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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G |
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管理番号 | 1299255 |
審判番号 | 不服2014-9602 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-05-23 |
確定日 | 2015-04-02 |
事件の表示 | 特願2009-230848「自動書庫システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 4月21日出願公開、特開2011- 79592〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成21年10月2日の出願であって、平成25年10月11日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して平成25年12月20日に意見書が提出されるとともに、同日に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、平成26年2月20日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成26年5月23日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。 第2 平成26年5月23日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成26年5月23日付けの手続補正を却下する。 [理由] 〔1〕本件補正の内容 平成26年5月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成25年12月20日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された)下記の(A)に示す請求項1及び2を、下記の(B)に示す請求項1及び2と補正するものである。 (A)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2 「 【請求項1】 複数の図書を収納可能であって書庫に保管されている複数のコンテナと、 これらコンテナの中から搬送指示を受けたコンテナを入庫もしくは出庫するスタッカークレーンと、 前記コンテナに対して図書取出作業と図書収納作業を作業者が行う出納ステーションと、 前記スタッカークレーンと前記出納ステーションとの間で前記搬送指示を受けたコンテナを搬送する搬送手段とを備えた自動書庫システムにおいて、 前記出納ステーションに設置され、前記図書に設けられたICタグから図書情報を読み取る図書情報読取手段と、 前記出納ステーションに設置され、前記図書情報読取手段で読み取る図書の冊数を入力する読取図書数入力手段と、 前記図書情報読取手段によって前記ICタグから読み取られた図書ID数と前記読取図書数入力手段によって入力された数値とが不?致の場合に作業者に対して警告情報を通知する警告通知手段と、 前記数値と前記図書ID数とが不?致の場合、前記読取図書数入力手段による数値を再入力、あるいは前記図書情報読取手段による前記ICタグから図書情報の再読み取りの実行を促すように、前記警告通知手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする自動書庫システム。 【請求項2】 請求項1記載の自動書庫システムにおいて、 前記図書取出作業時においては取出要求された図書の図書情報を、前記図書収納作業時においては前記図書情報読取手段によって前記図書に設けられたICタグから読み取られた図書情報を表示する表示手段を有することを特徴とする自動書庫システム。」 (B)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2 「 【請求項1】 複数の図書を収納可能であって書庫に保管されている複数のコンテナと、 これらコンテナの中から搬送指示を受けたコンテナを入庫もしくは出庫するスタッカークレーンと、 前記コンテナに対して図書取出作業と図書収納作業とを作業者が行う出納ステーションと、 前記スタッカークレーンと前記出納ステーションとの間で前記搬送指示を受けたコンテナを搬送する搬送手段とを備えた自動書庫システムにおいて、 前記出納ステーションに設置され、前記図書に設けられたICタグから図書情報を読み取る図書情報読取手段と、 前記出納ステーションに設置され、前記図書情報読取手段で読み取る図書の冊数を入力する読取図書数入力手段と、 前記図書情報読取手段によって前記ICタグから読み取られた図書ID数と前記読取図書数入力手段によって入力された数値とが不?致の場合に作業者に対して警告情報を通知する警告通知手段と、 前記数値と前記図書ID数とが不一致の場合、前記読取図書数入力手段による数値の再入力を促すように前記警告通知手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする自動書庫システム。 【請求項2】 請求項1記載の自動書庫システムにおいて、 前記図書取出作業時においては取出要求された図書の図書情報を、前記図書収納作業時においては前記図書情報読取手段によって前記図書に設けられたICタグから読み取られた図書情報を表示する表示手段を有することを特徴とする自動書庫システム。」 (なお、下線は、請求人が補正箇所を明示するために付したものである。) 〔2〕本件補正の目的要件について 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明における「前記数値と前記図書ID数とが不?致の場合、前記読取図書数入力手段による数値を再入力、あるいは前記図書情報読取手段による前記ICタグから図書情報の再読み取りの実行を促すように、前記警告通知手段を制御する制御手段」という発明特定事項について、「前記数値と前記図書ID数とが不?致の場合」に促す動作の選択肢である「前記図書情報読取手段による前記ICタグから図書情報の再読み取りの実行」という発明特定事項を削除するものである。 よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明との産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 〔3〕本願補正発明の独立特許要件について 1.本願補正発明 本願補正発明は、平成26年5月23日に提出された手続補正書により補正された、上記〔1〕(B)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2.引用刊行物 (1)刊行物1 ア 刊行物1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願前に頒布された刊行物である特開2006-103918号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 a)「【請求項1】 複数の書籍を収納可能なコンテナと前記コンテナを複数収納可能な棚とを用いて前記書籍の入出庫を行う自動書庫システムにおける、前記コンテナ内への前記書籍の収納方法であって、 前記コンテナとして複数サイズの前記書籍を収納可能であると共にその大きさが単一のものが使用され、前記コンテナ内に前記書籍がその幅方向に複数列収納される場合に、前記複数列の書籍の背表紙が各列毎にそれぞれ視認可能となるように前記書籍の列の高さを隣り合う少なくとも一方の列の高さとは異ならせることを特徴とするコンテナ内への書籍の収納方法。