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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1300897
審判番号 不服2014-7920  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-28 
確定日 2015-05-14 
事件の表示 特願2012-507579「通信装置、通信方法、及び基地局」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月 2日国際公開、WO2010/135924、平成24年10月22日国内公表、特表2012-525739〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2010年3月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年5月25日 中国)を国際出願日とする出願であって,平成26年1月20日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年4月28日に審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。


第2 補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年4月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は,平成25年9月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項8に記載された
「【請求項8】
基地局であって、
使用するべきMIMOモードを決定するMIMOモード決定ユニットと、
決定された前記MIMOモードを、前記基地局がサービスしている端末に通知する通知ユニットと、
プレコーディング行列に関係する情報を前記端末から受信する受信ユニットと、
前記決定されたMIMOモードがMU-MIMOモードである際に、前記端末からの前記プレコーディング行列に関係した前記情報に基づいて端末をグループ化する端末グループ化ユニットと、
を有し、且つ、
前記プレコーディング行列は少なくとも2つのプレコーディング行列であって、1つは、フィードバックを実行している端末自身による使用が予想されている第1のプレコーディング行列であり、もう1つは、その端末とマッチングするユーザーによる使用が予想されている第2のプレコーディング行列である、基地局。」
という発明を,
「【請求項7】
基地局であって、
使用するべきMIMOモードを決定するMIMOモード決定ユニットと、
決定された前記MIMOモードを、前記基地局がサービスしている端末に通知する通知ユニットと、
プレコーディング行列に関係する情報を前記端末から受信する受信ユニットと、
前記決定されたMIMOモードがMU-MIMOモードである際に、前記端末からの前記プレコーディング行列に関係した前記情報に基づいて端末をグループ化する端末グループ化ユニットと、
を有し、且つ、
前記プレコーディング行列は少なくとも2つのプレコーディング行列であって、1つは、フィードバックを実行している端末自身による使用が予想されている第1のプレコーディング行列であり、もう1つは、その端末とマッチングするユーザーによる使用が予想されている第2のプレコーディング行列であり、
前記使用するべきMIMOモードが複数基地局連携型MIMOモードである際に、決定された前記MIMOモードに基づいてプレコーディング行列を決定するプレコーディング行列情報決定ユニットは、
サービング基地局と前記端末との間の通信において使用するべきプレコーディング行列と、前記端末と同一グループにグループ化可能な隣接セル内のその他の端末と前記サービング基地局の隣接基地局との間の通信において使用するべきプレコーディング行列を決定する、基地局。」
という発明に変更することを含むものである。

