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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H03H 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03H |
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管理番号 | 1300302 |
審判番号 | 不服2014-6546 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-04-09 |
確定日 | 2015-04-30 |
事件の表示 | 特願2012-183937「アンテナ分波器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月10日出願公開、特開2013- 9411〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成19年4月20日に出願した特願2007-111995号の一部を平成24年8月23日に新たな特許出願としたものであって、平成24年9月13日付けで手続補正がなされ、平成25年10月15日付けで拒絶理由が通知され、同年12月5日付け手続補正がなされ、平成26年1月9日付けで拒絶査定され、これに対し、同年4月9日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。 第2.平成26年4月9日付けの手続補正書による補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年4月9日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正は、平成25年12月5日付け手続補正書の請求項1の記載を、本件補正後の請求項1の記載に変更する補正事項を含むものであって、その本件補正前の請求項1、及び、本件補正後の請求項1の記載は、それぞれ、以下のとおりである(なお、下線は請求人が付与した。)。 <本件補正前の請求項1> 「【請求項1】 アンテナ端子と送信端子との間に配置された送信フィルタと、 前記アンテナ端子と受信端子との間に配置された受信フィルタと、 前記送信フィルタおよび前記受信フィルタが実装されたパッケージと、 を備えており、 前記パッケージは、 前記受信フィルタのグランドパターンと、 これと電気的に分離された他のグランドパターンと、 前記受信フィルタのグランドパターンにビアで接続された少なくとも2つのフットパッドと、 前記送信フィルタのグランド用のフットパッドと、 前記アンテナ端子用のフットパッドと、 前記送信端子用のフットパッドと、 前記受信端子用のフットパッドと、 を備えており、 前記全てのフットパッドは、フットパッド面の外周よりも内側の領域に形成されている、 ことを特徴とするアンテナ分波器。」 <本件補正後の請求項1> 「【請求項1】 アンテナ端子と送信端子との間に配置された送信フィルタと、 前記アンテナ端子と受信端子との間に配置された受信フィルタと、 前記送信フィルタおよび前記受信フィルタが実装されたパッケージと、 を備えており、 前記パッケージは、 前記受信フィルタのグランドパターンと、 これと電気的に分離された他のグランドパターンと、 前記受信フィルタのグランドパターンにビアで直接接続された少なくとも2つのフットパッドと、 前記送信フィルタのグランド用のフットパッドと、 前記アンテナ端子用のフットパッドと、 前記送信端子用のフットパッドと、 前記受信端子用のフットパッドと、 を備えており、 前記全てのフットパッドは、フットパッド面の外周よりも内側の領域に形成されている、 ことを特徴とするアンテナ分波器。」 2.補正の目的 本件補正の内の上記補正事項は、補正前の請求項1における「前記受信フィルタのグランドパターンにビアで接続された少なくとも2つのフットパッド」に対して、「前記受信フィルタのグランドパターンにビアで直接接続された少なくとも2つのフットパッド」と、「接続」に関する事項を限定する補正を含んでいる。 そして、上記補正は、補正前の請求項に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正は特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含んでいることから、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定の違反)について、以下に検討する。 3.本件補正発明 本件補正発明は、平成26年4月9日付けの手続補正書の請求項1に記載された事項により特定されたものであって、上記「1.本件補正の内容」の<本件補正後の請求項1>に記載したとおりのものである。 4.引用文献 これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願基準日前に頒布された刊行物である特開2003-198325号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている(なお、下線は当審が付与した。)。 (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波フィルタをパッケージである多層構造セラミック基板に収納した分波器、及びそれを有する通信装置に関するものである。」 (2)「【0044】また、本発明の実施の第二形態における分波器は、図6及び図7に示すように、多層構造セラミック基板15は各SAWフィルタ2、3を格納するキャビティ15aを有するものである。各SAWフィルタ2、3はそのキャビティ15a内にフェースダウンボンディング等の方法で固定され、半田または金バンプ5などで電気的に多層構造セラミック基板15に接続され、蓋材14により上記キャビティ15a内に気密封止されている。その他の構成については、実施の第一形態と同様であり、同一の部材番号を付与して、それらの説明を省いた。」 (3)「【0050】各誘電体層1a?1m間の電気的な接続は、各誘電体層1a?1mに厚さ方向に穿設されたビアホールや、各誘電体層1a?1mの側面部を介して行われる。ここで、多層構造セラミック基板1は整合素子8やローパスフィルタ9の形状や、種類によりその層数を増減させてもよい。」 (4)「【0051】図9ないし図20に、多層構造セラミック基板1の、それぞれ相異なる導体層パターンを有する12枚の各誘電体層1a?1mの平面図をそれぞれ示す。 【0052】図9に示すように、第1の誘電体層1aには、その周辺部に沿って、アンテナ(ANT)端子11、Rx端子12及びTx端子13、並びにそれらの間には、外部グランド(Gnd)端子7-1、7-2、10がそれぞれ形成されている。 【0053】アンテナ(ANT)端子11は、第1の誘電体層1aにおける長辺部の中央部に設けられている。Rx端子12は、第1の誘電体層1aにおける短辺部の中央部に設けられている。Tx端子13は、第1の誘電体層1aにおける、Rx端子12のある短辺部に対向する短辺部の中央部に設けられている。ローパスフィルタ9用の外部グランド端子10は、Tx端子13に近接した位置に設けられている。 【0054】図10に示すように、第2の誘電体層1bは、その表面積の半分程度の面積にて、ローパスフィルタ9用の、各コンデンサ9b、9cを形成するための内部グランド層(b)をTx端子側にて有している。内部グランド層(b)は、各接点Iを介して各外部グランド端子10に接続されている。また、第2の誘電体層1bには、内部グランド層(b)と異なる位置に、RxSAWフィルタ2や、整合素子8のための第1の内部グランド層6-1が、第2の誘電体層1bにおける表面積の半分程度の面積にて形成されている。 」 (5)図8(a)(b)には、アンテナ端子11と送信用のTx端子13との間にTxSAWフィルタ3が配置され、アンテナ端子11と受信用のRx端子12との間にRxSAWフィルタ2が配置されること、及び、TxSAWフィルタ3のグランドがTx用外部グランド端子7-2であり、RxSAWフィルタ2のグランドがRx用外部グランド端子7-1であることが記載されている。 (6)図9には、多層構造セラミック基板1の第1の誘電体層1aの周辺部の上部長辺部の1箇所、左部短辺部の2箇所、下部長辺部の2箇所の合計5箇所にRx用外部グランド端子7-1が設けられ、右部短辺部の1箇所にTx用外部グランド端子が設けられることが記載されている。 (7)図6及び図9には、アンテナ(ANT)端子11、Rx端子12及びTx端子13、並びに、外部グランド(Gnd)端子7-1、7-2、10は、多層構造セラミック基板1の底面にあたる第1の誘電体層1aに面状(すなわち、パッド状)に形成されることが記載されている。 (8)図6、図9及び図10には、第2の誘電体層1bに設けられた内部グランド層6-1は、直接、Rx用外部グランド端子7-1に接続されることが記載されている。 したがって、引用文献には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 弾性表面波フィルタをパッケージである多層構造セラミック基板に収納した分波器に関して、 アンテナ端子11と送信用のTx端子13との間にTxSAWフィルタ3が配置され、 アンテナ端子11と受信用のRx端子12との間にRxSAWフィルタ2が配置され、 キャビティ15a内にフェースダウンボンディング等の方法で固定された各SAWフィルタ2、3を有する多層構造セラミック基板15を備えており、 多層構造セラミック基板15の第2の誘電体層1bには、 ローパスフィルタ9用の内部グランド層と、 内部グランド層(b)と異なる位置に、RxSAWフィルタ2や整合素子8のための第1の内部グランド層6-1と が形成され、 パッケージである多層構造セラミック基板1の底面にあたる第1の誘電体層1aには、 周辺部の上部長辺部の1箇所、左部短辺部の2箇所、下部長辺部の2箇所の合計5箇所にRx用外部グランド端子7-1と、 右部短辺部の1箇所にTx用外部グランド端子と、 アンテナ(ANT)端子11、Rx端子12及びTx端子13と が形成され、 第2の誘電体層1bに設けられた内部グランド層6-1は、直接、Rx用外部グランド端子7-1に接続され、 各誘電体層1a?1m間の電気的な接続は、各誘電体層1a?1mに厚さ方向に穿設されたビアホールや、各誘電体層1a?1mの側面部を介して行われ、 アンテナ(ANT)端子11、Rx端子12及びTx端子13、並びに、外部グランド(Gnd)端子7-1、7-2、10は、多層構造セラミック基板1の底面にあたる第1の誘電体層1aに面状(すなわち、パッド状)に形成される 分波器。」 5.対比 本件補正発明と引用発明とを対比すると、 引用発明は、「アンテナ端子11と送信用のTx端子13との間にTxSAWフィルタ3が配置され」ているから、本願補正発明と同様に、「アンテナ端子と送信端子との間に配置された送信フィルタ」を備えているといえる。 引用発明は、「アンテナ端子11と受信用のRx端子12との間にRxSAWフィルタ2が配置されているから、本願補正発明と同様に、「前記アンテナ端子と受信端子との間に配置された受信フィルタ」を備えているといえる。 