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】) b)「【0001】 本発明は、書籍の自動入出庫を行うことが可能な自動書庫システムに用いられるコンテナ内への書籍の収納方法に関する。 【背景技術】 【0002】 指定された物品を自動的に保管庫に対して入庫あるいは保管庫から出庫する自動入出庫システムが知られている。この自動入出庫システムの一例として、比較的規模の大きな図書館等においては、数十冊の書籍が収納された箱形のコンテナを固定棚及び移動棚を有する書庫に複数収納すると共に、書籍及びコンテナ及び棚をそれぞれ対応づけて記憶装置に記憶させた自動書庫システムが採用されている。この自動書庫システムによれば、書籍の貸し出しは、スタッカークレーン、トラバーサ、搬送コンベヤ等によって貸し出される書籍が収納されたコンテナが自動的に出納ステーションまで搬送され、該コンテナ内よりオペレータによって取り出された書籍が利用者に渡されることにより行われる。このときに記憶装置の内容が更新され、貸し出された書籍のデータはコンテナ内に収納されている書籍蘭から貸し出し中の書籍欄に移動される。また書籍の返却は貸し出しとは逆の手順で行われ、返却された書籍が収納可能であるコンテナが自動的に出納ステーションまで搬送され、該コンテナ内にオペレータによって返却された書籍が収納されることにより行われる。このときにも記憶装置の内容が更新され、返却された書籍のデータは貸し出し中の書籍欄からコンテナ内に収納されている書籍蘭に移動される。 【0003】 上述の自動書庫システムとしては、従来、複数の書籍を各種分野別に分類して収容する分類別固定ロケーション方式が採用されていた。この分類別固定ロケーション方式によれば、多種の書籍はそれぞれ分類別に区別されて複数のコンテナに収納され、各コンテナはそれぞれ対応する分類毎に書庫に収納される。しかしこの分類別固定ロケーション方式では、分類毎にコンテナ内に収納される書籍のサイズが一定ではないことからコンテナ内でのデッドスペースが増加し、1コンテナ当たりの書籍の収納量が減少して省スペース化を妨げてしまうという問題点がある。 【0004】 そこで、同じサイズである複数の書籍をそれぞれの種類に拘わらず同一のコンテナ内に収納するフリーロケーション方式の自動書庫システムが、例えば「特許文献1」に開示されている。この技術によりコンテナ内への書籍の収納量が増加し、省スペース化を図ることができる。 【0005】 また「特許文献2」には、フリーロケーション方式の自動書庫システムにおいて、その短手方向中心よりコンテナ内部を2分してそれぞれを書籍の収納スペースとし、各収納スペースにそれぞれの背表紙が互いに異なる外方を向く態様で書籍を収納する技術が開示されている。この技術によれば、出納ステーションにおいてコンテナ内より書籍を取り出す際にその背表紙が視認できるので、作業効率を向上することができる。 【0006】 【特許文献1】特許第2532820号公報 【特許文献2】特許第2843753号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかし上記各技術では、収納される書籍に合わせてコンテナの大きさをそれぞれ変化させているため、コンテナの大きさに合わせて固定棚及び移動棚を設計する必要があり、コストアップが否めない。また、コンテナの共通性がないことから各サイズに対応した棚毎にコンテナの収容スペースに余裕を持つ必要が生じ、結果として書庫内に多くのデッドスペースが生まれてしまうこととなる。さらに「特許文献2」に開示された技術では、コンテナ内に収納された書籍の背表紙が互いに異なる外側を向いているので、出納ステーションにコンテナが運ばれた際に取り出すべき書籍が出納ステーションとは逆側に位置している可能性があるため、コンテナを回転させる手段が必要となりコストアップしてしまう。 【0008】 本発明は上述の問題点を解決し、共通サイズのコンテナを用いることにより書庫内でのデッドスペースの発生を抑制することができると共に、出納ステーションにおけるコンテナ内からの書籍の取り出しを容易化することが可能なコンテナ内への書籍の収納方法を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 請求項1記載の発明は、複数の書籍を収納可能なコンテナと前記コンテナを複数収納可能な棚とを用いて前記書籍の入出庫を行う自動書庫システムにおける、前記コンテナ内への前記書籍の収納方法であって、前記コンテナとして複数サイズの前記書籍を収納可能であると共にその大きさが単一のものが使用され、前記コンテナ内に前記書籍がその幅方向に複数列収納される場合に、前記複数列の書籍の背表紙が各列毎にそれぞれ視認可能となるように前記書籍の列の高さを隣り合う少なくとも一方の列の高さとは異ならせることを特徴とする。」(段落【0001】ないし【0009】) c)「【0016】 図1は、本発明の一実施例が適用される自動書庫システムを示している。この自動書庫システム1は、固定棚2A,2B及び各固定棚2A,2B間に移動自在に配設された移動棚3A,3B,3C,3Dからなる書庫4、固定棚と移動棚あるいは各移動棚間に形成される通路5を移動可能なスタッカークレーン6、スタッカークレーン6を積載して各移動棚と同方向に移動可能なトラバーサ7、スタッカークレーン6との間で荷物であるコンテナ8の授受を行う入出庫台車9、入出庫台車9との間でコンテナ8の授受を行う上下2段の搬送コンベア37、コンテナ8が運ばれる出納ステーション10、一時保管棚11、受付カウンタ12、利用者カウンタ40等を有している。これらの装置により書籍16(図2参照)を収容したコンテナ8は、必要に応じて各固定棚2A,2Bあるいは各移動棚3A,3B,3C,3Dに入出庫され、所定のコンテナ搬送ラインへ導かれる。 【0017】 各搬送コンベア37の搬送経路端部には、各搬送コンベア37のうちの何れかにコンテナ8の搬送経路を振り分けると共に、コンテナ8を180度回転させることが可能な回転機能を有するリフタ38が配設されている。リフタ38には出納ステーション10に接続されたステーションコンベア39が接続されており、ステーションコンベア39が往復動することにより出納ステーション10へのコンテナ8の搬入、及び出納ステーション10からのコンテナ8の搬出が行われる。 【0018】 出納ステーション10は、図2に示すように外観視階段状を呈した筐体からなり、その手前側には作業用カウンタ18が、中程にはコンテナ8が走行するための走行路19が、奥側には埋込型モニタ20がそれぞれ設けられている。 【0019】 作業用カウンタ18の上面には、埋込型バーコードリーダ21、マウス22、作業完了ボタン23、移動完了ランプ24等が設けられており、作業用カウンタ18の下部にはキーボード25、ハンディバーコードリーダ26が設けられている。 【0020】 埋込型バーコードリーダ21及びハンディバーコードリーダ26は、書籍16のそれぞれに貼付された図示しないバーコードを読み取る際に使用される。マウス22及びキーボード25は各種データを入力する際に使用され、キーボード25は二点鎖線で示す位置に引き出されて使用される。作業完了ボタン23は出納ステーション10において書籍16の出し入れ作業が終了したコンテナ8を書庫4に戻す際に押下され、移動完了ランプ24は書庫4から運ばれたコンテナ8が出納ステーション10の所定位置に到着した際に点灯する。 【0021】 内部に搬送コンベア37を有する走行路19は壁部27を介して書庫4に繋がっており、ピッキングステーション10には走行路19を覆うためのカバー28,28が設けられている。