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審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1300869
審判番号 不服2014-3767  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-07 
確定日 2015-05-11 
事件の表示 特願2009-206405「新聞古紙の回収再生管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月24日出願公開、特開2011- 40022〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成21年8月18日の出願であって,平成24年12月20日付けの拒絶理由通知に対して,平成25年3月7日付けで期間延長請求書が提出されたが,その後,前記拒絶理由通知に対して何らの応答もなかったので,平成25年11月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対して平成26年2月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成26年2月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年2月7日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業に携わる新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等の事業者は,それぞれ,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する端末装置を備え,また,新聞古紙の回収から再生紙の生産する過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,それぞれの費用の支払いをするために,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置を設置した管理センターを通して,新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定することによって,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図るために,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報の送受信・表示等をインターネットを介して行うことを特徴とする新聞古紙回収再生管理システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等は,新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業において,新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図るために,業務提携契約を締結することによって,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする管理センターを設置し,また,これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する端末装置と,管理センターが新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置をもって構成し,また,これらの事業者の端末装置と管理センターの中央演算装置において,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報の送受信・表示等がインターネットを介してなされ,また,管理センターの中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し,これらの事業者の端末装置からインターネットを介して送信される,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報に対応することを特徴とする新聞古紙の回収再生管理システム。」

2 補正の適否について
(1)「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものか否かについて
補正前の請求項1において,「管理センターの中央演算装置」は,「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し」ているのに対して,補正後の請求項1の「中央演算装置」は,そのような「手段を具備」することが特定されていないから,本件補正は,「中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し」との発明特定事項を削除する補正事項(以下,「補正事項1」という。)を含むものである。
そして,上記補正事項1は,補正前の請求項1の「中央演算装置」に係る発明特定事項を削除することによって,「中央演算装置」の概念を拡張し,その結果,特許請求の範囲を拡張するものである。
してみれば,補正事項1は,特許法第17条の2第5項第2号に規定される「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではない。

(2)「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものか否かについて
審判請求人は審判請求書(第2頁第6行)において,「拒絶理由の趣旨に従って,本願発明を補正する。」と記載しているので,上記補正事項1が,拒絶理由の理由B(特許法第29条第1項柱書違反)に対応してなされた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものであるかについて検討する。

平成24年12月20日付けの拒絶理由通知には,「理由B」について次のとおり記載されている。
『B.この出願の下記の請求項に記載されたものは,下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。

請求項1に記載されたものは,コンピュータを使用していると認められるものの,「これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する端末装置」,「新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置」,「これらの事業者の端末装置と管理センターの中央演算装置において,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報の送受信・表示等がインターネットを介してなされ,また,管理センターの中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備」するといったコンピュータ通常有する機能を特定したものに過ぎず,コンピュータが果たすべき業務上の機能を単に特定するに留まるものであり,その業務上の機能を果たすために,コンピュータのハードウエア資源をどのようにして用いて具体的に実現された技術的手段であるのかを特定するものではないので,「自然法則を利用した技術的思想の創作」とは言えない。(以下省略)』

上記によれば,拒絶理由通知の[理由B]においては,『請求項1に記載されたものは,コンピュータを使用していると認められるものの,・・・コンピュータが果たすべき業務上の機能を単に特定するに留まるものであり,その業務上の機能を果たすために,コンピュータのハードウエア資源をどのようにして用いて具体的に実現された技術的手段であるのかを特定するものではないので,「自然法則を利用した技術的思想の創作」とは言えない』ことが指摘されていたのであって,「中央演算装置」が「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し」ていることについて,不明りょうである等の指摘をしたものではない。
また,上記補正事項1によって,補正前の「中央演算装置」の構成が明りょうにされたものとも認められない。
してみれば,補正事項1が,「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項」について,「明りょうでない記載の釈明」を目的としてなされたものであるということはできない。
したがって,補正事項1は特許法第17条の2第5項第4号に規定される「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものではない。

