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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1300887
審判番号 不服2013-23902  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-05 
確定日 2015-05-14 
事件の表示 特願2011-114481号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成23年9月22日出願公開、特開2011-183183号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成13年3月8日に出願した特願2001-65337号の一部を平成20年2月18日に新たな特許出願(特願2008-36219号)とし、その一部を平成22年9月15日に新たな特許出願(特願2010-206268号)とし、さらに、その一部を平成23年5月23日に新たな特許出願(特願2011-114481号)としたものであって、平成24年8月31日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月5日に意見書及び手続補正書が提出され、平成25年4月2日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月5日付けで、同年6月5日に提出された手続補正書でした補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年9月10日)、それに対し、同年12月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正書が提出され、当審にてさらに、平成26年12月2日付けで拒絶理由を通知したところ、平成27年1月30日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年1月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「複数種類の識別情報を変動表示可能な変動表示装置と、遊技に関する制御を統括的に行う遊技制御手段と、前記変動表示装置の表示制御を行う表示制御手段と、を備え、
前記変動表示装置に特定の停止態様を導出した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技機において、
前記遊技制御手段は、
所定領域を通過する遊技球を検出する始動センサからの検出信号の入力を契機として、前記表示制御手段に記憶されている複数の演出情報群の中から一つの演出情報群を指定する演出情報群指定指令を前記表示制御手段に送出する演出情報群指定手段を備え、
停止態様情報を前記表示制御手段に送出し、
複数種類の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを1回行うために、前記演出情報群指定指令と、前記停止態様情報と、をそれぞれ1回だけ送信し、
前記表示制御手段は、
複数種類の演出情報を格納記憶する演出情報格納記憶手段と、
前記演出情報群指定手段からの演出情報群指定指令によって指定された演出情報群に割り当てられた演出情報の中から一つの演出情報を選択する演出情報選択手段と、
前記演出情報選択手段により選択された演出情報に基づいて決定された変動パターンに従って、前記変動表示装置の表示制御を行う変動表示動作制御手段と、
を備え、
前記演出情報選択手段によって選択される演出情報には、キャラクタが出現するリーチ演出情報が含まれ、各リーチ演出情報に設定される信頼度を変更可能であり、信頼度の変更を行う際に新たなキャラクタが出現するリーチ演出情報を含めて信頼度の変更を行うことが可能であることを特徴とする遊技機。」

3 刊行物の記載
当審における拒絶の理由に引用された特開2000-262694号公報(以下「刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、
遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段と、
を備え、
前記遊技制御手段は、大当りとするか否かを決定する大当り決定手段と、前記可変表示部の表示内容を決定する表示内容決定手段と、識別情報の変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部の表示状態を変化させるためのコマンドを前記表示制御手段に出力するコマンド出力手段とを含み、
前記遊技制御手段は、表示内容決定手段の決定にもとづいて、少なくとも所定期間内の変動時間を特定しうる可変表示パターンを特定可能な情報と停止識別情報を特定可能な情報とを前記所定期間内の変動を開始するのに関連した所定の時期に出力可能であり、全ての識別情報を確定させるのに関連した時期に停止識別情報とは異なる情報であって前記識別情報の確定を示す情報を送出可能であり、
前記表示制御手段は、前記遊技制御手段から情報を受信し、受信した情報に応じて、リーチ動作中に用いるリーチ態様の種類を、複数のリーチ態様のうちから決定するリーチ態様決定手段を含むことを特徴とする遊技機。」

イ 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、可変表示装置における表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機に関する。」

ウ 「【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の遊技機では、遊技制御手段によって変動中の識別情報の表示位置が決定されるので、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担が大きく、遊技制御手段において、他の遊技制御のために費やすことができる処理時間が制限されるという課題がある。特に、表示による遊技演出を豊富にしようとすると、遊技制御手段の負荷は非常に大きくなってしまう。そのような課題を解決するには、例えば、遊技制御手段が表示制御手段に識別情報の速度変化時点(変動開始および変動停止を含む)送信し、表示制御手段が受信した速度に応じて識別情報の表示位置を決定することが考えられる。しかし、そのような識別情報変動制御によっても、1回の変動中に何回も遊技制御手段から表示制御手段にコマンドが送信されるので、やはり、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担は大きい。
【0008】そこで、本発明は、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担をさらに軽くして、遊技制御手段が本来の遊技制御にかけられる時間を増やすことができる遊技機を提供することを目的とする。」

