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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B23K
管理番号 1300970
審判番号 不服2013-24473  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-12 
確定日 2015-05-13 
事件の表示 特願2010-504634「少なくとも1つの非プレート状の構成要素を備えた複合体を製造する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月30日国際公開、WO2008/128949、平成22年 7月22日国内公表、特表2010-524698〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成20(2008)年4月17日(パリ条約による優先権主張平成19(2007)年4月24日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする特許出願であって、平成24年10月12日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年3月4日に意見書とともに手続補正書が提出され特許請求の範囲について補正がなされたが、平成25年8月29日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、平成25年12月12日に該査定の取消を求めて本件審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、特許請求の範囲についてさらに補正がなされたものである。

第2 平成25年12月12日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成25年12月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容の概要
平成25年12月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成25年3月4日付けで補正された特許請求の範囲をさらに補正するものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項19を本件補正後の請求項18とする以下の補正(以下「補正事項A」という。)を含んでいる。なお、下線部は補正箇所を示す。

(1)<本件補正前の請求項19>
「 【請求項19】
貫通孔または開口を備えた金属製の少なくとも2つの構成要素を有する少なくとも1つの複合体を具える冷却器、冷却エレメントまたはヒートシンクを製造する方法であって、
前記少なくとも2つの構成要素である、第1の構成要素と少なくとも1つの更なる構成要素とが、これらの構成要素のそれぞれの表面によって形成される接合面に設けられた接合手段を用い、プロセス温度に加熱することによって相互に結合されて前記複合体を形成し、
前記第1の構成要素が非プレート状であり、該第1の構成要素が、プレート状または非プレート状である前記少なくとも1つの更なる構成要素と結合されて複合体を形成することを特徴とする、前記方法。」

(2)<本件補正後の請求項18>
「 【請求項18】
貫通孔または開口を備えた金属製の少なくとも2つの構成要素を有する少なくとも1つの複合体を具える冷却器、冷却エレメントまたはヒートシンクを製造する方法であって、
前記少なくとも2つの構成要素である、第1の構成要素と少なくとも1つの更なる構成要素とが、これらの構成要素のそれぞれの表面によって形成される接合面に設けられた接合手段を用い、プロセス温度に加熱することによって相互に結合されて複合体を形成し、
前記第1の構成要素が非プレート状であり、該第1の構成要素が、プレート状または非プレート状である前記少なくとも1つの更なる構成要素と結合されて複合体を形成し、
前記少なくとも2つの構成要素を、接合プロセス前に、前記構成要素のそれぞれの表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合し、該支持体は、非電導性またはほぼ非電導性であり、かつ一体的に放熱性または熱伝達性の冷却エレメントを備えており、支持体または冷却エレメントは、少なくとも1つのセラミックス構成要素、または異なる複数のセラミックの複合体から成ることを特徴とする、前記方法。」

2 補正の適否
本件補正のうち補正事項Aは、本件補正前の請求項19の「冷却器、冷却エレメントまたはヒートシンクを製造する方法」について、「前記少なくとも2つの構成要素を、接合プロセス前に、前記構成要素のそれぞれの表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合し、該支持体は、非電導性またはほぼ非電導性であり、かつ一体的に放熱性または熱伝達性の冷却エレメントを備えており、支持体または冷却エレメントは、少なくとも1つのセラミックス構成要素、または異なる複数のセラミックの複合体から成ること」なる工程を含むことを限定するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮(特許法第17条の2第5項第2号)を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項18に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件に適合するか否かについて検討する。

(1)補正発明
補正発明は、本件補正後の特許請求の範囲、明細書の記載からみて、上記1(2)に示す特許請求の範囲の請求項18に記載された事項により特定されるとおりの「冷却器、冷却エレメントまたはヒートシンクを製造する方法」であると認める。

(2)刊行物
これに対して、原審の平成24年10月12日付け拒絶理由通知にも引用された、本件優先日前に頒布された刊行物である以下の文献には、以下の発明または事項が記載されていると認められる。
刊行物1:特開昭 57-122551号公報
刊行物2:特開2002-261209号公報

(2-1)刊行物1
ア 刊行物1に記載された事項
刊行物1には、「半導体素子用ヒ-トシンクの製法」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は理解の便のため、当審で付したものである。

