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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C09J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C09J
管理番号 1300483
審判番号 不服2014-1363  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-24 
確定日 2015-05-07 
事件の表示 特願2009-540357「ブロックコポリマーとアクリル接着剤とのブレンド」拒絶査定不服審判事件〔平成20年6月12日国際公開、WO2008/070386、平成22年4月22日国内公表、特表2010-512426〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成19年11月6日(パリ条約に基づく優先権主張 2006年12月7日)を国際出願日とする特許出願であって,平成22年10月18日に手続補正書が提出され,平成25年1月7日付けで拒絶理由が通知され,同年9月18日付けで拒絶査定がなされ,平成26年1月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され,同年3月31日付けで前置報告がなされたものである。



第2 平成26年1月24日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[結論]
平成26年1月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.手続補正の内容
平成26年1月24日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,審判請求と同時にされた補正であり,平成22年10月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲をさらに補正するものであって,本件補正前の,
「【請求項1】
(A)92?99.9部の,ブロックコポリマー接着剤組成物であって,
(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,
(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a),を含む,ブロックコポリマー接着剤組成物,及び
(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物であって,
(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,
(ii)0?30部の,共重合強化モノマーと,を含む,アクリル接着剤組成物,を含む,感圧性接着剤。
【請求項2】
第1ブロックコポリマーが,式Q_(n)-Y(式中,
(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,
(i)Rはゴム状ブロックを表し,
(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,
(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,
(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである,
請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項3】
重合第2共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,第2重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む第2ブロックコポリマー(b)を更に含む,請求項2に記載の感圧性接着剤。
【請求項4】
第1ブロックコポリマーが,ポリモーダルで非対称な星型ブロックコポリマーである,
請求項1?3のいずれか一項に記載の感圧性接着剤。
【請求項5】
ブロックコポリマー接着剤組成物が,少なくとも60℃のTgを有する第1高Tg粘着付与剤であって,少なくとも1つのゴム状ブロックに適合する第1高Tg粘着付与剤と少なくとも60℃のTgを有する第2高Tg粘着付与剤であって,少なくとも1つのガラス状ブロックに適合する第2高Tg粘着付与剤とを更に含み,前記第1及び第2の高Tg粘着付与剤が,少なくとも115℃の軟化点を有している,請求項1?4のいずれか一項に記載の感圧性接着剤。
【請求項6】
(a)多腕ブロックコポリマーと直鎖ブロックコポリマーとの比が,1.5:1?9:1の範囲,
(b)高Tg粘着付与剤とブロックコポリマーとの総量の比が,0.8:1?1.25:1,
(c)ゴム状ブロック適合性高Tg粘着付与剤とガラス状ブロック適合性高Tg粘着付与剤との比が,1:1?9:1の範囲,及び
(d)ブロックコポリマー及び高Tg粘着付与剤の組み合わせとアクリレート成分との比が,少なくとも8.3:1,
である,請求項5に記載の感圧性接着剤。
【請求項7】
第1主表面及び第2主表面を有する発泡体裏材と,第1主表面に接着している第1接着スキンと,を含むテープであって,第1接着スキンが請求項1?6のいずれか一項に記載の感圧性接着剤を含む,テープ。
【請求項8】
35ダイン/cm未満の表面エネルギーをもった第1表面を有する第1基材と,
第2表面を有する第2基材と,
第1基材の第1表面と第2基材の第2表面との間の接着界面であって,請求項1?6のいずれか一項に記載の感圧性接着剤を含む接着界面と,を含む,接着複合体。」
との記載を,
「【請求項1】
(A)92?99.9部の,ブロックコポリマー接着剤組成物であって,
(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,
(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a),を含む,ブロックコポリマー接着剤組成物,及び
(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物であって,
(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,
(ii)0?30部の,アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される共重合強化モノマーと,を含み,かつ
前記第1ブロックコポリマーが,式Q_(n)-Y(式中,
(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,
(i)Rはゴム状ブロックを表し,
(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,
(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,
(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである,
アクリル接着剤組成物,を含む,感圧性接着剤。
【請求項2】
重合第2共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,第2重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む第2ブロックコポリマー(b)を更に含む,請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項3】
第1ブロックコポリマーが,ポリモーダルで非対称な星型ブロックコポリマーである,
請求項1又は2に記載の感圧性接着剤。
【請求項4】
ブロックコポリマー接着剤組成物が,少なくとも60℃のTgを有する第1高Tg粘着付与剤であって,少なくとも1つのゴム状ブロックに適合する第1高Tg粘着付与剤と少なくとも60℃のTgを有する第2高Tg粘着付与剤であって,少なくとも1つのガラス状ブロックに適合する第2高Tg粘着付与剤とを更に含み,前記第1及び第2の高Tg粘着付与剤が,少なくとも115℃の軟化点を有している,請求項1?3のいずれか一項に記載の感圧性接着剤。
【請求項5】
(a)多腕ブロックコポリマーと直鎖ブロックコポリマーとの比が,1.5:1?9:1の範囲,
(b)高Tg粘着付与剤とブロックコポリマーとの総量の比が,0.8:1?1.25:1,
(c)ゴム状ブロック適合性高Tg粘着付与剤とガラス状ブロック適合性高Tg粘着付与剤との比が,1:1?9:1の範囲,及び
(d)ブロックコポリマー及び高Tg粘着付与剤の組み合わせとアクリレート成分との比が,少なくとも8.3:1,
である,請求項4に記載の感圧性接着剤。
【請求項6】
第1主表面及び第2主表面を有する発泡体裏材と,第1主表面に接着している第1接着スキンと,を含むテープであって,第1接着スキンが請求項1?5のいずれか一項に記載の感圧性接着剤を含む,テープ。
【請求項7】
0.035N/m未満の表面エネルギーをもった第1表面を有する第1基材と,
第2表面を有する第2基材と,
第1基材の第1表面と第2基材の第2表面との間の接着界面であって,請求項1?5のいずれか一項に記載の感圧性接着剤を含む接着界面と,を含む,接着複合体。」
と変更するものである。

