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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1301170
審判番号 不服2013-16494  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-27 
確定日 2015-05-18 
事件の表示 特願2009-283666号「島設備の台間装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年6月30日出願公開、特開2011-125368号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成21年12月15日の出願であって、平成24年3月2日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月9日に意見書及び手続補正書が提出され、平成25年2月7日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年4月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年5月22日付けで、同年4月10日に提出された手続補正書でした補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年5月27日)、それに対し、同年8月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正書が提出され、当審にて平成26年9月2日付けで拒絶理由を通知したところ、同年11月7日付けで意見書及び手続補正書が提出され、当審にてさらに、同年12月2日付けで拒絶理由を通知したところ、平成27年2月4日付けで意見書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年11月7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「島設備の隣接する遊技機間に設置され、前方に向かって送風することによりエアカーテンを形成可能な島設備の台間装置において、
前記島設備における遊技機の側方近傍に設置可能とされた装置本体と、
該装置本体内で上下方向に延びた回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材と、
該ファン部材を前記装置本体に取り付けるためのフレームと、
該フレームにおけるファン部材の一端側に配設され、当該ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させるモータと、
を具備し、前記ファン部材及びモータを前記フレームに組み付けて送風ユニットを構成するとともに、当該送風ユニットを前記装置本体内において上下一対配設して、上側の送風ユニットには前記ファン部材の下端側に前記モータが配設され、且つ、下側の送風ユニットには前記ファン部材の上端側に前記モータが配設されたものとし、前記上側の送風ユニットのモータと下側の送風ユニットのモータとの配設範囲を前記装置本体の側方近傍に設置される遊技機の前扉の高さ方向の略中央に位置させ、当該配設範囲に、遊技機の前扉と当接又は近接して当該前扉の開放を規制するロック部及び前記装置本体の正面から背面に向かって延設されて当該ロック部をロック位置と非ロック位置との間で移動させる移動機構を有したロック機構を配設したことを特徴とする島設備の台間装置。」

3 刊行物の記載
(1)当審における平成12月2日付けで拒絶理由拒絶の理由に引用された刊行物4:特開2008-148723号公報(以下「刊行物4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、各遊技機に隣接して設置される少なくとも遊技媒体を貸し出す機能を有する遊技機用台間機であって、特に他の遊技者からの煙草の煙による害を防止するための遊技機用台間機に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、従来における煙草の煙が隣の非喫煙者に流れるのを防止する各装置においては、エアーカーテンを形成する空気噴出装置を各遊技機の間に設置する必要があるが、上述したメダルサンドを使用する場合には、当該メダルサンドと、前記空気噴出装置とを共に各遊技機の間に設置しなければならない。このため、各遊技機の間隔が大きくなってしまい、遊技場に設置することが可能なスロットマシンの台数が減少してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技媒体を貸出すことができると共に、煙草の煙が隣りの遊技者に及ぶのを防止することができ、かつ各遊技機の間隔を狭めることができる遊技機用台間機を提供することを目的としている。」

ウ 「【0038】
スロットマシン2は、外周部が矩形状の筐体21によって覆われていると共に、この筐体21の正面開口部を覆うように扉22が設けられている。扉22の正面には、上下方向のほぼ中央の位置に水平方向に長く延在する操作部22aが設けられ、この操作部22aの上側にリール部ディスプレイ22bが設けられ、このリール部ディスプレイ22bの上側の左右にスピーカ22c、22cが設けられている。」

