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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1300892
審判番号 不服2014-4997  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-14 
確定日 2015-05-14 
事件の表示 特願2009- 61229「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 9月30日出願公開、特開2010-213776〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成21年3月13日の出願であって,平成25年2月22日付けで拒絶の理由が通知され,同年4月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ,同年12月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成26年3月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成26年3月14日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年3月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり,本件補正により,特許請求の範囲は,
「【請求項1】
遊技の進行に基づいて,予め設定された基本的ストーリー画像データと,この基本的ストーリー画像データに重ねて表示可能とされ前記基本的ストーリー画像データの進行の主体となるキャラクタ画像データと,によって構成された演出画像を表示装置に表示する画像表示制御装置を備えた遊技機であって,
前記遊技状態における所定の時期に有効に機能し,前記キャラクタ画像を選択するための選択画像を表示させるように指示する第1の指示手段と,
前記第1の指示手段の有効指示があったときに,前記表示装置に,前記演出画像として表示可能な複数種類のキャラクタ画像の候補を表示すると共に,現在選択されているキャラクタ画像を強調して表示する選択画像表示制御手段と,
前記選択画像表示制御手段により前記選択画像が表示されているときに有効に機能し,キャラクタ画像の選択を指示する第2の指示手段と,
タイマによるカウントダウンに基づくタイムアウトになった場合,前記第2の指示手段によるキャラクタ画像の選択を確定すると共に,前記選択画像を通常終了させる確定手段と,
前記確定手段による選択確定前に,前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり,前記第1の指示手段による選択画像の表示指示が強制終了する遊技状態となった場合に,前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段とを有し,
前記第1の指示手段と第2の指示手段とが共通の操作手段で構成されていることを特徴とする遊技機。」
から
「【請求項1】
遊技の進行に基づいて,予め設定された基本的ストーリー画像のデータと,この基本的ストーリー画像のデータに重ねて表示可能とされ前記基本的ストーリー画像のデータの進行の主体となるキャラクタ画像のデータと,によって構成された演出画像を表示装置に表示する画像表示制御装置を備えた遊技機であって,
遊技状態における所定の時期に有効に機能し,前記キャラクタ画像を選択するための選択画像を表示させるように指示する第1の指示手段と,
前記第1の指示手段の有効指示があったときに,前記表示装置に,前記演出画像として表示可能な複数種類のキャラクタ画像の候補を表示すると共に,現在選択されているキャラクタ画像を強調して表示する選択画像表示制御手段と,
前記選択画像表示制御手段により前記選択画像が表示されているときに有効に機能し,キャラクタ画像の選択を指示する第2の指示手段と,
タイマによるカウントダウンに基づくタイムアウトになった場合,前記第2の指示手段によるキャラクタ画像の選択を確定すると共に,前記選択画像を通常終了させる確定手段と,
前記確定手段による選択確定前に,前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり,前記第1の指示手段による選択画像の表示指示が強制終了する遊技状態となった場合に,前記確定手段による選択確定処理に対して割り込み処理によって,前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段とを有し,
前記第1の指示手段と第2の指示手段とが共通の操作手段で構成されていることを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は,補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は,特許請求の範囲について,以下に挙げる補正事項を含むものである。

ア 補正前の請求項1における「遊技の進行に基づいて,予め設定された基本的ストーリー画像データと,この基本的ストーリー画像データに重ねて表示可能とされ前記基本的ストーリー画像データの進行の主体となるキャラクタ画像データと,」という記載を,
「遊技の進行に基づいて,予め設定された基本的ストーリー画像のデータと,この基本的ストーリー画像のデータに重ねて表示可能とされ前記基本的ストーリー画像のデータの進行の主体となるキャラクタ画像のデータと,」とする補正。

イ 補正前の請求項1における「を備えた遊技機であって,前記遊技状態における所定の時期に有効に機能し,」という記載を,
「を備えた遊技機であって,遊技状態における所定の時期に有効に機能し,」とする補正。

ウ 補正前の請求項1における「前記確定手段による選択確定前に,前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり,前記第1の指示手段による選択画像の表示指示が強制終了する遊技状態となった場合に,前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段とを有し,」という記載を,
「前記確定手段による選択確定前に,前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり,前記第1の指示手段による選択画像の表示指示が強制終了する遊技状態となった場合に,前記確定手段による選択確定処理に対して割り込み処理によって,前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段とを有し,」とする補正。

(2)補正の目的要件違反についての検討
ア 補正事項アについて
補正事項アは,「基本的ストーリー画像データ」という記載を,「基本的ストーリー画像のデータ」という記載に書き換えたものにすぎない。

イ 補正事項イについて
補正事項イは,「前記遊技状態」という記載の前に「遊技状態」という記載がないため,不明瞭になっていた「前記遊技状態」という記載を,「遊技状態」という記載に補正するものであるから,特許法第17条の2第5項第4号に規定する明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

ウ 補正事項ウについて
補正事項ウは,「前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする」ことを,どのような処理によって行うか具体的に限定する補正であるから,特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。

そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 独立特許要件について
(1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由(平成25年2月22日付け拒絶理由通知)に引用文献1として引用された特開2006-158493号公報(以下「刊行物1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
(1-a)「【請求項1】
識別情報が変動表示する変動表示ゲームの演出をする表示手段と,
所定条件の成立によって前記変動表示ゲームを実行する制御手段と,を備え,
前記変動表示ゲームが特定の結果となる場合には遊技者に有利な特典を付与する遊技機において,
遊技者の操作によって操作信号を発生する操作部を備え,
前記制御手段は,
前記操作信号に基づいて,予め定められた複数の演出用キャラクタから一つの演出用キャラクタを選択するキャラクタ選択手段と,
前記キャラクタ選択手段によって選択された演出用キャラクタを確定するキャラクタ確定手段と,
前記キャラクタ確定手段によって演出用キャラクタが確定したときに,前記確定した演出用キャラクタを前記表示手段に表示するキャラクタ確定表示手段と,
前記キャラクタ確定表示手段による表示開始後の所定時間,前記操作部による前記演出用キャラクタの選択を規制する選択規制手段と,
前記変動表示ゲームの開始時点で確定している演出用キャラクタに基づいて,当該変動表示ゲームにおける演出内容を決定する演出内容決定手段と,
を備えることを特徴とする遊技機。」
(1-b)「【0022】
上皿10の縁の中央には,球貯留部10aよりも一段高い位置に,遊技者によって垂直方向に押圧操作されるスイッチ(例えば,押ボタンスイッチ)14が設けられる。デモ画面表示中にスイッチ14を操作することによって,遊技者は,遊技演出のためのキャラクタを選択できる。また,特図変動表示ゲームの実行中にスイッチ14を操作すると,遊技領域21に設けた期待度報知LED27(図2)を用いて特図変動表示ゲームの大当り状態発生確率が報知される。
【0023】
なお,スイッチ14は,遊技機1の略中央に一つだけ設けられている。そして,スイッチ14は発射操作部12の左上方に配設されているため,遊技者は,右手で発射操作部12を操作しながら,同時に左手でスイッチ14を操作することができる。」
(1-c)「【0028】
画像表示装置25は,例えば,LCD(液晶表示器),CRT(ブラウン管)等で表示画面が構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には,複数の変動表示領域が設けられており,各変動表示領域に識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタが表示される。すなわち,表示画面の左,中,右に設けられた変動表示領域には,識別情報として割り当てられた特別図柄(例えば,「0」?「9」までの数字及び「A」,「B」の英文字による12種類の図柄)が変動表示(可変表示)して特図変動表示ゲームが行われる。その他,表示画面には遊技の進行に基づく画像(例えば,大当り表示,ファンファーレ表示,エンディング表示等)が表示される。」
(1-d)「【0044】
図3は,本発明の実施の形態の遊技機1の遊技制御装置100を中心とする制御系の一部を示すブロック図である。」
(1-e)「【0058】
表示制御装置150は,表示制御用のCPU,プログラムやデータを格納したROM,CPUの動作時のワークエリアや,画像表示装置25に表示される画像データを一時的に記憶するフレームバッファが設けられたRAM,VDC(Video Display Controller),入力インターフェース等から構成される。
【0059】
CPUは,遊技制御装置100からの表示指令信号に基づいて,画面情報(図柄表示情報,背景画像情報,動画キャラクタ画面情報等)を作成して,RAMに記憶する。この画面情報は,VDCの垂直同期割込のタイミングで,転送指令を受けたDMACにより,VDCに転送される。VDCは,この画像情報に基づき,ROMの該当画像データを取り込み,画像表示装置25の画面に水平走査,垂直走査を行って,所定の画像表示(描画)を行う。」
(1-f)「【0092】
処理番号が0の場合,変動表示ゲーム中及び特別遊技中のいずれでもないので,遊技制御装置100は,特別図柄入賞記憶数が0でないか否かを判定する(S42)。特別図柄入賞記憶数が0の場合,つまり,第一特図始動口33又は第二特図始動口35への遊技球の入賞に基づいて,保留されている変動表示ゲームがない場合は,タイマ割込処理へ復帰する。」
(1-g)「【0095】
次に,処理タイマに時間T1を設定する。時間T1は,特図変動表示ゲームが開始してから特別図柄が停止するまでの時間である。次に,処理番号を1に設定する。これによって,次に特図変動表示ゲーム処理が実行されるときには,「変動中」の処理に分岐される。次に,特図表示器37Aで特別図柄の変動表示が開始する。次に,特図変動開始コマンドを,表示制御装置150に出力する。これによって,画像表示装置25においても,特図変動表示ゲームの演出が開始する。」
(1-h)「【0114】
図8は,本発明の実施の形態の操作受付処理(状態番号=0)のフローチャートであって,表示制御装置150で実行される。
【0115】
操作受付処理では,表示制御装置150は,まず,画像表示装置25にデモ画面を表示する(S61)。デモ表示画面とは,所定の時間,特図変動表示ゲームが実行されない状態(客待ち状態)に表示される画像である。
【0116】
このとき,画像表示装置25の表示領域には,変動表示しない識別情報を表示する。また,遊技者によって既に選択されているキャラクタを表示する(図13(A)参照)。遊技者によって既に選択されているキャラクタとは,遊技者が交代した場合は,交代前の遊技者が最後に選択したキャラクタである。また,遊技者が交代していない場合は,当該遊技者が直近に選択したキャラクタである。
【0117】
次に,スイッチ14からの操作信号が検出されたか否かを判定する(S62)。スイッチ14は,遊技者が操作すると,操作信号を表示制御装置150へ送信する。ここでは,遊技者がスイッチ14を操作することによって,キャラクタの変更が可能となる。
【0118】
スイッチ14からの操作信号を検出しない場合は,状態番号を変更することなく,ステップS64に移行する。一方,スイッチ14からの操作信号を検出した場合は,状態番号を1に設定する。そして,監視タイマを初期化する(S63)。監視タイマは,表示制御メイン処理中の各処理の処理時間を管理するタイマである。
【0119】