各カバー28にはそれぞれ開閉可能なドア29が設けられており、各ドア29は通常は図に二点鎖線で示す位置に閉じられていて、コンテナ8が所定位置に到着した際に手動によって図の実線位置に開放される。 【0022】 右側のカバー28の上部にはプリンタ32が配設されており、その奥側の壁面にはCRT表示装置からなる埋込型モニタ20が配設されている。モニタ20には、入出庫される書籍16の名称、分類、ID番号等の書籍データが表示される。プリンタ32は、受付12において貸し出しされた書籍の受付番号を打ち出す。 【0023】 出納ステーション10の内部下方には、出納ステーション10の制御を行う制御装置33、出納ステーション10の制御内容を変更する際等に使用されるサーバPC34、無停電装置(UPS)35等が配設されている。また、壁部27の上部には、非常時において閉鎖される防火シャッタ36が配設されている。 【0024】 出納ステーション10の近傍には一時保管棚11及び受付カウンタ12が、また、受付カウンタ12の近傍であって利用者が利用し易い場所には利用者カウンタ40がそれぞれ配設されている。利用者への書籍の貸し出し及び返却を行う受付カウンタ12には端末12aが、利用者が借りたい書籍を選ぶ利用者カウンタ40には端末40aがそれぞれ配設されている。また、本実施例に示した自動書庫システム1は、書籍16とコンテナ8と書庫4とを対応付けて記憶する図示しない記憶手段及び記憶更新手段を備えている。 【0025】 上述の構成に基づき、利用者は借りたい書籍を検索して所定の手続を行えば、該当する書籍16を収納したコンテナ8が自動的に保管場所から出納ステーション10に搬送される。モニタ20に表示されている該当図書情報に基づきオペレータがコンテナ8から書籍16を取り出すことにより、利用者は該当する書籍16を受け取ることができる。また返却は逆の手順で行われ、利用者は所定の返却場所あるいは受付カウンタ12に返却すべき書籍16を持ち込む。持ち込まれた書籍16は一時保管棚11に移され、出納ステーション10においてオペレータがこれを搬送されてきたコンテナ8に返却する。オペレータはコンテナ8に書籍16を収納する際に再び書籍16のバーコードを埋込型バーコードリーダ21あるいはハンディバーコードリーダ26で読み取り、これにより自動書庫システム1にコンテナ8と書籍16とが対応付けられて記憶される。その後、オペレータにより各ドア29が閉じられた後に作業完了ボタン23が押され、コンテナ8が書庫4に入庫されることにより返却作業が完了する。」(段落【0016】ないし【0025】) イ 刊行物1の記載事項及び図面の記載から分かること a)上記アa)、b)及びc)並びに図1ないし5の記載によれば、自動書庫システム1が、複数の書籍4を収納可能であって書庫4に収納されている複数のコンテナ8と、これらコンテナ8の中から搬送指示を受けたコンテナ8を入庫もしくは出庫するスタッカークレーン6と、前記コンテナ8に対して書籍16を取り出す作業と書籍16を収納する作業とをオペレータが行う出納ステーション10と、前記スタッカークレーン6と前記出納ステーション10との間で前記搬送指示を受けたコンテナ8を搬送するトラバーサ7、入出庫台車9及び上下2段の搬送コンベア37とを備えたことが分かる。 b)上記アc)並びに図1及び2の記載によれば、自動書庫システム1が、出納ステーション10に設けられ、前記書籍16に貼付されたバーコードから書籍16の情報を読み取る埋込型バーコードリーダ21及びハンディバーコードリーダ26を有することが分かる。 c)上記アc)及び図2の記載によれば、自動書庫システム1が、出納ステーション10に設けられ、各種データを入力する際に使用されるマウス22及びキーボード25を有することが分かる。 d)上記アc)及び図2の記載によれば、自動書庫システム1が、入出庫される書籍16の書籍データを表示する埋込型モニタ20を有することが分かる。 e)上記アc)及び図2の記載によれば、自動書庫システム1が、出納ステーション10の制御を行う制御装置33を有することが分かる。 ウ 引用発明 上記ア及び上記イを総合して、本願補正発明の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「複数の書籍4を収納可能であって書庫4に収納されている複数のコンテナ8と、 これらコンテナ8の中から搬送指示を受けたコンテナ8を入庫もしくは出庫するスタッカークレーン6と、 前記コンテナ8に対して書籍16を取り出す作業と書籍16を収納する作業とをオペレータが行う出納ステーション10と、 前記スタッカークレーン6と前記出納ステーション10との間で前記搬送指示を受けたコンテナ8を搬送するトラバーサ7、入出庫台車9及び上下2段の搬送コンベア37とを備えた自動書庫システム1において、 前記出納ステーション10に設けられ、前記書籍16に貼付されたバーコードから書籍16の情報を読み取る埋込型バーコードリーダ21及びハンディバーコードリーダ26と、 前記出納ステーション10に設けられ、各種データを入力する際に使用されるマウス22及びキーボード25と、 入出庫される前記書籍16の書籍データを表示する埋込型モニタ20と、 前記出納ステーション10の制御を行う制御装置33とを有する自動書庫システム1。」 (2)刊行物2 ア 刊行物2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願前に頒布された刊行物である特開2009-59066号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 a)「【請求項1】 所蔵物を特定する資料識別子に関連付けて所蔵物の貸出を管理する貸出管理データ記憶手段と、 所蔵物に設けられたICタグから、これに記憶されている資料識別子を読み取るICタグ読取手段と、 所蔵物の個数を取得する入力手段とに接続され、前記ICタグ読取手段から取得した資料識別子に基づいて貸出又は返却を管理する制御手段を備えた貸出返却処理システムであって、 前記制御手段は、 貸出又は返却の対象となる所蔵物の予定数を前記入力手段から取得する手段と、 前記ICタグ読取手段から取得した資料識別子の個数を算出して読取個数を取得する手段と、 前記予定数と前記読取個数とを比較する手段と、 前記読取個数が前記予定数と一致しない場合には、前記ICタグ読取手段に対して、前記ICタグを再度、読み取るように指示を行なう再読取手段と、 前記読取個数が前記予定数と一致した場合には、前記ICタグ読取手段によって取得した資料識別子に関する貸出情報又は返却情報を、前記貸出管理データ記憶手段に記録する記録手段とを備えたことを特徴とする貸出返却処理システム。 【請求項2】 資料識別子を仮記憶するメモリを更に備え、 前記制御手段は、 前記ICタグ読取手段から取得した資料識別子を前記メモリに仮記憶する手段と、 前記再読取手段の指示に応じて前記ICタグ読取手段から取得した資料識別子の数を算出して新たな読取個数を取得する手段と、 新たな読取個数と前記予定数とが一致しない場合には、前記メモリに仮記憶した資料識別子と、新たな読取個数を算出するときに用いた資料識別子とを比較し、共通する資料識別子に基づいて、貸出又は返却の対象を特定する対象特定手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の貸出返却処理システム。 【請求項3】 前記制御手段は、前記対象特定手段によって特定した対象の個数と前記予定数とを比較し、これらが一致しない場合には、前記ICタグ読取手段から取得した所蔵物の配置変更を指示するメッセージを出力する手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の貸出返却処理システム。 