エ 「【0042】
遊技機用台間機1は、外周部が矩形状に形成された筐体11によって覆われており、当該筐体11の左右の側面がスロットマシン2の筐体21の右側又は左側の側面に隣接するようにして遊技場の各島に設置されるようになっている。また、筐体11の正面には、紙幣挿入スロット11aと、この紙幣挿入スロット11aの下側に配置された硬貨投入口11bと、硬貨投入口11bの下側に配置され、払い出されたメダルを受けるメダル受皿11cが設けられている。これらの紙幣挿入スロット11a、硬貨投入口11b及びメダル受皿11cは、筐体11の正面の上下方向におけるほぼ中央の位置に配置されている。また、筐体11の正面には、上述した空気噴出口12が設けられている。
【0043】
空気噴出口12は、紙幣挿入スロット11aの上側に配置された上部空気噴出口12aと、メダル受皿11cの下側に配置された下部空気噴出口12bとを備えた構成になっている。即ち、上部空気噴出口12aは筐体11の正面の上部に配置され、下部空気噴出口12bは筐体11の正面の下部に配置されている。
【0044】
上部空気噴出口12aは、筐体11の正面における幅方向の中央部にあって、当該筐体11の正面の上端近傍から紙幣挿入スロット11aの近傍まで上下方向に細長く延在するように形成されている。そして、この上部空気噴出口12aは、筐体11内に設置された送風機13(図3参照)から供給される空気を筐体11の正面から前方に噴出し、図2に示すように、当該筐体11が隣接するスロットマシン2の遊技位置における遊技者の少なくとも頭部の側方にエアーカーテンを形成するようになっている。
【0045】
下部空気噴出口12bは、図1に示すように、筐体11の正面における幅方向の中央部にあって、当該筐体11の正面の下端近傍からメダル受皿11cの近傍まで上下方向に細長く延在するように形成されている。そして、この下部空気噴出口12bは、送風機13から供給される空気を筐体11の正面から前方に噴出し、図2に示すように、当該筐体11が隣接するスロットマシン2の遊技位置における遊技者の側方にエアーカーテンを形成すると共に、当該スロットマシン2の灰皿22eの側方にもエアーカーテンを形成するようになっている。」

オ 「【0052】
送風機駆動部16eは、マイクロコンピュータ15からの制御信号に基づいて送風機13を駆動制御するようになっている。即ち、マイクロコンピュータ15は、メダルを貸し出すための制御信号に基づいて、送風機13を起動するための制御信号を送風機駆動部16eに出力すると共に、当該制御信号の出力時点を基準にして送風機13の運転時間の計測を開始し、かつ当該運転時間がROM等に記録されている所定の運転時間に達した時点で送風機13を停止させるための制御信号を送風機駆動部16eに出力するようになっている。」

カ 「【0054】
送風機13は、筐体11内に設置されており、図2に示す上部ダクト12c及び下部ダクト12dを介して、上部空気噴出口12a及び下部空気噴出口12bに空気を供給するようになっている。」

上記ア?カの記載を総合すると、刊行物4には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物4発明」という。)。
「スロットマシン2に隣接するようにして遊技場の各島に設置され、空気を正面から前方に噴出しエアーカーテンを形成する遊技機用台間機1において、
スロットマシン2を覆う外周部が矩形状の筐体21の正面開口部を覆うように扉22が設けられ、
左右の側面がスロットマシン2の筐体21の右側又は左側の側面に隣接するようにされた筐体11と、
筐体11内に送風機13と、送風機13を駆動制御する送風機駆動部16eとを備え、
送風機13は、筐体11の正面の上部に配置された上部空気噴出口12a及び筐体11の正面の下部に配置された下部空気噴出口12bに空気を供給し、
筐体11の正面の上下方向におけるほぼ中央の位置に、紙幣挿入スロット11a、硬貨投入口11b及びメダル受皿11cを配置した
遊技機用台間機1。」

(2)同じく、当審における平成12月2日付けで拒絶理由拒絶の理由に引用された刊行物3:特開平11-303259号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、喫煙場所等における煙が外部に流れ出るのを防ぐためのエアカーテンを形成可能な背の低い家具に関する。」

