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審決分類 審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  G21K
審判 全部無効 特許請求の範囲の実質的変更  G21K
審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  G21K
審判 全部無効 2項進歩性  G21K
管理番号 1301810
審判番号 無効2011-800130  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-07-20 
確定日 2015-04-30 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4725533号「シンチレータパネル」の特許無効審判事件についてされた平成24年 2月16日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10111号平成25年 1月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 平成26年4月4日付けの訂正請求書による訂正を認める。 特許第4725533号の請求項1ないし8に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 手続の経緯
本件特許は、平成19年2月23日に、コニカミノルタエムジー株式会社(以下、単に「被請求人」という。)により出願された特願2007-43555号に係り、平成23年2月21日付けの手続補正によって補正された願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面の内容について、特許第4725533号(以下「本件特許」という。)として平成23年4月22日に設定登録されたものである。
本件特許無効審判事件は、請求人 長谷川芳樹(以下、単に「請求人」という。)が、「特許第4725533号の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」として、平成23年7月20日に請求したものであって、当該審判請求後の手続は以下のとおりである。

平成23年10月 4日 審判事件答弁書
訂正請求書
平成23年11月14日 弁駁書
平成24年 1月13日 請求人 口頭審理陳述要領書
被請求人 口頭審理陳述要領書
平成24年 1月27日 第1回口頭審理(審理終結)
平成24年 2月16日 第1次審決
平成24年 3月23日 出訴(知財高裁 平成24年(行ケ)10111号)
平成25年 1月28日 「特許庁が無効2011-800130号事件について平成24年2月16日にした審決を取り消す。」との判決。
平成25年 2月 8日 上告及び上告受理申立
平成26年 3月 4日 「本件上告を棄却する。本件を上告審として受理しない。」との決定(最高裁 平成25年(行ツ)第135号、平成25年(行ヒ)第174号)
平成26年 4月 4日 訂正請求書
平成26年 5月12日 弁駁書

なお、平成23年10月4日付けの訂正請求は、特許法第134条の2第6項の規定により取り下げられたものとみなす。


第2 平成26年4月4日付けの訂正請求について
平成26年4月4日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)の適否について、以下に検討する。

1 本件訂正請求の内容
本件訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲について、訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであって、その内容は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
請求項1において、訂正前の、
「気相法にて形成されたシンチレータ層」

「基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層」
と訂正する。

(2)訂正事項2
請求項1において、訂正前の、
「反射層が」

「反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、」
と訂正する。

(3)訂正事項3
請求項1において、反射層の形成について、
「該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、」
と特定する。

(4)訂正事項4
請求項1において、バインダー樹脂の種類について、
「該バインダー樹脂が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、」
と特定する。

(5)訂正事項5
請求項1において、シンチレータ層の形成について、
「該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、」
と特定する。

(6)訂正事項6
請求項1において、シンチレータパネルの構成について、
「該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え」
と特定する。

(7)訂正事項7
請求項1において、シンチレータパネルの構成について、
「さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している」
と特定する。

(8)訂正事項8
請求項3において、引用請求項数を減少するとともに、請求項1を引用する態様を独立形式で書き下したものである。

(9)訂正事項9
上記訂正事項8によって書き下した請求項3において、訂正前の、
「気相法にて形成されたシンチレータ層」

「基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層」
と訂正する。

(10)訂正事項10
上記訂正事項8によって書き下した請求項3において、訂正前の、
「反射層が」

「反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、」
と訂正する。

(11)訂正事項11
上記訂正事項8によって書き下した請求項3において、反射層の形成について、
「該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、」
と特定する。

(12)訂正事項12
上記訂正事項8によって書き下した請求項3において、バインダー樹脂の種類について、
「該バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、」
と特定する。

(13)訂正事項13
上記訂正事項8によって書き下した請求項3において、シンチレータ層の形成について、
「該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、」
と特定する。

(14)訂正事項14
上記訂正事項8によって書き下した請求項3において、シンチレータパネルの構成について、
「該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え」
と特定する。

(15)訂正事項15
上記訂正事項8によって書き下した請求項3において、シンチレータパネルの構成について、
「さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している」
と特定する。

(16)訂正事項16
請求項5において、引用請求項数を減少するとともに、請求項1を引用する態様を請求項5として、請求項3を引用する態様を請求項6として、それぞれ独立形式で書き下したものである。

(17)訂正事項17
上記訂正事項16によって書き下した請求項5において、訂正前の、
「気相法にて形成されたシンチレータ層」

「基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層」
と訂正する。

(18)訂正事項18
上記訂正事項16によって書き下した請求項5において、訂正前の、
「反射層が」

「反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、」
と訂正する。

(19)訂正事項19
上記訂正事項16によって書き下した請求項5において、反射層の形成について、
「該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、」
と特定する。

(20)訂正事項20
上記訂正事項16によって書き下した請求項5において、バインダー樹脂の種類について、
「該バインダー樹脂が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、」
と特定する。

(21)訂正事項21
上記訂正事項16によって書き下した請求項5において、シンチレータ層の形成について、
「該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、」
と特定する。

(22)訂正事項22
上記訂正事項16によって書き下した請求項5において、シンチレータパネルの構成について、
「該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備えている」
と特定する。

(23)訂正事項23
上記訂正事項16によって書き下した請求項6において、訂正前の、
「気相法にて形成されたシンチレータ層」

「基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層」
と訂正する。

(24)訂正事項24
上記訂正事項16によって書き下した請求項6において、訂正前の、
「反射層が」

「反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、」
と訂正する。

(25)訂正事項25
上記訂正事項16によって書き下した請求項6において、反射層の形成について、
「該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、」
と特定する。

(26)訂正事項26
上記訂正事項16によって書き下した請求項6において、バインダー樹脂の種類について、
「該バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、」
と特定する。

(27)訂正事項27
上記訂正事項16によって書き下した請求項6において、シンチレータ層の形成について、
「該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、」
と特定する。

(28)訂正事項28
上記訂正事項16によって書き下した請求項6において、シンチレータパネルの構成について、
「該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え」
と特定する。

(29)訂正事項29
上記訂正事項16によって書き下した請求項6において、シンチレータパネルの構成について、
「さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している」
と特定する。

(30)訂正事項30
請求項7及び8において、上記訂正事項16に伴い、訂正前の請求項6及び7の請求項番号を繰り下げるとともに被引用請求項番号を変更する。

2 本件訂正請求の訂正の目的、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正の目的
上記訂正事項1?30による訂正は、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の有無
上記訂正事項1?30による訂正は、いずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した範囲内の訂正である。

(3)拡張・変更の存否
上記訂正事項1?30による訂正は、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)本件訂正請求についての請求人の主張について
請求人は、平成26年5月12日付けの弁駁書において、以下の2点で、本件訂正請求による訂正は認められないと主張しているので、以下、検討する。

ア 新規事項の有無
(ア)請求人の主張
上記訂正事項12、26による訂正のうち、「該バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するバインダー樹脂であって、」との特定を追加する訂正について、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「バインダーとしては、ガラス転移温度(Tg)が30?100℃のポリマーであることが、蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましく、」(段落【0035】)、「特にガラス転移温度が30?100℃のバインダー樹脂を含有することが好ましい。通常、蒸着によるシンチレータを形成するにあたっては、基板温度は150℃?250℃で実施されるが、反射層にガラス転移温度が30?100℃を含有しておくと、光反射層が接着層としても有効に機能するようになる。」(段落【0038】)と記載されるのみであって、100℃以下という下限値のない数値限定は記載されていないし、100℃以下という下限値のない数値限定が当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であるともいえないから、当該訂正は、新規事項の追加に当たり、特許法第134条の2第5項で準用する特許法第126条第3項の規定に適合しない。

(イ)当審の判断
当業者であれば、ガラス転移温度(Tg)が示す事項を考慮すれば、当初明細書等の段落【0035】,【0038】の上記記載から、バインダー樹脂がガラス転移温度(Tg)が30?100℃のポリマーを含有していると、基板温度150℃?250℃で実施されるシンチレータ層の蒸着時に、バインダー樹脂が軟化することにより、光反射層が接着層としても機能するという技術的事項を理解することができることは明らかである。そして、当初明細書等には、30℃、100℃という臨界値の技術的意味が記載されていないことからも、30℃?100℃という数値限定は、基板温度150℃?250℃より低い温度として、単に例示されたものにすぎないと解するのが相当であって、特に、ガラス転移温度(Tg)が蒸着時の基板温度より低いことに技術的意味があることを考慮すれば、30℃という下限値には何らの技術的意味もないといえる。
すると、何らの技術的意味もない下限値を特定せずに上限値のみを発明特定事項とすることが、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、当該訂正は、特許法第134条の2第5項で準用する特許法第126条第3項の規定に適合するものである。

イ 拡張・変更の存否
(ア)請求人の主張
上記訂正事項6、7、14、15、22、28、29による訂正は、各請求項に係る発明の対象を、実質的に、「シンチレータパネル」から「シンチレータパネルと出力基板を備えた撮像パネル」に変更するものであるから、当該訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当し、特許法第134条の2第5項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合しない。

(イ)当審の判断
X線を可視光等の光に変換するシンチレータパネルには種々の使用態様があることは、当業者には技術常識であるところ、訂正前の各請求項に係る発明は、どのような使用態様であるかが特定されないシンチレータパネルに関する発明であり、訂正後の各請求項に係る発明は、「該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え」るという態様で使用されることに限定され、また、訂正後の請求項1?4、6?8に係る発明は、「さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している」ことが限定されたシンチレータパネルに関する発明であると解するのが相当である。
請求人は、実質的に、「シンチレータパネルと出力基板を備えた撮像パネル」に変更するものであると主張するが、訂正後の各請求項の記載の末尾は、「・・・シンチレータパネル。」であって、発明の対象は「シンチレータパネル」であることが明記されており、かつ、この明記された「シンチレータパネル」を、実質的に「シンチレータパネルと出力基板を備えた撮像パネル」であると解さなければならない事情もない。
すると、当該訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、当該訂正は、特許法第134条の2第5項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合するものである。

3 本件訂正請求についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き各号に列挙された事項を目的としており、特許法第134条の2第5項で準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合する。
よって、本件訂正請求による訂正を認める。

以下、訂正後の請求項1?8に係る発明(以下「訂正特許発明1」?「訂正特許発明8」という。)について、請求人の主張する無効理由を検討する。
なお、以下では、訂正後の明細書、特許請求の範囲又は図面を「訂正特許明細書等」という。


第3 訂正特許発明
訂正特許発明1?8は、訂正特許明細書等の特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、該バインダー樹脂が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え、
さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形していること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項2】
前記反射層表面がカレンダー処理により平滑化されていることを特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であり、該バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え、
さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形していること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項4】
前記平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料が、二酸化チタンであることを特徴とする請求項3記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、該バインダー樹脂が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備えていること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項6】
厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であり、該バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え、
さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形していること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項7】
前記高分子フィルムがポリイミド(PI)またはポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムであることを特徴とする請求項5又は6に記載のシンチレータパネル。
【請求項8】
前記反射層の厚さが0.2?3.0μmであることを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。」


第4 請求人の主張する無効理由
請求人の主張する無効理由として、平成23年7月20日付けの審判請求書、平成23年11月14日付けの弁駁書、平成24年1月13日付けの請求人の口頭審理陳述要領書及び平成26年5月12日付けの弁駁書で主張されている内容を踏まえて、以下に、その概要を整理して記載する。

1 無効理由1(特許法第29条第2項違反)
請求人は、無効理由1において、特許法第29条第1項第3号違反を理由として挙げているが、この理由について、請求人は、平成24年1月13日付けの請求人の口頭審理陳述要領書の「6.」「6-1」において、訂正(平成23年10月4日付けの訂正請求による訂正)が認められた場合にその主張を撤回する旨申し立てているところ、上記「第2」で述べたように、(平成23年10月4日付けの訂正請求による訂正事項を全て含む)本件訂正請求による訂正が認められたことから、無効理由として採用しない。

(1)訂正特許発明1
訂正特許発明1と甲第1号証に記載された発明は、概ね、訂正特許発明1が、甲第1号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(ア)シンチレータ層が、基板温度150℃?250℃において蒸着により反射層の表面に形成された柱状結晶構造であること
(イ)バインダー樹脂がポリウレタン等の特定の樹脂であること
(ウ)シンチレータパネルは、光電変換素子を備える出力基板とともに撮像パネルを構成し、出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形していること

