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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H03M 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03M |
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管理番号 | 1299708 |
審判番号 | 不服2013-21892 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-08 |
確定日 | 2015-04-15 |
事件の表示 | 特願2011-523008「複数のチェックノード・アルゴリズムを用いる誤り訂正デコーダ」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 2月18日国際公開、WO2010/019287、平成24年 1月 5日国内公表、特表2012-500514〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、2009年 4月 8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年 8月15日、(US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年 7月 3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年11月 8日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2.補正却下の決定 [結論] 平成25年11月 8日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 平成25年11月 8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成24年 4月 6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「正しい符号語を復元するように誤り訂正(EC)符号化された符号語を復号するECデコーダを備える装置であって、 前記デコーダは、上位プロセッサによって発生された初期値の初期セットに基づいて、メッセージの第1のセットを発生するように適合され、 前記初期セットは、前記EC符号化された符号語に対応し、 前記初期セット内の各初期値は、前記EC符号化された符号語の異なるビットに対応し、 前記デコーダは、 スケールファクタおよびオフセット値に基づいて、メッセージの前記第1のセットをスケーリングおよびオフセットされたメッセージに変換するように適合された1つまたは複数のブロックと、 前記スケールファクタおよび前記オフセット値を選択するように適合されたコントローラとを備える、装置。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を 「正しい符号語を復元するように誤り訂正(EC)符号化された符号語を復号するECデコーダを備える装置であって、 前記デコーダは、上位プロセッサによって発生された初期値の初期セットに基づいて、メッセージの第1のセットを発生するように適合され、 前記初期セットは、前記EC符号化された符号語に対応し、 前記初期セット内の各初期値は、前記EC符号化された符号語の異なるビットに対応し、 前記デコーダは、 スケールファクタおよびオフセット値に基づいて、メッセージの前記第1のセットをスケーリングおよびオフセットされたメッセージに変換するように適合された1つまたは複数のブロックと、 前記EC符号化された符号語の復号のために、(i)初期スケールファクタおよび初期オフセット値を選択し、かつ(ii)その後に前記初期スケールファクタおよび前記初期オフセット値の少なくとも1つを変更するように適合されたコントローラとを備える、装置。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。(当審注:アンダーラインは補正箇所を示す。) 2.補正の適否 (1)新規事項の有無、補正の目的要件等 上記補正は、本願発明の「前記スケールファクタおよび前記オフセット値を選択するように適合されたコントローラ」に関し、「スケールファクタ」及び「オフセット値」を選択することが、「EC符号化された符号語の復号のために」、「初期スケールファクタおよび初期オフセット値を選択」することであることを限定するとともに、前記「コントローラ」は、「その後に」「初期スケールファクタ」及び「初期オフセット値の少なくとも1つを変更する」ものであることを限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。 そして、上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に適合している。 また、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものでもない。 (2)独立特許要件 上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて、以下検討する。 [補正後の発明] 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で、「補正後の発明」として認定したとおりのものである。 [引用発明] 原査定の拒絶理由に引用された, He Zheng and Hanying Hu, MMSE-Based Design of Scaled and Offset BP-Based Decoding Algorithms on the Fast Rayleigh Fading Channel, Circuits and Systems 2006. ISCAS 2006. Proceedings. 