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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04B |
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管理番号 | 1300473 |
審判番号 | 不服2013-24177 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-12-06 |
確定日 | 2015-05-07 |
事件の表示 | 特願2011-539765「周波数選択付きスイッチング電圧レギュレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 6月10日国際公開、WO2010/065934、平成24年 5月17日国内公表、特表2012-511285〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、2009年(平成21年)12月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年(平成20年)12月4日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年11月16日付けで拒絶理由が通知され、平成25年7月30日付けで拒絶査定がなされたものである。 本件は、上記拒絶査定を不服として平成25年12月6日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同日付けで手続補正書が提出されたものである。 第2.平成25年12月6日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成25年12月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正 本件補正は、出願時の特許請求の範囲の請求項1?27を補正して、補正後の特許請求の範囲の請求項1?33とするものであり、補正前後の特許請求の範囲は各々次のとおりである。 [補正前] 「【請求項1】 出力電圧を発生するためのスイッチング電圧レギュレータを含むデバイスであって、 スイッチャ周波数を生成するために、基準クロック周波数信号と、少なくとも電流動作状態(current operating condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答するプログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)、および 前記出力電圧を調整する(regulate)ための、前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答するスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller を具備するデバイス。 【請求項2】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項1のデバイス。 【請求項3】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項1のデバイス。 【請求項4】 ジャマー検出値(jammer detect value)を生成するためのジャミング検出回路をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項1のデバイス。 【請求項5】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項4のデバイス。 【請求項6】 前記スイッチャ周波数セッティング値を生成するための前記ジャマー検出値に応答するプロセッサをさらに具備する請求項5のデバイス。 【請求項7】 前記デバイスは集積回路である請求項1のデバイス。 【請求項8】 スイッチング電圧レギュレータのための出力電圧を発生するための集積回路(IC)であって、 スイッチャ周波数を生成するために、基準クロック周波数信号と、少なくとも電流動作状態(current operating condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答する、プログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)、および 前記出力電圧を調整する(regulate)ための、前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答するスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller) を具備するIC。 【請求項9】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項8のIC。 【請求項10】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項8のIC。 【請求項11】 ジャマー検出値を生成するためのジャミング検出回路をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項8のIC。 【請求項12】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項11のIC。 【請求項13】 前記スイッチャ周波数セッティング値を生成するための前記ジャマー検出値に応答するプロセッサをさらに具備する請求項12のIC。 【請求項14】 スイッチング電圧レギュレータのための出力電圧を発生するためのデバイスであって、 スイッチャ周波数を生成するために、基準クロック周波数信号と、少なくとも電流動作状態(current operating condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答する手段、および 前記出力電圧を調整する(regulate)ための、前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答する手段 を具備するデバイス。 【請求項15】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項14のデバイス。 【請求項16】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項14のデバイス。 【請求項17】 ジャマー検出値を生成するためのジャミング検出回路をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項14のデバイス。 【請求項18】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項17のデバイス。 