2 補正の適否
(1)新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件
上記補正は,本件補正前の請求項8に,「前記使用するべきMIMOモードが複数基地局連携型MIMOモードである際に、決定された前記MIMOモードに基づいてプレコーディング行列を決定するプレコーディング行列情報決定ユニットは、サービング基地局と前記端末との間の通信において使用するべきプレコーディング行列と、前記端末と同一グループにグループ化可能な隣接セル内のその他の端末と前記サービング基地局の隣接基地局との間の通信において使用するべきプレコーディング行列を決定する」との構成を新たに付加する補正をするものである。(当審注.下線は補正箇所を示し,当審で付加したもの。)
当該構成に関して,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には,「端末50は、MIMOモード決定ユニット51と、PMI決定ユニット52と、フィードバックユニット53と、を含む。」(【0066】)及び「PMI決定ユニット52は、決定されたMIMOモードに従って、フィードバックするPMIを決定する。詳しくは、シングルユーザーMIMOモードの場合には、PMI決定ユニット52は、その単一のユーザーの2つのデータストリーム(又は、2つを上回る数のPMIが存在する際には、更に多くのデータストリーム)によって使用されるPMIを決定する。MU-MIMOモード及びマルチセルMIMOモードの場合には、PMI決定ユニット52は、端末自体による使用が予想されているPMIと、グループ化されるユーザーによる使用が予想されているPMIと、を決定する。」(【0068】)との記載があるのみで,基地局がプレコーディング行列を決定することまで記載されているとはいえない。また,基地局がプレコーディング行列を決定することは,当初明細書等の記載から自明でもなく,新たな技術的事項を導入するものであるから,上記補正は当初明細書等に記載した事項の範囲を超えており,特許法第17条の2第3項に適合しない。
また,補正前の発明には存在しない「前記使用するべきMIMOモードが複数基地局連携型MIMOモードである際に、決定された前記MIMOモードに基づいてプレコーディング行列を決定するプレコーディング行列情報決定ユニットは、サービング基地局と前記端末との間の通信において使用するべきプレコーディング行列と、前記端末と同一グループにグループ化可能な隣接セル内のその他の端末と前記サービング基地局の隣接基地局との間の通信において使用するべきプレコーディング行列を決定する」との構成を新たに追加するものであるから,上記補正の目的は,特許法第17条の2第5項ただし書き各号に該当しない。このため,特許法第17条の2第4項にも適合しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件
上記(1)のとおりであるが,仮に,上記補正の目的が特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであったとしても,発明の詳細な説明には,端末がプレコーディング行列を決定することについて記載されているのみであり,基地局がプレコーディング行列を決定することは,記載も示唆もされておらず,自明でもないから,特許法第36条第6項1号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(なお,審判請求書において,請求人は審判請求の理由として,補正後の請求項1,7及び9について,引用文献1には,複数基地局連携型MIMOモードについては記載されておらず,引用文献2には,複数基地局連携型MIMOモードが記載されているものの,サービング基地局と隣接基地局のプレコーディング行列に関して言及していない旨の主張をしている。
しかしながら,原査定の拒絶の理由に引用された,Samsung,Inter-Cell Interference Mitigation Through Limited Coordination[online],3GPP TSG-RAN WG1#54 R1-082886,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_54/Docs/R1-082886.zip>,2008年 8月12日(引用文献2)の4.2PMICoordinationの章及び図1,6には,マルチセルMIMOにおいて,サービング基地局との間の通信で使用したいPMIと,隣接セルの基地局と他のユーザ端末との間の通信での使用を望むPMIとをサービング基地局にフィードバックするユーザ端末について記載されている。すなわち,サービング基地局と隣接基地局のプレコーディング行列についての記載があるから,上記主張は採用できない。
そして,国際公開第2009/026769号(引用文献1)には,MU-MIMOモードとSU-MIMOモードとを切り替え,MU-MIMOモードでは,基地局と自機のユーザ装置との間の通信において使用するべきプリコーディングベクトルインデックスと,基地局とペアリング可能な他のユーザ装置との間の通信において使用するべきプリコーディングベクトルインデックスとを基地局にフィードバックすることについて記載されており,引用文献1のMIMO通信に,引用文献2のマルチセルMIMO通信の構成を適用することは,当業者にとって容易である。
したがって,補正後の請求項1及び9に係る発明についても,拒絶査定に記載のとおり,引用文献1及び2とから当業者が容易に想到し得たものであるから,上記審判請求の理由によっても進歩性を認めることはできない。)

3 むすび
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に違反し,更に特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定にも違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明の容易想到性について
1 本願発明
平成26年4月28日に提出された手続補正書による手続補正は前記のとおり却下されたので,本願発明は,平成25年9月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項8に記載された事項により特定される,次のとおりのものと認める。
「【請求項8】
基地局であって、
使用するべきMIMOモードを決定するMIMOモード決定ユニットと、
決定された前記MIMOモードを、前記基地局がサービスしている端末に通知する通知ユニットと、
プレコーディング行列に関係する情報を前記端末から受信する受信ユニットと、
前記決定されたMIMOモードがMU-MIMOモードである際に、前記端末からの前記プレコーディング行列に関係した前記情報に基づいて端末をグループ化する端末グループ化ユニットと、
を有し、且つ、
前記プレコーディング行列は少なくとも2つのプレコーディング行列であって、1つは、フィードバックを実行している端末自身による使用が予想されている第1のプレコーディング行列であり、もう1つは、その端末とマッチングするユーザーによる使用が予想されている第2のプレコーディング行列である、基地局。」

