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審決分類 |
審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W |
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管理番号 | 1299702 |
審判番号 | 不服2013-19382 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-04 |
確定日 | 2015-04-15 |
事件の表示 | 特願2012-109814「狭域・高速データ通信および広域・低速データ通信用のデュアル・モード加入者ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月16日出願公開、特開2012-157076〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成12年8月28日(パリ条約に基づく優先権主張 1999年9月21日 米国)を国際出願日とする国際出願である特願2001-525902号の一部を平成21年7月27日に特願2009-174437号として新たな特許出願とし、さらに、その一部を平成22年2月25日に特願2010-40192号として新たな特許出願とし、さらに、その一部を平成23年4月1日に特願2011-82207号として新たな特許出願とし、さらに、その一部を平成24年5月11日に特願2012-109814号として新たな特許出願としたものであって、 平成24年9月19日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成25年3月25日に手続補正がなされ、平成25年5月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年10月4日に拒絶査定不服審判が請求され、平成26年3月31日付けで当審から拒絶理由が通知され、これに対して平成26年9月30日に意見書が提出されるとともに、手続補正がなされたものである。 第2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年9月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるものである。 「【請求項1】 加入者ユニットであって、 前記加入者ユニットからセルラーワイヤレスネットワークへの第1のデータの送信のための、前記加入者ユニットによって利用可能にされた複数の直交符号分割多重接続(CDMA)物理チャネルの少なくとも一つを動的に割り当てるように構成されたプロセッサと、 前記動的に割り当てられた前記複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つを介して前記加入者ユニットから前記セルラーワイヤレスネットワークに前記第1のデータを送信するように構成されたセルラー送受信機と、 IEEE802.11送受信機と を備え、 前記プロセッサは、前記動的に割り当てられた前記複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられておらず、および前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するようにさらに構成されている、加入者ユニット。」 第3.本願の出願日の認定 以下の記載における下線は、すべて当審が付加したものである。 (ア)明細書の記載について 本願明細書の段落番号【0078】に「W-LAN基地局が検出されない場合、検出回路201によりスイッチ211Aおよび211Bを制御して、CDMAプロトコル・コンバータ130をCDMAトランシーバ140とともに切り換えるようにする。」と記載されている。 また、本願明細書の段落番号【0079】に「これと逆に、W-LAN基地局が検出される場合、スイッチ211Aおよび211Bは図示された位置に切り換えられ、好ましくはIEEE802.11に準拠するW-LANプロトコル・コンバータ230とトランシーバ240を利用する。」と記載されている。 本願明細書の段落番号【0077】に「簡単のために図6を引用して説明を続ける。広域・低速データ転送率モードでは、スプーフィング機能132は、CDMAトランシーバ140に同期データ・ビットをループバックさせることを含み、端末装置110をスプーフして(欺いて)、非常に広いワイヤレス通信リンク160が連続して利用可能であるように信じさせる。しかし、端末装置からCDMAトランシーバ140までに実際データが存在するときだけ、ワイヤレス帯域幅が割り当てされる。したがって、ネットワーク層は、割り当てられたワイヤレス帯域幅を通信セッションの全体に対して割り当てる必要がない。つまり、データがネットワーク装置への端末装置上に表われないときは、帯域幅管理機能134は最初に割り当てされた無線チャンネル帯域幅160の割り当てを解除し、それを別のトランシーバおよび別の加入者ユニット101で利用可能にする。」と記載されている。 段落番号【0077】の「広域・低速データ転送率モード」は、段落番号【0078】のW-LAN基地局が検出されず、検出回路201によりスイッチ211Aおよび211Bを制御して、CDMAプロトコル・コンバータ130をCDMAトランシーバ140とともに切り換った状態である。この状態は、図6のW-LANプロトコル・コンバータ230及び802.11トランシーバ240が、インターフェース120とアンテナ150に接続されていないから、本願発明の「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間」ではない。つまり、段落番号【0077】のスプーフィング機能132が、CDMAトランシーバ140に同期データ・ビットをループバックさせることは、本願発明の「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間」についての記載ではないということである。 実際、図6の構成では、本願発明の「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間」、スイッチ211a及び211bは図示の状態であり、CDMAプロトコル・コンバータ130及びCDMAトランシーバ140が、インターフェース120とアンテナ150に接続されていないから、スプーフィング機能132は、CDMAトランシーバ140に同期データ・ビットをループバックさせることができず、端末装置110をスプーフする(欺く)こともできず、非常に広いワイヤレス通信リンク160が連続して利用可能であるように信じさせることもできず、結局、CDMAの通信セッションを維持することができない。 