【請求項19】 前記スイッチャ周波数セッティング値を生成するための前記ジャマー検出値に応答するプロセッサをさらに具備する請求項18のデバイス。 【請求項20】 スイッチング電圧レギュレータの出力電圧を調整すること(regulating)の方法であって、 電流動作状態(current operating condition)を特定すること(identifying)、 前記電流動作状態に基づいてスイッチャ周波数セッティング値を生成すること、 プログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)を用い、前記スイッチャ周波数セッティング値と基準クロック周波数信号とを用いるスイッチャ周波数を生成すること、 少なくとも前記スイッチャ周波数に基づき、スイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller)を用いて、スイッチ信号を生成すること、および 前記出力電圧を調整するために前記スイッチング電圧レギュレータの前記出力に結合されたスイッチをオンおよびオフに切り替えること(toggling) を具備する方法。 【請求項21】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項20の方法。 【請求項22】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項20の方法。 【請求項23】 ジャマー検出値を生成するためのジャミング検出回路をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項20の方法。 【請求項24】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項23の方法。 【請求項25】 前記ジャマー検出値に応えて前記スイッチャ周波数セッティング値を生成することをさらに具備する請求項24の方法。 【請求項26】 ジャミング検出回路およびスイッチング電圧レギュレータとともに動作するために構成されたプロセッサであって、 前記ジャミング検出回路からジャマー検出信号を受け取るための手段、および 前記スイッチング電圧レギュレータへの動作スイッチング周波数(operating switching frequency)に関連したスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)を生成するための、前記ジャマー検出信号に応答する手段 を具備するプロセッサ。 【請求項27】 ジャマー検出回路およびスイッチング電圧レギュレータとともに動作するために構成されたプロセッサに対して、 前記ジャマー検出回路からジャマー検出信号を受け取らせ、および 前記ジャマー検出値および前記電流動作状態に応じて、前記スイッチング電圧レギュレータに関連した出力電圧を調整するための、前記スイッチング電圧レギュレータによる使用のためのスイッチャ周波数セッティング値を生成させるための命令(instructions)を持つコンピュータ読取り可能媒体を含むコンピュータプログラムプロダクト。」 [補正後] 「【請求項1】 出力電圧を発生するためのスイッチング電圧レギュレータを含むデバイスであって、 基準クロック周波数信号と、少なくとも現在動作モード状態(current operating mode condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答して、スイッチャ周波数を生成するように構成されたプログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)、および 前記プログラマブル・クロック・ディバイダにより生成された前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答して、前記出力電圧を調整する(regulate)ように構成されたスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller) を具備し、 前記スイッチング電圧レギュレータ・コントローラは、前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較し、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節し、 前記現在動作モード状態は、予め定められた動作モードのセットから選択された動作モードである、デバイス。 【請求項2】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項1のデバイス。 【請求項3】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項1のデバイス。 【請求項4】 ジャマー検出値(jammer detect value)を生成するためのジャミング検出回路をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項1のデバイス。 【請求項5】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項4のデバイス。 【請求項6】 前記スイッチャ周波数セッティング値を生成するための前記ジャマー検出値に応答するプロセッサをさらに具備する請求項5のデバイス。 【請求項7】 前記デバイスは集積回路である請求項1のデバイス。 【請求項8】 スイッチング電圧レギュレータのための出力電圧を発生するための集積回路(IC)であって、 基準クロック周波数信号と、少なくとも現在動作モード状態(current operating mode condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答して、スイッチャ周波数を生成するように構成されたプログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)、および 前記プログラマブル・クロック・ディバイダにより生成された前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答して、前記出力電圧を調整する(regulate)するように構成されたスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller) を具備し、 前記スイッチング電圧レギュレータ・コントローラは、前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較し、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節し、 前記現在動作モード状態は、予め定められた動作モードのセットから選択された動作モードである、IC。 【請求項9】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項8のIC。 