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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1300477
審判番号 不服2013-25178  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-20 
確定日 2015-05-07 
事件の表示 特願2008-309428「携帯電話機を固定電話として使用するための端末機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 6月17日出願公開、特開2010-136056〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成20年12月4日の出願であって、平成25年9月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、当審で平成26年9月4日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年10月3日付けで手続補正がなされ、そして、同年11月12日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対し同年12月24日付けで手続補正がなされたものである。


第2.補正却下の決定
[結論]
平成26年12月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
平成26年12月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「【請求項1】
少なくとも送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、内部入力装置、外部入力インターフェイス、内部出力装置、外部出力インターフェイスを有する携帯電話機を固定電話として使用するための端末機であって、前記端末機を構成する端末機本体に形成した携帯電話の差込溝に前記携帯電話機の差込部である基端に露出させた前記携帯電話機の外部入力インターフェイスおよび外部出力インターフェイスにそれぞれ接続される端末出力インターフェイスおよび端末入力インターフェイスを有するとともに端末機本体に前記端末出力インターフェイスおよび端末入力インターフェイスに接続されて前記端末側送受信装置が設置されているとともに前記端末機本体に設置した送受信通信装置と無線により互いに信号を送受信可能な受話器側送受信装置とこの受話器側送受信装置に接続されたスピーカである外部出力装置とマイクおよびプッシュボタンである外部入力装置が一体的に収容形成したコードレス式の固定電話機仕様の受話器を有し、且つ、前記端末機に収納された前記端末側送受信装置、前記コードレス式の固定電話機仕様の受話器に内蔵されている前記受話器側送受信装置、外部入力装置、外部出力装置を駆動させるための電源(バッテリ)および前記端末機本体に形成した携帯電話の差込溝に差し込んだ携帯電話機に内蔵される携帯電話機用のバッテリを充電するための充電器兼固定電源装置が配置されていることを特徴とする携帯電話機を固定電話として使用するための端末機。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を

「【請求項1】
少なくとも送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、内部入力装置、外部入力インターフェイス、内部出力装置、外部出力インターフェイスを有する携帯電話機を固定電話として使用するための端末機であって、前記端末機を構成する端末機本体に形成した携帯電話の差込溝に前記携帯電話機の差込部である基端に露出させた前記携帯電話機の外部入力インターフェイスおよび外部出力インターフェイスにそれぞれ接続される端末出力インターフェイスおよび端末入力インターフェイスを有するとともに端末機本体に前記端末出力インターフェイスおよび端末入力インターフェイスに接続されて端末側送受信装置が設置されているとともに前記端末機本体に設置した送受信通信装置と無線により互いに信号を送受信可能な受話器側送受信装置とこの受話器側送受信装置に接続されたスピーカである外部出力装置とマイクおよびプッシュボタンである外部入力装置が一体的に収容形成したコードレス式の固定電話機仕様の受話器を有し、且つ、前記端末機に収納された端末側送受信装置、前記コードレス式の固定電話機仕様の受話器に内蔵されている前記受話器側送受信装置、外部入力装置、外部出力装置を駆動させるための電源(バッテリ)および前記コードレス式の固定電話機仕様の受話器に内蔵されている電源(バッテリ)の充電器ならびに前記端末機本体に形成した携帯電話の差込溝に差し込んだ携帯電話機に内蔵される携帯電話機用のバッテリを充電するための充電器兼固定電源装置が配置されており、前記コードレス式の固定電話機仕様の受話器を操作することにより固定電話回線を使用せずに固定電話回線を使用している場合と同様の操作感覚で前記携帯電話による外部通信を使用して通信を行うことができることを特徴とする携帯電話機を固定電話として使用するための端末機。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、補正の目的要件等

上記補正は、本願発明の「端末機」に関して、「コードレス式の固定電話機仕様の受話器に内蔵されている電源(バッテリ)の充電器」、及び、「コードレス式の固定電話機仕様の受話器を操作することにより固定電話回線を使用せずに固定電話回線を使用している場合と同様の操作感覚で前記携帯電話による外部通信を使用して通信を行うことができる」との構成を付加して限定するものである。
そして、上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法第17条の2第5項(補正の目的)の規定に適合している。
また、特許法第17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反するものでもない。

(2)独立特許要件

上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下検討する。


ア.補正後の発明

上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で認定したとおりである。

イ.引用発明

A.当審の平成26年11月12日付けの拒絶の理由に引用された、特開2000-287266号公報(以下、「引用例1」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。(下線部は当審において付加した。以下、同じ。)