イ 「【0011】空気循環装置5は、図2に示すように、長手方向にパネル11の幅と略同一寸法を有する断面U字形のカバー体51と、このカバー体51の内部に収容された循環機構2とを具備するものである。カバー体51は、図2に示すように、上板521および前記長手方向に平行な側板522を形成する一対のフロントカバー52と、底板531及び前記側板522に対向する側板532を形成するリアカバー53と、長手方向に垂直な端面を形成する一対のサイドカバー54とからなる。フロントカバー52は、リアカバー53のおおよそ半分の長さ寸法に設定されており、一対を直列させてリアカバー53に取り付けられるものである。しかしてこの取付の際には、フロントカバー53の内方端部における取付を補助するために、中支柱55を利用するようにしている。各フロントカバー52の上板521は、矩形状に開口する噴出口4を有するもので、この噴出口4には噴出する空気の方向を安定させるために、前記長手方向に沿って複数本のルーバ41が設けられている。一方、側板522には、吸入口3である多数の貫通孔が形成されている。リアカバー53は、底板531と側板532において循環機構2を主として支持するものである。各サイドカバー54は、フロントカバー52とリアカバー53との内面に嵌合する嵌合部541と、この嵌合部541より一回り大きく、フロントカバー52とリアカバー53との外面と略面一になる外面部542とからなる。そして、上下に並列させた2つのねじ孔543、544が前記長手方向に貫通させてある。なお一方のサイドカバー54には、図6に示すように循環機構2をオンオフするためのスイッチSWが設けられている。
【0012】循環機構2は、図2、図3に示すように、直列させた一対のシロッコファン21(図2において、その一方はフロントカバー52に隠れて図示されていない)と、これらシロッコファン21を回転駆動するために各シロッコファン21の一端側に配設された電動モータ22と、各シロッコファン21を回動自在に支持する軸受23と、シロッコファン22の回転にしたがって吸入口3から噴出口4への空気流れを作り出すためのエア誘導部材24とを具備する。シロッコファン21は、両端に軸部211を有し、これら軸部211間に亘って前記長手方向に延びる複数の翼板212を、概略放射状に配設したもので、軸部211は軸受23に枢支されている。そしてこれら軸受23をファン取付金具25によってリアカバー53に取付けることにより、各シロッコファン21をリアカバー53に支持させている。エア誘導部材24は、各シロッコファン21の直上において軸受23間に横架させた上方に開口するチャンネル状のエア仕切材241と、各シロッコファン21と略同一の長さ寸法を有し各フロントカバー52の側板522における上部内面から下向き内方に延出するように取り付けられたエア誘導カバー242と、軸受23間に横架され翼板212の下方及び反吸入口3側に配設される断面概略L字形状のエア誘導カバー243とから構成されている。しかして、シロッコファン21の回転によって、空気は、吸入口3から吸い込まれ、内部のエア導入部材24によって図3中矢印で示すBに沿った経路で流れ、ルーバ41に沿って噴出口4から噴出し、図1に示すようなエアカーテンARを形成する。」

ウ 上記イの記載及び【図2】の図示内容によると、シロッコファン21と電動モータ22とをファン取付金具25に取り付けてユニットを構成したこと、及び、ユニットを空気循環装置5内の長手方向に一対配設したことが示されている。

上記ア?イの記載、及び、【図2】の図示内容を総合すると、刊行物3には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「刊行物3に示された技術事項」という。)。
「空気を長手方向に設けられた2つの噴出口4から噴出し、エアカーテンARを形成する空気循環装置5において、
両端に軸部211を有し、これら軸部211間に亘って長手方向に延びる複数の翼板212を、概略放射状に配設した一対のシロッコファン21と、
軸部211を枢支する軸受23をリアカバー53に取付けるファン取付金具25と、
各シロッコファン21の一端側に配設された電動モータ22と、
を備え、
シロッコファン21と電動モータ22とをファン取付金具25に取り付けてユニットを構成し、ユニットを空気循環装置5内の長手方向に一対配設した空気循環装置5。」

4 対比
刊行物発明4と本願発明とを対比する(以下、「刊行物4発明」、「本願発明」を、それぞれ、「前者」、「後者」といい、「前者」と「後者」を併せて「両者」という。)。

ア 前者における「スロットマシン2に隣接するようにして遊技場の各島に設置され、空気を正面から前方に噴出しエアーカーテンを形成する遊技機用台間機1」は、その構成及び機能からみて、後者における「島設備の隣接する遊技機間に設置され、前方に向かって送風することによりエアカーテンを形成可能な島設備の台間装置」に相当する。

イ 前者における「左右の側面がスロットマシン2の筐体21の右側又は左側の側面に隣接するようにされた筐体11」は、その構成及び機能からみて、後者における「島設備における遊技機の側方近傍に設置可能とされた装置本体」に相当する。