【請求項10】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項8のIC。 【請求項11】 ジャマー検出値を生成するためのジャミング検出回路をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項8のIC。 【請求項12】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項11のIC。 【請求項13】 前記スイッチャ周波数セッティング値を生成するための前記ジャマー検出値に応答するプロセッサをさらに具備する請求項12のIC。 【請求項14】 スイッチング電圧レギュレータのための出力電圧を発生するためのデバイスであって、 基準クロック周波数信号と、少なくとも現在動作モード状態(current operating mode condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答して、スイッチャ周波数を生成する手段、および 前記スイッチャ周波数を生成する手段により生成された前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答して、前記出力電圧を調整する(regulate)手段 を具備し、 前記スイッチャ周波数を生成する手段は、 前記出力電圧を、予め定められた動作モードのセットから選択された前記現在動作モード状態と比較する手段と、 前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節する手段と、 を具備するデバイス。 【請求項15】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項14のデバイス。 【請求項16】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項14のデバイス。 【請求項17】 ジャマー検出値を生成する手段をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項14のデバイス。 【請求項18】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項17のデバイス。 【請求項19】 前記スイッチャ周波数セッティング値を生成するための前記ジャマー検出値に応答する手段をさらに具備する請求項18のデバイス。 【請求項20】 スイッチング電圧レギュレータの出力電圧を調整する(regulating)方法であって、 現在動作モード状態(current operating condition)を特定すること(identifying)、 予め定められた動作モードのセットから選択された前記現在動作モード状態に基づいてスイッチャ周波数セッティング値を生成すること、 プログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)を用い、前記スイッチャ周波数セッティング値と基準周波数クロック信号とを用いてスイッチャ周波数を生成すること、 前記プログラマブル・クロック・ディバイダにより生成された少なくとも前記スイッチャ周波数に基づき、スイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller)を用いて、スイッチ信号を生成すること、および 前記出力電圧を調整するために前記スイッチング電圧レギュレータ・コントローラの前記出力に結合されたスイッチを切り替えること(toggling) を具備し、 スイッチャ周波数を生成することは、前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較することと、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節することと、を含む、方法。 【請求項21】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、受信チャンネルバンド幅に一部は基づく請求項20の方法。 【請求項22】 前記スイッチャ周波数セッティング値は、フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るための送信チャネルに一部は基づく請求項20の方法。 【請求項23】 ジャマー検出値を生成すること、をさらに具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく請求項20の方法。 【請求項24】 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表す請求項23の方法。 【請求項25】 前記ジャマー検出値に応答して前記スイッチャ周波数セッティング値を生成することをさらに具備する請求項24の方法。 【請求項26】 ジャミング検出回路およびスイッチング電圧レギュレータとともに動作するために構成されたプロセッサであって、 前記ジャミング検出回路からジャマー検出値を受け取るための手段、 予め定められた動作モードのセットから選択された現在動作モード状態を表す値を受信するための手段、および 前記ジャマー検出値と前記現在動作モード状態を表す値とに応答して、スイッチャ周波数セッティング値を生成するための手段、 を具備し、前記スイッチャ周波数セッティング値は、前記スイッチング電圧レギュレータのスイッチング周波数の操作に関連し、 スイッチャ周波数セッティング値を生成するための手段は、 前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較し、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節するための手段を具備する、プロセッサ。 【請求項27】 ジャミング検出回路およびスイッチング電圧レギュレータとともに動作するために構成されたコンピューティングデバイスであって、 メモリと、 前記メモリに結合されたプロセッサと、 を具備し、前記プロセッサは、 前記ジャミング検出回路からジャマー検出値を受け取ることと、 予め定められた動作モードのセットから選択された現在動作モード状態を表す値を受信することと、および 前記ジャマー検出値と前記現在動作モード状態を表す前記値とに応答して、スイッチャ周波数セッティング値を生成することと、 を具備する動作を実行するプロセッサ実行可能な命令で構成され、 前記スイッチャ周波数セッティング値は、前記スイッチング電圧レギュレータのスイッチング周波数の操作に関連し、 前記プロセッサは、前記出力電圧が前記現在動作モード状態と比較され、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルが前記比較の結果に基づき調節されるプロセッサ実行可能な命令で構成される、 コンピューティングデバイス。 