(3)また,上記補正事項1は,特許法第17条の2第5項第1号に規定される「請求項の削除」,及び同項第3号に規定される「誤記の訂正」のいずれを目的とするものとも認められない。

(4)以上のことから,補正事項1を含む本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
平成26年2月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等は,新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業において,新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図るために,業務提携契約を締結することによって,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする管理センターを設置し,また,これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する端末装置と,管理センターが新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置をもって構成し,また,これらの事業者の端末装置と管理センターの中央演算装置において,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報の送受信・表示等がインターネットを介してなされ,また,管理センターの中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し,これらの事業者の端末装置からインターネットを介して送信される,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報に対応することを特徴とする新聞古紙の回収再生管理システム。」

第4 原査定の拒絶理由の概要
平成24年12月20日付けの拒絶理由通知の「理由B」の概要は,以下のとおりである。
『B.この出願の下記の請求項に記載されたものは,下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。

請求項1に記載されたものは,コンピュータを使用していると認められるものの,「これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する端末装置」,「新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置」,「これらの事業者の端末装置と管理センターの中央演算装置において,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報の送受信・表示等がインターネットを介してなされ,また,管理センターの中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備」するといったコンピュータ通常有する機能を特定したものに過ぎず,コンピュータが果たすべき業務上の機能を単に特定するに留まるものであり,その業務上の機能を果たすために,コンピュータのハードウエア資源をどのようにして用いて具体的に実現された技術的手段であるのかを特定するものではないので,「自然法則を利用した技術的思想の創作」とは言えない。
(特許庁ホームページに掲載されている「特許にならないビジネス関連発明の事例集」(http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/bijinesu/tt1303-090_jirei.htm),「ビジネス関連発明に対する判断事例集」(http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/bijinesu/biz_case_study.htm)等も参照されたい。)
なお,請求項1に記載された「新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等は,新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業において,新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図るために,業務提携契約を締結することによって,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする管理センターを設置し」が,人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)に当たるとき,(請求項に係る発明が,自然法則以外の法則(例えば,経済法則),人為的取決め(例えば,ゲームのルールそれ自体),数学上の公式,人間の精神活動に当たるとき,あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば,ビジネスを行う方法それ自体)は,その発明は,自然法則を利用したものとはいえず,「発明」に該当しない),全体として自然法則を利用したものであるとは認められず,「発明」に該当しない。』

第5 当審の判断
(1)特許法第2条第1項には,「この法律で「発明」とは,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規定され,同法第29条第1項柱書には,「産業上利用することができる発明をしたものは,次に掲げる発明を除き,その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。
したがって,請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは,その発明は特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしておらず,特許を受けることができない。
また,『審査基準 第II部 第1章 1.1発明に該当しないものの類型 (4)自然法則を利用していないもの』には,
『請求項に係る発明が,自然法則以外の法則(例えば,経済法則),人為的な取決め(例えば,ゲームのルールそれ自体),数学上の公式,人間の精神活動に当たるとき,あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば,ビジネスを行う方法それ自体)は,その発明は,自然法則を利用したものとはいえず,「発明」に該当しない。逆に,発明を特定するための事項に自然法則を利用していない部分があっても,請求項に係る発明が全体として自然法則を利用していると判断されるときは,その発明は,自然法則を利用したものとなる。以上のように,どのような場合に,全体として自然法則を利用したものとなるかは,技術の特性を考慮して判断する。
(留意事項)
ビジネスを行う方法やゲームを行う方法に関連する発明は,物品,器具,装置,システムなどを利用している部分があっても,全体として自然法則を利用しない場合があるので,慎重に検討する必要がある。なお,ビジネスを行う方法やゲームを行う方法という観点ではなく,ビジネス用コンピュータ・ソフトウエアやゲーム用コンピュータ・ソフトウエアという観点から発明すれば,「発明」に該当する可能性がある。(コンピュータ・ソフトウエア関連発明における判断については,「第VII部 第1章 コンピュータ・ソフトウエア関連発明」2.2参照)』
と記載されている。