相違点(ア)について
シンチレータ層を、反射層の表面に蒸着で形成することは、甲第7号証に示されるように周知である。
また、シンチレータ層を、基板温度150℃?250℃において蒸着することは、甲第8、13、14号証に記載されるように周知である。
よって、シンチレータ層を反射層の表面に基板温度150℃?250℃において蒸着することは、当業者には容易である。

相違点(イ)について
バインダー樹脂として、ポリウレタン等の特定の樹脂を使用することは、甲第8号証に記載されており、また、甲第14、15号証には、シンチレータ層を蒸着で形成する際、その被形成面を蒸着時の基板温度より低いガラス転移温度を有する樹脂とすることが記載されており、さらに、甲第15号証には、付着性(接着性)に優れた効果を有することが記載されている。
よって、バインダー樹脂として、ポリウレタン等の特定の樹脂を使用することは当業者には容易であり、それにより接着性が向上することも当業者にはよく知られたことである。

相違点(ウ)について
甲第1号証に記載された発明の蛍光スクリーンと、周知のFPDに使用されるシンチレータパネルは、放射線を吸収して光を発するという点で、作用、機能が共通するから、甲第1号証に記載された発明を、周知のFPDのシンチレータパネルとして使用することは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に、周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(2)訂正特許発明2
訂正特許発明2と甲第1号証に記載された発明は、概ね、上記相違点(ア)?(ウ)に加え、訂正特許発明2が、甲第1号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(エ)反射層表面がカレンダー処理により平滑化されていること

相違点(ア)?(ウ)について
上述と同様である。

相違点(エ)について
蒸着により蛍光体層を形成する場合、蛍光体層が設けられる基板表面は平滑であることが求められるという課題が甲第2号証に、平滑化処理としてカレンダーロールにより処理することが甲第3号証に記載されているように、それぞれ、周知であるから、甲第1号証に記載された発明において、蛍光体層が設けられる基板表面をカレンダー処理により平滑化することは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明2は、甲第1号証に記載された発明に、周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(3)訂正特許発明3
訂正特許発明3と甲第1号証に記載された発明は、概ね、上記相違点(ア)、(ウ)に加え、訂正特許発明3が、甲第1号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(イ)’バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度を有する樹脂であって、ポリウレタン等の特定の樹脂であること
(オ)白色顔料が粒径0.1?3.0μmの白色顔料であること

相違点(ア)、(ウ)について
上述と同様である。

相違点(イ)’について
上述の相違点(イ)に加えて、100℃以下のガラス転移温度を有する樹脂は、甲第15号証に記載されているから、バインダー樹脂として、100℃以下のガラス転移温度を有する樹脂であって、ポリウレタン等の特定の樹脂を使用することは当業者には容易であり、それにより接着性が向上することも当業者にはよく知られたことである。

相違点(オ)について
反射性微粒子として、平均粒径0.2μmの酸化チタン、平均粒径1μmの二酸化チタンを使用することが、それぞれ、甲第4、5号証に記載されているから、白色顔料として、0.1?3.0μmの白色顔料を使用することは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明3は、甲第1号証に記載された発明に、甲第4、5号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(4)訂正特許発明4
訂正特許発明4と甲第1号証に記載された発明は、概ね、上記相違点(ア)、(イ)’、(ウ)、(オ)に加え、訂正特許発明4が、甲第1号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(カ)白色顔料が、二酸化チタンであること

相違点(ア)、(イ)’,(ウ)、(オ)について
上述と同様である。

相違点(カ)について
反射性微粒子として、二酸化チタンを使用することが、甲第5号証に記載されているから、白色顔料として、二酸化チタンを使用することは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明4は、甲第1号証に記載された発明に、甲第4、5号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(5)訂正特許発明5
訂正特許発明5と甲第1号証に記載された発明は、概ね、上記相違点(ア)、(イ)’に加え、訂正特許発明5が、甲第1号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(ウ)’シンチレータパネルは、光電変換素子を備える出力基板とともに撮像パネルを構成すること
(キ)基板が、厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなること

相違点(ア)、(イ)’について
上述と同様である。

相違点(ウ)’について
上述の(ウ)と同様である。

相違点(キ)について
甲第1号証には、厚みが50μmないし1000μmの柔軟な樹脂材料からなる支持体が、甲6号証には、厚みが200μmのポリエチレンナフタレートからなる支持体が記載されているから、甲第1号証に記載された発明において、支持体を厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなるものとすることは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明5は、甲第1号証に記載された発明に、甲第6号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(6)訂正特許発明6
訂正特許発明6と甲第1号証に記載された発明は、概ね、上記相違点(ア)、(イ)’、(ウ)、(オ)、(キ)、相違する。

相違点(ア)、(イ)’、(ウ)、(オ),(キ)について
上述と同様である。

よって、訂正特許発明6は、甲第1号証に記載された発明に、甲第4?6号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(7)訂正特許発明7
訂正特許発明7と甲第1号証に記載された発明は、概ね、上記相違点(ア)、(イ)又は(イ)’、(ウ)又は(ウ)’、(オ)、(キ)に加え、訂正特許発明7が、甲第1号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(ク)高分子フィルムがポリイミドまたはポリエチレンナフタレートであること

相違点(ア)、(イ)又は(イ)’、(ウ)又は(ウ)’、(オ)、(キ)について
上述と同様である。

相違点(ク)について
支持体が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートであることは、甲第1、6号証に記載されているから、高分子フィルムをポリイミド、ポリエチレンナフタレートから形成することは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明7は、甲第1号証に記載された発明に、甲第4?6号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(8)訂正特許発明8
訂正特許発明8と甲第1号証に記載された発明は、概ね、上記相違点(ア)、(イ)又は(イ)’、(ウ)又は(ウ)’、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)、(ク)に加え、訂正特許発明7が、甲第1号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(ケ)反射層の厚さが0.2?3.0μmであること

相違点(ア)、(イ)又は(イ)’、(ウ)又は(ウ)’、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)、(ク)について
上述と同様である。

相違点(ケ)について
反射層を0.2μm程度のアルミニウム金属薄膜とすることが甲第4号証に記載されているから、甲第1号証に記載された発明において、拡散反射層の厚さを0.2?3.0μmとすることは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明7は、甲第1号証に記載された発明に、甲第4?6号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

2 無効理由2(特許法第29条第2項違反)
(1)訂正特許発明1
訂正特許発明1と甲第6号証に記載された発明は、概ね、訂正特許発明1が、甲第6号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(ア)シンチレータ層が、基板温度150℃?250℃において蒸着により反射層の表面に形成された柱状結晶構造である構成
(ウ)シンチレータパネルは、光電変換素子を備える出力基板とともに撮像パネルを構成し、出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している構成
(コ)反射層が、アルミナ等からなる白色顔料及びバインダー樹脂からなる構成
(イ)バインダー樹脂がポリウレタン等の特定の樹脂である構成

相違点(ア)、(ウ)、(イ)について
上述と同様である。

相違点(コ)について
拡散反射層が、アルミナ等からなる白色顔料及びバインダー樹脂からなる構成は、甲第1号証に記載されており、甲第6号証に記載された発明に甲第1号証に記載された拡散反射層を適用することは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明1は、甲第6号証に記載された発明に、甲第1、7号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(2)訂正特許発明2?8
上記「1」「(2)」?「(8)」に、上記相違点(コ)に関する記載を追加したものと同様である。
よって、訂正特許発明2?8は、甲第6号証に記載された発明に、甲第1、4、5、7号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明2?8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

3 無効理由3(特許法第29条第2項違反)
(1)訂正特許発明1
訂正特許発明1と甲第8号証に記載された発明は、概ね、訂正特許発明1が、甲第8号証に記載された発明が有さない下記の発明特定事項を有する点で、相違する。

(ア)シンチレータ層が、基板温度150℃?250℃において蒸着により反射層の表面に形成された柱状結晶構造である構成
(イ)バインダー樹脂がポリウレタン等の特定の樹脂である構成
(ウ)シンチレータパネルは、光電変換素子を備える出力基板とともに撮像パネルを構成し、出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している構成
(サ)シンチレータ層が、ヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料とする構成

相違点(ア)、(イ)、(ウ)について
上述と同様である。

相違点(サ)について
シンチレータ層が、TlドープのCsIからなる構成は、甲第1、7号証に記載されており、甲第8号証に記載された発明に甲第1、7号証に記載されたシンチレータ層を適用することは、当業者には容易である。

よって、訂正特許発明1は、甲第8号証に記載された発明に、甲第1、7号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

(2)訂正特許発明2?8
上記「1」「(2)」?「(8)」に、上記相違点(サ)に関する記載を追加したものと同様である。
よって、訂正特許発明2?8は、甲第8号証に記載された発明に、甲第1、4?7号証に記載された技術及び周知技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、訂正特許発明2?8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされた特許であり、同法第123条第1項第2号に該当するから、無効とすべきである。

4 請求人が提出した証拠方法
請求人が提出した証拠方法は、次のとおりである。
甲第1号証:特開2001-255610号公報
(公開日平成13年(2001年)9月21日)
甲第2号証:特開2006-194860号公報
(公開日平成18年(2006年)7月27日)
甲第3号証:特開2001-59898号公報
(公開日平成13年(2001年)3月6日)
甲第4号証:特開2006-52980号公報
(公開日平成18年(2006年)2月23日)
甲第5号証:特開2005-283483号公報
(公開日平成17年(2005年)10月13日)
甲第6号証:特開平10-90498号公報
(公開日平成10年(1998年)4月10日)
甲第7号証:特開2001-183464号公報
(公開日平成13年(2001年)7月6日)
甲第8号証:特開2003-207862号公報
(公開日平成15年(2003年)7月25日)
甲第9号証:特開2002-243859号公報
(公開日平成14年(2002年)8月28日)
甲第10号証:特開2006-335887号公報
(公開日平成18年(2006年)12月14日)
甲第11号証:特開2002-303947号公報
(公開日平成14年(2002年)10月18日)
甲第12号証:再公表特許WO2002/023220号公報
(発行日平成16年(2004年)1月22日)
甲第13号証:特開2004-340933号公報
(公開日平成16年(2004年)12月2日)
甲第14号証:特開2005-147923号公報
(公開日平成17年(2005年)6月9日)
甲第15号証:特開2006-138642号公報
(公開日平成18年(2006年)6月1日)
甲第16号証:特開2004-61172号公報
(公開日平成16年(2004年)2月26日)

第5 被請求人の主張

被請求人の主張として、平成23年10月4日付けの審判事件答弁書、平成24年1月13日付けの被請求人の口頭審理陳述要領書、平成26年4月4日付けの訂正請求書の「第5 訂正後の各請求項に係る発明が無効理由を有しないこと」で主張されている内容も踏まえて、以下に、その概要を整理して記載する。

1 無効理由1について
請求人の主張する無効理由1について、被請求人は、概略、以下のとおり主張している。

(1)訂正特許発明1
訂正特許発明1では、シンチレータ層の蒸着時の基板温度を150℃?250℃に限定し、バインダー樹脂として、ポリウレタン等の特定の樹脂に限定した。
このポリウレタン等の特定の樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、シンチレータ層の蒸着時の基板温度である150℃?250℃より低いことは判示されているとおりであって、これらの限定により、訂正特許発明1は、シンチレータ層と反射層の接着性が向上するという優れた効果を奏することが明確となった。そして、このような効果は、甲1?13には記載も示唆もされていないものである。
さらに、訂正特許発明1では、シンチレータパネルが出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形しているものである構成に限定した。この限定により、FPDの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られるという効果を奏することができる。
このような構成・効果は、甲第1号証には開示されていない。

したがって、訂正特許発明1は、甲第1号証及び周知技術に加え、甲第2?13号証の記載を参照しても、当業者が容易になし得たものではない。

(2)訂正特許発明3
訂正特許発明1に、さらに、「前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であ」ること、「100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であ」ることを限定するものであるから、上述と同様、訂正特許発明3は、甲第1号証及び周知技術に加え、甲第2?13号証の記載を参照しても、当業者が容易になし得たものではない。