2.本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明の認定について
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下,「本願補正発明」という。)は,「・・・(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物であって,
(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,
(ii)0?30部の,アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される共重合強化モノマーと,を含み,かつ
前記第1ブロックコポリマーが,式Q_(n)-Y(式中,
(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,
(i)Rはゴム状ブロックを表し,
(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,
(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,
(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである,
アクリル接着剤組成物(,を含む,感圧性接着剤。)」と特定されているところ,かかる記載どおりでは,(A)のブロックコポリマー接着剤組成物についての特定事項である「第1ブロックコポリマー」についての特定事項を,(B)のアクリル接着剤組成物についての特定事項の中において特定することになり,その技術的意味を正しく表現するものとなっていない。
したがって,本願補正発明を上記の点を踏まえて正しく認定し直せば,以下のとおりのものであると認められる。
「(A)92?99.9部の,ブロックコポリマー接着剤組成物であって,
(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,
(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a),を含む,ブロックコポリマー接着剤組成物,及び
(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物であって,
(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,
(ii)0?30部の,アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される共重合強化モノマーと,を含む,アクリル接着剤組成物,を含み,
前記第1ブロックコポリマーが,式Q_(n)-Y(式中,
(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,
(i)Rはゴム状ブロックを表し,
(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,
(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,
(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである,
感圧性接着剤。」

3.本件補正の目的について
上記2.で検討したことに鑑みれば,本件補正後の請求項1は,対応する本件補正前の請求項2における発明を特定するために必要な事項(以下,「発明特定事項」という。)である,「共重合強化モノマー」を「アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される」に限定するものであるといえ,本件補正前の請求項2に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決すべき課題が同一であるから,本件補正後の請求項1に係る補正事項は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また,本件補正における他の補正事項は,請求項の削除に伴い引用請求項を補正するもの,及び,本件補正前の請求項8(本件補正後の請求項7)において単位を補正するものであって,これらはいずれも特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

4.独立特許要件について
そこで,本件補正により補正された特許請求の範囲及び明細書(以下,「本願明細書」という場合がある。)並びに図面の記載からみて,本願補正発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は,2.で述べたとおり,以下のとおりのものであると認められる。