(ア)特許請求の範囲の第1項
「(1)半導体素子が取り付けられるべき所定のアルミニウム材料からなる基板に対して、厚さが1.0mmを越えることのないアルミニウム材料からなる所定形状のフイン部材をろう付けによって結合せしめることを特徴とする半導体素子用ヒートシンクの製法。」

(イ)第1ページ右下欄第7?11行
「本発明は半導体素子用ヒートシンクの製法に係り、特に放熱性能に優れると共に、軽量化を達成し、且つ設計の自由度を向上せしめた半導体素子冷却用ヒートシンクを有利に製造する方法に関するものである。」

(ウ)第3ページ左上欄第17行?右上欄第12行
「また、かくの如き本発明に従って得られるヒートシンクのいくつかの例が第1?4図に示されている。それらの図において、1は放熱体(ヒートシンク)基板であり、平板状のものから、半導体素子の取付け部を屈曲形成せしめたもの等が用いられることとなるが、・・・(中略)・・・また、かかる基板1の平坦部分の片面または両面には、断面コ字形のまたは矩形若しくは湾曲した波形の放熱フイン2が公知のろう付け手法によって結合せしめられているが、その厚さは本発明に従って1.0mm以下とされている。なお3はろう付けフイレツトである。」

(エ)第3ページ右上欄第12行?右上欄第17行
「また、第3図に示される如く、フイン2をその側方から囲むカバー板4を同様にろう付けによって結合せしめれば外観の向上が図られ、また放熱面積の増大、更にはエントツ効果により放熱性能が向上せしめられるのである。」

(オ)第3ページ左下欄第16行?右下欄第11行
「なお、かくの如きヒートシンクを製造するに際して採用される、基板1とフイン部材(2)を結合せしめるためのろう付け手法としては、公知の方法が採用されるものであるが、特に本発明にあっては該フイン部材(2)としてブレージングシート(心材の片面乃至は両面にろう合金をクラツドした合せ板)を用いることが望ましく、その一例が第6図及び第7図に示されている。即ち、第6図は基板1と所定の形状に成形されたブレージングシート2a,2bとの接合前の状態を示し、また第7図はそれらの接合後の状態を示しているが、それらの図において上側は片面ブレージングシート(基板1側に、例えばAl-Siろうなどからなる皮材2″aをクラツド)2aを用いており、ろう付けのための加熱操作によってかかる皮材2″aが溶融して心材2′aと基板1とを結合せしめるのである。」

(カ)第3ページ左下欄第15行?第4ページ左上欄第1行
「また、下側はカバー板4を用いる場合であり、心材2′bの両面にろう材からなる皮材2″bをクラツドした両面ブレージングシート2bを用いて加熱せしめることにより、基材1とカバー板4に対して同時に心材2′bがろう付けされるようになっている。」

(キ)
以下に示す第3図によれば、カバー板4の側面部分の先端が基板1の両端付近と接していることが看取できる。


イ 刊行物1に記載の発明
上記摘記事項(ウ)の「放熱フイン2」は、「断面コ字形のまたは矩形若しくは湾曲した波形」の形状であるから、「非プレート状」であるということができる。また、同じく摘記事項(ウ)の「基板1」は「平板状」及び「屈曲形成せしめたもの」が挙げられていることから、「基板1」については「プレート状または非プレート状」といえる。
また、「放熱フイン2」と「基板1」とを合わせて、補正発明の用語に倣って「2つの構成要素を有する1つの複合体」と表現できる。
さらに、摘記事項(エ)の「カバー板4」は「放熱面積の増大」をもたらすものであるから、「一体的に放熱性の冷却エレメントを備えて」いるものということができる。

そこで、上記摘記事項(ア)ないし(カ)を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて補正発明に照らして整理すると刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「アルミニウム材料からなる2つの構成要素を有する1つの複合体を具えるヒートシンクを製造する方法であって、
前記2つの構成要素である、放熱フイン2と基板1とが、これらの構成要素のそれぞれの表面によって形成される接合面に設けられたAl-Siろうからなる皮材2″aを用い、ろう付けのための加熱操作によって相互に結合されて複合体を形成し、
前記放熱フイン2が非プレート状であり、該放熱フイン2が、プレート状または非プレート状である前記基板1と結合されて複合体を形成し、
前記放熱フイン2を、ろう付けのための加熱操作と同時に、前記放熱フイン2の表面の少なくとも1つにわたってカバー板4と結合し、該カバー板4は、一体的に放熱性の冷却エレメントを備えている、前記方法。」

