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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1300457
審判番号 不服2013-18481  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-25 
確定日 2015-05-07 
事件の表示 特願2011-25907号「液体調味料の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年6月23日出願公開、特開2011-120603号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年2月10日(優先権主張平成17年4月27日)に出願した特願2006-34074号の一部を平成23年2月9日に新たな特許出願としたものであって、以降の手続の経緯は概略以下のとおりである。
平成24年 9月12日付け 拒絶理由通知書
平成24年11月13日 意見書・手続補正書
平成24年12月 3日付け 拒絶理由通知書
平成25年 2月 8日 意見書
平成25年 6月21日付け 拒絶査定
平成25年 9月25日 審判請求書・手続補正書
平成26年 1月31日付け 審尋
平成26年 4月 3日 回答書

第2 平成25年9月25日の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成25年9月25日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、補正前の
「醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合した後、60?100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合しながら60?100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。」
から、
「醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合した後、60?100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合しながら60?100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。ここで、上記穀物由来のペプチドは、とうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチドである。」
へと変更する補正事項を含むものである。

上記補正事項は、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「穀物由来のペプチド」について、「とうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

2 独立特許要件について
(1)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
特許法第36条第6項第1号のいわゆるサポート要件に特許請求の範囲の記載が適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、あるいは、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否かを検討して判断すべきものであるとされるところ(平成25年4月11日判決言渡 平成24年(行ケ)第10299号参照。)、本件補正発明について以下に検討する。

