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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1300889
審判番号 不服2014-1611  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-29 
確定日 2015-05-14 
事件の表示 特願2008-100210「営業支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月29日出願公開、特開2009-252008〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成20年4月8日の出願であって、平成25年1月11日付けの拒絶理由通知が通知され、平成25年3月25日付けで意見書、手続補正書が提出されたが平成25年10月24日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して、平成26年1月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.平成26年1月29日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成26年1月29日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成26年1月29日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成25年3月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の

(1-1)「【請求項1】
営業担当者の営業活動を支援する営業支援システムであって、
営業対象の顧客の情報を登録し、顧客情報データベースで管理する顧客情報管理手段と、
前記営業担当者の前記顧客に対する営業活動を支援する所定の機能を実行する営業支援機能実行手段と、を備え、
前記顧客情報管理手段は、登録された顧客のうち未だ取引が成立していない見込客の情報に対し、所定の見込客識別情報を付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、既定のスケジュールまたは所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される顧客のうち前記所定の見込客識別情報が付された前記見込客に対する営業活動を支援するように前記所定の機能を実行し、
前記顧客情報データベースに登録されている前記顧客の情報は、前記営業担当者が各々個別的に管理する情報であり、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客へ、前記営業担当者が作成した電子メールを配信する電子メール配信手段を有する、
営業支援システム。
【請求項2】
前記顧客情報管理手段は、前記見込客の情報に対し、該見込客をカテゴリに応じてセグメントするセグメント情報を更に付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客に対する営業活動を支援する前記所定の機能であって該見込客のセグメントに応じた前記所定の機能を、前記セグメント情報に基づいて実行するセグメント連携手段を有する、
請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記顧客情報管理手段は、前記見込客の情報に対し、該見込客と紹介者との関連性を示すカスタマツリー情報を更に付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客に対する営業活動を支援する前記所定の機能であって該見込客の紹介者に応じた前記所定の機能を、前記カスタマツリー情報に基づいて実行するカスタマツリー連携手段を有する、
請求項1または2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
前記営業支援機能実行手段は、前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースおよび営業ノウハウに関する情報が格納される営業情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客に応じた営業ノウハウを該営業担当者へ提示する営業ノウハウ提示手段を有する、
請求項1から3の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記顧客情報管理手段は、前記見込客の情報に対し、該見込客と紹介者との関連性を示すカスタマツリー情報を更に付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の情報を、前記カスタマツリー情報と共に該営業担当者へ提示するカスタマツリー提示手段を有する、
請求項1から4の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項6】
前記営業支援機能実行手段は、前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、前記顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の人数の情報を該営業担当者へ提示する人数情報提示手段を有する、
請求項1から5の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項7】
前記顧客情報管理手段は、前記顧客の記念日を含む情報を前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の記念日の情報を該営業担当者へ提示する記念日情報提示手段を有する、
請求項1から6の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項8】
前記顧客情報管理手段は、前記顧客の記念日を含む情報を前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客であって、現在の日付と該顧客の記念日とが一致する顧客へ記念日のお祝いに関する電子メールを配信する記念日メール配信手段を有する、
請求項1から7の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項9】
前記営業支援機能実行手段は、前記顧客へ送信した電子メールの開封実績の情報を前記顧客情報データベースに記録し、前記所定の操作を契機に該顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の電子メールの開封実績の情報を該営業担当者へ提示する開封実績提示手段を有する、
請求項1から8の何れか一項に記載の営業支援システム。」
とあったものを