(3)訂正特許発明5
訂正特許発明1に、さらに、「厚さが50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる」ことを限定し、「該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している」ことを削除するものであって、「厚さが50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる」ことの限定により、シンチレータパネルは、出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形することができるものであるから、上述と同様、訂正特許発明5は、甲第1号証及び周知技術に加え、甲第2?13号証の記載を参照しても、当業者が容易になし得たものではない。

(4)訂正特許発明6
訂正特許発明1に、さらに、「前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であ」ること、「100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であ」ること、「厚さが50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる」ことを限定するものであるから、上述と同様、訂正特許発明6は、甲第1号証及び周知技術に加え、甲第2?13号証の記載を参照しても、当業者が容易になし得たものではない。

(5)訂正特許発明2、4、7、8
訂正特許発明2は訂正特許発明1を、訂正特許発明4は訂正特許発明3を、訂正特許発明7は訂正特許発明5、6を、訂正特許発明8は訂正特許発明1?7を引用するものであるから、上述と同様、甲第1号証及び周知技術に加え、甲第2?13号証の記載を参照しても、当業者が容易になし得たものではない。

2 無効理由2、3について
上記「1」と同様である。

3 被請求人の提示した証拠方法
被請求人の提示した証拠方法は 以下のとおりである。

乙第1号証:市川勝弘、石田隆行 編、
「標準 ディジタルX線画像計測」、株式会社オーム社、
平成22年(2010年)10月10日発行、
P25-26,36,39,41-42
乙第2号証:特開昭63-313100号公報
(公開日昭和63年(1988年)12月21日)
乙第3号証:青柳泰司、他3名著、「新版 放射線機器学(I)-診療画 像機器-」、
株式会社コロナ社、平成22年(2010年)11月30日発行、
P177,180,183-184
乙第4号証:特開2005-148060号公報
(公開日平成17年(2005年)6月9日)
乙第5号証:2012年1月13日付けの、コニカミノルタ
エムジー株式会社庄子武彦署名捺印の報告書(全1枚)
乙第6号証:特開2000-180597号公報
(公開日平成12年(2000年)6月30日)
乙第7号証:特開平6-36714号公報
(公開日平成6年(1994年)2月10日)
乙第8号証:特開2004-117347号公報
(公開日平成16年(2004年)4月15日)
乙第9号証:東洋紡績株式会社「バイロン」カタログ(全8枚)
乙第10号証:特開平10-283925号公報
(公開日平成10年(1998年)10月23日)
乙第11号証:特開2008-139156号公報
(公開日平成20年(2008年)6月19日)
乙第12号証:特公昭59-23400号公報
(公告日昭和59年(1984年)6月1日)
乙第13号証:特開2002-357698号公報
(公開日平成14年(2002年)12月13日)
乙第14号証:特開2002-131493号公報
(公開日平成14年(2002年)5月9日)
乙第15号証-1:特願2010-225851の審査における
平成23年3月31日起案日の拒絶理由通知書(全2枚)
乙第15号証-2:特願2010-225851の審査における
平成23年5月31日付けの意見書(全4枚)
乙第16号証:特許第3276614号公報
(発行日平成14年(2002年)4月22日)


第6 当審の判断
1 無効理由1について
(1)訂正特許発明1
(ア)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載
本件特許の出願前に公知である甲第1号証には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は、当審が付した。)
(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像形成方法、およびその方法に有利に用いられる放射線画像形成材料に関するものである。」

(b)「【0007】上記放射線像変換方法において、これまで数々の輝尽性蛍光体が提案され、実用化されてきたが、いずれの輝尽性蛍光体も放射線を直接吸収してそのエネルギーを蓄積するものであった。言い換えれば、放射線を吸収する蛍光体がエネルギーを蓄積する蛍光体を兼ねているため、蛍光体を選択する際に、放射線吸収性の高さを充分に考慮して最適な蛍光体を選ぶことができなかった。従って、これまでに提案または実用化された輝尽性蛍光体は、必ずしもその放射線吸収が充分に満足できるレベルの蛍光体であるとは言えなかった。
【0008】また、放射線像変換方法用の輝尽性蛍光体として希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体がよく知られているが、この蛍光体は励起光で励起されて輝尽発光を示す際の応答が、必ずしも全ての用途に対して充分に速いわけではなく、応答性のより優れた輝尽性蛍光体が望まれている。ただし、ラインセンサ読取りなどの複数の画素を同時に読み取る方式を利用すれば、応答性が不充分でも実用上において問題とならない場合もある。
【0009】特公平6-31904号公報には、放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルの放射線吸収性を高めるために、波長が250nm未満の放射線と波長範囲が250nm以上で400nm以下の紫外線とを吸収し、そのエネルギーを蓄積し、可視光乃至赤外光の照射を受けることによって該エネルギーを発光として放出する輝尽性蛍光体を含む蛍光体層と、該蛍光体層の下に接して配置された波長範囲が250nm未満の放射線によって励起され波長範囲が250nm以上で400nm以下の紫外線を発光する蛍光体を含む層とからなる放射線像変換パネルが記載されている。すなわち、蛍光体層の輝尽性蛍光体として放射線のみならず、紫外線も吸収しうる蛍光体を用い、同時に下層に紫外発光の蛍光体を含有する層を付設することにより、蛍光体層を透過した放射線をこの紫外発光蛍光体に吸収させ、その紫外発光光を輝尽性蛍光体に吸収蓄積させて、放射線像変換パネルの放射線吸収率を高めるものであり、紫外発光蛍光体は放射線吸収率を高めるための補助的な役割を担っている。
【0010】放射線像変換方法に用いられる輝尽性蛍光体、すなわち放射線を吸収してそのエネルギーを蓄積する輝尽性蛍光体として、特開昭55-12142号公報にはZnS系蛍光体が開示され、特開平2-692号公報にはCaS、SrSなどアルカリ土類金属硫化物系蛍光体が開示されている。しかしながら、これらの輝尽性蛍光体の放射線吸収率は非常に低く、放射線を直接吸収させる限りにおいて実用的ではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、検出量子効率の高い新規な放射線画像形成方法を提供することにある。特に本発明は、画質の高い放射線画像を与え、被曝線量の低減が可能な放射線画像形成方法を提供する。また本発明は、高感度の放射線像変換パネルと蛍光スクリーンとからなる放射線画像形成材料を提供することにもある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、放射線画像形成方法の検出量子効率(DQE)、すなわちこの方法に用いられる放射線像変換パネルの放射線吸収率、輝尽発光効率および発光光の取出し効率について総合的に検討した結果、従来の輝尽性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能を分離して、二種類の蛍光体に各機能を分担させることにより、放射線吸収の優れた蛍光体を用いることが可能となり、その結果、上記方法の放射線吸収率を高められることを見い出した。また、エネルギー蓄積機能を担う蓄積性蛍光体として発光の応答性の優れた蛍光体を用いることも可能となり、発光光の取出し効率を高めるられることを見い出した。さらに、エネルギー蓄積性の蓄積性蛍光体を含む層(または放射線像変換パネル)の両側に放射線吸収性蛍光体を含む層(または蛍光スクリーン)を配置することにより、蓄積性蛍光体層(またはパネル)をその両面から露光して放射線エネルギーを蓄積させることが可能となり、検出量子効率が高く、そして画質の高い放射線画像を得ることが可能となった。
【0013】本発明は、画像形成用の放射線を吸収して紫外乃至可視領域の発光光を放出する蛍光体を含有する放射線吸収性蛍光体層と、該発光光を吸収してそのエネルギーを蓄積し、可視乃至赤外領域の光で励起されると該エネルギーを発光光として放出する蓄積性蛍光体を含有する蓄積性蛍光体層を有する放射線像変換パネル、および画像形成用の放射線を吸収して紫外乃至可視領域の発光光を放出する蛍光体を含有する放射線吸収性蛍光体層を有する蛍光スクリーンを、パネルの蓄積性蛍光体層側表面にスクリーンを密着状態となるように配置し、パネルまたはスクリーンの側から、被検体を透過した、被検体によって回折または散乱された、或は被検体から放射された放射線を照射して、パネルに該放射線の空間的エネルギー分布情報を潜像として記録させたにち、パネルをスクリーンより引き離し、パネルの蓄積性蛍光体層側表面に励起光を照射して、該パネルの潜像から放出される発光光を光電的に読み取って画像信号に変換し、そして該画像信号より放射線の空間的エネルギー分布に対応した画像を形成することからなる放射線画像形成方法にある。
【0014】本発明はまた、画像形成用放射線を吸収して紫外乃至可視領域の発光光を放出する蛍光体を含有する放射線吸収性蛍光体層をそれぞれ有する二枚の蛍光スクリーンの間に、該発光光を吸収してそのエネルギーを蓄積し、可視乃至赤外領域の光で励起されると該蓄積されたエネルギーを発光光として放出する蓄積性蛍光体を含有する蓄積性蛍光体層を有する放射線像変換パネルを、それぞれ密着状態で配置し、いずれか一方のスクリーンの側から、被検体を透過した、被検体により回折または散乱された、或は被検体から放射された放射線を照射して、パネルに該放射線の空間的エネルギー分布情報を潜像として記録させた後、パネルを両方のスクリーンより引き離し、次いでパネルの表面に励起光を照射して、該潜像から放出される発光光を該パネルの片面もしくは両面から光電的に読み取って画像信号に変換し、そして該画像信号より放射線の空間的エネルギー分布に対応した画像を形成することからなる放射線画像形成方法にもある。」

(c)「【0027】上記の本発明の放射線画像形成材料の構成の例を添付図面を参照しながら説明する。図1?5はそれぞれ、本発明の放射線画像形成材料の構成の代表的な例を示す概略断面図である。矢印はX線等の放射線の照射方向である。
【0028】図1において、放射線画像形成材料10は、フロント側の放射線像変換パネル10aとバック側の蛍光スクリーン10bとからなる。フロント側の放射線像変換パネル10aは順に、支持体11a、放射線吸収性蛍光体層12a、蓄積性蛍光体層13、および保護層14aから構成されている。また、バック側の蛍光スクリーン10bは順に、支持体11b、放射線吸収性蛍光体層12b、および保護層14bから構成されている。なお、フロント側に蛍光スクリーンを配置し、バック側に放射線像変換パネルを配置することもできる。
【0029】フロント側の放射線吸収性蛍光体層12aの層厚は、一般には50乃至200μmの範囲にあり、好ましくは100乃至150μmの範囲にある。また、バック側の放射線吸収性蛍光体層12bの層厚は、フロント側の放射線吸収性蛍光体層12aの層厚と同等もしくはそれよりも大きいことが好ましく、一般には50乃至300μmの範囲にあり、好ましくは100乃至250μmの範囲にある。ただし、放射線吸収性蛍光体層が異方性を持つ場合には、フロント側の場合も、またバック側の場合でも、その蛍光体層の膜厚は600μm程度の厚さ(好ましくは、500μm以下)となってもよい。
【0030】一方、蓄積性蛍光体層13は、紫外乃至可視領域の光の吸収によってエネルギーが蓄積されるので、その層厚は薄くすることができて、一般には1乃至50μmの範囲にあり、好ましくは5乃至20μmの範囲にある。好ましくは、蓄積性蛍光体層13は放射線吸収性蛍光体層12aよりも薄く、さらに好ましくは、蓄積性蛍光体層13の層厚は、放射線吸収性蛍光体層12aおよび12bの全層厚の0.2乃至20%の範囲にある。
【0031】また、支持体11a、11bの厚さは、一般には50乃至1000μmの範囲にあり、好ましくは120乃至350μmの範囲にある。支持体は、炭素繊維シートやアルミニウムシートなどの基板に付設されていてもよい。保護層14a、14bの層厚は、一般には約1μm乃至20μmの範囲にあり、好ましくは3乃至15μmの範囲にある。
【0032】図2において、放射線画像形成材料20は、フロント側の蛍光スクリーン20b、バック側の蛍光スクリーン20c、及びその間のセンターの放射線像変換パネル20aからなる。フロント側スクリーン20bは順に、支持体21b、放射線吸収性蛍光体層22b、および保護層24bから構成されている。バック側スクリーン20cは順に、支持体21c、放射線吸収性蛍光体層22c、および保護層24cから構成されている。センターパネル20aは順に、保護層24a、蓄積性蛍光体層23、および保護層24’aから構成されている。」