次に,特図変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S64)。特図変動開始コマンドを受信していない場合は,状態番号を変更することなく,表示制御メイン処理へ復帰する。
【0120】
一方,特図変動開始コマンドを受信した場合は,変動表示ゲームを開始するため,状態番号を3に設定して(S65),表示制御メイン処理へ復帰する。このとき,画像表示装置25のデモ表示画面に表示されるキャラクタ(前回のキャラクタ選択時に確定したキャラクタ番号に対応するキャラクタであって,図13(A)の場合はC子)が自動的に選択される。
【0121】
また,ステップS62でスイッチ14からの操作信号が検出されていない場合は,画像表示装置25のデモ表示画面に表示されるキャラクタは変更されない。また,状態番号が3に設定されると,表示制御装置150に対するスイッチ14の操作は受け付けられなくなる。
【0122】
図9は,本発明の実施の形態の選択実行処理(状態番号=1)のフローチャートであって,表示制御装置150で実行される。
【0123】
選択実行処理は,まず,画像表示装置25に複数のキャラクタを表示して,そのうち遊技者によって既に選択されているキャラクタを選択位置に表示する(S71)。本実施形態では,画像表示装置25の表示領域に,複数のキャラクタが三次元的に前後に円を為して並んでいる(図13(B)参照)。このとき,現時点のキャラクタ番号に対応するキャラクタを最前列に表示して,当該キャラクタが選択されている旨を,つまり,最前列にいるキャラクタ(図13(B)ではC子)が遊技者に選択されていることを示す。
【0124】
次に,スイッチ14からの操作信号が検出されたか否かを判定する(S72)。
【0125】
スイッチ14からの操作信号を検出しない場合は,キャラクタ番号を更新することなく,ステップS74に移行する。一方,スイッチ14からの操作信号を検出した場合は,キャラクタ番号を更新する。各キャラクタには,キャラクタを識別するためのキャラクタ番号が割り振られていて,遊技者がスイッチ14を一回操作することによって,キャラクタ番号が一つ加算更新される。また,これに伴って,画像表示装置25の表示領域では,新たに選択されたキャラクタ番号に対応するキャラクタが最前列に表示される。例えば,スイッチ14が2回操作されると,図13(C)のようにE子が最前列に表示される。その後,監視タイマを初期化する(S73)。つまり,遊技者は,一つのスイッチ14によって,希望するキャラクタを選択することができる。
【0126】
次に,ステップS63(図8)又はステップS73で初期化された監視タイマを更新して(S74),監視タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S75)。監視タイマがタイムアップしていない場合は,遊技者によるスイッチ14の操作を検出するため,状態番号を変更することなくステップS77に移行する。一方,監視タイマがタイムアップした場合は,遊技者がキャラクタを選択可能な時間が経過したと判断して,状態番号を2に設定する。また,同時に,監視タイマを初期化する(S76)。このとき,画像表示装置25に表示されるキャラクタのうち,最前列にあるキャラクタ,つまり,監視タイマがタイムアップした時点で選択されているキャラクタ番号に対応するキャラクタが選択される。そして,表示制御装置150に対するスイッチ14の操作は受け付けられなくなる。
【0127】
次に,特図変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S77)。特図変動開始コマンドを受信していない場合は,状態番号を変更することなく,表示制御メイン処理へ復帰する。
【0128】
一方,特図変動開始コマンドを受信した場合は,変動表示ゲームを開始するため,状態番号を3に設定して(S78),表示制御メイン処理へ復帰する。このとき,画像表示装置25に表示されるキャラクタのうち,最前列にあるキャラクタ,つまり,特図変動開始コマンドを受信した時点で選択されているキャラクタ番号に対応するキャラクタが自動的に選択される。
【0129】
図10は,本発明の実施の形態の選択確定処理(状態番号=2)及び操作受付準備処理(状態番号=4)のフローチャートであって,表示制御装置150で実行される。
【0130】
選択確定処理では,まず,画像表示装置25に,遊技者に選択されたキャラクタ番号に対応する確定画面を表示する(S81)。確定画面では,遊技者の選択によって確定したか,又は,監視タイマのタイムアップによって確定したキャラクタが,画面上に大きく表示される(例えば,図14(A))。なお,確定画面では,確定したキャラクタ以外のキャラクタは表示されない。また,画像表示装置25には,キャラクタから遊技者へのメッセージ(例えば,遊技者を激励する内容のメッセージ)が文字情報として表示される。また,確定画面の表示中は,スイッチ14による操作をすることはできない。」
(1-i)「【0135】
次に,図9のステップS76で初期化した監視タイマを更新して(S82),監視タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S83)。監視タイマがタイムアップしていない場合は,確定画面の表示時間中なので,状態番号を変更することなく,ステップS85に移行する。一方,監視タイマがタイムアップした場合は,確定画面の表示時間が終了したと判断して,状態番号を0に設定する。状態番号が0に設定されると,画像表示装置25には,再びデモ画面が表示される(図15(B)参照)。このとき,遊技者によって既に選択されているキャラクタが,デモ表示画面に表示される。
【0136】
次に,特図変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S85)。特図変動開始コマンドを受信していない場合は,状態番号を変更することなく,表示制御メイン処理へ復帰する。
【0137】
一方,特図変動開始コマンドを受信した場合は,変動表示ゲームを開始するため,状態番号を3に設定して(S86),表示制御メイン処理へ復帰する。
【0138】
操作受付準備処理では,ステップS81を実行することなく,監視タイマを更新する(S82)。以後の処理は前述した選択確定処理と同じなので,その説明は省略する。
【0139】
図11は,本発明の実施の形態の図柄変動実行処理(状態番号=3)のフローチャートであって,表示制御装置150で実行される。
【0140】
図柄変動実行処理では,特図変動表示ゲームを実行する(S91)。具体的には,遊技制御装置100から受信した特図変動開始コマンドの内容に基づいて,識別情報の停止図柄を決定する。次に,さらに別の乱数を用いた抽選によって期待度報知演出の内容を決定する。なお,図12(A)に示すように,識別情報の停止図柄が当りか外れかによって,期待度報知演出が選択される確率が異なる。期待度報知演出の具体的な選択手順については,図12を用いて後述する。