2引用文献の記載と引用発明
(1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された,国際公開第2009/026769号(以下「引用文献」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
ア「[0007] Fig. 2 shows an example of precoding scheme for 2-user 2-Tx MU-MIMO. As shown in Fig. 2, the data for user 1 (di) and the data for user 2 (d 2) are weighted by vectors [W 11 , W 12], and [w 21 , W 22], respectively, and are added together on each transmitter. In this example, precoding vectors [W 11 , W 12], and [w 21 , W 22] are selected from one common codebook known to both base station and user equipments. At each receiver, the data can be extracted by utilizing the interference avoidance nature of precoding codebook.」
([当審仮訳]:
[0007] 図2は2ユーザ、2送信、マルチユーザMIMOのプリコーディング方式の一例を示している。図2に示したように、各送信機において、ユーザ1のデータ(d1)とユーザ2のデータ(d2)をベクトル[w11,w12]と[w21,w22]により重み付けして、足し合わせる。この例では、プリコーディングベクトル[w11,w12]と[w21,w22]を、基地局とユーザ装置の両方で既知の共通コードブックから選択する。各受信器は、プリコーディングコードブックの干渉回避性を用いてデータを取り出すことができる。)

イ「 [0026] Fig. 4 is a schematic block diagram of the feedback unit 17 shown in Fig. 3. The feedback unit 17 includes a CQI calculating unit 18, a PVI determination unit 19, a codebook 20, and a transmitting unit 21.
[0027] The codebook 20 contains codewords for precoding data streams transmitted from a control station (e.g. a base station). The CQI calculating unit 18 generates a channel quality indictor (CQI) based on the estimated channel matrix information. In this embodiment, the CQI calculating unit 18 calculates the biggest SNR, and at least one smallest SNR as the CQIs. The SNR is computed by assuming that there are precoding weighting at the control station, and also prescribed MIMO decoding method at the UE side, such as ZF (Zero-Forcing) or MMSE (Minimal Mean Squire Error), or other methods. The precoding weighting vector is determined by the PVI determination unit 19. The PVI determination unit 19 selects the appropriate precoding codewords corresponding the biggest SNR and at least one smallest SNR from the codebook 20. One PVI corresponds to one codeword in the codebook 20 by predetermined mapping rule which is known to both control station and user equipments.
[0028] Further, PVIs of the determined codewords and the CQIs are feedbacked to the base station by the transmitting unit 21.
[0029] Fig. 5 is a schematic block diagram of the base station in the first embodiment. As shown in Fig. 5, the base station comprises a plurality of transmitting antennas 36, and an FECMod unit 31 (FEC: Forward Error Correction, a kind of channel coding), an IFFT (Inverse Fast Fourier Transform) unit 33 and a CP adding unit 34, number of which corresponds to the number of the transmitting antennas 31, and a precoding unit 32, a scheduling and rate matching unit 35.
[0030] The scheduling and rate matching unit 35 is equipped with a codebook that contains the same contents as that in all user equipments, group users having the matching codeword, and schedules and determines the data rate based on the CQI(Channel Quality Indictor) and PVI (Precoding Vector Index) feedbacked from the user equipments. The FECMod unit 31 performs channel-coding and modulation on the data for each user. The precoding unit 32 precodes the user data with the determined precoding vectors, and combines data from all users. The IFFT unit 33 performs IFFT transformation on the precoded data, and the CP adding unit 34 adds Cyclic Prefix (CP) to the IFFT-transformed data, then the transmitting antennas 31 transmit the data. 」
([当審仮訳]:
[0026] 図4は、図3に示したフィードバック部17を示すブロック図である。フィードバック部17はCQI計算部18、PVI決定部19、コードブック20、及び送信部21を含む。
[0027] コードブック20は、制御局(例えば基地局)から送信されるデータストリームをプリコーディングするコードワードを含む。CQI計算部18は、推定したチャネルマトリックス情報に基づきCQI(チャネル品質指標)を生成する。この実施形態では、CQI計算部18がCQIとして最大SNRと少なくとも1つの最小SNRとを計算する。SNRの計算は、制御局においてプリコーディングによる重み付けがあり、UEにおいて上記のMIMO復号方法(例えばZF(ゼロフォーシング)、MMSE(最小二乗平均エラー)等)があると仮定して計算する。プリコーディング重み付けベクトルはPVI決定部19により決定される。PVI決定部19は、コードブック20から、最大SNRに対応する適切なプリコーディングコードワードと、少なくとも1つの最小SNRとに対応する適切なプリコーディングコードワードとを選択する。制御局とユーザ装置の両方が知っている所定のマッピング規則により、1つのPVIがコードブック20中の1つのコードワードに対応している。
[0028] さらに、決定されたコードワードのPVIとCQIは、送信部21により基地局にフィードバックされる。
[0029] 図5は、第1の実施形態による基地局を示すブロック図である。図5に示したように、基地局は、複数の送信アンテナ36、送信アンテナの数に対応する数のFEC&MOD部31(FECは前方誤り訂正というチャネル符号化の一種)、IFFT(逆高速フーリエ変換)部33、及びCP付加部34、プリコーディング部32、及びスケジューリング及びレートマッチング部35を含む。
[0030] スケジューリング及びレートマッチング部35は、すべてのユーザ装置で同じ内容を含むコードブックを備え、グループユーザが有するコードワードは一致する。スケジューリング及びレートマッチング部35は、ユーザ装置からフィードバックされるCQI(チャネル品質指標)とPVI(プリコーディングベクトルインデックス)に基づき、スケジューリング及びデータレートの決定を行う。FEC&MOD部31は、各ユーザのデータに対してチャネル符号化と変調を行う。プリコーディング部32は、決定したプリコーディングベクトルでユーザデータをプリコーディングし、すべてのユーザからのデータを結合する。IFFT部33が、プリコーディングしたデータにIFFTを行う。CP付加部34が、逆高速フーリエ変換をしたデータにサイクリックプレフィックスを付加する。そして、送信アンテナ31がデータを送信する。)