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機およびPHSの通話をコードレス親機,子機へ一元的に着信する中継機能付きコードレス電話機に関する。」(2頁1?2欄)

(イ)「【0008】本発明の実施例の構成を図1,図2を参照して説明する。図1は、本発明の中継機能付きコードレス電話機の構成を表す図である。図2は、本発明の中継機能付きコードレス電話線の親機の構成を表す図である。中継機能付きコードレス電話機は、図1に示すように移動体通信網に接続し通信をおこなう携帯電話機10およびPHS12と、一般公衆網に電話線により接続し通信をおこない、携帯電話機10および/またはPHS12と接続すると携帯電話機10および/またはPHS12で着信した通話を受信可能なコードレス電話親機14と、コードレス電話親機14から無線電波によりコードレス電話親機14で着呼または受信した通話を送受話可能なコードレス子機16とを備える。」(2頁3欄?3頁3欄)

(ウ)「【0009】コードレス電話親機16は、図2に示すように携帯電話機10とPHS12とおよび一般公衆網からの電話線との音声通話信号を入力し、制御信号によりいずれかの音声信号を切り替え接続する切替部18と、切り替え接続された音声信号を入出力し制御信号により、音声信号をコードレス子機16と送受信する送受信部20と、携帯電話機10とPHS12とおよび一般公衆網との制御信号を入出力し、いずれかの通信手段からの着呼について切替部18へ切り替えのための制御信号を出力し、コードレス子機16へ着信通知するときは送受信部20へ着呼通知および着呼のための制御信号を出力する制御部22とを有する。」(3頁3欄)

(エ)「【0010】制御部22は、送受信部20,切替部18の制御をおこなうとともに、制御線を介して携帯電話10やPHS12の制御をおこなう。送受信部20は、コードレス電話子機16との無線通信をおこなう。切替部18は、制御部22の制御に従い携帯電話10,PHS12からの音声信号および一般公衆網電話線との切替をおこなう。コードレス子機16から発呼するとき、制御部22は、切替部18と送受信部20と携帯電話機10またはPHS12とに制御信号を出力することにより、予め定めたコードを入力することで携帯電話機10,PHS12からの発呼をおこなうことができる。」(3頁3欄)

(オ)「【0011】コードレス電話親機16に、携帯電話機10やPHS12を接続し、携帯電話機10やPHS12に掛かってきた電話をコードレス子機16に中継することにより、携帯電話機10やPHS12に掛かってきた電話をコードレス子機16で受けることができる。」(3頁3欄)

(カ)「【0012】なお、本実施例では携帯電話とPHSをそれぞれ1台実施したものであるが、更に台数を増やした構成もある。また本構成は、コードレス電話親機に携帯電話やPHSの充電機能を内蔵することにより、携帯電話やPHSを接続した状態で同時に充電することも可能である。」(3頁3欄)

(キ)「【0013】次に、本発明の実施例の動作を図3を参照し説明する。図3は、本発明の携帯電話機に着信があった場合のシーケンス図である。本シーケンス例は、携帯電話機10に着信がある場合の例である。制御部22は、制御信号により携帯電話機10に着呼があることを検知する。制御部22は、送受信部20へ制御信号を出力しコードレス子機16へ着信通知をおこなう。コードレス子機16は、送受信部20からの無線電波によりリンギングをおこなう。制御部22は、切替部18へ制御信号を出力し携帯電話機10からの音声信号が送受信部20へ接続される。コードレス子機16は、オフフックを送受信部20を介して制御部20へ通知する。制御部20は、コードレス子機16からのオフフックを検知すると携帯電話機10に着呼した通話を中継する。コードレス子機16は、オンフックを制御部20へ通知する。制御部20は、オンフックを検知するとオンフックであることを通知し終話する。」

(ク)「【0014】
【発明の効果】本発明の中継機能付きコードレス電話機は、1台のコードレス子機で、通常の電話、携帯電話機、PHSなどの複数の着信を受けることができる様になり、煩雑さが低減される。コードレス電話親機のみを携帯電話機やPHSの受信が可能な場所に設置して置くことにより、携帯電話機やPHSの受信圏外でも、ユーザは、コードレス子機により携帯電話機やPHSに掛かってきた電話を受けることができるようになる。さらにユーザは、携帯電話機やPHSを、いつも決まった場所に置いておくことになるので、探すのが容易になり紛失が防げる。」(3頁4欄)