本願補正発明
「(A)92?99.9部の,ブロックコポリマー接着剤組成物であって,
(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,
(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a),を含む,ブロックコポリマー接着剤組成物,及び
(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物であって,
(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,
(ii)0?30部の,アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される共重合強化モノマーと,を含む,アクリル接着剤組成物,を含み,
前記第1ブロックコポリマーが,式Q_(n)-Y(式中,
(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,
(i)Rはゴム状ブロックを表し,
(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,
(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,
(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである,
感圧性接着剤。」

(2)刊行物及びその記載事項
刊行物A:特表平11-501956号公報

本願の優先日前に頒布された刊行物A(平成25年1月7日付け拒絶理由通知で引用した引用文献1。)には,以下の事項が記載されている。

ア 「1.感圧接着剤組成物であって,アクリル系感圧接着剤約5?95重量%と,熱可塑性エラストマーコポリマー材料約5?95重量%との配合物を含み,前記組成物は少なくとも2種の異なる領域を含む形態を有し,事実上,第1領域は実質的に連続しており,事実上,前記第2領域は,前記第1領域内の接着剤組成物の主要表面と平行な小繊維性乃至片岩状である感圧接着剤組成物。
2.前記アクリル系感圧接着剤はC_(3)?C_(12)アルキルエステルのポリマーを含む請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
3.前記アクリル系感圧接着剤はイソオクチルアクリレート,2-エチル-ヘキシルアクリレートまたはn-ブチルアクリレートのポリマーを含む請求項2に記載の感圧接着剤組成物。
4.前記アクリル系感圧接着剤はさらに極性成分を含む請求項2に記載の感圧接着剤組成物。
5.前記極性成分はアクリル酸,メタクリル酸,エチレン酢酸ビニル,N-ビニルピロリドンおよびスチレンマクロマーを含む請求項4に記載の感圧接着剤組成物。
6.前記アクリル系感圧接着剤はアルキルエステル成分約100?80重量%と極性成分約0?20%含む請求項5に記載の感圧接着剤組成物。
7.前記熱可塑性エラストマー材料は線状コポリマー,円形コポリマー,星型コポリマー,テーパーコポリマーまたは分枝コポリマーを含む請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
8.前記熱可塑性エラストマー材料はスチレン-イソプレンブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-ブチレン)ブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-プロピレン)ブロックコポリマー,スチレン-ブタジエンブロックコポリマー,ポリエーテルエステルおよびポリ-α-オレフィンを含む請求項7に記載の感圧接着剤組成物。」(特許請求の範囲請求項1?8)

イ 「本発明の感圧接着剤組成物の第2成分は,アクリル系感圧接着剤と配合される熱可塑性エラストマー材料である。この材料は,使用温度で感圧接着剤と十分に不相溶であり,その結果,感圧接着剤組成物は,少なくとも2種の異なる領域を有するように選択される。もちろん,複数の第2成分を感圧接着剤と組み合せることも可能である。第2成分は,感圧接着剤であっても感圧接着剤でなくてもよい。
本発明で有用な熱可塑性弾性エラストマー材料としては,たとえば,Shell Chemical Co.から入手可能なKRATON^(TM)D1107Pや,EniChem Elastomers Americas,Inc.から入手可能なEUROPRENE^(TM)SOL TE9110などの線状スチレン-イソプレンブロックコポリマー,円形スチレン-イソプレンブロックコポリマー,星形スチレン-イソプレンブロックコポリマー,およびテーパースチレン-イソプレンブロックコポリマー,Shell Chemical Co.から入手可能なKRATON^(TM)G1657などの線状スチレン-(エチレン-ブチレン)ブロックコポリマー,Shell Chemical Co.から入手可能なKRATON^(TM)G1657Xなどの線状スチレン-(エチレン-プロピレン)ブロックコポリマー,Shell Chemical Co.から入手可能なKRATON^(TM)D1118XやEniChem Elastomers Americas,Inc.から入手可能なEUROPRENE^(TM)SOL TE 6205などの星形スチレン-ブタジエンブロックコポリマー,式-(CH_(2)CHR)_(x)で表され,Rは炭素原子を2?10個含むアルキル基であるようなポリ-α-オレフィン系熱可塑性エラストマー材料,Dow Plastics Co.から入手可能なエチレン/ポリ-α-オレフィンコポリマーであるENGAGE^(TM)EG8200などのメタロセン触媒作用に基づくポリ-α-オレフィンなどがある。」(13頁10行?14頁3行)

