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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 H04B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04B |
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管理番号 | 1301889 |
審判番号 | 不服2014-6364 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-04-07 |
確定日 | 2015-06-30 |
事件の表示 | 特願2010- 74602「通信機器および電力線通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月13日出願公開、特開2011- 10272、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成21年5月27日に出願した特願2009-128342号の一部を平成22年3月29日に新たな特許出願としたものであって、平成25年1月22日付けで手続補正がなされ、同年5月10日付けで拒絶理由が通知され、同年7月16日付けで手続補正がなされ、同年12月20日付けで拒絶査定がなされた。 これに対して、平成26年4月7日付けで拒絶査定不服審判がなされるとともに、手続補正が提出され、平成27年3月4日付けで、当審により、平成26年4月7日付け手続補正が却下されるとともに、拒絶理由(最後)が通知され、平成27年5月11日付けで手続補正が提出されたものである。 第2.平成27年5月11日付けの手続補正書による補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成27年5月11日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)を却下する。 [理由] 1.平成27年5月11日付けの手続補正書の補正の内容 本件補正は、平成25年7月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の記載(以下、「本件補正前の特許請求の範囲」という。)を、平成27年5月11日付け手続補正書の特許請求の範囲(以下、「本件補正後の特許請求の範囲の記載」という。)の記載とするものであって、その本件補正前の特許請求の範囲、及び、本件補正後の特許請求の範囲の記載は、それぞれ、以下のとおりである。 なお、平成26年4月7日付け手続補正は、平成27年3月4日付けで当審が却下した。 <本件補正前の特許請求の範囲> 「【請求項1】 電力線に接続され、前記電力線に接続された他の通信機器と通信する通信データを含む信号を、前記電力線を介して送受信するモデム部と、 前記モデム部による電力線通信の通信状態を検出する電力線通信検出部と、 前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断する通信制御部と を有し、 前記通信制御部は、 判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において搬送波の周波数を低周波に切り替えさせるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する 通信機器。 【請求項2】 前記通信制御部は、前記他の通信機器と電力線を介して通信接続中の場合、充電を停止する 請求項1に記載の通信機器。 【請求項3】 前記通信制御部は、前記他の通信機器に対して電力線を介してデータを送信後、停止していた充電を再開する 請求項2に記載の通信機器。 【請求項4】 通信機器、前記通信機器を電力線に接続する充電器、および前記電力線に接続された他の通信機器を有する電力線通信システムであって、 前記通信機器または前記充電器は、 前記他の通信機器と通信する通信データを含む信号を、前記電力線を介して送受信するモデム部と、 前記モデム部による電力線通信の通信状態を検出する電力線通信検出部と、 前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断し、当該判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する通信制御部と、 を有し、 前記他の通信機器は、 前記電力線から受信した前記電力線通信の通信品質の情報に基づいて、搬送波の周波数を低周波に切り替える 電力線通信システム。」 <本件補正後の特許請求の範囲> 「【請求項1】 電力線に接続され、前記電力線に接続された他の通信機器と通信する通信データを含む信号を、前記電力線を介して送受信するモデム部と、 前記モデム部による電力線通信の通信状態を検出する電力線通信検出部と、 前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断する通信制御部と を有し、 前記通信制御部は、 判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する 通信機器。 【請求項2】 前記通信制御部は、前記他の通信機器と電力線を介して通信接続中の場合、充電を停止する 請求項1に記載の通信機器。 【請求項3】 前記通信制御部は、前記他の通信機器に対して電力線を介してデータを送信後、停止し ていた充電を再開する 請求項2に記載の通信機器。 【請求項4】 通信機器、前記通信機器を電力線に接続する充電器、および前記電力線に接続された他の通信機器を有する電力線通信システムであって、 前記通信機器または前記充電器は、 前記他の通信機器と通信する通信データを含む信号を、前記電力線を介して送受信するモデム部と、 前記モデム部による電力線通信の通信状態を検出する電力線通信検出部と、 前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断し、当該判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する通信制御部と、 を有し、 前記他の通信機器は、 前記電力線から受信した前記電力線通信の通信品質の情報に基づいて、電力線通信を停止する 電力線通信システム。」 (下線は請求人が付与した。) すなわち、本件補正は、以下の補正を含んでいる。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の 「前記他の通信機器において搬送波の周波数を低周波に切り替えさせるために」 なる記載を、 「前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために」 なる記載とする補正 (2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項4の 「前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断し、当該判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する通信制御部」 なる記載を、 「前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断し、当該判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する通信制御部」 なる記載とする補正 (3)本件補正前の特許請求の範囲の請求項4の 「搬送波の周波数を低周波に切り替える」 なる記載を、 「電力線通信を停止する」 なる記載とする補正 2.補正の根拠についての請求人の主張 平成27年5月11日付け意見書において、請求人は、補正の根拠について、以下の事項を主張している。 「2.補正の概要 請求項1及び4は、出願当初の明細書の段落0212及び0213等の記載及び図11等に基づいて補正を行いました。 特許請求の範囲の補正に伴い、「発明の詳細な説明」における「課題を解決するための手段」の欄の補正を行いました。 請求項及び明細書の補正は、いずれも出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であって、新規事項を追加するものではなく、適法な補正であると思料致します。 また、請求項の補正は、いわゆるシフト補正(17条の2第4項)には該当しないと共に、限定的減縮(17条の2第5項第2号)及び明りょうでない記載の釈明(17条の2第5項第4号)を目的とする補正であるため、適法な補正であると思料致します。」 3.新規事項の有無 (ア)願書に最初に添付された明細書の段落【0173】?【0202】には、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審が付与した。)。 「【0173】 また、携帯電話機6とパーソナルコンピュータ装置4とは、電力線通信により、連携して動作する。 [電力線通信の品質が劣化した場合の干渉回避のための切り替え動作] 図10は、電力線通信の品質が劣化した場合の切り替え処理の一例を示すシーケンスチャートである。 【0174】 携帯通信制御部41とPC通信制御部71とが接続されている場合、PCデータ通信部72は、通信データまたはリクエストデータを周期的に出力する(ステップST51)。 【0175】 この通信データまたはリクエストデータは、PC通信制御部71、PCモデム部65、電力線3、携帯モデム部27、携帯通信制御部41を介して、携帯データ通信部42に受信される。 【0176】 また、PCモデム部65が通信データを受信すると、電力線通信検出部28は、携帯モデム部27が受信した通信信号に基づいて、携帯モデム部27による電力線通信の状態を検出する(ステップST52)。 【0177】 また、電力線通信検出部28は、検出した電力線通信の状態の情報を含む信号を携帯通信制御部41へ出力する(ステップST53)。 【0178】 電力線通信の状態の情報を含む信号が入力されると、携帯通信制御部41は、その検出情報に基づいて、電力線通信の通信品質を判定する(ステップST54)。 【0179】 携帯通信制御部41は、たとえば信号電力比が所定値以下であると、通信品質が悪いと判定する。 【0180】 また、携帯通信制御部41は、エラー発生率が所定値以上であると、通信品質が悪いと判定する。 【0181】 また、携帯通信制御部41は、電力線通信の状態の情報および判定結果の情報を通信データとして、携帯モデム部27へ出力する(ステップST55)。 【0182】 これらの情報は、パーソナルコンピュータ装置4へ送信され、PCデータ通信部72に受信される(ステップST56)。 【0183】 また、携帯データ通信部42は、判定結果に基づいて、携帯電話機6における電力線通信の通信品質が劣化したか否かを判断する(ステップST57)。 【0184】 そして、携帯電話機6における電力線通信の通信品質が劣化したと判断した場合、携帯データ通信部42は、携帯通信制御部41へ電力線通信の通信モードを低品質のモードへ切り替える指示をする(ステップST58)。 【0185】 携帯通信制御部41は、携帯モデム部27による搬送波の周波数を低周波に切り替える(ステップST59)。 【0186】 また、携帯通信制御部41は、携帯モデム部27から出力する信号の強度レベルを上げる。 【0187】 これにより、携帯モデム部27は、通信データを送信する場合、低周波の搬送波を用いて通信データを信号に重畳し、高い強度レベルの信号を出力する。 【0188】 このように周波数を切り替えることにより、通信品質の改善が期待できる。 【0189】 また、信号の強度レベルを高くすることにより、電力線通信におけるノイズフロアが上昇したとしても、その上昇したノイズレベルに信号が埋もれ難くなる。 【0190】 なお、携帯通信制御部41は、たとえばノイズレベルをサーチし、ノイズレベルが上がった分だけ、信号レベルを上げるようにすればよい。