(d)「【0048】(支持体)支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムである。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に、励起光(一次、二次)もしくは輝尽発光光を反射させるための光反射性材料(例、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子)を充填してもよく、あるいは空隙を設けてもよい。または、支持体に励起光もしくは輝尽発光光を吸収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を充填してもよい。支持体の形成に用いることのできる樹脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。必要に応じて、支持体は金属シート、セラミックシート、ガラスシート、石英シートなどであってもよい。
【0049】(放射線吸収性蛍光体層)まず、上記の放射線吸収蛍光体粒子と結合剤とを溶剤に加え、これを十分に混合して、結合剤溶液中に放射線吸収蛍光体粒子が均一に分散した塗布液を調製する。蛍光体粒子を分散支持する結合剤については様々な種類の樹脂材料が知られており、本発明の放射線像変換パネルの製造においても、それらの公知の結合剤樹脂を中心とした任意の樹脂材料から適宜選択して用いることができる。塗布液における結合剤と蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と蛍光体との混合比率(結合体/蛍光体)は、1乃至0.01(重量比)の範囲から選ばれる。なお、塗布液にはさらに、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤、蛍光体層の変色を防止するための黄変防止剤、硬化剤、架橋剤など各種の添加剤が混合されていてもよい。
【0050】このようにして調製された塗布液を次に、支持体の表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。塗布操作は、通常の塗布手段、たとえばドクターブレード、ロールコータ、ナイフコータなどを用いる方法により行うことができる。この塗膜を乾燥して、支持体上への放射線吸収性蛍光体層の形成を完了する。なお、蛍光体層は、必ずしも上記のように支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、例えば、別にガラス板、金属板、プラスチックシートなどの仮支持体上に塗布液を塗布し乾燥することにより蛍光体層を形成した後、これを支持体上に押圧するか、あるいは接着剤を用いるなどして支持体上に蛍光体層を接合する方法を利用してもよい。あるいは、特願2000-158213号明細書に記載されているような、針状蛍光体を配向させて異方化した蛍光体層も用いることができる。
【0051】本発明に係る放射線吸収性蛍光体層は、放射線吸収蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるのものばかりでなく、結合剤を含まないで放射線吸収蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、蒸着膜、あるいは放射線吸収蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されている蛍光体層などでもよい。
【0052】(隔壁)また、放射線吸収性蛍光体層には、発光光の散乱を防止して得られる画像の画質を高める目的で、蛍光体層を平面方向に沿って細分区画する隔壁が設けられていてもよい。放射線吸収性蛍光体層は層厚が比較的厚いので、隔壁を設けることにより発光光の拡散を有効に防止することができる。隔壁は縞状、格子状など任意の形状で設けることができ、あるいは円形、六角形など任意の形状の放射線吸収蛍光体が充填された領域を隔壁が囲むように形成されてもよい。また、隔壁の頂部と底部はともに蛍光体層の両表面に露出していてもよいし、あるいは頂部と底部の両方あるいはいずれか一方が蛍光体層に埋没していてもよい。
【0053】隔壁は、例えばアルミニウム、チタン、ステンレスなど金属製の板、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムなどセラミックス製の板、あるいは感光性樹脂など有機高分子物質からなるシートに好適なエッチング処理をすることにより、多数の凹部(穴)もしくは透孔が形成されたハニカム状のシートを用意し、このハニカム状シートの上に上記の蛍光体層を載せたのち加熱圧縮することにより、ハニカム状シートを蛍光体層の中に押し込んで形成することができる。あるいは、蛍光粒子を分散含有する結合剤からなる多数の薄膜状の蛍光体シートと高分子物質からなる多数の薄膜状の隔壁用シートをそれぞれ形成し、蛍光体シートと隔壁用シートを交互に多数枚積層した後、積層方向に垂直に裁断することからなる積層スライス法によっても形成することができる。あるいはまた、上記のように蛍光体層が蒸着膜などのように放射線吸収蛍光体の凝集体からなる場合には、クラックを形成させることにより隔壁とすることができる。そのような蛍光体層の例としては、CsI:Na、CsI:Tl、CsBr:Tlなどの針状結晶膜を挙げることができる。隔壁には、酸化アルミニウム、二酸化チタン等の低光吸収性微粒子が分散含有されていてもよいし、あるいは放射線吸収蛍光体からの発光光を選択的に吸収するような着色剤で着色されていてもよい。
【0054】あるいは、隔壁を蛍光体層材料(ただし、結合剤:蛍光体の比率および/または粒子サイズは、蛍光体層を形成する場合とは変える)から形成してもよい。一般に放射線吸収蛍光体は高屈折率であるので、平面方向の散乱をより効果的に防止することができる。また、高い放射線吸収を維持しながら、高鮮鋭度の画像を得ることができる。」

(e)「【0084】(拡散反射層)また、この放射線像変換パネルがフロント側となる場合には、支持体と放射線吸収性蛍光体層との間に、図14に示すように、拡散反射層を設けることが好ましい。本発明の画像形成材料に用いることのできる拡散反射層は、放射線吸収蛍光体からの発光光を反射する機能を有する層である。この拡散反射層の設置によって、蓄積性蛍光体層に入射する放射線吸収蛍光体からの発光光(一次励起光)の光量を増加させて、高感度の放射線像変換パネルとすることができる。図14において、放射線像変換パネル10a”は順に、支持体11a、拡散反射層16、放射線吸収性蛍光体層12a、蓄積性蛍光体層13、および保護層14aから構成されている。
【0085】拡散反射層は、二酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)などの光反射性物質を含有する層である。光反射性物質は、拡散反射層がフロント側のパネルまたはスクリーンに設けられることを考慮して、X線等の放射線の吸収が小さい必要があるとともに、反射の鮮鋭度の点からは、屈折率が高いことが望ましい。よって、光反射性物質として好ましいのは二酸化チタンであり、特により屈折率の高いルチル型が好ましい。ただし、二酸化チタンは約430nmよりも長波長の領域で高い反射率を示すので、放射線吸収蛍光体がGd_(2)O_(2)S:Tbなどである場合に適している。放射線吸収蛍光体の発光波長が約430nmよりも短波長である場合には、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムなどその発光波長領域に吸収のない物質を選択する必要がある。
【0086】拡散反射層は、感度および鮮鋭度の点から、できるだけ薄い層厚で高い光反射率を達成することが望ましい。拡散反射層が単独で存在する場合に、その層厚と拡散反射率との関係は、図15において斜線で示す領域にあることが好ましい。ここで、拡散反射率は、特開平9-21899号公報に詳細に記載されているように、BaSO_(4)粉末が全面に一様に塗布してある積分球を用いて標準白板に対して求めた反射率である。そのためには光反射性物質の平均粒子径は、一般には0.1乃至0.5μmの範囲にあり、好ましくは0.1乃至0.4μmの範囲にある。光反射性物質の拡散反射層における体積充填率は、一般には25乃至75%の範囲にあり、好ましくは40%以上である。拡散反射層の層厚は一般に15乃至100μmの範囲にある。
【0087】拡散反射層は、上記微粒子状の光反射性物質および結合剤を溶剤中に混合分散して塗布液を調製した後、これを支持体上に塗布乾燥することにより形成することができる。結合剤および溶剤は、前記蛍光体層に使用することが可能なものの中から適宜選択して用いることができる。
【0088】支持体上に拡散反射層を設ける代わりに、支持体自体に上記のような光反射性物質を分散含有させて、拡散反射機能を有する支持体としてもよい。また、後述するように、拡散反射層および/または支持体を着色してもよい。なお、蛍光スクリーンをフロント側に用いる場合にも、拡散反射層または拡散反射機能を有する支持体を設けることが望ましい。また、バック側に用いられるパネルまたはスクリーンに使用すれば、感度的に優れたものが設計しやすい。」

(f)「
【図1】

【図2】

【図14】



イ 甲第1号証に記載された発明
上記甲第1号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「フロント側の蛍光スクリーン20bは、バック側の蛍光スクリーン20c、及びその間のセンターの放射線像変換パネル20aとともに放射線画像形成材料20を形成し、
フロント側蛍光スクリーン20bは順に、支持体21b、放射線吸収性蛍光体層22b、および保護層24bから構成されており、
支持体21bは、ポリイミド樹脂からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムであり、
放射線吸収性蛍光体層22bは、CsI:Tlの針状結晶膜である蒸着膜からなり、
支持体21bと放射線吸収性蛍光体層22bとの間に、拡散反射層を設け、
拡散反射層は、平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタンおよび結合剤を溶剤中に混合分散して塗布液を調製した後、これを支持体21b上に塗布乾燥することにより形成され、層厚が15乃至100μmの範囲にあり、
結合剤は樹脂材料であり、
放射線像変換パネル20aは順に、保護層24a、蓄積性蛍光体層23、および保護層24’aから構成されている、
フロント側の蛍光スクリーン20b。」

(イ)訂正特許発明1と甲1発明の対比
ア 甲1発明の「支持体21b」、「拡散反射層」、「フロント側の蛍光スクリーン20b」は、それぞれ、訂正特許発明1の「基板」、「反射層」、「シンチレータパネル」に相当する。

イ 甲1発明の「CsI:Tlの針状結晶膜である蒸着膜からな」る「放射線吸収性蛍光体層22b」は、訂正特許発明1の「ヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として」「蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層」に相当する。

ウ 甲1発明の「平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタン」、「結合剤」は、それぞれ、訂正特許発明1の「アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料」、「バインダー樹脂」に相当することは明らかであるから、甲1発明の「拡散反射層は、平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタンおよび結合剤を溶剤中に混合分散して塗布液を調製した後、これを支持体21b上に塗布乾燥することにより形成され、」「支持体21bと放射線吸収性蛍光体層22bとの間に、拡散反射層を設け、」「結合剤は樹脂材料である」構成は、訂正特許発明1の「該反射層は、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料およびバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであ」る構成に相当する。

エ 甲1発明の「フロント側蛍光スクリーン20bは順に、支持体21b、放射線吸収性蛍光体層22b、および保護層24bから構成されており、」「支持体21bと放射線吸収性蛍光体層22bとの間に、拡散反射層を設け」られている構成は、訂正特許発明1の「シンチレータパネル」は「基板上に反射層及び」「シンチレータ層を有する」構成に相当する。

オ 甲1発明の「フロント側の蛍光スクリーン20b」を構成する「放射線吸収性蛍光体層22b」が放射線を吸収してそのエネルギーに応じた電磁波を発光すること、および、「放射線像変換パネル20a」を構成する「蓄積性蛍光体層23」が「放射線吸収性蛍光体層22b」から発光された電磁波を吸収して画像(潜像)を形成するものであることは技術常識であるから、甲1発明の「フロント側の蛍光スクリーン20b」は「放射線像変換パネル20a」とともに、画像を撮るパネル、すなわち、撮像パネルを構成するものであるといえる。
すると、甲1発明の「フロント側の蛍光スクリーン20bは、バック側の蛍光スクリーン20c、及びその間のセンターの放射線像変換パネル20aとともに放射線画像形成材料20を形成」することと、訂正特許発明1の「該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え」ることとは、「該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像を形成する基板とともに撮像パネルを構成する」ことで一致する。

(ウ)訂正特許発明1と甲1発明の一致点
すると、訂正特許発明1と甲1発明は、
「基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像を形成する基板とともに撮像パネルを構成する、
シンチレータパネル。」
の点で一致し、次の各点で相違する。

(エ)訂正特許発明1と甲1発明の相違点
a 訂正特許発明1の「柱状結晶構造のシンチレータ層」は、「基板温度150℃?250℃において」、「酸化チタンの白色顔料及びバインダー樹脂からな」る「反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであ」るのに対し、甲1発明の「CsI:Tlの針状結晶膜である蒸着膜からな」る「放射線吸収性蛍光体層22b」は、上記発明特定事項を備えていない点。

b 訂正特許発明1の「バインダー樹脂」は、「ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であ」るのに対して、甲1発明の「結合剤」は「樹脂材料であ」るとのみ特定されている点。

c 訂正特許発明1は、「シンチレータパネル」から発光された電磁波を吸収するものが、「光電変換素子を備え、」「画像信号を出力する出力基板」であって、「該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している」のに対して、甲1発明は、「放射線吸収性蛍光体層22b」から発光された電磁波を吸収するものが、「蓄積性蛍光体層23」を有する「放射線像変換パネル20a」であって、「フロント側の蛍光スクリーン20b」が「蓄積性蛍光体層23」の面形状に合った形状に変形している否かが不明である点。