2006 IEEE International Symposium on 21-24 May 2006, pp.2061-2064 (2006年 5月)(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「 」(2061頁右欄14行?末行) (仮訳:II.BP及びいくつかのBPに基づくアルゴリズムの考察 (dv,dc)の一般的なLDPC符号を考える。ここで、dv及びdcは、変数及びチェックノードの各次数である。これらの復号アルゴリズムについての以下の議論では、特定のノードを明記しないときは、BPアルゴリズムに対し、外向きの変数ノードメッセージをvと記し、外向きのチェックノードメッセージをuと記し、u1、u2及びu3は、それぞれ、UMP、スケーリングされた及びオフセット付きBPに基づくアルゴリズムに対するものである。 そして、BPアルゴリズムにおいて、メッセージvは、(1)式(式は省略)で計算される。 ここで、u(0)は、チャネルからのLLR値であり、そして、u(i)(i=1,2,・・・,dv-1)は、メッセージvを得る1つを除く全ての連結されたチェックノードからのi番目に入来するLLR値である。BP復号におけるいかなるチェックノードに対しても、その出力LLR値は以下のtanhルールを満たす。 (式は省略) それは、(2)式(式は略)と等価である。 ここで、v(j)(j=1,2,・・・,dc-1)は、メッセージuを得る1つを除く全ての連結された変数ノードからのj番目に入来するLLR値である。) ロ.「 」(2062頁左欄1?16行) (仮訳:BPとこれらの3つのBPに基づくアルゴリズムとの差異は、外向きのチェックノードメッセージがある方法で変更されることのみである。UMPのBPに基づくアルゴリズムでは、(3)式(式は省略)となる。 スケール付きBPに基づくアルゴリズムでは、チェックノードメッセージは、(4)式(式は省略)で置換され、オフセット付きBPに基づくアルゴリズムでは、以下のようになる。 (5)式(式は省略)。 ここで、α(0<α≦(正しくは、<の下に_)1)はスケールファクタであり、そして、β(β≧(正しくは、>の下に_)0)はオフセットファクタである。明らかに、α及びβに対する最適値は、信号対雑音比(SNR)の関数であり、そして、また、反復回数に依存する。文献[1]及び[2]における処理と同様に、ファクタα及びβを全ての反復回数及び全てのSNR値に対して定数値のままとする。) 上記引用例の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、 a)上記イ.の記載から、上記引用例には、LDPC符号の復号手段として、BP(Belief Propagation)に基づく復号方法が記載されていると認められる。 b)上記イ.の(1)式から、BP(Belief Propagation)アルゴリズム(または、Sum-Productアルゴリズム、Min-Sumアルゴリズム等)を用いた復号方法では、変数ノードメッセージvの初期値に基づいて、チェックノードメッセージuを発生し、当該チェックノードメッセージuから変数ノードメッセージvを発生する反復処理を行うことは、技術常識である。 また、上記イ.の「Let us consider a (dv,dc) regular LDPC code, where dv and dc are the respective degrees of variable and check nodes.」という記載から、上記引用例の復号方法では、dv個の変数ノードとdc個のチェックノードが存在することが明らかであるとともに、(1)?(3)式から、チェックノードメッセージu及び変数ノードメッセージvは、複数個のセットとして存在することが明らかである。 すると、上記引用例のBPに基づく復号方法では、複数個の変数ノードメッセージvの初期値のセットから、複数個のチェックノードメッセージのセットを発生するものといえる。 c)上記イ.の「we write ・・・the outgoing check-node message as u for the BP algorithm, and u1,u2 and u3 for the UMP, scaled and offset BP-based algorithms, respectively.」、同ロ.の「The difference between the BP and threse three BP-based algorithms is only that the outgoing check-node message is changed in some way.」という記載及び(3)?(5)式から、上記引用例のBPに基づく復号方法は、スケールファクタα及びオフセットファクタβを用いて、変数ノードメッセージvからチェックノードメッセージuを算出することができることは明らかである。 そして、上記b)にも記載したように、上記引用例において、チェックノードメッセージu及び変数ノードメッセージvは複数個のセットとして存在するものであるから、上記引用例のBPに基づく復号手段は、スケールファクタα及びオフセットファクタβを用いて、複数個の変数ノードメッセージvのセットから複数個のチェックノードメッセージuのセットを算出するものといえる。 d)上記ロ.の「where α(0<α≦(正しくは、<の下に_)1) is a scale factor, and β(β≧(正しくは、>の下に_)0) the offset factor. Obviously, the optimum values for α and βare functions of signal-to-noise ratio(SNR), and also depend on iterations. ・・・, we make factor α and β remain constant for all iterations and all SNR values.」