(2)そこで,本願発明が特許法第2条第1項で規定する「発明」に該当するものであるのか,すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのかについて検討する。

本願発明の記載事項を便宜的に,以下のとおりに分けて検討する。

(a)「新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等は,新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業において,新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図るために,業務提携契約を締結することによって,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする管理センターを設置し,」

(b)「また,これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する端末装置と,管理センターが新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置をもって構成し,」

(c)「また,これらの事業者の端末装置と管理センターの中央演算装置において,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報の送受信・表示等がインターネットを介してなされ,」

(d)「また,管理センターの中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し,これらの事業者の端末装置からインターネットを介して送信される,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報に対応する」

(e)「ことを特徴とする新聞古紙の回収再生管理システム。」

(2-1)記載事項(a)について
本願が解決しようとする課題は,明細書の【0012】段落に「この発明が解決しようする問題点は,新聞紙・出版物等の印刷用紙を継続的かつ安定的に供給することによって,紙資源を有効的に活用するために,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,これに関する事業の効率化を図ることである。」と記載されているように,新聞古紙を回収,再生し,新聞紙・出版物等の印刷用紙を継続的かつ安定的に供給することによって,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,また,これに関する事業の効率化を図ることである。
しかしながら,「新聞古紙を回収,再生し,新聞紙・出版物等の印刷用紙を継続的かつ安定的に供給する」こと自体は人間の精神活動である事業として行われるものであって,これは「ビジネスを行う方法それ自体」に該当するものである。
また,「新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,また,これに関する事業の効率化を図る」との課題は,当該事業を運営する「人間」の「精神活動」によって解決されるものであって,自然法則を利用して解決されるものではない。

そこで,上記記載事項(a)について検討すると,上記記載事項(a)のうち,「新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等は,新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業において,新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図るために,業務提携契約を締結する」の記載事項は,業務提携契約の対象となる事業の内容が「新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業」であることを特定し,当該業務提携契約の目的が,「新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図る」ものであることを特定し,また,上記目的を達成するために,「新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等は,・・・業務提携契約を締結する」ことを特定するものである。
ここで,「新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等」は,「人」や「組織」を指すものであり,これらが互いに「業務提携契約を締結する」ことは,業務に関連する人為的な取り決め事項であって,何ら自然法則を利用しているものではない。
また,「新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業」は,事業の概略を記載したものであり,「新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し」は,当該事業において実行される業務内容であり,「新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図る」は,当該事業によって達成すべき課題であって,これらの記載にも何ら自然法則を利用したといえるものはない。
また,上記記載事項(a)のうち,「ことによって,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする管理センターを設置し」の記載事項において,「管理センター」は,「人」や「組織」を指すものであり,「新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする」は,この管理センターが行う業務内容そのものであるから,ここにも何ら自然法則を利用したといえるものはない。
してみれば,上記記載事項(a)は,自然法則を利用したものではない。

(2-2)記載事項(b)及び(e)について
上記記載事項(b)及び(e)は,本願発明の「新聞古紙の回収再生管理システム」を,「・・・端末装置と,・・・中央演算装置をもって構成」することを特定し,かつ,当該端末装置が,「これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する」ことと,中央演算装置が,「管理センターが新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する」こととを特定するものである。
ここで,「端末装置」や「中央演算装置」は,一応ハードウエアであるコンピュータ装置であると認められ,これらの装置自体は,自然法則を利用したものであるということはできるが,「端末装置」の機能をみると,「これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する」というものであるから,「端末装置」は,(「人」や「組織」である)事業者が,(「人」や「組織」である)管理センターと情報伝達を行うための道具として利用されているにすぎないものである。
また,「中央演算装置」の機能も,「管理センターが新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する」というものであるから,「中央演算装置」は,(「人」や「組織」である)管理センターが,(「人」や「組織」である)事業者と情報伝達を行うための道具として利用されているにすぎないものである。