(オ)判断
ア 相違点aについて
蒸着によりCsI:Tlを形成する際の基板温度を150?300℃の範囲にすることは、乙第6号証(特に、段落【0010】)、乙第7号証(特に,段落【0014】)、乙第8号証(特に、段落【0032】)の記載によれば、技術常識であると認められる。(上記平成24年(行ケ)10111号の判決(以下、「前判決」という。)の「第5」「1」「(2)」「ウ」「(ア)」、P.48参照)
また、甲第7号証(特に、段落【0013】)、特開2004-163410号公報(特に、段落【0028】,【0030】?【0033】,【0039】,【0060】?【0061】)、甲第8号証(特に、段落【0099】,【0117】,【0169】?【0172】)の記載によれば、基板と蒸着により形成された蛍光体層との間に反射層が設けられている蛍光体パネル/スクリーンにおいて、蛍光体層を反射層の表面に蒸着により形成すること、および、特開2004-163410号公報(特に、段落【0028】,【0030】?【0033】,【0039】,【0060】?【0061】)、甲第8号証(特に、段落【0099】,【0117】,【0169】?【0172】)、甲第16号証(特に、段落【0022】?【0024】)に示されるように、バインダー樹脂を含んだ反射層の表面又は反射機能を有する樹脂基板の表面に、蛍光体層を蒸着により形成することは、周知技術であると認められる。(前判決の「第5」「2」「(4)」「イ」、P.62参照)
そして、反射膜としてのAl膜上に蒸着により柱状構造のTlドープのCsIを形成する技術が記載されている甲第7号証、樹脂材料に酸化チタン、酸化アルミニウム等の顔料を混入した白色樹脂材料上にCsI:Tlなどの柱状結晶の層を蒸着法により形成する技術が記載されている甲第16号証には、柱状結晶構造のCsI:Tlを蒸着する際の具体的な条件については何ら記載されておらず、このことからすると、Al膜や樹脂基板上に柱状結晶構造のCsI:Tlを蒸着することは、格別の困難を伴わずに普通に行われている事項であると認められる。(前判決の「第5」「2」「(5)」「ウ」、P.63参照)
すると、甲1発明、すなわち、「放射線吸収性蛍光体層22bは、CsI:Tlの針状結晶膜である蒸着膜からなり、支持体21bと放射線吸収性蛍光体層22bとの間に、拡散反射層を設け、拡散反射層は、平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタンおよび結合剤を溶剤中に混合分散して塗布液を調製した後、これを支持体21b上に塗布乾燥することにより形成」する発明において、「拡散反射層」上にCsI:Tlを蒸着によって柱状結晶を成長させることは、当業者にとって格別の創意工夫を要するものとは認められない。(前判決の「第5」「2」「(5)」「エ」、P.64参照)

イ 相違点bについて
甲第8号証(特に、段落【0117】?【0123】)には、酸化チタン、酸化アルミニウムのような白色顔料と樹脂からなる反射層において、樹脂として、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル共重合体(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体等)、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン-ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂が挙げられており、
甲第16号証(特に、段落【0022】?【0024】)には、樹脂材料に酸化チタン、酸化アルミニウムなどの顔料を混入した白色樹脂樹脂から基材の樹脂材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられている。
これらの記載によれば、酸化チタン、酸化アルミニウムのような白色顔料と樹脂からなる反射層あるいは反射機能を有する樹脂基板の樹脂として、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル共重合体(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体等)、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン-ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂を使用することは、周知技術であると認められる。
また、甲第14号証(特に、段落【0020】?【0034】)には、表面に蛍光体を蒸着する熱可塑性樹脂膜の熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、シリコーン、スチレン-ブタジエン共重合体、ABSゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、シリコン-アクリル共重合体や、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ブタジエン、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンが挙げられ、これらのモノマーを2つ以上組み合わせた共重合体や、また、共重合体に組み込まれた酢酸ビニルをケン化し、酢酸ビニルの一部をビニルアルコールに導いた熱可塑性樹脂、ポリウレタン、シリコーン-アクリル共重合体が挙げられており、
甲第15号証(特に、段落【0018】?【0028】)には、表面に蛍光体を蒸着するポリマーとして、カルボキシメチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース化合物、ポリエステル樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンが挙げられている。
これらの記載によれば、表面に蛍光体を蒸着する樹脂として、ポリ塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、シリコーン、スチレン-ブタジエン共重合体、ABSゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、シリコン-アクリル共重合体や、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ブタジエン、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンが挙げられ、これらのモノマーを2つ以上組み合わせた共重合体や、共重合体に組み込まれた酢酸ビニルをケン化し、酢酸ビニルの一部をビニルアルコールに導いた熱可塑性樹脂、ポリウレタン、シリコーン-アクリル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース化合物、ポリエステル樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、ウレタン系、エポキシ系樹脂から選ばれる樹脂を使用することは、周知技術であると認められる。
すると、甲1発明、すなわち、「放射線吸収性蛍光体層22bは、CsI:Tlの針状結晶膜である蒸着膜からなり、支持体21bと放射線吸収性蛍光体層22bとの間に、拡散反射層を設け、拡散反射層は、平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタンおよび結合剤を溶剤中に混合分散して塗布液を調製した後、これを支持体21b上に塗布乾燥することにより形成され、」「結合剤は樹脂材料であ」る発明において、「樹脂材料」を、上記酸化チタン、酸化アルミニウムのような白色顔料と樹脂からなる反射層あるいは反射機能を有する樹脂基板の樹脂及び上記表面に蛍光体を蒸着する樹脂に共通する、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル共重合体(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体等)、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン-ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂から選ばれる樹脂を使用とすることは、当業者には容易である。

ウ 相違点cについて
放射線を吸収してその強度に応じた電磁波を発光するシンチレータパネルを、光電変換素子を備える出力基板とともに撮像パネルとして構成することは、甲第7号証(特に、段落【0013】、図2)、甲第9号証(特に、段落【0026】?【0029】、図1)、甲第10号証(特に、段落【0004】、図16)、甲第12号証(特に、第7頁第5?49行、図1?3)、甲第16号証(特に、段落【0005】,【0046】、図4)に記載されるように、周知技術であると認められる。
そして、甲1発明は、放射線を吸収してそのエネルギーに応じた電磁波を発光する「放射線吸収性蛍光体層22b」を、「蓄積性蛍光体層23」を有する「放射線像変換パネル20a」とともに「放射線画像形成材料20」として構成するものであり、上記「光電変換素子を備える出力基板」と、「蓄積性蛍光体層23」を有する「放射線像変換パネル20a」は、シンチレータパネル(蛍光スクリーン)からの電磁波を受けて画像を得る手段である点で共通するから、甲1発明の「蓄積性蛍光体層23」を有する「放射線像変換パネル20a」に換えて、周知の光電変換素子を備える出力基板とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、シンチレータパネルと光電変換素子を備える出力基板とから撮像パネルを形成する方法として、シンチレータパネルと光電変換素子を備える出力基板とを、ローラーを用いて貼り合わせていく方法が、甲第9号証(特に、段落【0068】、図9(b))、甲第10号証(特に、段落【0021】)、甲第16号証(特に、段落【0046】)に記載されるように一般的な方法であると認められるとともに、柔軟な樹脂材料を基板とするシンチレータパネルと光電変換素子を備える出力基板とを、ローラーを用いて貼り合わせれば、シンチレータパネルが光電変換素子面形状に合った形状となることは自明であるから、上述のとおり、甲1発明の、「支持体21bは、ポリイミド樹脂からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムであ」る、すなわち、柔軟な樹脂材料を基板とする「蛍光スクリーン20b」と周知の光電変換素子を備える出力基板とから撮像パネルを形成する方法として、上記一般的な方法を用いることは、当業者が普通になし得ることであり、その結果、シンチレータパネルが光電変換素子面形状に合った形状となることは当然のことである。

エ 効果について
被請求人は、訂正特許発明1において、「基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層」「は、該反射層の表面に柱状結晶光体を成長させて形成したものであ」り、「該バインダー樹脂が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であ」る構成により、「バインダー樹脂」のガラス転移温度(Tg)が「基板温度150℃?250℃」より低いものであるから、「シンチレータ層」と「反射層」の接着性が向上するという優れた作用効果を奏すると主張する。
しかし、甲第14号証(特に、段落【0028】)には、表面に蛍光体を蒸着する熱可塑性樹脂膜の熱可塑性樹脂として、ガラス転移点が30℃?150℃、好ましくは、50℃?120℃が好ましく、その例として、上述の熱可塑性樹脂が挙げられており、また、甲第15号証(特に、段落【0016】,【0024】)には、支持体と蛍光体層との付着性(接着性)に優れた効果を奏するために、ポリマーのガラス転移点(Tg)が30?100℃であることが好ましいことが記載されているように、樹脂材料層の表面に蛍光体を蒸着するとき、樹脂材料のガラス転移温度(Tg)が蒸着時の基板温度の150℃?250℃より低いものであれば、樹脂材料層と蛍光体層の接着性が向上することは、当業者にはよく知られていることであるから、上記被請求人の主張する作用効果は、甲第1号証、周知技術及び技術常識から、当業者が容易に想到し得るものであって、格別なものではない。

(カ)小括
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(2)訂正特許発明2
(ア)甲第1号証記載の発明
甲1発明は、上記「1」「(1)」「(ア)」「イ」に記載したとおりである。

(イ)訂正特許発明2と甲1発明の対比
訂正特許発明2と甲1発明とを対比すると、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点a、相違点b、相違点cに加え、以下の点でさらに相違する。

(ウ)訂正特許発明2と甲1発明の相違点
d 訂正特許発明2は、「前記反射層表面がカレンダー処理により平滑化されている」のに対し、甲1発明の「拡散反射層」がカレンダー処理により平滑化されているか否かが不明である点。

(エ)判断
ア 相違点aについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ア」と同様である。

イ 相違点bについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「イ」と同様である。

ウ 相違点cについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ウ」と同様である。

エ 相違点dについて
甲第2号証に、「【0003】蒸着法等による輝尽性蛍光体の形成では、蒸着時の蒸気流又はルツボ輻射熱、基板加熱の必要ある可能性等から、基板は耐熱性(80℃?200℃程度)があることが必要であった。かつ蛍光体層が設けられる基板表面は非常に平滑であることが求められていた。」と記載されているように、蛍光体層が設けられる基板表面は非常に平滑であることが必要であるという課題が当業者には周知の課題であると認められる。
また、一般に、平滑化処理法として、カレンダー処理は周知のものであり、甲第3号証に、「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体の輝尽特性を利用した放射線像変換パネルの製造方法に嵌するものである。」、「【0031】平滑化処理は、たとえばカレンダーロールにより行うことができる。・・(後略)・・」と記載されるように、放射線像変換パネルの製造方法にも使用されるものである。
そして、上述のとおり、甲1発明の「拡散反射層」上にCsI:Tlを蒸着によって柱状結晶を成長させることが、当業者にとって格別の創意工夫を要せずに行えるところ、この蒸着に先立って、上記周知の課題を解決するために、「拡散反射層」の表面をカレンダー処理により平滑化することは、当業者が適宜なし得たことである。

(オ)小括
以上のとおり、訂正特許発明2は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明2の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(3)訂正特許発明3
(ア)甲第1号証記載の発明
甲1発明は、上記「1」「(1)」「(ア)」「イ」に記載したとおりである。

(イ)訂正特許発明3と甲1発明の対比
訂正特許発明3と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタン」が、訂正特許発明3の「前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であ」ることに相当するから、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点a、相違点cに加え、以下の点でさらに相違する。

(ウ)訂正特許発明3と甲1発明の相違点
b’ 訂正特許発明3の「バインダー樹脂」は、「100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であ」るのに対して、甲1発明の「結合剤は樹脂材料であ」るとのみ特定されている点。