ウ「[0033] In the first embodiment, the scheduling and rate matching unit 35 is to find the best transmission mode between MU-MIMO and SU-MIMO, where, in SU-MIMO, one user with the best performance metric is selected among all K user equipments (sometimes simply referred to as user hereinafter), while in MU-MIMO mode, a pair of two users with the best performance metric is selected among all candidate pairs which satisfy the codeword pairing condition described in the following text.
[0034] For sake of convenience, users k and j are taken as example to describe the first embodiment, assuming codewords of users k and j satisfy the pairing condition of perfect match or half match described in the following case 1 and case 2. There may exist more than one pair of users satisfying the pairing conditions, in such a case, the best pair is determined. If there is no pair of users satisfying the pairing condition, the base station switches to SU-MIMO mode, allowing only one user to transmit.」
([当審仮訳]:
[0033] 第1の実施形態では、スケジューリング及びレートマッチング部35は、MU-MIMOとSU-MIMOのうち最良の送信モードを見いだす。SU-MIMOモードでは、全部でK個のユーザ装置(以下、単に「ユーザ」とも呼ぶ)のうち最も性能測定基準がよい1つのユーザを選択し、MU-MIMOモードでは、以下に説明するコードワード・ペアリング条件を満たすすべての候補ペアのうち最も性能測定基準がよいペアを選択する。
[0034] 便宜上、第1の実施形態を説明する例としてユーザkとjとを取り、ユーザkとjのコードワードが以下のケース1とケース2で説明する「完全一致」または「半分一致」のペアリング条件を満たすものと仮定する。ペアリング条件を満たすユーザペアは2つ以上あるかも知れないが、そのような場合は最良のペアを決定する。ペアリング条件を満たすユーザペアが無い場合、基地局はSU-MIMOモードに切り替え、1個のユーザにのみ送信をさせる。)

エ「[0035] In the first embodiment, the feedback unit 17 of each of user j and user k generates and feedbacks two groups of parameters, respectively: the maximum SNR and corresponding codeword index, and the minimal SNR and corresponding codeword index, as denoted by the following equations.