ウ 「産業上の利用可能性
実施例1?6および比較例C1
実施例1では,参照により本願明細書に組み込まれる米国特許第RE 24,906号(Ulrich)に従って作成し,乾燥したアクリル系感圧接着剤(イソオクチルアクリレート95重量%/アクリル酸5重量%,水乳化重合,剪断粘度-150Pa-s)およびCiba-Giegy Corp.から入手可能なIRGANOX^(TM)1010酸化防止剤1重量%が予め配合合された熱可塑性エラストマーKRATON^(TM)D1107P(スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー,剪断粘度1250Pa-s)を,直径34mmの完全に互いに噛み合う同時回転二軸スクリュー押出機(Leistritz,Inc.から入手可能なLEISTRITZ^(TM)Model LSM34GL)内で溶融配合した。熱可塑性エラストマーブロックコポリマーは押出機の給送口に導入し,アクリル系感圧接着剤は区域4に導入した。温度は,区域1から区域4までは,38℃から177℃(100°Fから350°F)まで連続的に上昇させた。残りの区域の温度は177℃?191℃(350°F?375°F)に維持した。給送速度は,感圧接着剤と熱可塑性エラストマーブロックコポリマーの比率が75:25になるように調節した。
二軸スクリュー押出機は,少なくとも約0.69MPa(100psi)の圧力で,幅25.4cm(10インチ)のフィルムダイ(Extrusion Dies,Inc.から入手可能なUTLTRAFLEX^(TM)40ダイ,Model 89-12939)に取付けた3層給送ブロック(The Cloeren Co.から入手可能なCLOEREN^(TM)Model 92-1033)に連続的に放出した。ダイは,177℃?191℃(350°F?375°F)に維持し,ダイ間隙は0.5?0.8 mm(20?30ミル)であった。配合した接着剤組成物を,給送ブロックの中央部分は使用せず,給送ブロックの外側の2つの部分を通過させ,厚さ51μm(2ミル)の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと剥離剤塗布紙ウェブとの間に6.4kg/時間(14lb/時間)の速度で給送した。このフィルムおよびウェブを,温度21℃(70°F)に維持したチルロール間に速度7.3m/分(24 fpm)で給送して感圧接着テープを作成した。実施例2,実施例3および実施例4では,IRGANOX^(TM)1010 1重量部が予め配合された熱可塑性エラストマーブロックコポリマー,KRATON^(TM)D1117P(スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー,剪断粘度690 Pa-s)をアクリル系接着剤に加え,アクリル系接着剤と熱可塑性エラストマーブロックコポリマーとの比率は,それぞれ,75:25,63:37,25:75であった。実施例5では,熱可塑性エラストマーブロックコポリマーはKRATON^(TM)D1118X(ブタジエン-スチレンブロックコポリマー,剪断粘度1160 Pa-s)であり,これをアクリル系感圧接着剤に,アクリル系接着剤と熱可塑性エラストマーブロックコポリマーとの比率82:18で加えた。実施例6では,,熱可塑性エラストマーブポリマーはSTEREON ^(827)(Firestone Synthetic Rubber & Latex Co.から入手可能なスチレン-ブタジエン多ブロックコポリマー,剪断粘度2040 Pa-s)であり,これをアクリル系感圧接着剤に,アクリル系接着剤と熱可塑性エラストマーブロックコポリマーとの比率82:18で加えた。比較例C1では,アクリル系感圧接着剤のみを使用し,他のポリマーは全く使用せずに感圧接着テープを作成した。」(18頁2行?19頁16行)