(2)本件補正発明について
ア 本件明細書の記載について
本件補正後の請求項1の記載は、上記第2の1に記載のとおりであるところ、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件補正発明に関して、次のような記載がある。
(ア)本発明は、血圧降下作用を有する物質を混合した液体調味料の製造方法に関する(【0001】)。
(イ)昨今、食品中に含まれる種々の成分の生理作用に関心が高まっているが(【0002】)、生理活性機能を有する素材の一つとして、血圧降下作用を有する物質がある。なかでも食品中に含まれ安全性の高い物質として、ペプチド、γ-アミノ酪酸、クロロゲン酸、コーヒー豆抽出物等があり、これらを含有する高血圧に有効な食品が提案されている。特に、γ-アミノ酪酸は、食品中に含まれており、血圧降下作用、精神安定作用、抗更年期障害作用等が知られている。このように有用なγ-アミノ酪酸について、食品中の含有量を高める技術が公知である(【0003】)。ところが、調味料にγ-アミノ酪酸を添加すると、当該物質特有の後味や、エグ味が生じて風味の一体感が損なわれるという問題があるため、アミノ酸や核酸を配合することで、味質を改善する方法が開示されている(【0004】)。しかし、液体調味料に血圧降下作用を有する物質を多量に配合すると、血圧降下作用には有利に働くものの、風味に変化が生じ、継続摂取し難くなる場合がある。特に、日常摂取する液体調味料においては、風味の変化が摂取に影響を及ぼすことから、メニューによって風味変化が生じることは、継続的な摂取への影響が懸念される。例えば、上記従来技術において調味料にγ-アミノ酪酸を添加し、当該物質特有の後味や、エグ味が生じて、風味の一体感が損なわれた場合に、アミノ酸や核酸を配合することで味質を改善しようとしても、旨味が付与されて風味バランスが崩れてしまうほか、コストが増加する等の新たな問題点も生じる(【0007】)。
(ウ)本発明の目的は、日常的に摂取する商品である醤油又は醤油を含む液体調味料において、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料の簡単な製造方法を提供することにある(【0007】)。
(エ)本発明者は、配合又は製造目的物である液体調味料の製造工程において、加熱処理を行う前に血圧降下作用を有する物質を混合し、次いで加熱処理を行う工程、又は、血圧降下作用を有する物質を混合しながら加熱する工程を行うことにより、血圧降下作用を有する物質を配合しても当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的摂取が容易となり、優れた血圧降下作用を有する液体調味料が簡便に得られることを見出した。(【0008】)。すなわち、本発明は、醤油を含む調味液とγ-アミノ酪酸とを混合した後、60?100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とγ-アミノ酪酸とを混合しながら60?100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法を提供するものである(【0009】)。本発明によれば、血圧降下作用を有する物質を含有させたものであるにもかかわらず、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的に摂取することが容易となり、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料を得ることができる(【0010】)。
(オ)本発明における液体調味料は、醤油を含む液体調味料をいい(【0011】)、本発明においては、醤油を含む調味料と血圧降下作用を有する物質を混合することが必要である(【0012】)。本発明における血圧降下作用を有する物質とは、ポリフェノール類、アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチド(ACE阻害ペプチド)、交感神経抑制物質、食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等をいい、これらから選択される1種又は2種以上であることが好ましい(【0013】)。
(カ)ACE阻害ペプチドとしては、食品原料由来であるものが使用できる。特に乳由来のペプチド、穀物由来のペプチド及び魚肉由来のペプチドが好ましい。ここで、穀物由来のペプチドとしては、穀物(特にとうもろこし)由来の分子量200?4000のペプチドが好ましい。さらにまた、(特に)とうもろこし蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白等を(アルカリ性)プロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチドが好ましい。魚肉由来のペプチドとしては、魚肉由来の分子量200?1万のペプチド、さらにサバ、(特に)カツオ、マグロ、サンマ等の魚肉をプロテアーゼ処理して得られる分子量200?1万のペプチドが好ましい(【0027】)。
アンジオテンシン変換酵素阻害活性の強さは、アンジオテンシン変換酵素の活性を50%阻害する濃度(IC50)で示される。本発明に用いられるACE阻害ペプチドのIC50は、50?1000μg/mL程度であれば減塩醤油系において、血圧降下作用が期待でき(【0028】)、本発明に配合できるペプチドにはとうもろこし由来、小麦由来、大豆由来及びカツオ由来等の複数の市販品がある(【0029】)。ACE阻害ペプチドの配合量は、血圧降下作用及び風味の点から液体調味料中0.5?20%、更に1?10%、特に2?5%が好ましい(【0030】)。
(キ)本発明において、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合した後、加熱処理する工程とは、製造原料の仕込み、発酵・熟成、圧搾、火入れ後に得られた醤油を含む調味液に対し、血圧降下作用を有する物質を所定量添加、混合し、次いで加熱処理する工程をいう。本発明において、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合しながら加熱処理する工程とは、製造原料の仕込み、発酵・熟成、圧搾、火入れ後に得られた醤油を含む調味液に対し、血圧降下作用を有する物質を所定量添加、混合しながら、加熱処理する工程をいう。換言すれば、加熱状態にある醤油を含む調味液に対し、任意のタイミングで、任意の時間をかけ、血圧降下作用を有する物質を所定量添加、混合する工程をいう(【0035】)。
本発明において、加熱処理とは、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合したもの、又は、混合しつつあるものに対し、特定の条件で加熱することをいう。加熱処理を行うことで、血圧降下作用を有する物質を含有する風味良好な液体調味料を、簡便に製造することができる。加熱処理時の加熱温度は、調味液や血圧降下作用を有する物質の種類や量によって異なるが、60℃以上、好ましくは70?130℃、更に75?120℃、特に80?100℃、殊更85?95℃で加熱することが、風味、安定性、色等の点から好ましい。血圧降下作用を有する物質を混合しても、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが抑制されて風味良好となるので、60℃以上で加熱するのが好ましい(【0036】)。