したがって、段落番号【0077】-【0079】を中心とした本願明細書の記載を参照しても、本願発明の「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」が開示されているとは言えない。 最初の出願である特願2001-525902号から本願の特願2012-109814号に至るまでのいずれの出願の明細書も、段落番号のズレなどがあるものの、同じ内容が記載されているから、いずれの出願の明細書にも、本願発明の「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」ことが開示されているとは言えない。 (イ)特許請求の範囲の記載について 特願2011-82207号の出願時の請求項1には、「該第2のトランシーバを介して前記IEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークとパケットデータを通信する間、前記複数の割り当てられた物理チャンネルがない場合に、前記第1のワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するように構成されるプロセッサ」と記載されており、本願発明の「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」に相当する事項が記載されている。 しかし、特願2010-40192号の出願時の請求項1には、「前記複数の割り当てられた物理層チャンネルがない場合、物理層の上で、前記第1のワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するように構成されるプロセッサ」と記載されており、本願発明の「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」に相当する事項が記載されていない。 なお、特願2010-40192号については、平成23年4月1日付けで手続補正がなされ、「該第2のトランシーバを介して前記IEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークとパケットデータを通信する間、前記複数の割り当てられた物理チャンネルがない場合に、前記第1のワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するように構成されるプロセッサ」という事項が請求項1に導入され、同日付けの意見書で、「さらに、プロセッサは、第1のトランシーバおよび第2のトランシーバに連結されており、かつ第2のトランシーバを介してIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークとパケットデータを通信する間、複数の割り当てられた物理チャンネルがない場合に、第1のワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するように構成されます(例えば、段落[0026][0042][0043][0072]など)。」と説明している。 しかし、指摘されている段落[0026][0042][0043][0072]を参照しても、本願の請求項1の「前記WLANとの通信セッションが利用されている間、前記セルラー通信ネットワークへの論理コネクションを維持する」に相当する事項が記載されているとは認められない。 よって、本願の出願日は、特願2011-82207号の出願日である平成23年4月1日であると認める。 第4.特許法第36条関係の拒絶理由 平成26年3月31日付けの当審拒絶理由通知で通知された特許法第36条関係の拒絶理由は、以下のとおりである。 (A)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1の「前記ワイヤレス物理チャネルがない場合、および前記WLANとの通信セッションが利用されている間、前記セルラー通信ネットワークへの論理コネクションを維持する手段」は、「前記ワイヤレス物理チャネルがない場合に、前記セルラー通信ネットワークへの論理コネクションを維持し、且つ前記WLANとの通信セッションが利用されている間にも、前記セルラー通信ネットワークへの論理コネクションを維持する手段」という意味か、それとも「前記ワイヤレス物理チャネルがない場合であって、且つ前記WLANとの通信セッションが利用されている間に、前記セルラー通信ネットワークへの論理コネクションを維持する手段」という意味か、不明確である。 (2)上記(1)は、請求項1の従属項である請求項2-13についても同様である。 よって、請求項1-13に係る発明は明確でない。 第5.特許法第36条関係の拒絶理由についての当審の判断 特許法第36条第6項第2号の拒絶理由は、請求項1の「前記ワイヤレス物理チャネルがない」と「前記WLANとの通信セッションが利用されている」という2つの条件の論理和が、前記セルラー通信ネットワークへの論理コネクションを維持するための条件であるのか、それとも前記2つの条件の論理積が、前記セルラー通信ネットワークへの論理コネクションを維持するための条件であるのか、不明確であるというものである。 平成26年9月30日付けの手続補正により、2つの条件がそれぞれ「前記動的に割り当てられた前記複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられておらず」、「前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する」と補正されたが、各条件の意味するところは変わっていない。また文の構造も「・・・・、および・・・・する間、」と変わっていないので、2つの条件の論理和が、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するための条件であるのか、それとも前記2つの条件の論理積が、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するための条件であるのか、依然として不明確である。 平成26年9月30日付けの意見書で、審判請求人は、 「また、記載不備を指摘された事項については、請求項1に記載されているように、動的に割り当てられた複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられておらず、およびIEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間に(すなわち、この2つの条件のときに)、セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する、という構成が明確になるように補正されています。 