[0036] Specifically, the CQI calculating unit 18 calculates a CQI value for each codeword in the codebook 20, the PVI determination unit 19 determines the largest one among the calculated values as CQI_(1)^(k), and determines the index of the codeword corresponding to CQI_(1)^(k) as w_(1)^(k). On the other hand, the PVI determination unit 19 determines the smallest one among the calculated values as CQI_(2)^(k) , and determines the index of the codeword corresponding to CQI_(2)^(k) as w_(2)^(k) .
[0037] In other words, w_(1)^(k) is the codeword user k most expects, w_(2)^(k )is the codeword user k hope the other user to use. The two kinds of CQI reflect the effective channel gain and effective interference power.
[0038] The transmitting unit 21 of user k transmits w_(1)^(k) ,w_(2)^(k) and corresponding CQI_(1)^(k) ,CQI_(2)^(k) to the base station via uplink channel.
Similarly, user j generates w_(1)^(j) , w_(2)^(j) and corresponding CQI_(1)^(j) , CQI_(2)^(j) . Then the transmitting unit 21 of user j transmits w_(1)^(j) , w_(2)^(j) and corresponding CQI_(1)^(j) , CQI_(2)^(j) to the base station via uplink channel.
[0039] w_(1)^(k) ,w_(2)^(k) , w_(1)^(j) , w_(2)^(j) and corresponding CQI_(1)^(k) , CQI_(2)^(k) , CQI_(1)^(j) , CQI_(2)^(j) are received by the base station and transferred to the scheduling and rate matching unit 35. The scheduling and rate matching unit 35 schedules user k and user j based on the feedback w_(1)^(k), w_(2)^(k) w_(1)^(j) , w_(2)^(j) .」
([当審仮訳]:
[0035] 第1の実施形態では、ユーザjとユーザkの各々のフィードバック部17は、それぞれ、次の式で示すような、最大SNRとそれに対応するコードワードインデックス、及び最小SNRとそれに対応するコードワードインデックスであるパラメータの2つのグループを生成してフィードバックする:。
(6)式は省略
[0036] 具体的には、CQI計算部18がコードブック20の各コードワードのCQI値を計算し、PVI決定部19が計算値のうち最大のものをCQI_(1)^(k)とし、CQI_(1)^(k)に対応するコードワードのインデックスをw_(1)^(k)とする。一方、PVI決定部19が計算値のうち最小のものをCQI_(2)^(k)とし、CQI_(2)^(k)に対応するコードワードのインデックスをw_(2)^(k)とする。
[0037] 換言すると、w_(1)^(k)はユーザkが最も期待するコードワードであり、w_(2)^(k)は他のユーザが使用することをユーザkが望むコードワードである。2種類のCQIは有効チャネルゲインと有効干渉パワーを反映している。
[0038] ユーザkの送信部21は、上りリンクチャネルを介して基地局にw_(1)^(k)、w_(2)^(k)及び対応するCQI_(1)^(k)、CQI_(2)^(k)を送信する。同様に、ユーザjはw_(1)^(j)、w_(2)^(j)及び対応するCQI_(1)^(j)、CQI_(2)^(j)を生成する。次に、ユーザjの送信部21は、上りリンクチャネルを介して基地局にw_(1)^(j)、w_(2)^(j)及び対応するCQI_(1)^(j)、CQI_(2)^(j)を送信する。
[0039] w_(1)^(k)、w_(2)^(k)、w_(1)^(j)、w_(2)^(j)及び対応するCQI_(1)^(k)、CQI_(2)^(k)、CQI_(1)^(j)、CQI_(2)^(j)は、基地局に受信され、スケジューリング及びレートマッチング部35に送られる。スケジューリング及びレートマッチング部35は、フィードバックされたw_(1)^(k)、w_(2)^(k)、w_(1)^(j)、w_(2)^(j)に基づきユーザkとユーザjをスケジューリングする。)

オ「[0040] These two users are paired if their codewords satisfy the following perfect match or half match condition.
Case 1 : Perfect match
[0041] In this case, w_(1)^(k) and w_(2)^(k) match w_(1)^(j) , w_(2)^(j) perfectly, i.e.,
w_(1)^(k)=w_(2)^(j )And w_(2)^(k)=w_(1)^(j) (7)
(中略)
Case 2: Half match
[0043] In this case, w_(1)^(k) matches w_(2)^(j) while w_(2)^(k) does not match w_(1)^(j) , ^( )or w_(2)^(k) match w_(1)^(j) while w_(1)^(k) does not matches w_(2)^(j) , i.e.,
w_(1)^(k)=w_(2)^(j )or w_(2)^(k)=w_(1)^(j) (10)」
([当審仮訳]:
[0040] コードワードが次の「完全一致」または「半分一致」の条件を満たす場合、2つのユーザはペアとなる。
ケース1:完全一致
[0041] この場合、w_(1)^(k)とw_(2)^(k)はw_(1)^(j)、w_(2)^(j)と完全に一致する。すなわち
w_(1)^(k)=w_(2)^(j )And w_(2)^(k)=w_(1)^(j) (7)
(中略)
ケース2:半分一致
[0043]この場合、w_(1)^(k)はw_(2)^(j)と一致するがw_(2)^(k)はw_(1)^(j)と一致しないか、またはw_(2)^(k)はw_(1)^(j)と一致するがw_(1)^(k)はw_(2)^(j)と一致しない。すなわち、
w_(1)^(k)=w_(2)^(j )or w_(2)^(k)=w_(1)^(j) (10))