エ 「実施例18および19
実施例18では,実施例1で使用したアクリル系感圧接着剤と熱可塑性エラストマーブロックコポリマーKRATON^(TM)D1320X(IRGANOX^(TM)1010 1重量%が予め配合された,Shell Chemical Co.から入手可能な多アーム星形スチレン/イソプレンポリマー)とを,同時回転二軸スクリュー押出機(Werner-Pfleiderer から入手可能な,直径30 mmのバレルを有し,長さと直径との比率が47:1のModel ZSK 30)を使用して,熱可塑性エラストマーブロックコポリマーを区域Iに給送し,アクリル系感圧接着剤を区域3に給送して,アクリル系接着剤と熱可塑性エラストマーブロックコポリマーとの比率80:20で溶融配合した。接触ダイを使用し,実施例1で使用した速度と類似した速度で配合物をポリエチレンフィルム上に押出して,感圧接着テープを作成した。」(25頁下から3行?26頁8行)

オ 「実施例29?35および比較例C14?C15
バッチ混合法およびバッチ塗布法を使用して,実施例1に記載のアクリル系感圧接着剤を,様々な比率でKRATON^(TM)D1107Pと配合した。実施例29?35では,合計45gのアクリル系感圧接着剤およびKRATON^(TM)D1107P(99部をIRGANOX^(TM)1010酸化防止剤1部と予め配合)を,175℃(347°F)で作動する50 g Brabender^(TM)シグマブレードミキサーに入れた。KRATON^(TM)D1107Pを最初に加え,続いてアクリル系感圧接着剤を加えた。配合物を50?75 rpm で5分間混合した。配合したアクリル系感圧接着剤とKRATON^(TM)D1107Pの相対量は,実施例29では40.5gと4.5gに相当し,実施例30では33.75gと11.25g,実施例31では22.5gと22.5g,実施例32では18gと27g,実施例33では11.25gと33.75g,実施例34では6.75gと38.25g,実施例35では2.25gと42.75gに相当した。配合材料約1?5gを剥離剤塗布紙のシートと厚さ50?75ミクロンの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間に配置することによって,各実施例の感圧接着剤塗布テープを作成した。これを,152 mm(6 in)×152 mm(6 in)の2枚の鋼鉄製プレートを具有する油圧段プレスの2枚のアルミニウムプレートの間に配置した。28 MPa(4000 psi),138℃(280°F),停滞時間0.6秒で塗布すると,76μm(3ミル)?102μm(4ミル)の範囲の厚さを有する感圧接着剤塗膜を生じた。テープのガラスに対する180°剥離接着強さを試験した。結果を表10に示す。

実施例29および実施例30の形態は,連続したアクリル系感圧接着剤相と片岩状熱可塑性エラストマー相であった。実施例31および実施例32の接着剤は,アクリル系感圧接着剤と熱可塑性エラストマーとの共同連続相を有していた。実施例33?35は,連続した非粘着熱可塑性エラストマー相と不連続な感圧接着剤片岩状相を有していた。段プレス塗布法の軸変形により,相は塗装平面に平行して形成される。表10からわかるように,アクリル系感圧接着剤と熱可塑性エラストマーとの比率を変えることによって,ガラスに対する180°剥離接着強さを調節することができる。180°剥離接着強さの増強(実施例29?31)から180°剥離接着強さの低下および容易な取り外し(実施例32から35)までの範囲の反応がわかる。」(32頁下から16行?33頁下から2行)

(3)刊行物Aに記載された発明
摘示アの記載を総合すると,刊行物Aには以下の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているといえる。

「感圧接着剤組成物であって,アクリル系感圧接着剤5?95重量%と,熱可塑性エラストマーコポリマー材料5?95重量%との配合物を含み,前記組成物は少なくとも2種の異なる領域を含む形態を有し,事実上,第1領域は実質的に連続しており,事実上,前記第2領域は,前記第1領域内の接着剤組成物の主要表面と平行な小繊維性乃至片岩状であって,
前記アクリル系感圧接着剤は,イソオクチルアクリレート,2-エチル-ヘキシルアクリレートまたはn-ブチルアクリレートであるアルキルエステル成分100?80重量%とアクリル酸,メタクリル酸,エチレン酢酸ビニル,N-ビニルピロリドンおよびスチレンマクロマーから選ばれる極性成分0?20重量%とを含み,
前記熱可塑性エラストマーコポリマー材料は,スチレン-イソプレンブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-ブチレン)ブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-プロピレン)ブロックコポリマー,スチレン-ブタジエンブロックコポリマー,ポリエーテルエステルおよびポリ-α-オレフィンから選ばれる,線状コポリマー,円形コポリマー,星型コポリマー,テーパーコポリマーまたは分枝コポリマーを含む,
感圧接着剤組成物。」

