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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1299824
審判番号 不服2014-8259  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-07 
確定日 2015-04-09 
事件の表示 特願2007-205358「高効率モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 2月26日出願公開、特開2009- 43820〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成19年8月7日に出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成24年 9月11日(起案日)
意見書 :平成24年11月16日
手続補正 :平成24年11月16日
拒絶理由通知(最後) :平成25年 7月22日(起案日)
意見書 :平成25年 9月30日
手続補正 :平成25年 9月30日
補正の却下の決定 :平成26年 1月24日(起案日)
拒絶査定 :平成26年 1月24日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成26年 5月 7日
手続補正 :平成26年 5月 7日

第2 平成26年5月7日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成26年5月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正

平成26年5月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、請求項1については、本件補正前に、
「 【請求項1】
第1の機能素子と第2の機能素子とを備えたモジュールであって、
上記第1および第2の機能素子はそれぞれ、ベース電極、エミッタ電極、およびコレクタ電極を備え、
上記第1の機能素子のいずれかの電極と、上記第2の機能素子のいずれかの電極とに直接接続する第1のフレームと、
実装面を有し、上記第1および第2の機能素子を覆うとともに、上記第1のフレームの少なくとも一部を覆う樹脂パッケージと、
上記第1のフレームの一部からなり、上記実装面に露出する端子とを備えており、
上記第1の機能素子と上記第2の機能素子とは、上記第1のフレームを挟んで対向するとともに、上記樹脂パッケージの上記実装面に対して直角である方向に積層されており、
上記第1の機能素子の上記コレクタ電極と上記第2の機能素子の上記エミッタ電極とが、上記第1のフレームに直接接続されていることを特徴とするモジュール。」
とあったところを、

本件補正後、
「 【請求項1】
第1の機能素子と第2の機能素子とを備えたモジュールであって、
上記第1および第2の機能素子はそれぞれ、ベース電極、エミッタ電極、およびコレクタ電極を備え、
上記第1の機能素子のいずれかの電極と、上記第2の機能素子のいずれかの電極とに直接接続する第1のフレームと、
実装面を有し、上記第1および第2の機能素子を覆うとともに、上記第1のフレームの少なくとも一部を覆う樹脂パッケージと、
上記第1の機能素子の上記エミッタ電極に接続された第2のフレームと、
上記第1のフレームの一部および上記第2のフレームからなり、上記実装面内に露出する複数の端子とを備えており、
上記第1の機能素子と上記第2の機能素子とは、上記第1のフレームを挟んで対向するとともに、上記樹脂パッケージの上記実装面に対して直角である方向に積層されており、
上記第1の機能素子の上記コレクタ電極と上記第2の機能素子の上記エミッタ電極とが、上記第1のフレームに直接接続されているとともに、
上記第1および第2のフレームは、いずれもが上記樹脂パッケージの内部において、上記実装面に向けて屈曲しており、
上記第1のフレームおよび上記第2のフレームは、いずれもが上記実装面に対して平面視L状に加工されている部分を有することを特徴とするモジュール。」
とするものである。

上記本件補正の内容は、請求項1について、発明特定事項である「フレーム」について「上記第1の機能素子の上記エミッタ電極に接続された第2のフレーム」を備え、「上記第1および第2のフレームは、いずれもが上記樹脂パッケージの内部において、上記実装面に向けて屈曲しており、上記第1のフレームおよび上記第2のフレームは、いずれもが上記実装面に対して平面視L状に加工されている部分を有する」と限定し、「端子」について上記第1のフレームの一部「および上記第2のフレーム」からなり、上記実装面「内」に露出する「複数の」端子を備えると限定したものである。
本件補正は、発明特定事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-47850号公報(平成16年2月12日公開、以下「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパワー半導体装置に関し、具体的にはワイヤによる接続を無くしてこれに起因する問題を解消するための技術に関する。」

(2)「【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ワイヤによる接続を有さないパワー半導体装置を提供することを主たる目的とする。」