ウ 前者における「筐体11内に送風機13」と、「送風機13を駆動制御する送風機駆動部16e」とを備えることと、後者における「装置本体内で上下方向に延びた回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材と、ファン部材を前記装置本体に取り付けるためのフレームと、フレームにおけるファン部材の一端側に配設され、ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させるモータと、を具備し、ファン部材及びモータをフレームに組み付けて送風ユニットを構成するとともに、送風ユニットを装置本体内において上下一対配設して、上側の送風ユニットにはファン部材の下端側にモータが配設され、且つ、下側の送風ユニットにはファン部材の上端側にモータが配設されたものとし、上側の送風ユニットのモータと下側の送風ユニットのモータとの配設範囲を装置本体の側方近傍に設置される遊技機の前扉の高さ方向の略中央に位置させ」ることとを対比する。
両者は、「装置本体内に、ファン部材とファン部材を回転軸を中心として回転駆動させる駆動部とを具備する」ことで共通する。

エ 前者における「紙幣挿入スロット11a、硬貨投入口11b及びメダル受皿11cが、筐体11の正面の上下方向におけるほぼ中央の位置に配置された」ことと、後者における「当該配設範囲に、遊技機の前扉と当接又は近接して当該前扉の開放を規制するロック部及び前記装置本体の正面から背面に向かって延設されて当該ロック部をロック位置と非ロック位置との間で移動させる移動機構を有したロック機構を配設した」こととを対比する。
前者における「紙幣挿入スロット11a、硬貨投入口11b及びメダル受皿11c」と後者における「ロック部及びロック機構」とは、遊技機に関連する何らかの機能を奏する部品といえるから、両者は、「遊技機の前扉の高さ方向の略中央の配設範囲に、機能部品を配設した」ことで共通する。

上記ア?エより、本願発明と刊行物4発明とは、
「島設備の隣接する遊技機間に設置され、前方に向かって送風することによりエアカーテンを形成可能な島設備の台間装置において、
前記島設備における遊技機の側方近傍に設置可能とされた装置本体と、
該装置本体内に、ファン部材と当該ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させる駆動部とを具備し、
遊技機の前扉の高さ方向の略中央の配設範囲に、機能部品を配設した
島設備の台間装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
装置本体内に具備されたファン部材とファン部材駆動部とに関して、
本願発明は、装置本体内で上下方向に延びた回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材と、ファン部材を装置本体に取り付けるためのフレームと、フレームにおけるファン部材の一端側に配設され、ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させるモータと、を具備し、ファン部材及びモータをフレームに組み付けて送風ユニットを構成するとともに、当該送風ユニットを装置本体内において上下一対配設して、上側の送風ユニットにはファン部材の下端側にモータが配設され、且つ、下側の送風ユニットにはファン部材の上端側にモータが配設されたものとし、上側の送風ユニットのモータと下側の送風ユニットのモータとの配設範囲を装置本体の側方近傍に設置される遊技機の前扉の高さ方向の略中央に位置させるのに対して、
刊行物4発明は、筐体11内に送風機13と、送風機13を駆動制御する送風機駆動部16eとを備えるが、本願発明の上記構成を備えない点。

[相違点2]
遊技機の前扉の高さ方向の略中央の配設範囲に配設された機能部品に関して、
本願発明は、当該配設範囲に、遊技機の前扉と当接又は近接して当該前扉の開放を規制するロック部及び前記装置本体の正面から背面に向かって延設されて当該ロック部をロック位置と非ロック位置との間で移動させる移動機構を有したロック機構を配設したのに対して、
刊行物4発明は、当該配設範囲に紙幣挿入スロット11a、硬貨投入口11b及びメダル受皿11cが、筐体11の正面の上下方向におけるほぼ中央の位置に配置されたが、本願発明の上記構成を具備しない点。