(1-2)「【請求項1】
営業担当者の営業活動を支援する営業支援システムであって、
営業対象の顧客の情報を登録し、顧客情報データベースで管理する顧客情報管理手段と、
前記営業担当者の前記顧客に対する営業活動を支援する所定の機能を実行する営業支援機能実行手段と、を備え、
前記顧客情報管理手段は、登録された顧客のうち未だ取引が成立していない見込客の情報に対し、所定の見込客識別情報を付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、既定のスケジュールまたは所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される顧客のうち前記所定の見込客識別情報が付された前記見込客に対する営業活動を支援するように前記所定の機能を実行し、
前記顧客情報データベースに登録されている前記顧客の情報は、前記営業担当者が各々個別的に管理する情報であり、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客のうち特定の営業担当者が情報を管理する特定の見込客へ、前記特定の営業担当者が独自に作成した電子メールを配信する電子メール配信手段を有する、
営業支援システム。
【請求項2】
前記顧客情報管理手段は、前記見込客の情報に対し、該見込客をカテゴリに応じてセグメントするセグメント情報を更に付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客に対する営業活動を支援する前記所定の機能であって該見込客のセグメントに応じた前記所定の機能を、前記セグメント情報に基づいて実行するセグメント連携手段を有する、
請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記顧客情報管理手段は、前記見込客の情報に対し、該見込客と紹介者との関連性を示すカスタマツリー情報を更に付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客に対する営業活動を支援する前記所定の機能であって該見込客の紹介者に応じた前記所定の機能を、前記カスタマツリー情報に基づいて実行するカスタマツリー連携手段を有する、
請求項1または2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
前記営業支援機能実行手段は、前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースおよび営業ノウハウに関する情報が格納される営業情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客に応じた営業ノウハウを該営業担当者へ提示する営業ノウハウ提示手段を有する、
請求項1から3の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記顧客情報管理手段は、前記見込客の情報に対し、該見込客と紹介者との関連性を示すカスタマツリー情報を更に付して前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の情報を、前記カスタマツリー情報と共に該営業担当者へ提示するカスタマツリー提示手段を有する、
請求項1から4の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項6】
前記営業支援機能実行手段は、前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、前記顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の人数の情報を該営業担当者へ提示する人数情報提示手段を有する、
請求項1から5の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項7】
前記顧客情報管理手段は、前記顧客の記念日を含む情報を前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の記念日の情報を該営業担当者へ提示する記念日情報提示手段を有する、
請求項1から6の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項8】
前記顧客情報管理手段は、前記顧客の記念日を含む情報を前記顧客情報データベースで管理し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールまたは前記所定の操作を契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客であって、現在の日付と該顧客の記念日とが一致する顧客へ記念日のお祝いに関する電子メールを配信する記念日メール配信手段を有する、
請求項1から7の何れか一項に記載の営業支援システム。
【請求項9】
前記営業支援機能実行手段は、前記顧客へ送信した電子メールの開封実績の情報を前記顧客情報データベースに記録し、前記所定の操作を契機に該顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客の電子メールの開封実績の情報を該営業担当者へ提示する開封実績提示手段を有する、
請求項1から8の何れか一項に記載の営業支援システム。」
と補正しようとするものである。

すると、本件請求項1に係る補正は、「営業担当者」に対して「特定の」という限定、「作成」に対して「独自の」という限定、「見込客」という構成に対して「特定の営業担当者が情報を管理する」という限定を付加し、減縮するものである。