(4)本願補正発明と刊行物発明との対比・判断
ア 刊行物発明における「感圧接着剤組成物」は,本願補正発明における「感圧性接着剤」に相当する。

イ 刊行物発明における「アクリル系感圧接着剤」と本願補正発明における「アクリル接着剤組成物」とを対比する。
前者は,「イソオクチルアクリレート,2-エチル-ヘキシルアクリレートまたはn-ブチルアクリレートであるアルキルエステル成分100?80重量%とアクリル酸,メタクリル酸,エチレン酢酸ビニル,N-ビニルピロリドンおよびスチレンマクロマーから選ばれる極性成分0?20重量%とを含」むものであり,後者は,「(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,(ii)0?30部の,アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される共重合強化モノマーと,を含む」ものである。
ここで,前者の「イソオクチルアクリレート,2-エチル-ヘキシルアクリレートまたはn-ブチルアクリレートであるアルキルエステル成分」は,後者の「少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル」に相当しており,前者の「アクリル酸,メタクリル酸・・・から選ばれる極性成分」は,後者の「アクリル酸,メタクリル酸・・・から選択される共重合強化モノマー」に相当しており,それら各成分の割合についても両者において重複一致する範囲を包含している。
そうすると,刊行物発明における「アクリル系感圧接着剤」は,本願補正発明における「アクリル接着剤組成物」に相当するといえる。

ウ 刊行物発明における「熱可塑性エラストマーコポリマー材料」と本願補正発明における「ブロックコポリマー接着剤組成物」とを対比する。
前者は,「スチレン-イソプレンブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-ブチレン)ブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-プロピレン)ブロックコポリマー,スチレン-ブタジエンブロックコポリマー,ポリエーテルエステルおよびポリ-α-オレフィンから選ばれる,線状コポリマー,円形コポリマー,星型コポリマー,テーパーコポリマーまたは分枝コポリマーを含む」ものであり,後者は,「(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a),を含む」ものであって,「前記第1ブロックコポリマーが,式Q_(n)-Y(式中,(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,(i)Rはゴム状ブロックを表し,(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである」ものである。
ここで,前者の「スチレン-イソプレンブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-ブチレン)ブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-プロピレン)ブロックコポリマー,スチレン-ブタジエンブロックコポリマー・・・」は,後者の「(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a)」に相当するといえる。
そうすると,刊行物発明における「熱可塑性エラストマーコポリマー材料」は,下記エの相違点2の点を除き,本願補正発明における「ブロックコポリマー接着剤組成物」に相当するといえる。

エ 以上をまとめると,本願補正発明と刊行物発明との一致点及び相違点は次のとおりである。

〔一致点〕
(A)ブロックコポリマー接着剤組成物であって,
(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,
(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a),を含む,ブロックコポリマー接着剤組成物,及び
(B)アクリル接着剤組成物であって,
(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,
(ii)0?30部の,アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される共重合強化モノマーと,を含む,アクリル接着剤組成物,を含む,
感圧性接着剤。

〔相違点1〕
(A)ブロックコポリマー接着剤組成物と(B)アクリル接着剤組成物との配合割合について,本願補正発明は,「(A)92?99.9部のブロックコポリマー接着剤組成物」及び「(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物」と特定しているのに対し,刊行物発明は,「アクリル系感圧接着剤5?95重量%と,熱可塑性エラストマーコポリマー材料5?95重量%」と特定している点。

〔相違点2〕
第1ブロックコポリマーについて,本願補正発明は,「前記が,式Q_(n)-Y(式中,(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,(i)Rはゴム状ブロックを表し,(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである」と特定しているのに対し,刊行物発明は,「線状コポリマー,円形コポリマー,星型コポリマー,テーパーコポリマーまたは分枝コポリマー」と特定している点。