エ 「【0036】図5は、表示制御基板80内の回路構成を、可変表示部9の一実現例であるCRT82および主基板31の出力バッファ回路(出力ドライバ)63とともに示すブロック図である。表示制御用CPU101は、制御データROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31から入力バッファ回路105における入力バッファ105aを介してストローブ信号が入力されると、入力バッファ105aを介して表示制御コマンドを受信する。なお、主基板31の出力バッファ回路63は、基本回路53の出力ポートから信号を入力して主基板31から出力する回路であるが、片方向(主基板31から表示制御基板80に向かう方向)にしか信号を伝えない。
【0037】そして、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D-A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。
【0038】なお、図5には、VDP103をリセットするためのリセット回路83、VDP103に動作クロックを与えるための発振回路85、および使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86も示されている。キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。」

オ 「【0061】なお、ステップS57において決定されるリーチ種類は、リーチ時の図柄の可変表示期間を示すものである。後で詳しく説明するが、この実施の形態では、リーチ時には、19.5秒、24.5秒および29.5秒のうちのいずれかの可変表示期間が用いられる。従って、ステップS57では、抽出されたランダム5の値に応じて、3種類の期間のうちのいずれかが決定される。そして、表示制御手段が、各可変表示時間のそれぞれについて複数用意されているリーチ種類の中から使用するものを決定する。すなわち、遊技制御手段では、大まかなリーチ種類が決定される。」

カ 「【0073】上述したように、始動入賞口14に打球が入賞すると、基本回路53は、ステップS11(図6参照)の特別図柄プロセス処理において、大当たりとするかはずれとするか、停止図柄および可変表示期間を決定するが、その決定に応じた表示制御コマンドを表示制御基板80の表示制御用CPU101に与える。表示制御用CPU101は、主基板31からの表示制御コマンドに応じて可変表示部9の表示制御を行う。」

キ 「【0079】表示制御基板80における表示制御用CPU101は、主基板31から表示制御コマンドを受信すると、各変動パターンにおいてあらかじめ決められている背景やキャラクタを画面上で移動表示する制御を行う。なお、あらかじめ決められているタイミングで背景やキャラクタの切替も行われるが、それらも表示制御用CPU101が独自に制御する。」

ク 「【0087】以下、図22?図27を参照して図柄の変動パターンの例について説明する。図22は、各変動パターンを構成するパターン(変動状態)を示す説明図である。図23は、リーチとしないはずれ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。また、図24?図27は、リーチ時(大当りの場合および大当りとしない場合)の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。また、コマンドA0は、変動の開始から確定までを示すものである。
・・・
【0095】図24は、主基板31から変動時間として19.5秒(リーチ短期間)が通知されたときに表示される変動パターンの例を示す。表示制御用CPU101は、リーチ短期間が通知されると、19.5秒の複数の変動パターンのうちの何れの変動パターンを用いるのかを独自に決定する。図24には、複数の変動パターンとして(A)?(C)の3パターンが例示されている。なお、主基板31のCPU56がリーチ種類を決定し、決定したリーチ種類に応じた変動パターンを示すコマンドを送るようにしてもよい。
・・・
【0125】そして、(A)の変動パターンを用いることに決定した場合には、左右図柄が停止してリーチ状態になると背景画面を「閃光」に切り替えることに決定する。また、(B)の変動パターンを用いることに決定した場合には、左右図柄が停止してリーチ状態になると背景画面を「オーラ」に切り替えることに決定する。(C)の変動パターンを用いることに決定した場合には、リーチ状態になると背景画面を「煙」に切り替えることに決定する。」