【0141】
次に,リーチ演出の発生の有無を決定する。このとき,同時にリーチ演出時に表示するキャラクタを決定する(図12(B)参照)。なお,リーチとは,例えば,最後に停止する特別図柄以外の図柄(例えば,左図柄と中図柄)が同一の内容となる組み合わせで仮停止し,かつ最後に停止する図柄(例えば,右図柄)のみが変動している状態をいう。又は,全図柄が,同じ図柄を表示した状態で揃って変動表示をしている状態をいう。なお,リーチ演出の発生の有無の決定方法,及び,リーチ演出時に画像表示装置25に表示するキャラクタの決定方法は,図12を用いて後述する。
【0142】
次に,全ての識別情報の変動表示を開始する(S92)。このとき,表示領域には,変動表示する識別情報が表示される。これと同時に,ステップS65(図8),ステップS78(図9)又はステップS86(図10)で選択されたキャラクタが表示される。」
(1-j)「【0157】
図12(B)は,リーチ演出の決定方法を示す。
【0158】
上段は,画像表示装置25でリーチ演出をするか否かの決定方法,及び,リーチ演出がされた場合に出現するキャラクタの組み合わせを示す。組み合わせは,予め3種類の態様が設定されており,それぞれ演出1?3とする。そして,特図変動表示ゲームが実行される毎に,演出1?3のうちいずれか一つの態様が選択される。」
(1-k)「【0162】
演出1が選択されたときは,外れ発生確率は100%である。つまり,演出1の結果,大当り状態が発生する可能性はないため,リーチ演出は発生しない。よって,リーチ演出時のキャラクタは設定されていない。
【0163】
演出2が選択されたときは,特図変動表示ゲームの結果として当たりか外れかは確定しておらず,また,大当り発生の確率が低いことを示す。つまり,演出2の結果,外れ状態が発生する可能性が高いため,リーチ演出は発生するが,リーチ演出時には,遊技者が選択したキャラクタ以外のキャラクタが出現する。例えば,図16(A)に示す識別情報の変動表示中には,遊技者が選択したキャラクタ(E子)が表示されるが,図16(B)に示すリーチ演出中には,E子ではなくA子が出現する。このように,リーチ演出時に遊技者が選択したキャラクタ以外のキャラクタが出現することによって,遊技者に,当該リーチ演出の大当り発生の期待度が低いことを報知できる。
【0164】
演出3が選択されたときは,大当り発生確率は100%である。つまり,リーチ演出が発生して,遊技者が選択したキャラクタが出現した場合,演出3が選択されたことを示すため,特図変動表示ゲームの結果が必ず当りとなる。このように,リーチ演出時に遊技者が選択したキャラクタが出現することによって,遊技者に,当該リーチ演出の大当り発生の期待度が高いことを報知できる。
【0165】
図13?図15は,本発明の実施の形態の画像表示装置25の表示領域の表示例である。
【0166】
図13(A)は,デモ画面の表示例である。デモ表示画面は,操作受付処理において,スイッチ14からの操作信号を受信するまで,画像表示装置25に表示される。ここでは,表示領域のほぼ中央に,停止している識別情報が表示され,左下には,遊技者によって既に選択されているキャラクタとしてC子を表示する。また,識別情報及び選択されたキャラクタと合わせて,表示領域の上方にキャラクタを変更できる旨の文字情報を表示する。
【0167】
図13(B)及び(C)は,選択実行画面の表示例である。ここでは,図13(B)に選択実行画面として,A子?G子で示す7つのキャラクタが三次元的に奥行方向に円を為して並んでいる状態を示す。このとき,最前列にいるC子が,遊技者に選択されている。表示領域の上方には,キャラクタの選択を指示する文字情報を表示する。
【0168】
そして,スイッチ14の操作によって,キャラクタ番号が更新されると,画像表示装置25に表示されるこれらのキャラクタは,時計回りに回転して,次のキャラクタが最前列に表示される。なお,キャラクタ番号は,A子?G子をそれぞれ1?7とする。図13(C)は,遊技者がスイッチ14を2回操作することによって,キャラクタ番号が3から5に更新され,対応するキャラクタE子が最前列に表示されている状態を示す。」
(1-l)「【0173】
図15(A)は,変動表示画面の表示例である。変動表示画面は,図柄変動実行処理において,第1特別図柄を停止するまで表示される。ここでは,表示領域の中央に,変動表示する三つの特別図柄が表示され,画面左下に,選択されたキャラクタ(E子)が表示される。
【0174】
図15(B)は,変動表示画面の表示例の別の形態である。ここでは,選択されたキャラクタが,表示領域の左側に大きく表示され,また,変動表示する識別情報に加えて,キャラクタからの激励のメッセージが文字情報として表示される。
【0175】
なお,図15(B)に示す変動表示画面は,図14(B)に示す確定画面を用いた場合に,その後の特図変動表示ゲームの実行時に用いるとよい。つまり,図14(B)に示すように,確定画面として,キャラクタを表示した画面に識別情報を通常よりも小さく表示する。そして,当該確定画面を表示している間に識別情報の変動表示を開始させる条件が成立すると,図15(B)に示すように,キャラクタを表示したまま識別情報の変動表示を開始する。これによって,識別情報の変動表示の開始と同時に確定画面の表示が中断して,選択されたキャラクタの紹介が中断することを防止できる。特に,キャラクタを動画で表示する場合,確定画面の表示が途中で中断すると違和感が顕著になるため,識別情報の変動表示とあわせてキャラクタを連続して表示することによって,遊技者に違和感を与えることなく,キャラクタを紹介することができる。なお,変動表示の途中で,図15(A)と図15(B)とを切り替えて表示してもよい。
【0176】
図15(C)は,リーチ画面の表示例である。リーチ画面は,図柄変動実行処理において,第二特別図柄が停止してから第三特別図柄が停止するまで表示される。ここでは,表示領域の中央に停止している第一特別図柄(左図柄),第二特別図柄(中図柄),及び,変動表示中の第三特別図柄(右図柄)が表示されている。また,表示領域の右下には,キャラクタが表示され,上方には,リーチ演出中であることの表示が,文字情報として表示される。
【0177】
このとき,キャラクタは変動表示中の第三特別図柄の近傍に表示されるため,第三特別図柄の変動表示態様に遊技者の注意が惹きつけられて,遊技の興趣を向上することができる。なお,リーチ画面で表示される」
(1-m) (1-d)における段落【0044】の記載を参酌すると,図3には,遊技機1は,制御制御系として,表示制御装置150を備えた点が図示されている。

