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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01R
管理番号 1299115
審判番号 不服2012-6234  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-06 
確定日 2015-04-15 
事件の表示 特願2004-552594「検査体の接触のための装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月 3日国際公開、WO2004/046740、平成18年 2月23日国内公表、特表2006-506629〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2003年11月14日を出願日(パリ条約による優先権主張 2002年11月18日(以下、「優先日」という。) ドイツ連邦共和国)とする国際特許出願であって、平成23年11月30日付け(送達:同年12月6日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年4月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲についての補正がなされたものである。
その後、当審より平成25年6月19日付け(発送:同年同月25日)で拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年9月24日付けで意見書の提出があった。


第2 当審拒絶理由
当審拒絶理由のうちの理由1は、本願の請求項1?14に係る発明は、いずれも本願の優先日前に外国において頒布された刊行物である米国特許第4772846号明細書(発行日 1988年9月20日 以下、「引用例」という。)に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


第3 本願発明
本願の請求項1?14に係る発明は、平成24年4月6日付けで補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項8に係る発明は、次のとおりである。
「基板(140)上の少なくとも1つの検査体(301)の検査のための接触装置であり、検査のため検査装置(100)が用いられており、検査装置は光学軸(102)と光学軸に対応した検査範囲を有しており、
少なくとも1つの検査体を備えた基板のためのホルダー(130)であって、ホルダーと光学軸は相互に移動可能であるホルダーと、
ホルダーの移動ユニットと、
少なくとも1つの検査体と電気的に接触する移動可能な接触ユニット(150)を備え、前記接触ユニットと光学軸は、基板の検査の間、互いに移動可能であり、前記接触ユニットはホルダーに対して独立しており、移動可能であり、光学軸に直交する一方向において、ホルダーの寸法の実質的半分の最大寸法を有している装置。」(以下、「本願発明」という。)

第4 引用例に記載の事項・引用発明
1 記載事項
引用例には、「Wafer alignment and positioning apparatus for chip testing by voltage contrast electron microscopy」(発明の名称)に関し、次の事項(a)?(g)が図面とともに記載されている。

(a)「In a preferred embodiment the invention includes a positioning stage for a semiconductor wafer, a second positioning stage for an electrical test probe with mechanical contact "fingers", and an electromagnetic clamping arrangement for connecting the two positioning stages, all forming part of a voltage-contrast scanning electron microscope vacuum chamber system. The wafer positioning stage is capable of being driven by X and Y drives to move the wafer in a horizontal X-Y plane. The probe positioning stage is passively coupled to the wall of the vacuum chamber through translation bearings so as to be able to move horizontally in an X'-Y' plane parallel to the X-Y plane, and can be moved vertically in a Z direction through a mechanical feedthrough arrangement leading outside the vacuum system.
The probe fingers are positioned above and aligned with the contact pads of an IC chip on a semiconductor wafer mounted on the wafer positioning stage. The vertical position of the probe is then adjusted so that the fingers of the probe are touching the contact pads on the IC chip. Electrical power and test signals can then be applied to the test chip, and electrical test readings can be made through the probe finger contacts. The clamping arrangement can be used to connect the two positioning stages so that the wafer and probe move together as a unit while the IC circuits are energized through the probe contact fingers.
A portion of the IC chip in the field of view of the voltage-contrast electron microscope can be viewed while the chip circuits are powered, so that the operation of the chip can be tested. The chip, together with the probe fingers which contact it, can be moved around in the field of view of the microscope to examine any desired area of the chip. The remaining chips on the wafer can be tested in the same manner by deactivating the electromagnetic clamp to separate the two positioning stages, repositioning and realigning the wafer and the probe, lowering the probe fingers to touch the contact pads of another IC chip, and again activating the electromagnet of the clamping arrangement.」(第4欄第4行?第46行)
(当審訳)
「好ましい実施形態において、本発明は、半導体ウエハ用の位置決めステージ、機械的な接触"フィンガー"を持つ電気テストプローブの第2の位置決めステージと、2つの位置決めステージを接続するための電磁クランプ配置を含み、これらは電位コントラスト走査型電子顕微鏡真空チャンバシステムの一部を形成する。ウエハ位置決めステージは、水平X-Y平面内でウェハを移動させるX及びYドライブによって駆動される。プローブ位置決めステージは、X-Y平面に平行なX'-Y'平面内で水平方向に移動できるようにトランスレーションベアリングを介して真空チャンバの壁に結合され、かつ、真空システムの外へ導く機械的フィードスルーの配置を通して、Z方向に上下に移動させられる。
プローブフィンガーは、ウエハ位置決めステージ上に搭載された半導体ウェハ上のICチップ上方に位置し、ICチップの接触パッドと整列する。プローブの垂直位置は、プローブのフィンガーがICチップ上の接触パッドに触れているように調整される。そうすると、電力及びテスト信号をテストチップに加えることができ、かつ電気的テストの結果の読み取りをプローブフィンガーの接触を介して行うことができる。クランプ装置は、2つの位置決めステージを接続するために使用することができるので、ウエハとプローブは、IC回路がプローブ接触フィンガを介して通電されている間、一体として一緒に移動する。
チップ回路が給電されている間、電位コントラスト電子顕微鏡の視野内のICチップの一部分を見ることができるので、チップの動作をテストすることができる。チップは、接触しているプローブフィンガーと一緒に、チップの所望の領域を調べるために、顕微鏡の視野内で移動することができる。ウエハ上の残りのチップは、2つの位置決めステージを分離するために電磁クランプへの通電を止め、ウェハとプローブを再度位置決め、調整し、別のICチップの接触パッドに触れるようにプローブフィンガーを下げ、再度、クランプ装置の電磁石に通電することにより、同様に、テストすることができる。」