引用発明は、「キャビティ15a内にフェースダウンボンディング等の方法で固定された各SAWフィルタ2、3を有する多層構造セラミック基板15を備えて」いる。 ここで、引用発明が備える多層構造基板は15は、「パッケージである多層構造セラミック基板」であるとともに、引用発明の「各SAWフィルタ2、3」は、「RxSAWフィルタ2」及び「TxSAWフィルタ3」であるから、送信フィルタ及び受信フィルタに相当する。 してみると、引用発明は、本願補正発明と同様に、「前記送信フィルタおよび前記受信フィルタが実装されたパッケージ」を備えているといえる。 引用発明の「多層構造セラミック基板15の第2の誘電体層1bには、ローパスフィルタ9用の内部グランド層と、内部グランド層(b)と異なる位置に、RxSAWフィルタ2や整合素子8のための第1の内部グランド層6-1とが形成され」ていることから、本願補正発明と同様に、「前記パッケージ」は、「前記受信フィルタのグランドパターン」と、「これと電気的に分離された他のグランドパターン」とを備えているといえる。 引用発明の「パッケージである多層構造セラミック基板1の底面にあたる第1の誘電体層1aには、周辺部の上部長辺部の1箇所、左部短辺部の2箇所、下部長辺部の2箇所の合計5箇所にRx用外部グランド端子7-1と、右部短辺部の1箇所にTx用外部グランド端子と、アンテナ(ANT)端子11、Rx端子12及びTx端子13とが形成され」、引用発明の「第2の誘電体層1bに設けられた内部グランド層6-1」は、直接、Rx用外部グランド端子7-1に接続され」ている。 また、「アンテナ(ANT)端子11、Rx端子12及びTx端子13、並びに、外部グランド(Gnd)端子7-1、7-2、10は、多層構造セラミック基板1の底面にあたる第1の誘電体層1aに面状(すなわち、パッド状)に形成され」ているから、アンテナ(ANT)端子11は「アンテナ端子用のフットパッド」、Rx端子12は「受信端子用のフットパッド」、Tx端子13は「送信端子用のフットパッド」、外部グランド(Gnd)端子7-1は「前記受信フィルタのグランドパターンに接続された少なくとも2つのフットパッド」、外部グランド(Gnd)端子7-2、10は「送信フィルタのグランド用のフットパッド」に対応しているといえる。 してみると、引用発明は、本願補正発明と同様に、「前記受信フィルタのグランドパターンに直接接続された少なくとも2つのフットパッドと、前記送信フィルタのグランド用のフットパッドと、前記アンテナ端子用のフットパッドと、前記送信端子用のフットパッドと、前記受信端子用のフットパッドと、を備えて」いるといえる。 引用発明は、「弾性表面波フィルタをパッケージである多層構造セラミック基板に収納した分波器」であるとともに、「アンテナ(ANT)端子11」が形成されていることから、本願補正発明と同様に、「アンテナ分波器」であるといえる。 以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> アンテナ端子と送信端子との間に配置された送信フィルタと、 前記アンテナ端子と受信端子との間に配置された受信フィルタと、 前記送信フィルタおよび前記受信フィルタが実装されたパッケージと、 を備えており、 前記パッケージは、 前記受信フィルタのグランドパターンと、 これと電気的に分離された他のグランドパターンと、 前記受信フィルタのグランドパターンに直接接続された少なくとも2つのフットパッドと、 前記送信フィルタのグランド用のフットパッドと、 前記アンテナ端子用のフットパッドと、 前記送信端子用のフットパッドと、 前記受信端子用のフットパッドと、 を備えた ことを特徴とするアンテナ分波器。」 また、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願補正発明では、「受信フィルタのグランドパターン」と「少なくとも2つのフットパッド」との直接接続が「ビア」で行われているのに対して、引用発明では、「ビア」で行われていることは記載されていない点。 <相違点2> 本願補正発明では、「全てのフットパッドは、フットパッド面の外周よりも内側の領域に形成されている」のに対して、引用発明では、このようには形成されていない点。 6.判断 <相違点1> 引用発明では、「各誘電体層1a?1m間の電気的な接続は、各誘電体層1a?1mに厚さ方向に穿設されたビアホールや、各誘電体層1a?1mの側面部を介して行われ」ていることから、引用発明は、第2の誘電体層1bに「受信フィルタのグランドパターン」が形成され、第1の誘電体層1aの裏面に「少なくとも2つのフットパッド」が形成されているとともに、この間の電気的な接続は、ビアホール又は側面部を介して行われていると考えるのが妥当である。 そして、特開2007-074698号公報(以下、「周知文献1」という。)には、段落【0129】に「図42(c)を参照に、ベース層111の表面には、ベース層112の表面と同様に、線路パターンおよびビアVIAが形成されている。図42(d)はベース層111の裏面を表面から透視した図である。図42(d)はベース層111の裏面を表面から透視した図である。図42(d)を参照に、ベース層111の裏面には導電材料からなるフットパッドとして共通端子Antである共通フットパッドFA、送信端子Txである送信フットパッドFT、受信端子Rxである受信フットパッドFRおよびグランド端子であるグランドフットパッドFGが形成されている。」と記載され、図42(d)には、フットパッドFA、FT、FR、FGの全ては裏面の外周よりも内側の領域に形成されることが記載されている。 特開2007-036856号公報(以下、「周知文献2」という。)