【請求項28】 無線通信デバイスプロセッサに、 現在動作モード状態(current operating condition)を特定すること、 予め定められた動作モードのセットから選択された前記現在動作モード状態に基づいてスイッチャ周波数セッティング値を生成すること、 プログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)を用い、前記スイッチャ周波数セッティング値と基準周波数クロック信号に応答してスイッチャ周波数を生成すること、 前記プログラマブル・クロック・ディバイダにより生成された前記スイッチャ周波数および基準信号に応答して、スイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller)を用いて、スイッチ信号を生成すること、および 前記スイッチ信号に応答して出力電圧を調整するために前記スイッチング電圧レギュレータ・コントローラの前記出力に結合されたスイッチを切り替えること(toggling)、 を具備する動作を実行させ、 前記スイッチ信号を生成することは、前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較することと、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節することとを含む、 を具備する、プロセッサ実行可能ソフトウェア命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。 【請求項29】 前記記憶されたプロセッサ実行可能ソフトウェア命令は、プロセッサに、 受信チャンネルバンド幅に一部基づき、スイッチャ周波数セッティング値を生成すること、を具備する動作を実行させる、請求項28の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。 【請求項30】 前記記憶されたプロセッサ実行可能ソフトウェア命令は、プロセッサに、 フルデュプレックスモード(full duplex mode)の動作の期間にチャンネル周波数分離(channel frequency separation)を受け取るために送信チャネルに一部基づきスイッチャ周波数セッティング値を生成すること、を具備する動作を実行させる、請求項28の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。 【請求項31】 前記記憶されたプロセッサ実行可能ソフトウェア命令は、プロセッサに、 ジャマー検出値を生成すること、を具備する動作を実行させ、前記スイッチャ周波数セッティング値は、さらに前記ジャマー検出値に一部は基づく、請求項28の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。 【請求項32】 前記記憶されたプロセッサ実行可能ソフトウェア命令は、プロセッサに、 前記ジャマー検出値は、前記受信チャンネル周波数からのジャマーオフセットの存在を表すような動作を実行させる、請求項31の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。 【請求項33】 前記記憶されたプロセッサ実行可能ソフトウェア命令は、プロセッサに、 前記ジャマー検出値に応答して前記スイッチャ周波数セッティング値を生成すること、を具備する動作を実行させる、請求項32の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。」 2.本件補正についての検討 平成25年12月6日付け審判請求書の請求の理由、「[3]反駁意見および補正の根拠」で、請求人は以下のように主張している。 「本願の独立請求項1、8、14、20、26に対し、本願明細書の段落[0043]-[0051]、[0026]-[0027]等の記載に基づき、主に、 前記プログラマブル・クロック・ディバイダにより生成された前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答して、前記出力電圧を調整する(regulate)ように構成されたスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller)は、前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較し、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節し、前記現在動作モード状態は、予め定められた動作モードのセットから選択された動作モードである、 とする補正を行いました。 また、今回の補正により、請求項28-33が追加されました。追加された請求項は、補正後の請求項26、20-25とそれぞれ実質的に同様であり、審査の遅延を招くものではありません。また、本願独立請求項1、8、14、20、26、27および明細書における補正は、審判請求と同時の補正に許容される補正内のものと思料いたします。」 上記請求人の主張及び補正前後の特許請求の範囲の記載からみて、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に対応しているものと認められる。 そうすると、本件補正は、請求項1についての以下の補正事項を含むものである。 補正事項1:「前記スイッチング電圧レギュレータ・コントローラは、前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較し、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節し」との語句を追加する補正 また、記請求人の主張及び補正前後の特許請求の範囲の記載からみて、補正後の請求項1?27は、補正前の請求項1?27に対応しているものと認められるから、本件補正は、以下の補正事項を含むものである。 補正事項2:請求項28?33を追加する補正 2-1.補正事項1について 補正事項1は、スイッチング電圧レギュレータ・コントローラについて、その動作を「出力電圧を前記現在動作モード状態と比較し、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節」すると限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。 補正後の請求項1に係る発明は「前記スイッチング電圧レギュレータ・コントローラは、前記出力電圧を前記現在動作モード状態と比較し、前記比較の結果に基づき、1つまたは複数のスイッチのデューティサイクルを調節し」、との記載を含んでいる。 ここで、スイッチング電圧レギュレータ・コントローラは「出力電圧」を「現在動作モード状態」と比較するものであり、「現在動作モード状態」とは、 平成25年12月6日付け審判請求書の請求の理由における以下の主張点 「(3-1)Re.拒絶理由B 明細書段落0048には、「current operating technology mode」と記載されています。この記載に基づき、請求項1、8、14、20、明細書段落0048において、「電流動作状態」を「現在動作モード状態」に改めました。」 