したがって、理由Aは解消されるものと思料します。」 と、説明しているが、「この2つの条件のときに」が、「この2つの条件の論理和のときに」なのか、それとも「この2つの条件の論理積のときに」なのかは、明らかにしていない。 第6.特許法第29条関係の拒絶理由ついて 1.引用発明 当審拒絶理由通知で引用された刊行物1(欧州特許出願公開第2259498号明細書 2010年(平成22年)12月8日公開)には、以下の事項が記載されている。 (a)特許請求の範囲の請求項1 「1.A method of communication by a subscriber unit, the method comprising: communicating with a cellular network via a wireless physical channel; establishing a communication session with a wireless local area network, WLAN; releasing the wireless physical channel; and maintaining a logical connection to the cellular network in the absence of the wireless physical channel and while utilizing the communication session with the WLAN.」 (当審訳:1.加入者ユニットを用いて通信を行う方法であって、該方法は、 ワイヤレス物理チャネルを介してセルラーネットワークで通信すること、 ワイヤレスローカルエリアネットワーク、すなわちWLANで通信セッションを確立すること、 ワイヤレス物理チャネルを解放すること、及び ワイヤレス物理チャネルがない場合に、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持すること、 WLANで通信セッションを利用する間、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持すること を含む方法。) したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「加入者ユニットを用いて通信を行う方法であって、該方法は、 ワイヤレス物理チャネルを介してセルラーネットワークで通信すること、 ワイヤレスローカルエリアネットワーク、すなわちWLANで通信セッションを確立すること、 ワイヤレス物理チャネルを解放すること、及び ワイヤレス物理チャネルがない場合に、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持すること、 WLANで通信セッションを利用する間、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持すること を含む方法。」 2.本願発明と引用発明の「加入者ユニット」の一致点・相違点 セルラーネットワークがワイヤレスであることは技術常識であるから、引用発明の「セルラーネットワーク」が、本願発明の「セルラーワイヤレスネットワーク」に相当する。」 セルラーワイヤレスネットワークの加入者ユニットが、該加入者ユニットからセルラーワイヤレスネットワークへのデータの送信のための、前記加入者ユニットによって利用可能にされた複数の物理チャネルの少なくとも一つを動的に割り当てるように構成されたプロセッサを備えていることは、技術常識であるから、本願発明と引用発明の「加入者ユニット」とは、「前記加入者ユニットからセルラーワイヤレスネットワークへの第1のデータの送信のための、前記加入者ユニットによって利用可能にされた複数の物理チャネルの少なくとも一つを動的に割り当てるように構成されたプロセッサ」を備える点で一致している。 引用発明の「加入者ユニット」は、ワイヤレス物理チャネルを介してセルラーネットワークで通信するから、本願発明と引用発明の「加入者ユニット」とは、「前記動的に割り当てられた前記複数の物理チャネルの少なくとも一つを介して前記加入者ユニットから前記セルラーワイヤレスネットワークに前記第1のデータを送信するように構成されたセルラー送受信機」を備える点で一致している。 引用発明の「加入者ユニット」は、WLANで通信セッションを確立するから、本願発明と引用発明の「加入者ユニット」とは、「WLAN送受信機」を備える点で一致している。 ここで、本願発明の「前記動的に割り当てられた前記複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられておらず、および前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」が、 「前記動的に割り当てられた前記複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられていない場合に、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持し、また前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」という意味であると仮定して、以後の検討を進める。 引用発明の「加入者ユニット」は、ワイヤレス物理チャネルがない場合に、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持するから、本願発明と引用発明の「加入者ユニット」とは、「前記動的に割り当てられた前記複数の物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられていない場合に、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持」する点で一致している。 引用発明の「加入者ユニット」は、WLANで通信セッションを利用する間、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持するから、本願発明と引用発明の「加入者ユニット」とは、「WLAN送受信機が第2のデータをワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」する点で一致している。 