上記引用例1の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、

a.上記(イ)、及び図1の記載によれば、引用例1には「コードレス電話親機」と「コードレス子機」からなる「中継機能付きコードレス電話機」が記載されている。
また、上記(イ)、及び図1の記載によれば、「コードレス電話親機」には「移動体通信網に接続し通信をおこなう携帯電話機10およびPHS12」が接続され、さらに、「一般公衆網に電話線により接続し通信」を行うこと、さらに、上記(ク)には、「携帯電話機やPHSを、いつも決まった場所に置いておくこと」が記載されている。
そして、上記(イ)には、「コードレス子機」は「コードレス電話親機から無線電波によりコードレス電話親機で着呼または受信した通話を送受話可能」と記載されている。
したがって、引用例1には、「移動体通信網に接続し通信を行う携帯電話機およびPHSが接続され、さらに、一般公衆網に電話線により接続したコードレス電話親機と、コードレス電話親機から無線電波によりコードレス電話親機で着呼または受信した通話を送受話可能なコードレス子機からなり、携帯電話機およびPHSをいつも決まった場所に置いておくことができる、中継機能付きコードレス電話機」が記載されているといえる。

b.上記(ウ)の記載によれば、「コードレス電話親機」は、携帯電話機10とPHS12とおよび一般公衆網からの電話線との音声通話信号を入力し、制御信号によりいずれかの音声信号を切り替え接続する切替部18」と、「音声信号をコードレス子機16と送受信する送受信部20」と、および、「携帯電話機10とPHS12とおよび一般公衆網との制御信号を入出力し、いずれかの通信手段からの着呼について切替部18へ切り替えのための制御信号を出力し、コードレス子機16へ着信通知するときは送受信部20へ着呼通知および着呼のための制御信号を出力する制御部22」を有することが記載されている。
したがって、引用例1には、「コードレス電話親機が、携帯電話機、PHS、および一般公衆網からの音声通話信号を入力し、制御信号によりいずれかの音声通話信号を切り替え接続する切替部と、切替部に接続された音声通話信号をコードレス子機と送受信する送受信部と、携帯電話機、PHS、一般公衆網、切替部、および、送受信部に制御信号を入出力する制御部を有する」ことが記載されているといえる。

c.上記(カ)の記載によれば、「コードレス電話親機に携帯電話やPHSの充電機能を内蔵することにより、携帯電話やPHSを接続した状態で同時に充電することも可能である。」ことが記載されており、引用例1には、「コードレス電話親機が、携帯電話機やPHSを接続した状態で充電を行う充電機能を有する」ことが記載されているといえる。

d.上記(キ)の記載によれば、「携帯電話機」に着信があった際には、「制御部22は、切替部18へ制御信号を出力し携帯電話機10からの音声信号が送受信部20へ接続され」、そして、「制御部20は、コードレス子機16からのオフフックを検知すると携帯電話機10に着呼した通話を中継する」こと、さらに、上記(エ)の記載によれば、「コードレス子機」から発呼するときは、「予め定めたコードを入力することで」「コードレス電話親機」の「制御部」が「切替部」、及び「送受信部」に「制御信号」を出力して、「携帯電話機」、「PHS」から発呼ができることが記載されている。
したがって、引用例1には、「携帯電話機やPHSに着信した電話を中継し、コードレス子機で通話可能とし、さらに、コードレス子機に予め定めたコードを入力することで携帯電話機、またはPHSからの発呼が可能な、中継機能付きコードレス電話機。」が記載されているといえる。

引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されていると認められる。

「移動体通信網に接続し通信を行う携帯電話機およびPHSが接続され、さらに、一般公衆網に電話線が接続したコードレス電話親機と、コードレス電話親機から無線電波によりコードレス電話親機で着呼または受信した通話を送受話可能なコードレス子機からなり、携帯電話機およびPHSをいつも決まった場所に置いておくことができる、中継機能付きコードレス電話機において、
前記コードレス電話親機が、携帯電話機、PHS、および一般公衆網からの音声通話信号を入力し、制御信号によりいずれかの音声通話信号を切り替え接続する切替部と、切替部に接続された音声通話信号をコードレス子機と送受信する送受信部、携帯電話機、PHS、一般公衆網、切替部、および、送受信部に制御信号を入出力する制御部を有し、さらに、携帯電話機やPHSを接続した状態で充電を行う充電機能を有し、
携帯電話機やPHSに着信した電話を中継し、コードレス子機で通話可能とし、さらに、コードレス子機に予め定めたコードを入力することで携帯電話機、またはPHSからの発呼が可能な、
中継機能付きコードレス電話機。」

