ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61K |
---|---|
管理番号 | 1301816 |
審判番号 | 訂正2015-390028 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2015-03-26 |
確定日 | 2015-05-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5662416号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5662416号に係る特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5662416号は,2010年4月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年4月15日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願の請求項1?14に係る発明について,平成26年12月12日に特許権の設定の登録がされ,平成27年3月26日に本件訂正審判の請求がされた。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第5662416号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める,との審決を求めるものである。 そして,本件訂正審判の請求に係る訂正は,請求項3及び9?14からなる一群の請求項に係る訂正であり,訂正事項は次の1?3のとおりである。 1 訂正事項1 願書に添付した特許請求の範囲の請求項3における「5.5?6の範囲内」との記載を,「5.5?6未満の範囲内」と訂正する。 2 訂正事項2 願書に添付した特許請求の範囲の請求項10における「のいずれか一項」との記載を削除する。 3 訂正事項3 願書に添付した特許請求の範囲の請求項11における「のいずれか一項」との記載を削除する。 第3 当審の判断 1 訂正事項1について 訂正事項1による訂正は,訂正前の請求項3における「pHが,5.5?6の範囲内」との記載についての訂正である。 請求項3は請求項1を引用するものであり,請求項1には「pHが3.5?6未満の範囲内」にあることが記載されているから,請求項3に記載のpHの範囲は請求項1に記載の3.5?6未満であるべきと解されるが,訂正前の5.5?6は「6」を含む点において,請求項1に記載の範囲内にないため,訂正前の請求項3の記載は,請求項1の記載との関係において不明確である。 そして,この訂正により,請求項3におけるpHの範囲は,請求項1に記載の範囲内である5.5?6未満となる。 したがって,この訂正は特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 そして,この訂正は,願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に「pHが3.5?6未満の範囲内」との記載があり,願書に添付した明細書の段落0065に「約6未満のpHを有する」との記載があり(2箇所),同段落0078?0080にpH5.8を有するアスコルビン酸溶液の記載がある(溶液B)ことからみて,願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではないから,願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものであり,特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,この訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものに該当せず,特許法第126条第6項の規定に適合する。 2 訂正事項2,3について 訂正事項2による訂正は,訂正前の請求項10における「請求項9のいずれか一項に記載の」との記載についての訂正であり,訂正事項3による訂正は訂正前の請求項11における「請求項5のいずれか一項に記載の」との記載についての訂正であるところ,これらの記載はいずれも,単一の請求項について,複数の事項を意味する「いずれか」と記載するものであり,互いに矛盾する事項を含むから,訂正前の請求項10,11の記載は不明確である。 そして,この訂正によって請求項10,11の記載は,それぞれ,「請求項9に記載の」,「請求項5に記載の」となり,上記矛盾する事項を含まないものとなる。 したがって,これらの訂正は特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 そして,これらの訂正は,願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではないから,願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものであり,特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,これらの訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものに該当せず,特許法第126条第6項の規定に適合する。 第4 むすび 以上のとおり,本件訂正審判の請求に係る訂正は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 アスコルビン酸による放射性医薬組成物の安定化 【技術分野】 【0001】 本発明は、放射性医薬組成物の安定化と、放射線による伝播性のラジカル分解から前記組成物を保護することに関する。特に、本発明は、前記組成物を緩衝することによる、放射性医薬製剤における酸化防止剤種の使用に関する。更に、本発明は、医用画像に有用な放射性医薬組成物を安定化させ、それにより、ヒト及び他の哺乳動物の被験者に対して投与するのに適するように前記組成物を維持しながら、前記組成物の保存寿命を延長させるために、特定のpH範囲おける緩衝条件下で、酸化防止剤であるアスコルビン酸を使用することに関する。 【背景技術】 【0002】 放射性医薬品は、放射性核種を含む薬剤である。放射性医薬品は、様々な疾患の診断又は治療のために核医学で日常的に使用されている。それらは、典型的には、一定の組成を有する小さな有機又は無機の化合物である。それらは、放射性核種で化学量論的に標識さていない抗体又は抗体フラグメントのような高分子であることもできる。放射性医薬品は、様々な疾患の診断及び治療のために、化学的根拠を示す。生体内の診断情報は、放射性医薬品を静注し、そして、ガンマカメラ又はPETカメラを使用して、前記放射性医薬品の体内分布を測定することによって、得ることができる。放射性医薬品の体内分布は、典型的には、放射性標識化合物の物理化学的性質によって左右され、そして、前記分布を用いて、疾患の存在、進行及び状態に関する情報を得ることができる。 【0003】 放射性医薬品は、一般的には、2つの主な組に分けることができる:すなわち、体内分布が、放射性医薬品の物理化学的性質によって独占的に決定される組、及び最終的な分布が、放射性医薬品の受容体結合又は他の生物学的相互作用によって決定される組。後者の組は、しばしば、標的特異的と言われる。 【0004】 近時、陽電子放出同位体を含む画像診断のための放射性医薬品の発見及び開発に多くの努力が費やされている。陽電子放出同位体としては、特に、^(82)Rb、^(124)I、^(11)C、^(13)N、及び^(18)Fが挙げられる。これらの同位体は、核から陽電子を放出することによって、崩壊する。陽電子は、電子と等しい質量を有するが、対応する正電荷を有する粒子である。陽電子は、核種から放出された後、電子に遭遇し、2つが反応して、その結果として質量が物理的に消滅するまで、運動する。エネルギーは511kEvの値で反対の方向に放出される。そして、前記消滅は、角運動量を有しておらず、光子は、ほぼ180度離れた消滅点から発射されるので、前記分解が起こったラインを精密に決定できる。この特性により、結果として絶妙な感度と解像度が得られ、素晴らしい画像再構成と品質を得ることができる。 【0005】 炭素、窒素、及びフッ素の同位体の利点は、薬剤の体内分布を測定するために、ならびに、疾患の存在、非存在、又は程度を診断するために使用できる小さい有機分子、例えば公知の医薬品又は治験医薬品の中に組み込むことができる点にある。それらは、当業の技術に熟達した有機化学者及び放射化学者にとって公知の様々な方法によって、前記分子中に都合良く入れることができる。アルコール又はアミンをメチル化して対応するエーテル又はアルキルアミンを生成させる^(11)C?ヨウ化メチル(^(11)CH_(3)I)が、治験調査において広範に使用されてきた。その場合、これらの化合物は、適当に殺菌され、配合され、そして被験者に注射される。 【0006】 多くのPET放射性医薬品の広範な使用の主たる欠点は、同位体の多くと関係がある比較的短い半減期である。ルビジウム?82、炭素?11及び窒素?13は、それぞれ1.27分、20.3分、及び9.97分の半減期を有する。ルビジウムは、^(82)Sr?