ケ 「【0126】以下、上述した表示例を実現するための遊技制御手段および表示制御手段の制御について説明する。図28は、図11に示された特別図柄プロセス処理における全図柄変動開始待ち(ステップS304)の処理を示すフローチャートである。ステップS302,S303の停止図柄設定処理およびリーチ動作設定処理において変動時間と停止図柄が決定されると、それらを指示するための表示制御コマンドの送出制御が行われるのであるが、ステップS304では、CPU56は、まず、コマンドの送出完了を待つ(ステップS304a)。なお、コマンド送出完了は、メイン処理(図6参照)中の表示制御データ出力処理(ステップS5)から通知される。
【0127】この実施の形態では、CPU56は、図柄の変動を開始させるときに、図16に示された変動時間を特定可能なコマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれかを表示制御基板80に送出する。また、続けて、既に決定されている左右中の停止図柄を示す表示制御コマンドを表示制御基板80に送出する。よって、ステップS304aのコマンド送信完了処理では、それら全てのコマンドの送出が完了したか否か確認される。なお、CPU56は、左右中の停止図柄を示す表示制御コマンドを送出してからコマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれかを送出してもよい。」

コ 「【0138】図33は、表示制御用CPU101が扱う表示用乱数を示す説明図である。図33に示すように、この実施の形態では、表示用乱数として、リーチ種類決定用乱数、リーチ予告用乱数および大当り予告用乱数がある。リーチ種類決定用乱数は変動パターン(リーチ種類)を決定するためのものである。リーチ予告用乱数はリーチ予告を行うか否か決定するためのものであり、大当り予告用乱数は大当り予告を行うか否か決定するためのものである。
【0139】図34は、抽出されたリーチ種類決定用乱数値とリーチ種類との関係(図34(A))、抽出されたリーチ予告用乱数とリーチ予告との関係(図34(B))、抽出された大当り予告用乱数と大当り予告との関係(図34(C))を示す説明図である。
【0140】図34(A)において、A,B,Cは、図24?図27における(A),(B),(C)に対応している。すなわち、抽出されたリーチ種類決定用乱数の値が上段に示される値であれば、表示用CPU101は、下段に示された変動パターンで図柄の変動を行うことに決定する。例えば、主基板31から変動時間として29.5秒(リーチ長期間)が通知され、抽出したリーチ種類決定用乱数の値が21であり、大当りとする場合には、図27(C)に示された変動パターンで変動を行うことに決定する。なお、大当りとするか否かは、変動時間を指定する表示制御コマンドともに送出された左右中図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドにもとづいて判定される。」

サ 「【0192】上記の実施の形態では、各変動パターンに応じて、用いられる背景およびキャラクタがあらかじめ決まっていた(図24?図27参照)。従って、表示制御用CPU101が、受信した表示制御コマンドに応じて変動パターン(リーチ種類)を決定するということは、表示される背景およびキャラクタを、それぞれ複数種類のうちから選択する処理も行われたことになる。しかし、背景およびキャラクタを変動パターンとは独立に決定するようにしてもよい。また、上記の実施の形態では、どの変動パターンにおいてもキャラクタが表示されたが、ある変動パターンではキャラクタを登場させなかったり、途中から登場させるようにしてもよい。

シ 「【0198】また、上記の各実施の形態では、遊技制御手段すなわち主基板31のCPU56は、大まかなリーチ種類(短期間、中期間または長期間)を決定し、変動時間を特定可能な情報として1回の変動期間全体を示す情報を表示制御基板に送信した。そして、表示制御手段の側で大まかな各リーチ種類のそれぞれに対して複数あるリーチ種類のうちから1つを選択するように構成したが、遊技制御手段がリーチとすることのみを表示制御手段に通知し、表示制御手段が多数のリーチ種類の中から使用するリーチ種類を決定するように構成してもよい。」

ス 上記ク、コの記載事項及び【図34】「(A)リーチ態様」の図示内容から、刊行物には、各可変表示期間において、変動パターン(C)は、大当り時に決定されやすいが、変動パターン(A)は、はずれ時に決定されやすいことが開示されている。

