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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E06B
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  E06B
審判 全部無効 2項進歩性  E06B
管理番号 1299197
審判番号 無効2014-800050  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-03-31 
確定日 2015-03-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第5246721号発明「引戸装置の改修方法及び改修引戸装置」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯等
本件特許第5246721号に係る出願は、特許法第41条により特願2002-64460号に基づいて優先権を主張して出願した特願2003-62183号(以下、「元出願」という。)の一部を、特許法第44条第1項の規定により新たな出願とした特願2006-74123号(以下、「原出願」という。)の一部を、さらに特許法第44条第1項の規定により新たな出願とした特願2011-180270号(以下、「本件特許出願」という。)に係る特許であり、その経緯概要は以下のとおりである。

平成14年 3月 8日 優先基礎出願(特願2002-64460号)
平成15年 3月 7日 元出願(特願2003-62183号)
平成18年 3月17日 原出願(特願2006-74123号)
平成23年 8月22日 本件特許出願(特願2011-180270号)
平成25年 4月19日 設定登録(特許第5246721号)
平成26年 3月31日 本件無効審判請求
平成26年 6月13日 答弁書(被請求人)提出
平成26年 8月18日 審理事項通知
平成26年 9月11日 口頭審理陳述要領書(請求人提出)
平成26年 9月26日 口頭審理陳述要領書(被請求人提出)
平成26年 9月29日 口頭審理、書面審理通知(口頭審理において)
平成26年10月14日 上申書(請求人提出)


第2.本件発明
本件特許第5246721号の請求項1?10に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明10」という。)は、特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項に特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有する既設引戸枠を残存し、
前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内寄りに室内側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室内側壁部を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面に、その上壁部が室内側壁部よりも室外側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、
この後に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠を有する改修用引戸枠を、前記既設引戸枠内に室外側から挿入し、その改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、
前記改修用下枠の前壁を、ビスによって既設下枠の前壁に固定することで、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けることを特徴とする引戸装置の改修方法。
【請求項2】
建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有する既設引戸枠を残存し、
前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室外側壁部を既設下枠の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、
この後に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠を有する改修用引戸枠を、前記既設引戸枠内に室外側から挿入し、その改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、
前記改修用下枠の前壁を、ビスによって既設下枠の前壁に固定することで、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けることを特徴とする引戸装置の改修方法。
【請求項3】
前記改修用下枠の底壁における室内側脚部分と支持壁との間の部分を、前記取付補助部材の上壁部にビスで固定するようにした請求項1又は2記載の引戸装置の改修方法。
【請求項4】
前記改修用上枠の室外側部に室外側上枠シール材を装着すると共に、前記改修用引戸枠の改修用竪枠の室外側部に室外側竪枠シール材を装着した改修用引戸枠を、前記既設引戸枠内に室外側から挿入し、その室外側上枠シール材を建物の開口部の上縁部に接すると共に、前記室外側竪枠シール材を建物の開口部の縦縁部に接するようにした請求項1又は2又は3記載の引戸装置の改修方法。
【請求項5】
前記既設下枠の室内側部と改修用下枠の室内側部との間を水密するようにした請求項1又は2又は3又は4記載の引戸装置の改修方法。
【請求項6】
建物の開口部に残存した既設引戸枠は、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し、前記既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去され、その既設下枠の室内寄りに室内側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、その取付け補助部材の室内側壁部が既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面に、その上壁部が室内側壁部よりも室外側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付けてあり、
この既設引戸枠内に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され、
この改修用引戸枠の改修用下枠の室内側脚部分と支持壁が、前記取付け補助部材の上壁部で支持され、
前記改修用下枠の前壁が、ビスによって既設下枠の前壁に固定されていることを特徴とする改修引戸装置。
【請求項7】
建物の開口部に残存した既設引戸枠は、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し、前記既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去され、その既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、その取付け補助部材の室外側壁部が既設下枠
の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付けてあり、
この既設引戸枠内に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され、
この改修用引戸枠の改修用下枠の室内側脚部分と支持壁が、前記取付け補助部材の上壁部で支持され、
前記改修用下枠の前壁が、ビスによって既設下枠の前壁に固定されていることを特徴とする改修引戸装置。
【請求項8】
前記改修用下枠の底壁における室内側脚部分と支持壁との間の部分が、前記取付補助部材の上壁部にビスで固定されている請求項6又は7記載の改修引戸装置。
【請求項9】
前記改修用上枠の室外側部に室外側上枠シール材が装着され、この室外側上枠シール材は建物の開口部の上縁部に接し、
前記改修用竪枠の室外側部に室外側竪枠シール材が装着され、この室外側竪枠シール材は建物の開口部の縦縁部に接している請求項6又は7又は8記載の改修引戸装置。
【請求項10】
前記既設下枠の室内側部と改修用下枠の室内側部との間が水密されている請求項6又は7又は8又は9記載の改修引戸装置。


第3 当事者の主張概要
1.請求人の主張概要
請求人は、平成26年3月31日付けの審判請求書において、「特許第5246721号の全請求項に係る発明についての特許は無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする」との審決を求め(請求の趣旨)、以下の理由により、本件特許は特許法第123条第1項規定の無効理由1、無効理由2及び無効理由3が成立する旨主張し、証拠方法として甲第1?6号証を提出した。

無効理由1:本件特許の請求項1?10に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、同第123条第1項第4号に該当し、無効とされるべきものである。
無効理由2:本件特許出願は分割不適法であって出願日は遡及せず、本件特許の請求項1?10に係る発明は、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明と同一であり特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、また、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。よって、同第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。
無効理由3:原出願は分割不適法なので、原出願及び当該原出願からの分割出願である本件特許出願の出願日は遡及せず、本件特許の請求項1?10に係る発明は、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明と同一であり特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、また、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。よって、同第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

[証拠方法]
甲第1号証 特許第5246721号公報(本件特許公報)
甲第2号証 平成26年2月12日付け技術説明書(荷重に対する支持に際して生成されるせん断力及び曲げモーメントに関する技術説明資料である。)
甲第3号証 特開2006-152802号公報(原出願の公開公報)
甲第4号証 特開2003-328645号公報(元出願の公開公報)
甲第5号証 平成26年(ワ)第7643号侵害訴訟事件の訴状の写し
甲第6号証 特許第4839108号(原出願の特許公報)

2.被請求人の主張概要
被請求人は、平成26年6月13日付けで答弁書を提出し、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求め」(答弁の趣旨)、本件発明(請求項1?10)について、無効理由1?3は理由がない旨を主張した。


第4 無効理由に対する当審の判断
1.無効理由1について(サポート要件違反)
(1)請求人の主張
請求人は審判請求書、上申書において以下のように主張している。
ア 「請求項1発明、同6発明においては、取付け補助部材は室内側壁部及び上壁部を有するも室外側壁部の存在は要件とされておらず、請求項2発明、同7発明においては、取付け補助部材は室外側壁部及び上壁部を有するも室内側壁部の存在は要件とされていない。
したがって、請求項1発明及び同6発明においては、室内側壁部+上壁部による逆L字状の構成を包摂しており、請求項2発明及び同7発明においては、室外側壁部+上壁部による逆L字状の構成を包摂していることに帰する。」(審判請求書10頁11-17行)