(エ)判断
ア 相違点aについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ア」と同様である。

イ 相違点b’について
相違点b’は、相違点bに、さらに、「100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、」、「ポリアミド樹脂」、「アクリル系樹脂」が相違する事項として追加されたものである。
そして、「ポリアミド樹脂」、「アクリル系樹脂」が追加された点は、「バインダー樹脂」として列記された材料を追加するものであって、上記「1」「(1)」「(オ)」「イ」の判断に影響を与えるものではないから、以下、「100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、」が追加された点について、検討する。
上記「1」「(1)」「(オ)」「エ」で説示したとおり、甲第14号証には、表面に蛍光体を蒸着する熱可塑性樹脂膜の熱可塑性樹脂として、ガラス転移点が30℃?150℃、好ましくは、50℃?120℃が好ましく、その例として、上述の熱可塑性樹脂が挙げられており、また、甲第15号証には、支持体と蛍光体層との付着性(接着性)に優れた効果を奏するために、ポリマーのガラス転移点(Tg)が30?100℃であることが好ましいことが記載されているように、樹脂材料層の表面に、蛍光体を蒸着するとき、樹脂材料のガラス転移温度(Tg)が、蒸着時の基板温度の150℃?250℃より低いものであれば、樹脂材料層と蛍光体層の接着性が向上することは、当業者にはよく知られていることであり、また、訂正特許発明3で、「100℃」という数値に格別な技術的意味(特に、臨界的意味)がないことも考慮すると、甲1発明の「樹脂材料」として、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 相違点cについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ウ」と同様である。

(オ)小括
以上のとおり、訂正特許発明3は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明3の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(4)訂正特許発明4
(ア)甲第1号証記載の発明
甲1発明は、上記「1」「(1)」「(ア)」「イ」に記載したとおりである。

(イ)訂正特許発明4と甲1発明の対比
訂正特許発明4と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタン」が、訂正特許発明4の「前記平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料が、二酸化チタンである」ことに相当するから、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点a、相違点c、及び、上記「1」「(3)」「(ウ)」で挙げた相違点b’で相違する。

(ウ)判断
ア 相違点aについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ア」と同様である。

イ 相違点b’について
上記「1」「(3)」「(エ)」「イ」と同様である。

ウ 相違点cについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ウ」と同様である。

(エ)小括
以上のとおり、訂正特許発明4は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明4の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(5)訂正特許発明5
(ア)甲第1号証記載の発明
甲1発明は、上記「1」「(1)」「(ア)」「イ」に記載したとおりである。

(イ)訂正特許発明5と甲1発明の対比
訂正特許発明5と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「支持体21bは、ポリイミド樹脂からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムであ」ることが、訂正特許発明5の「厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる」ことに相当するから、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点a、相違点bに加え、以下の点でさらに相違する。

(ウ)訂正特許発明5と甲1発明の相違点
c’ 訂正特許発明5は、「シンチレータパネル」から発光された電磁波を吸収するものが、「光電変換素子を備え、」「画像信号を出力する出力基板」であるのに対して、甲1発明は、「放射線吸収性蛍光体層22b」から発光された電磁波を吸収するものが、「蓄積性蛍光体層23」を有する「放射線像変換パネル20a」である点。

(エ)判断
ア 相違点aについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ア」と同様である。

イ 相違点bについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「イ」と同様である。

ウ 相違点c’について
相違点c’は、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点cから、相違する事項としての「該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形している」を削除したものであるから、上記「1」「(1)」「(オ)」「ウ」と同様、甲1発明の「蓄積性蛍光体層23」を有する「放射線像変換パネル20a」に換えて、周知の光電変換素子を備える出力基板とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

エ 効果について
被請求人は、訂正特許発明5において、「厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる」構成により、シンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形することで、フラットパネルディテクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られることを可能とするという優れた作用効果を奏すると主張する。
しかし、上記「1」「(1)」「(オ)」「ウ」で説示したとおり、シンチレータパネルと光電変換素子を備える出力基板とから撮像パネルを形成する方法として、シンチレータパネルと光電変換素子を備える出力基板を、ローラーを用いて貼り合わせていく方法が一般的な方法であると認められるとともに、柔軟な樹脂材料を基板とするシンチレータパネルと光電変換素子を備える出力基板を、ローラーを用いて貼り合わせれば、シンチレータパネルが光電変換素子面形状に合った形状となることは自明である。
そして、シンチレータパネルが光電変換素子面形状に合った形状となれば、受光面全体で鮮鋭性を含む画質が均一になることは、当業者であれば容易に想到し得ることであるから、上記被請求人の主張する作用効果は、甲第1号証、周知技術及び技術常識から、当業者が容易に想到し得るものであって、格別なものではない。

(オ)小括
以上のとおり、訂正特許発明5は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明5の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(6)訂正特許発明6
(ア)甲第1号証記載の発明
甲1発明は、上記「1」「(1)」「(ア)」「イ」に記載したとおりである。

(イ)訂正特許発明6と甲1発明の対比
訂正特許発明6と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「支持体21bは、ポリイミド樹脂からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムであ」ること、「平均粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある二酸化チタン」が、それぞれ、訂正特許発明6の「厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる」こと、「前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であ」ることに相当するから、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点a、相違点c、上記「1」「(3)」「(ウ)」で挙げた相違点b’で相違する。

(ウ)判断
ア 相違点aについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ア」と同様である。

イ 相違点b’について
上記「1」「(3)」「(エ)」「イ」と同様である。

ウ 相違点cについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ウ」と同様である。

(エ)小括
以上のとおり、訂正特許発明6は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明6の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(7)訂正特許発明7
(ア)甲第1号証記載の発明
甲1発明は、上記「1」「(1)」「(ア)」「イ」に記載したとおりである。

(イ)訂正特許発明7と甲1発明の対比
訂正特許発明7のうちの請求項5を引用する発明と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「支持体21bは、ポリイミド樹脂からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムであ」ることが、訂正特許発明7の「前記高分子フィルムがポリイミド(PI)またはポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムである」ことに相当するから、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点a、相違点b、上記「1」「(5)」「(ウ)」で挙げた相違点c’で相違する。

(ウ)判断
ア 相違点aについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ア」と同様である。

イ 相違点bについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「イ」と同様である。

ウ 相違点c’について
上記「1」「(5)」「(エ)」「ウ」と同様である。

(エ)小括
以上のとおり、訂正特許発明7は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明7の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(8)訂正特許発明8
(ア)甲第1号証記載の発明
甲1発明は、上記「1」「(1)」「(ア)」「イ」に記載したとおりである。

(イ)訂正特許発明8と甲1発明の対比
訂正特許発明7のうちの請求項1を引用する発明と甲1発明とを対比すると、上記「1」「(1)」「(エ)」で挙げた相違点a、相違点b、相違点cに加え、以下の点でさらに相違する。

(ウ)訂正特許発明8と甲1発明の相違点
e 訂正特許発明8は、「前記反射層の厚さが0.2?3.0μmである」のに対し、甲1発明の「拡散反射層」の「層厚が15乃至100μmの範囲にあ」る点。

(エ)判断
ア 相違点aについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ア」と同様である。

イ 相違点bについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「イ」と同様である。

ウ 相違点cについて
上記「1」「(1)」「(オ)」「ウ」と同様である。

エ 相違点eについて
甲第1号証には、「拡散反射層は、感度および鮮鋭度の点から、できるだけ薄い層厚で高い光反射率を達成することが望ましい。」(段落【0086】;上記「第6」「(1)」「(ア)」「ア」「(e)」)との記載があり、また、当業者には、「拡散反射層」の層厚が、使用する光反射性物質、該光反射性物質の平均粒径、「拡散反射層」中での該光反射性物質の濃度、所望の感度、所望の鮮鋭度、所望の光反射率等の種々の要素を考慮して適宜決定されるものであることは自明であって、さらに、訂正特許発明8では、他の要素についての記載がなく、厚さのみが「0.2?3.0μmである」と限定された点に格別な技術的意味(特に、臨界的意味)が認められないことも勘案すると、甲1発明において、「拡散反射層」の「層厚」を0.2?3.0μmとすることは、当業者が適宜設計変更し得る程度の事項である。

(オ)小括
以上のとおり、訂正特許発明8は、甲1発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正特許発明8の特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