したがって、本願発明と引用発明の「加入者ユニット」の一致点・相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「加入者ユニットであって、 前記加入者ユニットからセルラーワイヤレスネットワークへの第1のデータの送信のための、前記加入者ユニットによって利用可能にされた複数の物理チャネルの少なくとも一つを動的に割り当てるように構成されたプロセッサと、 前記動的に割り当てられた前記複数の物理チャネルの少なくとも一つを介して前記加入者ユニットから前記セルラーワイヤレスネットワークに前記第1のデータを送信するように構成されたセルラー送受信機と、 WLAN送受信機と を備え、 前記プロセッサは、前記動的に割り当てられた前記複数の物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられていない場合に、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持し、 また前記WLAN送受信機が第2のデータをWLANワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するようにさらに構成されている、加入者ユニット。」である点。 [相違点1] 本願発明では、セルラーワイヤレスネットワークが、直交CDMA物理チャネルを使用するのに対して、引用発明のセルラーネットワークが、どのような物理チャネルを使用するのか明らかでない点。 [相違点2] 本願発明では、WLANが、IEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークであるのに対して、引用発明のWLANが、どのようなワイヤレスローカルエリアネットワークであるのか具体的に明らかでない点。 3.相違点の検討 直交CDMA物理チャネルを使用したセルラーワイヤレスネットワークは、IS-95で規定されたセルラーワイヤレスネットワークのように、セルラーワイヤレスネットワークとして周知のものに過ぎない。 IEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークは、ワイヤレスローカルエリアネットワークとして、周知のものに過ぎない。 したがって、本願発明は、引用発明から容易に想到できたものである。 なお、先の仮定に反して、本願発明の「前記動的に割り当てられた前記複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられておらず、および前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」が、 「前記動的に割り当てられた前記複数の直交CDMA物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられておらず、且つ前記IEEE802.11送受信機が第2のデータをIEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持する」という意味であると仮定したすれば、以下のとおりである。 引用発明では、ワイヤレス物理チャネルがない場合に、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持し、またWLANで通信セッションを利用する間、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持するから、ワイヤレス物理チャネルがなく、且つWLANで通信セッションを利用する間、セルラーネットワークへの論理コネクションを維持することは明らかである。 したがって、この場合の本願発明と引用発明の「加入者ユニット」の一致点・相違点は次のとおりである。 [一致点2] 「加入者ユニットであって、 前記加入者ユニットからセルラーワイヤレスネットワークへの第1のデータの送信のための、前記加入者ユニットによって利用可能にされた複数の物理チャネルの少なくとも一つを動的に割り当てるように構成されたプロセッサと、 前記動的に割り当てられた前記複数の物理チャネルの少なくとも一つを介して前記加入者ユニットから前記セルラーワイヤレスネットワークに前記第1のデータを送信するように構成されたセルラー送受信機と、 WLAN送受信機と を備え、 前記プロセッサは、前記動的に割り当てられた前記複数の物理チャネルの少なくとも一つがもはや割り当てられておらず、且つ前記WLAN送受信機が第2のデータをWLANワイヤレスローカルエリアネットワークに送信する間、前記セルラーワイヤレスネットワークとの通信セッションを維持するようにさらに構成されている、加入者ユニット。」である点。 [相違点21] 本願発明では、セルラーワイヤレスネットワークが、直交CDMA物理チャネルを使用するのに対して、引用発明のセルラーネットワークが、どのような物理チャネルを使用するのか明らかでない点。 [相違点22] 本願発明では、WLANが、IEEE802.11ワイヤレスローカルエリアネットワークであるのに対して、引用発明のWLANが、どのようなワイヤレスローカルエリアネットワークであるのか具体的に明らかでない点。 相違点21、相違点22は、それぞれ相違点1、相違点2と同じであるから、やはり、本願発明は、引用発明から容易に想到できたものである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7.むすび 以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 また、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-11 |
結審通知日 | 2014-11-18 |
審決日 | 2014-12-04 |
出願番号 | 特願2012-109814(P2012-109814) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H04W)
P 1 8・ 121- WZ (H04W) P 1 8・ 03- WZ (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 望月 章俊 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
佐藤 聡史 吉田 隆之 |
発明の名称 | 狭域・高速データ通信および広域・低速データ通信用のデュアル・モード加入者ユニット |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |
復代理人 | 濱中 淳宏 |
復代理人 | 藤原 弘和 |