イ 「(一)(1).請求項1、6発明の構成は、図14に示す実施形態と対応関係にある。
発明の詳細な説明に記載の逆U字状の取付け補助部材106の技術概念を、特許請求の範囲に記載の逆L宇状の取付け補助部材106にまで拡張又は一般化が可能であるならば、図14に示す実施形態においては、室外側壁部107の存在は、室内側壁部108を背後壁104へのビスによる固着に対する作業の支障となる以上、逆L字状の取付け補助部材106が当然好ましい実施形態に該当することに帰する。
(2).然るに、段落【0100】においては「例えば、取付け補助部材106の室内側壁部108を既設下枠56の背後壁104にビス110で固着する。この場合には室外側壁部107に図示しないビス挿通孔を形成し、そのビス挿通孔からビス止めすることが好ましい。」と記載している。
即ち、室外側壁部107を有する逆U字状の取付け補助部材106が好ましい実施形態であることを説明しており、却って、逆L宇状の取付け補助部材106は好ましい実施形態から排除されているのである。」(審判請求書11頁18行-12頁5行)

ウ 「このような説明からも明らかなように、請求項2発明及び同7発明に対応する実施形態においては、支持壁89及び室内側脚部分91に対する取付け補助部材106の室外側壁部107及び室内側壁部108の両側からの支持によって初めて、本件発明の基本的技術思想が達成可能であることを明らかにしており、逆に、上記達成を保証していない逆L字状の取付け補助部材については、想定外としているのである。」(審判請求書13頁14-20行)

エ 「とすれば、本件特許発明において、各実施形態に適用し得る基本的構成は、必然的に上壁部109の両側に室外側壁部107及び室内側壁部108の双方の壁部を有する逆U宇状であることを必要不可欠とする。
(2).然るに、請求項1発明及び同6発明の場合には、逆U宇状の取付け補助部材のみならず、室外側壁部107を欠落した逆L字状の取付け補助部材も包摂されており、請求項2発明及び同7発明の場合には、逆U字状の取付け補助部材のみならず、室内側壁部108を欠落した逆L宇状の取付け補助部材も包摂されることによって、本件特許発明は、合計3個の形態に基づく取付け補助部材が存在することに帰する。
言うまでもなく、そのような帰結は、取付け補助部材106が逆U字状による1個の形態に特定されるという基本的構成と明らかに相反している。」(審判請求書14頁7-19行)

オ 「本件特許出願においては、逆U字状の取付け補助部材のみならず、逆L字状の取付け補助部材をも包摂している現状の請求項1発明、同2発明、同6発明、同7発明を唐突に導入し、かつ【課題を解決するための手段】の項(段落【0013】?【0016】)において、これらの独立クレーム発明の構成を説明したうえで、上記作用効果の発揮の説明に及んでいる(段落【0018】)。
しかしながら、このような一連の説明に立脚した場合には、段落【0019】記載の各図面の簡単な説明、及び段落【0020】以下の【発明を実施するための形態】によって具現化されている客観的構成、即ち、逆U字状の取付け補助部材106によって初めて上記作用効果を達成し得るという基本的技術思想から明らかに逸脱した技術内容を本件発明の技術内容によって包摂させることに他ならない。
4.このように、発明の詳細な説明に記載されている逆U字状の構成を逆L宇状の構成に拡張又は一般化することは、発明の詳細な説明に客観的に記載されている基本的技術思想から逸脱した技術内容の導入に他ならず、特許制度の趣旨に反するものである。」(審判請求項19頁23行-20頁9行)

カ 「・・・各実施形態において、逆U字状の取付け補助部材106が採用されているが、その原因は、逆L字状の採用では実現し得ない技術的合理性が存在することに由来している。甲第2号証の技術説明に即して、上記技術的合理性を以下の通り明らかにする。
・・・
逆L字状も採用可能であることを想定した場合には、上記荷重に対する耐せん断力及び耐曲げモーメントの状態に即するならば、・・・逆U字条の構成が採用され、逆に、逆L字状の構成は、排斥されねばならない。」(審判請求書14頁26-29行、15頁11-14行)

キ 「本件発明においては、上壁部109につき、上記せん断力の集中、更にはモーメントの蓄積に耐えられるような素材としての構成を何ら提示していない。」(審判請求書19頁10-12行)

ク 「1.「形状」と「寸法」との関係
(一).形状と寸法とは、本来異なる尺度である。
(二)(1).しかしながら、形状が特定している場合には、当該形状の個別の構成要素における寸法も特定している。
(2).このように、寸法は形状の個別の要素に付随している以上、寸法の特定は形状の特定を前提としている。逆に、寸法の特定によって形状が特定することはあり得ない以上、寸法は、形状の特定を前提とする尺度と位置付けることができる。前記の点は、既設下枠及び取付け補助部材においても変わりはない。
(三).かくみるならば、上記「形状、寸法」とは、「形状及び当該形状を特定するための寸法」の趣旨と解する以外にない。即ち、既設下枠と取付け補助部材との「形状、寸法」の対応関係においては、「形状」の対応関係が優先するのである。」(上申書4頁10-22行)

ケ 「(一).しかしながら、既設下枠及び取付け補助部材の「形状、寸法」は何れも水平方向及び垂直方向に沿って形成されている。
然るに、上記後半の説示では、「ほぼ同じ高さ」に沿った垂直方向の高さのみを論じており、水平方向に関する考察が全く欠落している。
(二).上記説示における取付け補助部材の「寸法や形状を変える」という表現が採用されている。
このような表現によれば、「形状、寸法」はそれぞれ相互に独立した尺度に該当することになる。
(1).しかしながら、「形状、寸法」とは、前記第1項二2(2頁)において指摘したように、「形状及び当該形状を特定するための寸法」の趣旨である以上、寸法と形状とが独立にて変化することはあり得ない。即ち、段落【0018】の「形状、寸法」とは、既設下枠の「形状及び当該形状を特定するための寸法」の趣旨である以上、「形状」の変化に伴って「寸法」も変化するのである。
(2).然るに、上記説示においては、双方の上端が「ほぼ同じ高さとなるように」調整するという専ら寸法に関する事項のみを論じており、「形状」を論じていない点において、上記説示は根本的に誤っている。
(3).上記の説示の下に、別件判決は、構成B、即ち逆L字状の構成をも採用可能である旨の結論に及んでいるが、当該結論が誤っていることは次の2において後述するとおりである。
(三).かくみるならば、別件判決は、段落【0018】の基本的解釈において既に誤謬に陥っている。」(上申書3頁22行-4頁18行)

コ 「(1).既設下枠の室内寄りにおける水平方向及び垂直方向に沿った「形状及び寸法」を規定する要因は、背後壁の立面及び室内側案内レールに他ならない。
・・・
(2).上記(1)の「形状」における対応関係が成立するためには、背後壁の立面に対応する「形状」を実現する室内側壁部、及び室内側案内レールに対応する「形状」を実現する室外側壁部の双方を備えていなければならない。
・・・
(4).このように、垂直方向のみならず、水平方向における「形状、寸法」の対応関係によって、段落【0018】記載の取付け補助部材とは必然的に、室内側壁部、室外側壁部、及び上壁部を有する逆U字状に特定されることに帰する。」(上申書5頁10行-6頁13行)