(2-2)刊行物2
刊行物2には、「ファン付きヒートシンク」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は理解の便のため、当審で付したものである。

ア 刊行物2に記載された事項
(ア)
「【0018】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照してこの発明のファン付きヒートシンクを説明する。図1および図2はこの発明のファン付きヒートシンクに係る一具体例を示す概略平面図および概略側面図である。まず、ヒートシンク51が、フィン52と基板部53とから構成されている。フィン52は、図3に示すように、アルミニウムなどの熱伝導性の良好な金属製の一枚の板材を九十九折りして、長方形状に形成されている。すなわち、フィン52は、その折れ線部54が基板部53の長手方向に直交する方向と平行となり、その折れ線部54と垂直となる側面55が基板部53の長辺に沿って配置されている。」

(イ)
「【0023】上述したファン付きヒートシンク51は、フィン52を基板部53の表面56に密着して、エポキシ樹脂やハンダなどによって接合され、つぎにシュラウド58における二つの側板59の下端部65を基板部53の凹溝57に密着して、エポキシ樹脂やハンダなどによって接合され、さらにファン75をホルダー板61における爪部74とネジ孔76とを介して、シュラウド58に固着することによって構成されている。すなわち、まず凹溝57が形成されている基板部53を用意し、つぎに一枚の板材を九十九折りして、フィン52を形成する。さらにフィン52を基板部53の表面56に密着して配置し、溶接やロウ付け、接着剤などの適宜の手段で接合する。・・・(後略)」

(ウ)
「【0025】(前略)・・・さらに、基板部とフィンとの材質は、アルミニウムに限定されないのであって、アルミ合金、銅またはその合金、セラミックス、プラスチックなど熱伝導性の良いものであればよい。・・・(後略)」

上記摘記事項(ア)ないし(ウ)を、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえて整理すると、刊行物2には以下の事項が記載されていると認める。(以下「刊行物2事項」という。)
「非プレート状のフィン52をセラミックスからなる基板部53と接合すること。」

(3)対比
補正発明と刊行物1発明とを対比すると以下のとおりである。
刊行物1発明の「アルミニウム材料からなる」は、補正発明の「金属製の」に相当することは技術常識に照らして明らかであり、以下同様にそれぞれの機能及び技術常識を踏まえれば、「放熱フイン2」は「第1の構成要素」に、「基板1」は「1つの更なる構成要素」に、「Al-Siろうからなる皮材2″a」は「接合手段」に、「ろう付けのための加熱操作によって」は「プロセス温度に加熱することによって」に、「ろう付けのための加熱操作」は「接合プロセス」に、「カバー板4」は「支持体」に相当することも明らかである。

次に、刊行物1発明の
「前記放熱フイン2を、ろう付けのための加熱操作と同時に、前記放熱フイン2の表面の少なくとも1つにわたってカバー板4と結合し、該カバー板4は、一体的に放熱性の冷却エレメントを備えている」ことは、上記対比を踏まえ、
「前記第1の構成要素を、接合プロセスと同時に、前記第1の構成要素の表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合し、該支持体は、一体的に放熱性の冷却エレメントを備えている」ことと言い換えられるところ、これは、補正発明の
「前記少なくとも2つの構成要素を、接合プロセス前に、前記構成要素のそれぞれの表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合し、該支持体は、非電導性またはほぼ非電導性であり、かつ一体的に放熱性または熱伝達性の冷却エレメントを備えており、支持体または冷却エレメントは、少なくとも1つのセラミックス構成要素、または異なる複数のセラミックの複合体から成る」ことと、
「前記2つの構成要素の少なくとも一方を、その表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合し、該支持体は、一体的に放熱性の冷却エレメントを備えている」ものである限りにおいて共通する。