【請求項4】 ICタグには、所蔵物の貸出状態が書換可能に記憶されており、 前記制御手段は、前記ICタグの貸出状態を書き換えるICタグ書換手段に接続されており、 前記制御手段は、取得した資料識別子に関する貸出情報又は返却情報を前記貸出管理データ記憶手段に記録した後、前記ICタグの貸出状態を書き換える手段を更に備えたことを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載の貸出返却処理システム。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項4】) b)「【0001】 本発明は、図書館における蔵書等の貸出や返却のときに用いられる貸出返却処理システム、貸出返却処理方法及び貸出返却処理プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年の情報関連技術の発達により、図書館における蔵書(資料)の管理を電子化したシステムが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1におけるサーバ装置は、クライアント端末と接続されているとともに、目録データベースや閲覧データベースにアクセス可能になっている。サーバ装置は、クライアント端末から取得した利用者IDに応じた利用者情報を閲覧データベースから検索し、図書又は雑誌毎に割り当てられた資料IDに応じた目録情報を目録データベースから検索する。サーバ装置は、検索した利用者情報及び目録情報に基づいて貸出情報を生成して閲覧データベースに登録し、この貸出情報と図書館毎の貸出規定とに基づいて貸出を行なう。 【0003】 更に、近年のICタグの普及により、ICタグを用いて図書館における資料管理を行なうシステムも検討されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に記載の図書館管理システムでは、図書及び図書館利用者カードの非接触ICタグの識別IDを読み取り、図書及び図書館利用カードの識別IDとデータベース上の図書内容及び利用者を対応させて、貸出又は返却に関する記録を行なう。この場合、非接触ICタグの識別IDを一括して読み取ることができるので、図書館カウンターにおける貸出返却処理を効率よく行なうことができる。 【特許文献1】特開2003-91621号公報(図2及び図3) 【特許文献2】特開2003-85329号公報(図1及び図2) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 このようなICタグを利用することによって、図書館外の持出を管理することも可能である。この場合、貸出処理が行なわれたときにICタグの状態フラグが、館内閲覧するときの持出禁止フラグから、館外への持出可能を示すフラグ(持出許可フラグ)に書き換えられる。そして、図書館の入退館ゲートは、ICタグにおいて持出許可フラグを検知した場合のみ通行を許可し、持出禁止フラグを検知したときにはアラームを出力する。 【0005】 しかしながら、ICタグの識別IDを一括して読み取って処理を行なう場合には、読取精度や書込精度が悪い場合があった。読取精度が悪い場合には、ICタグの識別IDを読み損ねることがあった。特に、一度に多数の蔵書の貸出処理を行なう場合には、読取精度によっては、すべての蔵書の識別IDを取得することが難しく、一度の読み取りで貸出処理を完了することができないため、何回も貸出処理を行なうような場合もあった。また、書込精度が悪く、ICタグの状態フラグの書換を失敗した場合には、貸出処理を行なった蔵書であっても、入退館ゲートにおいてアラームが出力してしまうこともあった。 【0006】 本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、ICタグの読取精度を向上させて、効率的に貸出処理や返却処理を行なうことができる貸出返却処理システム、貸出返却処理方法及び貸出返却処理プログラムを提供することにある。」(段落【0001】ないし【0006】) c)「【0013】 (作用) 本発明によれば、制御手段は、貸出又は返却の対象となる所蔵物の予定数を入力手段から取得し、ICタグ読取手段から取得した資料識別子の数を算出して読取個数を取得し、これら予定数と読取個数とを比較する。制御手段は、予定数と読取個数とが一致しない場合には、ICタグ読取手段に対して、ICタグを再度、読み取るように指示を行ない、読取個数と予定数とが一致した場合には、ICタグ読取手段によって取得した資料識別子に関する貸出情報又は返却情報を、貸出管理データ記憶手段に記録する。このため、ICタグ読取手段が取得したICタグに基づく読取個数が予定数と一致しない場合には、ICタグ読取手段は、ICタグの読取を繰り返して実行する。従って、ICタグの読取精度の向上が期待できるので、貸出返却処理における処理時間を短縮することができる。 【0014】 本発明によれば、制御手段は、ICタグ読取手段から取得した資料識別子をメモリに仮記憶する。制御手段は、再読取手段の指示に応じてICタグ読取手段から取得した資料識別子の数を算出して新たな読取個数を取得する。制御手段は、新たな読取個数と予定数とが一致しない場合には、メモリに仮記憶した資料識別子と、新たな読取個数を算出するときに用いた資料識別子とを比較し、共通する資料識別子に基づいて、貸出又は返却の対象を特定する。このため、ICタグから繰り返して取得した資料識別子を用いて、貸出又は返却の対象をより正確に特定することができる。 【0015】 本発明によれば、制御手段は、対象特定手段によって特定した貸出又は返却の個数と、前記予定数とを比較し、これらが一致しない場合には、ICタグ読取手段から取得した所蔵物の配置変更を指示するメッセージを出力する。配置を少し変更するだけでも、ICタグ読取手段が取得する資料識別子が相違することが期待できる。従って、繰り返し読取処理を行なっても、予定数に一致する数の資料識別子を取得できない場合には、所蔵物の配置を変更するという簡単な操作を行なうことにより、貸出又は返却の対象をより正確に特定することができる。 【0016】 本発明によれば、制御手段は、取得した資料識別子に関する貸出情報又は返却情報を貸出管理データ記憶手段に記録した後、ICタグの貸出状態を書き換える。このため、ICタグに記録された貸出状態によって所蔵物の館外持出を管理している場合には、貸出返却処理においてICタグの貸出状態を変更することができる。 【発明の効果】 【0017】 本発明によれば、ICタグの読取精度を向上させて、貸出返却処理における処理時間を短縮することができる。」(段落【0013】ないし【0017】) d)「【0018】 以下、本発明を具体化した一実施形態を図1?図4に基づいて説明する。本実施形態では、図書館の所蔵物である蔵書に貼付されたICタグを用いて、蔵書の貸出を行なう貸出処理や貸し出した蔵書の返却を行なう返却処理等を実行する貸出返却処理システムとしての図書館サーバ20について説明する。 【0019】 本実施形態において貸し出される蔵書(資料)には、ICタグが貼付されている。このICタグは、ICメモリ及びアンテナを備える。ICメモリには、各蔵書を特定するための資料識別子であるICタグコードと、蔵書の貸出状態を示すIC状態フラグとが記録されている。ここで、IC状態フラグは、「貸出」又は「返却」の状態を示す何れかのフラグである。図書館の入退館ゲートにおいて、ICメモリに「返却」フラグが記録された蔵書を検知した場合、アラームが出力される(ここでは、ブザー音が鳴る)ようになっている。ICタグのアンテナは、ICメモリに対してデータの読出及び書込のために、ICタグリーダライタや入退館ゲートとの間で無線通信を行なう。 