(2)被請求人の主張
被請求人は審判事件答弁書、平成26年9月26日付け口頭審理陳述要領書において以下のように主張している。(注:丸数字は○1、○2、・・・のように表示する。以下、同様。)
ア 「(2)判決に基づく検討
前記1の本件明細書等の記載によれば、本件発明は、従来技術において、
(ア)改修用下枠が既設下枠に載置された状態で既設下枠に固定されるので、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題(以下「課題(ア)」という)、及び、
(イ)改修用下枠の下枠下地材は既設下枠の案内レール上に直接乗載され、その案内レールを基準として固定されるため改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅がより小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題(以下「課題(イ)」という。)という問題があったため、
これらの問題を、
○1 既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去し、既設下枠の室内寄りに室内側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にその上壁部が室内側壁部よりも室外側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取り付ける(以下「構成○1」という。)または、
○2 既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去し、既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室外側壁部を既設下枠の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取り付ける(以下「構成○2」という。)、ことにより解決したものであり、
構成○1または○2を採ることにより、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく、広い開口面積が確保でき、既設引戸枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、形状、寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けることができるという効果を奏するものである。
そして、本件明細書【0100】及び【図14】には、構成○1の具体的な構成(実施形態)が、並びに本件明細書【0030】、 【0051】、 【0069】、 【0070】、 【0091】、 【0092】、及び【図1】、 【図3】、 【図6】、 【図10】、 【図11】、 【図13】には、構成○2の具体的な構成(実施形態)が記載されている。
つまり本件発明において、課題(ア)及び(イ)を解決するためには、構成○1または構成○2を採用すれば足りる。
以上によれば、本件明細書等の発明の詳細な説明には、当業者において、特許請求の範囲に記載された本件発明の課題とその解決手段その他当業者が本件発明を理解するために必要な技術的事項が記載されているものである。」(答弁書10頁4行-11頁12行)

イ 「サポート要件の検討は、本件発明の課題解決及び効果を奏するために必須の構成として特許請求の範囲で特定されている構成○1及び構成○2が明細書及び図面でサポートされているか否かで検討されるべきものである。
したがって、本件発明の特許請求の範囲で特定されていない「逆L字型」の取付け補助部材が構成○1及び構成○2に包摂されているか否かはサポート要件の検討の基本的争点とはならない。」(口頭審理陳述要領書2頁5-10行)

(3)当審の判断
ア 発明における課題とその解決手段その他当業者が当該発明を理解するために必要な技術的事項が発明の詳細な説明に記載されているか否かについて検討する。

イ 本件発明に係る特許明細書(以下、「本件特許明細書」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁に窓として設けられている既設引戸を改修用引戸に改修する引戸装置の改修方法、及び、その改修した改修引戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は従来の技術の改修用引戸装置1を示す鉛直断面図であり、図16は図15の切断面線VII-VIIから見た水平断面図である。経年変化によって老朽化した集合住宅などの建物は、リフォームとも呼ばれる改修工事の一環として、その建物に設けられる窓もまた、改修される。この窓は、集合住宅の場合、一棟に設けられる設置箇所数が多いため、改修作業の効率の向上が望まれている。」

(イ)「【0008】
上記の改修用下枠13、改修用竪枠14および改修用上枠15が、既設下枠5、既設竪枠7および既設上枠9にそれぞれ取付けられた後、下枠カバー材19が改修用下枠13の下枠補助材30にビス47によって固定され、竪枠カバー材18が改修用竪枠14の竪枠補助材37にビス48によって固定され、上枠カバー材17が改修用上枠15の上枠補助材43にビス49によって固定される。」

(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来の技術では、改修用下枠13が既設下枠5に載置された状態で既設下枠5に固定されるので、改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1が小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題がある。
【0011】
また、改修用下枠13の下枠下地材30は既設下枠5の案内レール21、22上に直接乗載され、その案内レール21、22を基準として固定されているから前述の改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1がより小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、広い開口面積を確保することができる引戸装置の改修方法及び改修引戸装置を提供することである。
【0013】
本発明の第1の引戸装置の改修方法は、建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有する既設引戸枠を残存し、
前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内寄りに室内側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室内側壁部を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面に、その上壁部が室内側壁部よりも室外側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、
この後に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠を有する改修用引戸枠を、前記既設引戸枠内に室外側から挿入し、その改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、
前記改修用下枠の前壁を、ビスによって既設下枠の前壁に固定することで、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けることを特徴とする引戸装置の改修方法である。
本発明の第2の引戸装置の改修方法は、建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有する既設引戸枠を残存し、
前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室外側壁部を既設下枠の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、
この後に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠を有する改修用引戸枠を、前記既設引戸枠内に室外側から挿入し、その改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、
前記改修用下枠の前壁を、ビスによって既設下枠の前壁に固定することで、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けることを特徴とする引戸装置の改修方法である。
【0014】
本発明の引戸装置の改修方法においては、次のようにすることができる。
前記改修用下枠の底壁における室内側脚部分と支持壁との間の部分を、前記取付補助部材の上壁部にビスで固定するようにする。
前記改修用上枠の室外側部に室外側上枠シール材を装着すると共に、前記改修用引戸枠の改修用竪枠の室外側部に室外側竪枠シール材を装着した改修用引戸枠を、前記既設引戸枠内に室外側から挿入し、その室外側上枠シール材を建物の開口部の上縁部に接すると共に、前記室外側竪枠シール材を建物の開口部の縦縁部に接するようにする。
前記既設下枠の室内側部と改修用下枠の室内側部との間を水密するようにする。
【0015】
本発明の第1の改修引戸装置は、建物の開口部に残存した既設引戸枠は、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し、前記既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去され、その既設下枠の室内寄りに室内側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、その取付け補助部材の室内側壁部が既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面に、その上壁部が室内側壁部よりも室外側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付けてあり、
この既設引戸枠内に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され、
この改修用引戸枠の改修用下枠の室内側脚部分と支持壁が、前記取付け補助部材の上壁部で支持され、
前記改修用下枠の前壁が、ビスによって既設下枠の前壁に固定されていることを特徴とする改修引戸装置である。
本発明の第2の改修引戸装置は、建物の開口部に残存した既設引戸枠は、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し、前記既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去され、その既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、その取付け補助部材の室外側壁部が既設下枠の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付けてあり、
この既設引戸枠内に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高く、かつ室内側寄りに室内側脚部分を有した底壁を備え、この底壁の室内側脚部分よりも室内側寄りに支持壁を有した改修用下枠、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され、
この改修用引戸枠の改修用下枠の室内側脚部分と支持壁が、前記取付け補助部材の上壁部で支持され、
前記改修用下枠の前壁が、ビスによって既設下枠の前壁に固定されていることを特徴とする改修引戸装置である。」

(エ)「【発明の効果】
【0018】
請求項1?6記載の本発明によれば、既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去したので、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく、有効開口面積が減少することがなく、広い開口面積が確保できる。
また、既設下枠に室内寄りに取付補助部材を設けるとともに、この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付け、取付け補助部材を基準として改修用引戸枠を既設引戸枠に取付けるので、既設引戸枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、形状、寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けできる。」

