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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K |
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管理番号 | 1300309 |
審判番号 | 不服2014-10121 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-05-30 |
確定日 | 2015-04-30 |
事件の表示 | 特願2009-194742「部品内蔵配線板」拒絶査定不服審判事件〔平成23年3月10日出願公開、特開2011-49254〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年8月25日の出願であって、平成25年5月15日付けの拒絶理由に対して、平成25年7月19日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年2月25付け(発送日:3月4日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成26年5月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成26年5月30日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年5月30日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 平成26年5月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1(平成25年7月19日付け手続補正書)に記載された 「【請求項1】 第1の配線パターンと、 両端子を備え、該両端子が前記第1の配線パターンの面上に電気的、機械的に接続された、表面実装型の受動素子である部品と、 前記部品を埋設し、かつ、前記第1の配線パターンの前記部品の接続された側の面上に積層され、かつ、前記部品の前記第1の配線パターンに接続された側とは該部品を介して反対の側の位置に、該部品に対向して補強材を含有する絶縁層と、 前記絶縁層の前記第1の配線パターンが設けられた側の面上とは反対の側の面上に設けられた、前記第1の配線パターンとはすぐ隣の配線層としての第2の配線パターンと、 前記絶縁層を貫通して前記第1の配線パターンの面と前記第2の配線パターンの面との間に挟設され、かつ導電性組成物からなり、かつ貫通方向に一致する軸を有し該軸の方向に径が前記第1の配線パターンの側より前記第2の配線パターンの側でより太くなるように変化している形状の層間接続体と を具備することを特徴とする部品内蔵配線板。」を、 「【請求項1】 第1の配線パターンと、 両端子を備え、該両端子が前記第1の配線パターンの面上に電気的、機械的に接続された、表面実装型の受動素子である部品と、 前記部品を埋設し、かつ、前記第1の配線パターンの前記部品の接続された側の面上に積層され、かつ、前記部品の前記第1の配線パターンに接続された側とは該部品を介して反対の側の位置に、該部品に対向して第1の補強材を含有し、かつ平面図位置として、前記部品が埋設された領域を避けるように該領域以外の領域に第2の補強材を含有する絶縁層と、 前記絶縁層の前記第1の配線パターンが設けられた側の面上とは反対の側の面上に設けられた、前記第1の配線パターンとはすぐ隣の配線層としての第2の配線パターンと、 前記絶縁層を貫通して前記第1の配線パターンの面と前記第2の配線パターンの面との間に挟設され、かつ導電性組成物からなり、かつ貫通方向に一致する軸を有し該軸の方向に径が前記第1の配線パターンの側より前記第2の配線パターンの側でより太くなるように変化している形状の層間接続体と を具備することを特徴とする部品内蔵配線板。」 と補正することを含むものである。 なお、下線は補正箇所であり、請求人が付したとおりである。 本件補正は、発明を特定するために必要な事項である「絶縁層」について、「部品に対向して第1の補強材を含有し、かつ平面図位置として、前記部品が埋設された領域を避けるように該領域以外の領域に第2の補強材を含有する」ことを限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 2.引用刊行物とその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に日本国内において頒布された特開2005-39094号公報(以下「刊行物」という。)には、「半導体チップ内蔵配線板、半導体チップ内蔵配線板の製造方法」に関し、図面(特に図1、図6参照)とともに、次の事項が記載されている。 以下、下線は当審で付与するものである。 ア.「【技術分野】 【0001】 本発明は、半導体チップを基板中に内蔵する半導体チップ内蔵配線板およびその製造方法に係り、特に、生産性向上に適する半導体チップ内蔵配線板およびその製造方法に関する。」 イ.「【0028】 以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る半導体チップ内蔵配線板を製造する過程を示す模式的断面図である。まず、図1(a)に示すように、半導体チップ内蔵用のキャビティ12aが形成されたプリプレグ(半硬化状態の絶縁板)11、12を用意する。