【0020】 更に、蔵書には、数列が付されたバーコードが貼付されている。これらバーコード及び数列には、ICメモリに記憶されている資料識別子と同じ資料識別子が表示されている。 図1に示すように、ICタグが貼付された蔵書を管理する図書館サーバ20は、ネットワークを介して、業務用端末10に接続されており、この業務用端末10とデータの送受信を行なう。業務用端末10は、図書館員が図書館の業務(貸出処理や返却処理等)を行なうために用いるコンピュータ端末であり、ディスプレイ、入力手段としてのキーボード、ポインティングデバイス及び図示しないバーコードリーダを備えている。 【0021】 業務用端末10の制御部は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、ICタグ一括書換プログラムを記録している。このICタグ一括変換プログラムは、複数の蔵書のICタグ状態フラグを一括して同じ状態に変更するためのプログラムである。 【0022】 ディスプレイには、図書館の業務で用いられる各種画面等が表示される。キーボードやポインティングデバイスは、貸出や返却を行なう蔵書の冊数を入力したりICタグの読取開始を指示したりIC状態フラグを一括変更したりする場合に用いられる。バーコードリーダは、蔵書に貼付されているバーコードや利用者カードに表示されるバーコードなどからデータを読み取る。 【0023】 また、業務用端末10には、ICタグ読取手段及びICタグ書換手段としてのICタグリーダライタ11が接続されている。ICタグリーダライタ11は、貸出処理又は返却処理を行なう蔵書を置く載置台と、ICタグに対して無線通信によりデータの送受信を行なうアンテナとを備える。このICタグリーダライタ11は、載置台に置かれた蔵書のICタグのICメモリに記憶されたICタグコードを読み取り、ICメモリに記憶されたIC状態フラグの読み取りや書き込みを行なう。 更に、業務用端末10には、プリンタが接続されている。このプリンタは、一度の貸出処理によって同時に貸し出された蔵書のリストを印刷する。 【0024】 業務用端末10が接続している図書館サーバ20は、制御手段としての制御部21を備える。制御部21は、図書館が所蔵する書籍等の蔵書について、貸出や返却などの図書館業務を行なうために用いられる。この制御部21は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(再読取段階、対象特定段階及び記録段階等を含む処理)を行なう。そして、このための貸出返却処理プログラムを実行することにより、制御部21は、貸出利用者特定手段211、冊数取得手段212、再読取手段としての資料識別子取得手段213、対象特定手段としての読取確認手段215、記録手段としての貸出・返却記録手段216及び状態フラグ書換手段217として機能する。更に、制御部21は、資料識別子取得手段213が取得した資料識別子を仮記憶するメモリを備えている。 【0025】 冊数取得手段212は、貸出又は返却の対象となる所蔵物の予定数である入力冊数を入力手段から取得する。 再読取手段である資料識別子取得手段213は、ICタグ読取手段から取得した資料識別子の個数を算出して読取個数(読取冊数)を取得する。更に、資料識別子取得手段213は、再読取手段の指示に応じてICタグ読取手段から取得した資料識別子の数を算出して新たな読取個数を取得する。 【0026】 読取確認手段215は、予定数と読取個数とを比較する。この読取確認手段215は、読取個数が予定数と一致しない場合には、ICタグ読取手段に対して、ICタグを再度、読み取るように指示を行なう。読取確認手段215は、ICタグ読取手段から取得した資料識別子をメモリに仮記憶し、新たな読取個数と前記予定数とが一致しない場合には、メモリに仮記憶した資料識別子と、新たな読取個数を算出するときに用いた資料識別子とを比較し、共通する資料識別子に基づいて貸出又は返却の対象を特定する。更に、読取確認手段215は、特定した対象の個数と予定数とを比較し、これらが一致しない場合には、前記ICタグ読取手段から取得した所蔵物の配置変更を指示するメッセージを出力する。 【0027】 貸出・返却記録手段216は、読取個数が予定数と一致した場合には、ICタグ読取手段によって取得した資料識別子に関する貸出情報又は返却情報を、貸出管理データ記憶手段に記録する。 状態フラグ書換手段217は、取得した資料識別子に関する貸出情報又は返却情報を貸出管理データ記憶手段に記録した後、ICタグの貸出状態を書き換える。」(段落【0018】ないし【0027】) e)「【0037】 次に、上述した図書館システムにおける処理について、図3及び図4を用いて説明する。ここでは、貸出処理、ICタグ状態書換処理及び返却処理の順に説明する。 (貸出処理) まず、蔵書の貸出の際に行なわれる貸出処理について説明する。利用者は、図書館の蔵書を借りる場合、利用者カードを提示して、貸出依頼を行なう。 【0038】 図書館サーバ20の制御部21は、まず、貸出利用者の特定処理を実行する(ステップS1-1)。ここで、図書館職員は、バーコードリーダを用いて、提示された利用者カードに表示されているバーコードを読み取る作業を行なう。業務用端末10は、バーコードリーダを介して読み取った利用者識別子を図書館サーバ20に送信する。図書館サーバ20の制御部21の貸出利用者特定手段211は、取得した利用者識別子を含む利用者データを利用者データ記憶部22から検索する。ここで、受信した利用者識別子を含む利用者データを取得できない場合には、利用者データがない旨を業務用端末10に送信して表示させる。一方、利用者識別子を含む利用者データを取得した場合には、この利用者識別子を、この貸出処理によって貸出を行なう利用者の利用者識別子として特定する。 【0039】 次に、図書館サーバ20の制御部21は、入力冊数の取得処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、図書館職員が、キーボードを用いて、利用者に対して貸し出す蔵書の冊数を入力する。業務用端末10は、入力された冊数に関するデータを図書館サーバ20に送信する。図書館サーバ20の制御部21の冊数取得手段212は、貸出対象の冊数(入力冊数)を取得し、読取確認手段215に供給する。 【0040】 次に、図書館サーバ20の制御部21は、読取冊数の取得処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21の資料識別子取得手段213は、業務用端末10に対して、ICタグを取得するための指示画面データを送信して、業務用端末10のディスプレイに、ICタグ読込ボタンを押下する旨の指示メッセージを含む画面を表示する。 【0041】 ここで、図書館職員がICタグ読取ボタンを選択すると、ICタグリーダライタ11は、載置台に置かれた蔵書のICタグからICタグコードを読み取ることにより資料識別子を取得し、業務用端末10に供給する。業務用端末10は、取得した資料識別子を図書館サーバ20に転送する。そして、図書館サーバ20の制御部21の資料識別子取得手段213は、ICタグリーダライタ11が取得した資料識別子を取得し、読取確認手段215に供給する。 【0042】 次に、制御部21は、入力冊数と読取冊数とが一致するか否かを判断する(ステップS1-4)。具体的には、制御部21の読取確認手段215は、資料識別子取得手段213 から供給された資料識別子の数をカウントし、この資料識別子の読取冊数と、冊数取得手段212から供給された入力冊数とを比較する。 【0043】 比較した結果、読取冊数が入力冊数と一致しない場合(ステップS1-4において「NO」の場合)には、読取確認手段215は、資料識別子が既に仮記憶されているか否かを判断する(ステップS1-5)。