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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1300487
審判番号 不服2014-2748  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-13 
確定日 2015-05-07 
事件の表示 特願2011-505975「電子デバイスの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 9月30日国際公開、WO2010/110087〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、2010年3月11日(優先権主張2009年3月24日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成25年7月22日付けで手続補正がなされたが、同年11月19日付けで拒絶査定がなされた。
本件は、これを不服として、平成26年2月13日に請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
平成26年2月13日付けの手続補正は、補正前の請求項6の「さらに超音波振動を用いて前記異物を除去する工程である」との記載を「前記除去工程が、さらに超音波振動を用いて前記異物を除去する工程である」と補正するものであって、補正前の請求項6の「さらに超音波振動を用いて前記異物を除去する工程である」との記載事項の主語であり、本来必要であった「前記除去工程が、」を追加するものであるから、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
そうすると、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年2月13日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
第1主面および第2主面を有し第2主面に電子デバイス用部材を有する基板の第1主面に、第1主面および第2主面を有する支持基板の第1主面に固定された剥離性表面を有する樹脂層が密着している支持体付き電子デバイスから、前記支持基板および前記樹脂層からなる支持体を剥離し、前記電子デバイス用部材および基板を含む電子デバイスを得る剥離工程と、
前記電子デバイスにおける前記基板の第1主面に付いた、異物を除去する除去工程とを具備し、
前記樹脂層がシリコーン樹脂層である、電子デバイスの製造方法。」

3 引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前である2007年2月15日に頒布された国際公開第2007/018028号(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)
a 明細書の記載
「[0001] 本発明は、液晶表示体、有機EL表示体等の表示装置に用いられるガラス基板、より具体的には、薄板ガラス基板を用いて表示装置を製造する際に使用される該薄板ガラス基板と支持ガラス基板との積層体、およびそれを用いた表示装置の製造方法、ならびに該薄板ガラス積層体用の剥離紙用シリコーンに関する。」
「[0006] 上記した従来技術の問題点を解決するため、本発明は、薄板ガラス基板と支持ガラス基板を気泡の混入や異物による凸状欠陥の発生を抑制し、薄板ガラス基板と支持ガラス基板との分離が容易であり、かつ耐熱性に優れた薄板ガラス積層体、および該薄板ガラス積層体を用いた表示装置を製造する方法、ならびに、該薄板ガラス積層体用の剥離紙用シリコーンを提供することを目的とする。」
「発明の効果
[0013] 本発明の薄板ガラス積層体は、柔軟性を有するシリコーン樹脂層を介して薄板ガラス基板と支持ガラス基板とが積層されているため、積層時に気泡が混入しにくく、また気泡が混入した場合でも、ロールまたはプレス等を用いて圧着することにより、容易に該気泡を除去しうるという利点がある。特に、薄板ガラス基板と支持ガラス基板との積層を真空ラミネート法または真空プレス法を用いて実施した場合、気泡の混入が抑制され、密着性も良好である。また、薄板ガラス基板と支持ガラス基板との積層を真空ラミネート法または真空プレス法を用いて実施した場合、微少な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、薄板ガラス基板の凸状欠陥につながりにくいという利点もある。
また、塵介等の異物が積層界面に混入した場合でも柔軟性を有するシリコーン樹脂層が変形することにより薄板ガラス積層体の凸状欠陥につながりにくいという利点も有する。
また、薄板ガラス基板と支持ガラス基板との間に介在させる層が耐熱性に優れたシリコーン樹脂層であるため、耐熱性も良好である。
[0014] 本発明の薄板ガラス積層体は、易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層を介して薄板ガラス基板と支持ガラス基板とが積層されているため、薄板ガラス基板と支持ガラス基板とに容易に分離することが可能であり、ガラス基板同士を分離する際に、薄板ガラス基板が破損するおそれがない。なお、この特性は薄板ガラス積層体を大気中300℃の温度で1時間加熱した後でも同様に発揮される。したがって、加熱処理を伴う表示装置の製造工程における使用に好適である。