(b)「Referring to FIG. 1, a sectional view of a preferred embodiment of the present invention can be seen. A semiconductor wafer 2 is mounted on a wafer mounting block 4 which is carried on an X-Y stage top plate 6 inside a vacuum chamber 8. The wafer 2 is mounted on the mounting block 4 using a conventional device such as spring clips (not shown) to hold the wafer in place. An electron beam 10 from a scanning electron microscope is directed onto the wafer.
A wafer positioning stage 12 comprises top plate 6, a pair of linear X translation bearings 14a, 14b, an intermediate plate 16, and a pair of linear Y translation bearings 18a, 18b. 」(第4欄第47行?第59行)
(当審訳)
「図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態の断面図を見ることができる。半導体ウエハ2は、真空チャンバ8内のX-Yステージ天板6上のウエハ載置ブロック4に載せられている。ウエハ2は、所定の位置にウェハを保持するためのばねクリップなどの従来装置(図示せず)を用いて載置ブロック4に載せられている。走査型電子顕微鏡の電子ビーム10は、ウエハ上に向けられる。
ウエハ位置決めステージ12は、天板6、リニアXトランスレーションベアリング14a、14bの組、中間プレート16及びリニアYトランスレーションベアリング18a、18bの組を備えている。」

(c)「The top plate 6 is substantially normal to the electron beam 10.(中略)The top plate 6 moves left or right in FIG. 1 in response to an X drive motor 20.」(第5欄第5行?第5欄13行)
(当審訳)
「天板6は、電子ビーム10に対して実質的に垂直である。(中略)天板6は、X駆動モータ20に応答して、図1の左右に動く。」

(d)「A test probe 42 with a set of metal contact fingers 44 is attached to a probe positioning stage 46.(中略)The probe mount 47 is able to move in an X'-Y' plane parallel to the X-Y stage top plate・・」(第5欄第33行?第49行)
(当審訳)
「金属製の接触フィンガー44の組を持つテストプローブ42は、プローブ位置決めステージ46に取り付けられている。(中略)プローブ載置部47は、X-Yステージ天板に平行なX'-Y'平面内で移動できる・・」