(3)「【0035】
図2乃至図4に示すように、パワー半導体装置51は、第1乃至第3端子部材111,112,113と、第1及び第2IGBT121,122と、第1及び第2ダイオード131,132と、トランスファモールドパッケージ141と、を含んでいる。」

(4)「【0036】
詳細には、第1端子部材111は、互いに対向する第1及び第2主面111S,111Tを有する例えば銅やアルミニウム等の導電性板材(厚さは例えば0.3?0.5mm程度)を側面視上(又は断面視上)略L字型に折り曲げた形状をしており、折り曲げ部分(換言すれば稜線)を介して2つの部分111a,111bに大別される。ここでは、説明の便宜上、端子部材111の稜線に沿って第1方向D1を取り、当該稜線から上記部分111a,111bが延在する方向にそれぞれ第2及び第3方向D2,D3を取る。
【0037】
同様に、第2端子部材112も略L字型に折り曲げられた導電性板材から成り、上記主面111S,111Tに相当する第1及び第2主面112S,112Tと、上記2つの部分111a,111bに相当する2つの部分112a,112bとを有している。また、第3端子部材113も略L字型に折り曲げられた導電性板材から成り、上記主面111S,111Tに相当する第1及び第2主面113S,113Tと、上記2つの部分111a,111bに相当する2つの部分113a,113bとを有している。」

(5)「【0038】
第1IGBT121の半導体チップは、互いに対向する第1及び第2主面121S,121Tを有しており、当該主面121S,121T上に第1及び第2主電極121E,121Fがそれぞれ設けられている。同様に、第2IGBT122の半導体チップも、互いに対向する第1及び第2主面122S,122Tを有しており、当該主面122S,122T上に第1及び第2主電極122E,122Fがそれぞれ設けられている。」

(6)「【0040】
第1IGBT121及び第1ダイオード131の第1主電極121E,131Eは共に第1端子部材111の一方の部分111aの第2主面111Tに例えば半田で接合されている。このとき、IGBT121及びダイオード131は第2方向D2に並べられており、IGBT121が上記稜線側に配置されている。
【0041】
そして、第2端子部材112の一方の部分112aの第1主面112SがIGBT121及びダイオード131を介して第1端子部材111の一方の部分111aに対面するように配置されており、当該主面112SはIGBT121及びダイオード131の第2主電極121F,131Fに接合している。なお、パワー半導体装置51では、端子部材112の他方の部分112bはダイオード131側に配置されている。すなわち、端子部材111,112の他方の部分111b,112bはIGBT121及び第1ダイオード131の平面視においてIGBT121及びダイオード131を介して互いに対向するように配置されている。
【0042】
第2端子部材112の一方の部分112aの第2主面111Tには第2IGBT122及び第2ダイオード132の第1主電極122E,132Eが接合されている。なお、パワー半導体装置51では、2つのIGBT121,122が第3方向D3に積み重ねられ、2つのダイオード131,132が第3方向D3に積み重ねられている。すなわち、2つのIGBT121,122は端子部材112の部分112aを介して対向しており、2つのダイオード131,132は同部分112aを介して対向している。その一方で、第1IGBT121は端子部材112の部分112aを介して第3方向D3において第2ダイオード132には対向しておらず、同様に第2IGBT122は第3方向D3において第1ダイオード131には対向していない。」

(7)「【0044】
なお、第1乃至第3端子部材111?113の素子配置部分111a?113aは必要に応じて主電極121E,121F,122E,122F,131E,131F,132E,132F及び後述の制御電極121G,122G(図13参照)の平面パターンに対応させてパターニングされている。」

(8)「【0045】
そして、IGBT121,122及びダイオード131,132はトランスファモールドパッケージ141によって封止され、当該パッケージ141内に収容されている。このとき、第1乃至第3端子部材111?113の一方の部分111a?113aの側面及び先端面はトランスファモールドパッケージ141で覆われるように、トランスファモールドパッケージ141が形成されている。更に、パワー半導体装置51では、第1端子部材111の一方の部分111aの第1主面111S及び第3端子部材113の一方の部分113aの第2主面113Tが露出するように、トランスファモールドパッケージ141が形成されている。
他方、第1乃至第3端子部材111?113の他方の部分111b?113bの少なくとも先端側部分(折り曲げ部分から遠い側の部分)は当該パッケージ141の外部に配置されている(引き出されている)。なお、パワー半導体装置51では3つの他方の部分111b?113bは第3方向D3において同じ側へ向けて突出している。なお、他方の部分111b?113bは外部の他の装置等に接続される。」