^(82)Rbジェネレータから塩化物塩として投与され、合成によって変性又は処理されない。窒素?13は、適当な近傍にカメラを有するイメージングセンターに隣接しているサイクロトロンで生成されるアンモニア(^(13)NH_(3))として典型的に投与される。^(11)C及び^(13)Nをベースとする試薬の両方が、イメージング剤を放射標識する際に使用されてきた。有意な工学的且つロジスティックなチャレンジは、短い半減期と、薬剤の配合及び投与の前に、要求される反応及び精製を達成するための必要な時間とを与える放射性医薬品として前記化合物を使用できるようにする必要がある。 【0007】 それに対応して、より長寿命の陽電子放出同位体を、画像化のための新規な放射性トレーサー中に組み込むことができる。これらは、それぞれ4.2日及び107.9分の半減期を有する前記の^(131)I及び^(18)Fを含む。最近最も一般的に使用されているのは、崩壊が完全に陽電子の放出によるものであって、且つ好ましい半減期を有することから、^(18)Fである。約2時間の半減期により、分子中への合成による取り込み、精製、そしてその後の中心に配置されている放射性薬局(centrally located radiopharmacy)からの分配が可能となり、^(82)Sr?^(82)Rbジェネレータの毎月の購入又は現場サイクロトロンのいずれかに関する必要性/投資が不要になる。 【0008】 投与量の製造、配合、リリース、及び送達の過程中に、同位体は、典型的には、各特定の同位体の物理学に従ってゼロ次速度で崩壊する。しかしながら、この崩壊は、放射線分解によって、投与量の化学的崩壊も誘発し得る。これは、ラジカル反応を介して伝播し、組成物の品質を著しく減弱させ得る。 【0009】 投与前又は投与中の放射性医薬組成物の分解は、ターゲティング能力を著しく減少させ、そして、治療的な放射性医薬組成物の毒性を増加させる。従って、場合によっては、放射性核種が標的部位に結合されることが保証され、且つ、ターゲティング剤の特異性が保存されることが更に保証されることが重要である。 【0010】 放射線分解は、ヒドロキシルラジカル及びスーパーオキシドラジカルのようなフリーラジカル形成によって引き起こされる(非特許文献1)。フリーラジカルは、有機分子に対して非常に反応性である。有機分子に対するこれらのフリーラジカルの反応性は、放射性医薬組成物の溶液安定性に影響を及ぼし得る。放射性医薬組成物の安定化は標的特異的放射性医薬品の開発において繰り返されているチャレンジであり、また、ラジカルスカベンジャは、しばしば、放射性標識された分子の放射線分解を最小限に抑える安定化剤として使用される。いくつかの安定化剤は、ヒドロキシルラジカル及びスーパーオキシドラジカルと容易に反応する「ラジカル捕捉型酸化防止剤」である。放射性医薬組成物のための安定化剤は、以下の特性:すなわち、ヒトへの投与に使用される際に毒性が低いか又は実質的に毒性が無い、標的の細胞又は組織(1種もしくは複数種)に対する放射性標識化合物の送達又は受容体結合をあまり妨害しないか又は全く妨害しない、及び/又は、相当な時間(例えば、放射性医薬品の調製、リリース、保存、及び輸送の間)、放射性医薬品を安定化させる能力を有利に有することができる。 【0011】 アスコルビン酸のようなラジカルスカベンジャを使用して、^(99m)Tc(DeRosch ら、特許文献1)及び^(186/188)Re(非特許文献2)放射性医薬品を安定化させてきた。特許文献2には、^(186)Re及び^(131)Iで標識された抗体又は抗体フラグメントのための安定化剤として、アスコルビン酸の使用が開示されている。特許文献3及び特許文献4では、^(99m)Tc放射性医薬品のための酸化防止剤として、アスコルビン酸の使用が開示されている。 【0012】 有意な損傷が生じる前に、崩壊経路を終了させるために、アスコルビン酸のような酸化防止剤を使用するいくつかの戦略が開発されてきた。アスコルビン酸は、様々な医薬組成物及び放射性医薬組成物で使用されてきた。琥珀酸及びアミノカルボキシレートのような他の緩衝剤とは違って、アスコルビン酸は、アミノ基又はカルボキシル基を含んでいない。PCT/US94/06276では、アスコルビン酸及びアスコルビン酸の水溶性塩とエステルのような安定化剤が開示されている。 【0013】 特許文献5では、放射標識及び自己放射線分解の酸化的損失に対して放射性標識されたタンパク質及びペプチドを安定化させる際に、アスコルビン酸及びそれらの誘導体を使用することが開示されている。場合によっては、いくらかの必要な培養時間を含む放射標識の後にではあるが、患者への投与前に、アスコルビン酸を加える。更に、アスコルビン酸の誘導体とは、アスコルビン酸の塩、アスコルビン酸のエステル、又はそれらの混合物と定義される。 【0014】 様々な診断用及び治療用の放射性医薬組成物のための安定化剤としてアスコルビン酸/アスコルビン酸塩を使用することが開示されてきたが(例えば、Deausch,E.A. ら/特許文献6/1995;Vanderheyden,J.-L.ら/特許文献2/1995;Flanagan,R.J.andTartaglia,D./特許文献3/1992;Tartaglia,D.andFlanagan,R.J./特許文献4/1994;Shochat,D.ら/特許文献7/1999;及びZamora,P.O.and Merek,M.J./特許文献8/2000を参照されたい)、特定の範囲のpHでアスコルビン酸塩を使用して、臨床用途での化合物の酸化防止作用を高めることに関する開示は殆ど又は全くなかった。 【0015】 アスコルビン酸のような酸化防止剤の有意な使用は文献で例示されてきたが、例えば、注射に適する材料に関して、低pH又はより高いpHでの安定性を研究するために緩衝溶液中に酸化防止剤を加えた際の酸化防止剤の状態に関しては殆ど注意は払われてこなかった。 【0016】 ヒトに注射するのに適する材料は、注射部位における強酸性溶液と関係がある限局性刺激及び痛みの危険性を低下させるために、4.0を超えるpHを有するように選択することができる。典型的には、注射液は、6?8のpH範囲のリン酸塩(リン酸緩衝食塩水(PBS))で緩衝されてきた。しかしながら、典型的な生物学的pH範囲(6?8)の緩衝溶液においてアスコルビン酸/アスコルビン酸塩を使用すると、しばしば、放射性医薬品溶液を安定化させる能力は低下する。その反面、これまでの研究では、低いpH値(2?3)でアスコルビン酸を使用したときの放射性医薬品製剤の安定性は証明されているが、そのような製剤は、前記したような局所的反応の故に、動物モデル又はヒトにおける使用では一般的に適さない。更に、これまでの研究は、有用であるアスコルビン酸に関する大まかな酸性pH範囲を記載しているか、又は特定の範囲を全く明記していない。現在まで、放射性医薬品の臨床用途でアスコルビン酸を使用するとき、pHを選択する場合に当業者には殆ど指標はなかったと考えられる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0017】 【特許文献1】国際公開第95/33757号 【特許文献2】米国特許第5,393,512号明細書 【特許文献3】米国特許第5,093,105号明細書 【特許文献4】米国特許第5,306,482号明細書 【特許文献5】米国特許第6,066,309号明細書 【特許文献6】米国特許第5,384,113号明細書 【特許文献7】米国特許第5,961,955号明細書 【特許文献8】米国特許第6,066,309号明細書 【非特許文献】 【0018】 【非特許文献1】Garrison,W.M.Chem.Rev.1987,87,381-398 【非特許文献2】Anticancer Res. 1997,17,1783-1796 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0019】 従って、改良された組成物及び方法が必要である。 【課題を解決するための手段】 【0020】 本発明は、あるpH範囲における安定剤としてのアスコルビン酸の使用を提供する。溶液が、好ましくは約3.5?5.5、より好ましくは約4?5、そして最も好ましくは約4?4.5の酸性pH範囲であるように、薬剤及び安定剤を、エタノール水性又は水性の緩衝液において配合する。 【0021】 このように、実施例によっては、本発明は、アスコルビン酸を含む安定化剤と一緒に1種又は複数種の放射性医薬化合物を含む組成物を提供する。前記組成物のpHは約3.5?5.5の範囲内にある。本発明組成物の一部として放射性医薬化合物は、ロテノン、ピリダベン、フェナザキン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピエリシジン、及び2-置換クロモン、及びそれらの類似体から成る群より選択され得る。いくつかの実施態様では、前記放射性医薬化合物は、ピリダベン及びその類似体から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施態様では、前記放射性医薬化合物は、5位が置換されている親油性側鎖を有する2?アルキル?4?クロロ?2H?ピリダジン?3?オンを含む化合物から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである。いくつかの実施態様では、前記放射性医薬化合物は、2?tert?ブチル?4?クロロ?5??[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]2H?ピリダジン?3?オンである。 【0022】 いくつかの実施態様では、前記放射性医薬化合物は、^(11)C、^(13)N、^(18)F、^(86)Br、^(124)I、^(125)I、及び^(131)Iから成る群より選択される放射性同位体で標識される。いくつかの実施態様では、前記放射性同位体は、^(11)C、^(13)N、及び^(18)Fから成る群より選択される。いくつかの実施態様では、前記放射性同位体は、^(18)Fである。 【0023】 前記実施態様のいずれかにおいて、前記放射性医薬組成物は、約5?100mg/mL、より好ましくは約25?500mg/mL、そしてより好ましくは約50?200mg/mLのアスコルビン酸を含む。いくつかの実施態様では、1ミリリットル当たり、約5mgを超える、約10mgを超える、約20mgを超える、約30mgを超える、約40mgを超える、約50mgを超える、約100mgを超える、約200mgを超えるアスコルビン酸が存在する。 【0024】 本発明は、放射性医薬化合物を含む第一溶液を、約3.5?5.5、より好ましくは約4?5、そしてより更に好ましくは約4?4.5のpH範囲内で、アスコルビン酸を含む第二溶液に加えて、前記の放射性医薬化合物とアスコルビン酸とを含む第三溶液を作る工程を含む、前記実施態様のいずれかに記載の組成物を調製する方法も提供する。いくつかの実施態様では、放射性医薬化合物を、第一溶液を第二溶液に加える前に、クロマトグラフィーによって精製する。いくつかの実施態様では、放射性医薬化合物を、第一溶液を第二溶液に加える前に、クロマトグラフィーで精製しない。いくつかの実施態様では、本方法は、第一溶液を第二溶液に加えた後、そして患者に前記組成物を使用する前に、第三溶液のpHを約6?8に調整する工程を更に含む。 【0025】 更に、本発明の一部は、アスコルビン酸を含む放射性医薬組成物を患者に投与することを含む方法である。その場合、前記組成物は、約3.5?5.5、より好ましくは約4?5、そしてより更に好ましくは約4?4.5の範囲のpHを有する。 【0025】 更に、本発明の一部は、アスコルビン酸を含む放射性医薬組成物を患者に投与することを含む方法である。その場合、前記組成物は、約3.5?5.5、より好ましくは約4?5、そしてより更に好ましくは約4?4.5の範囲のpHを有する。 本発明は、例えば以下の項目を提供する。 (項目1) アスコルビン酸を含む安定化剤と一緒に1種又は複数種の放射性医薬化合物を含み、そしてその場合、pHが約3.5?5.5の範囲内にある組成物。 (項目2) 前記pHが、約4?5の範囲内にある項目1記載の組成物。 (項目3) 前記pHが、約4?4.5の範囲内にある項目2記載の組成物。 (項目4) 前記放射性医薬化合物が、ロテノン、ピリダベン、フェナザキン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピエリシジン、及び2-置換クロモン、及びそれらの類似体から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである項目1記載の組成物。 (項目5) 前記放射性医薬化合物が、ピリダベン及びその類似体から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである項目4記載の組成物。 (項目6) 前記放射性医薬化合物が、5位が置換されている親油性側鎖を有する2?アルキル?4?クロロ?2H?ピリダジン?3?オンを含む化合物から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである項目5記載の組成物。 (項目7) 前記放射性医薬化合物が、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンである項目6記載の組成物。 (項目8) 前記放射性医薬化合物を、放射性同位体で標識する項目4記載の組成物。 (項目9) 前記放射性同位体を、^(11)C、^(13)N、^(18)F、^(86)Br、^(124)I、^(125)I、及び^(131)Iから成る群より選択する項目8記載の組成物。 (項目10) 前記放射性同位体を、^(11)C、^(13)N、及び^(18)Fから成る群より選択する項目9記載の組成物。 (項目11) 前記放射性同位体が、^(18)Fである項目10記載の組成物。 (項目12) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約5mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目13) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約10mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目14) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約20mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目15) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約30mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目16) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約40mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目17) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目18) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約100mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目19) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約200mgを超えるアスコルビン酸を含む項目1記載の組成物。 (項目20) 放射性医薬化合物を含む第一溶液を、約3.5?5.5のpH範囲内でアスコルビン酸を含む第二溶液に加えて、前記放射性医薬化合物とアスコルビン酸とを含む第三溶液を作る工程を含む、組成物を調製する方法。 (項目21) 前記pHが、約4?5の範囲内にある項目20記載の組成物。 (項目22) 前記pHが、約4?4.5の範囲内にある項目20記載の組成物。 (項目23) 前記放射性医薬化合物を、前記第一溶液を前記第二溶液に加える前に、クロマトグラフィーによって精製する項目20記載の方法。 (項目24) 前記放射性医薬化合物を、前記第一溶液を前記第二溶液に加える前に、クロマトグラフィーによって精製しない項目20記載の方法。 (項目25) 前記第一溶液を前記第二溶液に加えた後に、前記第三溶液のpHを約6?8に調整する工程を更に含む項目20記載の方法。 (項目26) 前記放射性医薬化合物が、ロテノン、ピリダベン、フェナザキン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピエリシジン、及び2-置換クロモン、及びそれらの類似体から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである項目20記載の方法。 (項目27) 前記放射性医薬化合物が、ピリダベン及びその類似体から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである項目26記載の方法。 (項目28) 前記放射性医薬化合物が、5位が置換されている親油性側鎖を有する2?アルキル?4?クロロ?2H?ピリダジン?3?オンを含む化合物から成る群より選択される少なくとも1つのメンバーである項目27記載の方法。 (項目29) 前記放射性医薬化合物が、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンである項目28記載の組成物。 (項目30) 前記放射性医薬化合物を、放射性同位体で標識する項目20記載の方法。 (項目31) 前記放射性同位体を、^(11)C、^(13)N、^(18)F、^(86)Br、^(124)I、^(125)I、及び^(131)Iから成る群より選択する項目30記載の方法。 (項目32) 前記放射性同位体を、^(11)C、^(13)N、及び^(18)Fから成る群より選択する項目31記載の方法。 (項目33) 前記放射性同位体が、^(18)Fである項目32記載の方法。 (項目34) 前記組成物が、1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含み、そして、前記方法が、前記第一溶液を前記第二溶液に加えた後に、前記第三溶液のpHを約6未満に調整する工程を更に含む項目20記載の方法。 (項目35) 前記組成物が約3.5?5.5の範囲内のpHを有するようにアスコルビン酸を含む組成物を患者に投与する工程を含む方法。 (項目36) 前記組成物が約6未満のpHを有するようにアスコルビン酸を含む組成物を患者に投与する工程を含む方法であって、前記組成物が、1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含む方法。 (項目37) 2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンと、1ミリリットル当たり約50mgを超える量でアスコルビン酸とを含む組成物を患者に投与する工程を含む方法であって、前記組成物が約6未満のpHを有する方法。 (項目38) アスコルビン酸を含む安定剤と一緒に、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?フルオロ?[^(18)F]エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンを含み、そしてその場合、pHが約4?4.5の範囲内にあり、また、1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含む組成物。 (項目39) 2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンを含む第一溶液を、約4?4.5の範囲内のpHを有し、そして1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含む第二溶液に加えて、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンとアスコルビン酸とを含む第三溶液を作る工程を含む、組成物を調製する方法。 【0026】 本発明は、これらの目的、ならびに、以下に記載の他の重要な目的に指向されている。 【図面の簡単な説明】 【0027】 【図1】時間の関数として、本発明の様々な組成物の放射化学的純度のプロットを示している図である。 【図2】(a)4.0、(b)8.2、(c)6.3、(d)、5.4、(e)6.0、及び(f)4.5のpHにおける、本発明の様々な組成物に関する放射化学的不純物の生成率のプロットを示している図である。 【図3】(a)20mg/mL(│p│>0.001)、(b)50mg/mL、(c)100mg/mL、及び(d)200mg/mLの濃度のアスコルビン酸を含む一連の溶液の放射化学的純度のプロットを示している図である。 【発明を実施するための形態】 【0028】 緩衝剤としてアスコルビン酸を使用することには、いくつかの利点がある。アスコルビン酸は、医薬品及び放射性医薬品の用途での使用が承認されている。アスコルビン酸は、4.2のpKaを有し、そしてpH3.0?5.0で緩衝能を有する。より高い濃度(>50mg/mL又は0.25M)では、アスコルビン酸は、5.5?6.0のpH範囲又はそれを超えるpHで、充分な緩衝能も有し得る。典型的には、アスコルビン酸は、主要な緩衝剤としても使用される。 【0029】 本発明は、一般的に、新規の組成物(例えば、放射性医薬組成物)に関するものであり、また、特定のpH範囲における、放射性医薬組成物中の酸化防止剤アスコルビン酸の酸化防止能及び安定化効果の予期外で且つ劇的な増大に関するものである。このpHでは、酸化防止剤の有意部分は、プロトン化されるが、溶液の酸性度は、被験者に重篤な反応を引き起こすほど高くない。本明細書記載の条件下で、製造及び保存のプロトコルを実行し、そして、被験者に投与した5分、10分、又は15分以内に、より高いpHに調整することは特に適する。いくつかの実施態様では、安定化剤及び/又は臨床PETイメージング剤としてアスコルビン酸を利用する放射性トレーサー(例えば、^(18)F標識放射性トレーサー)が提供される。 【0030】 本発明は、有利には、特定のpH範囲内で安定化剤としてアスコルビン酸を利用する放射性医薬製剤を提供する。前記pH範囲は、注射時に重篤な局所的な部位反応を最小限に抑えると共に、組成物の安定性と保存寿命を高める。更に、いくつかの実施態様では、放射性医薬組成物において、標識分子、特に^(18)F?標識分子の調製のための安定化剤としてアスコルビン酸が利用される。場合によっては、アスコルビン酸及びその類似体は、特定のpH範囲内において、特に^(18)Fのような放射性同位体で標識される化合物のために、放射性医薬組成物の調製、リリース、及び輸送中に安定化剤として役立つことができる。 【0031】 放射性医薬組成物のpHは、酸化防止剤の第一pKaか、又は、二塩基性イオンの場合、酸化防止剤の第二pKaのいずれかのpKaであるように又はその近傍にあるように選択される。アスコルビン酸に関して、4.17のpKであり、pHは、約3.5?5.5、約4?5、又は4?4.5であるように選択できる。 【0032】 アスコルビン酸は、典型的には、本発明の放射性医薬組成物の安定化成分として、利用される。アスコルビン酸は、ビタミンCとして公知であり、特定の放射性医薬品(国際公開第WO95/33757号;Anticancer Res.1997,17,1783-1796;米国特許第5,093,105号,及び米国特許第5,306,482号)又は放射性標識されたペプチド(米国特許第5,393,512号;米国特許第5,384,113号及び米国特許第5,961,955号)の放射線分解を防止する酸化防止剤として使用されてきた。本明細書で使用される用語「アスコルビン酸」としては、アスコルビン酸それ自体、ならびに当業者に公知の酸の類似体及び塩が挙げられる。アスコルビン酸は、容易に利用可能なGRAS(安全性認定)物質であり、最終製剤1mL当たり200mgものレベルで、生物学的目的のために使用される医薬組成物及び他の製剤において使用できる。酸性溶液と関連のある刺激及び痛みのリスクを低下させるために、アスコルビン酸を含む従来の組成物は、典型的には、実質的にすべての処理工程中、ならびに被験者に対する投与中、生物学的pH範囲(例えば、6?8)内のpH値であった。しかしながら、生物学的pH範囲内では、放射性医薬溶液を安定化させる緩衝溶液中のアスコルビン酸/アスコルビン酸塩の能力は、驚くほど低下する。 【0033】 本発明で開示される放射性医薬組成物においてアスコルビン酸又はその類似体を使用することのいくつかの利点としては:(1)高収率(>90%)で放射性医薬組成物を調製する能力、及び(2)放射性医薬品の放射化学的純度又はRCP(>90%)を維持すると共に、数時間又は数日間でも、放射性医薬組成物を保存する能力、が挙げられる。 【0034】 場合によっては、アスコルビン酸塩を製剤に加えてもよい。場合によっては、アスコルビン酸は、無電荷の形態で使用することができ、又は、より高い割合のアスコルビン酸が適当なpHにおいてプロトン化されている組成物で使用することもできる。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、酸化防止剤の有意部分がプロトン化された形態である酸性レベルにおいて向上した安定性を有する、酸化防止剤中における水素?酸素結合の非イオン性と、酸化防止剤の有効性とは、場合によっては、直接関連があるかもしれない。いくつかの実施態様では、他の安定化剤化合物が存在していない場合、放射性医薬組成物は、安定化剤としてアスコルビン酸を含んでいてもよい。 【0035】 本発明は、これまで記載してきたpH範囲で、アスコルビン酸と一緒に、以下に記載されている心筋灌流イメージング剤又は放射性医薬化合物のうちの1種又は複数種を含む放射性医薬品製剤を企図している。 【0036】 近時、潜在的な臨床診断用途にとって非常に望ましい特性を有するいくつかの一連の新規な心筋灌流イメージング剤が開示されてきた(Casebier らによる米国特許出願第2007036716A1号;Purohit & Casebierによる米国特許出願第2006083681 A1号;Radeke らによる米国特許出願第2005244332A1号;Casebierらによる国際公開第WO2005/079391A2号)。これらの薬剤は、しばしば放射性トレーサーとして調製され、そして、放射性同位体^(18)Fのような放射性同位体でしばしば標識される。 【0037】 本発明に役立つ若干の放射性医薬化合物は、ミトコンドリア複合体1(MC?1)の強力な阻害剤であることができ、また、潜在的な臨床的有用性を有することができる。これらの化合物は、放射性トレーサー(以下、例示として例えば^(18)Fと記載する)で放射性標識することができ、従って、放射線分解によって開始される崩壊を防止する方法で溶液を安定化することが要求され得る。以下で詳しく述べる通り、化合物のいくつかの組は、本発明の文脈内で放射性医薬化合物として有用であり得る。 【0038】 例えば、天然物ロテノンは、公知の市販の殺虫剤であり、商業で広範に使用されている。活性の主な方式は、MC?1の抑制によるものである。前記化合物は、その有効性の故に、ならびに、環境において無害生成物へと迅速に分解するが故に、農作物用途に便利である。ロテノンのいくつかの類似体は、MC?1を阻害することが知られており、そして、いくつかの類似体は、例えばジヒドロフルオロテノン(DHFR)のような心筋灌流画像化法のヒトのモデルで使用されてきた。 