本発明において、加熱処理は、液体調味料の品温で規定してもよい。加熱処理時に、品温(サンプルの中心温度)が60℃以上となるように加熱するのが好ましく、更に70?130℃、特に80?98℃、殊更85?95℃となるように加熱するのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温60℃の場合、60℃に達した時点(60℃達温)から60分以下の加熱処理が好ましく、更に60℃達温時より30秒?30分、特に60℃達温時より1?10分、殊更60℃達温時より3?7分の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温80℃の場合、80℃に達した時点(80℃達温)から10分以下の加熱処理が好ましく、更に80℃達温から5分以下、特に80℃達温から3分以下、殊更80℃達温から1分以下の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温90℃の場合、90℃に達した時点(90℃達温)から5分以下の加熱処理が好ましく、更に90℃達温から3分以下、特に90℃達温から1分以下、殊更90℃達温の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい(【0038】)。
(ク) 実施例
a 減塩醤油にコーヒー豆抽出物を1.2%添加した後、撹拌して、溶解した液体調味料1の5mlをガラス製サンプル管に入れ、閉栓状態でウォーターバス(100℃)に浸漬して加熱し、設定温度(60℃、80℃、90℃)になったところで、別に用意したウォーターバス(60℃、80℃、90℃)に浸漬させ、所定時間(1分、5分)加熱した。その後、流水で冷却し、次いで閉栓して液体調味料を製造した。達温品は、設定温度(60℃、80℃、90℃)になったところで、流水で冷却し、閉栓することにより製造した。尚、加熱処理しないものを対照品とした(【0065】?【0066】)。
このように製造された液体調味料1(試験品1?9、対照品a)を用いて冷奴を作製して風味評価を行ったところ、風味バランスについて、対照品aを使用したものは、「やや風味の一体感に欠け、あまり好ましくない」という評価を得た一方、試験品1?9を使用したものは、いずれも「風味の一体感が付与され、好ましい」か、あるいは「やや風味の一体感が付与され、やや好ましい」という評価を得たほか、コーヒー豆抽出物由来の風味の評価基準について、いずれも「コーヒー豆抽出物由来の風味を全く感じない」か、「コーヒー豆抽出物由来の風味が対照品に比べてかなり低減している」との結果を得た。
また、上記試験品1?9及び対照品aを用いて肉じゃがを作製して風味評価を行ったところ、いずれも風味バランスについて「風味の一体感が付与され、好ましい」との評価を得たほか、コーヒー豆抽出物由来の風味の評価基準について、いずれも「コーヒー豆抽出物由来の風味を全く感じない」との評価を得た。
このように、試験品1?9を使用した調理品では、血圧降下作用を有する物質由来の風味が殆ど感じられず、風味バランス良好で、調理品による風味のフレが殆どなく良好であった。尚、90℃5分の加熱処理を施しても、有効成分であるクロロゲン酸の含有量は低下しなかった。(【0067】?【0071】、【0079】?【0081】、【表1】)。
b 減塩醤油に4-アミノ酪酸を0.5%添加した後、攪拌して、溶解した(γ-アミノ酪酸含量;0.53%)液体調味料2の5mlをガラス製サンプル管に入れ、閉栓状態でウォーターバス(100℃)に浸漬して加熱し、設定温度(60℃、80℃、90℃)になったところで、別に用意したウォーターバス(60℃、80℃、90℃)に浸漬させ、所定時間(1分、5分)加熱した。その後、流水で冷却し、次いで閉栓して液体調味料を製造した。達温品は、設定温度(60℃、80℃、90℃)になったところで、流水で冷却し、閉栓することにより製造した。尚、加熱処理しないものを対照品とした(【0065】?【0066】)。
このように製造された液体調味料2(試験品10?18、対照品b)を用いて刺身を作製して風味評価を行ったところ、風味バランスについて、対照品bを使用したものは、「風味の一体感に欠け、好ましくない」という評価を得た一方、試験品10?18を使用したものは、いずれも「風味の一体感が付与され、好ましい」か、あるいは「やや風味の一体感が付与され、やや好ましい」という評価を得たほか、γ-アミノ酪酸由来の風味の評価基準について、いずれも「γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味を全く感じない」か、「γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品に比べてかなり低減している」との結果を得た。
また、上記試験品10?18及び対照品bを用いて卵焼きを作製して風味評価を行ったところ、風味バランスについて、対照品bを使用したものは、「やや風味の一体感が付与され、やや好ましい」という評価を得た一方、試験品10?18を使用したものは、すべて「風味の一体感が付与され、好ましい」という評価を得た。γ-アミノ酪酸由来の風味の評価基準について、対照品bを使用したものは、「γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品に比べてかなり低減している」という評価を得た一方、試験品10?18を使用したものは、すべて「γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味を全く感じない」との結果を得た。
このように、試験品10?18を使用した調理品では、γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が殆ど感じられず、風味の一体感が付与され、風味良好であった。(【0072】?【0076】、【0082】?【0083】、【表2】)。
c 減塩醤油に4-アミノ酪酸を0.5%添加した後、攪拌して、溶解したもの(γ-アミノ酪酸含量;0.53%)を試験品19とし、ここに、酵母エキスを0.1%添加したものを試験品20とした(【0077】)。
これらについて、スプーンに一定量とり、風味評価を行ったところ、試験品19はγ-アミノ酪酸由来の後味が感じられ好ましくなく、試験品20はγ-アミノ酪酸由来の後味は改善するものの、旨味が残り、風味バランスが崩れてしまって好ましいものではなかった。このように、加熱処理を施さずに調味料を用いてγ-アミノ酪酸の後味を改善しても、風味バランスが崩れてしまうことが明らかとなった(【0084】?【0085】、【表3】)。
d 減塩醤油100部と濃口醤油50部に、4-アミノ酪酸を0.45部と塩化カリウム0.75部添加した後、攪拌して、溶解し、50mL容のガラス製サンプル瓶に40g入れて閉栓し、ウォーターバス(85℃)に浸漬して5分間加熱し、流水で冷却し、容器詰め液体調味料Sを製造した。これを開栓して風味評価を行ったところ、γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が殆ど感じられず、カリウムの異味が抑制され、しかも風味の一体感が付与されて、風味良好であった(【0078】)。