オ 上記相違点について検討する。

〔相違点1〕について
刊行物発明における「アクリル系感圧接着剤」と「熱可塑性エラストマーコポリマー材料」(本願補正発明の「ブロックコポリマー接着剤組成物」に相当。)との配合割合は,「アクリル系感圧接着剤5?95重量%」と,「熱可塑性エラストマーコポリマー材料5?95重量%」と特定されているところ,本願補正発明における「アクリル接着剤組成物」と「ブロックコポリマー接着剤組成物」との配合割合は,「(A)92?99.9部の,ブロックコポリマー接着剤組成物」及び「(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物」と特定されていることから,両者は,92?95部の(A)ブロックコポリマー接着剤組成物及び5部?8部未満の(B)アクリル接着剤組成物の範囲で重複一致している。そうすると,相違点1は実質的な相違点ではない。
仮にそうでなくとも,刊行物Aには,具体的な実施例が記載されており(摘示ウ?オ),その結果として,「アクリル系感圧接着剤」と「熱可塑性エラストマーコポリマー材料」との配合割合をいろいろと変えた配合でガラスに対する180°剥離接着強さを測定した表10が示されており,例35では,アクリル系感圧接着剤5重量%と熱可塑性エラストマーコポリマー材料である「KRATON^(TM)D1107P」95重量%とを配合してなる感圧接着剤塗膜を製造し,そのガラスに対する180°剥離接着強さが26N/dmであることが示されると共に,「アクリル系感圧接着剤と熱可塑性エラストマーとの比率を変えることによって,ガラスに対する180°剥離接着強さを調節することができる。180°剥離接着強さの増強(実施例29?31)から180°剥離接着強さの低下および容易な取り外し(実施例32から35)までの範囲の反応がわかる。」(摘示オ)とも記載されている。そうすると,刊行物発明において,「アクリル系感圧接着剤」と「熱可塑性エラストマーコポリマー材料」との配合割合に関し,低い180°剥離接着強さおよび容易な取り外しを考慮して,「アクリル系感圧接着剤5?95重量%と熱可塑性エラストマーコポリマー材料5?95重量%との配合割合を,「アクリル系感圧接着剤5?8重量%と熱可塑性エラストマーコポリマー材料92?95重量%の配合割合と設定することは,当業者において容易になし得ることである。また,その効果も格段優れたものとはいえない。

〔相違点2〕について
刊行物発明における「線状コポリマー,円形コポリマー,星型コポリマー,テーパーコポリマーまたは分枝コポリマー」は,「スチレン-イソプレンブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-ブチレン)ブロックコポリマー,スチレン-(エチレン-プロピレン)ブロックコポリマー,スチレン-ブタジエンブロックコポリマー」であることから,ゴムあるいは水添ゴムブロックとスチレンブロックとを有するものである。そして,当該「星型コポリマー」の具体的なものとして,刊行物Aには,「たとえば,・・・星形スチレン-イソプレンブロックコポリマー,・・・Shell Chemical Co.から入手可能なKRATON^(TM)D1118XやEniChem Elastomers Americas,Inc.から入手可能なEUROPRENE^(TM)SOL TE 6205などの星形スチレン-ブタジエンブロックコポリマー」(摘示イ)及び「KRATON^(TM)D1320X(IRGANOX^(TM)1010 1重量%が予め配合された,Shell Chemical Co.から入手可能な多アーム星形スチレン/イソプレンポリマー)」(摘示エ)の例示がある。
ここで,刊行物発明における「星型コポリマー」について検討すると,形状が星形である以上当然に腕の総数は3本以上であって,星の中心部分には,技術常識からみて,多官能性カップリング剤の残基が存在していると認められる。例えば,上記「KRATON^(TM)D1320X」は,ジビニルベンゼンをカップリング剤として用いて製造されたスチレン-イソプレンブロック共重合体の腕からなる多腕ブロック共重合体であって,腕の数は通常6?40であることは周知である(例えば,特表平9-500156号公報12頁実施例1を参照のこと。)。
そうすると,刊行物発明における「線状コポリマー,円形コポリマー,星型コポリマー,テーパーコポリマーまたは分枝コポリマー」は,本願補正発明の「前記第1ブロックコポリマーが,式Q_(n)-Y(式中,(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,(i)Rはゴム状ブロックを表し,(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである」ものを意味包含しているといえる。してみると,相違点2は実質的な相違点ではない。
仮にそうでなくとも,刊行物Aには,熱可塑性エラストマーコポリマー材料としての星型コポリマーとして,星形スチレン-イソプレンブロックコポリマー,星形スチレン-ブタジエンブロックコポリマーあるいはKRATON^(TM)D1320X(多アーム星形スチレン/イソプレンポリマー)が具体的に記載されているのであるから,刊行物発明における熱可塑性エラストマーコポリマー材料として,これらの星型コポリマーを採用することは,当業者において容易になし得ることである。また,その効果も格段優れたものとはいえない。