【0039】 【化1】 心筋灌流画像化法に使用できる別の化合物の組(その溶液はアスコルビン酸によって安定化できる)は、以下に示してあるクロモン誘導体の組である。これらの化合物は、霊長類の心筋灌流で良好な有用性を示した合成化合物、特に、以下に示した特定の化合物である。 【0040】 【化2】 心筋灌流画像化法に使用できる別の化合物の組(その溶液はアスコルビン酸によって安定化できる)は、フェナザキンと呼ばれるキナゾリンの誘導体である。フェナザキンそれ自体は、MC?1の強力な阻害剤であり、殺虫剤として商業的に使用されている。フェナザキン及びその類似体の放射性標識誘導体は、霊長類及び他の哺乳類において心筋灌流を画像化する際に良好な有用性を示した。心筋灌流画像化法のための特に好ましい特定の化合物と共に、フェナザキン及びその類似体が以下に示してある。 【0041】 【化3】 同様に、他の商業的に有用なMC?1阻害剤の類似体、例えばテブフェンピラド及びそれらの類似体は、以下に示してあるように、本発明において有用である。これらの化合物の親構造体は、殺虫剤として商業的に使用されているが、それらの類似体は、心筋灌流イメージング剤として使用するために放射性標識され得る。 【0042】 【化4】 同様に、他の商業的に有用なMC?1阻害剤の類似体、例えばフェンピロキシメートの類似体は、以下に示してあるように、本発明において有用である。これらの化合物の親構造体は、殺虫剤として商業的に使用されているが、それらの類似体は、心筋灌流イメージング剤として使用するために放射性標識され得る。 【0043】 【化5】 更にまた、天然物ピエリシジンの類似体は、以下に示してあるように、本発明の一部としての化合物として有用である。ピエリシジンは、サブステーション(substation)及び側鎖において可変性を有する化合物の組であり、一般的に、2?アルキル?4?ヒドロキシピリジンと記述できる。典型的に、ピエリシジンでは、3位、5位、及び6位も、アルキル又はアルコキシ官能価で置換される。これらの化合物及び類似体の誘導体は、心筋灌流イメージング剤として使用するために放射性標識され得る。 【0044】 【化6】 本発明での使用に適する化合物の他の組は、市販されている化合物ピリダベンをベースとしている。場合によっては、前記化合物は、例えば^(18)F?フッ化物のような放射性同位体に対して、親油性側鎖を介して結合されたピリダジノンヘテロ環を含む。これらの化合物は、強力な一連のミトコンドリア複合体1阻害剤を含むことができる。有効性は、カルコゲンに関する基X及びYの置換全体にわたって保持され、そして、側鎖(基群m、n、及びY)の許容度は広く、10個以下の鎖原子から成る分岐鎖及び直鎖の基は依然として有効性をもたらす。いくつかの実施態様では、前記化合物は、2?アルキル?4?クロル?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンである。例えば、前記化合物は、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンであり得る。 【0045】 【化7】 本明細書記載の化合物は、有機放射化学の当業者と、フルオロデオキシグルコース(^(18)F?FDG)のような放射性医薬品を、例えば、ヒトの画像診断用に現在唯一承認されている18?F放射性トレーサーを製造するために使用される技術に精通している人たちとに知られている方法によって調製できる。前記化合物は、使用前に精製することができ、そして前記方法は、本出願で例証される。当業者は、他の方法を容易に利用できる。 【0046】 場合によっては、放射性医薬化合物は、不斉中心、すなわち、非対称的に置換された原子を含み得る。非対称的に置換された原子を含む化合物は、光学活性体又はラセミ体で単離できる。例えばラセミ体の分割又は光学活性出発原料からの合成のような方法を含む、光学活性体を調製する方法は当業において公知である。オレフィン及びC=N二重結合などの多くの幾何異性体は、本明細書記載の化合物中に存在することもでき、また、すべてのそのような安定な異性体は、本発明における使用が企図される。本発明化合物のシス及びトランス幾何異性体を説明する。前記幾何異性体は、異性体の混合物として又は分離された異性体型として単離できる。構造の特定の立体化学的形態又は異性体型が特に示されていない限りは、構造のすべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体及びすべての幾何学的な異性体型が意図される。本発明の化合物を調製するために使用されるすべての方法及びそこで作られる中間体は、本発明で有用であると考えられる。 【0047】 前述のように、本明細書記載の放射性医薬化合物は、アルキル置換基を含み得る。本明細書でアルキル置換基という用語が使用され得る場合、単独で又は別の基の一部として本明細書で使用され得る「アルキル」及び「アルク(alk)」は、正鎖中に1?20個の炭素原子、好ましくは1?10個の炭素原子、更に好ましくは1?8個の炭素原子を含む直鎖炭化水素と分岐鎖炭化水素の両方を包含し、その例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、及びそれらの様々な分岐鎖異性体など、ならびに、1?4つの置換基、例えば、ハロ、例えばF、Br、Cl又はI又はCF^(3)、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール(アリール)又はジアリール、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシル、アルカノイル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、シクロヘテロアルキル、アリールヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアリール、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ハロアルキル、トリハロアルキル及び/又はアルキルチオを含む前記の基が挙げられる。 【0048】 これまで述べてきたように、本明細書において使用される放射性医薬化合物は、それらの「類似体」も含む。用語「類似体」は、言及されている構造又は化合物と、構造又は原子の結合性が実質的に同様なあらゆる化合物を含むことを意味している。類似体は、異なる原子又は異なる官能基のいずれかで、一つ又は複数の各原子が置換された化合物を含む。類似体という用語は、高度な相同性を意味しているが、そのような構造から知的に誘導される化合物を含むこともできる。而して、実例として、ピリダベンの類似体は、5位で置換された親油性側鎖を有する2?アルキル?4?クロロ?2H?ピリダジン?3?オンを含む任意の化合物と考えることができる。 【0049】 本発明の一部としての放射性医薬化合物は、本化合物で見出される原子のすべての同位体を含むことが意図されている。同位体は、原子番号は同じであるが、質量数が異なる原子を含む。一般的な例として、限定するものではないが、水素の同位体としては、三重水素及び重水素が挙げられる。炭素の同位体としては、C?13及びC?14が挙げられる。 【0050】 置換基への結合が、環中の2つの原子を結びつけている結合を横切るように示される時、その時、前記置換基は、環上の任意の原子に結合され得る。所定の式で表される化合物の残りに対して置換基が結合される原子を明示せずに、前記置換基がリストに記載されている時、前記置換基は、前記置換基中の任意の原子を介して結合され得る。置換基及び/又は変数の組み合わせが、安定な化合物をもたらす場合のみ、前記組み合わせが許容される。 【0051】 ここまで説明した放射性医薬化合物は、薬学的に許容可能であると考えられる。本明細書で使用される「薬学的に許容可能な」というフレーズは、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症も無く、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適当であり、妥当な効果/リスク比で釣り合っている化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指している。 【0052】 これまで説明してきた放射性医薬化合物は、薬学的に許容可能な塩も含む。本明細書で使用される「薬学的に許容可能な塩」とは、親化合物が、それらの酸又は塩基の塩を作ることによって変性される開示化合物の誘導体を指している。薬学的に許容可能な塩の例としては、アミンのような塩基性残基の無機酸塩又は有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩が挙げられるが、それらに限定されない。 【0053】 薬学的に許容可能な塩としては、例えば、無毒性の無機酸又は有機酸から形成される従来の無毒性塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、この種の従来の無毒性塩としては、無機酸から、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸から誘導される前記無毒性塩;及び、有機酸から、例えば酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2?アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、及びイセチオン酸から調製される前記無毒性塩が挙げられる。本発明で有用な薬学的に許容可能な塩は、従来の化学法によって塩基性部分又は酸性部分を含む親放射性医薬品から合成することができる。一般的に、前記の塩は、これらの化合物の遊離の酸または塩基の形態を、水中で又は有機溶媒中で又は前記2つの混合物中で、適当な塩基又は酸の化学量論量と反応させることによって調製することができ;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。適当な塩のリストは、参照によりその開示が本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company, Easton,PA,1985,p.1418に見出される。 【0054】 これまで説明してきたように、本明細書の放射性医薬化合物は、好ましくはMC?1阻害剤である。用語「MC?1阻害剤」は、MC?1を阻害する能力を有する特定の公知の化合物、及びそれらの化合物の類似体を指している。詳しくは、適当な放射性同位体で放射性標識できる化合物であって、前記化合物を、患者に投与し、PET、SPECT又は平面カメラであることができる適当なカメラで患者をスキャンすることによって、心筋組織の画像を得ることができる。前記阻害剤としては、ピリダベン及びその類似体、フェナザキン及びその類似体、ロテノン及びその類似体、デグエリン及びその類似体、及び置換されたクロモン誘導体及びそれらの類似体、及び上で例示した阻害剤が挙げられるが、それらに限定されない。 【0055】 本発明の放射性医薬化合物は、好ましくは適当な放射性同位体で標識される。用語「適当な放射性同位体」とは、生物学的有効性に悪影響を及ぼさずに分子中に共有結合で組み込むことができ、そして、崩壊パラメータ、例えば充分に長い半減期と、満足な画像を得ることができるように適当な粒子/放出エネルギーとを有する同位体を指している。このような放射性同位体としては、^(11)C、^(13)N、^(18)F、^(86)Br、^(124)I、^(125)I、及び^(131)Iが挙げられるが、それらに限定されない。これらのうちで、^(18)Fは、特に本発明による使用に好ましい。 【0056】 放射能標識は、当業者が利用できる材料及び技術を使用して達成される。例えば、フッ素による放射能標識は、適当な条件下で、[^(18)F?F]フッ素ガスを使用して、求電子性のフッ素化によって達成できるが、最も好ましくは、[^(18)F]?フッ化物イオンにより、適当な脱離基を求核置換することによって達成される。[^(18)F]?フッ化物イオンは、カリウム対イオンを封鎖するクリプテートを添加することによって更に反応性となる。好ましい脱離基は、当業者に公知のものから選択することができるが、好ましくは、ハロゲン、例えばヨウ化物、臭化物、塩化物、及びフッ化物が挙げられる。最も好ましくは、脱離基は、アルキル又はアリールスルホン化エステル、詳しくはトルエンスルホネートエステルである。 【0057】 1セットの実施態様では、放射性医薬組成物は、アスコルビン酸を含む安定化剤と一緒に、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンを含み、その場合、前記組成物のpHは約4?4.5の範囲内であり、そして、前記組成物は、1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含む。 【0058】 本発明の安定化された放射性医薬製剤は、粗(例えば、精製されていない)又は精製された放射性医薬化合物を含む第一溶液(例えば、水溶液又はエタノール溶液)を、アスコルビン酸を含む第二調製溶液に加えて、放射性医薬化合物とアスコルビン酸とを含む第三溶液を作ることによって、調製し得る。第一溶液は、水溶液又はアルコール溶液、例えばエタノール溶液であり得る。場合によっては、第二溶液は、第一溶液と接触させる前に、酸性溶液(例えば、塩酸溶液)又は塩基性溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)のいずれかを加えることによって、所望のpH(例えば、3.5?5.5のpH)に調整する。 【0059】 本発明の方法は、追加の処理工程を含み得る。例えば、第一溶液を第二溶液に加えた後、得られた第三溶液を、異なるpH、例えば生物学的範囲内のpH、すなわち約6?8のpHに調整し得る。いくつかの実施態様では、放射性医薬組成物は、1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含み、そして、方法は、第一溶液を第二溶液に加えた後、第三溶液のpHを約6未満に調整する工程を更に含む。 【0060】 1セットの実施態様では、方法は、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オン又はその19F類似体を含む第一溶液を、約4?4.5の範囲内のpHを有し、そして1ミリリットル当たり約50mgを超えるアスコルビン酸を含む第二溶液に加えて、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンとアスコルビン酸とを含む第三溶液を作る工程を含む。 【0061】 いくつかの態様では、方法は、一つ又は複数の精製工程、例えばクロマトグラフィーによる精製工程を含み得る。例えば、方法は、すなわち、アスコルビン酸を含む溶液に添加する前に、クロマトグラフィーによって放射性医薬化合物を精製する工程を含むことができる。クロマトグラフィーは、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー及び/又はイオン交換クロマトグラフィーであることができる。いくつかの実施態様では、順相クロマトグラフィーは、アルミナ又はシリカゲルカラムの使用を含み得る。場合によっては、本発明の方法は、逆相HPLCカラムの使用を含み得る。逆相クロマトグラフィーでは、HPLCカラムは、水、アセトニトリル、緩衝液(例えば、酢酸アンモニウム緩衝液)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、酸(例えば、ギ酸)、又はそれらの混合物を含む移動相を使用して溶出させ得る。場合によっては、HPLCカラムは、逆相カラムであり、そのカラムは、酢酸アンモニウム緩衝液、アセトニトリル、エタノール、ギ酸、又はそれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。 【0062】 本発明の典型的な放射性医薬組成物は、体積基準で約0?10%以下のエタノール及び1ミリリットル当たり約5mgを超えるアスコルビン酸を含む水溶液を含む。場合によっては、前記水溶液は、剤形1ミリリットル当たり、約10mgを超える、約20mgを超える、約30mgを超える、約40mgを超える、約50mgを超える、約100mgを超える、又は場合によっては、約200mgを超えるアスコルビン酸を含む。いくつかの実施態様では、水溶液は、剤形1ミリリットル当たり、約20mCi以下の放射性医薬化合物(例えば、約10?20mCi)と、約5g以下の放射性トレーサーの冷^(19)F?類似体(例えば、約1?5g)も含む。放射線分解は、典型的には、溶液中にNa^(18)Fを添加することによって、開始される。 【0063】 本発明のいくつかの態様は、広範な製造、配布及び使用のために本発明に従って放射性医薬組成物を開発している間に、アスコルビン酸が、特定のpH値において、放射性医薬製剤を安定化させる強化された能力を示すという発見に関連している。本明細書において記載されるpH値において、放射性医薬製剤が、分解に対して有意により高い安定性を示すことを見出した。より高いpH値では、これらの溶液の安定化に関して著しく効果が低かった。アスコルビン酸含有溶液のpH、6時間の安定性、及びアスコルビン酸のpKaを比較すると、最も有効な安定化は、安定化剤上の酸化中心がプロトン化される範囲において存在する、ことが認められた。 【0064】 場合によっては、本明細書記載の放射性医薬組成物においてアスコルビン酸又はその類似体を使用すると、放射性医薬品の実質的な総寿命中にわたって、高い放射化学的純度(例えば、>90%、>95%、>97%)を維持できるように、放射性医薬品を安定化させることができる。例えば、^(18)Fを含む放射性医薬品は、1時間以上、2時間以上、又は、場合によっては、5時間以上の間、高い放射化学的純度に維持できる。 【0065】 本発明は、被験者に対して放射性医薬組成物を投与する方法も含む。場合によっては、放射性医薬組成物は、アスコルビン酸を含み、そして約3.5?5.5の範囲内のpHを有する。場合によっては、放射性医薬組成物は、1ミリリットル当たり約50mgを超える量でアスコルビン酸を含み、そして約6未満のpHを有する。