イ 本件補正発明の課題について
以上の本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、本件補正発明の解決すべき課題は、上記ア(イ)に記載のとおり、醤油を含む液体調味料(【0011】)に、血圧降下作用を有する物質である「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」(【0013】、【0027】)を多量に配合すると、血圧降下には有利に働くものの、風味に変化が生じ、その結果、液体調味料の継続摂取が困難になる(【0006】)というものであると認められる。そして、液体調味料の継続摂取が困難となる原因は、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化であるから、本件発明の解決すべき課題は、より具体的には、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化の改善であるといえる。

ウ 本件補正発明の技術的思想について
上記ア、イによれば、本件補正発明は、醤油を含む液体調味料(【0011】)に、血圧降下作用を有する物質である「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」(【0013】、【0027】)を多量に配合すると、血圧降下には有利に働くものの、風味に変化が生じ、その結果、液体調味料の継続摂取が困難になるという課題(より具体的には、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合に、風味変化を改善するという課題)を解決するため(【0007】)、醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチドとを混合した後、60?100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチドとを混合しながら60?100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法(本件補正発明)により、血圧降下作用を有する物質を日常的に摂取する食品である醤油を含む液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料の簡便な製造方法を実現するという作用効果を有するものであるといえる(【0007】、【0008】、【0010】)。

(3)本件補正発明のサポート要件の適否について
ア 本件補正後の請求項1の記載は、上記第2の1に記載のとおりである。他方、本件明細書の発明の詳細な説明には、上記2(2)ア(カ)に記載のとおり、血圧降下作用を有する物質として、ACE阻害ペプチドの具体例や入手方法等についての具体的な記載がなされ(【0027】?【0030】)、また、上記2(2)ア(キ)に記載のとおり、醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合した後、加熱処理する工程又は醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合しながら加熱処理する工程について、加熱処理の際の温度等を含めて具体的な記載がなされており(【0035】、【0036】、【0038】)、これらの記載は本件補正後の請求項1の記載に対応するものであるといえる。

イ 本件補正発明の技術的思想は上記2(2)ウに説示したとおりであるから、本件補正発明においては、血圧降下作用を有する物質である「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」が混合され、上記のように加熱処理された液体調味料の風味変化が改善されるのであれば、その課題が解決されたものとみて差し支えないといえる。
そこで、本件明細書について、その発明の詳細な説明の記載により当業者が本件補正発明の課題を上記のとおり解決できると認識できるものであるか否かを検討する。

ウ 本件明細書の発明の詳細な説明には、本件補正発明の「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」を血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合して加熱処理した場合の実施例の記載はない。本件明細書の発明の詳細な説明には、上記2(2)ア(オ)に記載のとおり、血圧降下作用を有する物質として、ポリフェノール類、ACE阻害ペプチド、交感神経抑制物質、食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等が列記されるが(【0013】)、上記2(2)ア(ク)a?dに記載のとおり、コーヒー豆抽出物(【0065】?【0071】、【0079】?【0081】、【表1】)又はγ-アミノ酪酸(【0065】、【0066】、【0072】?【0078】、【0082】?【0085】、【表2】)を血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合した後に加熱処理した場合には、液体調味料の風味変化を改善し、本件補正発明の解決すべき課題を解決できることが実施例をもって記載されるのみである。
ここで、本件明細書の発明の詳細な説明に列記された上記血圧降下作用を有する物質の間には、その化学構造に何らかの共通性を見いだすことができず、その風味にも共通性が見当たらないばかりか、発明の詳細な説明において実施例について記載のあるクロロゲン酸類及びγ-アミノ酪酸は、いずれも「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」と共通する化学構造を有するものではなく、また、共通する風味を有するものでもないことに加え、上記血圧降下作用を有する物質の風味とその血圧降下作用に関連性がないこともまた、技術常識に照らして明らかである。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明に、コーヒー豆抽出物及びγ-アミノ酪酸を血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合した後に加熱処理した場合の実施例があり、それにより液体調味料の風味変化を改善し、本件補正発明の解決すべき課題を解決できることが示されているとしても、これらは、本件補正発明の「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」を血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合した後に加熱処理した場合、又は、混合しながら加熱処理をした場合に、液体調味料の風味変化を改善するという本件補正発明の解決すべき課題を解決できることを示したことにはならない。
その他、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件補正発明の「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」を血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合した後に加熱処理をした場合、又は、混合しながら加熱処理をした場合に、上記課題が解決されたことを示す記載はない以上、本件明細書の発明の詳細な説明に接した当業者は、血圧降下作用を有する物質として「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」を使用した本件補正発明が、液体調味料の風味変化の改善という課題を解決できると認識することができるとはいえず、また、当業者が本件出願時の技術常識に照らして本件補正発明の課題を解決できると認識できることを認めるに足りる証拠もない。