上記の事項を総合すると,刊行物1には,次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「特図変動表示ゲームが実行される毎に,予め設定された演出1?3のうちいずれか一つの態様が選択され,表示制御装置150のCPUが作成した画面情報(背景画像情報,動画キャラクタ画面情報等)に基づき,変動表示中には遊技者が選択したキャラクタ(E子)が表示され,演出1が選択されたときはリーチ演出は発生しないが,演出2が選択されたときはリーチ演出は発生して遊技者が選択したキャラクタ以外のキャラクタが出現し,演出3が選択されたときはリーチ演出が発生して遊技者が選択したキャラクタが出現する画像表示を画像表示装置25のCPUで行う表示制御装置150を備えた遊技機1であって,
デモ画面表示中に遊技者が操作することによって操作信号を送信し,キャラクタの変更が可能となり,選択実行画面を表示するスイッチ14と,
スイッチ14を遊技者が操作すると操作信号が送信され,画像表示装置25に,A子?G子で示す7つのキャラクタが三次元的に奥行方向に円を為して並んでいる選択実行画面を表示し,最前列にいるキャラクタ(図13(B)ではC子)が遊技者に選択されていることを示すように表示する表示制御装置150と,
遊技者の操作によって画像表示装置25に表示されるこれらのキャラクタが時計回りに回転して次のキャラクタが最前列に表示されるスイッチ14と,
監視タイマがタイムアップした場合は,画像表示装置25に表示されるキャラクタのうち,監視タイマがタイムアップした時点で最前列にあるキャラクタが選択されるようにし,画像表示装置25に,遊技者に選択されたキャラクタに対応する確定画面を表示する表示制御装置150と,
監視タイマがタイムアップしていない場合,第一特図始動口33又は第二特図始動口35への遊技球の入賞に基づいて出力される特図変動開始コマンドを受信した場合は,画像表示装置25に表示されるキャラクタのうち,特図変動開始コマンドを受信した時点で最前列にあるキャラクタが自動的に選択され,特図変動表示ゲームを実行する表示制御装置150とを備え,
スイッチ14は,一つだけ設けられている遊技機1。」