具体的には、読取確認手段215は、メモリから仮記憶した資料識別子を抽出する。 【0044】 ここで、この貸出処理において資料識別子の読取が初めてで、メモリから資料識別を抽出できない場合(ステップS1-5において「NO」の場合)には、読取確認手段215は、取得した資料識別子をメモリに仮記憶する(ステップS1-6)。 【0045】 そして、制御部21は、再度、読取冊数の取得処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、読取確認手段215は、資料識別子取得手段213に対して読取冊数の取得処理の再実行を指示する。 【0046】 そして、図書館サーバ20の制御部21は、入力冊数と、新たに取得した読取冊数とが一致するか否かを判断する(ステップS1-4)。ここでも、入力冊数と読取冊数とが一致しない場合(ステップS1-4において「NO」の場合)には、読取確認手段215は、資料識別子が既にメモリに仮記憶されているか否かを判断する(ステップS1-5)。そして、資料識別子を既にメモリに仮記憶されている場合(ステップS1-5において「YES」の場合)には、読取確認手段215は、対象蔵書の特定処理を実行する(ステップS1-7)。具体的には、既にメモリに仮記憶されている資料識別子と、業務用端末10から取得した資料識別子とを比較する。そして、業務用端末10から取得した資料識別子において、メモリに仮記憶されていなかった資料識別子をメモリに追加する。 【0047】 次に、制御部21は、対象蔵書の特定処理において特定した蔵書の数が入力冊数に一致するか否かを判断する(ステップS1-8)。具体的には、制御部21は、対象蔵書の特定処理において特定した資料識別子をカウントし、この資料識別子の数と入力冊数とを比較する。 【0048】 ここで、対象蔵書の特定処理において特定した蔵書の数が入力冊数と一致しない場合(ステップS1-8において「NO」の場合)には、読取確認手段215は、配置変更表示処理を実行する(ステップS1-9)。具体的には、読取確認手段215は、資料識別子取得手段213に対して蔵書の配置変更の指示を供給する。 【0049】 そして、制御部21の資料識別子取得手段213は、載置台にある蔵書の配置を変更させるための配置変更指示画面データを生成し、業務用端末10のディスプレイに、蔵書の配置変更を指示するメッセージを含む配置変更指示画面を表示する。なお、この配置変更指示画面には、バーコード読取用ボタン及びキーボード入力用ボタンが含まれる。これらのボタンは、配置を変更してのICタグ読み取りを断念する場合に用いられる。すなわち、バーコード読取用ボタン及びキーボード入力用ボタンは、ICタグコードで資料識別子を読み取る代わりに、それぞれバーコード読み取りやキーボード入力によって資料識別子を取得するためのボタンである。これらのボタンが選択された場合には、バーコードリーダやキーボードにおいて入力された資料識別子を貸出処理において利用する。 【0050】 そして、配置変更指示画面のメッセージを閲覧した図書館職員は、載置台にある蔵書の配置変更を行ない、再び、ICタグ読込ボタンを選択する。これにより、ICタグリーダライタ11は、読取冊数の取得処理を実行し(ステップS1-3)、取得した資料識別子の数(読取冊数)と、入力冊数とが一致するか否かを判断する(ステップS1-4)。ここでも、資料識別子の数と入力冊数とが一致しない場合には、制御部21は、上記ステップS1-5?S1-9を行なう。」(段落【0037】ないし【0050】) f)「【0059】 (返却処理) 次に、貸し出した蔵書を図書館に返却するときの返却処理について説明する。借りていた蔵書を返却する場合には、この蔵書を借りていた利用者は貸出管理データ260から特定できるため、利用者カードが不要である。そして、この返却処理においては、上述した貸出処理において貸出利用者の特定処理(ステップS1-1)を除いた処理を行なう。 【0060】 まず、返却処理において、図書館サーバ20の制御部21は、ステップS1-2と同様に、入力冊数の取得処理を実行する。具体的には、返却される蔵書の冊数を図書館職員が入力すると、制御部21の冊数取得手段212は、入力された冊数のデータを業務用端末10から取得する。次に、制御部21は、ステップS1-3?S1-9と同様な処理を行なって、入力冊数と一致する読取冊数の資料識別子を取得する。」(段落【0059】及び【0060】) g)「【0063】 本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。 ・ 本実施形態では、図書館サーバ20の制御部21は、ステップS1-2で取得した入力冊数と、ステップS1-3で取得した資料識別子の読取冊数とを比較する。比較した結果、入力冊数と読取冊数とが一致しない場合(ステップS1-4において「NO」の場合)には、取得した資料識別子の仮記憶(ステップS1-6)又は配置変更表示処理(ステップS1-9)を行なった後、再度、読取冊数の取得処理を実行する(ステップS1-3)。そして、入力冊数と読取冊数とが一致した場合(ステップS1-4又はS1-8において「YES」の場合)には、貸出の記録処理を実行する(ステップS1-10)。また、返却処理においても、図書館サーバ20の制御部21は、入力冊数の取得処理を実行し、ステップS1-3?S1-9と同様な処理を行なって、入力冊数と一致する読取冊数の資料識別子を取得して、返却の記録処理を実行する。このため、ICタグリーダライタ11が読み取ったICタグコードに基づく読取冊数が入力冊数と一致しない場合には、ICタグの読取を繰り返して実行する。従って、ICタグの読取精度の向上が期待できるので、貸出処理や返却処理における処理時間を短縮することができる。 【0064】 ・ 本実施形態では、図書館サーバ20の制御部21は、ステップS1-2で取得した入力冊数と、ステップS1-3で取得した資料識別子の読取冊数とを比較する。入力冊数と読取冊数とが一致しない場合(ステップS1-4において「NO」の場合)には、資料識別子の仮記憶を行なった後(ステップS1-6)、再度、読取冊数の取得処理を実行する(ステップS1-3)。ここでも、入力冊数と読取冊数とが一致しない場合(ステップS1-4において「NO」の場合)には、メモリから資料識別子を抽出し(ステップS1-5において「YES」)、読取確認手段215は、対象蔵書の特定処理を実行する(ステップS1-7)。ここでは、抽出した資料識別子と、再度取得した資料識別子とを比較し、取得した資料識別子において、メモリに仮記憶されていなかった資料識別子をメモリに追加する。そして、制御部21は、対象蔵書の特定処理において特定した蔵書をカウントし、この蔵書の数が入力冊数に一致するか否かを判断する(ステップS1-8)。なお、返却処理においても、同様な処理が行なわれる。このため、入力冊数と読取冊数とが一致しなかった場合、繰り返して取得した資料識別子を用いて、貸出又は返却の対象をより正確に特定することができる。 【0065】 ・ 本実施形態では、図書館サーバ20の制御部21は、対象蔵書の特定処理において特定した蔵書の数が入力冊数と一致しない場合(ステップS1-8において「NO」の場合)には、読取確認手段215は、配置変更表示処理を実行する(ステップS1-9)。ここで、読取確認手段215は、載置台にある蔵書の配置変更を指示するメッセージを含む画面データを生成する指示を行ない、資料識別子取得手段213は、受信した指示に応じた配置変更指示画面データを生成して、業務用端末10に送信する。業務用端末10は、蔵書の配置変更を指示するメッセージを含む配置変更指示画面をディスプレイに表示する。蔵書の配置変更を指示するメッセージを閲覧した図書館職員は、蔵書の配置変更を行ない、再び、ICタグ読込ボタンを押下する。