エ 以上によれば、血圧降下作用を有する物質として、「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」を用いた本件補正発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に対応する記載があるといえるが、発明の詳細な説明の記載により当業者がその課題を解決できると認識できるものではなく、また、当業者が本件出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できるものであるともいえないから、サポート要件を満たすものとはいえない。
したがって、本件補正発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、本件補正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。

(4)請求人の主張について
ア 請求人は、平成25年9月25日の審判請求書において、
(ア)参考資料1?3を示し、それらの資料に例示されている、とうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白由来のアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドが、本願明細書の発明の詳細な説明中において具体的にその風味改善効果を確認している「γ-アミノ酪酸、クロロゲン酸」と、「カルボキシ基とトリメチレン類似の疎水構造」、「カルボキシ基と環状炭化水素構造」を有する点で化学構造が類似していること、
(イ)参考資料4、5を示し、アンジオテンシン変換酵素阻害活性ペプチドはエグ味、苦味等の異味が感じられ、風味に変化が生じることが明らかであり、そのようなエグ味、苦味を有する成分を、醤油を含む調味料に配合すれば同様の風味変化が生じることは、当業者に認識し得たこと、
(ウ)審判請求書中に実験成績書を加え、ハイニュートDC6、グルタミンペプチドGP-1なる大豆ペプチド、小麦ペプチドについて、風味改善効果がみられたことを報告し、
上記(ア)、(イ)の技術常識に基づけば、実施例の記載が無くとも、本件明細書の発明の詳細な説明に接した当業者は、アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチドを調味料に混合して加熱処理した場合に、風味変化改善という本件発明の課題を解決できると認識でき、それは(ウ)でも実証されている旨、主張する。

イ しかしながら、
(ア)アンジオテンシン変換酵素阻害活性作用とか、調味料の風味改善作用といった、作用発揮のメカニズムが複雑かつ繊細で、化合物成分の末端基がわずかに変化しただけでも作用が消失することの多い化合物を取り扱っている分野の当業者にとっては、請求人が主張する「カルボキシ基とトリメチレン類似の疎水構造」や「カルボキシ基と環状炭化水素構造」などといった構造の共通性のみをもって、両者が「類似の化学構造」を有すると解することなどは困難であるといわざるをえない。その上、γ-アミノ酪酸やクロロゲン酸と、分子量200?4000のペプチドは、前者が低分子構造のものであるのに対し、後者はアミノ酸が複数連なったものであり、その点でも大きく生物・物理・化学的性質が異なることが一般的であるから、両者が、風味改善効果に対して同様に機能するとは、当業者は一般には考えないと解される。
(イ)参考資料4は、本件出願後に公知となった文献であり、本件出願時の技術常識を構成するものとは認められない。また、参考資料5は、Val、Leu、Ile・・・Arg等を含むジペプチドには強い苦味・エグ味を有するものが多い旨を説明しているのみである。そうすると、そのような強い苦味を含む成分であるからこそ、なおさら、アンジオテンシン変換酵素阻害活性という、風味改善とはなんら関係のない生理活性の点でのみ共通するγ-アミノ酪酸やクロロゲン酸の風味が改善されたというだけで、とうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチドにおいても、同様の風味改善効果があるものとは、およそ考えにくい。
(ウ)そして、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明に使用される「アンジオテンシン変換阻害活性を有するとうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」を血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合した後に加熱処理した場合、又は、混合しながら加熱処理をした場合に、上記課題が解決されたことを示す記載はなく、また、このことを示す技術常識も見当たらない以上、サポート要件の適否の判断に当たって、本件出願後にされた試験の結果を参酌することはできない。
(エ)したがって、請求人の主張を検討しても、本件補正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものであるとはいえない。