カ「[0055] The scheduling and rate matching unit 35 in the base station compare the performance metric for MU-MIMO and SU-MIMO, and switches to the mode with preferred performance metric. For example, the scheduling and rate matching unit 35 selects a mode with the bigger sum-rate from R_(MU - MIMO) and R_(SU - MIMO) as shown in equation (21) and (23). After deciding the transmission mode, MU-MIMO or SU-MIMO mode, the scheduling and rate matching unit 35 decide the data rate for the user in SU-MIMO mode, or the data rates for each user in MU-MIMO mode. In SU-MIMO mode, the data rate can be directly determined by the CQI_(1) of the selected user, with predetermined mapping function, such as capacity or transmission error rate. When in MU-MIMO mode, the data rate for each user can be directly determined by the effective CQI of each user of the selected pair, by predetermined mapping function, such as capacity or transmission error rate.
[0056] According to the first embodiment of the invention, the user equipments feedback to the base station not only codeword excepted to be used by itself, but also codeword expected to be used by the other user equipment, and the base station schedule users based on the feedback codewords. With this configuration, users can be scheduled appropriately, more advantageously, adaptive switch between MU-MIMO and SU-MIMO is enabled without loss of throughput. Furthermore, effective SINR can be determined more accurately, and sufficient throughput gain can be guaranteed.」
([当審仮訳]:
[0055] 基地局のスケジューリング及びレートマッチング部35は、MU-MIMOとSU-MIMOの性能測定基準を比較して、性能測定基準が好ましいモードに切り替える。例えば、スケジューリング及びレートマッチング部35は、式(21)と(23)に示したように、RMU-MIMOとRSU-MIMOのうち合計レートが大きい方のモードを選択する。スケジューリング及びレートマッチング部35は、MU-MIMOまたはSU-MIMOの送信モードを決定した後、SU-MIMOではユーザのデータレートを決定し、またはMU-MIMOでは各ユーザのデータレートを決定する。SU-MIMOモードでは、データレートは、キャパシティや送信エラーレート等の所定のマッピング関数により、選択したユーザのCQI_(1)により直接決定できる。MU-MIMOモードでは、各ユーザのデータレートは、キャパシティや送信エラーレート等の所定のマッピング関数により、選択したペアの各ユーザの有効CQIにより直接決定できる。
[0056]本発明の第1の実施形態では、ユーザ装置は自機が使用する予定のコードワードだけでなく、他のユーザ装置が使用する予定のコードワードも、基地局にフィードバックする。そして、基地局はフィードバックされたコードワードに基づきユーザをスケジューリングする。この構成により、ユーザを適切にスケジューリングでき、より有利なことには、スループットの損失無しに、MU-MIMOとSU-MIMOとの間の適応的切り替えが可能となる。さらに、有効SINRをより正確に決定でき、十分なスループットゲインを保証できる。)

(2) 引用発明
ア 上記(1)ウ及び図5によれば,引用文献には,MU-MIMOモードとSU-MIMOモードのうち最良の送信モードを見いだすスケジューリング及びレートマッチング部を有する基地局について記載されている。

イ 上記(1)イの[0030]及び図5によれば,引用文献には,基地局のスケジューリング及びレートマッチング部35は,ユーザ装置からPVI(プリコーディングベクトルインデックス)がフィードバックされることについて記載されている。
したがって,引用文献において,基地局は,ユーザ装置からのプリコーディングベクトルインデックスのフィードバックを受信する手段を有することは明らかである。