セ 上記ケの記載事項、及び、例えば、【図23】(A)に図柄を1回変動させるためにコマンドA0とコマンドド停止図柄をそれぞれ1回送出することが図示されている(【図23】(A)?【図27】も同様である。)ことから、刊行物には、1回の図柄の変動を開始させるときに変動時間を特定可能なコマンドのいずれか(A0、A2、B1、B2、B3)を表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出し、続けて、既に決定されている停止図柄を示す表示制御コマンドを表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出することが開示されている。

上記ア?シの記載事項及び上記ス?セの認定事項を総合すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物発明」という。)。
「表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部と、遊技の進行を制御する遊技制御手段(主基板31)と、可変表示部の表示制御を行う表示制御手段(表示制御基板80)とを備え、
識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、
遊技制御手段(主基板31)は、
始動入賞口14に打球が入賞することにより変動開始の条件が成立すると、リーチ時の図柄の可変表示期間を示す、複数の大まかなリーチ種類(短期間、中期間または長期間)のうち、いずれの可変表示期間を用いるのかを決定すると共に、停止図柄等を決定する表示内容決定手段を備え、
1回の図柄の変動を開始させるときに変動時間を特定可能なコマンドのいずれかを表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出し、続けて、既に決定されている停止図柄を示す表示制御コマンドを表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出し、
表示制御手段(表示制御基板80)は、
遊技制御手段(主基板31)から受信した複数の可変表示期間のそれぞれに対応して、複数のリーチ種類(変動パターン)から1つのリーチ種類(変動パターン)を選択するリーチ態様決定手段を含み、
リーチ態様決定手段により選択された1つのリーチ種類(変動パターン)を用いて、表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、
表示制御手段(表示制御基板80)が、受信した表示制御コマンドに応じてリーチ種類(変動パターン)を決定するということは、表示されるキャラクタを複数種類のうちから選択する処理も行われたことになり、
変動パターン(C)は、大当り時に決定されやすいが、変動パターン(A)は、はずれ時に決定されやすい遊技機。」

4 対比
刊行物発明と本願発明とを対比する(以下、「刊行物発明」、「本願発明」を、それぞれ「前者」、「後者」と、「前者」と「後者」をまとめて「両者」という。)。

ア 前者における「表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部」は、表示領域に識別情報の変動が表示されることから、後者における「複数種類の識別情報を変動表示可能な変動表示装置」に相当する。

イ 前者における「遊技の進行を制御する遊技制御手段(主基板31)」、「可変表示部の表示制御を行う表示制御手段(表示制御基板80)」、「識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として遊技者に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機」は、それぞれ、後者における「遊技に関する制御を統括的に行う遊技制御手段」、「変動表示装置の表示制御を行う表示制御手段」、「変動表示装置に特定の停止態様を導出した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技機」に相当する。

ウ 前者における「始動入賞口14に打球が入賞することにより変動開始の条件が成立する」ことは、後者における「所定領域を通過する遊技球を検出する始動センサからの検出信号の入力を契機と」することに相当する。

エ 前者における「遊技制御手段(主基板31)は、」「リーチ時の図柄の可変表示期間を示す、複数の大まかなリーチ種類(短期間、中期間または長期間)のうち、いずれの可変表示期間を用いるのかを決定する」「表示内容決定手段を備え、1回の図柄の変動を開始させるときに変動時間を特定可能なコマンドのいずれかを表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出」することについて検討する。
「リーチ時の図柄の可変表示期間を示す、複数の大まかなリーチ種類(短期間、中期間または長期間)」の各々には、複数の変動パターンが対応付けられていることから、「複数の大まかなリーチ種類(短期間、中期間または長期間)」の各々は、複数の変動パターンからなる変動パターンの群を構成しているといえる。
そして、「複数の大まかなリーチ種類(短期間、中期間または長期間)」は、「変動時間を特定可能なコマンド」の指令内容を特定するものである。
また、刊行物発明の表示制御手段(表示制御基板80)は、複数の可変表示期間のそれぞれに対応して、複数のリーチ種類(変動パターン)から1つのリーチ種類(変動パターン)を選択するリーチ態様決定手段を含むものである。
さらに、刊行物には、表示制御手段が、制御データROM102に格納されたプログラム、及び使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86を用いることが記載されている(「前記3 エ」を参照。)。
したがって、刊行物発明において、複数のリーチ種類(変動パターン)のうちから1つのリーチ種類を選択するに際して、制御データROM102、キャラクタROM86と同様に、表示制御手段に複数の可変表示期間及び複数のリーチ種類(変動パターン)を記憶させることは、当業者にとって自明である。
ゆえに、前者における「遊技制御手段(主基板31)」は、後者における「表示制御手段に記憶されている複数の演出情報群の中から一つの演出情報群を指定する演出情報群指定指令を表示制御手段に送出する演出情報群指定手段」に相当する構成を具備するものである。