および、出願時の明細書【0048】段落の記載 「スイッチング電圧レギュレータ40が図1の無線通信デバイス10の一部である場合、第1の動作条件は電流動作技術モード(current operating technology mode)(GSM(登録商標),CDMA,WCDMA等)に基づく。」 を総合すると、GSM(登録商標),CDMA,WCDMA等の動作モードを表していると解釈するのが普通であるから、結果として、「電圧」と、「GSM(登録商標),CDMA,WCDMA等の動作モード」とを比較するとは、どのようなことを意味しているのか不明であって、補正後の請求項1に係る発明は明確ではない。 よって、本件出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、補正事項1において、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2-2.補正事項2について 補正後の請求項28?33に係る発明は、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」に関する発明であり、補正前の請求項1?27に係る発明には、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」に関する発明がないことを考慮すれば、補正前の請求項1?27に対応する請求項ではないと言わざるを得ず、 補正事項2は、請求項の削除(特許法第17条の2第5項第1号)、特許請求の範囲の減縮(特許法第17条の2第5項第2号)、誤記の訂正(特許法第17条の2第5項第3号)、明りょうでない記載の釈明(特許法第17条の2第5項第4号)いずれを目的とするものに該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正は、補正事項2において、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定、及び同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明 1.本願発明 平成25年12月6日付け手続補正は上記「第2.平成25年12月6日付け手続補正についての補正却下の決定」に述べたとおり却下されたため、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、出願時の特許請求の範囲の請求項1?27であるところ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりである。 「【請求項1】 出力電圧を発生するためのスイッチング電圧レギュレータを含むデバイスであって、 スイッチャ周波数を生成するために、基準クロック周波数信号と、少なくとも電流動作状態(current operating condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答するプログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)、および 前記出力電圧を調整する(regulate)ための、前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答するスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller) を具備するデバイス。」 ここで、請求項1に係る発明における「電流動作状態(current operating condition)」は、本願の国際出願日における国際出願の明細書[0069]段落「the current operating condition(e.g., current operating band, operating mode, and/or jammer detect value)」や該[0069]段落に対応する本願明細書【0060】「現在の動作条件(例えば、現在の動作バンド、動作モードおよび/またはジャマー検出値)」を考慮すれば、「現在動作状態」の誤記である。 よって、誤記を正した次の発明を「本願発明」と認める。 「【請求項1】 出力電圧を発生するためのスイッチング電圧レギュレータを含むデバイスであって、 スイッチャ周波数を生成するために、基準クロック周波数信号と、少なくとも現在動作状態(current operating condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答するプログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)、および 前記出力電圧を調整する(regulate)ための、前記スイッチャ周波数と基準電圧とに応答するスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller) を具備するデバイス。」 2.引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先基準日前に頒布された特開平5-315980号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ラジオチューナ等の無線受信機に関し、特にPWMキャリヤをパルス変調する方式の電源部及び、又は同方式のオーディオパワーアンプを有する無線受信機に関する。」 「【0007】 【作用】本発明では上記構成を有するので、チューナ部の受信周波数が電源部及び、又はオーディオパワーアンプのPWMキャリヤの周波数に対して高調波関係とならないように、すなわち、整数倍とならないように制御手段によりPWMキャリヤの周波数が自動的に制御され、したがって、受信妨害が発生しないPWMキャリヤを簡単な構成で発生することができる。」 「【0010】VCO11の発振周波数はまた、システム用マイクロコンピュータ1からの受信周波数データに基づいてプログラマブルカウンタ22により分周され、位相比較器(PD)23において基準周波数発振器(OSC)24、分周器25からの基準周波数と比較される。位相比較器23により得られた位相差は、ロウパスフィルタ(LPF)26により電圧に変換され、VCO11の制御電圧として印加される。したがって、マイクロコンピュータ1が選局情報に応じた受信周波数データをプログラマブルカウンタ22に設定することにより混合器13から選局周波数が得られる。 【0011】マイクロコンピュータ1はまた、矩形波発生器30のプログラマブルカウンタ32に対して上記受信周波数が高調波関係とならないPWMキャリヤ周波数データ(分周比1/N)を設定する。すなわち、Nの値がそのときの受信周波数との関係で制御され、(4/N)MHzの整数倍が受信周波数と一致しないようにされる。この矩形波発生器30では、所定の周波数(例えば4MHz)のパルス信号が基準周波数発振器31によって発生され、プログラマブルカウンタ32により上記分周比で分周され、このパルス信号に基づいてのこぎり波発生器33により同一周波数ののこぎり波に変換され、スイッチング電源部40のPWMコンパレータ41に印加される。