したがって、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「金属製の2つの構成要素を有する1つの複合体を具えるヒートシンクを製造する方法であって、
前記2つの構成要素である、第1の構成要素と1つの更なる構成要素とが、これらの構成要素のそれぞれの表面によって形成される接合面に設けられた接合手段を用い、プロセス温度に加熱することによって相互に結合されて複合体を形成し、
前記第1の構成要素が非プレート状であり、該第1の構成要素が、プレート状または非プレート状である前記1つの更なる構成要素と結合されて複合体を形成し、
前記2つの構成要素の少なくとも一方を、その表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合し、該支持体は、一体的に放熱性の冷却エレメントを備えている、前記方法。」

そして、補正発明と刊行物1発明とは、以下の3点で相違している。
<相違点1>
補正発明の少なくとも2つの構成要素は、貫通孔または開口を備えるのに対し、刊行物1発明の2つの構成要素は、そのような貫通孔または開口を備えるか明らかでない点。
<相違点2>
「2つの構成要素の少なくとも一方を、その表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合」することに関し、補正発明は、少なくとも2つの構成要素を、(構成要素同士の)接合プロセス前に、前記構成要素のそれぞれの表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合するのに対し、刊行物1発明は、放熱フイン2(すなわち構成要素の一方)を、(構成要素同士の)ろう付けのための加熱操作(すなわち接合プロセス)と同時に、前記放熱フイン2(すなわち構成要素の一方)の表面の少なくとも1つにわたってカバー板4(すなわち支持体)と結合する点。
<相違点3>
補正発明の「支持体」は、非電導性またはほぼ非電導性であり、少なくとも1つのセラミックス構成要素、または異なる複数のセラミックの複合体から成るのに対し、刊行物1発明の「支持体」は、そのようなものではない点。

(4)相違点の検討
ア 相違点1について
まず、相違点1に係る補正発明の特定事項に対応する本件明細書の記載としては、「【0010】1形態では、接合プロセス前に、少なくとも1つまたは複数の同じまたは異なる接合手段を、貫通孔または開口の内面に取り付ける。・・・」、「【0019】1形態によれば、接合前に、一部の構成要素の、少なくとも接合面ならびに貫通孔または開口に、接合手段を設ける。接合手段で負荷を掛けられていない構成要素に、固有材料の表面があらゆる場合に維持される。」、「【0022】有利には、溝構造を通って加熱媒体または冷却媒体がガイドされるように、溝構造を形成し、加熱媒体または冷却媒体は、たとえば空気、窒素、水または油である。」等と記載されてはいるが、図面はなく、これらの記載を総合的に勘案しても、補正発明の構成要素に備えられた「貫通孔または開口」は、構成要素により何らかの貫通孔または開口、溝構造が形成され、加熱媒体または冷却媒体がガイドされる程度の技術的意義のものと認められる。そして、そのような「貫通孔または開口」は、刊行物1の第3図等を参酌すれば、刊行物1発明も実質的には備えているというべきで、相違点1は実質的な差異ではないというのが相当である。
仮に、相違点1が実質的な差異であるとしても、構成要素により貫通孔または開口等を形成し、加熱媒体または冷却媒体をガイドすることは、原審の拒絶査定において例示された特開2002-228387号公報(【図3】等参照)に示されるように従来周知の事項であり、かかる従来周知の事項を刊行物1発明に適用し、相違点1に係る補正発明の特定事項とすることは、当業者であれば格別困難なことではない。