これにより、図書館サーバ20の制御部21は、読取冊数の取得処理を実行し(ステップS1-3)、入力冊数と、新たに取得した資料識別子の読取冊数とが一致するか否かを判断する(ステップS1-4)。この場合、配置を少し変更するだけでもICタグリーダライタ11が取得する資料識別子が相違することが期待できる。従って、読取冊数の取得処理を繰り返し行なっても貸出又は返却する蔵書の資料識別子をすべて読み取ることができない場合には、配置を変更するという簡単な操作を行なって、貸出又は返却の対象をより正確に特定することができる。 【0066】 ・ 本実施形態では、配置変更指示画面には、バーコード読取用ボタン及びキーボード入力用ボタンが含まれる。バーコード読取用ボタン及びキーボード入力用ボタンは、ICタグコードで資料識別子を読み取る代わりに、それぞれバーコード及びキーボードで識別コードを取得するためのボタンである。このため、蔵書の配置変更を指示するメッセージを閲覧した図書館職員が、蔵書の配置変更を行なっても、入力冊数に一致する数の資料識別子を特定できない場合には、バーコードリーダやキーボード等を用いて、資料識別子を取得することができる。」(段落【0063】ないし【0066】) イ 刊行物2に記載された発明 上記アa)ないしg)並びに図1ないし4の記載によれば、刊行物2には、次の事項(以下、「刊行物2に記載された発明」という。)が記載されていると認める。 「図書館の貸出返却処理システムにおいて、蔵書に貼付されたICタグから資料識別子を読み取るICタグ読取手段としてのICタグリーダライタ11と、前記ICタグリーダライタ11で読み取る蔵書の冊数を入力する入力手段としてのキーボードやポインティングデバイスと、前記ICタグリーダライタ11によって前記ICタグから読み取られた蔵書の資料識別子の数と前記キーボードやポインティングデバイスによって入力された入力冊数とが一致しない場合に図書館職員に対して蔵書の配置変更を指示するメッセージを含む配置変更指示画面を表示する業務用端末10のディスプレイと、前記入力冊数と前記蔵書の資料識別子の数とが一致しない場合、蔵書の配置変更をして前記ICタグリーダライタ11による前記ICタグから資料識別子の再読み取りの実行を促すように、前記業務用端末10のディスプレイを制御する制御部21を有する発明。」 3.対比 本願補正発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・後者における「書籍4」は、前者における「図書」に相当し、以下同様に、「収納されている」は「保管されている」に、「コンテナ8」は「コンテナ」に、「スタッカークレーン6」は「スタッカークレーン」に、「書籍16を取り出す作業」は「図書取出作業」に、「書籍16を収納する作業」は「図書収納作業」に、「オペレータ」は「作業者」に、「出納ステーション10」は「出納ステーション」に、「トラバーサ7、入出庫台車9及び上下2段の搬送コンベア37」は「搬送手段」に、「自動書庫システム1」は「自動書庫システム」に、「前記出納ステーション10に設けられ」は「前記出納ステーションに設置され」に、それぞれ相当する。 ・後者における「前記書籍16に貼付されたバーコードから書籍16の情報を読み取る埋込型バーコードリーダ21及びハンディバーコードリーダ26」は、前者における「前記図書に設けられたICタグから図書情報を読み取る図書情報読取手段」に、「前記図書に設けられた情報保持手段から図書情報を読み取る図書情報読取手段」という限りにおいて、相当する。 ・後者における「各種データを入力する際に使用されるマウス22及びキーボード25」は、前者における「前記図書情報読取手段で読み取る図書の冊数を入力する読取図書数入力手段」に、「所定のデータを入力する入力手段」という限りにおいて、相当する。 ・後者における「入出庫される前記書籍16の書籍データを表示する埋込型モニタ20」は、前者における「前記図書情報読取手段によって前記ICタグから読み取られた図書ID数と前記読取図書数入力手段によって入力された数値とが不?致の場合に作業者に対して警告情報を通知する警告通知手段」に、「作業者に対して所定の通知をする通知手段」という限りにおいて、相当する。 ・後者における「前記出納ステーション10の制御を行う制御装置33」は、前者における「前記数値と前記図書ID数とが不一致の場合、前記読取図書数入力手段による数値の再入力を促すように前記警告通知手段を制御する制御手段」に、「所定の制御をする制御手段」という限りにおいて、相当する。 したがって、両者は、 「複数の図書を収納可能であって書庫に保管されている複数のコンテナと、 これらコンテナの中から搬送指示を受けたコンテナを入庫もしくは出庫するスタッカークレーンと、 前記コンテナに対して図書取出作業と図書収納作業とを作業者が行う出納ステーションと、 前記スタッカークレーンと前記出納ステーションとの間で前記搬送指示を受けたコンテナを搬送する搬送手段とを備えた自動書庫システムにおいて、 前記出納ステーションに設置され、前記図書に設けられた情報保持手段から図書情報を読み取る図書情報読取手段と、 前記出納ステーションに設置され、所定のデータを入力する入力手段と、 作業者に対して所定の通知をする通知手段と、 所定の制御をする制御手段とを有する自動書庫システム。」の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 図書に設けられた情報保持手段から図書情報を読み取る図書情報読取手段に関し、本願補正発明においては、「図書に設けられたICタグから図書情報を読み取る図書情報読取手段」であるのに対して、引用発明においては、「書籍16に貼付されたバーコードから書籍16の情報を読み取る埋込型バーコードリーダ21及びハンディバーコードリーダ26」である点(以下、「相違点1」という。)。 [相違点2] 本願補正発明においては、「前記出納ステーションに設置され、前記図書情報読取手段で読み取る図書の冊数を入力する読取図書数入力手段と、前記図書情報読取手段によって前記ICタグから読み取られた図書ID数と前記読取図書数入力手段によって入力された数値とが不?致の場合に作業者に対して警告情報を通知する警告通知手段と、前記数値と前記図書ID数とが不一致の場合、前記読取図書数入力手段による数値の再入力を促すように前記警告通知手段を制御する制御手段とを有する」のに対して、引用発明においては、「前記出納ステーション10に設けられ、各種データを入力する際に使用されるマウス22及びキーボード25と、入出庫される前記書籍16の書籍データを表示する埋込型モニタ20と、前記出納ステーション10の制御を行う制御装置33と」を有しているものの、そのような構成を有しているか否か不明である点。(以下、「相違点2」という。)。 4.判断 上記相違点について検討する。 [相違点1及び2について] 引用発明、刊行物2に記載された発明及び本願補正発明は、何れも、図書の管理を行うシステムの技術分野に属するものであり、また、図書情報読取手段と、データを入力する入力手段と、作業者に対する通知手段と、制御手段とを有する基本的構成において共通している。 そこで、相違点1及び2の検討に先立ち、刊行物2に記載された発明を本願補正発明の用語を用いて表現するために、本願補正発明と刊行物2に記載された発明(以下、「後者2」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・後者2における「蔵書」は前者における「図書」に相当し、以下同様に、「貼付された」は「設けられた」に、「ICタグ」は「ICタグ」に、「資料識別子」は「図書情報」に、「ICタグ読取手段としてのICタグリーダライタ11」は「図書情報読取手段」に、「蔵書の冊数」は「図書の冊数」に、「入力手段としてのキーボードやポインティングデバイス」は「読取図書数入力手段」に、「蔵書の資料識別子の数」は「図書ID数」に、「入力冊数」は「数値」に、「一致しない場合」は「不?