B.当審の平成26年11月12日付けの拒絶の理由に引用された、特開2001-292231号公報(以下、「引用例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0010】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1?図3はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の携帯電話機用アダプタ10は、一般的な据え置き型電話機と同様の大きさ及び形状に形成されている。この据え置き型電話機本体形状の携帯電話機用アダプタ10には、充電用接点と通信用接点及び操作用接点とが設けられたコネクタ部12が、背面側に一体的に形成されている。また、この携帯電話機用アダプタ10は、据え置き型電話機の受送話器と同様の大きさの受送話器13と、携帯電話14のディスプレイ17よりも大きい大型のディスプレイ19を備えている。
【0011】コネクタ部12は、携帯電話14を差し込み可能な凹部を有した形状に形成され、この凹部の底面部分に各種の接点が設けられている。コネクタ12内の充電用接点は、携帯電話14の一端部の端子部15に設けられた充電端子に接続するように設けられている。さらに、この携帯電話機用アダプタ10内には充電端子に接続したAC/DC変換器22を内蔵し、プラグ16を介して商用電源に接続される。そして、携帯電話14内には、充電端子に接続したバッテリ21が設けられ、各回路やディスプレイ17等に給電している。
【0012】また、コネクタ部12内に設けられた通信用接点は、携帯電話14の端子部15内の通信用端子に接続する。さらに、この携帯電話機用アダプタ10の操作部18の操作ボタン20から携帯電話14に対して、ボタン操作による通話や電話番号の記憶及びその呼び出し、その他の各種操作を行う操作用接点がコネクタ部12内に設けられている。この操作用接点に接続する操作用端子も、携帯電話14の端子部15に設けられている。
【0013】この携帯電話機用アダプタ10には、携帯電話14の通信回路30と通信用端子を介して、コネクタ部12の通信用接点を介して接続される通信用回路24が設けられている。この通信用回路24は、携帯電話14の受送話部32の代わりに、携帯電話機用アダプタ10の受送話器13により、携帯電話14の通信回路30を介した通話を可能とする。」(3頁4欄)

上記引用例2の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、

a.上記(ア)の段落【0010】の記載によれば、携帯電話機が接続される「携帯電話機用アダプタ10には、充電用接点と通信用接点及び操作用接点とが設けられたコネクタ部12が、背面側に一体的に形成されている」ことが、さらに、段落【0011】には、「コネクタ部12は、携帯電話14を差し込み可能な凹部を有した形状に形成され、この凹部の底面部分に各種の接点が設けられている。」ことが記載されている。
したがって、引用例2には、「携帯電話機が接続される装置に凹状の差込溝を形成し、該差込溝内に各種接点を設け、該差込溝に携帯電話機を差し込む」ことが記載されているといえる。

b.さらに、上記(ア)の段落【0011】には、「コネクタ12内の充電用接点は、携帯電話14の一端部の端子部15に設けられた充電端子に接続するように設けられている。」、段落【0012】には「コネクタ部12内に設けられた通信用接点は、携帯電話14の端子部15内の通信用端子に接続する。」、及び、「この操作用接点に接続する操作用端子も、携帯電話14の端子部15に設けられている。」ことが記載されており、ここで、コネクタ側の接点と携帯電話側の端子が接続されるものであるから、接点、及び、端子はインターフェイスといえ、コネクタ側の接点は「携帯電話機が接続される装置側のインターフェイス」、携帯電話側の端子は「携帯電話機側のインターフェイス」といえる。
したがって、引用例2には、「凹部内に各種の接点からなる携帯電話機が接続される装置側のインターフェイスを設け、携帯電話機の基端に端子部からなる携帯電話機側のインターフェイスを設け、携帯電話機が接続される装置の凹状の差込溝に、携帯電話機の基端を差し込み、両インターフェイスの接続を行った」ものが記載されているといえる。

引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。

「携帯電話機が接続される装置に凹状の差込溝を設け、該凹部内に各種の接点からなる携帯電話機が接続される装置側のインターフェイスを設け、携帯電話機の基端に端子部からなる携帯電話機側のインターフェイスを設け、携帯電話機が接続される装置の凹状の差込溝に、携帯電話機の基端を差し込み、両インターフェイスの接続を行う接続手段。」

C.当審の平成26年11月12日付けの拒絶の理由に引用された、国際公開2008-448825号公報(以下、「引用例3」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。([当審注]:当審仮訳は、引用例3の公表である特表2010-523008号公報の記載に基づく。)