これにより、通信品質を維持できる。 【0191】 ステップST51に示すように、PCデータ通信部72は、通信データまたはリクエストデータを周期的に出力する。 【0192】 通信データまたはリクエストデータを周期的に出力した後、PCデータ通信部72は、通信データを受信したか否かを判断する(ステップST60)。 【0193】 また、PCデータ通信部72は、通信データを受信していない場合にはさらに、タイムアウトしたか否かを判断する(ステップST61)。 【0194】 そして、タイムアウトした場合、PCデータ通信部72は、パーソナルコンピュータ装置4での電力線通信による通信が不可である旨を、表示部64に表示する(ステップST62)。 【0195】 これに対して、タイムアウト前に上述した電力線通信の状態の情報および判定結果の情報を通信データとして受信すると、PCデータ通信部72は、ステップST61において、通信データを受信したと判断する。 【0196】 また、PCデータ通信部72は、受信した電力線通信の状態の情報および判定結果の情報に基づいて、携帯電話機6における電力線通信の通信品質が劣化したか否かを判断する(ステップST63)。 【0197】 そして、携帯電話機6における電力線通信の通信品質が劣化したと判断した場合、PCデータ通信部72は、PC通信制御部71へ電力線通信の通信モードを低品質のモードへ切り替える指示をする(ステップST64)。 【0198】 PC通信制御部71は、PCモデム部65による搬送波の周波数を低周波に切り替える。 【0199】 また、PC通信制御部71は、PCモデム部65から出力する信号の強度レベルを上げる(ステップST65)。 【0200】 これにより、PCモデム部65は、通信データを送信する場合、低周波の搬送波を用いて通信データを信号に重畳し、高い強度レベルの信号を出力する。 【0201】 電力線通信の通信モードを低品質のモードへ切り替える指示をした後、PCデータ通信部72は、電力線通信を低品質のモードへ切り替えた旨を、表示部64に表示する(ステップST66)。 【0202】 以上の一連の処理により、電力線通信の品質が劣化した場合、携帯モデム部27およびPCモデム部65は、劣化した通信品質に応じた通信モードに切り替わる。」 (イ)願書に最初に添付された明細書の段落【0204】?【0213】には、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審が付与した。)。 「【0204】 たとえば電力線3に高周波ノイズが含まれている場合でも、低周波の搬送波を用いて信号に重畳された通信データにより、通信データを適切に送受することができる。 [携帯電話機6の無線通信の品質が劣化した場合の動作] 図11は、携帯電話機6の無線通信の品質が劣化した場合の処理の一例を示すシーケンスチャートである。 【0205】 携帯電話機6の無線通信部21が通信データを受信する(ステップST71)と、無線通信検出部22は、受信された通信データに基づいて、無線通信部21による無線通信の状態を検出する(ステップST72)。 【0206】 無線通信検出部22は、検出した状態のデータを携帯データ通信部42へ出力する。 【0207】 無線通信状態の検出データが入力されると、携帯データ通信部42は、無線通信の通信品質を判定する(ステップST73)。 【0208】 携帯データ通信部42は、たとえば受信信号のRSSI値が所定値以下である場合、通信品質が悪いと判定する。 【0209】 また、携帯データ通信部42は、エラー発生率が所定値以上であると、通信品質が悪いと判定する。 【0210】 また、携帯データ通信部42は、判定結果の情報を通信データとして、携帯通信制御部41へ出力する(ステップST74)。 【0211】 判定結果の情報は、パーソナルコンピュータ装置4へ送信され、PCデータ通信部72に受信される(ステップST75)。 【0212】 PCデータ通信部72は、無線通信の通信品質の判定結果の情報を受信すると、PCデータ通信部72による無線通信データの生成機能を停止する(ステップST76)。 【0213】 これにより、パーソナルコンピュータ装置4は、携帯電話機6から無線送信する通信データを生成できなくなる。」 (ウ)願書に最初に添付された図11には、以下のフローが記載されている。 携帯電話機(M_PHONE)6の無線通信部(RF)21が、無線通信データを受信し(ステップ(ST)71)、 携帯電話機(M_PHONE)6の無線通信検出部(RF_DTCT)22が、無線通信の状態を検出し(ステップ(ST)72)、 携帯電話機(M_PHONE)6の携帯データ通信部(M_COM)42が、無線通信の通信品質を判定し(ステップ(ST)73)、 携帯電話機(M_PHONE)6の携帯データ通信部(M_COM)42が、携帯通信制御部(M_CTRL)41へ品質データを出力し(ステップ(ST)74)、 パーソナルコンピュータ装置4のPC通信制御部(PC_CTRL)71が、受信した品質データをPCデータ通信部(PC_COM)72へ出力し(ステップ(ST)75)、 パーソナルコンピュータ装置4のPCデータ通信部(PC_COM)72が、通信機能をOFFし(ステップ(ST)76)、 パーソナルコンピュータ装置4のPCデータ通信部(PC_COM)72が、OFF表示する(ステップ(ST)77) フロー。 上記の摘記(ア)?(ウ)を技術常識に鑑みると、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「願書に添付された明細書等」という。)に記載された事項は、 携帯電話機(M_PHONE)6の電力線通信検出部28が検出した電力線通信の状態に基づいて、携帯電話機(M_PHONE)6の携帯データ通信部42が電力線通信の状態の判定結果を判断し、 携帯電話機(M_PHONE)6の携帯通信制御部41から、携帯電話機(M_PHONE)6の携帯モデム部27へ出力された電力線通信の状態の情報および判定結果の情報が、パーソナルコンピュータ装置4へ送信し、 パーソナルコンピュータ装置4のPCデータ通信部(PC_COM)72では、電力線通信の状態の判定結果により、電力線通信の通信モードを低品質のモードへ切り替えられること。 