1セットの実施態様では、本発明は、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンと、1ミリリットル当たり約50mgを超える量でアスコルビン酸とを含み、且つ約6未満のpHを有する、放射性医薬組成物を患者に投与する方法を提供する。 【0066】 本明細書記載の本発明組成物は、例示として、以下の方法で投与し得る:すなわち、カテーテル又はヘパリンロックラインを、被験者の静脈の中に留置し、次いで、適当な生理食塩水及び/又はヘパリン溶液でフラッシュする。投与量を、ルアーロックを介してカテーテル又はヘパリンロックラインに投与する。患者は、その場でPETカメラの中に入り、画像化を直ちに開始することができるか、又は、患者は、PETカメラの中に入る前に、にしばらく休むことができる。あるいは、患者は、当業において公知のプロトコルと同様なプロトコルを使用して、トレッドミル又は薬剤負荷の下で、カテーテル又はヘパリンロックを介して、同様の方式で投与される。以下の実施例は、本発明の様々な実施態様を利用しているが、これらの実施例によって、本発明の範囲が限定されると解すべきでない。 【実施例】 【0067】 放射性医薬品の集積度は、ITLC又は更に好ましくはHPLCを使用する放射性標識化合物の放射化学的純度(RCP)によって測定される。HPLCを使用することの利点は、放射線分解による崩壊(radiolytic degradation)によって生じる放射性不純物を、特定のクロマトグラフィー条件下で、放射性医薬品から分離できる点にある。本発明の放射性医薬組成物に関する時間経過における改良された安定性は、代表時点で採取されるサンプルにおける放射性標識化合物のRCPの変化を測定することによって証明できる。本発明の放射性医薬組成物は、最高10時間、サンプルの安定性を維持する効力がある。 【0068】 放射性医薬品の初期のRCPは、放射性標識条件、例えばpH、加熱温度及び時間に大きく左右される。放射性医薬品を高収率で調製し、放射性医薬組成物の安定性を、一定の時間にわたって放射性医薬品のRCPの変化によって測定する。 【0069】 酢酸(超高純度)、水酸化アンモニウム(超高純度)、及びゲンチシン酸は、Aldrich又はSigma Chemical Co.から購入し、そのまま使用した。Fisherから購入した塩酸及びVWRから購入した水酸化ナトリウム(1N溶液)は、pH調整用に使用した。アスコルビン酸(500mg/mL、USP注射液)は、Myoderm Medicalから購入し、必要に応じて注射用蒸留水(SWFI)で希釈した。 フッ化[F?18]ナトリウム(Na^(18)F)は、ポリマーカラム担体上に堆積された塩として、Siemens Biomarker Solutionsから購入した。 前記フッ化物は、炭酸カリウム(K_(2)CO_(3))及びKryptofix[222]の溶液を使用して、反応フラスコ又はバイアル中へカラムから溶出させた。 【0070】 以下のHPLC分析法を使用し得る。HPLC法1では、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN?US放射能検出器、及びZorbax C18カラム(4.6mm x 250mm、孔径80Å)を有するHP?1100 HPLCシステムを使用した。流量は1mL/分であり、移動相は92%溶媒A(0.025Mの酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)及び8%溶媒B(アセトニトリル)から始めて、18分で、90%溶媒A及び8%溶媒Bにし、次いで、19?25分、40%溶媒A及び60%溶媒Bを使用してアイソクラチック洗浄を行った。 【0071】 HPLC法2では、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN?US放射能検出器、及びZorbax C18カラム(4.6mm x 250mm、孔径80Å)を有するHP?1100 HPLCシステムを使用した。流量は1mL/分であり、移動相は92%溶媒A(0.025Mの酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)及び8%溶媒B(アセトニトリル)から始めて、18分で、80%溶媒A及び20%溶媒Bにし、次いで、19?25分、40%溶媒A及び60%溶媒Bを使用してアイソクラチック洗浄を行った。 【0072】 HPLC法3では、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN?US放射能検出器、及びZorbax C18カラム(4.6mm x 250mm、孔径80Å)を有するHP?1100 HPLCシステムを使用した。流量は1mL/分であり、アイソクラチック移動相は、25分にわたって92%溶媒A(0.025Mの酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)及び8%溶媒B(アセトニトリル)であり、次いで、26?30分、40%溶媒A及び60%溶媒Bを使用してアイソクラチック洗浄を行った。 【0073】 HPLC法4では、EG&G Bertholdの放射能流量検出器及びZorbax C18カラム(4.6mm x 50mm、粒径1.8μm)を有するHP?1100 HPLCシステムを使用した。流量は、1mL/分であり、0.1%ギ酸中50%アセトニトリル/50%水の移動相で12分間運転した。 【0074】 以下の実施例では、^(18)Fで標識された心筋灌流画像化法放射性トレーサー(myocardial perfusion imaging radiotracer)の調製及び精製を説明する。以下の一般的な手順によって、ピリダベン、フェナザキン、及びクロモンの類似体を、良好な収率で調製し、そして安定放射性医薬組成物中に配合した。 【0075】 実施例1:pH安定化研究のための^(18)F心筋灌流画像化法放射性トレーサーの調製のための合成手順 炭酸カリウム(K_(2)CO_(3)、USP等級、10mg)を、蒸留され/脱イオンされた水(H2O、1mL)の中に溶かし、そして、それを、撹拌しながら、無水アセトニトリル(CH_(3)CN、4mL)中4,7,13,16,21,24?ヘキサオキサ?1,10?ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(Kryptofix(商標)、K222と呼ばれている)溶液に加え、そして、得られた溶液のアリコート(1mL)を使用して^(18)F含有樹脂カラムを溶出させた。カラム溶出液の放射能含量を測定し、そして、その溶出液をExplora RN Chemistry Moduleの反応器へ移した。このシステムは、GINA?Starソフトウェアを使用しているコンピュータで制御した。溶出した複合溶液を、乾燥(70?95℃、アルゴン抽気;部分真空(250?12mbar)させて濃縮した。これにより、[^(18)F]フッ化物の比較的乾燥した高度に活性な形態が得られた。次いで、100%アセトニトリル中に溶解された所望の放射性トレーサーの対応トルエンスルホネートエステルの溶液を、反応器に加えた。その混合物を、10分間、90℃で加熱した。 【0076】 実施例2:pH安定化研究のための^(18)F心筋灌流画像化法放射性トレーサーの精製及び投与量の調製 反応が完了した後、アセトニトリルを蒸発させ(55℃、アルゴン抽気;部分真空(250?15mbar))、そして、その反応混合物を、移動相(水中60%アセトニトリル/40% 50mM酢酸アンモニウム、1.3mL)中に懸濁させた。その混合物を、サンプルループ中に吸い込み、HPLCカラム(Phenomenex Synergi 4μ Hydro?RP C18、250×10mm)上に注入した。その混合物を、アイソクラチック条件(水中60%アセトニトリル/40% 50mMの酢酸アンモニウム、5ml/分、運転時間36分)下で、クロマトグラフィーによって精製した。放射性合成モジュール(Explora RN Chemistry Module)は、UV(254nm)及びガイガー?ミュラー(GM)検出器を備えている。 【0077】 標識放射性トレーサーを含むフラクションを、バイアル中に集めた。50mg/mL(10?15mL)のアスコルビン酸濃度を有するアスコルビン酸溶液を加え、そして、その溶液をSep?Pak(登録商標)カートリッジ(前もって、10mLのエタノール、続いて10mLのアスコルビン酸溶液で調整した)に通した。^(18)F放射性標識トレーサーを、カラム上に吸着させ、水性溶出液は廃棄する。Sep?Pak(登録商標)は、アスコルビン酸溶液の追加のアリコート(10mL)で洗浄して、あらゆる追加の副生物及び残りのアセトニトリルを除去した。次いで、エタノール(0.5mL以下)で放射性トレーサーを溶出させ、9.5mLのアスコルビン酸溶液を含んでいるバイアルに加えた。 【0078】 実施例3:放射性トレーサー投与量溶液の安定化に関するpH値の効果の測定 様々なpH値の一連のアスコルビン酸溶液を調製した。その各溶液は、放射性医薬化合物の、すなわち2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルエオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オンの冷^(19)F?