(オ)「【0029】
このような既設下枠56と改修用下枠69との間には、取付け補助部材106が介在される。この取付け補助部材106は、室外側壁部107と、室内側壁部108と、室外側壁部107および室内側壁部108の各上端部に連なる上壁部109とを有し、断面逆U字状の長尺材から成る。この取付け補助部材106は、既設下枠56に、室内側案内レール67に室外73側から室外側壁部107を当接させ、かつ背後壁104に室外73側から室内側壁部108を当接させた状態で、前記上壁部109を上方にして装着される。前記室外側壁部107は、室内側案内レール115にビス110によって固定される。
【0030】
取付け補助部材106の上壁部109には、装着された改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89とが支持され、第3底壁部86がビス111によって固定される。また、前壁80は、ビス112によって既設下枠56の前壁102に固定される。」

(カ)「【0051】
図3は改修用引戸装置50の既設引戸枠63への取付け手順を説明するための鉛直断面を示す分解図であり、図4は図3の切断面線IV-IVから見た水平断面を示す分解図である。既設引戸枠63に改修用引戸装置50を取付けるにあたって、まず既設下枠56の室外側案内レール114がその付け根付近から切断されて撤去され、室内側案内レール115には取付け補助部材106が上壁部109を上方にして装着され、ビス110によって固定される。こうして取付け補助部材106が室内側案内レール115に取付けられた状態では、前記上壁部109はほぼ水平に配置されている。
前記取付け補助部材106は長手方向全長に亘って取付けても良いし、長手方向複数位置に取付けても良い。」

(キ)「【0060】
さらに本実施の形態によれば、前記改修用下枠69には水抜き孔84が形成されるので、改修用下枠69と既設下枠56との間の空間S1に外部から浸入した水、および空間S1内の結露によって生じた結露水などを室外73に排出して、室内68への水の浸入および漏洩を確実に遮断することができる。
また、本実施の形態によれば既設下枠56の室外側案内レール114を切断して撤去し、取付け補助部材106の上壁部109に改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89を支持しているので、改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅が大きく、有効開口面積が減少することが少ない。
しかも、取付け補助部材106を基準として改修用下枠69を取付けできるから、既設下枠56の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付補助部材106を用いることで、同一の改修用下枠69を取付けできる。
なお、この効果のみを達成するのであれば、改修用上枠72、各改修用竪枠70、71は図15、図16に示すように取付けても良い。」

(ク)「【0067】
図6は本発明の実施の他の形態の改修用引戸装置50bが設置された窓51の鉛直断面図で、図7は図6の切断面線B-Bから見た窓51の水平断面図である。なお、前述の図1、図2に示す実施の形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施の形態の改修用引戸装置50bは、基本的には前述の図1、図2に示す実施形態の改修用引戸装置50と同様に構成され、建物52の開口部53の開口54に下方から臨む下縁部55に、略水平に固定される既設下枠56と、開口部53の前記開口54に左右両側から臨む両側縁部57,58に略鉛直にそれぞれ固定される一対の既設竪枠59,60と、開口部53の前記開口54に上方から臨む上縁部61に略水平に固定される既設上枠62とを有する既設引戸枠63内に嵌まり込んだ状態で装着される改修用引戸装置50bであって、図示を省略した引戸障子を略水平な方向に移動自在に支持する複数の案内レール66,67を有し、既設下枠56に室内68側から支持される改修用下枠69と、各既設竪枠59,60に室内68側から支持される一対の改修用竪枠70,71と、既設上枠62に室内68側から支持され、前記引戸障子を略水平な方向に移動自在に支持する室外側リブ123、室内側リブ124を有する改修用上枠72より成る改修用引戸枠250及び、各既設竪枠59,60に室外73側から支持され、各改修用竪枠70,71にそれぞれ連結される一対の竪枠用保持部材74,75と、既設上枠62に室外73側から支持され、改修用上枠72に連結される上枠用保持部材76と、既設下枠56に取付けた取付け補助部材106とを含む。」

(ケ)「【0069】
この実施の形態の既設下枠56、改修用下枠69、取付け補助部材106は前述の図1、図2に示す実施の形態の既設下枠56、改修用下枠69、取付け補助部材106とほぼ同様で、既設下枠56の背後壁104の上端部に室内68側に向かう横向片104aを有し、この横向片104aと改修用下枠69の支持壁89の上端が同一高さであること、改修用下枠69の室外73側部分に乾式の室外側下枠シール材300が室内68側に向けて装着され、この室外側下枠シール材300が既設下枠56の前壁102に圧接していることが大きく相違する。
【0070】
具体的には、既設下枠56の室外側案内レール114を図6の仮想線で示すように切断して撤去されている。この室外側案内レール114は全てを切断して撤去しても良いし、若干残して撤去しても良い。取付け補助部材106は、その室外側壁部107が室内側案内レール115にビス110で固着して取付けられる。
改修用下枠69の支持壁89、室内側脚部分91が取付け補助部材106の上壁部109に支持され、底壁81の室外寄りがスペーサ301を介して既設下枠56の底壁103の室外寄りに支持され、ビス112で取付け補助部材106に固定される。」

(コ)「【0091】
この実施の形態によれば、図1と図2と同様な作用効果を奏すると共に、次のような作用効果を奏する。
(1)既設下枠56に取付け補助部材106を取付け、改修用下枠69の室内側脚部分91、支持壁89(つまり、改修用下枠69の室内側部分)を取付け補助部材106に載置し、その取付け補助部材106にビス112で固着して取りと付けたことをによって、その取付用補助部材106の高さ寸法を変えることで、異なる形状の既設下枠56にも同一形状の改修用下枠56を、その支持壁89と背後壁104を同一高さに取付けることが可能である。
【0092】
(2)また、前述の(1)と室外側下枠シール材300が既設下枠56の前壁102に圧接していることによって、室内側案内レール115の立上り寸法が大きな既設下枠56にも同一形状の改修用下枠69を取付けできる。
例えば、図10に示すように取付け補助部材106の高さ寸法を大きくして室内側壁部108を底壁103に当接し、かつ室内側案内レール115にビス110で取付ける。
室内側下枠シール材300を前壁102に当接する。
この場合には、支持壁89が背後壁104より若干上方に突出する。」

(サ)「【0100】
また、図14に示すように、既設下枠56の室内側案内レール115を前述と同様に切断して撤去し、取付け補助部材106を既設下枠56の背後壁104にビス110で固着しても良い。
例えば、取付け補助部材106の室内側壁部108を既設下枠56の背後壁104にビス110で固着する。この場合には室外側壁部107に図示しないビス挿通孔を形成し、そのビス挿通孔からビス止めすることが好ましい。」

ウ 上記本件特許明細書の記載によれば、本件発明1?10は、従来技術において、
(ア)改修用下枠が既設下枠に載置された状態で既設下枠に固定されるので、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題(以下「課題(ア)」という。)、及び、
(イ)改修用下枠の下枠下地材は既設下枠の案内レール上に直接乗載され、その案内レールを基準として固定されるため改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅がより小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題(以下「課題(イ)」という。)があったため、
これらの問題を、
A.既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内寄りに室内側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室内側壁部を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面に、その上壁部が室内側壁部よりも室外側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付ける(以下「構成A」という。)、又は、
B.既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室外側壁部を既設下枠の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け、改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付ける(以下「構成B」という。)、
ことにより解決したものであり、
構成A又は構成Bを採ることにより、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく、広い開口面積が確保でき、既設引戸枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、形状、寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けできるという効果を奏するものであると認められる。
そして、本件発明の構成A(請求項1、6及び当該請求項に従属する請求項3-5、8-10)、または、構成B(請求項2、7及び当該請求項に従属する請求項3-5、8-10)の具体的な構成として、取付け補助部材106の室内側壁部108を背後壁104にビス110で取付け、本件特許明細書の段落【0100】及び図14には構成Aの具体的な構成が記載され、また、本件特許明細書の段落【0030】【0051】【0069】【0070】【0091】【0092】及び図1、3、6、10、11、13には、構成Bの具体的な構成が記載されている。
以上によれば、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、当業者において、特許請求の範囲に記載された本件発明の課題とその解決手段その他当業者が本件発明を理解するために必要な技術的事項が記載されているものといえる。