(2-3)記載事項(c)について
上記記載事項(c)は,「これらの事業者の端末装置と管理センターの中央演算装置において,・・・情報の送受信・表示等がインターネットを介してなされ」ることを特定するとともに,当該送受信・表示される情報が「新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する」ものであることを特定するものである。
ここで,「端末装置」と「中央演算装置」との間における「情報の送受信・表示等」が「インターネット」というコンピュータネットワークを「介してなされ」る点も,(「人」や「組織」である)管理センターと,(「人」や「組織」である)事業者との間での情報伝達のための道具として利用されているにすぎないものである。

(2-4)記載事項(d)について
上記記載事項(d)は,「管理センターの中央演算装置」が「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備」することを特定しているが,「中央演算装置」が具備する「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段」は,その機能や内容について具体的な特定はなく,単にコンピュータが通常有する機能を列挙している程度のものと認められる。
してみれば,「管理センターの中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し」との記載は,「中央演算装置」が「コンピュータ」であることを特定しているにすぎないものである。
また,「これらの事業者の端末装置からインターネットを介して送信される,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報に対応する」の記載における,「端末装置」や「インターネット」は,「新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報」を(「人」や「組織」である)事業者から「送信する」ための道具として利用されているにすぎないものである。

(2-5)記載事項(b)?(e)について
上記(2-2)乃至(2-4)のことから,上記記載事項(b)?(e)は,その一部に「端末装置」「中央演算装置」「インターネット」のような「コンピュータ」及び「コンピュータネットワーク」という装置(ハードウエア)を利用した構成が記載されてはいるものの,これらの「コンピュータ」や「コンピュータネットワーク」は,(「人」や「組織」である)管理センターが,(「人」や「組織」である)事業者と情報伝達を行うための道具として利用されているにすぎないものであり,回収再生管理システムの「新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする」ことは,管理センターが,コンピュータを情報伝達の道具として使用した業務を特定するものでしかなく,上記記載事項(b)?(e)は全体として自然法則を利用しているとはいえない。

(2-6)小括
以上(2-1)乃至(2-5)のことから,本願発明は,(「人」や「組織」である)管理センターと(「人」や「組織」である)事業者が,「端末装置」「中央演算装置」「インターネット」のような「コンピュータ」及び「コンピュータネットワーク」を単なる情報伝達の道具として使用して,(「人」や「組織」である)管理センターが「新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする」業務を行うという「社会的な仕組み(社会システム)」を特定したものであるから,自然法則を利用しているとはいえないものである。
したがって,本願発明は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるとはいえないものである。

(3)コンピュータ・ソフトウエア関連発明としての判断について
(3-1)本願発明は,上記のように,コンピュータを使用した「システム」であると一応認められるので,コンピュータ・ソフトウエア関連発明としても検討する。

コンピュータ・ソフトウエア関連発明については,審査基準の『第VII部 第1章 コンピュータ・ソフトウエア関連発明 2.2「発明」であること』に,以下のように記載されている。
『2.2.1 基本的な考え方
ソフトウエア関連発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」となる基本的考え方は以下のとおり。
(1)「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合,当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。(「3. 事例」の事例2-1?2-5 参照)
(説明)
「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」とは,ソフトウエアがコンピュータに読み込まれることにより,ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって,使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより,使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されることをいう。
そして,上記使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法は「自然法則を利用した技術的思想の創作」ということができるから,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合には,当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。』

(3-2)そこで,本願発明が,上記ソフトウエア関連発明として「自然法則を利用した技術的思想の創作」となるか,すなわち「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものであるかを検討する。