(2)対比
刊行物1発明と本願補正発明とを対比する。

ア 刊行物1発明の「動画キャラクタ画面情報」,「画像表示装置25」,「表示制御装置150のCPU」及び「遊技機1」は,それぞれ,本願補正発明の「キャラクタ画像のデータ」,「表示装置」,「画像表示制御装置」及び「遊技機」に相当する。
刊行物1発明の「変動表示」及び「リーチ演出」では,「キャラクタが出現する画像表示」を行うから,刊行物1発明の「変動表示」及び「リーチ演出」は,本願補正発明の「演出画像」に相当する。
刊行物1発明の「変動表示」は,「特図変動表示ゲームが実行される毎」に行われるから,刊行物1発明は「遊技の進行に基づいて」「演出画像を表示装置に表示する」構成を有しているといえる。
刊行物1発明では,「予め設定された演出1?3のうちいずれか一つの態様が選択され」,演出1?3のいずれかに基づく画像表示を行うから,演出1?3に基づく画像表示を行う「背景画像情報」及び「動画キャラクタ画面情報」は,「予め設定された」「画像のデータ」であるといえる。刊行物1発明の「背景画像情報」は,「ストーリー」があるか不明であるが,「基本的画像データ」であるといえるから,刊行物1発明の「背景画像情報」は,本願補正発明の「基本的ストーリー画像データ」と「基本的画像データ」である点で共通している。
刊行物1発明の「変動表示」及び「リーチ演出」は,「動画キャラクタ画面情報」だけでなく「背景画像情報」にも基づいて行われるといえる。「動画キャラクタ画像」と「背景」がある場合,「動画キャラクタ画像」は「背景」に重ねて表示可能であるといえる。刊行物1発明の「特図変動表示ゲームが実行される毎」に行われる「変動表示」では,「遊技者が選択したキャラクタ(E子)が表示され」るから,「遊技者が選択したキャラクタ(E子)」は,進行の主体となっているといえる。これらのことから,刊行物1発明の「動画キャラクタ画面情報」は,本願補正発明と「この基本的」「画像のデータに重ねて表示可能とされ」「進行の主体となるキャラクタ画像のデータ」である点で共通している。
以上のことから,刊行物1発明の「特図変動表示ゲームが実行される毎に,予め設定された演出1?3のうちいずれか一つの態様が選択され,表示制御装置150のCPUが作成した画面情報(背景画像情報,動画キャラクタ画面情報等)に基づき,変動表示中には遊技者が選択したキャラクタ(E子)が表示され,演出1が選択されたときはリーチ演出は発生しないが,演出2が選択されたときはリーチ演出は発生して遊技者が選択したキャラクタ以外のキャラクタが出現し,演出3が選択されたときはリーチ演出が発生して遊技者が選択したキャラクタが出現する画像表示を画像表示装置25のCPUで行う表示制御装置150を備えた遊技機1」は,本願補正発明と「遊技の進行に基づいて,予め設定された基本的」「画像のデータと,この基本的」「画像のデータに重ねて表示可能とされ」「進行の主体となるキャラクタ画像のデータと,によって構成された演出画像を表示装置に表示する画像表示制御装置を備えた遊技機」である点で共通している。

イ 刊行物1発明の「選択実行画面」及び「(選択実行画面を表示する)スイッチ14」は,それぞれ,本願補正発明の「選択画像」及び「第1の指示手段」に相当する。
刊行物1発明の「デモ画面表示中」は変動表示していない遊技状態であるから,刊行物1発明の「デモ画面表示中」は,本願補正発明の「遊技状態における所定の時期」に相当する。
刊行物1発明は,「遊技者が操作することによって操作信号を送信し,」「選択実行画面を表示」するから,刊行物1発明は本願補正発明の「選択画像を表示させるように指示する」構成を有しているといえる。
以上のことから,刊行物1発明の「デモ画面表示中に遊技者が操作することによって操作信号を送信し,キャラクタの変更が可能となり,選択実行画面を表示するスイッチ14」は,本願補正発明の「遊技状態における所定の時期に有効に機能し,前記キャラクタ画像を選択するための選択画像を表示させるように指示する第1の指示手段」に相当する。

ウ 刊行物1発明の「A子?G子で示す7つのキャラクタが三次元的に奥行方向に円を為して並んでいる選択実行画面を表示」及び「(最前列にいるキャラクタ(図13(B)ではC子)が遊技者に選択されていることを示すように表示する)表示制御装置150」は,それぞれ,本願補正発明の「複数種類のキャラクタ画像の候補を表示」及び「選択画像表示制御手段」に相当する。
刊行物1発明では,「スイッチ14を遊技者が操作すると操作信号が送信され」のときに,「選択実行画面を表示」するから,刊行物1発明の「スイッチ14を操作すると操作信号が送信され」のときは,本願補正発明の「前記第1の指示手段の有効指示があったとき」に相当する。
刊行物1発明では,「最前列にいるキャラクタ(図13(B)ではC子)が遊技者に選択されていることを示すように表示」されており,「最前列にいるキャラクタ」は他のキャラクターより強調して表示されているといえる。
以上のことから,刊行物1発明の「スイッチ14を遊技者が操作すると操作信号が送信され,画像表示装置25に,A子?G子で示す7つのキャラクタが三次元的に奥行方向に円を為して並んでいる選択実行画面を表示し,最前列にいるキャラクタ(図13(B)ではC子)が遊技者に選択されていることを示すように表示する表示制御装置150」は,本願補正発明の「前記第1の指示手段の有効指示があったときに,前記表示装置に,前記演出画像として表示可能な複数種類のキャラクタ画像の候補を表示すると共に,現在選択されているキャラクタ画像を強調して表示する選択画像表示制御手段」に相当する。