エ 請求人の主張(1)ア?オについての検討。
本件特許明細書において、前記ウ(ア)(イ)の課題を解決するための取付け補助部材の構成として、室外側壁部107及び室内側壁部108の両方の壁部を有する逆U字状の取付け補助部材が必須であるとはいえない。さらにこのことは、他の実施形態である、逆U字状の取付け補助部材に関する本件明細書図14で示す実施形態において、上壁部が水平方向となるように、室内側壁部108が背後壁にビス止めされ、室外側壁部107は既設下枠の底壁103に当接しない構成も記載されることからしても明らかである。
また、特許法第36条第6項1号のサポート要件は、特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を発明の詳細な説明に記載することまで要求していると解すべきものではない。
そして、本件発明の課題(ア)及び(イ)を解決する上で、構成1及び構成2を採用すれば足り、取付け補助部材が逆U字状の形状とすることや、取付け補助部材による具体的な支持位置は必須の構成であるとは認められない。
このことは、本件特許明細書の段落【0060】において、既設下枠56の室外側案内レール114を切断して撤去し、取付け補助部材106の上壁部109に改修用下枠69を支持しているので、改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅が大きく、有効開口面積が減少することが少なく、取付け補助部材106を基準として改修用下枠69を取付けできるから、既設下枠56の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材106を用いることで、同一の改修用下枠69を取付けできることが記載されており、取付け補助部材の上壁部において改修用下枠を支持する構成によって、本件発明の課題とその作用効果である、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく、広い開口面積が確保でき、既設引戸枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、形状、寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けできることからも、裏付けられている。
よって、請求人の主張は採用できない。

オ 請求人の主張(1)カ、キについての検討。
前記ウで認定のとおり、本件発明において、課題(ア)及び(イ)を解決するためには、構成1又は構成2を採用すれば足りるものであり、取付け補助部材の特定の形状や、取付け補助部材による改修用下枠の具体的な支持位置は、上記課題の解決には必須の構成ではなく、本件効果を奏するために、基準となる取付け補助部材が、個々の既設下枠の形状や、改修用下枠の取付け位置、高さに応じて、形状や寸法を設定する(【0018】【0060】)のであるから、上壁部において改修用下枠を支持するに必要な剛性を取付け補助部材が有していれば足りるので、逆L字状の構成が排斥されるべきとはいえない。
よって、請求人の主張は採用できない。

カ 請求人の主張(1)ク?コについての検討。
本件特許明細書の段落【0018】において「既設引戸枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、形状、寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けできる。」との記載は、既設引戸枠の形状、寸法と取付け補助部材の形状、寸法とが厳密な「対応関係」にあることを意味し、既設引戸枠の形状、寸法に「対応して」、取付け補助部材の水平方向及び上下方向の形状、寸法が一義的に定まることを要するものではなく、取付け補助部材の形状が一義的に定まり、高さ方向、水平方向の幅が一義的に設定されることを要求されることを意味するものとは認められない。 そして、取付け補助部材において、形状と改修用下枠を支持する位置を設定する際に、取付けの目的に対応するようにそれらの整合性を図ることは、当業者にとって当然のことであり、逆L字状の構成を採用し、高さ方向や水平方向の寸法を設定することは当業者にとって自明である。
よって、本件特許明細書の段落【0018】の上記記載のみをもって、取付け補助部材が必然的に、室内側壁部、室外側壁部、及び上壁部を有する逆U字状に特定されるとはいえない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。

(4)小括
以上によれば、本件発明1?10は、本件特許明細書において上記(3)で検討したとおり十分に裏付けられ開示されているものと認められ、特許法第36条第6項第1号で規定するサポート要件を満たしているから、無効理由1には理由がない。

2.無効理由2(本件特許出願が分割不適法であることを前提とした新規性進歩性欠如)について
(1)請求人の主張
請求人は以下のように主張している。
ア 「このような説明からも明らかなように、請求項2発明及び同7発明に対応する実施形態においては、支持壁89及び室内側脚部分91に対する取付け補助部材106の室外側壁部107及び室内側壁部108の両側からの支持によって初めて、本件発明の基本的技術思想が達成可能であることを明らかにしており、逆に、上記達成を保証していない逆L字状の取付け補助部材については、想定外としているのである。
(三).このように、請求項2発明及び同7発明は、原出願明細書において想定されていない逆L字状の取付け補助部材を包摂していることに帰する。
3.小括
かくして、請求項2及び同7発明には、甲3の原出願明細書に記載されていない取付け補助部材による構成が包括されている点において、明らかに分割不適法が成立する。
二.新規性及び進歩性の欠如
1.本件特許出願が分割要件を充足していない以上、本件特許願の出願日を、原出願日に遡及することはできない。
従って、本件特許出願発明の新規性及び進歩性は、現実に出願が行われた平成23年8月22日を基準として判断され、甲4の元出願公開公報は、本件発明に対する公知技術文献に該当する。」(審判請求書22頁26行-23頁15行)

(2)被請求人の主張
被請求人は審判事件答弁書において以下のように主張している。
ア 「請求人は「請求項2発明及び同7発明は、原出願明細書に記載されていない逆L字状取付け補助部材を包摂していることに帰する。」としているが、判決によれば「特許法44条1項の要件を充足するためには、本件特許発明が原出願に係る当初明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されているか否かを判断すれば足りる。」のであり、請求人のように、分割後の出願の特許請求の範囲に格別記載されていない構成を想定して、分割出願の要件を検討すべきものではない。」(答弁書16頁8?13行)

(3)当審の判断
ア 本件は、特願2006-74123号の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願とした特願2011-180270号の出願に係る特許である。
そこで、分割要件について、以下に、本件発明2及び同発明7が特願2006-74123号の願書に最初に添付した明細書(以下、「原出願当初明細書」という。)に記載された発明であるか否かについて検討する。

イ 原出願当初明細書には、次の内容の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁に窓として設けられている既設引戸を改修用引戸に改修する引戸装置の改修方法、及び、その改修した改修引戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は従来の技術の改修用引戸装置1を示す鉛直断面図であり、図16は図15の切断面線VII-VIIから見た水平断面図である。経年変化によって老朽化した集合住宅などの建物は、リフォームとも呼ばれる改修工事の一環として、その建物に設けられる窓もまた、改修される。この窓は、集合住宅の場合、一棟に設けられる設置箇所数が多いため、改修作業の効率の向上が望まれている。」

