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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1299729 |
審判番号 | 不服2014-3659 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-02-26 |
確定日 | 2015-04-16 |
事件の表示 | 特願2007-308577「放送受信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月18日出願公開、特開2009-135646〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1.手続 本願は、平成19年11月29日の出願であって、平成25年11月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年2月26日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2.査定 原査定の理由は、概略、以下のとおりである。 本願の請求項1,2,5に係る発明は、下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願の請求項1ないし請求項5に係る発明は、下記の刊行物1ないし2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記(刊行物) 刊行物1:特表2007-534218号公報 刊行物2:特開2006-186443号公報 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、本願明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項8に記載した事項により特定されるものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりである。なお、本願発明の各構成の符号は便宜的に当審で付したものである。 (本願発明) 「A 単一のチャンネルにおいて同一時間に複数の番組が放送されるマルチ編成サービスに対応したデジタル放送の放送受信装置であって、 B 前記デジタル放送の番組情報を取得する取得部と、 C 前記デジタル放送のチャンネルを選局する選局部と、 D 前記選局部で選局されたチャンネルの放送波を受信する受信部と、 E 前記取得部で取得した番組情報に基づき、前記受信部で受信する放送波が、第1の閾値時間以内に前記マルチ編成となるか否かを判定する判定部と、 F 前記判定部により、前記受信部で受信する放送波が、前記第1の閾値時間以内に前記マルチ編成となると判定された場合、前記受信部で受信する放送波がマルチ編成となる旨を通知するように制御する通知制御部と、 G を具えることを特徴とする放送受信装置。」 第3 当審の判断 1.刊行物の記載 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1である特表2007-534218号公報には、「デジタル放送受信装置、方法、プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、デジタル放送受信装置に関し、特にマルチ編成放送の技術に関する。 【背景技術】 【0002】 近年デジタル放送においてはマルチ編成放送サービスというサービスが行われている。マルチ編成放送サービスとはハイビジョン番組1チャンネルで標準画質の番組を最大3つまで放送できることを利用したサービスで、1放送局において1つのハイビジョン番組を放送する替わりに通常画質の放送を2つあるいは3つ、それぞれ別の内容の番組を放送するサービスである。 【0003】 マルチ編成放送を受信できる受信装置には、マルチ編成放送を受信して、それぞれの番組を同時に表示画面を分割して表示するものがある。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0022】 <実施の形態1> 以下、本発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信装置、及び放送局について図面を用いながら説明する。 <概要> 本発明に係るデジタル放送受信装置は、マルチ編成放送が開始される所定時間前(例えば5分)に放送局から送られてくるダイジェスト映像を受信し、それらを一覧表示することでユーザにマルチ編成放送が開始されることを通知すると共に、そのマルチ編成で放送される各番組の内容を伝達する。 