[0015] また、シリコーン樹脂層が低シリコーン移行性を有していれば、ガラス基板同士を分離した際に、シリコーン樹脂層中の成分が薄板ガラス基板に移行しにくい。したがって、分離後、シリコーン樹脂層が形成された支持ガラス基板は、他の薄板ガラス基板との積層に繰り返し使用することができる。また、分離後の薄板ガラス基板の表面にシリコーン樹脂層中の成分が移行しにくいため、薄板ガラス基板の表面に偏光板等を貼り付ける際に貼り付け不良等が生じるおそれがない。
[0016] 本発明の表示装置の製造方法は、本発明の薄板ガラス積層体を用いることにより、薄板ガラス基板のたわみの発生や、製造時における薄板ガラス基板の破損が防止されるので、製造される表示装置の歩留まりを向上することができる。
本発明の表示装置の製造方法において、支持ガラス基板のシリコーン樹脂層形成面に薄板ガラス基板を積層する工程を真空プレスまたは真空ラミネートを用いて実施した場合、該シリコーン樹脂層への気泡の混入を抑制することができる。この結果、真空下でITO等の透明電極を形成する工程において、シリコーン樹脂層に混入した気泡を起点とした欠陥の発生を抑制しうるという利点がある。」
「[0019] 以下、本発明の薄板ガラス積層体について説明する。
本発明の薄板ガラス積層体10は、図1に示すとおり、支持ガラス基板1と薄板ガラス基板2との間にシリコーン樹脂層3を有する構造となっている。
薄板ガラス基板は、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板であり、0.3mm未満の厚さを有する。薄板ガラス基板の厚さは好ましくは0.2mm以下であり、より好ましくは0.1mm以下である。また、薄板ガラス基板の厚さは0.05mm以上であることが好ましい。
なお、本発明が対象とする表示装置は、主として携帯電話やPDAのようなモバイル端末に使用される小型の表示装置である。表示装置は、主としてLCDまたはOLEDであり、LCDとしては、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型を含む。」
「[0041] 支持ガラス基板上に易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層を形成した後、支持ガラス基板のシリコーン樹脂形成面に薄板ガラス基板を積層させる。シリコーン樹脂層に剥離紙用シリコーンを使用する場合、支持ガラス基板上に塗工した剥離紙用シリコーンを加熱硬化してシリコーン樹脂層を形成した後、支持ガラス基板のシリコーン樹脂形成面に薄板ガラス基板を積層させる。
剥離紙用シリコーンを加熱硬化させることによって、シリコーン樹脂硬化物が支持ガラスと化学的に結合する、また、アンカー効果によってシリコーン樹脂層が支持ガラスと結合する。これらの作用によって、シリコーン樹脂層が支持ガラス基板に固定されている。
一方、薄板ガラス基板は、非常に近接した、相対する固体分子間におけるファンデルワールス力に起因する力、すなわち、密着力によってシリコーン樹脂層に固定されるので、支持ガラス基板のシリコーン樹脂形成面に積層させた薄板ガラス基板を分離した際に、分離後の薄板ガラス基板の表面にシリコーン樹脂層中の成分が移行することが防止される。これらの効果は、支持ガラス基板にシリコーン樹脂層を形成した後に薄板ガラス基板を積層することで得られる。
つまり、剥離紙用シリコーンを用いることで、支持ガラス基板と、薄板ガラス基板と、を積層させた状態に保持することができるとともに、薄板ガラス基板を分離した際に、薄板ガラス基板の表面にシリコーン樹脂層の成分が移行することも防止することができ、結果的に本発明の目的を達成することが可能となる。
[0042] 支持ガラス基板のシリコーン樹脂形成面に薄板ガラス基板を積層させる手順は公知の方法を用いて実施することができ、例えば、常圧環境下で、シリコーン樹脂形成面に薄板ガラス基板を積層させた後、ロールやプレスを用いて積層体を圧着させてもよい。ロールやプレスで圧着することにより、シリコーン樹脂層と薄板ガラス基板とが、より密着する。
また、ロールまたはプレスによる圧着により、シリコーン樹脂層中に混入している気泡が容易に除去される。
但し、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保の観点から真空ラミネート法、真空プレス法の採用が好ましい。真空下で積層することにより、微少な気泡が残存した場合でも加熱により気泡が成長することがなく、薄板ガラス基板の凸状欠陥につながりにくいという利点もある。
[0043] 支持ガラス基板のシリコーン樹脂層形成面に薄板ガラス基板を積層させる際には、薄板ガラス基板の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが必要である。極微小な異物であれば、柔軟性を有するシリコーン樹脂層が変形することによりシリコーン樹脂層に吸収され積層後の薄板ガラス基板表面の平坦性に影響を与えることはないが、その量や大きさによっては積層後の薄板ガラス基板表面の凸状欠陥につながる可能性があるからである。