エ 刊行物1発明の「(次のキャラクタが最前列に表示される)スイッチ14」は,本願補正発明の「第2の指示手段」に相当する。
刊行物1発明の「画像表示装置25に表示されるこれらのキャラクタ」は,上記ウで検討した「表示制御装置150(選択画像表示制御手段)」が表示する「選択実行画面」の「A子?G子で示す7つのキャラクタ」である。
以上のことから,刊行物1発明の「遊技者の操作によって画像表示装置25に表示されるこれらのキャラクタが時計回りに回転して次のキャラクタが最前列に表示されるスイッチ14」は,本願補正発明の「前記選択画像表示制御手段により前記選択画像が表示されているときに有効に機能し,キャラクタ画像の選択を指示する第2の指示手段」に相当する。

オ 刊行物1発明の「監視タイマ」,「タイムアップ」及び「(確定画面を表示する)表示制御装置150」は,それぞれ,本願補正発明の「タイマ」,「タイムアウト」及び「確定手段」に相当する。
刊行物1発明において,「監視タイマがタイムアップ」するのは,「カウントダウンに基づく」ものであるのか不明であるから,刊行物1発明の「監視タイマがタイムアップした場合」は,本願補正発明と「タイマによる」「タイムアウトになった場合」である点で共通している。
刊行物1発明は,「監視タイマがタイムアップした時点で最前列にあるキャラクタが選択されるようにし,画像表示装置25に,遊技者に選択されたキャラクタに対応する確定画面を表示する」ものであるから,「確定画面を表示する」時点では「選択実行画面」の表示は普通に終了しているといえる。
以上のことから,刊行物1発明の「監視タイマがタイムアップした場合は,画像表示装置25に表示されるキャラクタのうち,監視タイマがタイムアップした時点で最前列にあるキャラクタが選択されるようにし,画像表示装置25に,遊技者に選択されたキャラクタに対応する確定画面を表示する表示制御装置150」は,本願補正発明と「タイマによる」「タイムアウトになった場合,前記第2の指示手段によるキャラクタ画像の選択を確定すると共に,前記選択画像を通常終了させる確定手段」である点で共通している。

カ 刊行物1発明の「監視タイマがタイムアップしていない場合」,「第一特図始動口33又は第二特図始動口35への遊技球の入賞に基づいて出力される特図変動開始コマンドを受信した場合」及び「備え」は,それぞれ,本願補正発明の「前記確定手段による選択確定前」,「前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり」及び「有し」に相当する。
刊行物1発明は,「割り込み処理によって」行っているかは不明であるが,「特図変動開始コマンドを受信した場合は」,「特図変動開始コマンドを受信した時点で最前列にあるキャラクタが自動的に選択され,特図変動表示ゲームを実行する」から,「特図変動表示ゲームを実行する」時点では「選択実行画面」の表示が強制終了しているといえるとともに,「特図変動開始コマンドを受信した時点」よりも後に「選択実行画面」が表示されている状態から「特図変動表示ゲームを実行する」状態になるといえる。
以上のことから,刊行物1発明の「監視タイマがタイムアップしていない場合,第一特図始動口33又は第二特図始動口35への遊技球の入賞に基づいて出力される特図変動開始コマンドを受信した場合は,画像表示装置25に表示されるキャラクタのうち,特図変動開始コマンドを受信した時点で最前列にあるキャラクタが自動的に選択され,特図変動表示ゲームを実行する表示制御装置150とを備え,」は,本願補正発明と「前記確定手段による選択確定前に,前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり,前記第1の指示手段による選択画像の表示指示が強制終了する遊技状態となった場合に,前記確定手段による選択確定処理に対して」「前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段とを有し」の点で共通している。

キ 刊行物1発明の「スイッチ14」は,上記イ,エにおいて既に検討しているように,本願補正発明の「第1の指示手段」,「第2の指示手段」に相当するから,刊行物1発明の「スイッチ14は,一つだけ設けられている」は,本願補正発明の「前記第1の指示手段と第2の指示手段とが共通の操作手段で構成されている」に相当する。

ク 上記ア?キから,本願補正発明と刊行物1発明とは,
[一致点]
「遊技の進行に基づいて,予め設定された基本的画像のデータと,この基本的画像のデータに重ねて表示可能とされ進行の主体となるキャラクタ画像のデータと,によって構成された演出画像を表示装置に表示する画像表示制御装置を備えた遊技機であって,
遊技状態における所定の時期に有効に機能し,前記キャラクタ画像を選択するための選択画像を表示させるように指示する第1の指示手段と,
前記第1の指示手段の有効指示があったときに,前記表示装置に,前記演出画像として表示可能な複数種類のキャラクタ画像の候補を表示すると共に,現在選択されているキャラクタ画像を強調して表示する選択画像表示制御手段と,
前記選択画像表示制御手段により前記選択画像が表示されているときに有効に機能し,キャラクタ画像の選択を指示する第2の指示手段と,
タイマによるタイムアウトになった場合,前記第2の指示手段によるキャラクタ画像の選択を確定すると共に,前記選択画像を通常終了させる確定手段と,
前記確定手段による選択確定前に,前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり,前記第1の指示手段による選択画像の表示指示が強制終了する遊技状態となった場合に,前記確定手段による選択確定処理に対して,前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段とを有し,
前記第1の指示手段と第2の指示手段とが共通の操作手段で構成されていることを特徴とする遊技機。」である点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
「予め設定された基本的画像のデータ」に関して,
本願補正発明は,「基本的ストーリー画像のデータ」であるのに対して,
刊行物1発明は,「背景画像情報(基本的画像のデータ)」にストーリーがあるか不明である点。