【0023】 <構成> 図1は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の機能構成を示した機能ブロック図である。以下、図1を用いてデジタル放送受信装置100の各部の機能を説明していく。 デジタル放送受信装置100は、チューナー101、TSデコード部102、視聴制御部103、録画再生制御部104、セクション解析部105、アプリ実行部106、アプリ表示部107、AVデコード部108、操作受付部109、番組選択部110、番組情報表示部111、記憶部120を含んで構成される。 【0024】 また、デジタル放送受信装置100は、放送を受信するためのアンテナ130と、デジタル放送受信装置100にユーザが指示を出すためのリモコン140と、デジタル放送受信装置100によって生成される音声を出力するスピーカ150と、デジタル放送受信装置100によって生成される映像を表示するディスプレイ160とに接続されている。 チューナー101は、アンテナ130を介して視聴制御部103の指示になるチャンネルのTS(Transport Stream)を受信して、受信したデータをTSデコード部102に出力する機能を有する。 【0025】 TSデコード部102は、チューナー101から受け取ったTSをフィルタリングして、AVデコード部108及びセクション解析部105に出力する機能を有する。 視聴制御部103は、番組選択部110から出力される選択チャンネルの放送をチューナー101に受信させ、TSデコード部102に取得したTSをデコードさせAVデコード部108、及びセクション解析部105に出力させる機能を有する。」 「【0030】 番組情報表示部111は、放送局からダイジェスト映像が得られなかった場合に、記憶部120に記憶されているEPGからマルチ編成放送で放送される番組の番組情報を抜き出して表示するためのデータを生成し、視聴制御部103に出力する機能を有する。 記憶部120は、HDDや各種メモリなどで実現され、各種データを記憶する機能を有する。記憶部120は、特にアプリケーション121、番組情報122、ダイジェスト映像123を記憶することになる。アプリケーション121は、ダイジェスト映像を一覧表示するプログラムである。番組情報122は、予めデジタル放送受信装置100が取得していたEPGである。そしてダイジェスト映像123は、放送局からマルチ編成放送で番組が放送される場合に、その番組が始まる所定時間前に放送局から送信されてくる番組の内容を簡単に説明したダイジェスト映像である。また記憶部120は、録画再生部104で録画された番組のコンテンツを記憶しておく機能も有する。また、記憶部120は、DVD(Digital Versatile Disk)や、BD(Blu-ray Disk)などの光ディスクに代表される記録媒体からデータを読み出したり、書き込んだりする機能も有する。」 「【0039】 図4?図8は、マルチ編成放送が始まる際にデジタル放送受信装置100に接続されているディスプレイ160に表示される画面を表しており、それぞれの場面についてはデジタル放送受信装置100の動作に絡めながら述べていく。 <動作> ここではデジタル放送受信装置100が放送を受信してディスプレイに表示する動作に関しては従来のデジタルテレビなどの構成と変わらないので説明を省略し、本発明に係るマルチ編成で番組の放送が行われる場合の処理について記述する。 【0040】 以下、デジタル放送受信装置100のマルチ編成放送が開始されるときの動作について、図9、図10のフローチャートを用いながら説明していく。 デジタル放送受信装置100は、放送局Aから番組を受信し、ディスプレイに表示しているものとする。 まず、ダイジェスト映像を一覧表示するまでの動作を、図9のフローチャートを用いて説明する。 【0041】 デジタル放送受信装置100は、マルチ編成放送が始まる番組内容を確認するのに十分な所定時間前(例えば5分前)に放送局からマルチ編成放送が始まることを示すアプリケーションを含んだマルチ編成番組情報を受信する(ステップS901)。受信すると同時にTSに重畳されていたアプリケーションをアプリ実行部106が起動する(ステップS903)。アプリケーションプログラムに従って、ユーザにマルチ編成放送が開始されること表示する。そしてその後にユーザに対してマルチ編成放送の内容を知りたいかどうかを問う(ステップS905)。ユーザがリモコンを使って「確認しない」ことをユーザが選択した場合(ステップS905のNO)は、GUIが消えてそのまま今までユーザが見ていた番組が表示される。」 「【0048】 この動作を具体例を挙げて説明する。現在時刻は20:54で、図2の番組表にあるように、ユーザがプロ野球中継「オールスターWチーム VS Eチーム」を見ていたとする。22:55になると、放送局からマルチ編成番組情報が放送している番組のTSに重畳されて送信され、デジタル放送受信装置100はマルチ編成番組情報300をTSとともに受信する。