[0044] 次に本発明の表示装置の製造方法について説明する。本発明の表示装置の製造方法では、上記手順で本発明の薄板ガラス積層体を形成した後、積層体の薄板ガラス基板上に表示装置を製造するための所定の処理を実施する。本明細書において、表示装置を製造するための所定の処理と言った場合、LCDまたはOLEDといった表示装置を製造する際に、製造工程で実施される各種処理を広く含む。ここで実施される処理の具体例としては、LCDを製造する場合を例にとると、薄板ガラス基板上にアレイを形成する工程、前記薄板ガラス基板とは異なる薄板ガラス基板上にカラーフィルタを形成する工程、アレイが形成された薄板ガラス基板と、カラーフィルタが形成された薄板ガラス基板と、を貼合わせる工程(アレイ・カラーフィルタ貼合わせ工程)等の各種工程を含み、これらの工程で実施される処理として、具体的には例えば、純水洗浄、乾燥、成膜、レジスト塗布、露光、現像、エッチングおよびレジスト除去等が挙げられる。さらに、アレイ・カラーフィルタ貼合わせ工程を実施した後に行われる工程として、液晶注入工程および該処理の実施後に行われる注入口の封止工程があり、これらの工程で実施される処理も含む。但し、これらの処理を全て積層体の状態で実施する必要はない。例えば、強度および取り扱い性の点からは、アレイ・カラーフィルタ貼合わせ工程までを積層体の状態で実施した後、薄板ガラス基板と支持ガラス基板とを分離してから液晶注入処理を実施することが好ましい。
[0045] なお、本発明の表示装置の製造方法において、アレイを形成するガラス基板およびカラーフィルタを形成するガラス基板の両方が薄板ガラス基板ではなくてもよい。例えば、アレイが形成された薄板ガラス基板と、カラーフィルタが形成された通常の厚みのガラス基板と、を貼合わせてもよく、またはアレイが形成された通常の厚みのガラス基板と、カラーフィルタが形成された薄板ガラス基板と、を貼合わせてもよい。これらの場合、セル化した後の表示素子としての総厚は厚くなるが、機械的強度を向上しうるという利点がある。ここでいう通常の厚みのガラス基板とは0.3mm以上の厚みのガラス基板を意味する。
[0046] また、OLEDを製造する場合を例にとると、薄板ガラス基板上に有機EL構造体を形成するための工程として、透明電極を形成する工程、ホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する工程、封止工程等の各種工程を含み、これらの工程で実施される処理として、具体的には例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等が挙げられる。
[0047] 上記所定の処理を実施した後、薄板ガラス基板と支持ガラス基板とを分離する。分離は手剥離により実施しうるが、剃刀の刃等で端部に剥離のきっかけを与えたり、積層界面へのエアーの注入により、より容易に剥離することが可能となる。剥離した支持ガラス基板には易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層が形成されたままの状態であるので、再度、別の薄板ガラス基板との積層に使用することも可能である。なお、シリコーン樹脂層が低シリコーン移行性を有していれば、分離後のシリコーン樹脂層が高い残留接着率を有しているので、シリコーン樹脂層が形成された支持ガラス基板は、他の薄板ガラス基板との積層に繰り返し使用することができる。
[0048] 薄板ガラス基板と、支持ガラス基板と、を分離した後、必要とされる所望の工程を経て、薄板ガラス基板を有する表示装置が得られる。ここで実施される工程としては、LCDの場合には、例えば所望の大きさのセルに分断する工程、液晶を注入しその後注入口を封止する工程、偏光板を貼付する工程、モジュール形成工程が挙げられる。OLEDの場合には、これらの工程に加えて、有機EL構造体が形成された薄板ガラス基板と、対向基板と、を組み立てる工程が含まれる。なお、所望の大きさのセルに分断する工程は、切断処理によって薄板ガラス基板の強度が低下せず、またカレットも出ないことから、レーザカッタによる切断が好ましい。」
b 図面の記載
「[図1]


c 引用例記載の発明
上記a及びbの記載事項によると、引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「支持ガラス基板上に易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層を形成した後、支持ガラス基板のシリコーン樹脂形成面に薄板ガラス基板を積層させ、薄板ガラス基板上に表示装置を製造した後、支持ガラス基板に易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層が形成されたままの状態で薄板ガラス基板と支持ガラス基板とを分離し、その後、所望の大きさのセルに分断する工程、液晶を注入しその後注入口を封止する工程、偏光板を貼付する工程のような必要とされる所望の工程を経る表示装置の製造方法。」

4 対比
以下、本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「支持ガラス基板」、「易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層」、「薄板ガラス基板」及び「表示装置」は、本願発明の「支持基板」、「剥離性表面を有する樹脂層」、「基板」及び「電子デバイス」にそれぞれ相当する。
(2)引用発明の「支持ガラス基板上に易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層を形成した後、支持ガラス基板のシリコーン樹脂形成面に薄板ガラス基板を積層させ、薄板ガラス基板上に表示装置を製造した」構成は、本願発明の「第1主面および第2主面を有し第2主面に電子デバイス用部材を有する基板の第1主面に、第1主面および第2主面を有する支持基板の第1主面に固定された剥離性表面を有する樹脂層が密着して」おり、「前記樹脂層がシリコーン樹脂層である」構成に相当する。