(イ)「【0008】
上記の改修用下枠13、改修用竪枠14および改修用上枠15が、既設下枠5、既設竪枠7および既設上枠9にそれぞれ取付けられた後、下枠カバー材19が改修用下枠13の下枠補助材30にビス47によって固定され、竪枠カバー材18が改修用竪枠14の竪枠補助材37にビス48によって固定され、上枠カバー材17が改修用上枠15の上枠補助材43にビス49によって固定される。」

(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来の技術では、改修用下枠13が既設下枠5に載置された状態で既設下枠5に固定されるので、改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1が小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題がある。
【0011】
また、改修用下枠13の下枠下地材30は既設下枠5の案内レール21、22上に直接乗載され、その案内レール21、22を基準として固定されているから前述の改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1がより小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、広い開口面積を確保することができる引戸装置の改修方法及び改修引戸装置を提供することである。」

(エ)「【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去したので、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく、有効開口面積が減少することがなく、広い開口面積が確保できる。
また、既設下枠に取付けした取付け補助部材を基準として改修用引戸枠を既設引戸枠に取付けるので、既設引戸枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、形状、寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けできる。」

(オ)「【0029】
このような既設下枠56と改修用下枠69との間には、取付け補助部材106が介在される。この取付け補助部材106は、室外側壁部107と、室内側壁部108と、室外側壁部107および室内側壁部108の各上端部に連なる上壁部109とを有し、断面逆U字状の長尺材から成る。この取付け補助部材106は、既設下枠56に、室内側案内レール67に室外73側から室外側壁部107を当接させ、かつ背後壁104に室外73側から室内側壁部108を当接させた状態で、前記上壁部109を上方にして装着される。前記室外側壁部107は、室内側案内レール115にビス110によって固定される。
【0030】
取付け補助部材106の上壁部109には、装着された改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89とが支持され、第3底壁部86がビス111によって固定される。また、前壁80は、ビス112によって既設下枠56の前壁102に固定される。」

(カ)「【0051】
図3は改修用引戸装置50の既設引戸枠63への取付け手順を説明するための鉛直断面を示す分解図であり、図4は図3の切断面線IV-IVから見た水平断面を示す分解図である。既設引戸枠63に改修用引戸装置50を取付けるにあたって、まず既設下枠56の室外側案内レール114がその付け根付近から切断されて撤去され、室内側案内レール115には取付け補助部材106が上壁部109を上方にして装着され、ビス110によって固定される。こうして取付け補助部材106が室内側案内レール115に取付けられた状態では、前記上壁部109はほぼ水平に配置されている。
前記取付け補助部材106は長手方向全長に亘って取付けても良いし、長手方向複数位置に取付けても良い。」

(キ)「【0067】
図6は本発明の実施の他の形態の改修用引戸装置50bが設置された窓51の鉛直断面図で、図7は図6の切断面線B-Bから見た窓51の水平断面図である。・・・」

(ク)「【0069】
この実施の形態の既設下枠56、改修用下枠69、取付け補助部材106は前述の図1、図2に示す実施の形態の既設下枠56、改修用下枠69、取付け補助部材106とほぼ同様で、既設下枠56の背後壁104の上端部に室内68側に向かう横向片104aを有し、この横向片104aと改修用下枠69の支持壁89の上端が同一高さであること、改修用下枠69の室外73側部分に乾式の室外側下枠シール材300が室内68側に向けて装着され、この室外側下枠シール材300が既設下枠56の前壁102に圧接していることが大きく相違する。
【0070】
具体的には、既設下枠56の室外側案内レール114を図6の仮想線で示すように切断して撤去されている。この室外側案内レール114は全てを切断して撤去しても良いし、若干残して撤去しても良い。
取付け補助部材106は、その室外側壁部107が室内側案内レール115にビス110で固着して取付けられる。
改修用下枠69の支持壁89、室内側脚部分91が取付け補助部材106の上壁部109に支持され、底壁81の室外寄りがスペーサ301を介して既設下枠56の底壁103の室外寄りに支持され、ビス112で取付け補助部材106に固定される。」

(ケ)「【0091】
この実施の形態によれば、図1と図2と同様な作用効果を奏すると共に、次のような作用効果を奏する。
(1)既設下枠56に取付け補助部材106を取付け、改修用下枠69の室内側脚部分91、支持壁89(つまり、改修用下枠69の室内側部分)を取付け補助部材106に載置し、その取付け補助部材106にビス112で固着して取りと付けたことをによって、その取付用補助部材106の高さ寸法を変えることで、異なる形状の既設下枠56にも同一形状の改修用下枠56を、その支持壁89と背後壁104を同一高さに取付けることが可能である。
【0092】
(2)また、前述の(1)と室外側下枠シール材300が既設下枠56の前壁102に圧接していることによって、室内側案内レール115の立上り寸法が大きな既設下枠56にも同一形状の改修用下枠69を取付けできる。
例えば、図10に示すように取付け補助部材106の高さ寸法を大きくして室内側壁部108を底壁103に当接し、かつ室内側案内レール115にビス110で取付ける。
室内側下枠シール材300を前壁102に当接する。
この場合には、支持壁89が背後壁104より若干上方に突出する。」

(コ)「【0094】
例えば、室内側案内レール115の室外側面にスペーサ330を介して取付け補助部材106の室外側壁部107をビス110で取付け、その室内側壁部108と前記突出部104bを離隔し、下枠用シール材79のためのスペーサを形成する。・・・」

ウ 上記認定の原出願当初明細書の記載によれば、原出願当初明細書には、従来技術において、
(ア)改修用下枠が既設下枠に載置された状態で既設下枠に固定されるので、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題、及び、
(イ)改修用下枠の下枠下地材は既設下枠の案内レール上に直接乗載され、その案内レールを基準として固定されるため改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅がより小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題があったことに鑑み、
これらの問題を、
既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内側部分に室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材をビスで取付け、改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付ける(【0013】)(以下「構成A」という。)、
ことにより解決したものであり、
構成Aを採ることにより、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく、広い開口面積が確保でき、既設引戸枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、形状、寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けできるという効果を奏するものであると認められる。

エ 構成Aの具体的な構成として、原出願当初明細書には「取付け補助部材106は、既設下枠56に、室内側案内レール67に室外73側から室外側壁部107を当接させ、かつ背後壁104に室外73側から室内側壁部108を当接させた状態で、前記上壁部109を上方にして装着される。前記室外側壁部107は、室内側案内レール115にビス110によって固定される」(【0029】)、「取付け補助部材106の上壁部109には、装着された改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89とが支持され、第3底壁部86がビス111によって固定される。また、前壁80は、ビス112によって既設下枠56の前壁102に固定される」(【0030】)ことが記載されている。
そして、取付け補助部材の上記構成Aの具体的な構成は本件発明2及び7のうち、「前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し、前記既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室外側壁部を既設下枠の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け」、「その改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し」、「前記改修用下枠の前壁を、ビスによって既設下枠の前壁に固定することで、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けること」に相当する。