ア 本願発明の上記記載事項(a)は,「新聞社・新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等は,新聞古紙の回収から再生紙の生産に至る事業において,新聞古紙あるいは再生紙を取扱する数量を把握し,かつ,これに起因する費用を設定し,新聞古紙の回収及び再生の割合を向上させ,かつ,金銭授受に伴う事務の効率化を図るために,業務提携契約を締結することによって,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等が新聞古紙の回収から再生紙の生産をする過程を管理し,この再生紙を新聞紙・出版物等の印刷用紙として新聞社に供給し,かつ,新聞社から支払を受けた代金を基礎として,新聞販売店・古紙回収業者・古紙問屋・製紙メーカー等にそれぞれの費用の支払をする管理センターを設置し,」というものであり,ここにはコンピュータ及びその情報処理に関する記載は全く無いから,上記記載事項(a)は,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではない。

イ 本願発明の上記記載事項(b)の「これらの事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する端末装置」は,端末装置(コンピュータ)の機能が,「事業者が新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報を入力・送受信・表示する」ものであると特定しているだけであり,「情報を入力・送受信・表示する機能」は,端末装置(コンピュータ)であれば普通に有している機能であって,回収再生管理システムの動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものではないから,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

ウ 本願発明の上記記載事項(b)の「管理センターが新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置」は,中央演算装置(コンピュータ)の機能が「管理センターが新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報を受容・登録・格納し,かつ,これらの事業者の端末装置に送信する」ものであると特定しているだけであり,「情報を受容・登録・格納する機能」や「情報を送信する機能」は,中央演算装置(コンピュータ)であれば普通に有している機能であって,回収再生管理システムの動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものではないから,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

エ 本願発明の上記記載事項(c)の「これらの事業者の端末装置と管理センターの中央演算装置において,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報の送受信・表示等がインターネットを介してなされ」は,単に伝達される情報が「新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量及びこれに起因する費用に関する情報」であることや,これらの情報が表示されることを特定したにすぎないし,端末装置と中央演算装置の間の通信が「インターネット」という通信媒体を介して実行されることを特定しているだけで,回収再生管理システムの動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものではないから,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

オ 本願発明の上記記載事項(d)の「管理センターの中央演算装置は,通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段を具備し」は,中央演算装置が具備する機能手段を特定しているものの,それらが実行する具体的な情報処理については何も記載されておらず,また,回収再生管理システムの動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものでもないことから,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

カ 本願発明の上記記載事項(d)の「これらの事業者の端末装置からインターネットを介して送信される,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報に対応する」は,「対応する」動作の主体が不明であり,例えば,管理センターという人や組織が,中央演算装置の具備する「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段」を用いて,「対応する」とも読める記載であり,この場合,対応する動作の主体は「人や組織」であるから,「対応する」処理は,「ソフトウエアによる情報処理」ではない。
また,仮に,中央演算装置の具備する「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段」が「対応する」と解釈したとしても,「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段」の各手段がそれぞれどのような情報処理を行うのかについては具体的に何も特定されていないことから,「これらの事業者の端末装置からインターネットを介して送信される,新聞古紙あるいは再生紙の取扱数量に関する情報に対応する」との記載のみで,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

キ 本願発明の上記記載事項(e)の「新聞古紙の回収再生管理システム」は,システムが実行する業務の概略を特定しているだけであり,何らの情報処理も記載されていないことから,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

(3-3)小括
以上のとおりであるから,本願発明がコンピュータ・ソフトウエア関連発明であるとしても,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではないから,自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえないものである。

(4)まとめ
上記(2)及び(3)で述べたとおり,本願発明は自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえず,特許法第2条でいう「発明」に該当しないものである。
よって,本願発明は特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。

第6 むすび
上記「第5」で述べたとおり,本願発明は,自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえず,特許法第2条でいう「発明」に該当しないので,特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができないものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-04 
結審通知日 2015-03-10 
審決日 2015-03-23 
出願番号 特願2009-206405(P2009-206405)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (G06Q)
P 1 8・ 1- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 裕子貝塚 涼  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 須田 勝巳
石川 正二
発明の名称 新聞古紙の回収再生管理システム  
代理人 小島 庸和  
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