したがって、本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)補正の適否

ア.本件補正発明
本件補正発明は、上記(1-2)の請求項1に記載されたとおりのものである。

イ.引用例1
原査定の拒絶理由で引用文献1として引用された特開2007-66187号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(a)「【0032】
本発明に係る住宅販売促進システムは、既存の顧客の紹介により見込客(未だ取引がないが、将来客となり得る見込の客)を得て、該見込客が成約により顧客となったときにサービスポイントを付与するようにして、商品である住宅(戸建てやマンションなど)の販売促進を行うためのものである。」
(b)「【0046】
前記顧客情報データベース34には、既に営業所と取引のある又は取引のあった顧客に関する情報(顧客情報)が格納される。前記顧客情報は、例えば、顧客の氏名、住所などの連絡先、顧客のメールアドレス、顧客の購入した商品、商品購入の時期、顧客の保有するサービスポイントなどである。
【0047】
前記見込客情報データベース35には、未だ営業所と取引のない、上記顧客の紹介を受けた見込客の情報(見込客情報)が格納される。前記見込客情報は、例えば、見込客の氏名、見込客のメールアドレス、見込客を紹介した顧客と上記顧客情報データベース34に格納されている顧客情報とを関連づける情報、見込客の家族構成及び誕生日(年齢)、などである。」
(b)「【0056】
[見込客登録機能]
管理サーバ11は、見込客の情報を記憶部30の見込客情報データベース35に登録する、見込客登録機能を有し、見込客登録手段として機能する。
見込客情報の登録作業は、顧客端末13又は営業所端末14にて行うことができる。
【0057】
図5の流れ図に示すように、まず、顧客又は営業担当者が、顧客端末13又は営業所端末14より、情報通信手段16を介して管理サーバ11の開設するウエブページにアクセスして所定の要求行うと、管理サーバ11は情報入力ページを送信し、該情報入力ページを顧客端末13又は営業所端末14の表示出力部24に表示させる(S41)。
顧客端末13又は営業所端末14では、この情報入力ページへ必要情報を入力部23を介して入力することにより、この情報が送受信部22から情報通信手段16を介して管理サーバ11に送信される。管理サーバ11では、送受信部32を通じて制御部31が入力された見込客情報が取得され(S42)、記憶部30の顧客情報データベース34に格納される(S43)。
【0058】
上記見込客情報として、少なくとも、見込客の氏名、見込客のメールアドレス、見込客を紹介した顧客と上記顧客情報データベース34に格納されている顧客情報とを関連づける情報、見込客の家族構成及び生年月日(年齢)が、見込客情報データベース35に格納される。
【0059】
[ダイレクトメール送信機能]
管理サーバ11は、記憶部30の見込客情報データベース35に登録された見込客情報に格納されている見込客の及びその家族の年齢を参照し、見込客又はその家族が、予め登録された慶事に該当する見込客を抽出し、抽出された見込客にダイレクトメールを送信する、ダイレクトメール送信機能を有し、ダイレクトメール送信手段として機能する。
【0060】
上記慶事とは、見込客やその家族が迎える様々な祝い事を意味し、本実施例では、特に、ライフステージの変化を伴う慶事である、小学校入学、結婚、還暦に該当する見込客及びその家族を抽出する。小学校入学及び還暦に関しては、見込客及びその家族の生年月日(年齢)に基づいて該当する見込客が抽出され、結婚に関しては見込客情報として、結婚予定月が登録され、この結婚予定月に基づいて該当する見込客が抽出される。
ダイレクトメールを送信するのは、上記慶事に該当するよりも所定期間(例えば、6ヶ月など)だけ前の時期とする。これにより、慶事に合わせて住宅の施工が可能となる。
【0061】
図6の流れ図に示すように、まず、管理サーバ11は見込客情報データベース35にある見込客情報のなかから、条件に該当する見込客を検索し、抽出する(S51)。なお上述の通り、見込客又はその家族が慶事の所定期間前であることを条件として見込客を抽出する。
続いて、該当する見込客があれば(S52)、その慶事と見込客情報に基づいてダイレクトメールの内容を決定する(S53)。そして、抽出された見込客に対して、管理サーバ11よりダイレクトメールが情報通信手段16を介して送信される(S54)。
なお、前記ダーレクトメールは、見込客に対して郵送や電報、FAXなどの通信手段を用いて送信することもできる。
【0062】
見込客は、見込客端末15にてそのダイレクトメールを受け取り、その内容を知ることにより、商品購入によりサービスポイントを付与されること、特典を受け得ることを知ることができる。
【0063】
さらに、見込客は、ダイレクトメールの内容に含まれる紹介者を知ることにより、該紹介者との関係を再確認することができる。
これにより、見込客と紹介者である顧客との繋がりを維持させることができ、両者間の関係を良好にすることができる。
なお、ダイレクトメールの送り元として表示されるのは、営業所又は営業担当者とすることもできるし、見込客を紹介した顧客とすることもできる。後者の場合、顧客から見込客への贈り物として取り扱われるので、見込客と紹介者である顧客との繋がりの強化に寄与することができる。
【0064】
そして、登録された慶事に合わせて自動的に管理サーバ11よりダイレクトメールが送信されるので、営業担当者や見込客自身でさえも、忘れがちな家族の行事・ライフステージの変化に合ったタイミングで、そのダイレクトメールを受け取り、住宅の購入を検討することができる。
上述のように、ライフステージの変化を伴う慶事に合わせてダイレクトメールの送信を行うことで、新たな門出を応援する形で特典を設けることとなり、より高い販売促進効果が期待できる。
【0065】
なお、ダイレクトメールの内容は、見込客を抽出された理由となる慶事によって、異なる内容のものとなる。例えば、小学校入学、結婚とでは、必要となる住宅のプランは異なるため、それぞれに応じたプランを提案する内容のダイレクトメールとする。そして、住宅購入の検討に際して、見込客は、前述の通り、見込客端末15にて、商品カタログを閲覧又はダウンロードすることができる。」(下線は、当審による。)