なお、のこぎり波発生器33は、図2の(a)に示すように、CR回路と、トランジスタTRと電流源(I)で構成することができ、また、図2の(b)に示すように上記回路に加えてトランジスタTR2と、ダイオードDとコンデンサC2で構成することができる。 【0012】スイッチング電源部40のスイッチング回路42は、トランジスタのオン・オフ回路や整流回路等を備え、トランジスタのオン・オフの時間に応じてDC-DC変換する。また、このDC電圧はPWMコンパレータ41にフィードバックされて、のこぎり波と比較され、DC電圧が安定するように、かつ受信周波数に対して高調波関係にないようにスイッチング回路42のPWMキャリヤの周波数が制御される。」 ここで、上記記載について検討する。 【0001】,【0012】段落の記載から、スイッチング電源部40は、スイッチングレギュレータといいえるものであり、入力電圧を出力電圧に変換するものである。 【0010】,【0011】段落の記載から、基準周波数発振器31により発生される所定の周波数(例えば4MHz)は、プログラマブルカウンタ32により上記分周比1/Nで分周される(例えば4/NMHz)。ここで分周比1/N(PWMキャリヤ周波数データ)の、Nの値は選局情報に応じた受信周波数に基づいて制御される。 【0011】,【0012】段落の記載から、のこぎり波発生器33は、上記分周比で分周されたパルス信号に基づいて、同一周波数(PWMキャリヤ周波数)ののこぎり波に変換することによりPWMキャリアを生成するものである。PWMコンパレータ41は、電源部40の「スイッチング回路42よりフィードバックされたDC電圧(出力電圧)と前記のこぎり波とを比較することで、DC電圧(出力電圧)が安定するように調整するものである。 したがって、引用例1には、以下の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。 「出力電圧を発生するためのスイッチングレギュレータを含む無線受信機であって、 PWMキャリア周波数を生成するために、基準周波数発振器31により発生される所定の周波数信号と、選局情報に応じた受信周波数に基づいて制御されるNの値とに応答するプログラマブルカウンタ32、および 前記出力電圧を調整するための、前記PWMキャリア周波数に応答する、のこぎり波発生器33及びPWMコンパレータ41 を具備する無線受信機。」 3.対比 本願発明と引用例1発明とを対比する。 引用例1発明の「無線受信機」は、「デバイス」に相当する。 引用例1発明の「PWMキャリア周波数」は「スイッチャ周波数」に相当する。 引用例1発明の「基準周波数発振器31により発生される所定の周波数信号」は「基準クロック周波数信号」に相当する。 引用例1発明の「選局情報に応じた受信周波数に基づいて制御されるNの値」は、選局情報とは現在の動作状態であるから、「現在動作状態(current operating condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)」に相当するといえる。 引用例1発明の「のこぎり波発生器33及びPWMコンパレータ41」は、PWMキャリア周波数に応答して、電源部40のスイッチング回路42を制御するために必要な信号を生成している回路であるから、「スイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller)」に相当するといえる。 したがって、本願発明と引用例1発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「出力電圧を発生するためのスイッチング電圧レギュレータを含むデバイスであって、 スイッチャ周波数を生成するために、基準クロック周波数信号と、少なくとも現在動作状態(current operating condition)を表すスイッチャ周波数セッティング値(switcher frequency setting value)とに応答するプログラマブル・クロック・ディバイダ(programmable clock divider)、および 前記出力電圧を調整する(regulate)ための、前記スイッチャ周波数に応答するスイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller) を具備するデバイス。」 [相違点] 本願発明の、「スイッチング電圧レギュレータ・コントローラ(switching voltage regulator controller)」は、前記スイッチャ周波数に応答することに加え、「基準電圧」にも応答することで、出力電圧を調整するのに対して、引用例1発明では「基準電圧」に応答することは記載されていない点 3.判断 上記相違点について検討する。 スイッチング電圧レギュレータ・コントローラが基準電圧に応答することで、出力電圧を調整することは周知の技術思想である。 (例えば、特許第3706814号公報(【0015】,【0017】段落では、出力電圧フィードバック回路7が基準電圧に応答することで、出力電圧を調整することが記載されている。)、特開2007-104846号公報(【0024】段落では、PWMCが基準電圧に応答することで、出力電圧を調整することが記載されている。)を参照。) 引用例1発明のようなデバイスが含んでいるスイッチング電圧レギュレータは、出力電圧を調整して、より安定した出力電圧を出力することが広く求められていることであるから、そのために引用例1発明に上記スイッチング電圧レギュレータ・コントローラが基準電圧に応答するという周知の技術思想を取り込み、引用例1発明において、スイッチング電圧レギュレータ・コントローラがスイッチャ周波数に応答することに加え、基準電圧にも応答することで、出力電圧を調整することは、当業者が容易に想到できるといえる。 以上のとおり、相違点に係る本願発明の構成は、容易に想到できるといえ、本願発明の効果も、引用例1発明から当業者が容易に予測し得るものであり、格別顕著なものがあるとは認められない。 したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-26 |
結審通知日 | 2014-12-02 |
審決日 | 2014-12-15 |
出願番号 | 特願2011-539765(P2011-539765) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04B)
P 1 8・ 57- Z (H04B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野元 久道 |
特許庁審判長 |
佐藤 聡史 |
特許庁審判官 |
吉田 隆之 ▲広▼島 明芳 |
発明の名称 | 周波数選択付きスイッチング電圧レギュレータ |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 井上 正 |
代理人 | 赤穂 隆雄 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 佐藤 立志 |