(ア)「[0073] FIG. 7 provides a front view of the docking assembly 210 of FIGS. 5-6 having docked thereto the portable digital media storage and playback device 180 of FIGS. 2A-2B and the telephonic remote controller device 150 of FIGS. 4A-4B. When docked to the docking assembly 210, a battery (e.g., battery 151 illustrated in FIG. 3) associated with the remote controller 150 is preferably charged via the passage of electrical current through the charging element 163 as received from the mated contacts 162, 212B. Likewise, when docked to the assembly 210, the PDMSP device 180 preferably receives electrical current to power the device 180 and/or charge an associated PDMSP device battery 81 (as illustrated in FIG. 1) In operation of the docking assembly 210 with docked PDMSP device 180, the remote controller device 150 is separated from the assembly and used to wirelessly control any of various functions (e.g., associated with the docking assembly 210, PDMSP device 180, and/or an audio and video reproduction system 2 as illustrated in FIG. 1), to provide telephonic relay or primary telephonic utility, or to provide any other functionality as described herein.」

([当審仮訳]:
【0073】 図7は、図2A及び2Bの携帯型ディジタルメディア記憶及び再生装置180、並びに図4A及び4Bの電話式遠隔制御装置150ドッキングされた図5及び6に記載のドッキングアセンブリ210の正面図である。ドッキングアセンブリ210にドッキングされるとき、遠隔制御器150に関連するバッテリ(例えば、図3に示すバッテリ)は、好適には、結合される接触162、212Bから受け入れられる充電要素163を通る電流経路を介して充電される。同様に、アセンブリ210にドッキングされるとき、PDMSP装置180は、好適には、装置180に電力供給するように電流を受け入れ、及び/又は、関連PDMSP装置バッテリ81(図1に示す)を充電する。ドッキングされたPDMSP装置180と共にドッキングアセンブリ210の動作中、遠隔制御装置150は、ドッキングアセンブリから距離を置き、電話中継又は主な電話の有用性を提供するように、又は上記の何れの他の機能性を提供するように、種々の機能(例えば、ドッキングアセンブリ210、PDMSP装置180及び/又は図1に示すオーディオ及びビデオ再生システム)の何れかを無線制御するように用いられる。)


D.当審の平成26年11月12日付けの拒絶の理由に引用された、特開2007-129374号公報(以下、「引用例4」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0015】
図1において、子機1は、親機2に固定された親機充電器3に戴置することで、子機1と親機充電器3とを端子部4で接続し、親機充電器3で、親機2より子機1に端子部4を用いて充電を行なう。また端子部4は情報伝達用としても機能する。この状態では子機1と親機2は有線接続されている。親機2は回線ケーブル5で交換機又は外線6に接続される。なお7は子機アンテナ、8は親機アンテナである。」(3頁38-43行)


E.当審の平成26年11月12日付けの拒絶の理由に引用された、特開2006-28734号公報(以下、「引用例5」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0017】
表示部14は、親機制御部19からの指示に基づきLEDやLCDを制御して、回線状態、着信あるいは誤載置発生などの各種状態を利用者に通知する各種表示を行う回路部である。操作入力部15は、利用者によるキー操作を検出する回路部である。記憶部16は、親機制御部19での処理動作に用いる、例えば当該カールコードレス電話機に固有のタ
グIDなどの各種情報やプログラムを記憶するメモリである。給電部17は、充電台1Aに載置された子機2の電池を充電するための電力を充電端子1Bから供給する回路部である。載置検出部18は当該親機1に対する子機2の載置有無を検出する回路部である。親機制御部19は、CPUなどのマイクロプロセッサを有し、記憶部16のプログラムを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムとを協働させて親機1の各部を制御して、呼制御や誤載置検出制御を行う機能部である。」(4頁46行-5頁6行)


上記引用例3の(ア)の記載、及び図面、 上記引用例4の(ア)の記載、及び図面、上記引用例5の(ア)の記載、及び図面、並びにこの分野の技術常識を考慮すると、上記引用例3、4、または5には以下の事項(以下、「周知技術」という。)が記載されていると認められる。

「コードレス子機の充電ために、コードレス親機に充電器を設けること。」


ウ.対比・判断

a.引用発明1の「中継機能付きコードレス電話機」は、「コードレス電話親機」が設置された場所で「携帯電話機およびPHSが接続され」、「携帯電話機およびPHS」にかかってきた通話はコードレス子機に中継するものであり、「携帯電話機およびPHSをいつも決まった場所においておくことができる」ものであるから、「中継機能付きコードレス電話機」は「携帯電話機」を固定して使用しているものと認められ、引用発明1の「携帯電話機およびPHSをいつも決まった場所においておくことができる、中継機能付きコードレス電話機」は、補正後の発明の「携帯電話機を固定電話として使用するための端末機」に含まれるものである。