以上の記載事項から、引用例1には
「顧客情報データベース34には、既に営業所と取引のある又は取引のあった顧客に関する情報(顧客情報)が格納され、
見込客情報データベース35には、未だ営業所と取引のない見込客の情報(見込客情報)が格納され、
ライフステージの変化を伴う慶事である、小学校入学、結婚、還暦に該当する見込客及びその家族を見込客情報データベース35から抽出し、
抽出された見込客に対して、管理サーバ11よりダイレクトメールが情報通信手段16を介して送信され、
ダイレクトメールの送り元として営業担当者を表示する住宅販売促進システム」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。

ウ.引用例2
原査定の拒絶査定で周知例として引用された特開2002-312567号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(a)「【0002】
【背景の技術】従来より、住宅の販売を行うディーラの営業担当者は、担当した顧客に関する情報を、管理装置のデータベースなどに登録して管理するようにしている。各営業所にはそれぞれ管理装置が設けられており、その営業所に所属する営業担当者が担当した顧客のデータが、営業担当者毎に管理されているのが通常である。」
(b)「【0006】ここで、販売者とは、営業担当者や、資料配付担当者等、販売業務に関わる者を意味する。また、認証情報としては、例えば、IDやパスワード、販売者名、これらの組合せなど、販売者を認証する情報であれば、どのような情報であっても良い。」
(c)「【0029】図1に示すように、顧客情報管理システム1は、顧客情報を管理する顧客情報管理装置2と、ディーラの営業担当者や資料配付担当者などが所有する販売者端末3と、顧客が所有する顧客端末4と、を備えて構成されている。販売者端末3、顧客端末4は、電話回線網や専用線などの通信回線5を介して、顧客情報管理装置2へ接続されている。」
(d)「【0060】また、専用画面Cには、基本操作画面Bに設けられた表示欄B1・B2、入力欄B3、検索ボタンB4、全リスト一覧ボタンB5と同様の、表示欄C1・C2、入力欄C3、検索ボタンC4、全リスト一覧ボタンC5が設けられている。また、専用画面Cには、メールリスト作成ボタンC6、CSVエクスポートボタンC7、送信ボタンC8が設けられている。
【0061】メールリスト作成ボタンC6をワンクリックすることで、販売者端末3が電子メールリストの作成を要求するURLをWWWサーバ22へ送信し、WWWサーバ22が検索結果表示欄C9に表示された顧客の電子メールアドレスを顧客情報データベース231から取得して電子メールリストを作成し、販売者端末3へ送信する処理を行うようになっている。
【0062】また、CSVエクスポートボタンC7をワンクリックすることで、管理サーバ24が検索結果表示欄C9に表示された顧客の顧客情報を顧客情報データベース231から取得するとともにCSV形式でデータを保存し、このCSV形式のデータを販売者端末3へ送信する処理を行うようになっている。
【0063】また、顧客の氏名C91をワンクリックして選択した後に、送信ボタンC8をワンクリックすることで、選択された顧客の電子メールアドレス宛ての電子メールデータを、販売者端末3が作成する処理を行うようになっている。」
(e)「【0080】さらに、ステップS3・S8で認証サーバ21により販売者を認証した後に、認証された販売者端末3へWWWサーバ22が顧客情報を送信し、また、認証された販売者端末3から送信された編集内容に基づいて、顧客情報データベース231が記憶する顧客情報を管理サーバ24が更新するので、顧客情報が不特定の他人によって更新されたり、閲覧されたりするのを防止できる。」
(f)「【0085】また、専用画面Cや個人プロフィール画面D上には送信ボタンC8・D5が設けられているので、販売者端末3のマウスなどが送信ボタンC8・D5をワンクリックするだけで、その顧客への電子メールデータを容易に作成できる。」(下線は、当審による。)