という記載から、上記引用例に記載されたスケールファクタα及びオフセットファクタβは、SNRやBPアルゴリズムの反復回数に応じて決定すべきもの、あるいは、定数値とするものであるから、いずれにせよ、スケールファクタα及びオフセットファクタβは選択され、設定されるものといえる。 したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「LDPC符号を復号するBP(Belief Propagation)に基づく復号方法であって、 前記BP(Belief Propagation)に基づく復号方法が、複数個の変数ノードメッセージvの初期値のセットから、複数個のチェックノードメッセージvのセットを発生し、 前記BP(Belief Propagation)に基づく復号方法が、スケールファクタα及びオフセットファクタβを用いて、複数個の変数ノードメッセージvのセットから複数個のチェックノードメッセージuのセットを算出し、 スケールファクタα及びオフセットファクタβを選択、設定する、復号方法。」 [対比・判断] 補正後の発明と引用発明とを対比すると、 イ.引用発明の「LDPC符号」が、正しく符号を再生するために誤り訂正符号化された符号であることは自明であるから、引用発明の「LDPC符号」は、補正後の発明の「誤り訂正(EC)符号化された符号語」に相当し、同「BP(Belief Propagation)に基づく復号方法」が、誤り訂正化された符号を復号するものであるから、引用発明の「LDPC符号を復号するBP(Belief Propagation)に基づく復号方法」と補正後の発明の「正しい符号語を復元するように誤り訂正(EC)符号化された符号語を復号するECデコーダを備える装置」とは、以下の相違点を除いて、正しい符号語を復元するように誤り訂正(EC)符号化された符号語を復号する手段という点で一致する。 ロ.補正後の発明の「上位プロセッサによって発生された初期値の初期セット」の「初期セット」は、明細書を参酌しても、初期値のセット以上の意味は認められないので、引用発明の「複数個の変数ノードメッセージvの初期値のセット」と補正後の発明の「上位プロセッサによって発生された初期値の初期セット」とは、いずれも「初期値の初期セット」という点で一致する。また、引用発明の「複数個のチェックノードメッセージuのセット」を第1のセットと称することは任意であるから、補正後の発明の「メッセージの第1のセット」に相当する。 すると、引用発明の「複数個の変数ノードメッセージvの初期値のセットから、複数個のチェックノードメッセージuのセットを発生し」と補正後の発明の「上位プロセッサによって発生された初期値の初期セットに基づいて、メッセージの第1のセットを発生する」とは、「初期値の初期セットに基づいて、メッセージの第1セットを発生する」という点で一致する。 そして、引用発明の「複数個の変数ノードメッセージvの初期値のセット」が、受信した誤り訂正符号化された符号の各ビットの確からしさに対応することは、技術常識であるから、引用発明と補正後の発明は、「前記初期セットは、前記EC符号化された符号語に対応し、前記初期セット内の各初期値は、前記EC符号化された符号語の異なるビットに対応し」の点で差異はない。 ハ.引用発明の「スケールファクタα及びオフセットファクタβを用いて、複数個の変数ノードメッセージvのセットから複数個のチェックノードメッセージuのセットを算出し」は、補正後の発明の「スケールファクタおよびオフセット値に基づいて、メッセージの前記第1のセットをスケーリングおよびオフセットされたメッセージに変換する」に相当する ニ.引用発明の「スケールファクタα及びオフセットファクタβを選択、設定する」ことが、誤り訂正符号化された符号の復号のための反復処理を行うためであることは自明であるから、引用発明の「スケールファクタα及びオフセットファクタβを選択、設定する」と補正後の発明の「前記EC符号化された符号語の復号のために、(i)初期スケールファクタおよび初期オフセット値を選択し、かつ(ii)その後に前記初期スケールファクタおよび前記初期オフセット値の少なくとも1つを変更する」とは、前記EC符号化された符号語の復号のために、スケールファクタおよびオフセット値を選択する点で一致する。 したがって、補正後の発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。 <一致点> 「正しい符号語を復元するように誤り訂正(EC)符号化された符号語を復号する手段であって、 初期値の初期セットに基づいて、メッセージの第1のセットを発生し、 前記初期セットは、前記EC符号化された符号語に対応し、 前記初期セット内の各初期値は、前記EC符号化された符号語の異なるビットに対応し、 スケールファクタおよびオフセット値に基づいて、メッセージの前記第1のセットをスケーリングおよびオフセットされたメッセージに変換し、 前記EC符号化された符号語の復号のために、スケールファクタおよびオフセット値を選択する、手段。」 <相違点> a)上記「手段」に関し、補正後の発明は、「ECデコーダを備える装置」であるのに対し、引用発明は、当該「装置」の構成を明示していない点。 b)上記「初期値の初期セットに基づいて、メッセージの第1のセットを発生し」に関し、補正後の発明では、「デコーダ」が、「初期値の初期セットに基づいて、メッセージの第1のセットを発生するように適合され」ており、「初期値の初期セット」は、「上位プロセッサによって発生された」ものであるのに対し、引用発明は、当該構成を明示していない点。 c)上記「スケールファクタおよびオフセット値に基づいて、メッセージの前記第1のセットをスケーリングおよびオフセットされたメッセージに変換し」に関し、補正後の発明では、「デコーダ」が、「スケールファクタおよびオフセット値に基づいて、メッセージの前記第1のセットをスケーリングおよびオフセットされたメッセージに変換するように適合された1つまたは複数のブロック」を備えるのに対し、引用発明は、当該構成を明示していない点。 