オ 前者における「停止図柄等を決定する表示内容決定手段を備え」「既に決定されている停止図柄を示す表示制御コマンドを表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出」することは、後者における「停止態様情報を表示制御手段に送出」することに相当する。

カ 前者における「1回の図柄の変動を開始させるときに変動時間を特定可能なコマンドのいずれかを表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出し、続けて、既に決定されている停止図柄を示す表示制御コマンドを表示制御手段(表示制御基板80)に1回送出」することは、後者における「複数種類の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを1回行うために、演出情報群指定指令と、停止態様情報と、をそれぞれ1回だけ送信」することに相当する。

キ 前者における「複数のリーチ種類(変動パターン)」について検討する。
刊行物発明において、複数のリーチ種類(変動パターン)のうちから1つのリーチ種類が選択されるものである。また、刊行物には、表示制御手段が、制御データROM102に格納されたプログラム、及び使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86を用いることが記載されている(「前記3 エ」を参照。)。
したがって、上記エにおいて検討したように、表示制御手段に複数のリーチ種類(変動パターン)を記憶させることは、当業者にとって自明である。
ゆえに、前者における「表示制御手段(表示制御基板80)」は、後者における「複数種類の演出情報を格納記憶する演出情報格納記憶手段」に相当する構成を具備するものである。

ク 前者における「遊技制御手段(主基板31)から受信した複数の可変表示期間のそれぞれに対応して、複数のリーチ種類(変動パターン)から1つのリーチ種類(変動パターン)を選択するリーチ態様決定手段」は、後者における「演出情報群指定手段からの演出情報群指定指令によって指定された演出情報群に割り当てられた演出情報の中から一つの演出情報を選択する演出情報選択手段」に相当する。

ケ 前者における「リーチ態様決定手段により選択された1つのリーチ種類(変動パターン)を用いて、表示領域に表示される識別情報の変動を開始」することは、後者における「演出情報選択手段により選択された演出情報に基づいて決定された変動パターンに従って、変動表示装置の表示制御を行う」ことに相当する。

コ 前者における「表示制御手段(表示制御基板80)が、受信した表示制御コマンドに応じてリーチ種類(変動パターン)を決定するということは、表示されるキャラクタを複数種類のうちから選択する処理も行われたことになる」ことは、変動パターンにはキャラクタが出現することから、後者における「演出情報選択手段によって選択される演出情報には、キャラクタが出現するリーチ演出情報が含まれ」ることに相当する。

サ 前者における「変動パターン(C)は、大当り時に決定されやすいが、変動パターン(A)は、はずれ時に決定されやすい」ことと、後者における「各リーチ演出情報に設定される信頼度を変更可能であ」ることとを対比する。
前者において、「変動パターン(C)」は、大当り時に決定されやすいことから大当りの信頼度が高く、「変動パターン(A)」は、はずれ時に決定されやすいことから大当りの信頼度が低いといえる。
したがって、両者は、「各リーチ演出情報に信頼度が設定される」ことで共通する。