(9)「【0047】
ここで、図1のブロック図に示すようにIGBT121及びダイオード131で以て低電位側アームを構成する場合、第1端子部材111が低電位Nに接続され、第3端子部材113が高電位Pに接続され、第2端子部材112が出力端子にあたる。更にこのとき、IGBT121,122の第1主電極121E,122E及び第2主電極121F,122Fがエミッタ及びコレクタにそれぞれにあたり、ダイオード131,132の第1主電極131E,132E及び第2主電極131F,132Fがアノード及びカソードにそれぞれにあたる。」

(10)「【0049】
なお、IGBT121,122のゲートないしは制御電極については後述の図13で説明する。」

上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。

(a)引用例1には、「パワー半導体装置」が記載されている(摘示事項(1))。

(b)パワー半導体装置51は、第1乃至第3端子部材111,112,113と、第1及び第2IGBT121,122と、トランスファモールドパッケージ141と、を含んでいる(摘示事項(3))。

(c)第1及び第2端子部材111,112は、側面視上(又は断面視上)略L字型に折り曲げた形状をしている(摘示事項(4))。

(d)第1IGBT121の半導体チップは、第1及び第2主電極121E,121Fが設けられている。第2IGBT122の半導体チップも、第1及び第2主電極122E,122Fが設けられている(摘示事項(5))。

(e)第1IGBT121の第1主電極121Eは第1端子部材111の一方の部分111aに接合されている。第2端子部材112の一方の部分112aはIGBT121の第2主電極121Fに接合している。第2端子部材112の一方の部分112aには第2IGBT122の第1主電極122Eが接合されている。2つのIGBT121,122が積み重ねられ、2つのIGBT121,122は端子部材112の部分112aを介して対向している(摘示事項(6))。

(f)第1乃至第3端子部材111?113の素子配置部分111a?113aは必要に応じて主電極121E,121F,122E,122F及び制御電極121G,122Gの平面パターンに対応させてパターニングされている(摘示事項(7))。

(g)IGBT121,122はトランスファモールドパッケージ141によって封止され、当該パッケージ141内に収容されている。第1乃至第3端子部材111?113の一方の部分111a?113aの側面及び先端面はトランスファモールドパッケージ141で覆われるように、トランスファモールドパッケージ141が形成されている。第1乃至第3端子部材111?113の他方の部分111b?113bの少なくとも先端側部分(折り曲げ部分から遠い側の部分)は当該パッケージ141の外部に配置されている(引き出されている)(摘示事項(8))。