(e)「The X' and Y' bearings allow the test probe 42 to be moved as a unit with the wafer 2 when the probe positioning stage 46 and wafer positioning stage 12 are clamped together. When the electromagnet coil 56 is not energized, the wafer positioning stage 12 can be moved independently of the electrical test probe 42.」(第6欄第5行?第10行)
(当審訳)
「X'及びY'ベアリングにより、プローブ位置決めステージ46とウエハ位置決めステージ12が一緒にクランプされるときに、テストプローブ42は、ウエハ2と一体として移動できる。電磁コイル56が励磁されていないとき、ウエハ位置決めステージ12は、電気テストプローブ42と独立して移動できる。」

(f)「As shown in FIG. 1, the electrical contact fingers 44 which form part of the test probe 42 are touching the wafer 2 so that power and test signals can be supplied to a chip on the wafer 2. While the chip is being tested it is simultaneously observed with the voltage-contrast detector 72, which detects secondary electrons emitted from the chip as a result of the impinging electrons in the electron microscope beam 10.」(第6欄第50行?第57行)
(当審訳)
「図1に示すように、テストプローブ42の一部を形成する電気接触フィンガー44がウエハ2に接触していることにより、電力及びテスト信号がウエハ2上のチップに供給される。チップがテストされ、同時に、電子顕微鏡のビーム10の電子の衝突の結果としてチップから放出される二次電子を検出する電位コントラスト検出部72で観察される。」

(g)「The sequence of events in testing an IC chip is as follows, referring again to FIGS. 1, 2, 3 and 4. The wafer 2 on which the chip circuits lie is mounted on the wafer mounting block 4 of plate 6 inside the vacuum chamber 8. A card of contact fingers 44 which match the IC chip to be tested is installed in the test probe 42 and positioned roughly above the wafer 2 but not in contact with the wafer. Wafer 2 is then aligned relative to the electrical probe 42 with the drive arrangements as described above, to move the wafer 2 around in a horizontal plane on the sets of mutually perpendicular translation bearings 14 and 18. Fine adjustments of the vertical position and angular orientation of the test probe 42 relative to the wafer 2 can alternately be made with the vertical and angular flexure arrangements described above.
Once the alignment is satisfactory the test probe contact fingers 44 are lowered until they touch the wafer 2. At this time current is allowed to flow through the coil 56 of the electromagnet to clamp the probe positioning stage 46 to the wafer positioning stage 12. Movements of the wafer 2 after clamping has taken place are accommodated by the sets of X' and Y' translation bearings. The position of the chip with the attached test probe contact fingers 44 in the field of view of the voltage-contrast scanning electron microscope can be controlled by the X drive motor 20 and Y drive motor 34. Different areas of a particular chip can be examined, and all the chips on the wafer can be examined in turn.」(第7欄第32行?第61行)
(当審訳)
「図1、2、3,4を再び参照すると、ICチップのテストにおけるイベントのシーケンスは次のようになる。チップ回路が設けられたウエハ2が、真空チャンバ8内にある板6のウエハ載置ブロック4上に置かれる。テストされるICチップに合う接触フィンガー44のカードが、テストプローブ42に設置され、ウエハ2のほぼ上方に配置されるが、ウェハとは接触していない。そして、ウエハ2は、互いに垂直なトランスレーションベアリング14及び18上の水平面内でウエハ2を移動させる上述したような駆動装置で、電気プローブ42に対して相対的に整列させられる。ウエハ2に対するテストプローブ42の垂直方向や角度方向の精密な調整は、上述した垂直方向と角度方向のたわみ構造で行うことができる。
調整ができたら、テストプローブ接触フィンガー44は、ウエハ2に接触するまで降下する。このとき、ウエハ位置決めステージ12にプローブ位置決めステージ46をクランプするために、電磁石のコイル56に電流が流される。クランプが行われた後のウエハ2の動きは、X'及びY'のトランスレーションベアリングのセットにより調整される。電位コントラスト走査型電子顕微鏡の視野内にある、テストプローブ接触フィンガー44が接触するチップの位置は、X駆動モータ20及びY駆動モータ34によって制御することができる。特定のチップの異なる領域を検査することができ、そして、ウェハ上の全チップを順次検査することができる。」

