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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1298856 |
審判番号 | 不服2013-23374 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-29 |
確定日 | 2015-03-20 |
事件の表示 | 特願2011-544762「中継を実施する基地局、中継局、移動端末およびその対応する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月15日国際公開、WO2010/078692、平成24年 6月28日国内公表、特表2012-514911〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成21年1月6日を国際出願日とする出願であって、平成25年3月15日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成25年6月26日に手続補正がなされ、平成25年7月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年11月29日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2.本願発明 本願の請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年6月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項11に記載された、次の事項により特定されるものである。 「【請求項11】 多重搬送波に基づく無線通信ネットワーク内の移動端末であって、 前記移動端末が属す中継局によって中継される必要がない少なくとも1つの搬送波を使うことによって、前記中継局によって基地局に中継される必要がある前記少なくとも1つの搬送波の以下の情報、すなわち リソース割当て情報、 チャネル品質インジケータ、 のいずれかを送信する第2の送信手段を備える移動端末。」 第3.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(国際公開第2006/35902号)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (a)段落番号[0013]-[0016] 「[0013](実施の形態1) 図1に示すように、本実施の形態に係る移動体通信システムは、移動局装置100と中継局装置150と基地局装置200とからなる。 [0014] 基地局装置200は、予め中継局装置150に対して、移動局装置100への信号中継の指示をしているものとする。また、基地局装置200は、移動局装置100および中継局装置150の各識別情報の対応情報を保持し、中継局装置150は中継すべき対象となる移動局装置100の識別情報を保持しているものとする。また、移動局装置100においても、中継局装置150の識別情報を保持しても良い。 [0015] 次に、図2に示すシーケンス図を用いて全体処理について説明する。 [0016] 基地局装置200は、移動局装置100および中継局装置150にマルチキャリア信号を送信する(処理(1)、(2))。移動局装置100は基地局装置200から受信したマルチキャリア信号を構成するサブキャリア毎に、受信品質をレベル化したチャネル情報を生成する。本実施形態では、受信品質として受信強度レベルを用いた例を示す。次に移動局装置100は、生成したチャネル情報を基地局装置200に通知する(処理(3))。基地局装置200は、通知されたチャネル情報を、中継局装置150が移動局装置100へ中継データを送信するのに先立って、中継局装置150に通知する(処理(4))。中継局装置150は、基地局装置200から受信したマルチキャリア信号のうち、通知されたチャネル情報に基づき、所定のレベルより受信品質が低いサブキャリアを選択し、処理(2)で受信した移動局装置100宛のマルチキャリア信号から当該選択されたサブキャリアに対応するサブキャリア信号を抽出し、マルチキャリア信号として移動局装置100に中継送信する(処理(5))。」 したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「移動局装置100と中継局装置150と基地局装置200とからなる移動体通信システムにおける通信方法であって、 基地局装置200は、移動局装置100および中継局装置150にマルチキャリア信号を送信し(処理(1)、(2))、 移動局装置100は基地局装置200から受信したマルチキャリア信号を構成するサブキャリア毎に、受信品質をレベル化したチャネル情報を生成し、受信品質として受信強度レベルを用い、次に移動局装置100は、生成したチャネル情報を基地局装置200に通知し(処理(3))、 基地局装置200は、通知されたチャネル情報を、中継局装置150が移動局装置100へ中継データを送信するのに先立って、中継局装置150に通知し(処理(4))、 中継局装置150は、基地局装置200から受信したマルチキャリア信号のうち、通知されたチャネル情報に基づき、所定のレベルより受信品質が低いサブキャリアを選択し、処理(2)で受信した移動局装置100宛のマルチキャリア信号から当該選択されたサブキャリアに対応するサブキャリア信号を抽出し、マルチキャリア信号として移動局装置100に中継送信する(処理(5))、 通信方法。」 第4.本願発明と引用発明の「移動局装置100」の一致点・相違点 引用発明の移動体通信システムは、移動局装置100と中継局装置150と基地局装置200とからなっており、基地局装置200は、移動局装置100および中継局装置150にマルチキャリア信号を送信するから、本願発明の「移動端末」と引用発明の「移動局装置100」とは、「多重搬送波に基づく無線通信ネットワーク内の移動端末」である点で一致している。 引用発明の「受信品質として受信強度レベルを用い」た「受信品質をレベル化したチャネル情報」は、チャネルの品質を指示しているといえるから、本願発明の「チャネル品質インジケータ」に相当する。 引用発明の「基地局装置200から受信したマルチキャリア信号のうち、通知されたチャネル情報に基づき、所定のレベルより受信品質が低いサブキャリア」は、引用発明の処理(5)において中継送信されるから、本願発明の「中継局によって基地局に中継される必要がある前記少なくとも1つの搬送波」に相当する。 引用発明の処理(3)では、マルチキャリア信号を構成するサブキャリア毎に、チャネル情報を生成し、移動局装置100が、生成したチャネル情報を基地局装置200に通知している。したがって、移動局装置100が、「基地局装置200から受信したマルチキャリア信号のうち、通知されたチャネル情報に基づき、所定のレベルより受信品質が低いサブキャリア」の「受信品質として受信強度レベルを用い」た「受信品質をレベル化したチャネル情報」を送信する手段、すなわち「中継局によって基地局に中継される必要がある前記少なくとも1つの搬送波の」「チャネル品質インジケータ」を送信する手段を備えていることは明らかである。 よって、本願発明の「移動端末」と引用発明の「移動局装置100」とは、 「中継局によって基地局に中継される必要がある前記少なくとも1つの搬送波の以下の情報、すなわち リソース割当て情報、 チャネル品質インジケータ、 のいずれかを送信する第2の送信手段を備える移動端末」である点で一致している。 したがって、本願発明と引用発明の「移動局装置100」の一致点・相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「多重搬送波に基づく無線通信ネットワーク内の移動端末であって、 中継局によって基地局に中継される必要がある前記少なくとも1つの搬送波の以下の情報、すなわち リソース割当て情報、 チャネル品質インジケータ、 のいずれかを送信する第2の送信手段を備える移動端末。」である点。 [相違点] 本願発明では、「中継局によって基地局に中継される必要がある前記少なくとも1つの搬送波の」「チャネル品質インジケータ」を送信する際に、「前記移動端末が属す中継局によって中継される必要がない少なくとも1つの搬送波を使う」のに対して、引用発明の「移動局装置100」では、処理(3)において、生成したチャネル情報を基地局装置200に通知するに際し、どのような搬送波を使うか明らかでない点。 第5.相違点についての検討 引用発明の処理(3)では、移動局装置100は、生成したチャネル情報を基地局装置200に直接通知しており、この時に中継局装置150で中継することは想定していない。よって、移動局装置100が、生成したチャネル情報を基地局装置200に通知するための搬送波として、移動局装置100が属す中継局装置150によって中継される必要がない搬送波を使うことによって、相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6.むすび 以上のとおり、本願の請求項11に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-10-27 |
結審通知日 | 2014-10-28 |
審決日 | 2014-11-10 |
出願番号 | 特願2011-544762(P2011-544762) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04W)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木下 直哉 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
江口 能弘 ▲広▼島 明芳 |
発明の名称 | 中継を実施する基地局、中継局、移動端末およびその対応する方法 |
代理人 | 岡部 讓 |
代理人 | 川崎 孝 |
代理人 | 吉澤 弘司 |