シ 上記アからサより、本願発明と刊行物発明とは、
「複数種類の識別情報を変動表示可能な変動表示装置と、遊技に関する制御を統括的に行う遊技制御手段と、前記変動表示装置の表示制御を行う表示制御手段と、を備え、
前記変動表示装置に特定の停止態様を導出した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技機において、
前記遊技制御手段は、
所定領域を通過する遊技球を検出する始動センサからの検出信号の入力を契機として、前記表示制御手段に記憶されている複数の演出情報群の中から一つの演出情報群を指定する演出情報群指定指令を前記表示制御手段に送出する演出情報群指定手段を備え、
停止態様情報を前記表示制御手段に送出し、
複数種類の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを1回行うために、前記演出情報群指定指令と、前記停止態様情報と、をそれぞれ1回だけ送信し、
前記表示制御手段は、
複数種類の演出情報を格納記憶する演出情報格納記憶手段と、
前記演出情報群指定手段からの演出情報群指定指令によって指定された演出情報群に割り当てられた演出情報の中から一つの演出情報を選択する演出情報選択手段と、
前記演出情報選択手段により選択された演出情報に基づいて決定された変動パターンに従って、前記変動表示装置の表示制御を行う変動表示動作制御手段と、
を備え、
前記演出情報選択手段によって選択される演出情報には、キャラクタが出現するリーチ演出情報が含まれ、
各リーチ演出情報に信頼度が設定される遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
各リーチ演出情報に設定される信頼度に関して、本願発明は、各リーチ演出情報に設定される信頼度を変更可能であり、信頼度の変更を行う際に新たなキャラクタが出現するリーチ演出情報を含めて信頼度の変更を行うことが可能であるのに対して、刊行物発明は、各リーチ演出情報に信頼度が設定されているが、本願発明の上記構成を備えていない点。

5 当審の判断
ア 上記相違点について検討する。
パチンコ遊技機の技術分野において、演出に変化を与え、遊興性を高めるために、各リーチ演出情報に設定される信頼度を変更可能とすることは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、当審における平成26年12月2日付け拒絶の理由に刊行物2として引用された特開2000-210410号公報の【0005】、【0006】、【0028】?【0030】、【0060】【表2】には、リーチパターンとそれらのリーチ信頼度との組み合わせを変えることで多様性を持たせることが記載され、同じく、当審における平成26年12月2日付け拒絶の理由に刊行物3として引用された特開平11-235425号公報の【請求項1】、【0021】?【0029】には、リーチ状態から当たりが表示される確率である信頼度が複数種類のリーチアクションに応じて異なる弾球遊技機において、信頼度を変更設定する信頼度変更手段を設けたことが記載されている。以下「周知の技術事項1」という。)。
また、同じく、パチンコ遊技機の技術分野において、演出に変化を与え、遊興性を高めるために、リーチ演出情報に新たなキャラクタが出現するリーチ演出情報を含めることは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、特開2000-202102号公報の【請求項10】、【0030】には、演出図柄の表示態様を変化させるために、新規キャラクタ図柄を追加させることが記載され、特開平11-253622号公報の【0078】?【0079】には、発生した「リーチ」が「はずれリーチ」となるか否かを予告する際に、表示するキャラクタの変更等を随時可能としたことが記載されている。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、パチンコ遊技機の技術分野において、遊興性を高めることは自明の課題であり、刊行物発明においても内在された課題である。
また、刊行物発明は、変動パターンの決定に際し、表示されるキャラクタを、複数種類のキャラクタのうちから選択する処理を行うものである。
したがって、当業者が、刊行物発明に記載された信頼度が設定されている各リーチ演出情報に、遊興性を高めるために上記周知の技術事項1を適用して、各リーチ演出情報に設定された信頼度を変更可能とするとともに、その際に、上記周知の技術事項2に倣って、選択される複数種類のキャラクタに新たなキャラクタを含め、上記相違点に係る本願発明が具備する発明特定事項に到達することは適宜なし得た程度のことである。

イ 効果について
本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び周知の技術事項から予測し得る範囲内のものであって、格別のものではない。

ウ 小括
上記ア及びイにおいて検討したように、本願発明は、当業者が刊行物発明及び周知の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-16 
結審通知日 2015-03-17 
審決日 2015-03-31 
出願番号 特願2011-114481(P2011-114481)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 村松 貴士
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 荒船 良男  
代理人 特許業務法人光陽国際特許事務所  
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