b.引用発明1の「コードレス電話親機」は「中継機能付きコードレス電話機」を構成するものであり、後述する点で相違するものの、引用発明1の「コードレス電話親機」は補正後の発明の「端末機本体」に対応する。
そして、引用発明1の「携帯電話機」から「コードレス電話親機」に「音声通話信号を入力し」ており、引用発明1においても「コードレス電話親機」と「携帯電話機」は直接的に接続され、各々にそのための接続手段を有するものと認められ、引用発明1における「携帯電話機」側の接続手段と、補正後の発明の、「外部入力インターフェイス」、及び「外部出力インターフェイス」とは、「携帯側インターフェイス」で共通する。
さらに、引用発明1における「コードレス電話親機」側の接続手段と、補正後の発明の、「端末出力インターフェイスおよび端末入力インターフェイス」とは、「端末機本体側インターフェイス」で共通する。

c.引用発明1の「携帯電話機」は、「移動体通信網に接続し通信を行う」ものであるから、「送受信通信装置」を有することは自明である。
そして、上記b.の検討を踏まえると、引用発明1の「移動体通信網に接続し通信をおこなう携帯電話機」と、補正後の発明の「少なくとも送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、内部入力装置、外部入力インターフェイス、内部出力装置、外部出力インターフェイスを有する携帯電話機」とは、「送受信通信装置、携帯側インターフェイスを有する携帯電話機」で共通する。

d.引用発明1の「コードレス電話親機が、携帯電話機、PHS、および一般公衆網からの音声通話信号を入力し、制御信号によりいずれかの音声通話信号を切り替え接続する切替部と、切替部に接続された音声通話信号をコードレス子機と送受信する送受信部」は、「携帯電話機」へ「音声通話信号」が入力すると、「携帯電話機」と「切替部」が接続され、さらに、「切替部」は「送受信部」に接続されており、ここで、「携帯電話機」と「コードレス電話親機」の接続は、上記b.に記したように「携帯側インターフェイス」、及び「端末機本体側インターフェイス」によって行うものであるから、「端末機本体側インターフェイス」と「送受信部」は接続されているものと認められ、引用発明1の「送受信部」は、補正後の発明の「端末側送受信装置」に相当する。

e.引用発明1の「コードレス子機」は、「一般公衆網に電話線が接続したコードレス電話親機」用のものであり、「コードレス電話親機」は固定して用いるものであるから、引用発明の「コードレス子機」も「コードレス式の固定電話機仕様」のものと認められる。
さらに、引用発明1の「コードレス電話親機」の「送受信部」は「コードレス子機と送受信する」ものであり、また、「コードレス子機」は「コードレス電話親機から無線電波によりコードレス電話親機で着呼または受信した通話を送受話可能」であるから、引用発明1の「コードレス電話親機」の「送受信部」には、「無線電波」により「コードレス子機」と送受信可能な「送受信通信装置」を有するものと認められ、そして、「コードレス子機」にも「無線電波」により「コードレス親機」と送受信可能な送受信装置が設けられていることは自明である。
そして、引用発明の1「コードレス子機」は、補正後の発明の「受話器」に相当する。
したがって、引用発明1の「コードレス電話親機から無線電波によりコードレス電話親機で着呼または受信した通話を送受話可能なコードレス子機」と、補正後の発明の「端末機本体に設置した送受信通信装置と無線により互いに信号を送受信可能な受話器側送受信装置とこの受話器側送受信装置に接続されたスピーカである外部出力装置とマイクおよびプッシュボタンである外部入力装置が一体的に収容形成したコードレス式の固定電話機仕様の受話器」とは、「端末機本体に設置した送受信通信装置と無線により互いに信号を送受信可能な受話器側送受信装置を有するコードレス式の固定電話機仕様の受話器」という点で一致する。

f.引用発明1の「コードレス電話親機が、携帯電話やPHSを接続した状態で充電を行う充電機能を有」するは、「携帯電話機」に内蔵されているバッテリを充電する装置を有することを意味するものであるから、引用発明1の「コードレス電話親機が、携帯電話やPHSを接続した状態で充電を行う充電機能を有し」と、補正後の発明の「端末機本体に接続した携帯電話機に内蔵される携帯電話機用のバッテリを充電するための充電器兼固定電源装置が配置されて」とは、いずれも「端末機本体に接続した携帯電話機に内蔵される携帯電話機用のバッテリを充電するための装置が配置される」という点で一致する。