(h)IGBT121,122の第1主電極121E,122E及び第2主電極121F,122Fがエミッタ及びコレクタそれぞれにあたる(摘示事項(9))。

(i)IGBT121,122の制御電極121G,122Gがゲートにあたる(摘示事項(10))。

(j)第1乃至第3端子部材111?113の折り曲げ部分は、トランスファモールドパッケージ141の内部にある(図6)。

以上を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「第1乃至第3端子部材111,112,113と、第1及び第2IGBT121,122と、トランスファモールドパッケージ141と、を含んでいるパワー半導体装置51であって、
第1及び第2端子部材111,112は、側面視上(又は断面視上)略L字型に折り曲げた形状をしており、
第1IGBT121の半導体チップは、エミッタ電極121E,コレクタ電極121F及びゲート電極121Gが設けられており、第2IGBT122の半導体チップも、エミッタ電極122E,コレクタ電極122F及びゲート電極122Gが設けられており、
第1IGBT121のエミッタ電極121Eは第1端子部材111の一方の部分111aに接合されている。第2端子部材112の一方の部分112aはIGBT121のコレクタ電極121Fに接合している。第2端子部材112の一方の部分112aには第2IGBT122のエミッタ電極122Eが接合されており、2つのIGBT121,122が積み重ねられ、2つのIGBT121,122は端子部材112の部分112aを介して対向しており、
IGBT121,122はトランスファモールドパッケージ141によって封止され、当該パッケージ141内に収容されており、第1乃至第3端子部材111?113の一方の部分111a?113aの側面及び先端面はトランスファモールドパッケージ141で覆われるように、トランスファモールドパッケージ141が形成されており、第1乃至第3端子部材111?113の他方の部分111b?113bの少なくとも先端側部分(折り曲げ部分から遠い側の部分)は当該パッケージ141の外部に配置されており(引き出されており)、
第1乃至第3端子部材111?113の折り曲げ部分は、トランスファモールドパッケージ141の内部にあり、
第1乃至第3端子部材111?113の素子配置部分111a?113aは必要に応じてエミッタ電極121E,122E,コレクタ電極121F,122F及びゲート電極121G,122Gの平面パターンに対応させてパターニングされているパワー半導体装置51。」

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-273977号公報(平成16年9月30日公開、以下「引用例2」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(11)「【0027】
図2に示すように、第1部分7は辺f及び辺hに沿ってそれぞれ一定幅で設けられている。第1部分7は辺hでは連続しているが、辺fでは途切れている。これはソースリードとゲートリードとがL字状の溝を介して分離される結果である。即ち、ゲートリード6は、図2に示すように、角部aを含み、辺fと辺iの途中部分に至る四角形パターンになり、その外側にソースリード4が広がることによる。ソースリード4は角部b,c,dを含み辺g,hの全長に亘り、かつ角部b及び角部dから辺f及び辺iの途中部分まで延在するL字状パターンになっている。そして、図2及び図4に示すように、ゲートリード6の第1部分7から片持梁状に延在する第2部分8の裏面に半導体チップ10の二つのゲート電極12が電気的に接続され、ゲートリード6の両側が第1部分7で支持される構造の第2部分8の裏面に半導体チップ10の8個のソース電極11が電気的に接続されている。」

3.対比

そこで、本件補正発明と引用発明とを対比する。

(1)モジュール
引用発明の「第1IGBT121」、「第2IGBT122」は、それぞれ「第1の機能素子」、「第2の機能素子」といえる。引用発明の「パワー半導体装置51」は、「モジュール」といえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「第1の機能素子と第2の機能素子とを備えたモジュール」である点で一致する。

(2)ベース電極、エミッタ電極、およびコレクタ電極
明細書の【0023】には、「なお、トランジスタチップにおいては3つの電極をベース電極、エミッタ電極、及び、コレクタ電極というが、MOSFETチップにおいては、それぞれゲート電極、ソース電極、及び、ドレイン電極という。ここでは後者で記載しているが、機能的には同じものである。」との記載があり、引用発明のIGBTの半導体チップに設けられた「ゲート電極」は、トランジスタチップにおける「ベース電極」、MOSFETチップにおける「ゲート電極」と機能的には同じものであるといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1および第2の機能素子はそれぞれ、ベース電極、エミッタ電極、およびコレクタ電極を備え」る点で一致する。

(3)第1のフレーム
引用発明の「第2端子部材112」は、第1のIGBT121のコレクタ電極121Fおよび第2IGBT122のエミッタ電極122Eに接合している。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1の機能素子のいずれかの電極と、上記第2の機能素子のいずれかの電極とに直接接続する第1のフレーム」を備える点で一致する。

(4)樹脂パッケージ
引用発明の「トランスファモールドパッケージ141」は、IGBT121,122を封止して、当該パッケージ141内に収容し、第1乃至第3端子部材111?113の一方の部分111a?113aの側面及び先端面を覆うように形成されている。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1および第2の機能素子を覆うとともに、上記第1のフレームの少なくとも一部を覆う樹脂パッケージ」を備える点で一致する。
もっとも、「樹脂パッケージ」について、本件補正発明は、「実装面」を有するのに対し、引用発明は、「実装面」といえるものを有しない点で相違する。