オ よって、本件発明2及び同発明7は原出願当初明細書等に記載されたものと認められる。

カ 請求人の主張についての検討。
まず、課題(ア)及び(イ)を解決するためには、構成Aを採用すれば足り、取付け補助部材の特定の形状や、取付け補助部材による改修用下枠の具体的な支持位置は、上記課題の解決には必須の構成ではない。
また、本件効果を奏するためには、基準となる取付け補助部材が、個々の既設下枠の形状に応じて、改修用下枠の取付け位置や高さを調整できるような形状や寸法を有していれば足り、常に逆U字状であることや、上壁部によって支持するという特定の構成形態を有しなければ、本件効果を奏しないということもない。
原出願明細書の図10及び図14の実施形態には、取付け補助部材が逆U字状の形状をしているものの、その室外側壁部107は既設下枠の底壁103に当接しない構成が開示され、図14では、室外側壁部107はビス止めもされていない構成が開示されていることを併せ考えると、取付け補助部材が室外側壁部+上壁部による逆L字状の構成も記載されているといえる。
よって、請求人の主張は採用できない。

(4)小括
以上により、本件特許出願は分割適法であって出願日は原出願日へ遡及し、本件特許の請求項1?10に係る発明は、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明と同一ではなく特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるとはいえず、また、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

3.無効理由3(本件特許の原出願が分割不適法であることを前提とした新規性進歩性欠如)について
(1)請求人の主張
請求人は審判請求書において以下のように主張している。
ア 「一.原出願における分割不適法
1.原出願発明の構成及び分割要件との関係
(一).甲3の原出願における請求項1発明?同6発明は、取付け補助部材につき、
c 取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付けられること、
d 改修用下枠の室内寄りを取付け補助部材で支持すること
を要件としている。
しかしながら、取付け補助部材が逆U字状であること、及び、改修用下枠の支持する部位については、格別の要件を規定していない。
したがって、原出願発明においては、
(イ)改修用下枠69の室内寄りを室外側壁部107にて支持する構成、
(ロ)室内寄りを、逆L宇状の取付け補助部材106によって支持する構成を包摂している。」(審判請求書24頁1-14行)

イ 「(4).かくして、甲4の元出願当初明細書においては、取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付けられるものにおいて、取付け補助部材を逆L宇状の取付け補助部材106によって構成するものは排除されており、改修用下枠69の室内寄りを構成している支持壁89及び室内側脚部分91を逆U宇状の取付け補助部材106の上壁部109によって支持する構成のみが掲載されているに過ぎない(以下、上記構成を「構成X」と略称する。)。」(審判請求書26頁7-14行)

ウ 「かくして、元出願当初明細書記載の取付け補助部材106による構成Xから前記(イ)、(ロ)の構成を自明に導出することは、客観的に不可能である。」(審判請求書27頁25-27行)

エ 「二.新規性及び進歩性の欠如
1.原出願が分割要件を充足していない以上、原出願、及び当該原出願からの分割出願である本件特許願の出願日を、元出願日に遡及することはできない。
このような場合、原出願発明の新規性及び進歩性は、現実に出願が行われた平成18年3月17日を基準として判断され、優先権主張に基づいて、元出願日である平成14年3月8日を基準として判断することができない。
更には、原出願に対する分割出願に由来している本件発明の新規性及び進歩性についても、前記平成18年3月17日を基準として判断され、その結果、甲4は、本件発明に対する公知技術文献に該当する。」(審判請求書33頁26行-34頁8行)

(2)被請求人の主張
被請求人は審判事件答弁書において以下のように主張している。
ア 「4 請求人の主張について
請求人は、甲3の原出願における請求項1発明?同6発明は、取付け補助部材につき、
c 取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取り付けられること、
d 改修用下枠の室内寄りを取付け補助部材で支持すること
を要件としているので、原出願発明においては、
(イ) 改修用下枠69の室内寄りを室外側壁部107で支持する構成
(ロ) 室内寄りを、逆L字状の取付け補助部材106に支持する構成
を包摂しており、原出願は原々出願からの分割要件を満たしていないとするものである。
しかしながら判決によれば「特許法44条1項の要件を充足するためには、本件特許発明が原出願に係る当初明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されているか否かを判断すれば足りる。」のであるから、原出願の特許請求の範囲に格別記載されていない前記(イ)、(ロ)の構成を想定して、原々出願からの分割要件を検討すべきものではない。」(答弁書22頁7-22行)

(3)当審の判断
ア 本件特許出願の原出願は、特願2003-62183号の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願とした特願2006-74123号の出願に係る特許である。
そこで、分割要件について、以下に、原出願に記載された発明が特願2003-62183号の願書に最初に添付した明細書(以下、「元出願当初明細書等」という。)に記載されているか否かについて検討する。

イ 元出願当初明細書には、次の内容の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の壁に窓として設けられている既設引戸を改修用引戸に改修する引戸装置の改修方法、及び、その改修した改修引戸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図15は従来の技術の改修用引戸装置1を示す鉛直断面図であり、図16は図15の切断面線VII-VIIから見た水平断面図である。経年変化によって老朽化した集合住宅などの建物は、リフォームとも呼ばれる改修工事の一環として、その建物に設けられる窓もまた、改修される。この窓は、集合住宅の場合、一棟に設けられる設置箇所数が多いため、改修作業の効率の向上が望まれている。」

(イ)「【0008】上記の改修用下枠13、改修用竪枠14および改修用上枠15が、既設下枠5、既設竪枠7および既設上枠9にそれぞれ取付けられた後、下枠カバー材19が改修用下枠13の下枠補助材30にビス47によって固定され、竪枠カバー材18が改修用竪枠14の竪枠補助材37にビス48によって固定され、上枠カバー材17が改修用上枠15の上枠補助材43にビス49によって固定される。」

(ウ)「【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術では、改修用下枠13が既設下枠5に載置された状態で既設下枠5に固定されるので、改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1が小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題がある。
【0011】また、改修用下枠13の下枠下地材30は既設下枠5の案内レール21、22上に直接乗載され、その案内レール21、22を基準として固定されているから前述の改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1がより小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題がある。
【0012】本発明の目的は、広い開口面積を確保することができる引戸装置の改修方法及び改修引戸装置を提供することである。」

(エ)「【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、建物の開口部の開口に下方から臨む下縁部に略水平に固定される既設下枠と、開口部の前記開口に左右両側から臨む両側縁部に略鉛直にそれぞれ固定される一対の既設竪枠と、開口部の前記開口に上方から臨む上縁部に略水平に固定される既設上枠とを有する既設引戸枠内に嵌まり込んだ状態で装着される改修用引戸装置において、引戸障子を移動自在に支持する複数の案内レールを有し、既設下枠に室内側から支持される改修用下枠と、各既設竪枠に室外側から当接して支持される一対の改修用竪枠と、既設上枠に室外側から当接して支持される改修用上枠と、各既設竪枠に室内側から当接して支持され、各改修用竪枠にそれぞれ連結される一対の竪枠用保持部材と、既設上枠に室内側から当接して支持され、改修用上枠に連結される上枠用保持部材とを含むことを特徴とする改修用引戸装置である。」

(オ)「【0029】前記室外側案内レール114は、改修用下枠69を装着するにあたって、改修用下枠69の取付けスペースを確保するため、図1および後述の図3の仮想線で示されるように、付け根付近から切断されて撤去されている。
【0030】このような既設下枠56と改修用下枠69との間には、取付け補助部材106が介在される。この取付け補助部材106は、室外側壁部107と、室内側壁部108と、室外側壁部107および室内側壁部108の各上端部に連なる上壁部109とを有し、断面逆U字状の長尺材から成る。この取付け補助部材106は、既設下枠56に、室内側案内レール67に室外73側から室外側壁部107を当接させ、かつ背後壁104に室外73側から室内側壁部108を当接させた状態で、前記上壁部109を上方にして装着される。前記室外側壁部107は、室内側案内レール115にビス110によって固定される。
【0031】取付け補助部材106の上壁部109には、装着された改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89とが支持され、第3底壁部86がビス111によって固定される。また、前壁80は、ビス112によって既設下枠56の前壁102に固定される。」