及び、 携帯電話機(M_PHONE)6の無線通信検出部(RF_DTCT)22が検出した無線通信の状態に基づいて、携帯データ通信部42が無線通信の通信品質を判定し、 携帯電話機(M_PHONE)6の携帯データ通信部42から、携帯電話機(M_PHONE)6の携帯通信制御部41へ出力された無線通信の通信品質の判定結果の情報が、パーソナルコンピュータ装置4へ送信し、 パーソナルコンピュータ装置4のPCデータ通信部(PC_COM)72では、無線通信の通信品質の判定結果により、通信機能をOFFすること。 すなわち、願書に添付された明細書等で開示された「他の通信機器において電力線通信を停止させるための情報」は、無線通信の状態に基づいて判定された無線通信の通信品質の情報であって、電力線通信の状態に基づいて判定された電力線通信の通信品質の情報ではない。 このため、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における 「判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する」、 或いは、本件補正後の特許請求の範囲の請求項4における 「前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断し、当該判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する」 なる事項は、当業者にとって、願書に添付された明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項を超えて、新たな技術事項を導入するものであるから、願書に添付された明細書等の記載の範囲内の事項とはいえない。 よって、本件補正は、本願の願書に添付された明細書等の記載の範囲内でしたものではないので、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反する。 4.請求人の主張の検討 補正の根拠について、請求人は、平成27年5月11日付け意見書で、上記「2.補正の根拠についての請求人の主張」で摘記したように、段落【0212】、【0213】及び図11等である旨を主張している。 しかしながら、上記「3.新規事項の有無」で記載したように、段落【0212】、【0213】及び図11等に記載された事項は、 携帯電話機(M_PHONE)6の電力線通信検出部28が検出した電力線通信の状態に基づいて、携帯電話機(M_PHONE)6の携帯データ通信部42が電力線通信の状態の判定結果を判断し、 携帯電話機(M_PHONE)6の携帯通信制御部41から、携帯電話機(M_PHONE)6の携帯モデム部27へ出力された電力線通信の状態の情報および判定結果の情報が、パーソナルコンピュータ装置4へ送信し、 パーソナルコンピュータ装置4のPCデータ通信部(PC_COM)72では、電力線通信の状態の判定結果により、電力線通信の通信モードを低品質のモードへ切り替えられること。 及び、 携帯電話機(M_PHONE)6の無線通信検出部(RF_DTCT)22が検出した無線通信の状態に基づいて、携帯データ通信部42が無線通信の通信品質を判定し、 携帯電話機(M_PHONE)6の携帯データ通信部42から、携帯電話機(M_PHONE)6の携帯通信制御部41へ出力された無線通信の通信品質の判定結果の情報が、パーソナルコンピュータ装置4へ送信し、 パーソナルコンピュータ装置4のPCデータ通信部(PC_COM)72では、無線通信の通信品質の判定結果により、通信機能をOFFすること であって、 「判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する」、 或いは、 「前記電力線通信検出部が検出した電力線通信の通信状態に基づいて、電力線通信の通信品質を判断し、当該判断した電力線通信の通信品質の情報を、前記他の通信機器において電力線通信を停止させるために、前記モデム部を介して前記他の通信機器へ送信する」 ことではない。 このため、上記した請求人の主張を参酌しても、本件補正は、当業者にとって、願書に添付された明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項を超えて、新たな技術事項を導入するものであるから、願書に添付された明細書等の記載の範囲内でしたものであるとは認められない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。 5.むすび 以上のとおり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び4に記載された事項は、願書に添付された明細書等の記載の範囲内でしたものではないので、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 平成27年5月11日付けの手続補正は、上記のとおり却下したので、本願請求項1?4に係る発明は、平成25年7月16日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められる。 そして、本願については、原査定及び当審の拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2015-06-18 |
出願番号 | 特願2010-74602(P2010-74602) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04B)
P 1 8・ 55- WY (H04B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 廣川 浩 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
佐藤 聡史 ▲広▼島 明芳 |
発明の名称 | 通信機器および電力線通信システム |