ウ 上記(1)ア,イの[0027],[0030],及びエから,引用文献には,ユーザkのユーザ装置は,最大SNRとなるユーザkが最も期待するコードワードw_(1)^(k)のインデックスと最小SNRとなる他のユーザが使用することをユーザkが望むコードワードw_(2)^(k)のインデックスをプリコーディングベクトルインデックスとしてフィードバックし,ユーザjのユーザ装置も,最大SNRとなるユーザjが最も期待するコードワードw_(1)^(j)のインデックスと最小SNRとなる他のユーザが使用することをユーザjが望むコードワードw_(2)^(j)のインデックスをプリコーディングベクトルインデックスとしてフィードバックすることについて記載されていると認められる。
したがって,引用文献において,フィードバックするプリコーディングベクトルインデックスは,ユーザ装置が最も期待するコードワードのインデックスと,ペアとなるユーザ装置が使用することを望むコードワードのインデックスであると認められる。
そして,上記(1)ウ及びオによれば,引用文献には,基地局は,MU-MIMOモードでは,各ユーザ装置から基地局にフィードバックされたプリコーディングベクトルインデックスw_(1)^(k),w_(2)^(k),w_(1)^(j),w_(2)^(j)に基づいて,w_(1)^(k)=w_(2)^(j)かつw_(2)^(k)=w_(1)^(j)を満たす「完全一致」,または,w_(1)^(k)=w_(2)^(j)またはw_(2)^(k)=w_(1)^(j)を満たす「半分一致」の場合に,2つのユーザ装置をペアとすることについて記載されている。
したがって,引用文献において,基地局は,MU-MIMOモードでは,各ユーザ装置から基地局にフィードバックされたプリコーディングベクトルインデックスに基づいて,2つのユーザ装置をペアとする手段を有することは明らかである。

上記アないしウより,引用文献には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「基地局であって,
MU-MIMOモードとSU-MIMOモードのうち最良の送信モードを見いだすスケジューリング及びレートマッチング部と,
ユーザ装置からのプリコーディングベクトルインデックスのフィードバックを受信する手段と,
送信モードがMU-MIMOモードでは,各ユーザ装置からフィードバックされたプリコーディングベクトルインデックスに基づいて,2つのユーザ装置をペアとする手段と,
を有し,
フィードバックするプリコーディングベクトルインデックスは,ユーザ装置が最も期待するコードワードのインデックスと,ペアとなるユーザ装置が使用することを望むコードワードのインデックスである,基地局。」

3 本願発明と引用発明との対比
(1) 対比
ア 引用発明における「スケジューリング及びレートマッチング部」は,MU-MIMOモードとSU-MIMOモードのうち最良の送信モードを見いだすことによって,MU-MIMOモードとSU-MIMOモードのいずれかを決定していることは明らかであるから,本願発明の「使用するべきMIMOモードを決定するMIMOモード決定ユニット」に相当するといえる。
そうすると,引用発明は,本願発明における「使用するべきMIMOモードを決定するMIMOモード決定ユニット」に相当する構成を備えるということができる。

イ 上記2(1)ア,イの[0027]及び(2)ウより,引用発明における「プリコーディングベクトルインデックス」は,基地局が送信するデータストリームのプリコーディングに用いるプリコーディング行列を構成する2つのコードワードのインデックスであるから,本願発明における「プレコーディング行列に関係する情報」に相当するといえる。
そして,引用発明における「ユーザ装置」は,本願発明における「端末」を含むものであることは明らかである。
また,引用発明における「受信する手段」は,ユーザ装置からのプリコーディングベクトルインデックスのフィードバックを受信しているから,本願発明における「受信ユニット」に相当するといえる。
そうすると,引用発明は,本願発明における「プレコーディング行列に関係する情報を前記端末から受信する受信ユニット」に相当する構成を備えるということができる。

ウ 上記2(2)ウのとおり,引用発明は,各ユーザ装置から基地局にフィードバックされたプリコーディングベクトルインデックスに基づいて,各ユーザ装置をペアとしている。
そして,本願発明における「グループ化」とは,2つのユーザをマッチングすることであるから,引用発明における「2つのユーザ装置をペアとする手段」は,本願発明における「端末をグループ化する端末グループ化ユニット」に相当するといえる。
そうすると,引用発明は,本願発明における「前記決定されたMIMOモードがMU-MIMOモードである際に,前記端末からの前記プレコーディング行列に関係した前記情報に基づいて端末をグループ化する端末グループ化ユニット」に相当する構成を備えるということができる。