2 無効理由2、3について
上記のとおりであるから、無効理由1以外の無効理由2、3については、判断するまでもない。


第7 むすび
以上のとおり、本件特許第4725533号の請求項1?8に係る発明の特許は、いずれも、無効理由1によって無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論の通り審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
シンチレータパネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の放射線画像を形成する際に用いられるシンチレータパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙-フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながらこれら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送が出来ない。
【0003】
そして、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等に代表されるデジタル方式の放射線画像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式のX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
【0004】
X線画像のデジタル技術の一つとしてコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)が現在医療現場で受け入れられている。しかしながら鮮鋭性が十分でなく空間分解能も不十分であり、スクリーン・フィルムシステムの画質レベルには到達していない。そして、更に新たなデジタルX線画像技術として、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)が開発されて(例えば、非特許文献1、2参照)いる。
【0005】
放射線を可視光に変換するために、放射線により発光する特性を有するX線蛍光体で作られたシンチレータパネルが使用されるが、低線量の撮影においてのSN比を向上するためには、発光効率の高いシンチレータパネルを使用することが必要になってくる。一般にシンチレータパネルの発光効率は、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さ、蛍光体のX線吸収係数によって決まるが、蛍光体層の厚さは厚くすればするほど、蛍光体層内での発光光の散乱が発生し、鮮鋭性は低下する。そのため、画質に必要な鮮鋭性を決めると、膜厚が決定する。
【0006】
なかでもヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であった。
【0007】
しかしながらCsIのみでは発光効率が低いために、例えば、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものを、蒸着を用いて基板上にナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)として堆積、又近年ではCsIとヨウ化タリウム(TlI)を任意のモル比で混合したしたものを、蒸着を用いて基板上にタリリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)として堆積したものに、後工程としてアニールを行うことで可視変換効率を向上させ、X線蛍光体として使用している。
【0008】
また他の光出力を増大する手段として、シンチレータを形成する基板を反射性とする方法(例えば特許文献1参照)、基板上に反射層を設ける方法(例えば特許文献2参照)、基板上に設けられた反射性金属薄膜と、金属薄膜を覆う透明有機膜上にシンチレータを形成する方法(例えば特許文献3参照)などが提案されているが、これらの方法は得られる光量は増加するが、鮮鋭性が著しく低下するという欠点がある。
【0009】
またシンチレータパネルを平面受光素子面上に配置する方法(例えば、特許文献4、5参照)があるが生産効率が悪く、シンチレータパネルと平面受光素子面での鮮鋭性の劣化は避けられない。
【0010】
従来、気体層法によるシンチレータの製造方法としては、アルミやアモルファスカーボンなど剛直な基板上に蛍光体層を形成し、その上にシンチレータの表面全体を保護膜で被覆させる(例えば特許文献6参照)ことが一般的である。しかしながら、自由に曲げることのできないこれらの基板上に蛍光体層を形成した場合、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルデテイクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという欠点がある。この問題は近年のフラットパネルデテイクタの大型化に伴い深刻化してきている。
【0011】
この問題を回避するために撮像素子上に直接、蒸着でシンチレータを形成する方法や、鮮鋭性の低いが、可とう性を有する医用増感紙などをシンチレータパネルの代用として用いることが一般的に行われている。また、保護層としてポリパラキシリレン等の柔軟な保護層を使用した例が示されて(例えば特許文献7参照)いる
しかしながら、基板として使用しているアルミやアモルファスカーボンなどは剛直であり、基板の凹凸や反りなどの影響により、シンチレータパネル面と平面受光素子面の均一接触は達成し難い。
【0012】
この様な状況から、放出される光量や鮮鋭性に優れ、シンチレータパネルと平面受光素子面間での鮮鋭性の劣化が少ない放射線フラットパネルデテイクタを開発することが望まれている。
【特許文献1】特公平7-21560号公報
【特許文献2】特公平1-240887号公報
【特許文献3】特開2000-356679号公報
【特許文献4】特開平5-312961号公報
【特許文献5】特開平6-331749号公報
【特許文献6】特許第3566926号公報
【特許文献7】特開2002-116258号公報
【非特許文献1】Physics Today,1997年11月号24頁のジョン・ローランズ論文“Amorphous Semiconductor Usher in Digital X-ray Imaging”
【非特許文献2】SPIEの1997年32巻2頁のエル・イー・アントヌクの論文”Development of aHigh Resolution,Active Matrix,Flat-Panel Imager with Enhanced Fill Factor”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記状況に鑑み成されたものであり、その課題はシンチレータの発光取り出し効率、鮮鋭性が高く、平面受光素子面間での鮮鋭性の劣化が少ないシンチレータパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0015】
1.基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として気相法にて形成されたシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、該反射層がアルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなることを特徴とするシンチレータパネル。
【0016】
2.前記反射層表面がカレンダー処理により平滑化されていることを特徴とする前記1記載のシンチレータパネル。
【0018】
3.前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であることを特徴とする前記1又は2記載のシンチレータパネル。
【0019】
4.前記平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料が、二酸化チタンであることを特徴とする前記3記載のシンチレータパネル。
【0020】
5.前記基板が、厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなることを特徴とする前記1?4のいずれか1項記載のシンチレータパネル。
【0021】
6.前記高分子フィルムがポリイミド(PI)またはポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムであることを特徴とする前記5記載のシンチレータパネル。
【0023】
7.前記反射層の厚さが0.2?3.0μmであることを特徴とする前記1?6のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【発明の効果】
【0024】
本発明の上記手段により、シンチレータの発光取り出し効率、鮮鋭性が高く、平面受光素子面間での鮮鋭性の劣化が少ないシンチレータパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のシンチレータパネルは、基板上に反射層及びシンチレータ層を設けて成るシンチレータパネルであって、該反射層が白色顔料及びバインダー樹脂からなる。
【0026】
なお、本発明に係る「シンチレータ」とは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。
【0027】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を加えた結果、上記特徴的技術手段により、反射層を白色顔料及びバインダー樹脂で形成することで、高い発光取り出し効率を殆ど減じることなく、鮮鋭性が飛躍的に向上することを見出した。
【0028】
以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
【0029】
(シンチレータパネルの構成)
本発明のシンチレータパネルは、基板上に反射層及びシンチレータ層を設けて成るシンチレータパネルであって、反射層を平均粒径0.1?3.0μmを中心にした白色顔料及びバインダー樹脂で形成することが好ましい。
【0030】
本発明においては、反射層、及びシンチレータ層の他に後述する保護層を設けることが好ましい。以下、各構成層及び構成要素等について説明する。
【0031】
(反射層)
本発明に係る反射層は、基板とシンチレータ層の間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなる。
【0032】
当該反射層の厚さは、0.2?3.0μmであることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
【0033】
以下、反射層の構成要素について説明する。
【0034】
〈白色顔料〉
白色顔料としては、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、TiO_(2)、Y_(2)O_(3)を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。これらの高い屈折率を有する物質は、その高い屈折率によって本発明の効果を高めることができる。特にTiO_(2)が好ましい。
【0035】
〈バインダー樹脂〉
本発明において白色顔料は、バインダー樹脂中に分散されて用いられる。分散剤は、用いるバインダーと白色顔料とに合わせて種々のものを用いることができる。バインダーとしては、ガラス転位温度(Tg)が30?100℃のポリマーであることが、蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましく、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0036】
分散剤としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。
【0037】
白色顔料をバインダー中へ分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
【0038】
本発明に係る反射層は、溶剤に溶解した樹脂を塗布、乾燥して形成することが好ましい。前記樹脂としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン-ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。特にガラス転位温度が30?100℃のバインダー樹脂を含有することが好ましい。通常、蒸着によるシンチレータを形成するにあたっては、基板温度は150℃?250℃で実施されるが、反射層にガラス転位温度が30?100℃を含有しておくことで、光反射層が接着層としても有効に機能するようになる。
【0039】
反射層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
(シンチレータ層)
シンチレータ層(「蛍光体層」ともいう。)を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。
【0041】
但し、CsIのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54-35060号の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001-59899号公報に開示されているようなCsIを蒸着で、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。
【0042】
なお、本発明においては、特に、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。すなわち、タリリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長をもつことから好ましい。
【0043】
本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。
【0044】
本発明において、好ましいタリウム化合物は、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、又はフッ化タリウム(TlF,TlF_(3))等である。
【0045】
また、本発明に係るタリウム化合物の融点は、400?700℃の範囲内にあることが好ましい。700℃以内を超えると、柱状結晶内での添加剤が不均一に存在してしまい、発光効率が低下する。なお、本発明での融点とは、常温常圧下における融点である。
【0046】
また、タリウム化合物の分子量は206?300の範囲内にあることが好ましい。
【0047】
本発明のシンチレータ層において、当該添加剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.001mol%?50mol%、更に0.1?10.0mol%であることが好ましい。
【0048】
ここで、ヨウ化セシウムに対し、添加剤が0.001mol%未満であると、ヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度と大差なく、目的とする発光輝度を得ることができない。また、50mol%を超えるとヨウ化セシウムの性質・機能を保持することができない。
【0049】
(保護層)
本発明に係る保護層は、シンチレータ層の保護を主眼とするものである。すなわち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主眼とする。
【0050】
当該保護層は、種々の材料を用いて形成することができる。例えば、CVD法によりポリパラキシリレン膜を形成する。即ち、シンチレータ及び基板の表面全体にポリパラキシリレン膜を形成し、保護層とすることができる。
【0051】
また、別の態様の保護層として、シンチレータ層上に高分子保護フィルムを設けることもできる。
【0052】
上記高分子保護フィルムの厚さは、空隙部の形成性、シンチレータ(蛍光体)層の保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12μm以上、60μm以下が好ましく、更には20μm以上、40μm以下が好ましい。また、ヘイズ率が、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3%以上40%以下が好ましく、更には3%以上、10%以下が好ましい。ヘイズ率は、日本電色工業株式会社NDH 5000Wにより測定した値を示す。必要とするヘイズ率は、市販されている高分子フィルムから適宜選択し、容易に入手することが可能である。
【0053】
保護フィルムの光透過率は、光電変換効率、シンチレータ発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましいが、99%以上の光透過率のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に99%?70%が好ましい。
【0054】
保護フィルムの透湿度は、シンチレータ層の保護性、潮解性等を考慮し50g/m^(2)・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/m^(2)・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましいが、0.01g/m^(2)・day(40℃・90%RH)以下の透湿度のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に、0.01g/m^(2)・day(40℃・90%RH)以上、50g/m^(2)・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には0.1g/m^(2)・day(40℃・90%RH)以上、10g/m^(2)・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
【0055】
(基板)
本発明のシンチレータパネルの作製に際しては、種々多様な基板を使用することができる。すなわち、X線等の放射線を透過させることが可能な、各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができるが、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、又、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)、アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート或いは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートなどを用いることができる。
【0056】
特に、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルム等が、ヨウ化セシウムを原材料として気相法にて柱状シンチレータを形成する場合に、好適である。特に基板が厚さ50?500μmの可とう性を有する高分子フィルムであることが好ましい。
【0057】
ここで、「可とう性を有する基板」とは、120℃での弾性率(E120)が1000?6000N/mm^(2)である基板をいい、かかる基板としてポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
【0058】
なお、「弾性率」とは、引張試験機を用い、JIS-C2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、かかるヤング率を弾性率と定義する。
【0059】
本発明に用いられる基板は、上記のように120℃での弾性率(E120)が1000N/mm^(2)?6000N/mm^(2)であることが好ましい。より好ましくは1200N/mm^(2)?5000N/mm^(2)である。
【0060】
具体的には、ポリエチレンナフタレート(E120=4100N/mm^(2))、ポリエチレンテレフタレート(E120=1500N/mm^(2))、ポリブチレンナフタレート(E120=1600N/mm^(2))、ポリカーボネート(E120=1700N/mm^(2))、シンジオタクチックポリスチレン(E120=2200N/mm^(2))、ポリエーテルイミド(E120=1900N/mm^(2))、ポリアリレート(E120=1700N/mm^(2))、ポリスルホン(E120=1800N/mm^(2))、ポリエーテルスルホン(E120=1700N/mm^(2))等からなる高分子フィルムが挙げられる。
【0061】
これらは単独で用いてもよく積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、特に好ましい高分子フィルムとしては、上述のように、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
【0062】
なお、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルデテイクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関して、該基板を、厚さ50μm以上500μm以下の高分子フィルムとすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、フラットパネルデテイクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られる。
【0063】
(シンチレータパネルの作製方法)
本発明のシンチレータパネルの作製方法の典型的例について、図を参照しながら説明する。なお、図1は、放射線用シンチレータパネル10の概略構成を示す断面図である。図2は、放射線用シンチレータパネル10の拡大断面図である。図3は、蒸着装置61の概略構成を示す図面である。
【0064】
〈蒸着装置〉
図3に示す通り、蒸着装置61は箱状の真空容器62を有しており、真空容器62の内部には真空蒸着用のボート63が配されている。ボート63は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート63には電極が接続されている。当該電極を通じてボート63に電流が流れると、ボート63がジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネル10の製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物がボート63に充填され、そのボート63に電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
【0065】
なお、被充填部材として、ヒータを巻回したアルミナ製のるつぼを適用してもよいし、高融点金属製のヒータを適用してもよい。
【0066】
真空容器62の内部であってボート63の直上には基板1を保持するホルダ64が配されている。ホルダ64にはヒータ(図示略)が配されており、当該ヒータを作動させることでホルダ64に装着した基板1を加熱することができるようになっている。基板1を加熱した場合には、基板1の表面の吸着物を離脱・除去したり、基板1とその表面に形成されるシンチレータ層(蛍光体層)2との間に不純物層が形成されるのを防止したり、基板1とその表面に形成されるシンチレータ層2との密着性を強化したり、基板1の表面に形成されるシンチレータ層2の膜質の調整をおこなったりすることができるようになっている。