g.引用発明1の「コードレス子機に予め定めたコードを入力することで携帯電話機、またはPHSからの発呼が可能」であるは、「コードレス子機」に携帯電話機用の予め定めたコードを操作入力することによって、固定回線を使用せずに、携帯電話機の回線を使用して発呼を行うことであるから、引用発明1の「コードレス子機に予め定めたコードを入力することで携帯電話機、またはPHSからの発呼が可能」は、補正後の発明の「コードレス式の固定電話機仕様の受話器を操作することにより固定電話回線を使用せずに固定電話回線を使用している場合と同様の操作感覚で前記携帯電話による外部通信を使用して通信を行うことができる」とは、「コードレス式の固定電話機仕様の受話器を操作することにより固定電話回線を使用せずに前記携帯電話による外部通信を使用して通信を行うことができる」という点で一致する。

したがって、補正後の発明と引用発明1とを対比すると、両者は、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)

「送受信通信装置、携帯側インターフェイスを有する携帯電話機を固定電話として使用するための端末機であって、前記端末機を構成する端末機本体に前記携帯電話機の携帯側インターフェイスと接続される端末機本体側インターフェイスを有するとともに端末機本体に端末機本体側インターフェイスに接続されて端末側送受信装置が設置されているとともに前記端末機本体に設置した送受信通信装置と無線により互いに信号を送受信可能な受話器側送受信装置を有するコードレス式の固定電話機仕様の受話器を有し、且つ、前記端末機に収納された端末側送受信装置、前記端末機本体に接続した携帯電話機に内蔵される携帯電話機用のバッテリを充電するための装置が配置されており、前記コードレス式の固定電話機仕様の受話器を操作することにより固定電話回線を使用せずに前記携帯電話による外部通信を使用して通信を行うことができることを特徴とする携帯電話機を固定電話として使用するための端末機。」


(相違点)
(相違点1)上記携帯電話機が、補正後の発明では、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、内部入力装置、内部出力装置、を有するのに対して、引用発明1では、当該構成を有することは明示されていない点。

(相違点2)上記端末機本体に、補正後の発明では、携帯電話機のみが接続されているのに対して、引用発明1では、携帯電話機、PHS、一般公衆網が接続されている点。

(相違点3)上記端末機本体は、携帯電話機と端末機本体の接続のために、補正後の発明では、端末機本体に形成した携帯電話の差込溝に前記携帯電話機の差込部である基端に露出させた前記携帯電話機の外部入力インターフェイスおよび外部出力インターフェイスにそれぞれ接続される端末出力インターフェイスおよび端末入力インターフェイスを有しているのに対して、引用発明1では、携帯電話機の携帯側インターフェイスと端末機本体の端末機本体側インターフェイスについて、当該構成は特定されていない点。

(相違点4)上記コードレス式の固定電話機仕様の受話器に、補正後の発明では、受話器側送受信装置に接続されたスピーカである外部出力装置とマイクおよびプッシュボタンである外部入力装置が一体的に収容形成されているのに対して、引用発明1では、当該構成を有することは明示されていない点。

(相違点5)上記コードレス式の固定電話機仕様の受話器に、補正後の発明では、内蔵されている前記受話器側送受信装置、外部入力装置、外部出力装置を駆動させるための電源(バッテリ)を有するのに対して、引用発明1では、当該構成を有することは明示されていない点。

(相違点6)上記端末機が、補正後の発明では、コードレス式の固定電話機仕様の受話器に内蔵されている電源(バッテリ)の充電器を有するのに対して、引用発明1では、当該構成を有することは明示されていない点。

(相違点7)上記端末機に配置された携帯電話機用のバッテリを充電するための装置が、補正後の発明では、充電器兼固定電源装置であるのに対して、引用発明1では、充電機能を有することのみ明示されている点。

(相違点8)上記携帯電話機による外部通信が、補正後の発明では、固定電話回線を使用している場合と同様の操作間隔でできるのに対して、引用発明1では、予め定めたコードを入力することで行う点。


(相違点についての検討)
(相違点1)について
携帯電話機が、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、内部入力装置を有することは技術常識(必要ならば、引用例2(特に、第1図、第3図等参照))であるから、引用発明1の携帯電話においても、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、内部入力装置を持つものであることは当然であり、相違点1に関し、引用発明1と補正後の発明とは実質的な差異はない。