プリプレグ自体は、公知であるのでここでは詳細を省略するが、硬化後の強度、厚さ、加熱時の流動性などが所定(後述)になるものを用いる。 【0029】 この実施形態では、キャビティ12aを有する半硬化状態の絶縁板として、穴が開口されたプリプレグ12と平板上のプリプレグ11とが積層されたものを用いている。このほか例えば穴グリ加工によるものなど、積層によらずキャビティが形成されているものを用いてもよい。」 ウ.「【0032】 次に、図1(c)に示すように、半導体チップ13がキャビティ12aに配置・固定された配線板素材10の下側に、導電性バンプ35があらかじめ形成された配線板素材30を配置して、導電性バンプ35がプリプレグ11、12に突入するように積層する(図においてAの積層)。配線板素材30は、絶縁板31の上下面に配線パターン32、33が形成され、また、それらの配線パターン32、33は層間接続バンプ34により電気的に導通(層間接続)している。層間接続は、これに限らず、周知のスルーホールによるものでもよい。 【0033】 また、導電性バンプ35の形成は、公知のように、配線パターン32上の必要な位置に、例えばスクリーン印刷により行なうことが可能である。そのためには、インク相当の導電性ペーストとして、例えばペースト状樹脂の中に金属粒(銀、金、銅、半田など)を分散させ、加えて揮発性の溶剤を混合させたものを用意し、これをスクリーン印刷により配線パターン32上に、個々がほぼ円錐形状になるように印刷する。印刷後に溶剤を揮発させ硬化させる。 【0034】 図1(c)においてAの積層が完了したら、次に、このAの積層体の上側に配線板素材20を配置し、積層方向に加圧かつ加熱して、一体化する。このとき、導電性バンプ35の先端が、対向して位置する配線板素材20の下側の配線パターン23に達して塑性変形し、これらの間の電気的接続が確立される。また、プリプレグ11、12が熱により流動性を得て半導体チップ13周りの空間が埋められる。さらに、半導体チップ13の金属バンプ15に、対向して位置する配線板素材20の下側の配線パターン23が当接され、これらの間の電気的接続もなされる。また、この一体化により、図1(d)に示すように、プリプレグ11、12は、半硬化状態から完全に硬化した状態(硬化絶縁板11A、12A)になる。」 エ.「【0036】 上記Bの積層により図1(d)に示す状態が得られ、これにより本実施形態に係る半導体チップ内蔵配線板が完成する。ここで導電性バンプ35は、配線板素材20の下側の配線パターン23に達して塑性変形し層間接続バンプ35Aになっている。各厚さは、例えば、絶縁板21、31がそれぞれ70μm程度、硬化絶縁板11A、12Aが合わせて百数十μmないし200μmである。半導体チップ13の側面を始めその周りの空間は硬化絶縁板11A、12Aにより埋められており、新たな樹脂の充填や硬化の工程を要しない。したがって相当に生産性が向上する。また、半導体チップ13の背面にも配線パターン32を配置することができ、配線板としての機能性の面でも改善される。また、図1(d)に示す半導体チップ内蔵配線板は、配線層の数が4であるが、さらに配線層数を増加させた配線板とすることもできる(後述)。」 オ.「【0058】 次に、本発明のさらに別の実施形態について図6を参照して説明する。図6は、本発明のさらに別の実施形態に係る半導体チップ内蔵配線板の構造を示す模式式的断面図である。図6において、すでに説明したものと同じものには同一符号を付してある。この実施形態では、図5に示した実施形態に対して、硬化絶縁板81Aに埋め込み設けられた表面実装型電気・電子部品(例としてチップコンデンサ85)をさらに有する。 【0059】 このような配線板を製造するには、半導体チップ13の実装(図5(b)を参照)の前または後にチップコンデンサ85のような表面実装形電気・電子部品をも、例えばマウンタにより実装する。表面実装形電気・電子部品と配線パターン62との接続は、半導体チップ13と同様に、クリーム半田の溶融、固化による半田86(または乾燥された導電性ペースト)による。積層前のプリプレグ81には、実装された表面実装形電気・電子部品に対応する位置に開口またはキャビティを設けておく。このように、図5に示した実施形態では、半導体チップ13に加えて他の電気・電子部品を内蔵する構造に容易に変形することができる。したがって、半導体チップ内蔵内線板としてより付加価値の高いものを提供できる。」 カ.上記記載事項及び図示内容によれば、図1(d)の半導体チップ内蔵配線板は以下の構造を有しているといえる。 ・半導体チップ13の金属バンプ15に配線パターン23が電気的に接続されるものである(記載事項ウの段落【0034】参照)。 ・キャビティ12aが形成されたプリプレグ12及び平板状のプリプレグ11が硬化した硬化絶縁板11A、12A(記載事項イの段落【0028】、【0029】及び記載事項ウの段落【0034】参照)は配線パターン23の半導体チップ13側に積層され、半導体チップ13を埋設している。 ・半導体チップ13の配線パターン23に接続された側とは半導体チップ13を介して反対の側の位置の平板状の硬化絶縁板11Aと、キャビティ12aにより半導体チップ13を避ける硬化絶縁板12Aにより半導体チップは埋設されている。 ・硬化絶縁板11A、12Aの配線パターン23が配置された側の面とは反対側の面には配線パターン32が配置されている。 ・導電性バンプ35は、硬化絶縁板11A、12Aを貫通して配線パターン23と配線パターン32とを電気的に接続しており(記載事項ウの段落【0034】参照)、導電性組成物からなり、貫通方向に一致する軸を有し軸方向の径が配線パターン23の側より配線パターン32の側でより太くなるように変化している(記載事項ウの段落【0033】参照)。 