類似体(例えば、BMS?747158?01(API))を5μg/mL、エタノール/水(5/95)、及びアスコルビン酸を50mg/mL含む。各溶液のpHは、必要に応じて、塩酸又は水酸化ナトリウムの標準的な水溶液を加えることによって、調整した。溶液のリストは、表1に示してある。放射線分解は、放射性医薬化合物の冷^(19)F?類似体を含む溶液中にNa^(18)Fを加えることによって開始させ、その溶液を、(最小限)6時間にわたって、HPLC分析法によって、放射化学的純度についてモニターした。その溶液は、勾配移動相でC18 RP?HPLCカラムを使用して分析し、そして、その溶出プロフィルを、UV及び放射化学検出器の両方を使用して、モニターした。結果を図1に示す。 【0079】 表1 実施例3で使用したアスコルビン酸溶液 【0080】 【表1】 図1のグラフから分かるように、保存時の得られた溶液の純度は、最初の緩衝された投与量のpHに直接に依存していた。より高いpH値(生理的pH7?7.5により近い)の溶液は、保存に対する安定性が、比較的より酸性の値を有する溶液に比べて、著しく安定性が低かった。これは、詳しくは5.8(溶液B)及び6.5(溶液I)の溶液pH値に関するそれぞれのプロットによって示されている。これらは、それぞれ、図1に示してあるグラフ上の2つの最も低いプロットである。 【0081】 追加の研究では、図2に示してあるように、4.0?8.2の範囲にわたる溶液pHの関数として、放射化学的不純物の生成をモニターしている。各溶液に関して、HPLCによって放射化学的純度の生成をモニターし、そして、放射化学的不純物に対応するクロマトグラフピークの面積を時間の関数としてプロットした。3.5?5.5のpH範囲を有する溶液は、6.0又はそれを超えるpHを有する溶液と比較して、より大きな安定性を示し、また、放射化学的不純物の生成速度が極めて遅いことを証明した。更に、図2に示してある結果は、危険な酸性条件下における改良された製剤安定性の効果を証明している。試験したpH範囲にわたって、放射化学的不純物の生成に関して観察された一次反応速度は、10分の1超低下する。 【0082】 実施例4:放射性トレーサー投与量溶液の安定化に関するアスコルビン酸濃度効果の測定 本実施例は、放射化学的純度に関するアスコルビン酸濃度の効果を説明する。本実施例では、^(18)Fで標識された製剤(2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オン)の放射化学的純度(RCP)を、pH5.8で200mg/mL(飽和レベル)?20mg/mLのアスコルビン酸濃度範囲を有する溶液についてモニターした。図3に示してある結果は、RCPレベルは、200?50mg/mLの範囲では有意に変化しないが、不純物(すなわち、低RCPレベル)の増加は、20mg/mLのサンプルにおいて観察された、ことを示唆している。 【0083】 これらの実施例は、本発明の用途を例示することを意図しており、特許請求の範囲に記載してある本発明の趣旨、用途、及び有用性を決して限定しない。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アスコルビン酸を含む安定化剤と一緒に以下の式の1種又は複数種の放射性医薬化合物: 【化1】 であって、XがO、SまたはNRであり;YがO、S、NRまたはCH_(2)であり;RがHまたはMeであり;mが0、1、2または3であり;nが0、1、2または3であり;そしてR_(1)およびR_(2)がそれぞれ独立して水素またはC1-10アルキルである、化合物 を含む組成物であって、前記組成物のpHが3.5?6未満の範囲内にあり、該組成物は1ミリリットル当たり20mgを超えるアスコルビン酸を含む、組成物。 【請求項2】 前記組成物が、アスコルビン酸を含む安定剤とともに2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オン: 【化2】 を含み、ここで、該組成物のpHが3.5?6未満の範囲内にあり、かつ、該組成物は1ミリリットル当たり40mgを超えるアスコルビン酸を含む、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 前記pHが、5.5?6未満の範囲内にあるか、または前記pHは5.8である、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項4】 前記放射性医薬化合物が、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オン: 【化3】 である、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】 前記組成物が、1ミリリットル当たり30mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり40mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり50mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり100mgを超えるアスコルビン酸を含むか、1ミリリットル当たり200mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり50?200mgのアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり50?500mgのアスコルビン酸を含む、請求項1に記載の組成物。 【請求項6】 前記組成物が、1ミリリットル当たり40mgを超えるアスコルビン酸を含む、請求項5に記載の組成物。 【請求項7】 前記放射性医薬化合物が、2?tert?ブチル?4?クロロ?5?[4?(2?[^(18)F]フルオロ?エトキシメチル)?ベンジルオキシ]?2H?ピリダジン?3?オン: 【化4】 であり、 前記組成物が、1ミリリットル当たり50mgのアスコルビン酸を含む、 請求項1に記載の組成物。 【請求項8】 前記組成物が5.8のpHを有する、請求項7に記載の組成物。 【請求項9】 以下の式の放射性医薬化合物: 【化5】 であって、XがO、SまたはNRであり;YがO、S、NRまたはCH_(2)であり;RがHまたはMeであり;mが0、1、2または3であり;nが0、1、2または3であり;そしてR_(1)およびR_(2)がそれぞれ独立して水素またはC1-10アルキルである、化合物 を含む第一溶液を、3.5?6未満のpH範囲内のアスコルビン酸を含む第二溶液に加えて、前記化合物とアスコルビン酸とを含む前記放射性医薬組成物を作る工程を含み、 ここで、該放射性医薬組成物は、1ミリリットル当たり20mgを超えるアスコルビン酸を含む、 請求項1?8のいずれか1項に記載の組成物を調製する方法。 【請求項10】 前記組成物が、1ミリリットル当たり40mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり50mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり50?200mgのアスコルビン酸を含み、そして、前記方法が、前記放射性医薬組成物のpHを6未満に調整する工程を更に含む、請求項9に記載の方法。 【請求項11】 1ミリリットル当たり40mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり50mgを超えるアスコルビン酸を含むか、または1ミリリットル当たり50?200mgのアスコルビン酸を含む、請求項5に記載の組成物。 【請求項12】 前記放射性医薬化合物が、(a)前記第一溶液を前記第二溶液に加える前にクロマトグラフィーによって精製されるか、または(b)該第一溶液を該第二溶液に加える前にクロマトグラフィーによって精製されていない、請求項9に記載の方法。 【請求項13】 被験体の画像化のための医薬の調製における、請求項1?8および11のいずれか1項に記載の組成物の使用。 【請求項14】 被験体における画像化のための、請求項1?8および11のいずれか1項に記載の組成物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2015-04-28 |
出願番号 | 特願2012-505884(P2012-505884) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(A61K)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石井 裕美子 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
関 美祝 冨永 保 |
登録日 | 2014-12-12 |
登録番号 | 特許第5662416号(P5662416) |
発明の名称 | アスコルビン酸による放射性医薬組成物の安定化 |
代理人 | 長谷部 真久 |
代理人 | 山本 健策 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 長谷部 真久 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 健策 |
代理人 | 山本 秀策 |