d)上記「スケールファクタおよびオフセット値を選択する」に関し、補正後の発明では、「(i)初期スケールファクタおよび初期オフセット値を選択し、かつ(ii)その後に前記初期スケールファクタおよび前記初期オフセット値の少なくとも1つを変更する」ものであって、当該「選択し」、「変更するように適合されたコントローラ」を備えるのに対し、引用発明では、当該構成を明示していない点。 上記相違点a)?c)について検討する。 LDPC符号あるいは復号を行うアルゴリズムをコーダあるいはデコーダを備える装置として実現することは、普通に行われていることであるから、引用発明の「BP(Belief Propagation)に基づく復号方法」を「デコーダを備える装置」が実行するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、引用発明の「BP(Belief Propagation)に基づく復号方法」を「デコーダを備えた装置」で実行するようにしたときに、当該「デコーダ」を「複数個の変数ノードメッセージvの初期値のセットから、複数個のチェックノードメッセージuのセットを発生」するように適合させること、また、「スケールファクタα及びオフセットファクタβを用いて、複数個の変数ノードメッセージvのセットから複数個のチェックノードメッセージuのセットを算出」するための構成を「ブロック」化し、当該算出することに適合させるようにすること、さらに、受信した符号から「複数個の変数ノードメッセージvの初期値のセット」を発生するための処理を「デコーダ」とは別に設けた「プロセッサ」に行わせることは、引用発明の復号方法を「デコーダを備える装置」として実現する際に、当業者が必要に応じて選択し得る設計的事項に過ぎないものである。 また、引用発明の復号方法を「デコーダを備える装置」として実現する際に、前記「プロセッサ」が「デコーダ」に初期値を提供するというデータフローに鑑みれば、前記「プロセッサ」は、「デコーダ」の上流あるいは上位のものであるから、前記「プロセッサ」を「上位プロセッサ」と称することも、当業者が適宜なし得ることである。 よって、上記相違点a)?c)に係る構成は、当業者が容易になし得ることである。 次に、上記相違点d)について検討する。 上記[引用発明]d)の項に記載したように、引用発明の「スケールファクタα及びオフセットファクタβ」は、SNRやBPアルゴリズムの反復回数のような条件に対応して変わるものであるが、定数値として利用されていることからすると、引用発明の「スケールファクタα及びオフセットファクタβ」を所定の条件により変更して利用することは、当業者にとって自明のことである。 一方で、引用発明の「BP(Belief Propagation)に基づく復号方法」が、初期値を利用して反復処理を行うものであるから、受信した符号の状態と反復処理で利用するパラメータが適切な関係になっていないと、反復処理の結果が望ましい結果とならないことがあり得ることも、当業者であれば当然に知り得ることである。 すると、一般に、反復処理を実行し、反復処理の結果が望ましくない場合に、使用するパラメータを変更して、再度、反復処理を実行することは常套手段であるから、引用発明において、選択、設定した「スケールファクタα及びオフセットファクタβ」を初期値とし、その後、初期値のいずれかもしくは両方を変更するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 また、上記相違点a)?c)についての検討と同様に、引用発明の「BP(Belief Propagation)に基づく復号方法」を「デコーダを備える装置」が実行するようにしたときに、「スケールファクタα及びオフセットファクタβ」を選択、変更するように適合する「コントローラ」を設けることは、当業者が必要に応じて選択し得る設計的事項に過ぎないものである。 よって、上記相違点d)に係る構成は、当業者が容易になし得ることである。 そして、補正後の発明の作用効果も、引用発明から想到される構成から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、上記補正後の発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.結語 以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成25年11月 8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、「第2.1.本願発明と補正後の発明」の項で、「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明 引用発明は、上記「第2.2.(2)独立特許要件」の項中の[引用発明]の項で認定したとおりである。 3.対比・判断 そこで、本願の請求項1に係る発明と引用発明とを対比するに、本願の請求項1に係る発明は上記補正後の発明から、当該補正に係る限定を省いたものである。 そうすると、本願の請求項1に係る発明の構成に上記補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.2.(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願の請求項1に係る発明も同様の理由により、当業者が容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-17 |
結審通知日 | 2014-11-18 |
審決日 | 2014-12-01 |
出願番号 | 特願2011-523008(P2011-523008) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H03M)
P 1 8・ 121- Z (H03M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岡 裕之 |
特許庁審判長 |
菅原 道晴 |
特許庁審判官 |
田中 庸介 萩原 義則 |
発明の名称 | 複数のチェックノード・アルゴリズムを用いる誤り訂正デコーダ |
代理人 | 古谷 聡 |
代理人 | 西山 清春 |
代理人 | 細井 玲 |
代理人 | 大西 昭広 |