【0067】
ホルダ64には当該ホルダ64を回転させる回転機構65が配されている。回転機構65は、ホルダ64に接続された回転軸65aとその駆動源となるモータ(図示略)から構成されたもので、当該モータを駆動させると、回転軸65aが回転してホルダ64をボート63に対向させた状態で回転させることができるようになっている。
【0068】
蒸着装置61では、上記構成の他に、真空容器62に真空ポンプ66が配されている。真空ポンプ66は、真空容器62の内部の排気と真空容器62の内部へのガスの導入とをおこなうもので、当該真空ポンプ66を作動させることにより、真空容器62の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持することができるようになっている。
【0069】
〈シンチレータパネル〉
次に、本発明に係るシンチレータパネル10の作製方法について説明する。
【0070】
当該放射線用シンチレータパネル10の作製方法においては、上記で説明した蒸発装置61を好適に用いることができる。蒸発装置61を用いて放射線用シンチレータパネル10を作製する方法について説明する。
【0071】
《反射層の形成》
反射層3は、上記の有機溶剤に上述した白色顔料及びバインダー樹脂を分散・溶解した組成物を塗布、乾燥して形成する。バインダー樹脂としては接着性の観点でポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。
【0072】
《シンチレータ層の形成》
上記のように反射層3を設けた基板1をホルダ64に取り付けるとともに、ボート63にヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、ボート63と基板1との間隔を100?1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理をおこなうのが好ましい。
【0073】
準備工程の処理を終えたら、真空ポンプ66を作動させて真空容器62の内部を排気し、真空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下にする(真空雰囲気形成工程)。ここでいう「真空雰囲気下」とは、100Pa以下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下の圧力雰囲気下であるのが好適である。
その後。アルゴン等の不活性ガスを真空容器62の内部に導入し、当該真空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下に維持する。次に、ホルダ64のヒータと回転機構65のモータとを駆動させ、ホルダ64に取付け済みの基板1をボート63に対向させた状態で加熱しながら回転させる。
【0074】
この状態において、電極からボート63に電流を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物を700℃?800℃程度で所定時間加熱してその混合物を蒸発させる。その結果、基板1の表面に無数の柱状結晶体2aが順次成長して所望の厚さのシンチレータ層2が形成される(蒸着工程)。これにより、本発明に係る放射線用シンチレータパネル10を製造することができる。
【0075】
(放射線画像検出器)
以下に、上記放射線用シンチレータパネル10の一適用例として、図4及び図5を参照しながら、当該放射線用シンチレータプレート10を具備した放射線画像検出器100の構成について説明する。なお、図4は放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図である。また、図5は撮像パネル51の拡大断面図である。
【0076】
図4に示す通り、放射線画像検出器100には、撮像パネル51、放射線画像検出器100の動作を制御する制御部52、書き換え可能な専用メモリ(例えばフラッシュメモリ)等を用いて撮像パネル51から出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部53、撮像パネル51を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部54、等が筐体55の内部に設けられている。筐体55には必要に応じて放射線画像検出器100から外部に通信を行うための通信用のコネクタ56、放射線画像検出器100の動作を切り換えるための操作部57、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部58、等が設けられている。
【0077】
ここで、放射線画像検出器100に電源部54を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部53を設け、コネクタ56を介して放射線画像検出器100を着脱自在にすれば、放射線画像検出器100を持ち運びできる可搬構造とすることができる。
【0078】
図5に示すように、撮像パネル51は、放射線用シンチレータパネル10と、放射線用シンチレータパネル10からの電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板20と、から構成されている。
【0079】
放射線用シンチレータパネル10は、放射線照射面側に配置されており、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するように構成されている。
【0080】
出力基板20は、放射線用シンチレータパネル10の放射線照射面と反対側の面に設けられており、放射線用シンチレータパネル10側から順に、隔膜20a、光電変換素子20b、画像信号出力層20c及び基板20dを備えている。
【0081】
隔膜20aは、放射線用シンチレータパネル10と他の層を分離するためのものである。
【0082】
光電変換素子20bは、透明電極21と、透明電極21を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層22と、透明電極21に対しての対極になる対電極23とから構成されており、隔膜20a側から順に透明電極21、電荷発生層22、対電極23が配置される。
【0083】
透明電極21とは、光電変換される電磁波を透過させる電極であり、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO_(2)、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。
【0084】
電荷発生層22は、透明電極21の一面側に薄膜状に形成されており、光電変換可能な化合物として光によって電荷分離する有機化合物を含有するものであり、電荷を発生し得る電子供与体及び電子受容体としての導電性化合物をそれぞれ含有している。電荷発生層22では、電磁波が入射されると、電子供与体は励起されて電子を放出し、放出された電子は電子受容体に移動して、電荷発生層22内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生するようになっている。
【0085】
ここで、電子供与体としての導電性化合物としては、p型導電性高分子化合物が挙げられ、p型導電性高分子化合物としては、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p-フェニレン)又はポリアニリンの基本骨格を持つものが好ましい。
【0086】
また、電子受容体としての導電性化合物としては、n型導電性高分子化合物が挙げられ、n型導電性高分子化合物としては、ポリピリジンの基本骨格を持つものが好ましく、特にポリ(p-ピリジルビニレン)の基本骨格を持つものが好ましい。
【0087】
電荷発生層22の膜厚は、光吸収量を確保するといった観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎないといった観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
【0088】
対電極23は、電荷発生層22の電磁波が入光される側の面と反対側に配置されている。対電極23は、例えば、金、銀、アルミニウム、クロムなどの一般の金属電極や、透明電極21の中から選択して用いることが可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするのが好ましい。
【0089】
また、電荷発生層22を挟む各電極(透明電極21及び対電極23)との間には、電荷発生層22とこれら電極が反応しないように緩衝地帯として作用させるためのバッファー層を設けてもよい。バッファー層は、例えば、フッ化リチウム及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホナート)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル[1,10]フェナントロリンなどを用いて形成される。
【0090】
画像信号出力層20cは、光電変換素子20bで得られた電荷の蓄積および蓄積された電荷に基づく信号の出力を行うものであり、光電変換素子20bで生成された電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積素子であるコンデンサ24と、蓄積された電荷を信号として出力する画像信号出力素子であるトランジスタ25とを用いて構成されている。
【0091】
トランジスタ25は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いるものとする。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでもよく、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。さらに、Science,283,822(1999)やAppl.Phys.Lett,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
【0092】
このように、本発明に用いられるトランジスタ25としては、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に好ましいものは有機半導体を用いたTFTである。この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、シリコンを用いてTFTを構成する場合のように真空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技術やインクジェット技術を活用してTFTを形成できるので、製造コストが安価となる。さらに、加工温度を低くできることから熱に弱いプラスチック基板上にも形成できる。
【0093】
トランジスタ25には、光電変換素子20bで発生した電荷を蓄積するとともに、コンデンサ24の一方の電極となる収集電極(図示せず)が電気的に接続されている。コンデンサ24には光電変換素子20bで生成された電荷が蓄積されるとともに、この蓄積された電荷はトランジスタ25を駆動することで読み出される。すなわちトランジスタ25を駆動させることで放射線画像の画素毎の信号を出力させることができる。
【0094】
基板20dは、撮像パネル51の支持体として機能するものであり、基板1と同様の素材で構成することが可能である。
【0095】
次に、放射線画像検出器100の作用について説明する。
【0096】
まず、放射線画像検出器100に対し入射された放射線は、撮像パネル51の放射線用シンチレータパネル10側から基板20d側に向けて放射線を入射する。
【0097】
すると、放射線用シンチレータパネル10に入射された放射線は、放射線用シンチレータパネル10中のシンチレータ層2が放射線のエネルギーを吸収し、その強度に応じた電磁波を発光する。発光された電磁波のうち、出力基板20に入光される電磁波は、出力基板20の隔膜20a、透明電極21を貫通し、電荷発生層22に到達する。そして、電荷発生層22において電磁波は吸収され、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
【0098】
その後、発生した電荷は、電源部54によるバイアス電圧の印加により生じる内部電界により正孔と電子はそれぞれ異なる電極(透明電極膜及び導電層)へ運ばれ、光電流が流れる。
【0099】
その後、対電極23側に運ばれた正孔は画像信号出力層20cのコンデンサ24に蓄積される。蓄積された正孔はコンデンサ24に接続されているトランジスタ25を駆動させると、画像信号を出力すると共に、出力された画像信号はメモリ部53に記憶される。
【0100】
以上の放射線画像検出器100によれば、上記放射線用シンチレータパネル10を備えているので、光電変換効率を高めることができ、放射線画像における低線量撮影時のSN比を向上させるとともに、画像ムラや線状ノイズの発生を防止することができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0102】
実施例1
(反射層試料1の作製)
厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産製UPILEX-125S)基板に下記の手順にて反射層試料1を作製した。
【0103】
平均粒径0.2μmのルチル型二酸化チタン40質量部、ポリエステル樹脂を10質量部(バイロン630:東洋紡社製)、溶剤としてトルエン25質量部とメチルエチルケトン(MEK)25質量部を添加した後、サンドミルにて分散して反射層用塗料を作製した。この反射層用塗料をマイクログラビアコーターで、500mm幅のポリイミドフィルム基板上に塗工、乾燥した後、カレンダー装置を用いて総荷重2000kg、上側ロール温度40℃、下側ロール温度40℃、速度0.1m/分にて圧縮処理した。これにより光反射層の表面性を向上し、表1に示した厚さの反射層試料1を作製した。
【0104】
(反射層試料2?10の作製)
反射層試料1と同様にして、白色顔料、その平均粒径を表1のように変えた反射層用塗料を作製し、この塗料を反射層試料1と同様にポリイミドフィルム基板上に塗工、乾燥した後、カレンダー処理して表1に示した厚さの反射層試料2?10を作製した。
【0105】
(反射層試料11の作製)
基板を厚さ300μmのアルミ板にした以外は、反射層試料1と同様にして反射層試料11を作製した。
【0106】
(反射層試料12の作製)
乾燥した後、カレンダー装置をしないこと以外は、反射層試料1と同様にして反射層試料12を作製した。
【0107】
(反射層試料13の作製)
厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産製UPILEX-125S)にアルミをスパッタして反射層(0.10μm)を形成したのち、二酸化チタンを含まない反射層用塗料を用いた以外は反射層試料1と同様にして、反射層上に表1に示した厚さの反射層試料13を作製した。
【0108】
(シンチレータ層の形成)
上述した反射層試料1?13を形成した基板の反射層側にシンチレータ蛍光体(CsI:TlI(0.3mol%))を、図3に示す蒸着装置を使用して蒸着させシンチレータ(蛍光体)層をそれぞれ形成した。
【0109】
すなわち、まず、上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、また回転する支持体ホルダに支持体を設置し、支持体と蒸発源との間隔を400mmに調節した。
【0110】
続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で支持体を回転しながら基板の温度を150℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体を蒸着しシンチレータ層の膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させ表1に示すシンチレータパネル(放射線像変換パネル)を得た。
【0111】
尚、表1において、シンチレータパネルNo.11は基材がアルミである。
【0112】
〈評価〉
得られた各試料を封止した後、CMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad-o-Box4KEV)にセットし、12bitの出力データより鮮鋭性を以下に示す方法で測定し、以下に示す方法により評価した。
【0113】
尚、放射線入射窓のカーボン板とシンチレータパネルの放射線入射側(蛍光体のない側)にスポンジシートを配置し、平面受光素子面とシンチレータパネルを軽く押し付けることで両者を固定化した。
【0114】
〈鮮鋭性の評価方法〉
鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を各試料の裏面(シンチレータ層が形成されていない面)から照射し、画像データをシンチレータを配置したCMOSフラットパネルで検出しハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。表中、MTF値が高いほど鮮鋭性に優れていることを示す。MTFはModulation Transfer Functionの略号を示す。
【0115】
上記評価結果を表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
表1に示した結果から明らかなように、本発明に係る実施例は比較例に比べ鮮鋭性が優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】放射線用シンチレータパネル10の概略構成を示す断面図
【図2】放射線用シンチレータパネル10の拡大断面図
【図3】蒸着装置61の概略構成を示す図
【図4】放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図
【図5】撮像パネル51の拡大断面図
【符号の説明】
【0119】
1 基板
2 シンチレータ(蛍光体)層
3 反射層
10 放射線用シンチレータパネル
61 蒸着装置
62 真空容器
63 ボート(被充填部材)
64 ホルダ
65 回転機構
66 真空ポンプ
100 放射線画像検出器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、該バインダー樹脂が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え、
さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形していること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項2】
前記反射層表面がカレンダー処理により平滑化されていることを特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であり、該バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え、
さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形していること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項4】
前記平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料が、二酸化チタンであることを特徴とする請求項3記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、該バインダー樹脂が、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備えていること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項6】
厚さ50μm以上500μm以下の可とう性を有する高分子フィルムからなる基板上に反射層及びヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウムを含む添加剤を原材料として基板温度150℃?250℃において蒸着により形成された柱状結晶構造のシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、
該反射層が、該基板と該柱状結晶構造のシンチレータ層との間に存在し、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の白色顔料及びバインダー樹脂からなり、該反射層は、溶剤に分散または溶解した該白色顔料および該バインダー樹脂を塗布および乾燥して形成したものであって、前記白色顔料が、平均粒径0.1?3.0μmの白色顔料であり、該バインダー樹脂が、100℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂であって、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体、ニトロセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、または尿素ホルムアミド樹脂から選ばれる樹脂であり、
該柱状結晶構造のシンチレータ層は、該反射層の表面に柱状結晶体を成長させて形成したものであり、
該シンチレータパネルは、入射された放射線のエネルギーを吸収してその強度に応じた電磁波を発光し、該電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板とともに撮像パネルを構成し、該出力基板は、光電変換素子を備え、
さらに、該シンチレータパネルは、該出力基板の光電変換素子面形状に合った形状に変形していること
を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項7】
前記高分子フィルムがポリイミド(PI)またはポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムであることを特徴とする請求項5又は6に記載のシンチレータパネル。
【請求項8】
前記反射層の厚さが0.2?3.0μmであることを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【図面】





 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-06-09 
結審通知日 2014-06-11 
審決日 2014-06-24 
出願番号 特願2007-43555(P2007-43555)
審決分類 P 1 113・ 854- ZA (G21K)
P 1 113・ 121- ZA (G21K)
P 1 113・ 841- ZA (G21K)
P 1 113・ 855- ZA (G21K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 林 靖  
特許庁審判長 横林 秀治郎
特許庁審判官 伊藤 昌哉
土屋 知久
登録日 2011-04-22 
登録番号 特許第4725533号(P4725533)
発明の名称 シンチレータパネル  
代理人 城山 康文  
代理人 柴山 健一  
代理人 重森 一輝  
代理人 金山 賢教  
代理人 阿部 寛  
代理人 城山 康文  
代理人 金山 賢教  
代理人 寺澤 正太郎  
代理人 重森 一輝  
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