(5)まとめ
したがって,本願補正発明は,刊行物Aに記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定に該当し,特許を受けることができないか,あるいは,刊行物Aに記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,本件補正は,特許法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。



第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?8に係る発明は,平成22年10月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。

本願発明
「(A)92?99.9部の,ブロックコポリマー接着剤組成物であって,
(i)第1重合共役ジエン,その水素添加誘導体,又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと,
(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと,を含む,第1ブロックコポリマー(a),を含む,ブロックコポリマー接着剤組成物,及び
(B)0.1部?8部未満のアクリル接着剤組成物であって,
(i)70?100部の,少なくとも1つの,4?20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと,
(ii)0?30部の,共重合強化モノマーと,を含む,アクリル接着剤組成物,を含む,感圧性接着剤。」

2.原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は,
「本願発明は,その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記刊行物に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定に該当し,特許を受けることができないか,あるいは,下記刊行物に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
刊行物1:特開平11-501956号公報」
というものを含むものである。

3.当審の判断
(1)刊行物の記載事項
刊行物1は,前記第2.4(2)の刊行物Aと同じであるから,刊行物Aには,前記2.4(2)ア?オに記載した事項が記載されている。

(2)刊行物に記載された発明
刊行物Aには,前記第2.4(3)に記載の刊行物発明が記載されているといえる。

(3)本願発明と刊行物発明との対比・判断
本願補正発明は,本願発明において,「共重合強化モノマー」に関して「アクリル酸,メタクリル酸,2-カルボキシエチルアクリレート,N,N’ジメチルアクリルアミド,N,N’ジエチルアクリルアミド,ブチルカルバモイルエチルアクリレート,及びこれらの組み合わせからなる群から選択される」と限定し,かつ,「第1ブロックコポリマー」について「式Q_(n)-Y(式中,
(a)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し,各腕が独立に式R-G(式中,
(i)Rはゴム状ブロックを表し,
(ii)Gはガラス状ブロックを表す)を有し,
(b)nは腕の数を表し,少なくとも3の整数であり,
(c)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである」と限定したものである。
そうすると,第2 4.で述べたとおり,本願補正発明が,刊行物Aに記載された発明であるか,あるいは,刊行物発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明もまた,刊行物Aに記載された発明であるか,あるいは,刊行物発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。



第4 むすび
以上のとおり,本願発明,すなわち,平成22年10月18日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,刊行物Aに記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定に該当し,特許を受けることができないか,あるいは,刊行物Aに記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
原査定の理由は妥当なものである。
したがって,他の請求項に係る発明について更に検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-27 
結審通知日 2014-12-02 
審決日 2014-12-15 
出願番号 特願2009-540357(P2009-540357)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C09J)
P 1 8・ 121- Z (C09J)
P 1 8・ 113- Z (C09J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安積 高靖  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 大島 祥吾
小野寺 務
発明の名称 ブロックコポリマーとアクリル接着剤とのブレンド  
代理人 蛯谷 厚志  
代理人 出野 知  
代理人 古賀 哲次  
代理人 青木 篤  
代理人 胡田 尚則  
代理人 石田 敬  
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