イ 相違点2について
まず、相違点2のうち、接合プロセス前に構成要素をそれぞれ支持体と結合する点につき、検討する。相違点2のうち上記点に係る補正発明の特定事項に対応する本件明細書の記載としては、「【0026】有利には、金属製の構成要素を、接合プロセス前に、支持体と結合し、この場合支持体は、非電導性またはほぼ非電導性であり、かつ一体的に放熱性または熱伝達性の冷却エレメントを備えており、支持体および/または冷却エレメントは、少なくとも1つのセラミック成分または異なる複数のセラミックの複合体から成る。」とあるのみで、相違点2に係る補正発明の特定事項のように(構成要素同士の)接合プロセス前に、支持体と結合することの技術的意義は不明であるか、極めて乏しいものといわざるを得ない。また、支持体との結合を接合プロセスより前に行うか、あるいは同時に行うかは、当業者が適宜決定し得る事項ともいうべきものである。
したがって、刊行物1発明において、支持体との結合を接合プロセスより前に行うこととして、相違点2のうち上記点に係る補正発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
また、相違点2のうち、補正発明が2つの構成要素のそれぞれを支持体と結合している点については、上記(2)(2-1)(キ)にて認定したように刊行物1には、カバー板4の側面部分の先端が基板1の両端付近と接していることが示されているのであり、かかる記載事項から、刊行物1発明においてカバー板4を、(構成要素の一方たる)放熱フイン2のみならず、(構成要素の他方たる)基板1ともろう付けにより結合するように構成することも格別困難なことではない。
そうしてみると、刊行物1発明において、支持体との結合を接合プロセスより前に行うこととし、また、さらに刊行物1記載の事項を適用して支持体(カバー板4)を放熱フイン2及び基板1の双方と結合するようにして、相違点2に係る補正発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものというのが相当である。

ウ 相違点3について
上記(2)(2-2)にて指摘したように、刊行物2事項は、
「非プレート状のフィン52をセラミックスからなる基板部53と接合すること。」というものであるところ、刊行物1発明に、同じフィンを用いた放熱器の技術分野の刊行物2事項を適用することに格別困難性はなく、刊行物1発明に刊行物2事項を適用して、刊行物1発明の支持体をセラミックから成るものとすることは、当業者が容易に想到し得る程度のものである。そして、そうした場合、セラミックからなる支持体は非電導性またはほぼ非電導性となることは技術常識から明らかである。
よって、刊行物1発明に刊行物2事項を適用し、相違点3に係る補正発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るところと解するのが相当である。

エ 小括
したがって、補正発明は、刊行物1発明、刊行物1記載の事項、刊行物2事項及び従来周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本件出願の発明について
1 本件出願の発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の特許請求の範囲の請求項19に係る発明は、明細書の記載からみて、平成25年3月4日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項19に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、当該請求項19に係る発明(以下「本件出願の発明」という。)は、上記第2の1(1)に示す特許請求の範囲の請求項19に記載されたとおりの「冷却器、冷却エレメントまたはヒートシンクを製造する方法」である。

2 刊行物
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された刊行物は、上記第2の2(2)に示した刊行物1であり、その記載事項は上記第2の2(2-1)のとおりである。

3 対比・検討
本件出願の発明は、上記第2の2で検討した補正発明から、実質的に、「前記少なくとも2つの構成要素を、接合プロセス前に、前記構成要素のそれぞれの表面の少なくとも1つにわたって支持体と結合し、該支持体は、非電導性またはほぼ非電導性であり、かつ一体的に放熱性または熱伝達性の冷却エレメントを備えており、支持体または冷却エレメントは、少なくとも1つのセラミックス構成要素、または異なる複数のセラミックの複合体から成ること」なる工程を含むことの限定を削除したものである。
そうすると、本件出願の発明と刊行物1発明とは、上記第2の2(3)での検討とほぼ同様に、以下の一致点′を有し、上記第2の2(3)で示した相違点1においてのみ相違する。
<一致点′>
金属製の2つの構成要素を有する1つの複合体を具えるヒートシンクを製造する方法であって、
前記2つの構成要素である、第1の構成要素と1つの更なる構成要素とが、これらの構成要素のそれぞれの表面によって形成される接合面に設けられた接合手段を用い、プロセス温度に加熱することによって相互に結合されて複合体を形成し、
前記第1の構成要素が非プレート状であり、該第1の構成要素が、プレート状または非プレート状である前記1つの更なる構成要素と結合されて複合体を形成する、前記方法。

そして、相違点1については、上記第2の2(4)アで検討したとおりである。したがって、本件出願の発明は、刊行物1発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということになる。

4 むすび
以上のとおり、本件出願の発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-02 
結審通知日 2014-12-08 
審決日 2014-12-19 
出願番号 特願2010-504634(P2010-504634)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B23K)
P 1 8・ 575- Z (B23K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 孔徳  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 三澤 哲也
長屋 陽二郎
発明の名称 少なくとも1つの非プレート状の構成要素を備えた複合体を製造する方法  
代理人 来間 清志  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
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