以上の記載から、引用例2には、(a)の記載から「管理装置が設けられ、営業担当者が担当した顧客のデータが、営業担当者毎に管理されること。」(以下、「引用例2の記載事項1」という。)、(b)?(d)の記載から「営業担当者である販売者が、電子メールを作成すること。」(以下、「引用例2の記載事項2」という。)が記載されている。

エ.対比、判断
(ア)そこで、本件補正発明と引用例1発明を対比する。
引用例1発明の「顧客情報データベース34には、既に営業所と取引のある又は取引のあった顧客に関する情報(顧客情報)が格納され、
見込客情報データベース35には、未だ営業所と取引のない見込客の情報(見込客情報)が格納され、」は、「営業担当者」が「顧客」と「見込客」を管理するものであるから、引用例1発明の「顧客情報データベース34」「見込客情報データベース35」は、本件補正発明の「営業対象の顧客の情報を登録し、顧客情報データベースで管理する顧客情報管理手段」の機能を有している
引用例1発明の「ライフステージの変化を伴う慶事である、小学校入学、結婚、還暦に該当する見込客及びその家族を見込客情報データベース35から抽出し、
抽出された見込客に対して、管理サーバ11よりダイレクトメールが情報通信手段16を介して送信され、」は、慶事として登録されたスケジュールに従って、見込客に対してダイレクトメールを送っており、これは、営業担当者に対する営業活動支援であることは明らかであるから、引用例1発明の「ライフステージの変化を伴う慶事である、小学校入学、結婚、還暦に該当する見込客及びその家族を見込客情報データベース35から抽出し、
抽出された見込客に対して、管理サーバ11よりダイレクトメールが情報通信手段16を介して送信され、」は、本件補正発明の「営業担当者の前記顧客に対する営業活動を支援する所定の機能を実行する営業支援機能実行手段」であって、「既定のスケジュールを契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される見込客に対する営業活動を支援するように所定の機能を実行し、」「既定のスケジュールを契機に」「情報データベースにアクセスし、」「該情報データベースで情報が管理される見込客」へ「電子メールを配信する電子メール配信手段」に相当する機能を有している。また、引用例1発明では、「ダイレクトメールの送り元として営業担当者を表示する」ようになっており、これは特定の営業担当者が電子メールを配信することを意味しているから、本件補正発明の「特定の営業担当者が」「電子メールを配信する」ことに相当する。
引用例1発明の「住宅販売促進システム」は、顧客情報の管理およびダイレクトメールの発送を行っており営業支援を行うシステムであるといえるから、本件補正発明の「営業担当者の営業活動を支援する営業支援システム」に相当する。

(イ)したがって、両発明の一致点、相違点は以下の通りである。

〈一致点〉
「 営業担当者の営業活動を支援する営業支援システムであって、
営業対象の顧客の情報を登録し、顧客情報データベースで管理する顧客情報管理手段と、
前記営業担当者の前記顧客に対する営業活動を支援する所定の機能を実行する営業支援機能実行手段と、を備え、
前記営業支援機能実行手段は、既定のスケジュールを契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客に対する営業活動を支援するように前記所定の機能を実行し、
前記営業支援機能実行手段は、前記既定のスケジュールを契機に前記顧客情報データベースにアクセスし、該顧客情報データベースで情報が管理される前記見込客へ、前記営業担当者が電子メールを配信する電子メール配信手段を有する、
営業支援システム。」

〈相違点〉
(1)本件補正発明は、「顧客情報データベース」で顧客の情報と見込客の情報を管理していて、「見込客の情報に対し、所定の見込客識別情報を付して」管理しているのに対して、引用例1発明は、顧客の情報を「顧客情報データベース34」で管理し、見込客の情報を「見込客情報データベース35」で管理していて、見込客識別情報に相当する情報を付していない点。
(2)本件補正発明では、「顧客情報データベースに登録されている前記顧客の情報は、前記営業担当者が各々個別的に管理」しているのに対して、引用例1発明では、「顧客情報データベース34」「見込客情報データベース35」で管理している情報が、営業担当者が各々個別的に管理しているか否かについて明示されていない点。
(3)本件補正発明は、「見込客のうち特定の営業担当者が情報を管理する特定の見込客へ、特定の営業担当者が独自に作成した電子メールを配信」しているのに対して、引用例1発明は、「ダイレクトメールの送り元として営業担当者を表示」しているものの、ダイレクトメールが、特定の営業担当者が独自に作成したものであるかどうかについては明示されていない点。