・前記記載(a)、(d)、(f)、(g)及び図1より、
ア 「ウエハ2上の少なくとも1つのチップのテストのための接触装置」との技術的事項が読み取れる。

・前記記載(a)?(c)、(f)、(g)及び図1より、
イ 「テストのため走査型電子顕微鏡が用いられており、走査型電子顕微鏡は電子ビーム10が沿う軸と電子ビーム10が沿う軸に対応したテスト範囲を有しており」との技術的事項が読み取れる。

・前記記載(b)、(c)、(g)及び図1より、
ウ 「少なくとも1つのテストされるチップを備えたウエハ2のためのウエハを保持するウエハ載置ブロック4であって、ウエハ載置ブロック4と電子ビーム10が沿う軸は相互に移動可能であるウエハ載置ブロック4」との技術的事項が読み取れる。

・前記記載(b)、(c)、(g)及び図1より、
エ 「ウエハ載置ブロック4を移動するウエハ位置決めステージ12」との技術的事項が読み取れる。

・前記記載(a)、(d)、(f)、(g)及び図1より、
オ 「少なくとも1つのテストされるチップと電気的に接触する移動可能なテストプローブ42を備え」との技術的事項が読み取れる。

・前記記載(a)、(e)?(g)及び図1より、
カ 「テストプローブ42と電子ビーム10が沿う軸は、ウエハ2のテストの間、互いに移動可能であり、テストプローブ42はウエハ載置ブロック4に対して独立しており、移動可能であり」との技術的事項が読み取れる。

2 引用発明
以上の技術的事項アないしカを総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「ウエハ2上の少なくとも1つのチップのテストのための接触装置であり、テストのため走査型電子顕微鏡が用いられており、走査型電子顕微鏡は電子ビーム10が沿う軸と電子ビーム10が沿う軸に対応したテスト範囲を有しており、
少なくとも1つのテストされるチップを備えたウエハ2のためのウエハを保持するウエハ載置ブロック4であって、ウエハ載置ブロック4と電子ビーム10が沿う軸は相互に移動可能であるウエハ載置ブロック4と、
ウエハ載置ブロック4を移動するウエハ位置決めステージ12と、
少なくとも1つのテストされるチップと電気的に接触する移動可能なテストプローブ42を備え、前記テストプローブ42と電子ビーム10が沿う軸は、ウエハ2のテストの間、互いに移動可能であり、前記テストプローブ42はウエハ載置ブロック4に対して独立しており、移動可能である装置。」(以下、「引用発明」という。)


第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

1 引用発明における「ウエハ2」、「テスト」、「テストされるチップ」、「走査型電子顕微鏡」、「電子ビーム10が沿う軸」、「ウエハ載置ブロック4」、「ウエハ載置ブロック4を移動するウエハ位置決めステージ12」、「テストプローブ42」は、本願発明における「基板」、「検査」、「検査体」、「検査装置」、「光学軸」、「ホルダー」、「ホルダーの移動ユニット」、「接触ユニット」に、それぞれ相当する。

2 以上の関係を踏まえると、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「基板上の少なくとも1つの検査体の検査のための接触装置であり、検査のため検査装置が用いられており、検査装置は光学軸と光学軸に対応した検査範囲を有しており、
少なくとも1つの検査体を備えた基板のためのホルダーであって、ホルダーと光学軸は相互に移動可能であるホルダーと、
ホルダーの移動ユニットと、
少なくとも1つの検査体と電気的に接触する移動可能な接触ユニットを備え、前記接触ユニットと光学軸は、基板の検査の間、互いに移動可能であり、前記接触ユニットはホルダーに対して独立しており、移動可能である装置。」

(相違点)
本願発明では、接触ユニットが、光学軸に直交する一方向において、ホルダーの寸法の実質的半分の最大寸法を有しているのに対し、引用発明では、テストプローブ42が、電子ビーム10が沿う軸に直交する一方向において、ウエハ載置ブロック4の寸法の実質的半分の最大寸法を有しているか否かが明らかでない点。