このマルチ編成番組情報は図3に示しているように、アプリケーションプログラムや、このアプリケーションプログラムの実行過程で表示されるダイジェスト映像のデータなどが含まれている。図3に示すように当該アプリケーションは、デジタル放送受信装置100が受信すると同時に起動(Auto start)するように設定されている。 【0049】 上述したように、受信したデータにはアプリケーションの起動コードが含まれており、アプリ実行部106は、一度記憶部120に記憶されたアプリケーション121を記憶部120から読み出して起動する。起動したアプリケーションに従い、アプリ表示部107にまず図4にあるようにユーザに対してマルチ編成放送が開始されることと、その内容の確認を行うかどうかの問いかけをGUI400の表示をもって行う。」 「【0052】 (省略) <実施の形態2> 実施の形態1においては、デジタル放送受信装置100は、放送局から送信されてくるダイジェスト映像と共に送信されてくるアプリケーションを起動することとしていたが、実施の形態2においては別の起動方法を示す。以下、実施の形態1と異なる部分について説明して行く。 【0053】 <構成> 図11に実施の形態2に係るデジタル放送受信装置1100の構成を示した。 実施の形態1におけるデジタル放送受信装置100と異なる点は、デジタル放送受信装置100の構成に加えて、監査部1170と計時部1171を備えていることである。 監査部1170は、記憶部1120にある番組情報1122を常時監視しており、マルチ編成で番組の放送が行われるかどうかを番組情報であるEPGを監視することで認識する機能を有する。 【0054】 また、計時部1171から日時を取得し、EPGを確認してマルチ編成で番組の放送が開始されることを認識している場合に、その番組が放送される開始時刻の5分前にアプリケーションを起動するようアプリ実行部1106に要求する機能も有する。 アプリ実行部1106は、監査部1170からの要求を受けて記憶部1120にあるアプリケーション1121を読み出して実行する機能を有する。実施の形態1においてはマルチ編成で番組が放送される5分前に放送波に含まれていたアプリケーションを、取得と同時に自動的に起動することとしていたが、ここではアプリ実行部1106が、監査部1170の指示によって記憶しているアプリケーションを起動し、実行することになる。」 「【0059】 <動作> 図12は、アプリケーション1121を起動するまでのデジタル放送受信装置1100の動作を示したフローチャートである。当該フローチャートに基づいてデジタル放送受信装置1100の動作を説明する。ここでは実施の形態1と異なる点はアプリケーションの起動方法であるので、その部分についてのみ説明する。 【0060】 まず、監査部1170は、常にEPGである番組情報1122を監視している。監視している内容は計時部1171で計時される現在時間で放送されている番組の次の番組がマルチ編成放送で放送されるかどうかを監視している(ステップS1201)。マルチ編成放送になるかどうかは、サブチャンネルの設定がなされているかどうかで認識できる。次の番組がハイビジョンで放送されるのならば(ステップS1201のNO)、そのまま継続して監視を行う。 【0061】 次の番組がマルチ編成放送で放送されるのならば(ステップS1201のYES)、マルチ編成放送で番組の放送が開始される時間を確認し、当該番組の開始時間の5分前になっているかを確認する(ステップS1203)。番組の開始5分前までは待機しており(ステップS1203のNO)、番組の開始5分前になったら(ステップS1203のYES)、監査部1170は、アプリ実行部106に対してダイジェスト映像の一覧表示を行うアプリケーション1121の起動命令を出力する。 【0062】 そしてアプリケーションの起動命令を受けたアプリ実行部1106は、アプリケーション1121を起動し、アプリケーションの内容に従って実施の形態1のように順次処理を行っていく。アプリケーションの処理内容については実施の形態1のものと変わらないので説明を省略する。」 2.引用発明 ここで、上記刊行物1の記載について検討する。 刊行物1に記載される<実施の形態2>は、「監査部1170」と「計時部1171」が追加されている点を除いて<実施の形態1>と同様とあるから(段落【0053】)、以下、<実施の形態1>の記載も援用して刊行物1の<実施の形態2>に記載される発明を認定する。 (1)刊行物1の段落【0001】?【0003】の記載によると、刊行物1には、「ハイビジョン番組1チャンネルで標準画質の番組を3つまで放送するマルチ編成放送サービスを受信できるデジタル放送受信装置」が記載されている。 (2)刊行物1の段落【0030】には、「デジタル放送受信装置が番組情報(EPG)を予め取得して記憶部に記憶」することが記載されている。 (3)刊行物1の段落【0023】?【0025】の記載によると、刊行物1のデジタル放送受信装置は、「チューナーが受信するチャンネルを選択する番組選択部」を有する。 (4)刊行物1の段落【0023】?【0025】の記載によると、刊行物1のデジタル放送受信装置は、「番組選択部から出力される選択チャンネルの放送を受信するチューナー」を有する。 (5)刊行物1の段落【0053】,【0054】,【0060】,【0061】,図12等の記載によると、刊行物1のデジタル放送受信装置は、「番組情報(EPG)を監視して、マルチ編成番組の放送が行われるかどうか、及びその番組の開始時間の5分前になっているかを確認する監査部」を有する。 (6)刊行物1の段落【0039】?【0041】,【0049】,【0060】?【0062】,図4,図12等の記載によると、刊行物1には、監査部がマルチ編成番組の放送が行われること(ステップS1201のYES)、及びマルチ編成番組の開始時間の5分前になったこと(ステップS1203のYES)を確認すると、アプリ実行部がアプリケーションを起動し、<実施の形態1>と同様に、図4にあるように、ディスプレイにユーザに対してマルチ編成放送が開始されることと、その内容の確認を行うかどうかの問いかけをGUI400の表示をもって行うことが記載されている。 つまり刊行物1のデジタル放送受信装置は、「監査部がマルチ編成番組の放送が行われること、及びマルチ編成番組の開始時間の5分前になったことを確認すると、ユーザに対してマルチ編成放送が開始されることと、その内容の確認を行うかどうかの問いかけを、ディスプレイにGUI400の表示をもって行う」ものといえる。 (7)まとめ 上記(1)ないし(6)によれば、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。 (引用発明) 「ハイビジョン番組1チャンネルで標準画質の番組を3つまで放送するマルチ編成放送サービスを受信できるデジタル放送受信装置であって、 デジタル放送受信装置が番組情報(EPG)を予め取得して記憶部に記憶し、 チューナーが受信するチャンネルを選択する番組選択部と、 番組選択部から出力される選択チャンネルの放送を受信するチューナーと、 番組情報(EPG)を監視して、マルチ編成番組の放送が行われるかどうか、及びその番組の開始時間の5分前になっているかを確認する監査部と、 を備え、 監査部がマルチ編成番組の放送が行われること、及びマルチ編成番組の開始時間の5分前になったことを確認すると、ユーザに対してマルチ編成放送が開始されることと、その内容の確認を行うかどうかの問いかけを、ディスプレイにGUI400の表示をもって行う、 デジタル放送受信装置。」 3.対比 本願発明と引用発明とを対比すると次のことが認められる。 (a)構成Aについて 引用発明は「ハイビジョン番組1チャンネルで標準画質の番組を3つまで放送するマルチ編成放送サービスを受信できるデジタル放送受信装置」であって、「ハイビジョン番組1チャンネル」は単一のチャンネルといえ、「ハイビジョン番組1チャンネルで標準画質の番組を3つまで放送するマルチ編成放送サービス」は、同一時間に複数の番組が放送されるマルチ編成サービスであることは明らかであるから、引用発明の上記構成は本願発明の『単一のチャンネルにおいて同一時間に複数の番組が放送されるマルチ編成サービスに対応したデジタル放送の放送受信装置』と相違しない。 (b)構成Bについて 引用発明は「デジタル放送受信装置が番組情報(EPG)を予め取得して記憶部に記憶」するものであるから、デジタル放送受信装置が番組情報(EPG)を取得する取得部を有しているということができる。 また、引用発明の「番組情報(EPG)」は、デジタル放送の番組情報であることは明らかである。 よって、引用発明のデジタル放送受信装置は『前記デジタル放送の番組情報を取得する取得部』を備えている点において本願発明と相違しない。 (c)構成Cについて 引用発明の「チューナーが受信するチャンネルを選択する番組選択部」について検討すると、「チューナーが受信するチャンネル」はデジタル放送のチャンネルであり、「受信するチャンネルを選択する」ことは、チャンネルを選局することであるから、引用発明の上記構成は本願発明の『前記デジタル放送のチャンネルを選局する選局部』と相違しない。 (d)構成Dについて 引用発明の「番組選択部から出力される選択チャンネルの放送を受信するチューナー」について検討すると、上記(c)で認定したように引用発明の「番組選択部」は本願発明の「選局部」に相当し、「選択チャンネルの放送を受信するチューナー」は選局されたチャンネルの放送波を受信する受信部であるといえるから、引用発明の上記構成は本願発明の『前記選局部で選局されたチャンネルの放送波を受信する受信部』と相違しない。 (e)構成Eについて 引用発明の「番組情報(EPG)を監視して、マルチ編成番組の放送が行われるかどうか、及びその番組の開始時間の5分前になっているかを確認する監査部」について検討すると、「マルチ編成番組の放送が行われるかどうか、及びその番組の開始時間の5分前になっているかを確認する」ことは、5分という特定の時間以内にマルチ編成番組の放送が行われるかを確認することであって、マルチ編成番組の放送が行われるとは、放送波がマルチ編成となるということであり、5分という特定の時間は第1の閾値時間と言い換えて表現することができる。 また、引用発明の「監査部」が「番組情報(EPG)を監視して」所定の条件を満足したか確認することは、番組情報に基づいて所定の条件を満足したかの判定を行うものといえ、引用発明の「監査部」は判定部ということができる。 よって、引用発明の上記構成は本願発明の『前記取得部で取得した番組情報に基づき、前記受信部で受信する放送波が、第1の閾値時間以内に前記マルチ編成となるか否かを判定する判定部』と相違しない。 (f)構成Fについて 本願発明の「放送波がマルチ編成となる旨を通知する」に関し、本願明細書の段落【0032】,図4には、『図のように、マルチ編成番組の選択画面WNには、次番組がマルチ編成である旨が、例えば「9:00からはマルチ編成番組となります。」というメッセージで、マルチ編成番組の放送開始前に、事前にユーザに通知される。』と記載されており、マルチ編成となる旨の通知の一例として、画面に「9:00からはマルチ編成番組となります。」というメッセージを表示することが示されている。 一方、引用発明は、「ユーザに対してマルチ編成放送が開始されることと、その内容の確認を行うかどうかの問いかけを、ディスプレイにGUI400の表示をもって行う」ものであり、具体的には、刊行物1の図4に示されるように「マルチ編成放送が開始されます。内容の確認を行いますか?」の表示を行うものである。 すなわち、引用発明のデジタル放送受信装置は、ディスプレイの画面に「マルチ編成放送が開始されます」と表示を行うことで、本願発明と同じく「放送波がマルチ編成となる旨を通知する」ものであるといえる。 そして、引用発明のデジタル放送受信装置が、上記の通知表示の制御を行っているものであるから、そのような制御を行う通知制御部を有しているものといえる。 また、引用発明は「監査部がマルチ編成番組の放送が行われること、及びマルチ編成番組の開始時間の5分前になったことを確認すると」、上記の通知表示を行うものであり、引用発明の「監査部」は、上記(e)において認定したように、その動作を含め、本願発明の『判定部』に相当するものであるから、引用発明は、本願発明と同じく『前記判定部により、前記受信部で受信する放送波が、前記第1の閾値時間以内に前記マルチ編成となると判定された場合』に上記の通知表示を行うものといえる。 したがって、引用発明の「監査部がマルチ編成番組の放送が行われること、及びマルチ編成番組の開始時間の5分前になったことを確認すると、ユーザに対してマルチ編成放送が開始されることと、その内容の確認を行うかどうかの問いかけを、ディスプレイにGUI400の表示をもって行う」ことは、本願発明の『前記判定部により、前記受信部で受信する放送波が、前記第1の閾値時間以内に前記マルチ編成となると判定された場合、前記受信部で受信する放送波がマルチ編成となる旨を通知するように制御する通知制御部』を有するといえ、本願発明と相違しない。 (g)構成Gについて 引用発明の「デジタル放送受信装置」は、本願発明の『放送受信装置』と相違しない。 (h)まとめ 上記(a)ないし(g)のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明と相違しない。 第4 むすび 以上のように、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1記載の発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件出願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-02-10 |
結審通知日 | 2015-02-17 |
審決日 | 2015-03-03 |
出願番号 | 特願2007-308577(P2007-308577) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 福西 章人 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
豊島 洋介 清水 正一 |
発明の名称 | 放送受信装置 |
代理人 | 大倉 昭人 |
代理人 | 杉村 憲司 |