは反時計回りの円周方向です。」と主張しており、当該主張に基づけば、引用発明の巻線15、16、17は反対方向に巻かれていることとなり、流れる電流も反対方向に流れることとなるから、引用発明の「第1のインバータ1からの入力e1uが、前記対応する巻線15に第1の電流i1uを流すために前記対応する巻線15に接続され、第2のインバータ2からの入力e2uが、前記対応する巻線16に第2の電流i2uを流すために前記対応する巻線16に接続され、第3のインバータ3からの入力e3uが、前記対応する巻線17に第3の電流i3uを流すために前記対応する巻線17に接続され、前記巻線15、16、17のもう一方の端子は共通接続され」と、本願発明の「第1の入力が、前記第1の巻線中に第1の出力信号を流すために前記第1の巻線に接続され、第2の入力が、前記第2の巻線中に第2の出力信号を流すために前記第2の巻線に接続され、前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号が反対方向に流れ、前記第1の巻線の出力端と前記第2の巻線の出力端とが接続され」は、「第1の入力が、前記第1の巻線中に第1の出力信号を流すために前記第1の巻線に接続され、第2の入力が、前記第2の巻線中に第2の出力信号を流すために前記第2の巻線に接続され、前記複数の出力信号が反対方向に流れ、前記複数の巻線の出力端とが接続され」の概念で一致する。

したがって、両者は、
「主に誘導性の特性を有するインピーダンスへの接続のための装置であって、複数の巻線を有する誘導素子が設けられたリアクタンス素子を備え、並列電源のための電気インバータの出力信号を入力する入力と前記インピーダンスの位相に対する電源端子への接続のための少なくとも1つの出力とをさらに備え、
第1の入力が、第1の巻線中に第1の出力信号を流すために前記第1の巻線に接続され、第2の入力が、第2の巻線中に第2の出力信号を流すために前記第2の巻線に接続され、前記複数の出力信号が反対方向に流れ、前記複数の巻線の出力端とが接続され、
前記インバータのスイッチング時点に差がある装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
本願発明は、第1の巻線及び第2の巻線を有する誘導素子が設けられたリアクタンス素子を備えるのに対し、引用発明は、第1?3のインバータの交流端子のU相が接続される、それぞれの対応する巻線15、16、17が設けられた三脚鉄心分圧変圧器を備える点。
〔相違点2〕
本願発明は、第1の入力が、前記第1の巻線中に第1の出力信号を流すために前記第1の巻線に接続され、第2の入力が、前記第2の巻線中に第2の出力信号を流すために前記第2の巻線に接続され、前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号が反対方向に流れ、前記第1の巻線の出力端と前記第2の巻線の出力端とが接続されるのに対し、引用発明は、第1のインバータ1からの入力e1uが、前記対応する巻線15に第1の電流i1uを流すために前記対応する巻線15に接続され、第2のインバータ2からの入力e2uが、前記対応する巻線16に第2の電流i2uを流すために前記対応する巻線16に接続され、第3のインバータ3からの入力e3uが、前記対応する巻線17に第3の電流i3uを流すために前記対応する巻線17に接続され、前記巻線15、16、17のもう一方の端子は共通接続される点。
〔相違点3〕
本願発明は、使用中に少なくとも2個の出力信号の高周波差成分を実質的に濾波するように構成されているのに対し、引用発明は、PWM波形に含まれる電圧の高調波成分の電圧差と交流リアクトルのインダクタンス成分の大きさによる横流電流は、起磁力の方向が鉄心内に磁束を作る方向に作用しており鉄心内に起磁力を発生するのでインピーダンスとして働き、横流電流が抑制されるように構成されている点。
〔相違点4〕
インバータの出力に関し、本願発明は、インバータの出力信号はパルス符号変調信号であるのに対し、引用発明は、インバータのPWM制御に基づく点。


(4)判断
相違点1、2について
2つの並列インバータの各相に、第1の巻線及び第2の巻線を有する誘導素子が設けられたリアクタンス素子をそれぞれ接続して基本波を導通させ高調波成分を除去することは、引用例2にもみられるように周知の事項(更に必要があれば当審の拒絶の理由で挙げた特開平4-145870号公報参照)である。また、引用発明は、上記1-cにもあるように、並列インバータから出力される基本波は負荷へ供給し、高調波はリアクタンス素子で負荷への供給を阻止しようとするものであり、巻線15、16、17は反対方向に巻かれ、流れる電流も反対方向に流れ、巻線15、16、17のもう一方の端子は共通接続されている。
そうであれば、引用発明において、基本波を導通させ高調波成分を除去するために、上記周知の事項のように、並列インバータを2つとし、リアクタンス素子を第1の巻線及び第2の巻線を有する誘導素子とし、第1の出力信号及び第2の出力信号が反対方向に流れ、第1の巻線の出力端と第2の巻線の出力端とが接続されるようにすることは、必要に応じて適宜選択し得ることと認められる。

相違点3について
引用発明は、PWM波形に含まれる電圧の高調波成分の電圧差と交流リアクトルのインダクタンス成分の大きさによる横流電流は、起磁力の方向が鉄心内に磁束を作る方向に作用しており鉄心内に起磁力を発生するのでインピーダンスとして働き、横流電流が抑制されるように構成することにより、上記1-aに示されるようにインバータからの出力信号から高調波差成分を減らすのであるから、実質的に、使用中に少なくとも2個の出力信号の高周波差成分を実質的に濾波するように構成されているものと認められる。

相違点4について
インバータの制御において、パルス符号変調(PCM)を用いることは周知の事項(例えば、特開平7-222489号公報【0011】、特開2001-103617号公報【0012】参照。)である。
そうであれば、引用発明において、PWM制御を周知のパルス符号変調(PCM)に代えることは当業者が適宜なし得ることと認められる。
なお、請求人は、平成26年7月28日付意見書で、
「このように、引用文献1?4、並びに他の公知文献(特開平4-145870号公報、国際出願公開第95/24069号)には、いずれも本願発明の構成、特に、並列に接続されたインバータのPCM出力信号において異なるスイッチング時点を有する点について開示されておらず、本願発明は引用文献1?4に記載された発明に基づいて容易に成し得たものではありません。」
と主張するが、上述のように、インバータの制御においてパルス符号変調(PCM)を用いることは周知の事項であり、又、PWMもPCMも共にパルス変調であるから、パルスのオンオフに伴う高調波が発生し、電源として高調波は通常除去すべきものであるから、高調波除去を目的とする引用発明において、パルス符号変調(PCM)を採用すれば当業者は当然にスイッチング時点に差を設けようとするから、請求人の上記主張は採用できない。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-20 
結審通知日 2014-10-21 
審決日 2014-11-05 
出願番号 特願2008-541844(P2008-541844)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H02M)
P 1 8・ 537- WZ (H02M)
P 1 8・ 536- WZ (H02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 貞雄  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 槙原 進
藤井 昇
発明の名称 主に誘導性の特性を有するインピーダンスへの接続のための装置  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 関根 毅  
代理人 川崎 康  
代理人 吉元 弘  
代理人 勝沼 宏仁  

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