(5)独立特許要件についてのむすび
以上のとおり、本件補正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものでないため、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるとはいえない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、平成24年11月13日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合した後、60?100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合しながら60?100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。」

第4 原査定の拒絶の理由
平成25年6月21日付け拒絶査定には「この出願については、平成24年12月3日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものです。」と記載されている。
平成24年12月3日付け拒絶理由通知書には、「この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。」と記載され、「理由」の欄に「1.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」と記載されている。
そして、「記」の項目の下に、
「○理由1について
出願人は、平成24年11月13日付け手続補正により、特許請求の範囲における『γ-アミノ酪酸』を『アンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来ペプチド』と補正した。
しかしながら、本願明細書には、血圧降下作用を有する物質の例として、γ-アミノ酪酸以外に、『アンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来ペプチド』も記載されているが、当該ペプチドを実際に醤油を含む調味液に添加、加熱処理をして、本願所望の効果を確認した実験データ(具体例)は何ら示されていない。そして、一般に、物質が異なれば、それを醤油を含む調味液に配合した場合に生じる風味の変化も異なると考えられるから、およそ、血圧降下作用を有するという点で共通する物質であれば、本願所定の加熱処理により、一様に本願所望の効果を有するとはいえないというべきである。
したがって、補正後の請求項1-8に係る発明は、本願明細書において本願発明の課題が解決できると認識できる程度に記載されているとは認められない。」
と記載されている。
そうすると、原査定の拒絶の理由は、「本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」という理由を含むものであると認める。

第5 当審の判断
当審は、原査定のとおり、本願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないと判断する。その理由は、以下のとおりである。
1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
(1)本件発明の課題
本件発明は、本件補正発明の「穀物由来のペプチド」について、「とうもろこし蛋白、大豆蛋白、及び小麦蛋白から選ばれる蛋白をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド」という限定を省いたものである。
よって、上記第2の2(2)イに示した事項を踏まえると、本件発明の解決すべき課題は、醤油を含む液体調味料(【0011】)に、血圧降下作用を有する物質である「アンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチド」(【0013】、【0027】)を多量に配合すると、血圧降下には有利に働くものの、風味に変化が生じ、その結果、液体調味料の継続摂取が困難になる(【0006】)というものであると認められる。そして、液体調味料の継続摂取が困難となる原因は、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化であるから、本件発明の解決すべき課題は、より具体的には、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化の改善であるといえる。

(2)本件発明の技術的思想について
上記第2の2(2)ウに示した事項を踏まえると、本件発明は、醤油を含む液体調味料(【0011】)に、血圧降下作用を有する物質である「アンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチド」(【0013】、【0027】)を多量に配合すると、血圧降下には有利に働くものの、風味に変化が生じ、その結果、液体調味料の継続摂取が困難になるという課題(より具体的には、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合に、風味変化を改善するという課題)を解決するため(【0007】)、醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合した後、60?100℃で加熱処理する工程、又は、醤油を含む調味液とアンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチドとを混合しながら60?100℃で加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法(本件発明)により、血圧降下作用を有する物質を日常的に摂取する食品である醤油を含む液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料の簡便な製造方法を実現するという作用効果を有するものであるといえる(【0007】、【0008】、【0010】)。

(3)サポート要件の判断
上記第2の2(3)アに示した事項を踏まえると、本件明細書の発明の詳細な説明には本願の請求項1の記載に対応する記載があるといえる。また、本件発明の課題は上記(1)に、本件発明の技術的思想は上記(2)に示したとおりである。
そこで、本件明細書について、その発明の詳細な説明の記載により当業者が本件発明の課題を上記のとおり解決できると認識できるものであるか否かを検討すると、上記第2の2(3)ウに示したのと同様の理由により、血圧降下作用を有する物質として、「アンジオテンシン変換阻害活性を有する穀物由来のペプチド」を用いた本件発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に対応する記載があるといえるが、発明の詳細な説明の記載により当業者がその課題を解決できると認識できるものではなく、また、当業者が本件出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できるものであるともいえないから、サポート要件を満たすものとはいえない。
したがって、本件発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、本願の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。

第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものであるとはいえないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。したがって、その余の点を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-04 
結審通知日 2015-03-10 
審決日 2015-03-24 
出願番号 特願2011-25907(P2011-25907)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (A23L)
P 1 8・ 575- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 聖子滝口 尚良  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 佐々木 正章
千壽 哲郎
発明の名称 液体調味料の製造方法  
代理人 溝部 孝彦  
代理人 古谷 聡  
代理人 義経 和昌  

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