第6 当審の判断
上記相違点について、検討する。
まず、本願発明において、接触ユニットが、光学軸に直交する一方向において、ホルダーの寸法の実質的半分の最大寸法を有しているとは、接触ユニットの寸法が、光学軸に直交する一方向において、最大でもホルダーの寸法の実質的半分であるということと解される。
そこで検討するに、装置自体の小型化を図ることは、技術分野を問わず、一般的な課題・目的である。特に、限られたスペースに配置されて使用される装置では、小型化が強く要請されることは明らかである。引用発明におけるテストプローブは、真空チャンバ内という限られたスペースに配置されて使用されるものであるから、テストプローブを小型化して、その寸法を小さくしようとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。そして、本願明細書の発明の詳細な説明等の記載や検査の技術分野の技術常識を考慮しても、接触ユニットの寸法を最大でもホルダーの寸法の実質的半分とすることに格別の技術的意義は見出せないし、また、テストプローブの寸法は、テストプローブが接触するウエハ等のテスト対象物の寸法に応じて当業者が適宜決定するものであるから、引用発明におけるテストプローブの寸法を最大でもウエハ載置ブロックの寸法の実質的半分とすることは、設計的事項であって、当業者であれば容易になし得ることである。
そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明から当業者が予測可能なものであって、格別なものではない。


第7 請求人の主張について
1 請求人は、前記意見書において、「請求項1に係る発明では、「接触ユニットは、光学軸に直交する一方向において、ホルダーの寸法の半分の最大寸法を有」する構成(以下、「構成A」という。)を有するが‥‥‥‥「構成A」の要件は、検査可能なあらゆるサイズの基板の検査に対して、常に接触ユニットがホルダーから外へはみ出ないで検査できる臨界条件となっている。」と主張する。しかしながら、例えば、本願図面の【図4】において、「構成A」の要件を満たす接触ユニット150が最も右側の列にあるディスプレイ401に接触する場合、接触ユニット150はホルダー(サンプル支持体)130から外へはみ出してしまうし、また、接触ユニットがホルダーから外へはみ出ないで検査できるか否かは、接触ユニットの寸法だけでなく、基板上における検査体の数や配置される位置、接触ユニットと検査体が接触する位置、基板がホルダー上のどこに配置されるかなどにもよるから、「構成A」の要件が「検査可能なあらゆるサイズの基板の検査に対して、常に接触ユニットがホルダーから外へはみ出ないで検査できる臨界条件である」などということはできず、請求人の主張は採用できない。

2 請求人は、前記意見書において、「本願発明は、LCD基板のような大面積基板の検査を目的としているのに対し、刊行物1に記載された発明1は、半導体ウェハ上のICチップのような比較的小さな面積の検査が検査対象となっているため、そもそも発明の属する技術分野が異なる。」と主張するが、請求項8はもとより、いずれの請求項にも、検査対象がLCD基板のような大面積基板であることは特定されておらず、当該主張は、請求項の記載に基づかないものであり、採用できない。

3 請求人は、前記意見書において、刊行物1(引用例:当審注)に記載された発明1においては、あえて構成Aのようにする動機をもたらすことはない旨主張するが、「構成A」に関する主張は前記1で説示したように採用できないし、「構成A」が、装置の小型化及び低コスト化を図るためのものであるとしても、装置の小型化及び低コスト化を図ることは、技術分野を問わず、一般的な課題・目的であることは、前記「第6 当審の判断」で説示したとおりであり、引用発明においても小型化及び低コスト化を図る動機はあるといえるから、請求人の主張は採用できない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-11 
結審通知日 2013-11-19 
審決日 2013-12-02 
出願番号 特願2004-552594(P2004-552594)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森 竜介中槙 利明鈴野 幹夫小林 紀史  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 中塚 直樹
関根 洋之
発明の名称 検査体の接触のための装置及び方法  
代理人 安齋 嘉章  

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