(5)第2のフレーム
引用発明の「第1端子部材111」は、第1IGBT121のエミッタ電極121Eに接合している。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1の機能素子の上記エミッタ電極に接続された第2のフレーム」を備える点で一致する。

(6)端子
引用発明の第1乃至第3端子部材111?113の他方の部分111b?113bの少なくとも先端側部分(折り曲げ部分から遠い側の部分)は当該パッケージ141の外部に配置されている(引き出されている)。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1のフレームの一部および上記第2のフレームからなり、露出する複数の端子」を備える点で一致する。
もっとも、「露出する」態様について、本件補正発明は、「上記実装面内に」露出するのに対し、引用発明は、そのような態様とはいえない点で相違する。

(7)第1および第2機能素子の配置
引用発明の2つのIGBT121,122は積み重ねられ、2つのIGBT121,122は端子部材112の部分112aを介して対向している。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1の機能素子と上記第2の機能素子とは、上記第1のフレームを挟んで対向するとともに、積層されて」いる点で一致する。
もっとも、「積層される」方向について、本件補正発明は、「上記樹脂パッケージの上記実装面に対して直角である方向」であるのに対し、引用発明は、そのような方向とはいえない点で相違する。

(8)第1および第2機能素子と第1のフレームとの接続
引用発明の「第1のIGBT121のコレクタ電極121F」および「第2IGBT122のエミッタ電極122E」は、「第2端子部材112」に接合されている。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1の機能素子の上記コレクタ電極と上記第2の機能素子の上記エミッタ電極とが、上記第1のフレームに直接接続されている」点で一致する。

(9)第1および第2のフレームの屈曲
引用発明の「第1及び第2端子部材111,112」は、側面視上(又は断面視上)略L字型に折り曲げた形状をしている。そして、第1乃至第3端子部材111?113の折り曲げ部分は、トランスファモールドパッケージ141の内部にある。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「上記第1および第2のフレームは、いずれもが上記樹脂パッケージの内部において、屈曲して」いる点で一致する。
もっとも、「屈曲する」方向について、本件補正発明は、「上記実装面に向けて」であるのに対し、引用発明は、そのような方向とはいえない点で相違する。

(10)第1および第2のフレームの形状
引用発明における「第1乃至第3端子部材111?113」の素子配置部分111a?113aは必要に応じてエミッタ電極121E,122E,コレクタ電極121F,122F及びゲート電極121G,122Gの平面パターンに対応させてパターニングされているものの、「第1及び第2端子部材111,112は、いずれもが実装面に対して平面視L状に加工されている部分を有する」とまではいえない。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「第1および第2のフレームの形状」について、本件補正発明は、「上記第1のフレームおよび上記第2のフレームは、いずれもが上記実装面に対して平面視L状に加工されている部分を有する」のに対し、引用発明は、そのような形状とはいえない点で相違する。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>

「第1の機能素子と第2の機能素子とを備えたモジュールであって、
上記第1および第2の機能素子はそれぞれ、ベース電極、エミッタ電極、およびコレクタ電極を備え、
上記第1の機能素子のいずれかの電極と、上記第2の機能素子のいずれかの電極とに直接接続する第1のフレームと、
上記第1および第2の機能素子を覆うとともに、上記第1のフレームの少なくとも一部を覆う樹脂パッケージと、
上記第1の機能素子の上記エミッタ電極に接続された第2のフレームと、
上記第1のフレームの一部および上記第2のフレームからなり、露出する複数の端子とを備えており、
上記第1の機能素子と上記第2の機能素子とは、上記第1のフレームを挟んで対向するとともに、積層されており、
上記第1の機能素子の上記コレクタ電極と上記第2の機能素子の上記エミッタ電極とが、上記第1のフレームに直接接続されているとともに、
上記第1および第2のフレームは、いずれもが上記樹脂パッケージの内部において、屈曲している
モジュール。」の点。