[相違点2]
「この基本的画像のデータに重ねて表示可能とされ進行の主体となるキャラクタ画像のデータ」に関して,
本願補正発明は,「この基本的ストーリー画像のデータに重ねて表示可能とされ前記基本的ストーリー画像のデータの進行の主体となるキャラクタ画像のデータ」であるのに対して,
刊行物1発明は,「背景画像情報(基本的画像のデータ)」にストーリーがあるか不明であるため,このような構成であるか不明である点。

[相違点3]
「タイマによるタイムアウト」に関して,
本願補正発明は,「タイマによるカウントダウンに基づくタイムアウト」であるのに対して,
刊行物1発明は,「監視タイマ(タイマ)がタイムアップ(タイムアウト)」するが,「カウントダウンに基づく」のか不明である点。

[相違点4]
「前記確定手段による選択確定処理に対して,前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段」に関して,
本願補正発明は,「前記確定手段による選択確定処理に対して割り込み処理によって」行うのに対して,
刊行物1発明は,「割り込み処理によって」行うか不明である点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1?2について
相違点1?2は関連するので,まとめて検討する。
遊技機において,興趣性向上のために,背景画像等の「基本的画像のデータ」をストーリーがあるようにすることは,例示するまでもなく周知慣用技術(以下「慣用技術1」という。)である。
刊行物1発明において,上記慣用技術1を適用して,上記相違点1?2に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。

イ 相違点3について
「タイマによるタイムアウト」を「カウントダウンに基づく」ようにすることは,例示するまでもなく技術常識(以下「技術常識」という。)にすぎない。
刊行物1発明において,上記技術常識を適用して,上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。

ウ 相違点4について
遊技機において,「割り込み処理」を行うことは,特開2000-116884号公報(段落【0069】,図10?11等参照),特開2000-61120号公報(段落【0028】,【0037】,図8等参照),特開平6-296741号公報(段落【0017】?【0018】,図6等参照)にも記載されているように周知慣用技術(以下「慣用技術2」という。)である。
刊行物1発明において,上記慣用技術2を適用して,上記相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。

そして,本願補正発明の作用効果も,刊行物1発明,上記慣用技術1?2及び上記技術常識から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願補正発明は,刊行物1発明,上記慣用技術1?2及び上記技術常識に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成25年4月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
遊技の進行に基づいて,予め設定された基本的ストーリー画像データと,この基本的ストーリー画像データに重ねて表示可能とされ前記基本的ストーリー画像データの進行の主体となるキャラクタ画像データと,によって構成された演出画像を表示装置に表示する画像表示制御装置を備えた遊技機であって,
前記遊技状態における所定の時期に有効に機能し,前記キャラクタ画像を選択するための選択画像を表示させるように指示する第1の指示手段と,
前記第1の指示手段の有効指示があったときに,前記表示装置に,前記演出画像として表示可能な複数種類のキャラクタ画像の候補を表示すると共に,現在選択されているキャラクタ画像を強調して表示する選択画像表示制御手段と,
前記選択画像表示制御手段により前記選択画像が表示されているときに有効に機能し,キャラクタ画像の選択を指示する第2の指示手段と,
タイマによるカウントダウンに基づくタイムアウトになった場合,前記第2の指示手段によるキャラクタ画像の選択を確定すると共に,前記選択画像を通常終了させる確定手段と,
前記確定手段による選択確定前に,前記遊技の進行に変化をもたらす契機となる始動入賞口に遊技球の入賞があり,前記第1の指示手段による選択画像の表示指示が強制終了する遊技状態となった場合に,前記選択画像の表示が強制終了する直前までに前記第2の指示手段で選択されたキャラクタ画像を選択画像とする選択制御手段とを有し,
前記第1の指示手段と第2の指示手段とが共通の操作手段で構成されていることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1記載の発明は,上記「第2 2(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,上記「第2 1」で検討した本願補正発明から,実質的な変更とならない特定事項を除き,「前記確定手段による選択確定処理に対して割り込み処理によって,」との限定を付加した部分を削除したものである。
そうすると,本願発明と刊行物1発明の相違点は,上記「第2 2(2)」の[相違点4]の構成を削除したものであるから,本願発明は,刊行物1発明,上記慣用技術1及び上記技術常識に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-10 
結審通知日 2015-03-17 
審決日 2015-03-31 
出願番号 特願2009-61229(P2009-61229)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 剛史  
特許庁審判長 杉浦 淳
特許庁審判官 中田 誠
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  
代理人 福田 浩志  

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