相違点について検討する。

相違点(1)
本件補正発明における「顧客情報データベース」は、営業対象の顧客情報登録し、登録された顧客のうち未だ取引の成立していない見込客の情報に対して所定の見込客識別情報を付して管理するところから、見込客情報だけでなくその他の顧客情報も統合して管理するようにしたものである。
これに対して、引用例1発明は「顧客情報データベース34」と「見込客情報データベース35」を有し、見込客情報とその他の顧客情報とを分けて管理しているが、いずれの情報も顧客情報であることから、これらを統合して管理することも普通に想到されることである。そして、これらのデータベースを統合した場合、すでに取引のある顧客とまだ取引のない見込客を識別できなくなるから、識別のための何らかの情報、すなわち、「識別情報」が必要なことは自明のことである。
ここで、識別情報を顧客に対して付すか見込客に対して付すかは二者択一的事項であって、本件補正発明のように、見込客の情報に対して識別情報を付することも、何ら技術的に困難性を有する事項ではない。
そうすると、引用例1発明において、データベースを統合し、見込客識別情報を付すことは、当業者が容易になしえることである。

相違点(2)(3)
相違点(2)のように、顧客の情報について、営業担当者が各々個別的に管理することは、引用例2の記載事項1にあるように、営業活動において一般的に行われていることであり、引用例1発明において、営業担当者が個別的に顧客情報を管理するようにすることは、必要に応じて適宜なしえることであるから、引用例1発明に引用例2の記載事項1を適用し、相違点(2)の構成とすることは、当業者が容易になしえることである。
そうすると、相違点(3)の「見込客のうち特定の営業担当者が情報を管理する特定の見込客へ、」「電子メールを配信」構成となることも明らかである。
さらに、引用例2の記載事項2には、「営業担当者である販売者が、電子メールを作成すること。」が記載されており、これは、特定の営業担当者が独自にメールを作成することを意味している。
引用例1発明は、ダイレクトメールの送り元として営業担当者を表示するが、その営業担当者が独自に電子メールを作成することも、ごく普通の営業活動に過ぎないことから、ダイレクトメールの内容を営業担当者が独自に作成するように構成することは、当業者が必要に応じて変更し得る程度ことであり、引用例1発明に引用例2の記載事項2を適用し、相違点(3)の構成とすることは、当業者が容易になしえることである。

そして、上記相違点(1)?(3)を総合的に判断しても、本件補正発明が奏する効果は引用例1発明、引用例2の記載事項1,2から当業者が十分予測できたものであって格別なものとはいえない。


以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)平成26年1月29日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1に係る発明は、平成25年3月25日付けで提出された手続補正書の特許請求の範囲請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)であって、前記2.(1)の(1-1)に記載したとおりのものである。

(2)引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例、およびその記載事項は、前記2.(2-2)に記載したとおりのものである。

(3)対比、判断
本願発明は、本件補正発明から、「営業担当者」に対して「特定の」という限定、「作成」に対して「独自の」という限定、「見込客」という構成に対して「特定の営業担当者が情報を管理する」とした限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したも

のに相当する本件補正発明が前記「2.(2)」に記載したとおり、引用例1発明、引用例2の記載事項1,2に基づいて、当業者が容易に発明をする



ことができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明、引用例2の記載事項1,2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび

以上のとおり、本願発明は引用例1発明、引用例2の記載事項1,2に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-10 
結審通知日 2015-03-17 
審決日 2015-03-30 
出願番号 特願2008-100210(P2008-100210)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 石川 正二
須田 勝巳
発明の名称 営業支援システム  
代理人 川口 嘉之  
代理人 和久田 純一  
代理人 遠山 勉  
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