5 当審の判断
(1)相違点1について検討する。
刊行物3に示された技術事項の「空気循環装置5において、両端に軸部211を有し、これら軸部211間に亘って」「延びる複数の翼板212を、概略放射状に配設した一対のシロッコファン21」、
「軸部211を枢支する軸受23をリアカバー53に取付けるファン取付金具25」、
「各シロッコファン21の一端側に配設された電動モータ22」、及び、
「シロッコファン21と電動モータ22とをファン取付金具25に取り付けてユニットを構成し、ユニットを空気循環装置5内」「に一対配設した」ことは、それぞれ、
本願発明の「装置本体内で」「回転軸を中心に回転可能に配設されるとともに、側面に送風のための羽根が形成された略円筒状のファン部材」、
「ファン部材を装置本体に取り付けるためのフレーム」、
「フレームにおけるファン部材の一端側に配設され、ファン部材を回転軸を中心として回転駆動させるモータ」、及び、
「ファン部材及びモータをフレームに組み付けて送風ユニットを構成するとともに、送風ユニットを装置本体内において」「一対配設」することに相当する。
そして、刊行物3に示された技術事項は、2つの噴出口4を備え、喫煙場所等における煙が外部に流れ出るのを防ぐためのエアカーテンを形成するものである。
一方、刊行物4発明は、上部空気噴出口12a及び下部空気噴出口12bを備え、煙草の煙が隣りの遊技者に及ぶのを防止するものである(上記3(1)イ参照。)。
そうすると、刊行物4発明と刊行物3に示された技術事項とは、煙草の煙が他の空間に及ぶのを防止するという共通の課題を解決するものであると共に、長手方向に延びる2つの噴出口から空気を噴出してエアカーテンを形成する装置という共通の技術分野に属するものである。
そして、エアーカーテンを形成する技術分野において、両側に設けた2つのファン部材の中間部にモータを配設することは、本願出願前に広く行われている技術事項である(必要ならば、例えば、当審における平成26年12月2日付け拒絶の理由に刊行物2として引用された実願平04-011551号(実開平05-073436号)のCD-ROMの【0011】、同じく、当審における平成26年12月2日付け拒絶の理由に刊行物6として引用された特開2002-202087号公報の【0002】等を参照のこと。)。
これらのことからみて、当業者が、刊行物4発明の上下方向に延びた遊技機台間装置1に、煙草の煙が他の空間に及ぶのを防止するという共通の課題を解決するために、刊行物3に示された長手方向に延びた空気循環装置5に関する技術事項を適用し、各ユニットにおける、モータの配設位置を略中央として、上記相違点1に係る本願発明が具備する発明特定事項に到達することは、容易になし得たものである。

(2)相違点2について検討する。
刊行物4発明は、上部空気噴出口12aと下部空気噴出口12bとの中間部、すなわち、遊技機用台間機1の上下方向の略中央に、紙幣挿入スロット11a、硬貨投入口11b及びメダル受皿11c等の機能部品を配設させたものである。
また、刊行物4発明のスロットマシン2は、外周部が矩形状の筐体21によって覆われていると共に、この筐体21の正面開口部を覆うように扉22が設けられているものである。
そして、遊技機の技術分野において、台間装置の遊技機の前扉の高さ方向の略中央に、機能部品として、遊技機の前扉と当接又は近接して前扉の開放を規制するロック部及び装置本体の正面から背面に向かって延設されてロック部をロック位置と非ロック位置との間で移動させる移動機構を有したロック機構とを位置させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、当審における平成26年12月2日付け拒絶の理由に刊行物7として引用された特開2008-272000号公報には、島設備の台間装置の高さ方向中央部に、遊技機の前扉と当接又は近接して前扉の開放を規制するストッパ片3を設けたこと(特に図2、図5等を参照。)が開示され、同じく、当審における平成26年12月2日付け拒絶の理由に刊行物9として引用された特開2008-36143号公報には、メダル貸出機1の高さ方向の略中央に、ロックバー100を設けたことが記載されている。)。
したがって、当業者が、刊行物4発明において、台間装置の高さ方向の略中央に位置する機能部品として、上記周知の前扉の開放を規制するロック部とロック機構とを採用して、上記相違点2に係る本願発明が具備する発明特定事項に到達することは必要に応じてなし得たものである。

(3)効果について
本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物4発明、刊行物3に示された技術事項、及び、周知の技術事項から予測し得る範囲内のものであって、格別のものではない。

(4)小括
上記(1)ないし(3)において検討したように、本願発明は、当業者が刊行物4発明、刊行物3に示された技術事項、及、び周知の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-16 
結審通知日 2015-03-24 
審決日 2015-03-31 
出願番号 特願2009-283666(P2009-283666)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中槙 利明▲高▼橋 祐介  
特許庁審判長 杉浦 淳
特許庁審判官 長崎 洋一
瀬津 太朗
発明の名称 島設備の台間装置  
代理人 越川 隆夫  

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