エ 上記2(1)ア及び(2)ウのとおり,引用発明における「ユーザ装置が最も期待するコードワード」は,ユーザk自身が使用する予定のコードワードw_(1)^(k)であり,コードワードw_(1)^(k)はプリコーディング行列の一部を構成するから,本願発明の「フィードバックを実行している端末自身による使用が予想されている第1のプレコーディング行列」に相当するといえる。
また,上記2(1)ア及び(2)ウのとおり,「ペアとなるユーザ装置が使用することを望むコードワード」は,ユーザkとペアとなるユーザjが使用するコードワードw_(2)^(k)(=w_(1)^(j))あり,コードワードw_(2)^(k)はプリコーディング行列の一部を構成するから,本願発明の「その端末とマッチングするユーザーによる使用が予想されている第2のプレコーディング行列」に相当するといえる。
そうすると,引用発明は,本願発明における「前記プレコーディング行列は少なくとも2つのプレコーディング行列であって、1つは、フィードバックを実行している端末自身による使用が予想されている第1のプレコーディング行列であり、もう1つは、その端末とマッチングするユーザーによる使用が予想されている第2のプレコーディング行列である」に相当する構成を備えるということができる。

(2) 一致点及び相違点
上記(1)から,本願発明と引用発明との一致点と相違点は,次のとおりである。
[一致点]
「基地局であって,
使用するべきMIMOモードを決定するMIMOモード決定ユニットと,
プレコーディング行列に関係する情報を前記端末から受信する受信ユニットと,
前記決定されたMIMOモードがMU-MIMOモードである際に,前記端末からの前記プレコーディング行列に関係した前記情報に基づいて端末をグループ化する端末グループ化ユニットと,
を有し,且つ,
前記プレコーディング行列は少なくとも2つのプレコーディング行列であって、1つは、フィードバックを実行している端末自身による使用が予想されている第1のプレコーディング行列であり、もう1つは、その端末とマッチングするユーザーによる使用が予想されている第2のプレコーディング行列である,基地局。」

[相違点]
本願発明は,「決定された前記MIMOモードを,前記基地局がサービスしている端末に通知する通知ユニット」を備えているのに対し,引用発明では,使用するべきMIMOモードを決定するものの,本願発明のように,決定したMIMOモードを,基地局がサービスしている端末に通知することについて特定されていない点。

(3) 相違点についての検討
基地局とユーザ装置との間で通信を行うために,同じ通信モードを設定する必要があることは,明らかであるから,基地局からユーザ装置に設定する通信モードを通知するようにすることは,普通に行い得ることである。
そして,上記2(1)ウの[0034]によれば,引用文献には,ペアリング条件を満たすペアがない場合,基地局はSU-MIMOモードに切り替えることについて記載されているところ,基地局とユーザ装置との間で通信を行うために,同じ通信モードを設定する必要があることは明らかであるから,基地局において決定した通信モードをユーザ装置に通知するようにすることは,普通に行い得ることである。
したがって,引用発明において,「基地局」がMU-MIMOモードとSU-MIMOモードとを切り替えた時の送信モードを,ユーザ装置に通知するための「通知ユニット」を備えるように構成すること(相違点に係る構成とすること)は、当業者が容易に成し得ることである。

そして,本願発明の作用効果も引用発明から想到される構成から当業者が予測し得る範囲のものである。

4 まとめ
以上のとおり,本願の請求項8に係る発明(本願発明)は,引用文献に記載の発明(引用発明)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。


第4 結言

したがって,本願の請求項8に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-10 
結審通知日 2015-03-17 
審決日 2015-03-30 
出願番号 特願2012-507579(P2012-507579)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (H04J)
P 1 8・ 161- Z (H04J)
P 1 8・ 121- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 洋  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 高野 美帆子
萩原 義則
発明の名称 通信装置、通信方法、及び基地局  
代理人 伊坪 公一  
代理人 樋口 外治  
代理人 青木 篤  

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