には、段落【0051】に「図18(b)は積層パッケージ30の裏面34を上から透視した図である。裏面34にフットパッド40が形成されている。バンプパッドAntB、TxB、RxBおよびGndBに接続されたビア38、それぞれフットパッドAntF、TxF、RxFおよびGndFに接続し、積層パッケージ30の外部と接続される。」と記載され、図18(b)には、フットパッドAntF、TxF、RxFおよびGndFの全ては裏面34の外周よりも内側の領域に形成されることが記載されている。 特開2002-299785号公報(以下、「周知文献3」という。)には、段落【0055】に「図4(a)及び(b)に示されるように、フロントエンドモジュール部4を構成するサブモジュール80の平面形状は約3.0mm×約8.0mmの長方形であり、その厚みは約1.5mmである。サブモジュール80は、複数のセラミック基板が積層され、内部に所定の素子や配線を構成する導体パターン81及びスルーホール電極82が形成された多層基板及びその上面に搭載された各種電子部品83によって構成される。」、段落【0057】に「サブモジュール80の裏面には、アンテナ端子22、GSM側送信端子23、DCS側送信端子24、GSM側受信端子25及びDCS側受信端子26等を構成する複数の外部電極85が設けられており」と記載され、図4には、複数の外部電極85の全ては裏面の外周よりも内側の領域に形成されることが記載されている。 周知文献1?3の記載からみて、アンテナ分波器等のパッケージにおいて、多層構造セラミック基板の中間層に設けられたパッターンとフットパッドとをビアで接続すること、及び、全てのフットパットをフットパッド面の外周よりも内側の領域に形成することは周知事項であるといえる。 このため、引用発明における第2の誘電体層1bに形成された「受信フィルタのグランドパターン」と第1の誘電体層1aの裏面に形成された「少なくとも2つのフットパッド」との間の電気的な接続を、ビアホール又は側面部の内のビアホールとすること、すなわち、「受信フィルタのグランドパターン」と「少なくとも2つのフットパッド」との直接接続を「ビア」で行うようにすることは、当業者であれば容易になし得る事項である。 <相違点2> 上記したように、周知文献1?3の記載からみて、アンテナ分波器等のパッケージにおいて、多層構造セラミック基板の中間層に設けられたパッターンとフットパッドとをビアで接続すること、及び、全てのフットパットをフットパッド面の外周よりも内側の領域に形成することは周知事項であるといえる。 このため、引用発明において、フットパッド面のフットパッドの構成として、アンテナ分波器等のパッケージにおける周知事項であるフットパッドの構成とし、「全てのフットパッドは、フットパッド面の外周よりも内側の領域に形成されている」構成とすることは、当業者であれば容易になし得る事項である。 また、本件補正発明のように構成したことによる作用効果も、引用発明及び周知事項から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7.むすび 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成26年4月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?11に係る発明は、平成25年12月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、上記「第2.平成26年4月9日付けの手続補正書による補正についての補正却下の決定」の「1.本件補正の内容」で<本件補正前の請求項1>に記載したとおりのものである(以下、「本願発明」という)。 2.引用文献の記載事項 引用文献及び引用発明は、前記「第2.平成26年4月9日付けの手続補正書による補正についての補正却下の決定」の「4.引用文献」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記「第2.平成26年4月9日付けの手続補正書による補正についての補正却下の決定」の「3.本件補正発明」で検討した本件補正発明における「接続」に対する限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2.平成26年4月9日付けの手続補正書による補正についての補正却下の決定」の「6.判断」に記載したとおり、引用発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4.まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-02-27 |
結審通知日 | 2015-03-03 |
審決日 | 2015-03-17 |
出願番号 | 特願2012-183937(P2012-183937) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H03H)
P 1 8・ 121- Z (H03H) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 橋本 和志 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
▲広▼島 明芳 佐藤 聡史 |
発明の名称 | アンテナ分波器 |
代理人 | 吉田 稔 |
代理人 | 田中 達也 |
代理人 | 仙波 司 |
代理人 | 土居 史明 |
代理人 | 臼井 尚 |
代理人 | 小淵 景太 |
代理人 | 鈴木 泰光 |
代理人 | 鈴木 伸太郎 |