(3)引用発明は、「薄板ガラス基板上に表示装置を製造した後、支持ガラス基板に易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層が形成されたままの状態で薄板ガラス基板と支持ガラス基板とを分離」するものであるから、引用発明の「支持ガラス基板に易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層が形成されたままの状態で薄板ガラス基板と支持ガラス基板とを分離する」構成は、本願発明の「支持体付き電子デバイスから、前記支持基板および前記樹脂層からなる支持体を剥離し、前記電子デバイス用部材および基板を含む電子デバイスを得る剥離工程」「を具備」する構成に相当する。

上記(1)乃至(3)から、本願発明と引用発明は、
「第1主面および第2主面を有し第2主面に電子デバイス用部材を有する基板の第1主面に、第1主面および第2主面を有する支持基板の第1主面に固定された剥離性表面を有する樹脂層が密着している支持体付き電子デバイスから、前記支持基板および前記樹脂層からなる支持体を剥離し、前記電子デバイス用部材および基板を含む電子デバイスを得る剥離工程を具備し、
前記樹脂層がシリコーン樹脂層である、電子デバイスの製造方法。」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明は、「電子デバイスにおける前記基板の第1主面に付いた、異物を除去する除去工程」「を具備」するのに対し、引用発明は、そのような工程を有するか否かが不明である点。

5 当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
引用例には、「本発明は、薄板ガラス基板と支持ガラス基板を気泡の混入や異物による凸状欠陥の発生を抑制し、・・・(略)・・・薄板ガラス積層体、および該薄板ガラス積層体を用いた表示装置を製造する方法、ならびに、該薄板ガラス積層体用の剥離紙用シリコーンを提供することを目的とする」([0006])、「本発明の薄板ガラス積層体は、柔軟性を有するシリコーン樹脂層を介して薄板ガラス基板と支持ガラス基板とが積層されているため、積層時に気泡が混入しにくく、また気泡が混入した場合でも、ロールまたはプレス等を用いて圧着することにより、容易に該気泡を除去しうるという利点がある。特に、薄板ガラス基板と支持ガラス基板との積層を真空ラミネート法または真空プレス法を用いて実施した場合、気泡の混入が抑制され、密着性も良好である。また、薄板ガラス基板と支持ガラス基板との積層を真空ラミネート法または真空プレス法を用いて実施した場合、微少な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、薄板ガラス基板の凸状欠陥につながりにくいという利点もある。また、塵介等の異物が積層界面に混入した場合でも柔軟性を有するシリコーン樹脂層が変形することにより薄板ガラス積層体の凸状欠陥につながりにくいという利点も有する」([0013])、「支持ガラス基板のシリコーン樹脂層形成面に薄板ガラス基板を積層させる際には、薄板ガラス基板の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが必要である。極微小な異物であれば、柔軟性を有するシリコーン樹脂層が変形することによりシリコーン樹脂層に吸収され積層後の薄板ガラス基板表面の平坦性に影響を与えることはないが、その量や大きさによっては積層後の薄板ガラス基板表面の凸状欠陥につながる可能性があるからである」([0043])と記載されているように、引用例1には、薄板ガラス基板と支持ガラス基板との積層時に、薄板ガラス基板表面への異物の混入を防ぐために、薄板ガラス基板の表面を十分に洗浄することが示されている。
また、引用発明の「所望の大きさのセルに分断する工程」や「液晶を注入しその後注入口を封止する工程」では、塵芥等の異物が発生して薄板ガラス基板の表面に付着するおそれがあることは、当業者にとって技術常識である。
そうすると、引用発明において、「偏光板を貼付する工程」の前に、「薄板ガラス基板」の偏光板の貼り付け面に塵芥等の異物が付着しているおそれがあり、また、「薄板ガラス基板」と「偏光板」との間に塵芥等の異物が混入すると表示不良が生じるという問題が発生することは技術常識であるから、引用発明の「偏光板を貼付する工程」の前に、「必要とされる所望の工程」の1つとして、塵芥等の異物を十分に洗浄する工程を設けて、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

上記相違点については以上のとおりであり、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明、引用例に記載された技術事項及び技術常識から当業者が予測できる範囲内のものと認められる。
よって、本願発明は、引用発明、引用例に記載された技術事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例に記載された技術事項及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-03 
結審通知日 2015-03-10 
審決日 2015-03-25 
出願番号 特願2011-505975(P2011-505975)
審決分類 P 1 8・ 573- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野 博之  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 伊藤 昌哉
土屋 知久
発明の名称 電子デバイスの製造方法  
代理人 竹本 洋一  
代理人 渡辺 望稔  
代理人 三和 晴子  
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