上記記載事項、図示内容及び上記認定事項を総合して、本願補正発明に則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「配線パターン23と、 金属バンプ15を備え、該金属バンプ15に前記配線パターン23が電気的に接続された、半導体チップ13と、 前記半導体チップ13を埋設し、かつ、前記配線パターン23の前記半導体チップ13側に積層され、かつ、前記半導体チップ13の前記配線パターン23に接続された側とは前記半導体チップ13を介して反対の側の位置の平板状の硬化絶縁板11Aとキャビティ12aにより半導体チップ13を避ける硬化絶縁板12Aと、 前記硬化絶縁板11A、12Aの配線パターン23が配置された側の面とは反対側の面に配置された配線パターン32と、 前記硬化絶縁板11A、12Aを貫通して前記配線パターン23と前記配線パターン32とを電気的に接続しており、かつ導電性組成物からなり、かつ貫通方向に一致する軸を有し該軸方向に径が前記配線パターン23の側より前記配線パターン32の側でより太くなるように変化している形状の導電性バンプ35と を具備する半導体チップ内蔵配線板。」 3.対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「配線パターン23」、「配線パターン32」、「導電性バンプ35」は、その機能、構造からみて、本願補正発明の「第1の配線パターン」、「第2の配線パターン」、「層間接続体」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明の「半導体チップ」は、「金属バンプ15を備え、該金属バンプ15に前記配線パターン23が電気的に接続された」電子部品であるから、本願補正発明の「両端子を備え、該両端子が前記第1の配線パターンの面上に電気的、機械的に接続された、表面実装型の受動素子である部品」と、「第1の配線パターンに接続された」「電気/電子部品」という限りにおいて共通する。 また、引用発明の「硬化絶縁板11A及び12A」は「前記半導体チップ13を埋設し、かつ、前記配線パターン23の前記半導体チップ13側に積層され、かつ、前記半導体チップ13の前記配線パターン23に接続された側とは前記半導体チップ13を介して反対の側の位置の平板状の硬化絶縁板11Aとキャビティ12aにより半導体チップ13を避ける硬化絶縁板12Aと」からなるものであるから、本願補正発明の「前記部品を埋設し、かつ、前記第1の配線パターンの前記部品の接続された側の面上に積層され、かつ、前記部品の前記第1の配線パターンに接続された側とは該部品を介して反対の側の位置に、該部品に対向して第1の補強材を含有し、かつ平面図位置として、前記部品が埋設された領域を避けるように該領域以外の領域に第2の補強材を含有する絶縁層」と、「前記部品を埋設し、かつ、前記第1の配線パターンの前記部品の接続された側の面上に積層され、かつ、前記部品の前記第1の配線パターンに接続された側とは該部品を介して反対の側の位置に、該部品に対向して配置され、かつ平面図位置として、前記部品が埋設された領域を避けるように該領域以外の領域に配置された」「絶縁層」という限りで共通する。 さらに、引用発明の「前記硬化絶縁板11A、12Aの配線パターン23が配置された側の面とは反対側の面に配置された配線パターン32」は、配線パターン23と配線パターン32はすぐ隣の配線層として配置されているから、本願補正発明の「前記絶縁層の前記第1の配線パターンが設けられた側の面上とは反対の側の面上に設けられた、前記第1の配線パターンとはすぐ隣の配線層としての第2の配線パターン」に相当する。 そして、引用発明の「導電性バンプ35」は「前記硬化絶縁板11A、12Aを貫通して前記配線パターン23と前記配線パターン32とを電気的に接続して」いるから、前記配線パターン23の面と前記配線パターン32の面の間に挟設されているといえる。 以上の点からみて、本願補正発明と引用発明とは、 [一致点] 「第1の配線パターンと、 前記第1の配線パターンに接続された、電気/電子部品と、 前記部品を埋設し、かつ、前記第1の配線パターンの前記部品の接続された側の面上に積層され、かつ、前記部品の前記第1の配線パターンに接続された側とは該部品を介して反対の側の位置に、該部品に対向して配置され、かつ平面図位置として、前記部品が埋設された領域を避けるように該領域以外の領域に配置された絶縁層と、 前記絶縁層の前記第1の配線パターンが設けられた側の面上とは反対の側の面上に設けられた、前記第1の配線パターンとはすぐ隣の配線層としての第2の配線パターンと、 前記絶縁層を貫通して前記第1の配線パターンの面と前記第2の配線パターンの面との間に挟設され、かつ導電性組成物からなり、かつ貫通方向に一致する軸を有し該軸の方向に径が前記第1の配線パターンの側より前記第2の配線パターンの側でより太くなるように変化している形状の層間接続体と を具備する部品内蔵配線板。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 電気/電子部品が、本願補正発明では「両端子を備え、該両端子が前記第1の配線パターンの面上に電気的、機械的に接続された、表面実装型の受動素子である部品」であるのに対し、引用発明では「金属バンプ15を備え、該金属バンプ15に前記配線パターン23が電気的に接続された、半導体チップ13」である点。 [相違点2] 絶縁層が、本願補正発明では、「前記部品の前記第1の配線パターンに接続された側とは該部品を介して反対の側の位置に、該部品に対向して第1の補強材を含有し、かつ平面図位置として、前記部品が埋設された領域を避けるように該領域以外の領域に第2の補強材を含有する」ものであるのに対して、引用発明では、「前記半導体チップ13の前記配線パターン23に接続された側とは前記半導体チップ13を介して反対の側の位置の平板状の硬化絶縁板11Aとキャビティ12aにより半導体チップ13を避ける硬化絶縁板12Aからなるものであって、補強材を有しているか不明な点。 4.判断 (1)相違点1について 硬化絶縁板に表面実装型の受動素子である電気部品を埋設することは、刊行物の段落【0058】(記載事項オ参照)に記載されているように従来周知であり、しかも、同段落【0059】(記載事項オ参照)に記載のとおり、表面実装型の電気部品の配線パターンとの接続は端子部を半田の溶融、固化により電気的、機械的に接続されるものであるから、金属バンプ15を備え、該金属バンプ15に前記配線パターン23が電気的に接続された半導体チップ13に代えて、表面実装型の受動素子である電気部品として、相違点1に係る構成とすることは、刊行物の記載事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。 なお、請求人は「引用文献2にも上記のような「絶縁層」は開示、示唆されておりません。同文献図1を参照すれば、部品埋設の点から絶縁層11A、12Aの両者をまとめて「絶縁層」に見立てたとして、この「絶縁層」が埋設しているのは「表面実装型の受動素子である部品」ではなく、半導体チップ13であります。・・・この半導体チップ13が引用文献1にあるような「表面実装型の受動素子である部品」に置き換え可能であるというような技術的な示唆には何らなっていません(ここで下線は注意喚起)。半導体チップを適用するからこそこれらの説明は成り立っているものであります。」旨主張している。しかしながら、段落【0059】には、半導体チップに加えて他の電気・電子部品を内蔵する構造に容易に変形することができると記載されていることから、刊行物には半導体チップを他の電気・電子部品に代えて用いることが示唆されているといえる。そして、引用発明の構成は表面実装型の受動素子である部品の適用を妨げるものでもない。したがって、請求人の主張は採用できない。 (2)相違点2について 引用発明の硬化絶縁板11A、12Aは補強材を有しているか明らかでないが、刊行物の段落【0028】は、「プリプレグ自体は、公知であるのでここでは詳細を省略するが、硬化後の強度、厚さ、加熱時の流動性などが所定(後述)になるものを用いる。」と記載されているように、絶縁板の強度は考慮されるものであって、硬化後、すなわち、硬化絶縁板として求められる強度を有するような材料が選ばれるものである。 ところで、絶縁板の強度を考慮し、プリプレグに補強材を含有させることは、従来周知であり、絶縁板に補強材を設けることに困難性はなく、絶縁板中に電気/電子部品を埋設するものにおいても用いられるものであるから(例えば、特開2006-156669号公報(段落【0003】、【0028】、【図3】、【図4】参照)、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3)作用効果について そして、本願補正発明による効果も、引用発明、刊行物の記載事項及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものにすぎない。 (4)まとめ したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物の記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成26年5月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成25年7月19日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2、1のとおりのものである。 2.引用刊行物とその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項及び引用発明は、上記第2、2に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記第2で検討した本願補正発明から、絶縁層についての限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含む本願補正発明が、上記第2、3及び4に記載したとおり、引用発明、刊行物の記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、刊行物の記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.まとめ したがって、本願発明は、引用発明、刊行物の記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-02-27 |
結審通知日 | 2015-03-03 |
審決日 | 2015-03-17 |
出願番号 | 特願2009-194742(P2009-194742) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中田 誠二郎 |
特許庁審判長 |
島田 信一 |
特許庁審判官 |
冨岡 和人 森川 元嗣 |
発明の名称 | 部品内蔵配線板 |
代理人 | 須山 佐一 |