(カ)「【0063】また、本実施の形態によれば既設下枠56の室外側案内レール114を切断して撤去し、取付け補助部材106の上壁部109に改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89を支持しているので、改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅が大きく、有効開口面積が減少することが少ない。
【0064】しかも、取付け補助部材106を基準として改修用下枠69を取付けできるから、既設下枠56の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付補助部材106を用いることで、同一の改修用下枠69を取付けできる。」

(キ)「【0075】具体的には、既設下枠56の室外側案内レール114を図6の仮想線で示すように切断して撤去されている。この室外側案内レール114は全てを切断して撤去しても良いし、若干残して撤去しても良い。
【0076】取付け補助部材106は、その室外側壁部107が室内側案内レール115にビス110で固着して取付けられる。
【0077】改修用下枠69の支持壁89、室内側脚部分91が取付け補助部材106の上壁部109に支持され、底壁81の室外寄りがスペーサ301を介して既設下枠56の底壁103の室外寄りに支持され、ビス112で取付け補助部材106に固定される。」

(ク)「【0145】また、図14に示すように、既設下枠56の室内側案内レール115を前述と同様に切断して撤去し、取付け補助部材106を既設下枠56の背後壁104にビス110で固着しても良い。
【0146】例えば、取付け補助部材106の室内側壁部108を既設下枠56の背後壁104にビス110で固着する。この場合には室外側壁部107に図示しないビス挿通孔を形成し、そのビス挿通孔からビス止めすることが好ましい。」

(ケ)「【0150】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、改修用下枠、各改修用竪枠および改修用上枠は、竪枠用保持部材および上枠用保持部材によって既設引戸枠に取付けられるので、部品点数が少なくて済み、したがって取付作業の作業工程数が削減され、改修用下枠、各改修用竪枠、および改修用上枠を既設引戸枠に容易に設けることが可能となる。また、前記従来の技術のように、改修用下枠と下枠下地材との間、各改修用竪枠と各竪枠下地材との間、および改修用上枠と上枠下地材との間に、下枠補助材、竪枠補助材および上枠補助材が介在されないので、改修用上枠と改修用下枠との間の間隔、すなわち高さ方向の幅が大きく減少せず、また各改修用竪枠間の水平方向の間隔、すなわち間口方向の幅が大きく減少せず、広い有効開口面積を確保することができる。」

ウ 上記認定の元出願当初明細書の記載によれば、元出願当初明細書には、従来技術において、
(ア)改修用下枠が既設下枠に載置された状態で既設下枠に固定されるので、改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題(【0010】)、及び、
(イ)改修用下枠の下枠下地材は既設下枠の案内レール上に直接乗載され、その案内レールを基準として固定されるため改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅がより小さくなり、有効開口面積が減少してしまうという問題があったこと(【0011】)に鑑み、
これらの問題を、
既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断されて撤去し(【0029】【0063】【0075】【0114】)、既設下枠に取付け補助部材を設けるとともに、この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁にビスで固着して取付け、改修用下枠の室内寄りを取付け補助部材で支持し、取付け補助部材を基準として改修用引戸枠を既設引戸枠に取付ける(【0030】【0077】【0145】【0146】)(以下、「構成a」という。)
ことにより解決したものであり、
取付け補助部材を基準として改修用下枠を取付けることにより、既設下枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、同一の改修用下枠を取付けできる(【0064】)という効果を奏するものであると認められる。

エ 構成aの具体的な構成について、元出願当初明細書には「【0031】取付け補助部材106の上壁部109には、装着された改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89とが支持され、第3底壁部86がビス111によって固定される。また、前壁80は、ビス112によって既設下枠56の前壁102に固定される」ことが記載されており、改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89は、改修用下枠69の室内寄りにある構成と解されるので、改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89を取付け補助部材106で支持することは、改修用下枠69の室内寄りを取付け補助部材で支持することといえる。
そして、取付け補助部材の上記構成aの上記具体的な構成は、原出願における請求項1発明?同6発明のうち、「前記既設下枠の室内寄りに室外側壁部と上壁部を有した取付け補助部材を設け、この取付け補助部材の室外側壁部を既設下枠の室内側案内レールに、その上壁部が室外側壁部よりも室内側に向かい、かつ水平となるようにビスで固着して取付け」、「その改修用下枠の室内側脚部分と支持壁を前記取付け補助部材の上壁部で支持し」、「前記改修用下枠の前壁を、ビスによって既設下枠の前壁に固定することで、改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けること」に相当する。

オ よって、原出願の請求項1発明?同6発明は、元出願当初明細書等に記載されたものと認められる。

カ 請求人の主張(1)ア?エについての検討。
前記2.(3)エのとおり、課題(ア)及び(イ)を解決するためには、構成a、bを採用すれば足り、取付け補助部材の特定の形状や、取付け補助部材による改修用下枠の具体的な支持位置は、上記課題の解決には必須の構成ではない。
また、既設下枠の形状、寸法に応じた形状、寸法の取付け補助部材を用いることで、同一の改修用下枠を取付けできるという効果を奏するためには、基準となる取付け補助部材が、個々の既設下枠の形状に応じて、改修用下枠の取付け位置や高さを調整できるような形状や寸法を有していれば足り、常に逆U字状であることや、上壁部によって支持するという特定の構成形態を有しなければ、本件効果を奏しないということもない。
元出願当初明細書の実施形態にも、原出願における図10及び図14と同一のものが記載されていることを併せ考えると、取付け補助部材の形状を、「(イ)改修用下枠69の室内寄りを室外側壁部107にて支持する構成」や「(ロ)室内寄りを、逆L宇状の取付け補助部材106によって支持する構成」も記載されているといえる。
よって、請求人の主張は採用できない。

(4)小括
以上により、原出願は分割適法であり、原出願及び当該原出願からの分割出願である本件特許出願の出願日は遡及し、本件特許の請求項1?10に係る発明は、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明と同一ではなく特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるとはいえず、また、元出願の出願公開公報(甲第4号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでなく、第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。


第5.むすび
以上のとおり、本件特許は、無効理由1?3に理由がないから、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、全額を請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-01-28 
結審通知日 2015-01-30 
審決日 2015-02-16 
出願番号 特願2011-180270(P2011-180270)
審決分類 P 1 113・ 113- Y (E06B)
P 1 113・ 121- Y (E06B)
P 1 113・ 537- Y (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 住田 秀弘土屋 真理子赤木 啓二伊藤 昌哉  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 中川 真一
竹村 真一郎
登録日 2013-04-19 
登録番号 特許第5246721号(P5246721)
発明の名称 引戸装置の改修方法及び改修引戸装置  
代理人 赤尾 直人  
代理人 佐藤 嘉明  
代理人 佐藤 嘉明  
代理人 岩▲崎▼ 孝治  
代理人 七條 耕司  

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