そして、次の点で相違する。

<相違点>

(1)「樹脂パッケージ」について、本件補正発明は、「実装面」を有するのに対し、引用発明は、「実装面」といえるものを有しない点。

(2)端子が「露出する」態様について、本件補正発明は、「上記実装面内に」露出するのに対し、引用発明は、そのような態様とはいえない点。

(3)第1および第2機能素子が「積層される」方向について、本件補正発明は、「上記樹脂パッケージの上記実装面に対して直角である方向」であるのに対し、引用発明は、そのような方向とはいえない点。

(4)第1および第2のフレームが「屈曲する」方向について、本件補正発明は、「上記実装面に向けて」であるのに対し、引用発明は、そのような方向とはいえない点。

(5)「第1および第2のフレームの形状」について、本件補正発明は、「上記第1のフレームおよび上記第2のフレームは、いずれもが上記実装面に対して平面視L状に加工されている部分を有する」のに対し、引用発明は、そのような形状とはいえない点。

4.判断

そこで、上記相違点について検討する。

相違点(1)、(2)について
実装面を有するパッケージと、当該実装面内に露出する複数の端子とを備えるモジュールは周知である(例えば、特開2000-243887号公報、特開2004-266096号公報、特開2006-66813号公報参照)。
かかる知見を有する当業者であれば、引用発明において、第1乃至第3端子部材111?113の他方の部分111b?113bが引き出されているトランスファモールドパッケージ141の面(引用例1の図6におけるトランスファモールドパッケージ141の上面)が実装面となるように第1乃至第3端子部材111?113の形状を変更して、第1乃至第3端子部材111?113それぞれの少なくとも一部を当該実装面内に露出する複数の端子とすることは、容易に想到し得る。

相違点(3)、(4)について
上記「相違点(1)、(2)について」のとおり、引用例1の図6におけるトランスファモールドパッケージ141の上面を実装面とした場合、第1及び第2IGBT121,122が「積層される」方向は、おのずと、実装面に対して直角である方向となり、第1及び第2端子部材111,112が「屈曲する」方向は、おのずと、実装面に向けてとなる。よって、相違点(3)、(4)は容易に想到し得る。

相違点(5)について
引用例2には、ソースリードとゲートリードとがL字状の溝を介して分離され、ソースリード4はL字状パターンになっている半導体装置が記載されている。
かかる知見に接した当業者であれば、引用発明において、エミッタリードとして機能する第1及び第2端子部材111,112を、トランスファモールドパッケージ141の上面に対して平面視L字状パターンとすることは、容易に想到し得る。

効果についてみても、上記構成の変更に伴って当然に予測される程度のことであって、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本件補正発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明

平成26年5月7日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成24年11月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.引用例

原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]3.及び4.」で検討した本件補正発明から、発明特定事項である「フレーム」について「上記第1の機能素子の上記エミッタ電極に接続された第2のフレーム」を備え、「上記第1および第2のフレームは、いずれもが上記樹脂パッケージの内部において、上記実装面に向けて屈曲しており、上記第1のフレームおよび上記第2のフレームは、いずれもが上記実装面に対して平面視L状に加工されている部分を有する」との限定を削除し、「端子」について上記第1のフレームの一部「および上記第2のフレーム」からなり、上記実装面「内」に露出する「複数の」端子を備えるとの限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により(ただし、本件補正発明と引用発明との対比における相違点(5)は、本件補正により追加された構成に基づくものであって、本願発明と引用発明との対比においては相違点とはならないから、引用例2を引用しない)、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-02-05 
結審通知日 2015-02-10 
審決日 2015-02-23 
出願番号 特願2007-205358(P2007-205358)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石野 忠志中野 浩昌  
特許庁審判長 丹治 彰
特許庁審判官 酒井 朋広
関谷 隆一
発明の名称 高効率モジュール  
代理人 土居 史明  
代理人 小淵 景太  
代理人 吉田 稔  
代理人 鈴木 泰光  
代理人 鈴木 伸太郎  
代理人 田中 達也  
代理人 臼井 尚  
代理人 仙波 司  

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