(相違点2)、及び(相違点8)について
引用発明1の中継機能付きコードレス電話機において、PHS、固定回線を使用する機会がないのであれば、PHS、固定回線との接続を止め、中継機能付きコードレス電話機を携帯電話機のみのために使用するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、相違点2に係る構成は、当業者が容易になし得たことである。
そして、引用発明1の中継機能付きコードレス電話機を、携帯電話機のみが接続されているものとした際には、携帯電話の回線と他の回線を区別する必要がないことから、携帯電話による外部通信のための予め定めたコードを入力することなく発信動作をするようにして、固定電話回線を使用している場合と同様の操作感覚で発信することは、当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点3)について
携帯電話機が接続される装置に凹状の差込溝を設け、該凹部内に各種の接点からなる携帯電話機が接続される装置側のインターフェイスを設け、携帯電話機の基端に端子部からなる携帯電話機側のインターフェイスを設け、携帯電話機が接続される装置の凹状の差込溝に、携帯電話機の基端に端子部を差し込み、両インターフェイスの接続を行う接続手段は、上記引用発明2として公知のものである。
引用発明1において、コードレス電話親機に差込溝を設け、該差込溝内にコードレス電話親機側のインターフェイスを設け、携帯電話機の基端に携帯電話機側のインターフェイスを設け、コードレス電話親機の差込溝に携帯電話機を差し込み接続を行うことは、引用発明1における、コードレス電話親機と携帯電話機の接続手段として引用発明2を適用して当業者が容易になし得たことである。
また、携帯電話機に設けられインターフェイスが入力用と出力用で分かれており、これに合わせて携帯電話機に接続される側のインターフェイスも入力用と出力用で分かれていることは周知慣用手段(例えば、特開2001-309029号公報(特に、段落【0052】-【0054】、第4図等参照)。特開2003-338873号公報(特に、段落【0013】-【0015】、第2-4図等参照。))であるから、引用発明1における、携帯電話機側の接続手段、及び、コードレス電話親機側の接続手段も入力用と出力用で分けることは、単なる設計的事項であり格別なものではない。

(相違点4)について
コードレス式の固定電話機仕様の受話器が、受話器側送受信装置に接続されたスピーカである外部出力装置とマイクおよびプッシュボタンである外部入力装置が一体的に収容形成されたものであることは技術常識(必要ならば、引用例6(特に、段落【0018】)、第1図、第3図等参照)であり、引用発明1のコードレス子機も、受話器側送受信装置に接続されたスピーカである外部出力装置とマイクおよびプッシュボタンである外部入力装置が一体的に収容形成されていることは当然であり、相違点4に関して、引用発明1と補正後の発明とは実質的な差異はない。

(相違点5)、(相違点6)、及び(相違点7)について
引用発明1において、コードレス電話親機には、当該親機を作動させるために電源を供給する電源装置が設けられていることは当然のことである。また、引用発明1の携帯電話機を接続した状態で充電を行う充電機能においても、充電するための装置を有することは自明であり、当該装置にも電源を供給しなければならないことも当然のことである。
ここで、上記電源装置と同充電するための装置は、電話機内の回路を作動させるための電源を供給するためのものという点で共通することから、両者を一体とした装置とすることは、当業者であれば適宜なし得ることであり、引用発明1において、充電器兼固定電源装置を設けることは適宜なし得ることである。
さらに、引用発明1のコードレス子機が、コードレス子機内に内蔵される装置を駆動するための電源(バッテリ)を有することは技術常識であり、コードレス子機の電源(バッテリ)の充電のために、コードレス親機に充電器を設けることは、上記イ.に記載したように周知技術であるから、引用発明1において、コードレス電話親機にコードレス子機の電源(バッテリ)の充電器を設けることも、当業者が適宜なし得ることである。
そして、コードレス子機の電源(バッテリ)の充電器も、上記電源装置と同充電するための装置と同様に、電話機内の回路を作動させるための電源を供給するためのものであるから、上記充電器兼固定電源装置と一体のものとすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。


そして、補正後の発明の作用効果も、引用例1、及び引用例2に記載された発明、並びに周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、補正後の発明は、引用例1、及び引用例2に記載された発明、並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明

平成26年12月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。


2.引用発明

引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ.引用発明」の項で認定したとおりである。


3.対比・判断

そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「ウ.対比・判断」の項で検討したとおり、引用例1、及び引用例2に記載された発明、並びに周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。


4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1、及び引用例2に記載された発明、並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-09 
結審通知日 2015-03-10 
審決日 2015-03-26 
出願番号 特願2008-309428(P2008-309428)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (H04M)
P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 勝広  
特許庁審判長 田中 庸介
特許庁審判官 山澤 宏
山中 実
発明の名称 携帯電話機を固定電話として使用するための端末機  
代理人 橋本 京子  
代理人 橋本 克彦  

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