致の場合」に、「図書館職員」は「作業者」に、「蔵書の配置変更を指示するメッセージを含む配置変更指示画面」は「警告情報」に、「表示する」は「通知する」に、「業務用端末10のディスプレイ」は「警告通知手段」に、「制御部21」は「制御手段」に、それぞれ相当する。 ・後者2における「図書館の貸出返却処理システム」は、前者における「自動書庫システム」に、「書庫に対する図書の出納を処理するシステム」という限りにおいて、相当する。 ・後者2における「蔵書の配置変更をして前記ICタグリーダライタ11による前記ICタグから資料識別子の再読み取りの実行を促すように」は、前者における「前記読取図書数入力手段による数値の再入力を促すように」に、「不一致である前記数値と前記図書ID数の内の一方に関する情報の再入力を促すように」という限りにおいて、相当する。 そうすると、刊行物2に記載された発明から次のとおりの技術(以下、「刊行物2に記載された技術」という。)を導き出すことができる。 「書庫に対する図書の出納を処理するシステムにおいて、前記図書に設けられたICタグから図書情報を読み取る図書情報読取手段と、前記図書情報読取手段で読み取る図書の冊数を入力する読取図書数入力手段と、前記図書情報読取手段によって前記ICタグから読み取られた図書ID数と前記読取図書数入力手段によって入力された数値とが不?致の場合に作業者に対して警告情報を通知する警告通知手段と、前記数値と前記図書ID数とが不?致の場合、不一致である前記数値と前記図書ID数の内の一方に関する情報の再入力を促すように、前記警告通知手段を制御する制御手段とを有すること。」 そして、物品に設けられる情報保持手段として、ICタグ及びバーコードが存在することは本件出願前に技術常識であり、刊行物2において、ICタグと同じ資料識別子を表示するバーコードが、ICタグと同様に蔵書へ貼付されることが記載されていることからも(刊行物2の段落【0019】及び【0020】を参照。)、何れを用いるかは当業者が適宜選択し得る事項であって、さらに刊行物2に記載された技術は、ICタグの読取精度を向上させて、書庫に対する図書の出納処理(貸出返却処理)における処理時間を短縮することができるものである(刊行物2の段落【0017】を参照。)ところ、同じく書庫に対する図書の出納処理をするものといえる引用発明においても、処理時間を短縮することは内在する課題であるから、引用発明において、刊行物2に記載された技術を適用することは、当業者が容易になし得たことである。 その際、図書情報読取手段によってICタグから読み取られた図書ID数と読取図書数入力手段によって入力された数値とが不?致の場合には、ICタグから読み取られた図書ID数と入力された数値のうち、少なくとも何れかに誤りがあることは明らかであるから、仮に、入力された数値に誤りがあれば、図書情報読取手段によってICタグから図書情報の再読み取りの実行をし、仮に、ICタグから読み取られた図書ID数に誤りがあれば、読取図書数入力手段によって数値を再入力することになるのであって、正しく物品を出納するために、物品情報読取手段によってバーコード等の情報保持手段から読み取られた物品の数と、予め入力された物品の数とが一致しているかの確認を行い、一致していない場合に予め入力された物品の数を訂正することも、本件出願前に周知の事項(以下「周知事項」という。必要であれば、特開平7-68854号公報(特に、段落【0015】及び【0016】並びに図3)及び特開平9-274630号公報(特に、段落【0027】並びに図2及び図5)を参照。)である。 そうすると、引用発明のような書庫に対する図書の出納を行うものにおいて、正確な出納は普遍的な課題であることを考慮すれば、引用発明において、刊行物2に記載された技術及び周知事項を適用することにより、図書情報読取手段によってICタグから読み取られた図書ID数と読取図書数入力手段によって入力された数値とが不?致の場合に、読取図書数入力手段による数値の再入力を促すように警告通知手段を制御するようにして、上記相違点1及び2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明、刊行物2に記載された技術及び周知事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2に記載された技術及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 〔4〕むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成25年12月20日に提出された手続補正書により補正された、前記第2[理由]〔1〕(A)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2.刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及びその記載事項、並びに、引用発明は、前記第2[理由]〔3〕2.(1)に記載したとおりであり、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2及びその記載事項、並びに、刊行物2に記載された発明は、前記第2[理由]〔3〕2.(2)に記載したとおりであり、さらに刊行物2に記載された技術は、前記第2[理由]〔3〕4.に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]〔3〕で検討した本願補正発明において、「前記数値と前記図書ID数とが不一致の場合、前記読取図書数入力手段による数値の再入力を促すように前記警告通知手段を制御する制御手段」という発明特定事項について、「前記数値と前記図書ID数とが不?致の場合」に促す動作の選択肢として「前記図書情報読取手段による前記ICタグから図書情報の再読み取りの実行」という発明特定事項を加えたものに相当する。 すなわち、「前記読取図書数入力手段による数値を再入力」の選択肢についてはそのままである。そして、その選択肢については前記第2[理由]〔3〕4.において検討済みである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、引用発明、刊行物2に記載された技術及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとした、前記第2[理由]〔3〕の検討を踏まえれば、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術に基づいて、又は、引用発明、刊行物2に記載された技術及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-01-30 |
結審通知日 | 2015-02-03 |
審決日 | 2015-02-16 |
出願番号 | 特願2009-230848(P2009-230848) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65G)
P 1 8・ 575- Z (B65G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加藤 昌人、山本 杏子 |
特許庁審判長 |
伊藤 元人 |
特許庁審判官 |
槙原 進 藤原 直欣 |
発明の名称 | 自動書庫システム |
代理人 | 樺山 亨 |
代理人 | 本多 章悟 |
代理人 | 工藤 修一 |